ではなく、「紐付けされている部品を除いて」有効在庫やオーダ残を引き当てる必要が あります。 在庫に関連して、使用可能な在庫ということで「有効」在庫という言い方をしてきま したが、モノによっては違う意味での「有効」期限 ( 例 : 食品の賞味期限など ) が存 在することがあります。この場合には、使用予定時にその在庫が有効期限内であるか どうかをチェックする必要が生じます。最近、食品の問題などで特に注目されている機 能です。 もう 1 つ、在庫に関連して補足します。先に説明したように、購買オーダは通常は有 効在庫がないときに発生しますが、このような「なくなる」管理だけではなく、特に「液 体モノ」のような場合には「タンクがいつばいになったら保存できないから、タンク分 を超えて発注できない」という上限在庫量の管理が必要な場合もあります。 まだまだ必要とされる要件はありますが、このくらいにしておきましよう。 MRP はこれらのことを「同時に考慮する」必要がある点が、非常に難しいわけです。 また、処理が「重い」ことも感覚的につかんでいただけたのではないかと思います。 いずれにしても、要求される機能がどのレベルであるのかを決定することが、開発あ るいはパッケージを選定する場合には重要になってきます。 知耳製番管理の場合 「製番管理」を徹底しており、「部品は全部製品に紐付き ( 予約 ) されていて、共 通部品がまったくない、あるいは考慮する必要性があまりない」ようなケースでは、 必すしも MRP は必要ないか、あるいは重要性は低くなります。 しかしながら、本文に書いたような部品の共通化やユニット化の流れから製番管 理を実施している場合にも、製番紐付きの品目とロットをまとめる品目が混在する 「ハイプリッド型の生産形態」が増えてきており、この場合には紐付き機能を持った MRP 処理が必要になります。 所 要 展 開 を 理 す る 73
CHAPTER 「原価管理」 基礎の基礎 前章の「品質管理システム」に引き続き、本章では生産管理システムと密接に関係する「原 価管理システム」について解説していきます。製造業を取り巻く環境が厳しさを増して いく中で、原価管理の重要性はここ数年非常に高まっています。原価管理は生産管理と 財務会計双方の知識が必要なので、 SE にとって「ハードルの高い」分野ですが、それ だけにやりがいのある分野です。基礎的な内容をなるべく分かりやすく解説しますので、 まずはじっくり読んでみてください。 0 原価管理を取り上げる理由 実は本書の構成を決めるにあたり、原価管理を内容に含めるかどうかで議論になりま した。なぜなら、原価管理システムだけで生産管理システムに匹敵するくらいの機能的 な広がりと深さがあるので、「たった 1 章」で取り上げるのはかなり無理があるためです。 しかしながら、原価管理については昨今その重要性がますます高まっていることから、 あえて取り上げることにしました ( 相当なチャレンジです ) 。 MRP のときと同様に、「外から原価管理の世界を覗き込む」という感じになると思い ますが、原価管理の基礎的な知識 ( 基礎の基礎 ! ) を皆さんに習得していただければ幸 いです。 0 原価管理システムの重要性 皆さんご存知のように、近年の製造業は「グローバルな競争」にさらされており、価 格競争は一段と激化しています。また、原材料費などの高騰に伴い、企業の収益環境も ますます厳しさを増しています。 このような環境においては、これまでの生産管理システムの解説で述べてきたように、 「必要なモノを、必要なときに、必要なだけ提供する」ということに加えて、「何を作れば、 どれだけ儲かるのか」をきちんと管理することがより重要になってきます。「何を作れば、 どれだけ儲かるのか」を把握して、「より儲けるためには何をすれば良いのか」を考え 172
BOM 上に品目コードが存在する製品になるまでの中間的な品目を表わすことにします。 また、中間品以外の工程の途中にある段階のものを、仕掛と呼ぶことにします。一般的 こでは中間品と意識的に分 に仕掛とは、部品から製品になる過程全般を指しますが、 けて使用することにします。また、製品は工場出荷する最終製品を指すこととします ( 第 1 章で述べたように、営業在庫になった時点で商品と使い分けることもあります ) 。 ここで非常に重要なのは、何を中間品にするか、すなわちどのような「モノ」に品目コー ドを付与するかという点です。簡単に結論を言ってしまうと、「在庫管理をする必要のあ る」ものは、品目コードを付与して中間品として扱うことになります。もっとも「在庫管 理をする必要がある」といっても分かりにくいかもしれません。具体的に挙げると、例 えば図 2 の n (1) のように ( 製品 X 、 Y へ ) 、その品目が後工程を経ていくつかのバリエー ションを持つ可能性がある場合などがあてはまります。そのほかに、物理的にロケーショ ンが離れている、ロットサイズが異なりどうしても滞留が起こる、組織上の管理対象を またがる場合などが考えられます。 「いちいち考えるのが面倒なので、全部 ( 例えば工程 2-1 と工程 2-2 の間 ) を中間品と して扱ったら良いのではないか」と思った方は、業務システムの SE としてはちょっと 配慮が足りません。ただでさえ忙しい現場に余計な入力の手間を強いることや、 BOM が深くなりマスタのメンテナンスが大変になることなどを考慮すると、管理する必要の ない中間品はなるべく少ないほうが良いわけです ( 実際には後の章に解説する MRP ( 所 要量展開 ) という処理は大変に重い処理なので、できるだけ BOM の階層を深くしたく ないという IT 的な理由もあったりします ) 。 例えば組立②内で部品の投入 ( 指示 ) 、および作業進捗 ( 実績 ) の管理をしたいだけ であれば、それぞれの間に中間品を設定する必要はありませんにの場合、工程 2-1 が 終了しているという進捗管理はできますが、工程 2-1 を終了した在庫数の管理はできま せん ) 。一方、 a と m の場合は元の材料は同じですが、ある加工を施した ( 元に戻すこ とができない / 加工作業という付加価値を加えた ) ことにより、異なる品目コードで管 理されています。 難しい例では、医薬や食品などで原料を量る秤量という作業が挙げられます。これは まさに、秤量作業という付加価値を与えたことになるのですが、実際の「見た目」や「品質」 は「モノを量っただけ」なのでまったく同じであり、品目コードを付与するかどうか悩ま しいところです ( 現在では、コードを振らないケースのほうが多いようですが、今後の 管理基準が厳しくなると判断が変わるかもしれません ) 。このように、在庫管理のポイン ト ( 中間品 ) をどのように設定するかは、生産管理システムを導入する際の、最も重要 なポイントの 1 つになります。 26
COLUMN MRP と言うと「一昔前の古臭い生産管理」であると決めつける人がいます。また 「 APS と呼ばれる先進的なスケジューリングシステムを使えは MRP は不要」という 主張もたまに耳にします。しかしながら、筆者は「そのような人の頭の中こそ古臭い 固定観念に捉われているのではないか ? 」と思っています。 MRP は本文で述べているように、極めて難しい処理であるため処理に時間がかか ります。特にホストコンピュータの時代 ( あるいは最近でも ) は、処理にまる一昼夜 かかることもざらにありました。そのようなことから、機動力のない古い仕組みと誤 解されていることがあるようです ( あるいは、あまりに処理が難しいため、「実装を 諦めたパッケージべンダや SIer がそのように吹聴しているのではないか ? 」と勘くっ てもいます ) 。 しかしながら、ハードウェアが安価になったこと ( 特にメモリが大量に使用できる ようになったこと ) により、メモリ上に展開して処理することで、現時点ではかなり の高速化が可能になっています。実際に 1 日に何回も、あたかも「オンライン処理の ように」 MRP を使用している例も出てきています。 生産管理の基本である MRP をきちんと勉強することは、依然としてとても重要な ことなのです。 0 MRP の前に これまでは MRP に要求される要件を見てきましたが、こからは MRP の機能を説 明していきます。ますは MRP の前に必要となる処理について説明します。 MRP のトリガーとなるのは「基準生産計画 (MPS) 」ですが、この単位は前章も述べ たように、 1 日 ( 場合によっては 1 日数回 ) から 1 週間程度が普通です。この計画を立 てる単位を「タイムバケット」と呼びます。 図 5 には製品 x 、 Y の BOM が表わされており、 BOM の横に BOM のレベルが表 現されています。ここで重要になる概念が「ローレベルコード」と呼ばれるものです。 共通部品 a は図のように X 、 Y のいろいろなレベルに存在しますが、すべての製品の BOM の一番下位のレベル、この場合には「 3 」が a の「ローレベルコード」になります。 74
オーダ情報 オーダ NO 品目コード 着手予定日 使用可能予定日 有効期限 計画数量 場所コード 図 8 : MRP 関連テーブルと情報の流れ ・不足分について新規オーダ作成 ・計画数量についてはロットサイズ考慮 ( 購買 / 製造オーダ共通 ) ・所要に対する引当情報を管理 キーはなし ) ( テンボラリ情報のため BOM 情報 所要情報 場所コード 必要数量 納期 品目コード オーダ NO 所要 NO BOM の階層分繰り返す 引当情報三 所要 NO 引当区分 オ—5NO 引当予定日 引当数量 場所コード 使用予定情報 在庫推移情報 発注残情報 製造残情報 0 レベルバイレベル展開 78 さて、レベルバイレベル展開の機能を簡単に言うと、「正味所要量の計算をその品目 うな順序逆転を防ぐことができるようになります。 する所要量を満たせる可能性があります ) 。レベルバイレベル展開をすることで、このよ Y 用にまず使用したいところです ( 例えば 1 日後に部品 c の納入があり、 X により発生 われてしまう」ことになります。「納期順」ということを考えると、リードタイムの長い とします。このとき、何も考えすに X → Y という順番で展開すると、 c の在庫は x に「食 が共通部品となっていますが、 c は「どちらか一方を満たすことができる在庫量しかない」 画があるとします。仮にそれぞれの製造リードタイム合計を 3 日、 4 日とします。部品 c ます。図 9 を見てみましよう。タイムバケット 1 (TBI) に、製品 X 、 Y の基準生産計 レベルバイレベル展開は、有効在庫 / オーダ残を納期順に引き当てることを可能にし MRP 処理における重要な考え方であるレベルバイレベル展開について説明しましょ
どでは「ラフカット」と呼ばれる処理が必要になることもあります。これはあるポトルネッ クの設備 ( 工程 ) 、あるいは重要な原材料 / 部品の在庫数など、パラメータを絞り込んで、 その生産計画が妥当性のあるものかどうかを確認する機能になります。 設備に対する割付や、段取り替えなどを含んだ正確な能力確認は、いわゆるスケジュー ラの機能になります。しかしながら、例えば 3 直フル稼動している工場に対して、能力 の 3 倍の計画を依頼しても現実的ではないので、ある程度は計画の妥当性をこの段階で ( MRP やスケジューリング処理を行なう前に ) 検証することになります ( ある程度なの で " ラフ " カットと呼ばれています ) 。スケジューラですべての設備割付や製造条件を検 証することは非常にリソースを食うので、重要な制約条件に絞って処理を行なうことが 一般的です。 0 生産計画の流れ③ ~ 改善ポイントその 1 ~ ますは、年間 ~ 月次 ~ 基準生産計画 ( 日次 ) のシンプルな基本バターンを説明してき ましたが、実際の業務にあてはめた場合には、いくつかの問題が発生してきます。 まず、図 2 の②年間販売計画は、「数」ではなく、通常は「金額」で表現されること が多くなります。年間販売計画の意味を「予算」と説明しましたが、そこからも金額で 目標を立てるのが自然であることが分かると思います。後述するように、基準生産計画 (MPS) は必ず「数」で管理する必要があるので、基準生産計画 (MPS) に至るまでの どこかで「金額」を「数」に変換する必要が生じます : また、年間販売計画の段階では、計画値は「品目レヘル」の計画ではなく、「品目グルー プレベル」であることが普通です。これらについても同様に品目レベルに展開する必要 があります。 基準生産計画段階で品目レベルの管理が必要な理由について、図 4 を基に考えてみ ましよう。①から③の流れのように計画の管理単位が変わってきます。例えば、②のレ ベル ( みかんジュースの生産リットル数 ) だと 350m1 の缶と 6 缶パックの梱包材の購買 計画が立てられないことになります。 つまり、「金額」から「数」への変換ロジック、「品目グループ」から「品目」への変換ロジッ クがアプリケーション側で必要になるわけです。 60
4 CHAPTER システムのトリガーとナる 「生産計画」を理解する これまで生産管理の基本情報となる主要なマスタデータについて解説しました。これか らは、アプリケーションの説明に入ります。本章では、すべての生産管理システムのト リガーとなる「生産計画」についてです。生産計画は生産管理のサプシステムの中でも 顧客ごとに要件が異なるので、バッケージにとって最もやっかいな分野 ( 逆に言うと最 も製品の個性が出るところ ) です。最初のハードルとしては少々高いかもしれませんが、 なるべくシンプルに説明します。がんばっていきましよう。 0 生産計画の特徴① ~ 計画系と実績系 ~ 前章のコラム ( 「生産管理はなせ難しいのか』、 37 ページ参照 ) では、生産管理シス テムが難しいのは、生産管理システムは販売管理システムや会計システムと比べて「予 定 ( 計画 ) 」を管理する部分が重要な役割を担っているからだと述べました。つまり、 生産管理を難しくしている要因の 1 っとして、生産管理は実績系の情報だけでなく、計 画系と実績系の情報を対比して考える必要があることが挙げられます。 実績系は言い換えると「起こってしまった情報」であり、それに対して計画系という のは「これから起こる情報」であるということが言えます。つまり実績系が「確定的な」 情報を多く扱うのに対して、計画系は「曖昧さをそれなりに含んだ」情報を扱うことに なるわけです。皆さんも経験があるかもしれませんが、不確かな " ぐにやぐにやした " 情報をシステム化することはなかなかやっかいです。 50
くてはならないようなこともあります。このようなケースに対応するために、 MRP の対 象外で計画を作成する「計画外指図」の機能が必要となります。 しかしながら、「便利だから」という理由でこの機能を頻繁に利用すると、「真面目に 82 重要になります。 でもマスタデータの整備は大変なので、現状の管理レベルに合わせて導入を図ることが で計画を立案するケース (B) があります。いすれにしても、 MRP 、スケジューラ単独 MRP を実行してその結果をスケジューリングするケース (A) と、スケジューラ主体 図 10 では MRP とスケジューラの連携のパターンを示しています。 このような場合には MRP とスケジューラを併用することで問題を解決できます。 画を適度に平準化する、つまり「山崩しする」機能をスケジューラは実現しています。 程が存在するなどの理由で負荷の調整が重要になるケースもあります。山積みされた計 多いのですが、稼動率が高い、装置産業で設備の制約が多い、あるいはポトルネックエ ち時間」であることが多いので、タイムバケットを調整することにより解決できることも 積みです ) 。工場にもよりますが、製造の多くは「実際に作業をしている時間」ではなく、「待 に特定の製造工程のオーダが積み重なってしまうことがあります ( これが負荷の無限山 MRP はあくまでもリードタイムペースでオーダを作成するので、あるタイムバケット MRP の一番の欠点として挙げられるのは、「負荷の無限山積み」という問題です。 0 スケジューラとの連携 権限設定など運用上のルール作りが必要になります。 計画を立案している」 MRP 対象品の在庫を横取りしてしまい、運用が混乱するので、
0 MRP の運用について MRP はこれまで説明してきたように非常に多くのことを実現してくれる便利な機能な のですが、その特性を把握して運用することが重要になります。 ます、 MRP はバックワードと言われる処理を実現しています。説明してきた所要量 計算のロジックを考えれば分かるのですが、「ぎりぎりまで待って計画を確定する」こと が運用の「コッ」になります。ぎりぎりまで待っことにより、計画変更に「より柔軟に」 対応できるのです。しかしながら、購買処理の手間や製造の準備もあるので、どのくら いのタイミングで確定するのかを、導入する工場の運用 / 管理レベルを考慮して決める 必要があります。徐々に運用をレベルアップする ( 徐々に確定のタイミングを引き付け ていく ) ことも検討しておきましよう。 また、これは MRP の欠点とも言われているのですが、「リードタイムありき」で着手 日 ( 購買ならば発注日、製造ならば製造着手日 ) を起算するので、「その起算日がすで に過去になってしまっている」ということが起こります。なるべくそうならないように MRP の対象期間を設定するのですが、これを恐れてかなり先の期間しか MRP の対象 期間としないのでは、変更に強いという MRP の特性が活かせません。よって、実際の 現場ではこのようなことが発生しても、アプリケーション側で「警告を発生する」など の機能が必要になります。 計画の変更にあたっては、 MRP には「リジェネレーション」と「ネットチェンジ」と いう 2 つの考え方が存在しています。リジェネレーションでは「 1 回すべてご破算にして」 計算をやり直すことになります ( 確定オーダは除く ) 。 ネットチェンジは、変更のあった計画のみを再計算することです。一見するとネット チェンジのほうが良さそうに思えますが、計画変更以外に、変更のあったマスタやトラ ンザクションデータをどう取り込むかという面で難しい点が多く、現場の実態との乖離 が発生するため、必すしもネットチェンジがリジェネレーションよりも優位であるとは言 えません。 導入先の品目やオーダ点数、ハードウェア環境、 MRP 処理速度などを勘案し、可能 であれば「リジェネレーション」で実行したほうが確実です。 最後に、工場の生産がすべて MRP で行なえるとは限りません。 例えばサービスパーツ品の場合、補充生産が可能なケースもありますが、計画の立案 が難しく、しかもいきなり中間品 ( 半製品 ) レベルの計画が必要になるケースも考えら れます。また、何らかの突発事故で、中間品の有効在庫の半分をほかの工場に融通しな 0 所 要 開 を 理 解 る
生産の計画が立てられることになりますにの場合、生産側は受動的になります ) 。 このように、生産形態により「計画の立て方」が大きく異なってきます。 商品の特性として、季節による変動があるのか ( 例 : 工アコン、ランドセルなど ) 、あ るいは比較的需要予測がしやすいかなどの条件によっても、生産計画に必要とされる機 能は変わってきます。 また、たとえ同じ業種であっても、その業界のリーダー的な企業であるのか、トップ を追撃する 2 番手グループなのか、新規参入組なのかというその企業のポジションによっ ても、生産計画立案の方法は違ってきます。 同じ見込生産でも、積極的にテレビコマーシャルなどのプロモーションを実施してマー ケティングに基づいた強気の販売計画を立案するのか、あるいは前年度実績、販売進 捗状況などを参考にしながら堅実に計画を立案 / 調整していくのかなど、その企業の立 場や個性が発揮されるところです。これらのことが、生産計画の標準化を困難にしてい ます。 いすれにしても、生産計画システムについては、単なる他社事例のマネや、自社の状 況に適合しないパッケージの導入を闇雲に図るのではなく、その企業の置かれた状況を よく考慮してシステムを構築することが、他のサプシステムにも増して重要になります。 ・を受注生産 ? 見込生産 ? 見込生産の場合、生産計画の基になる需要予測は当然 " 外れる " こともあるので、 計画立案の立場からすると、できるだけ受注生産に近づけたいということになります。 実際に最近では、消費者の好みの多様化や市場の飽和感などにより、在庫をでき るだけ持たすに「必要なものを、必要なときに、必要な場所に、必要なだけ届ける」 といった考え方がますます重要になり、製造業全般の傾向としては確実に受注生産化 が進んでいます。 しかしながら、納期的な制約 ( 顧客が期待する納期に、受注生産していては間に 合わない ) 、生産効率 ( ある程度まとまって生産しないと原価割れしてしまう ) など の制約によって、やはり見込で生産せざるを得ない製品も多く存在するわけです。例 えば、設備による制約が多いプロセス産業 ( 食品 / 医薬品など ) では、比較的見込 生産が多くなります。しかしながら、この分野でも流通側の立場が強くなることによっ て発生した・・プライベートプランド " の普及などで、単純な見込生産からの脱皮が進 んでいます。 52