BOM - みる会図書館


検索対象: グラス片手にデータベース設計
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1. グラス片手にデータベース設計

図 3 の BOM はいわゆるストラクチャ型と呼ばれているものです。以前は、これをフ ラット ( 1 階層 ) の構成にしたサマリ型と言われる BOM で構築されているシステムもあ りましたが、マスタメンテナンス上問題がある ( 中間品の在庫引当ができない、変更が大 変など ) ことから、現在では特定の処理にしか使われなくなっています。この BOM のテー プル構成は図 4 のようになります。 品目マスタ 品目コード BOM 親品目コード (FK) 子品目コード ( FK ) 適用開始日 適用停止日 基準量 必要量 不良率 工順 図 4 : BOM のテーブル構成 驚くほどシンプルではありませんか。工作機械 / 輸送機械などを作っているところで は、 1 製品あたり BOM を展開した部品数が 1 万を超えることも珍しくありませんが、そ のような膨大な BOM も基本的にはこのようなシンプルな表現で表わすことが可能です。 この辺が生産管理の奥の深いところなのですが、詳細は後の章でのお楽しみとしましよ つ。 それでは、 BOM の項目を見ていきます。項目名からだいたい想像は付くと思いますが、 親 (BOM 階層の上位 ) をいくっ作るために ( 基準量 ) 、子 (BOM 階層の下位 ) がいく っ必要か ( 必要量 ) が表わされています。 親の基準量を 1 単位と固定して基準量を持たない例もありますが、簡単な例では親 = 3 に対して、子 = 2 のような割り切れないケースもあり、基準量が設定できたほうが便 利です ( 特にプロセス系では相手が「固体」ではなく、「液体」なので必須です ) 。 品目マスタのところで説明しなかったのですが、品目マスタには歩留率、 BOM には 不良率という項目があります。本書では、品目マスタの歩留率というのはあくまでも品 目に起因する良品 ( 不良品 ) の割合として、 BOM の不良率とはその作業を実施する際 に作業に起因する不良 ( 良品 ) の割合として示しています。業界や企業によりこの言葉 遣いが異なることがあるので注意して対応してください。 工順はここでは、工程別に材料や部品投入のタイミングを指図するために使用してい ます。 28

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80M の重要性 COLUMN 最近、 BOM の重要性がいろいろなところで語られるようになりました。 BOM は 狭義には所要量計算 (MRP) を実施するための元ネタになりますが、 BOM を広義 の統合技術管理情報として捉えることが増えてきています。 例えば今、旬なテーマは、「設計 BOM (EBOM) と製造 BOM (MBOM) の統合」 です。設計部門は設計のための技術情報を持ち、製造部門は製造、所要量計算のた めに BOM を持っているのですが、共通する項目が多く、また設計変更などのやりと りも煩雑になるため、この情報 (BOM) を統合 ( あるいは連携 ) できないかという のが狙いです。しかしながら、設計の視点 ( 図面の世界 ) と製造現場の視点 ( もの づくりの世界 ) では、不整合が起きて当然であり、完全に BOM を統合 ( あるいは連 携 ) することはなかなか難しいのが実情です ( パッケージを買ってきてできあがりと いうわけにはいきません ) 。 また、 BOM 自体は ( 変更管理機能を持っているとしても ) ある時点での技術情報 を保持しているに過ぎませんが、これに時間の概念を加えて「 PLM 注」としてライ フサイクルで情報を管理する考え方も、今後重要になってくると考えられます。これ により、例えばある製品を時間軸で捉えて、その製品の扱い ( 例 : 自社で製造→子会 社で製造→海外へ製造移管→他社へ移管 ) を、その時点での正確な価値を基に、判 断していくことカ河能になります。 業務システムはこれまでは " 業務の効率化 " という観点から捉えられることが多く、 " 処理の流れ " が重視されていましたが、今後は「モノ」の視点が大事になってくる のではないかと考えられます。 注 A : PLM ( P 「し t LifecycIe Management)o BOM や PDM Data Management) が製品 の技術情報を管理するのに対して、それらに時間の概念を取り入れ、製品をライフサイクルの視 点で管理する手法。利益管理の一環として、例えばその製品の状態 ( これから利益が出る / 利益 が十分出ている / 利益が減少傾向にある / 利益が出ない ) などを管理する目的に利用される。 近では思っています ( これから生産管理の打ち合わせに向かう SE の人は、顧客の " 呼 び方 " を復唱してから工場に入るようにしましよう ) 。比較的どの業種にも偏りのない言 い方としては「構成表」があります ( 筆者は復唱しても間違えることが多いので、汎用 的な「構成表」をよく使っています ) 。 24

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0 イメージしてもらえば分かりやすいと思います。当然、有効期限が過ぎている品目は使 用できないように、この項目を使って「アプリケーション側でロックをかける」必要が 生じます。 場所コードはその品目がどこの場所で作られるかを表わします。製造品の場合は自社 の倉庫や工程が、購入品の場合は場所が取引先となります。 単価マスタは品目マスタと親子の関係にあります。キー項目が多くなっていますが、 これはある物を購入する場合に、同じ品目であっても、「どこから」「いくつ」「いっ」買 うかによって、金額が異なってくる可能性があることによります。 0 生産管理システムの花形、 BOM 最近、製造業を取り巻く IT の世界は一種の「 BOM 」プームといった様相を呈してお り ( コラム田 OM の重要性』参照 ) 、「やつばり、サプライチェーンは BOM に尽きます よね」などとわけも分からずに言っている人もたまに見かけたりします。いすれにしても、 BOM が生産管理の中心になる重要なテープルであることは間違いありません。それで は、この BOM について説明していきましよう。 0 BOM の呼び方 BOM は一般的には「 B Ⅲ of Materials 」の略称です。「 BOM 」で通じることも多いですが、 製造業の業種によってさまざまな呼ばれ方をしています。 BOM に対応した日本語とし て一番ポピュラーであり、組立加工系でも一般的に使われているのが「部品表」という 呼び方です。 しかしながら、この BOM / 部品表という言い方は部品を使わない業界では通じない ことがあるので注意が必要です。例えば、プロセス系の医薬業界では処方 ( 処方箋の処 方ですね ) 、食品業界ではレシピ ( 3 分間クッキングなどでお馴染み ) と呼ぶことが多い です。プロセス系ではほかに「配合表」という表現もよく使われます。 筆者は、最初に生産管理を手がけたときにこの言葉の違いにぶつかり、「本質的には 同じなのに言葉にこだわるとは、何とつまらないことか・・・・・」と思ったのですが、顧客 の立場に立って考えると、部品を使っていないのに「部品表」などと連呼されるのはや はり気に障るわけです。 業務システムの場合、良いシステムを作るためにはお客様との本音の議論が欠かせな いと思っていますが、議論を思う存分戦わせるためにも、このような配慮が重要だと最 生産管理システムの「モノ」に関わるマスタ情報 23

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0 ・知 BOM のタイプ 図 3 では、組立加工系やプロセス系でもバッチプラント ( 医薬 / 食品 ) などで使 われることが多い、いわゆる A 型と言われる BOM を例にとりました。 一方、製品によっては、ある材料を加工していくことで製品が完成する「出世魚」 のようなー型 ( 素材加工、プリント基板など ) 、プロセスプラントなど原料を精製する ことで 1 つの原料から製品のバリエーションが増えていく V 型 ( 半導体前工程、石 油精製など ) などがあります。タイプにより業務システム内部の処理が異なりますの で、パッケージを選定する場合には、適合性の見極めが重要になります。 生産管理システムの「モノ」に関わるマスタ情報 ・品目マスタ / BOM の応用編 品目マスタ / BOM の応用編として、品目コード / BOM のキー項目に場所を加え ることを考えてみましよう ( 図 1 で場所コードは通常の項目として取り扱っています ) 。 具体的な例を挙げてみます。「 X という製品は A 工場でも作れるし、 B 工場でも作 れる。また、外注の C 社でも作れる」といったことは、製造業では普通にあります。 これに対応するためには、品目の情報を基本情報 ( 例 : 品名 ) と、作る場所に依存す る項目 ( 例 : ロット単位数、リードタイム ) に分ける必要があります。 場所の概念を導入する ( 場所をキー項目にしたテープルを分割する ) ことにより、 BOM の親子の品目の組み合わせに複数のパターンを持たせることが可能になります。 例えば、 A 工場で作る場合はリードタイムが 2 日 / ロットサイズ 100 、 B 工場で作る 場合は遠隔地なのでリードタイムが 3 日 / ロットサイズ 100 、外注の場合はさらに日 数がかかってリードタイムが 5 日 / ロットサイズは 500 などの表現が、品目コードを 変えることなく可能になります。場所の概念がない場合には、上記のようなケースは 品目コードを変える、あるいは枝番を発行するという少々ダサめの対応が必要になり ます ( まったく同しものなのにコードが異なるため現場は混乱します ) 。 0 BOM の項目について 話を BOM に移します。 ( 狭義の ) BOM の役割を簡単に言ってしまうと、「ある品目 を作るために、何がいつまでにどこにどれだけ必要か ? 」を算出するための基本情報と 言うことができます。 27

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ローレベルコードは、この後で説明する MRP 処理の中で「まとめて必要量を計算する」 ときにとても重要な役割を果たします。 図 5 の BOM を登録するときに、中間品 n の子品目として c を登録しようとして、誤っ て m を登録してしまったとします。この場合には、展開処理はループしてしまうことに なります。図 5 を見るとそのことは明らかに思えますが、第 2 章で述べたように、 BOM の処理として BOM に登録されているすべてのレコードをチェックして、ループ関係を だけではループしているかどうかの見極めができません。よって、アプリケー は実際には図 6 のように親子関係だけで構成されているので、このレコード (n → m) ション倶リ 探す必要が生じるわけです。 レベル O レベル 1 レベル 2 レベル 3 a b m n a C ⑧ c ( 誤って登録 ) 図 5 : BOM の例 ( その 2 ) ローレベル 品目マスタ 品目コード 図 6 : BOM B 0 M 親品目コード 子品目コード 使用開始日 使用停止日 基準量 必要量 不良率 工順 要 量 開 を 理 解 75 る す

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0 BOM を理解するための準備 BOM および BOM に関連する所要量計算 (MRP) などのアプリケーションの理解を 助けるために、図 2 、図 3 のような製造プロセス / BOM の例を基にしながら用語の説 明をしていきます。 生産管理システムの「モノ」に関わるマスタ情報 部品倉庫 製品怠庫 d(l) a(l) b(l) c(2) 加工検査 1 -2 m(l) 2-1 組立組立 2-2 組立検査 n(l) 3-1 3-2 加工① 組立② 組立③ 組立⑩ 図 2 : 製造プロセスの例 X(I) 組立③ 組立② 加工① 図 3 : BOM の例 製品 X は、図 2 のように、加工①→組立②→組立③という過程を経て製造されます。 ①、②、③の内部にはそれぞれ図のような「工程」が存在します。工程はある機能や 作業能力を持っている人や機械の集まりを表わします。倉庫から払い出された材料 a は ①に投入され、加工された後、部品 m となります。この部品 m が②に投入され、さら に部品 b 、 c が工程ごとに順次投入され、②を経て中間品 n となります。同様に中間品 n 、 部品 e が③を経て製品 x になります。 こで、これまでなんとなく使ってきた用語を整理してみましよう。「材料」「部ロ」 そしてこの例では出てきませんが「原料」「資材」などはいわゆる購入品で、その材 質や特性、業界などで使い分けられています。中間品とは、この例の m 、 n のような n(l) ( ) 内の数字は数量を表わす d(l) a(l) 25

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このような材料を払い出す場合には、オーダ情報からの払出計画数量以上を払い出す ことになります。また、オーバー分については仕掛勘定に計上することはできません。オー ダがあってはじめて仕掛への計上が許されるので、資材倉庫から払い出されても資産勘 定として管理する必要があります。図 2 は、これに対応するための例です。この図では、 「預け倉庫」という倉庫区分 ( 2 : 資材倉庫 ) の倉庫を用意して、この倉庫に計画外払出 機能でまとめて払い出しています。 「計画外払出」は、製造ラインや外注委託先での破損に対する追加の払出が必要となっ た際にも利用されます。 それでは、払出業務の DB 設計を行なってみましよう。 0 払出業務の DB 設計 払出は、 MRP で作成された「オーダ情報」と「場所マスタ」、および「 BOM 」を参 照して払出計画データとして抽出し、その払出計画データを払出担当者が確認したうえ で実行されることになります。「場所マスタ」は「どこに」払い出すかの情報として必要 になります。これをデータ関連図として図 3 に表わします。 「どこに」払い出すかは払い出す品目自身の情報ではなく、その親の品目の「場所」 であることに注意してください。図 4 の部品構成では、「部品 A 」の払出先は「部品 B 」 の加工作業であり、「部品 C 」の払出先は「製品」の組立作業部署です。そして、この 情報はそれぞれ「部品 B 」「製品」の場所として登録されています。この「親品目」の 情報を取得するために「 BOM 」を参照します。 「オーダ情報」「 BOM 」の関連図を図 5 に表わします。 親品目の場所を取得するため、「 BOM 」の「子品目コード」から「親品目コード」を 通して親の「オーダ情報」を取得し、「場所マスタ」にリンクします。 この「オーダ情報」「場所マスタ」「単価マスタ」からプログラムで作成する「払出計 画」は、テンボラリデータであるために ER 図での表現ができません。その項目と基に なるデータは表 1 のようになります。 「 BOM 」から取得した「エ順」は、この部品を払い出す工程の「エ順」となります。 払出指示機能としては、この払出計画情報を画面に表示させ、最終的な人間の判断を 経て、「払出指示情報を作成する」という流れになります。 140

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オーダ情報 BOM 払出計画作成 在庫管理 ( 受払管理 / 在庫状態 ) を理解する 払出計画 払出指示 払出指示 情報 図 3 : 払出業務のデータ関連図 製品 組立 部品 C 部品 B 加工 部品 A 図 4 : 部品構成の例 オーダ情報 ( 自身 ) オーダ情報 ( 親 ) BOM オーダ NO 親品目コード オーダ NO 品目コード 子品目コード 品目コード 使用開始日 着手予定日 着手予定日 使用可能予定日 使用停止日 使用可能予定日 有効期限 基準料 有効期限 計画数量 必要量 計画数量 場所コード 不良率 場所コード (FK) 工順 図 5 : 「オーダ情報」「場所マスタ」「 BOM 」の関連図 141

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COLUMN MRP と言うと「一昔前の古臭い生産管理」であると決めつける人がいます。また 「 APS と呼ばれる先進的なスケジューリングシステムを使えは MRP は不要」という 主張もたまに耳にします。しかしながら、筆者は「そのような人の頭の中こそ古臭い 固定観念に捉われているのではないか ? 」と思っています。 MRP は本文で述べているように、極めて難しい処理であるため処理に時間がかか ります。特にホストコンピュータの時代 ( あるいは最近でも ) は、処理にまる一昼夜 かかることもざらにありました。そのようなことから、機動力のない古い仕組みと誤 解されていることがあるようです ( あるいは、あまりに処理が難しいため、「実装を 諦めたパッケージべンダや SIer がそのように吹聴しているのではないか ? 」と勘くっ てもいます ) 。 しかしながら、ハードウェアが安価になったこと ( 特にメモリが大量に使用できる ようになったこと ) により、メモリ上に展開して処理することで、現時点ではかなり の高速化が可能になっています。実際に 1 日に何回も、あたかも「オンライン処理の ように」 MRP を使用している例も出てきています。 生産管理の基本である MRP をきちんと勉強することは、依然としてとても重要な ことなのです。 0 MRP の前に これまでは MRP に要求される要件を見てきましたが、こからは MRP の機能を説 明していきます。ますは MRP の前に必要となる処理について説明します。 MRP のトリガーとなるのは「基準生産計画 (MPS) 」ですが、この単位は前章も述べ たように、 1 日 ( 場合によっては 1 日数回 ) から 1 週間程度が普通です。この計画を立 てる単位を「タイムバケット」と呼びます。 図 5 には製品 x 、 Y の BOM が表わされており、 BOM の横に BOM のレベルが表 現されています。ここで重要になる概念が「ローレベルコード」と呼ばれるものです。 共通部品 a は図のように X 、 Y のいろいろなレベルに存在しますが、すべての製品の BOM の一番下位のレベル、この場合には「 3 」が a の「ローレベルコード」になります。 74

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・知識」まめ知識 消費材と生産材 原材料の投入と仕掛品 適用開始日をキー項目に入れる場合、入れない場合 意味あり ? 意味なし ? BOM のタイプ . 品目マスタ / BOM の応用編 . 段取り . 担当者情報と人事情報の分離 仕掛への投入タイミング . 受注生産 ? 見込生産 ? 営業と生産の管理単位 製番管理の場合 注文書の形式 . ロットまとめ 下請法 業務のスルーバス . 有償支給は面倒くさい ? 工程ことに完成実績が必要な場合 預け倉庫からの払い出し . 工程在庫の管理 判定結果 賃率とは 個別原価管理と総合原価管理 生産計画のシミュレーション . リードタイムと引き付け発注 . ロバスト設計 ( デザイン ) とは COLUMN コラム 生産管理は営業と工場の協調のための接着剤 原価管理の精度について . 製造業の品質管理 「人間系」も立派なシステム 生産管理は運用も難しい . スケジューラについて MRP はなぜ重要なのか 需要予測は当たらない ? ・・計画系 " はできるだけシンプルに ! 生産管理はなぜ難しいのか BOM の重要性 . 生産管理はなせ難しいのか 競合だけど共同執筆することになった理由 本書の執筆陣が携わっている生産管理バッケージソフトウェア 「かんばん」と「カンバン」 . 10 . 22 . 27 . 27 . 38 . 39 . 45 . 52 . 58 . 73 . 92 . 94 . 101 . 102 . 129 . 139 . 139 . 161 . 179 . 183 195 . 198 . 200 IX . 202 . 187 . 155 . 124 . 83 . 74 . 53 . 37 . 24 . 20 . 14 . 13