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検索対象: 舊漢字 : 書いて、覺えて、樂しめて
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1. 舊漢字 : 書いて、覺えて、樂しめて

【音】チュウ ( チウ ) 蟲 ( 虫 ) 【訓】むし 【語】今年は蟲害で不作だ一寸の蟲にも五分の魂蟲の居所が悪い 好き好き泣き蟲娘に蟲がついたやうだ 【蘊】「虫」は古くから「蟲」の略字として使はれてゐた。新字はそれによる。ただもとも と「虫」は「まむし」の意味のやうだ。三つ重ねて「蟲 , となると多くの小さな生き 物、ひいてはむしの意味になる。 【例文】島木健作『ジガ蜂』昭和十九年 蓼喰ふ蟲も 179

2. 舊漢字 : 書いて、覺えて、樂しめて

【音】オウ 歐 ( 欧 ) 【訓】はく 【語】歐洲自由貿易聯合歐羅巴 【蘊蓄】訓として「はく ( 吐く ) 」を擧げた。「歐吐」といふ熟語もある。ただ日本では「吐 く」の意味では「嘔」の字だけを使ふのではないか。「歐ーは歐洲の意味ですっかり 定着してゐる。「歐吐 . では奇異な感じがする。だが「嘔」の字は常用漢字にない すると「歐吐」とするのがわが國語政策といふことになるか 【例文】小泉信三『私とマルクシズム』昭和二十五年 北宋の文人政治家歐陽脩

3. 舊漢字 : 書いて、覺えて、樂しめて

處 ( 処 ) 【音】シ「 【訓】ところをり ( 居 ) おく ( 置 ) 【語】處處啼鳥を聞く處女地を開拓する處分する何處 ( どこ 處 ( ここ ) 出處進退 【蘊蓄】新字となった「処」は「處」の古代の原字だが、後世、俗字と見なされるやうになっ たものだといふ。 「處女ーとは、家に「居る」女の意味。そこで未婚の女性の意となる。 「處」には決めて事を行ふ意味もあって「處分」「處刑」などの熟語ができる。 【例文】『孫子』 まうかうわんしゅんげう 孟浩然「春曉」 ・いづこ ) 此 117

4. 舊漢字 : 書いて、覺えて、樂しめて

【音】サン 蠶 ( 蚕 ) 【訓】かひこ 【語】蠶絲生産養蠶業 【蘊蓄】蠶の俗字體が「蚕。で、常用漢字の新字はそれをとったものだが、もともと「蚕ーと いふ正字があって「みみずーの意味だといふ。ただ日本ではその意味で使ふ例はなさ さうだ。だから我が國の書物に「蚕」とあれば蠶のこと。「かひこ」は「飼ひこ。で あって元來「こ」だから蠶の字は「こ」とも讀む。 【例文】横井也有『鶉衣』石田元季校訂 注・「ふ物すきーⅡ人が嫌ふものを好むこと。またその人。 もの てん

5. 舊漢字 : 書いて、覺えて、樂しめて

リ【訓】わたるひさしいや ・ひほ・つさ′、 いっときの彌縫策を弄するモーツアルトの「戴冠彌撒曲ー彌勒 【語】阿彌陀様 ぼさっ やよひ 菩薩彌生式土器皇室の彌榮を祈るさくらさくら彌生の空に 【蘊蓄】「彌には「いよいよ」「ますます」の意味があるが、その意味の國語の古い言葉に 「いや」がある。「いや增す」「いや榮ーなどの「いや」。「いやおひ」が轉じて「彌生」 やしち となる。語頭の「いは脱落することがあって「や」。そこで人名などでは「彌七ー やはち やヘゑ 「彌八」だの「彌兵衞」「彌次郎兵衞ーなどとなる。光彌さん、徹彌さんなど人名には 多い。作家野上彌生子は「やえこ」。 【例文】「北海道大學惠迪寮寮歌」明治四十五年 いやさか さか ミサ みろく 2 ーー

6. 舊漢字 : 書いて、覺えて、樂しめて

【音】シャ 寫 ( 写 ) 【訓】うっすうつる 【語】寫眞を撮る寫實主義の作家フローベール寫生文を提唱した正岡子規筆寫 する摸寫する 【蘊蓄】新字「写」は「寫」の俗字の省略形によるもの。〔與〕の項參照。 ところで、〔語〕に擧げた「摸寫」の「摸。の字は「うっす・さぐるーの意味の字で、 「摸倣ー「摸寫」「摸索」などと使ふ。漢字制限以後この字は「模」で代用されること が多くなり、模倣、模索などとよく表記される ( 實態は新字體の「模ーで ) 。しかし 、。「模の字は訓は「か これでは「うっすーとか「さぐる」とかの意味にはならなし た」で「模型ー「模範」「模様ーと使ふのが本來。 【例文】坪内逍遙『小説髓』明治十八年 ー 09

7. 舊漢字 : 書いて、覺えて、樂しめて

【音】トウ ( タウ ) 當 ( 当 ) 【訓】あたるまさに : 當日は朝から外出してゐた 【語】選擧で當選する當時の事情はよくわからない 坪内逍遙作『當世書生氣質』正當な理由當然 ( マサに然るペシ ) 【蘊蓄】「當」の字は、「尚」と「田」とから成る。「尚」の意味は辭書によって説明がいろい ろだが、 「ねがふ ( 願 ) ーとか「みあふ・相當する」の意味のやうだ。そこで「あた る」の意となるといふ。 「当」は省略形の俗字による。 たいま たいまのけはや 「當麻」は奈良縣の地名。「當麻蹴速」は相撲の祖とされる傳説的人物 たぎの 「當藝野ーは『古事記』ほかに見える地名 ( 岐阜縣 ) 。 【例文】『太平記』卷第十九 あざむか 注・原文はカタカナ。「欺ん事」とあるのは「あざけられること」の意。

8. 舊漢字 : 書いて、覺えて、樂しめて

【音】レン 。戀 ( 恋 ) 【訓】こふこひし 【語】戀愛結婚戀慕する母を戀ふる記 【蘊】上部の音符は痙攣の「攣」などの字を作って「ひく」の意 ( 他の説もある ) 。心がひ かれる意を表す。この字の覺え方として、「いとし、いとしと言ふ心」といふ。「糸し 糸しと言ふ心」といふわけ。新字は「亦 ( また ) 」 に「心」。もちろん俗字による。 國學者村田了阿の『了阿遺書』にこんなメモが出てゐる。 恋といふ文字のつくりの糸なればしたの心のくるしかるらん 全く意味不明だ。「恋」の字には「糸」なんか見えない。實はこれは「戀」の字につ いての覺え歌だ。それを中央公論社は新字にして出した。結果は、了阿が意味不明の ことを言ったことになった。字形につき、「變」の項參照。 【例文】小野小町「古今集』卷十一一 注・寫本では「こひしきとき」と假名書きが多いやうだ。 247

9. 舊漢字 : 書いて、覺えて、樂しめて

【音】キョコ 虞 ( 処 ) 孑孑【訓】よるよりどころよんどころ 前進の據點を確保する主張の根據を明らかにする證據を示す信仰を心の よりどころよ 據 ( 據り所 ) とする 【蘊蓄】「よんどころ」は「よりどころーの音便で、同じ意味と言へるが、「よんどころ」は、 「よんどころなし」という成語で使ふのが一般。 【例文】トルストイ『クロイツェル・ソナタ』中村白葉譯

10. 舊漢字 : 書いて、覺えて、樂しめて

【語】聽力を檢査する難聽の氣味がある訴へを聽取するテレビの視聽率傾 聽に値する意見ご靜聽ありがた、つ聽許する ( ゆるす ) 。「壬 . は突き出す意。結局、 【蘊】「耳」と「悳」と「壬」とから成る。「悳」は正しい心 耳を突き出して眞っ直ぐな心でよく聽く、といふ意味になる。縣廳の廳は新字「庁」 となってゐるが、まさか聽を丁とするわけにはい、 【例文】カフカ『變身』高橋義孝譯 183