トエラ・コンプリカタ ( ミききミ a) と命名した。さらに杉山先生のグループは 18S rRNA お の塩基配列からサイトエラ属がタフリナ属 ( こき ) と近縁であり、子嚢菌系酵母とも担子菌系酵 母とも異なる系統の菌類であることを明らかにし、この菌類を古生子嚢菌と呼ぶことを提唱している。 ロポソーム r-Z< の塩基配列から系統的な位置が明らかになり、 ロドスポリデイウム属から独立したコンドア属 1 ロドスポリデイウム・マルヴィネルムーコンドア・マルヴィネラ 近年、リポソーム z <t (rRNA) の塩基配列が微生物の進化関係を知るパラメターとなることが 明らかになり、広範な研究が報告されている。ロドトルラ属の有性時代として、ロドスポリデイウム 属、シストフイロ。ハシデイウム属が見出されてきたことはすでに述べた。一九七〇年、アメリカの フェルは、南太平洋およびインド洋の海水より担子菌系酵母を分離し、その一つをロドスポリデイウ ム・マルヴィネルム ( R 、 0 ミミミミミぎミきミ ) と命名した。その無性時代がロドトルラ・グ ラミニス ( R ぎ 7 g きミぎ ) と考えられた時期もあったが、両者の QZ< の塩基組成があまり にも違うのでわれわれはその関係に否定的であった。一九八九年山田雄三先生はキノン系が Q-9 で あるロドスポリデイウム属、ロイコスポリデイウム属の系統関係を 18S rRNA および 26S rRNA の部分塩基配列から研究し、ロドスポリデイウム・マルヴィネルムはロドスポリデイウム・トルロイ デス、ロイコス。ホリデイウム・スコッチなどと著しく離れているので、コンドア ( K ミミ 00 ) という
ーウインクラーらはロドスポリデイウ ッムであることを確認した。なお、一九八二年ドイツのオー ム・カ。ヒテイタム ( 、 ~ 040 ミ、ミきき c 7 ミミミ ) 、ロドスポリデイウム・ビスポリデイイス (Rhodos ・ 、ミミきミ b ミミ ) をテリオスボアーの特徴からシストフイロバシデイウム ( 0 気 0 b 房ミき ) という新属に所属させた。この属の種は細胞壁にキシロースを有し、キノン系が Q-8 であり、イノ シトールを資化し、澱粉様物質を生成する特徴がある。ロドスポリデイウム・インフィルモミニアッ ムはこれらの性状を有していたので、一九八八年われわれはこの種をシストフイロバシデイウムに移 し、シストフイロ、、ハシデイウム・インフィルモミニアッム ( C s ミ 270b ~ きミ il ヾミミミゞきミ ) と 究 命名した。 研 の 母 化学分類学的データ、リポソームの塩基配列などから 属 新しい菌類、古生子嚢菌の発見となったロドトルラ属の種 1 ロドトルラ・グルティニスーサイトエラ・コンプリカタ 一九七〇年、山梨大学の後藤昭二先生と東京大学の杉山純多先生はヒマラヤの土壌から二株の酵母る を分離し、ロドトルラ・グルティニスと同定した。その後、われわれは酵素の電気泳動パターン、駆 Z の塩基組成 ( 五〇・九ー五一・五 % 、 *-Ä 0 法五二・九 % ) 、ユビキノン系 ()- 10 ) 、細胞壁の 界 世 糖組成 ( キシロースを含まない ) 、反応 ( 陰性 ) 、さらに Z < 類似度からロドトルラ・グル ティ = スではないと結論し、一九八七年新属サイトエラ属 ( S 斗 0 ミ a ) を設け、これらの菌株をサイ〃
び直水より赤色酵母を分離し、ロドスポリデイウム・トルロイデスと異なるロドスポリデイウム ディオポヴァッムという種を報告した。われわれは、ロドスポリデイウム・ディオポヴァッムの菌株 の 0 含量は約六七 % であるから、 Nakase 年 Komagata のグルー。ヒングによるグループ 1 の O 含量はこれに相当し、グ ループ 1 の菌株はロドスポリデイウム・ディオポヴァッムの無性時代ではな いかと考えていた。山田雄三先生もキノンの点から同じように考えていた。しかし、当時研究した菌 株の中には該当するものがなかった。その後、われわれは一九八一年、酵素の電気泳動。ハターンの 比較から、 R 04 ミ 0 ミぶ g き、き var. glutinis YK104 がロドスポリデイウム・ディオポヴァッムと 同じ。ハターンを示すことから、接合試験を行なったところ、この菌株がロドス。ホリデイウム・ディオ究 ポヴァッムの接合型であることを認めた。さらに、一九八四年若干の酵素の泳動パターンが異なるの R 0 ミぶミミ ip イ K さ 8 が CO 含量とキノンが同じであることに注目して、接合試験を行なっ酵 たところ、ロドスポリデイウム・ディオポヴァッムの接合型であることを認めた。したがって、当 初われわれ、および山田先生が推定したように、 Nakase 年 Komagata のグループ 1 のロドトルラ・ る グルティニスはロドス。ホリデイウム・ディオポヴァッムの無性時代と考えられる。 け 先 界 世 3 化学分類学的データとセルフースポルレイションから独立したロドトルラ属の種 1 セルフースポルレイティングのロドスポリデイウム・クラトキヴィロヴァ工の創設
ロドスポリデイウム・トルロイデスは接合型の異なる菌株は接合し、特有のテリオスボアーを形成 する。しかし、この種に同定されていた菌株の中に、接合をともなわずに、テリオスボアーを形成す るものがある。これを self-sporulating というが、適当な訳語がないので、ここではそのまま用い ることとする。ロドトルラ属およびロドスポリデイウム属の酵素の電気泳動。ハターンから、われわれ は self-sporulating のロドスポリデイウム・トルロイデスと同定されていた菌株が、接合型を有す るロドス。ホリデイウム・トルロイデスの菌株と異なることを見出した。 さらに、これらの菌株は 0 含量が約六四・五 % 、キノンが Q ー 10 であり、ロドスポリデイウム・ トルロイデスおよびその他のロドスポリデイウム属の種とは Z <t の類似度がきわめて低いので、 新種と認め、一九八八年スロパキアの著名な酵母の分類学者、アンナ・ココヴァークラトキヴィロ ヴァ博士を記念してロドスポリデイウム・クラトキヴィロヴァ工 ( R 、 0 0 きミ kl 、ミ 0 ~ に 7 をミ ) と命名した。 2 ロドトルラ・ラクトザーエリスロバシデイウム・ハセガウィアヌム 長谷川武治先生が広い範囲のロドトルラ属についてその分類学的研究をしたことはすでに述べた。 先生はその一連の研究の中で、一九五六年、乳糖を資化する三菌株をロドトルラ・ラクトザ ( Rh ・ 、 0 ミぶミ 0 ) と命名した。一九七二年、われわれは、そのうちの IFO 1058 は他の二株と Z << の塩基組成が異なり、また一九七三年山田先生はユビキノンが Q ー 10 (H2) であると報告した。一 九七三年当時、このようなキノンをもつものはこの菌株のみであった。そこで、一九八三年、われわ 〃 4
る種は互いに異なる。ハターンを示した。そこでロドトルラ属の菌株にロドスポリデイウム属と同じ。ハ ターンがないかと探したところ、 R20 、 7 、ミミ var. 、 7 き、 YK117 がロドス。ホリデイウム トルロイデスと同じパターンを示したので、接合試験を行なったところ、接合型であることを確認 した。さらにロドスポリデイウム属に属する石油資化性酵母についても同様な実験を行なったところ 供試した四株が四株ともロドスポリデイウム・トルロイデスの接合型であった。以上のことから Nakase Komagata のグルー。ヒングによるグループ 2 のロドトルラ・グルティニスはロドスポリ デイウム・トルロイデスの無性時代と考えられる。 2 ロドトルラ・グルティニス・サリナリアーロドスポリデイウム・スファェロカルプム R ぎざミミミ var. 新ミ斗は大阪市立大学の高田英夫先生が塩田より分離した好塩性の 酵母である。この酵母はロドスポリデイウム・スファェロカルプム ( R 、 0 もミミきミも e き、・ ミ ) と同じ酵素の電気泳動。ハターンを示したことから、接合試験を行なったところ、この種の接合 型であった。ロドスポリデイウム・スファェロカルプムは OO 含量が約六五 % 、キノンが Q ー 10 で あるが、同じキノンを有するロドスポリデイウム・ディオポヴァッム ( R 、 0 ミ 7 ・ミミミミ 0b0 ~ ミ・ ミき ) とは酵素の電気泳動。ハターンが異なっている。 3 ロドトルラ・グルティニス・グルティニスーロドスポリデイム・ディオポヴァッム アメリカのフェルは、色素をつくらない担子菌系酵母を研究し、坂野博士に続いてロイコスポリ デイウム ( ト e ミ os をミ ~ 、ミ ) という属を発表した。一九七〇年彼は、また、南フロリダの海水およ 〃 2
ティニスに含めた。しかし、一九六四年長谷川武治先生はトルラ・インフィルモミニアタをロドトル ラ属の独立した種と認め、ロドトルラ・インフィルモミニアタ ( R ぎざミぎこざ↓ここミ ) と ーンらは、この種の菌株がビオチン いう新しい組み合わせを提案した。一九六八年アメリカのエイハ の要求性、澱粉様物質の生成、イノシトールの資化性から、ロドトルラ属ともクリプトコッカス属 ( 0 、 ococc ) とも異なるのではないかと指摘した。一九七二年、われわれは、この種が Z の 塩基組成からロドトルラ属のグループ 1 に含まれるが、クリ。フトコックス属よりかなり高い Z の ロドトルラ・インフィルモミニアタのキノン系は Q-8 で 塩基組成を示すことを報告した。さらに、 あり、 Q-9 または Q ー 10 をもっロドトルラ属の種とも異なっていた。その後、一九七三年にアメリ 力のフェルらはこの種の有性時代を見出し、これをロドスポリデイウム・インフィルモミニアッム ー編集の ( R ぎミミミ i1 ミ、ミ 0 ーミき ~ ミミこと命名した (Z ・・ ・クレガーーヴァン・リ 『 The Yeasts, A Taxonomic Study, third revised and enlarged edition 1984 』ではこざミ こミミミとなっている ) 。一方、一九七四年ロドトルラ・シネンシス ( R20 、 0 ミ s s ) という酵 母が中国の罹病梨より分離された。一九八七年われわれは、この酵母が酵素の電気泳動度の数値分類 的な解析、 Q z の塩基組成、キノン系からロドスポリデイウム・インフィルモミニアタと近い関係 にあると考えていたが、この種の菌株はロドスポリデイウム・インフィルモミニアタのいすれの交配 型とも交配しなかった。しかし、ロドトルラ・シネンシスはロドスポリデイウム・インフィルモミニ アッムとの Z 類似度が七五ー九九 % と高く、この種がロドスポリデイウム・インフィルモミニア 〃 6
年 Komagata のグルービング ) 。そして、われわれが興味をもったのはロドトルラ・グルティニス ループ 1 、 2 、 3 の三つのグループに分布していたことである。このことは、 に含まれる菌株が、グ 同じ種に同定されていた菌株がのレベルで異なる集団に属していることを意味し、微生物を分 子のレベルでみようという化学分類学の考えと表現形質によるロドトルラ属の種の同定が矛盾するこ とになる。一九七三年、静岡大学の山田先生は R 、 0 、 0 ミミミ ~ s var. 、 7 ミ、き ( ロドトルラ・グ ルティニスの変種ミきであることを意味する ) に属する菌株とロドスポリデイウム・トルロイデ スに属する菌株がの塩基組成とキノン系が類似していることに注目し、 R 、 0 、 0 ミミミ ~ こ var. 、 7 ミ RJ5 とロドスポリデイウム・トルロイデスの交配型と交配を試みた。その結果、この菌究 の 株はロドス。ホリデイウム・トルロイデスの交配型 <t と交配し、テリオスボアーを形成したことから、 母 R20 、 0 ミぶミミ var. ミミ、き RJ5 はロドスポリデイウム・トルロイデスの交配型であること 属 が明らかになった。これは、化学分類学性状から有性時代を推定し、交配により有性時代を確認した 世界ではじめての例である。 その後、一九八一年われわれは、ロドトルラ属とロドスポリデイウム属に属する一〇八株についてる 酵素の電気泳動。 ( ターンを比較した。用いた酵素は、主として糖代謝にかかわる fructose-l, 6-bis- 駆 phosphate aldolase 、 6-phosphogluconate dehydrogenase 、 malate dehydrogenase 、 hexokinase 、 界 世 phosphoglucomutase 、 glucose-6-phosphate dehydrogenase および glutamate dehydrogenase で ある。その結果、ロドスポリデイウム属の種のそれそれの接合型は同一の酵素。 ( ターンを示し、異な川
細胞質融合 交配型 4 出芽 交配型月 色 G) 一倍体 酵母 出芽 ニ核体菌糸 ニ倍体 酵母 出芽 、減数分裂の おこらない場合 核融合 ニ倍体 単核体の ・休眠胞子 一倍体の スポリデイウム 芽 減数分裂 は UstiIaginaceae の既知の属と異なるので、新属ロド スポリデイウム ( R s をミミミ ) を設け、有性時代 の明らかになった種をロドスポリデイウム・トルロイデ ス ( R ぎもミミきミき、、ミ 0 ミ es ) と命名した。なお、 IFO 0559 を交配型 < とし、 IFO 0880 を交配型とし 芽舌 そこで、酵母の中にキノコと親戚の酵母があるという わけである。このような酵母を担子菌系酵母という。こ究 らウ かイ 体デ の研究を契機にロドトルラ属のいくつかの種の有性時代の 菌ャが発見され、また、ロドトルラ属以外の担子菌系酵母の酵 Ⅷ分類学的研究が活発に行なわれるようになった。現在で は、ロドスポリデイウム・トルロイデスは 18S rRNA の研究から Urediniomycetes に属すると考えられてい る。酵母の中には有性時代の明らかでない種も多いので、駆 有性時代の発見は酵母の研究者にとって興味ある研究課 題の一つである。また、奥貫先生が分離したトルラ・コ イシカワエンシスはロドスポリデイウム・トルロイデス
新属を設け、ロドスポリデイウム・マルヴィネルムをコンドア・マルヴィネラ ( K ミミきミミ ~ ~ ミぶ ) と命名した。また、一九九四年杉山純多先生のグループは、 18S rRNA の全塩基配列に基づく担子 菌系酵母の系統を研究し、コンドア・マルヴィネラはロドス。ホリデイウム・トルロイデスから独立し ていることを報告した。 むすび ロドトルラ属は赤色色素をつくる以外に取り立てていうことのない酵母である。しかし、この一群究 の酵母の生物学的研究は、斎藤賢道先生、奥貫一男先生、長谷川武治先生からわが国の研究者に受けの 継がれてきた。また、順天堂大学の土屋毅先生の膨大な酵母の血清学的研究もわが国の研究者が誇り とする研究である。その中でも、ロドトルラ属は独立した一群となっている。そして、坂野勲博士の ロドトルラ属の有性時代ロドスポリデイウム属の発見が契機となり、化学分類学、系統分類学が導入 され、この一群の酵母の分類学的研究が華々しく発展した。ロドトルラ属と同定されていた菌株からる 有性時代が見出され、新しい情報に基づき新属が創設され、さらに rRNA の情報を基に担子菌酵母駆 の系統的関係も次第に明らかにされている。担子菌系酵母にはロドトルラ属以外にも多くの酵母が知 界 世 られており、理化学研究所の中瀬崇博士とそのグループによる射出胞子形成酵母の研究はよく知られ ている。また、福井作造先生の接合型が異なるロドスポリデイウム・トルロイデスの菌株がホルモン襯
れはこの菌株をロドトルラ属の新種と認めて、ロドトルラ・ ハセガワ工 ( R20 、 0 ミ hasegawae) と命名した。その後、この酵母は酵素の電気泳動。ハターンからも既知のロドトルラ属の種と異なるこ とが認められた。さらに、単一細胞から菌糸が成長し、その先端に担子器様の構造が見られ、かすが い連結も観察された。 IFO 1058 の担子器などの形態学的特徴は Filobasidiaceae の菌に類似して おり、一方、生理学的および化学分類学的性状はテリオスボアー形成酵母 ( ロドスポリデイウム属な ど ) の特徴を有するユニークな酵母であった。このことから、一九八八年われわれは、この酵母は接 合型が認められない self-sporulating であるがロドスポリデイウム有性時代をもつものと考え、エ リスロ。ハシデイウム ( セガワ工 ( E きき b ミ it 、ミ eg ミ ( ミ e ) と命名した。 , 冫 後こ、この種の種形究 の 容語は命名規約にしたがって seg ミ ( ミ、きと訂正された。さらに、 18S rRNA の塩基配列から、 母 エリスロ。ハシデイウム セガウィアヌムはロドスポリデイウム・トルロイデス、ロイコスポリディ 属 ウム・スコッチ ( トミ、きミミ scottii) と系統的に近縁であることが示されている。 る 菌糸の接合は見られなかったが化学分類学的データにより け 有性時代が推定されたロドトルラ属の種 先 1 ロドトルラ・シネンシスーシストフイロバシデイウム・インフィルモミニアッム 界 世 すでに述べたように、奥貫一男先生は一九三一年に空気中の酵母を分離し、新種としてトルラ・イ 5 ンフィルモミニアタを報告した。その後、一九三四年オランダのロダーはこれをロドトルラ・グル