10 微生物学の一里塚 によって大学生にわかりやすく説明でぎる段階には至っていない . しかし , この分野の重要な研究の多くを集めた 2 冊の論文集がある . レダ (Lederberg ) の "Papers ⅲ Microbial Genetics" とビータース (Peters) の "Classic papers in Genetics" である . それらは , 実際的な問題からはじまった初期の徴生物遺伝学を明らかにす る目的で選ばれた論文集である . 今日 , 微生物学は遂にその実用面とは別に 独立した学問として存在する真の生物科学となりつつある . また , 細菌が多 くの細胞生命の過程を研究するために , おそらく最も便利な生物であること も明らかになってきた . 見通しは , 明るく希望に満ちている . もし , 純粋に 実用的な基盤上にのみ構築されたものであれば , いかなる科学も成功しない であろう . 今から 100 年後に , 徴生物学の一里塚と題して再び新しい論文集 がっくられるとすれば , 徴生物学の基礎的研究の多くが収録され , さらに徴 生物学の成熟期の実相が明らかにされるであろう .
286 徴生物学の一里塚 療に有効であった . ウッズの論文は , 徴生物および医学の広い分野に影響を及ぼした . ェール リッヒ (Ehrlich) の論文 ( p ・ 239 ) を読み , 彼が化学療法の概念を生み出し て以来 , それがどのように進歩してきたかをみることは興味深いところで ある . ( 訳 : 西村 )
微生物学の一里塚 藤野恒三郎監訳 日本防菌防黴学会翻訳委員会訳 作記 and 記″記 THOMAS D. BROCK Ph. D. MiIestones ⅲ Micr0bi010gy 近代出版 1980
iV をえなかったのである . 100 年後には , 現代の研究の歴史的展望が実証され て , まったく異なった性格の " 一里塚 " が編集されることであろう . しかし 現在のところ医学偏重となってしまった . この本の大部分は , 私がオ , 、イオ州 , クリープランドの western Reserve University に在職中に書いたものである . 妻 , ルイーズ (Louise Brock ) の タイビスト兼編集者としての助力がなければ完成できなかったと思われる . Thomas D. Brock
232 徴生物学の一里塚 0 を 噐ー翡鬚“ - 驫 . ■・ 108 500 16 liter 32 liter 64 liter 128 liter 256 liter ( 2.9 ) ( 4.9 ) ( 83 ) 15.0 ( 乢の 75 5.1 2.8 ( 2.6 ) ( 4.4 ) ( 7.5 ) 11.7 ( 12 の 22.6 ( 212 ) 8.8 4.6 2 ユ T.. XBLE 60 250 3.9 ( 4. の 6.9 ( 6.9 ) 12.7 ( 11.7 ) 184 ( 19.8 ) 335 ( 33.6 ) 5.6 ( 5.9 ) 9.6 ( 9.9 ) 16.8 ( 16.9 ) 26.8 ( 28.7 ) 56.2 (48.9 ) 100 50 ( 6.9 ) ( 11.7 ) 19.4 ( 19.7 ) 31.1 ( 33 の 66.0 ( 57.2 ) 113 6.8 上山ぶ , 新地 : リ 20 8.1 ( 8. の 134 ( 13.6 ) 22.7 ( 23.1 ) 36.0 ( 393 ) 74.9 ( 66.7 ) [ This table gives observe d values' ち in minutes. ] 、 vith the calculated values in parentheses Of the
生物学の一里隊 ン 4 = 0 0 ミ一一す 0 0 rogy & 圧 by THOMAS BROCK 。 4 、ゝトミ 4 く 2 ーゝ 4 ャ 4 、区、ャて 4 ロトゝミトゝ爪ミ 6 8 四 9 950 。亠 微生物学の一里塚 藤野恒三郎監訳 日本防菌防黴学会翻訳委員会訳 近代出版 近代出版 定価幻 472 円 ( 本体 2 , 400 円・税 72 円 ) 工 SBN4 ー 87402 ー 451 ー 5 C1040 P2472E
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296 徴生物学の一里塚 と考えられたにすぎない . ここで , コーンがいくつかの細菌の族と属を説明 しようと試みたことは , 未熟ではあったがのちの展開への手がかりになっ 細菌分類学の問題は , 今日に至ってもなお解決されていない . Bergey's Manual of Determinative Bacteriology に示されるように , 現在の細菌分 類学は , 細菌間の遺伝子組みかえは起こらないという仮定のもとに考案さ れ , 厳密に人工的な分類によっている . 現在では遺伝子の組みかえが起こる ことがわかったので , 将来の分類学の研究はこの点を考慮しなければならな い . このようなわけで , " 細菌は性によらず , 植物的増殖法によってのみ増 殖するので , 細菌の遺伝子は高等植物や動物の遺伝子と同じ意味をもたな い " というコーンの反論は , いつか正当でなくなるであろう . ( 訳 : 神野 )
3j2 徴生物学の一里塚 TABLE II. DISSIMILATORY PROCESSES OF SOME IMPORTANT GROUPS 0 MICRO-ORGANISMS Fermentative dissimilatory processes Oxidative dissimilatory p 「 autotrophic bacteria aceuc acid bacteria yeastS , llllllitllllllllllll lactic acid bacteria anaerobic cellulose decomposing bacteria butyric acid bacteria anaerobic protem fermenting bactena lllllllllll coliform bacteria IIIIIIIIIIIIIIIIIIII aerobic 3 【ど brming bacteria ⅢⅧ間第Ⅲ川 bacteria 0 「 the Proteus group 代 a splitting bacteria IIIIIIIIIIIIIIIIIII! Pseudomonas Micrococcus Sarcina ・ Spirillum Vibrio Mycobacterium ? methane bacteria carbohydrates and sugaralcohols 靆Ⅲ川Ⅲ川川 denitTifying bacteria sulfate reducing bacteria organic substances salts 0 「 organic acid inorgamc
34 微生物学の一里塚 てシ = ワンの研究の大部分が確認された . 彼らが同時に同じ観察をしたの は , カニャル・ドウ・ラ・トゥールが述べたように , 性能のよい顕徴鏡がで きたおかげであることに注目すべきである . 酵母細胞は , 動物や植物細胞に 比べると非常に小さいので , 細胞を厳密に識別するには少なくとも 400 倍の 倍率が必要であったはずである . カニャル・ドウ・ラ・トゥールが酵母細胞 と凝固した卵白アルプミンの小球状体とを鑑別することができたのは , この 高倍率顕微鏡を用いることができたからである . 酵母の生理学的性状に関して , 著者は興味深い研究を行っている . 酵母が 嫌気的条件のもとでも増殖できる能力をもっことと凍結と乾燥によく耐える 能力をもっことは , 今日よく知られていることである . 病原微生物を含め て , 他の多くの徴生物もこの性質をもっている . この論文および , これに先立つシ = ワンの論文によって , ヘンレによる初 期の病気の微生物病原説が支持されたのである ( p. 105 参照 ). ( 訳 : 芝崎 )