やって来 - みる会図書館


検索対象: 能楽手帖
62件見つかりました。

1. 能楽手帖

ー作者 、、トスノ、さフ、、、ら 四番目物 世阿弥 西行桜 ・素材 【あらすじ】京都西山にある庵室には、老木の桜が今は盛りと咲いています。西 の、つり」 西行の「花見んと」の歌 ( 「玉葉集」 行は、一人心静かに花を楽しもっと、今年は花見禁制にする由を能力に伝え、そ『山家 ) の事を触れさせます。そこへ、ここかしこと花の名所を訪ねて、春の日を送って・人物 いる下京辺の人々が、西行の庵の桜が盛りと聞いて、やって来ます。西行は、煩ワキ・・・・西行法師 ( 角帽子、水衣、白 大口 ) わしくは思いますが、花を愛する気持を汲んで断りかね、柴垣の戸を開けて一行 アイー、西行庵の能力 ( 能力頭巾、縷 を請じ入れます。しかし浮世を離れて花を眺めたいと思っている西行にとっては、水衣、、脚半 ) 俗の花見客が大勢やってくるのは、やはり迷惑です。そして思わず「花見んと群ワキツレ・・・・ ~ 覧の人 ( 素袍上下 ) シテー茗桜の精 ( 面皺尉、白垂、風 れつつ人の来るのみぞ、あたら桜の咎にはありける」と口ずさみますが、花見の め 折鳥帽子、単狩衣、萌黄大口 ) 人達と共に花を愛で仮寝をします。その夜、西行の夢の中に、老木から白髪の老 ■明 翁が現れて、西行の先刻の歌の心を問いただし、桜は非情無心の草木であるから、 洛外西山、勝持寺 ( 花の寺 ) ( 現・ 浮世の咎はないのだといいます。そして自分は桜の精だと名乗り、歌仙西行に逢京都市西京区大原野南春日町 ) えたことを喜び、名所の桜を讃えて舞をまい、春の夜を楽しみますが、やがて夜 が明けると、老桜の精は別れを告げて消え失せ、西行の夢も覚めます。あたりは ■演能時間 一面に敷きつめたよ、つに落花が散り、人影もありません。 一一時間 【みどころ】西行の歌に想を得て、桜の美しさを描いた能です。ただ、桜の花の第小書

2. 能楽手帖

■作者 うねめ 世阿弥 三番目物 【あらすじ】諸国をまわって歩いている旅僧が、京都の寺々もほほ見終ったので 「大觴 大置へやって来ます。そして、春日の里につき、春日明神へ参詣します。すると■人物 そこへ一人の女性がやって来て、木を植えます。僧が不審に思って一一一一口葉を掛けるワキ・・・・・ , 旅僧 ( 角帽子、経水衣、小格 と、その女性は、春日の神の由来、木を植えることの理由などを、詳しく述べま子厚板、白大口、着流僧にも ) ワキツレー従僧 ( 角帽子、縷水衣、 す。続いてその女性は、旅僧を猿沢の池に案内し、帝の寵愛を失った采女が、こ 無地熨斗目、白大口、着流僧にも ) こに入水したという物語をし、実は自分はその一米女の幽霊だと告げて、池の底に前シテー里女〈化身〉 ( 面若女また は小面、紅入織 ) 姿を消します。〈中入〉旅僧は不思議な思いで、丁度やって来た土地の人に、もっ 一度春日の社の縁起と采女の死のことを尋ねます。里人も旅僧が会ったという女アイ , 春日の里の者 ( 狂一一長上下 ) え後シテ亠米女の霊 ( 面若女または小 性の話を聞き、それは采女の亡霊だから、弔ってやるように勧めます。旅僧が回 面、長絹、緋大口 ) 向をしていると、采女の亡霊が現れ、弔いを受けたことを喜び、仏教説話にある へんじようなんし ように自分も変成男十となり、成仏して極楽に生れたことを述べます。続いて采大和国、春日 ( 現・本嗄美路猿 女というものが、いかに人の心を和ませるのに役立ったかを語り、宮廷の酒宴の沢の池 ) 場で興を添えたときのことを思い起こして、舞をまいます。そして、御代を祝福 春、旧暦四月 しつつ、ふたたび池の中へんて行きます。 ■演能時間 【みどころ】帝の寵を失って自殺した采女伝説が主題ですが、それに春日の一時間四 + 分 なご

3. 能楽手帖

まつむし 四番目物 松虫 第素材 【あらすじ】摂津国 ( 大阪府 ) 阿倍野の辺りに住み、市に出て酒を売っている男 がいました。そこへ毎日のように、若い男が友達と連れ立って来て、酒宴をして■人物 帰ります。今日もその男たちがやって来たので、酒売りは、月の出るまで帰らぬワキー酒売 ( 素袍上下 ) 前シテーー市人〈化身〉 ( 直面、経水 ように引き止めます。男たちは、酒をくみかわし、白楽天の詩を吟じ、この市で 衣、白大口 ) 得た友情をたたえます。その言葉の中で「松虫の音に友を偲ぶ」といったので、 ツレ、、・・市人数人 ( 直面、縷衣、白 その訳をたすねます。すると一人の男が、次のような物語りをはじめます。 大口 ) 昔、この阿倍野の原を連れ立って歩いている一一人の若者がありました。その一人アイー所の者 ( 長上下 ) 後、ンテー勇の亡霊 ( 面三日月または が、松虫の声に魅せられて、草むらの中へ分けいったまま帰って来ません。そこ 阿波男、法被、半切 ) でいま一人の男がさがしにゆくと、先の男が草の上で死んでいました。死ぬ時は 一緒にと思っていた男は、泣く泣く友の死骸を土中に埋め、今もなお、松虫の音摂津国、阿倍野 ( 現・大阪市阿倍野 に友を偲んでいるのだと話し、自分こそその亡霊であると明かして立ち去ります。区松虫通 ) 〈中入〉酒売りは、やって来た土地の人から、一一人の男の物語をききます。そこで、 、んこ、つ 秋 その夜、酒売りが回向をしていると、かの亡霊が現れ、回向を咸し、友と酒宴 ー演能時間 をして楽しんだ思い出を物語ります。そして千草にすだく虫の音に興じてまった 一時間三十分 りしますが、暁と共に名残りを借しみつつ姿をかくします。 金春 230

4. 能楽手帖

■作者 観阿弥 ( 世阿弥改作 ) 四番目物 百万。。くえ ・素材 【あらすじ】大和国 ( 奈良県 ) 吉野の男が、西大寺のあたりで、一人の幼い子供 を拾いますが、その子を連れて、京都嵯峨の釈呈の大念仏にやって来ます。そ・人物 して門前の男に、何か面白い見ものはないかと尋ねると、百万という女物狂が面「 ~ 方亠日万の子 ( 唄稽 ) ワキーー・吉野の男 ( 素袍上下 ) 白く音頭をとるというので、それを呼び出してもらいます。やがて、門前の男の アイー釈呈門前の者 ( 長上下 ) 念仏にさそわれて、百万が出て来て、念仏の音頭をとって踊ります。そして仏前 シテーー百万 ( 面深井、長鬘、前折烏 に進んで、我が子に逢わせてほしいと祈ります。すると先の子供は、あれこそ自帽子、長絹、無紅縫箔腰巻 ) 分の母親だというので、男は、それとなく百万に事情を問いただします。百万は■場 山城国、嵯峨 ( 現・京都亠京区嵯 「夫に死に別れ、子供には生き別れたため、この様に思いが乱れたのだ」と語りま 峨釈迦藤ノ木町、漬堡せ す。男が、信心によって子供が見つかるだろうというと、百万はその慰めの言葉 にカづけられて、奉納の舞をまいはじめます。百万は、我が子に逢おうと奈良か春 ら、はるばる旅して、この春の嵯峨へやって来たことを述べ、このように大念仏ー演能時間 一時間三十分 に集まっている大勢の人の中に、我が子はいないのだろうかと、身の上を嘆き、 狂乱の状態で仏に手を合せます。男はいよいよ間違いなく子供の母親であると思 亠念古田 ( 剛 ) 、舞入 ( 宝・剛・喜 ) 、法 子供を引きあわせます。百万は、もっと早く名乗ってほしかったと恨みはし 卒′」舞 ( 観 ) 、替之型 ( 観 ) ますが、仏の徳をたたえ再会を喜びます。 214

5. 能楽手帖

・作者 世阿弥 五番目物 【あらすじ】出羽国 ( 山形県 ) の羽黒山からやって来た山伏が、大峰葛城山へ参 「奥儀越「袖中越など る途中、大和国 ( 奈良県 ) 春日の里につきます。そして誰か人がやって来たら、ー人物 このあたりの名所について聞きたいものだと思っていると、丁度一人の老人がやワキー山伏 ( 兜巾、経水衣、白大口、 って来ます。そこで、近くにあったいわれのありそうな池について尋ねます。す 前シテー野守〈化身〉 ( 面笑尉、茶 ると老人は、私のような野守が姿を写丁ので、 " 野守の第といっているが、本当 経水衣、無地熨斗旦 の〃野守のというのは、昼は人となり、夜は鬼となってこの野を守っていた アイー春日の里人 ( 長上下 ) 鬼神の持っていた鏡のことだと答えます。更に「はし鷹の野守の鏡、得てしがな、後シテ」塁神 ( 面小 ~ 覺、赤頭、唐 思ひ思はず、よそながら見ん」という歌は、この池について詠まれたのか、と山冠、法被、半切 ) 伏が聞くと、老人は、昔この野で御狩のあった時、御鷹を逃したが、この水に姿 大和国、春日里 ( 現・奈良市春日野 が写ったので行方がわかったから、その歌が詠まれたのだと語ります。山伏がま町 ) ことの野守の鏡を見たいものだというと、鬼の持っ鏡を見れば恐ろしく思うであー時 ろうから、この水鏡を見なさい、といいすてて老人は塚の中へ姿を消します。〈中 ー演能時間 入〉丁度来合わせた土地の人から、野守の鏡の名の由来などを再び聞かされ、先 一時間一一十分 の老人は、野守の鬼の化身であろうと告げられます。山伏はこの奇特を喜んで塚第 - ハ書 の前で祈っていると、鬼神が鏡を持って現れ、天地四方八方を写して見せたのち、天地之声 ( 観 ) 、白頭 ( 観・宝・剛 ) 、 198

6. 能楽手帖

ム莉し。リーーー五番易 【あらすじ】出雲国 ( 島根県 ) 美保の関の僧が、都を一見しようと京都へ上って■素材 せんにゆう 「太平起巻八「谷宀火上の事」 来ます。そして、唐から渡ったという十六羅漢や仏舎利を見ようと、東山泉涌 寺にやって来ます。寺男の案内で、仏舎利を拝んで成蔽していると、寺の近くに ワキ , ・、・旅僧 ( 角帽子、経水衣、無地 熨斗目 ) 住むという男がやって来て、一緒に舎利を拝みます。そして仏舎利のありがたい いわれを語っていましたが、にわかに空がかき曇り、雷光がひらめくと、里人のアイ・・・、泉涌寺の舎利黨寸 ( 能力頭巾、 そくしつき 水衣、、脚半 ) 顔は鬼と変り、自分はこの舎利を望んでいた、昔の足疾鬼の執心であるといい、 前シテー里人〈化身〉 ( 面三日月、 仏舎利を奪い、天井を蹴破って虚空に飛び去ってゆきます。〈中入〉僧は、物音に 黒頭、経水衣、無地熨斗目 ) 驚いて駆けつけた寺男から、釈迦入滅の時、足疾鬼という迫が、釈迦の歯を盗後シテー定疾鬼 ( 面顰、赤頭、法被、 半切 ) んで飛び去ったが、韋駄天という毘沙門の弟の足の速い仏が取り返した、という ツレー韋駄天 ( 面天神、里、輪 話を聞きます。そして、一一人して韋駄天に祈ると、やがて韋駄天が現れ、足疾鬼 側次、白大口 ) を天上界に追い上げ、下界に追いつめ、仏舎利を取り返します。足疾鬼は、いま 京都、皋準寸 ( 現・京都市果山区泉 は力も尽き果てて逃げ去ります。 【みどころ】この能は、仏歯をめぐる足疾鬼と韋駄天の争いを見せるのが眼目で涌寺山内町 ) す。それを釈迦入滅の時に起こった事件をそのまま再演するのでなく、足疾鬼の 執心が残って、昔と同じ事件が、日本の泉涌寺で起こった、という形にしてあり ■演能時間 132

7. 能楽手帖

・作者 四番目物 山 ざんげん ・素材 【あらすじ】横佩の右大臣豊成公は、由なき者の讒言を信じて、我が子の中将姫 中将姫伝説 を、大和国 ( 奈良県 ) と紀伊国 ( 和歌山県 ) の国境にある雲雀山に連れていって、■人物 そこで殺してしまうように家臣にい、 しつけます。家臣は、命を奉じて姫の供をしワキツレ。ー姫の従者 ( 素袍上下 ) 「十方。。 - , 中将姫 ( 鬣唐 ) て雲雀山まで来ますが、あまりの痛わしさに殺すことが出来ず、庵を作って、そ 前シテー・乳母の侍従 ( 面深井、無紅 こへ姫をかくまっておきます。そして中将姫にしたがう乳母の侍従が、四季折々 の花を摘んでは、人里に出てこれを商い、その代によって姫を養っています。従ワ土、・・・横佩豊成 ( 風折に子、単狩 者は、侍従を呼び出し、今日もまた花を売りに出るよ、つに命じます。侍従は姫に衣、白大口 ) ワキツレ・・・・豊成の従者 ( 素袍上下 ) 挨拶して、里へおりてゆきます。〈中入〉さて一方横佩右大臣は、狩装東に身をか アイー鷹匠 ( 狂一一一口上下 ) ため雲雀山へ鷹狩にやって来ます。そこへ花売りの侍従もやって来ます。それを アイー大引 ( 肩衣、 ) 見つけて豊成の従者が問いかけると、花を買ってほしいと頼み、花に託して、身アイ・・ - 。勢十 ( 肩衣、 ) 上話をそれとなく語り、更に山奥に隠れ住んで、霞網にかかった小鳥のように身後シテ、・、乳母の侍従 ( 面深井、醂 動きならぬ姫が痛わしいと、狂気したようにまいます。豊成はこの花売りこそ、脱下げ ) 姫の乳母であることを知り、姫の行方をたずねます。侍従は、姫はすでに亡くな 大和国、雲雀山、山中と里 ( 現・奈 ったと偽りますが、豊成の前非を悔いた真心に打たれ、山の庵へと案内します。 良旧①于陀郡菟田野町宇賀志日張山 ) 思いがけぬ再会に父娘は手を取り合って喜び、心嬉しく六置の都へと連れ立って ひばリやま よこはぎ 212

8. 能楽手帖

■作者 ニ番目物 世阿弥 敦盛 , ー きんだち ′、ま 6 力い 【あらすじ】一ノ谷の合戦で、当時十六歳の士豕の公達平敦盛を討ちとった熊谷 なおざね 「エ豕物造 次郎直実は、あまりの痛ましさに無常を感じ、武士を捨て出家して蓮生と名乗りー人物 ます。彼は敦盛の菩提を弔うため、再びかっての戦場摂津国 ( 兵庫県 ) 一ノ谷をワキ・・・・龜生法師 ( 角帽子、無地熨斗 目、水衣 ) 訪れます。すると、笛の音が聞こえ、数人の草刈男がやって来ます。その中の一 前シテー草刈男〈敦盛の化身〉 ( 段 人と、笛の話をしているうちに、他の男達は立ち去りますが、その男だけが居残 熨斗目、水衣 ) っているので、蓮生が不審に思って尋ねると、自分は敦盛の霊であることをほの ツレ・。。 - 章刈男一一一 5 四人 ( 無地熨斗目、 めかしてん失せます。〈中入〉蓮生は、散策にやって来た須磨の浦の男に、一ノ水衣 ) 谷の合戦、敦盛の最期について語ってもらいます。そして自分は熊谷次郎直実でアイー須磨の浦の男 ( 狂一一只肩衣半 、んこ、つ あり、今は出家して敦盛の菩提を弔っているのだと明かすと、心し、回向をす 後シテー平敦盛の霊 ( 面敦盛または るようにいって去ります。蓮生が、夜もすがら念仏を唱え、その霊を弔っている十六、童子、里梨打自子、紅 と、武将姿の敦盛の亡霊が現れ、士豕一門の栄枯盛衰を語り、笛を吹き、今様を入泊、白または色、大口、長 謡った最後の宴を懐しんでまいます。続いて敦盛は討死の様を見せ、その敵に巡 ( たは単法被 ) り会ったので、仇を討とうとしますが、後生を弔っていてくれる今の蓮生法師は、 摂津国、一ノ谷 ( 現・兵庫県神戸市 もはや敵ではないと、回向をたのんでん去ります。 須磨区一ノ谷町 ) 【みどころ】年若くして戦死した敦盛への同情と、彼が日頃音楽を好み、討死をー時 れんしよう 日

9. 能楽手帖

■作者 せみまる 不明 ( 世阿弥の可瞽がある ) 四番目物 蝉丸 【あらすじ】延喜帝の第四皇子、蝉丸の宮は盲目の身に生まれつきました。帝は、 お、つさか きよっら 宮の後世を助けるため、清貫に命じて、逢坂山に捨てさせられます。清貫は悲し■人物 ツレー蝉丸 ( 面蝉丸、喝、単狩 みますが、かえって蝉丸は、過去の罪業を償わせよ、つとの父君の慈悲なのだと、 せんじ 衣、指貫後に角帽子、水衣 ) 恨み嘆く態度を見せません。清貫は宣旨の通りに、蝉丸を剃髪、出家させ、蓑、 ワキツレ。・・ , 輿舁一一人厚板、白大口 ) 笠、杖をおいて去ってゆきます。一人になると、蝉丸もさすがに淋しく、琵琶を ワキ。↓鬢 ( 風折子、長白 はくがのさんみ 抱いて泣き伏します。やがて博雅三位がやって来て、蝉丸を慰め、小屋を作りそ大口 ) の中へ助け入れて、また見舞にくると帰ってゆきます。蝉丸の姉宮逆髪は、そのアイ・、簿雅三位 ( 風折Ⅲ子、長絹、 名の如く頭の髪が上に向かって逆さまに生え、そのため狂乱となっています。彼白大口 ) シテー逆髪 ( 面増女または十寸髪、 女は御所をさまよい出、いっしか逢坂山へとやって来ます。そしてふと気がつく 紅入市脱下げ ) と、近くの藁屋の内から妙なる琵琶の音が聞こえて来ます。不審に思って立ち寄■明 ると、中から声をかけたのは、弟宮でした。姉弟は、互いに手をとりあって、身近江国、逢坂山 ( 現・滋賀旧尖津市 の不運を嘆悲しみ、また慰め合います。やがて、名残を惜しみつつも、姉宮は大谷町 ) いずこへともなく去って行き、弟宮は見えぬ目で見送ります。 秋 しゅ′ゝ」、つ 【みどころ】幸薄い我が身の宿業と互いの悲運を泣き令つ人間の姿を描いていま ー演能時間 、冫亥一時間四十分 す。人物の設定を、最も身分の高い天子の子の、しかも姉弟としたために、架」 148

10. 能楽手帖

■作者 鞍曼狗くーぐーーー・・五番目物 そ、つじよ、ったに ■素材 【あらすじ】鞍馬山の奥、僧正が谷に住む山伏が、鞍馬寺の人々の花見があると 「義毯起 聞いてやって来ます。一方、西谷の能力が東谷へ使いに出ますが、丁度途中で、■人物 東谷の僧が稚児を連れてやって来るのに出会い、持参した花見への招きの文を渡前シテー山伏〈化身〉 ( 直面、兜巾、 します。一行は西谷に来て、盛りの花を眺め、能力も稚児たちの慰みにと小舞を縞水衣、白大口、 ( ~ ) アイ・・西谷の能力 ( 能力頭巾、水衣、 まいます。そこへ以前の山伏が忽然と現れます。なんとなく興をそがれた一行は、 括袴、脚半 ) しゃなおう そのまま帰ってしまいます。一人残された沙那王 ( 牛若丸 ) は、山伏に声をかけ 前「十方・・ - ・牛若丸 ( 縫箔、儁 ) 一緒に花を見ようといいます。山伏はこの少年が源氏の公達であることを知って ~ 覧数名ー ( 牛若丸と同装 ) ワキー・東谷の僧 ( 角帽子、経水衣、 おり、その境遇に同情し、花の名所を案内してまわります。牛若が好意に咸を 白大口 ) してその名を尋ねると、山伏は、この山に住む大天狗であると名乗り、兵法を伝 ワキツレー従僧 ( 角帽子、縷水衣、 えるから圭滅ほすよ、つに勧め、明日の再会を約して飛び去ります。〈中入〉や白大口 ) がて小天狗が現れ、大天狗は牛若に兵法を教えたので、今度は自分達が太刀打ちアイー木葉天狗数名 ( 面毛頭巾、 なぎなた の相手をすることになったと、互いに稽古をします。やがて沙那王は長刀を持ち、側次、轉、脚半 ) 後「十方・・・・牛若丸 ( 白鉢巻、白水衣、 りりしい姿でやって来ます。そこへ、大天狗が全国で名だたる天狗をひきつれて 十つよ、つーり・よ、つ 白大口 ) 現れます。そして、張良の故事を語り、兵法の秘伝を授け、行く末の武運を守る 後シテー天狗 ( 面大】覧、赤頭、大 兜巾、袷狩衣、半切 ) ことを約してん失せます。