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検索対象: 替歌研究
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1. 替歌研究

し 女工の歌 農村から製糸工場に募集された女工たちは、苛酷な労 働条件のなかで、自らの生活を次のように歌っている。 ギスじゃあるまいしウリばかり食べて なんで糸目がでるものか 三度三度に葉っぱをくれて糸目出せとはシャラおか 町の糸ひきや乞食と一つわんにしようけに箸そえて こんな会社へ来るのじゃないが知らぬ募集人にだま され また、たとえば、「青島節」 ( 大正四 ) に出てくる歌詞 のなかで 女優が牡丹の花ならば洋妾なんぞはバラの花 後家は野菊で尼は蓮花下女は南瓜の花かいなナッ チョラン ( 七節 ) 女事務員が柳なら女詩人は花すみれ 女教師が蘭の花女工がヘちまの花かいなナッチョ ラン ( 八節 ) と女工歌となったが、これは花のたとえが、かの女た ちの生活を自嘲的に歌っているからである。 ◆生くる屍 わたしや女工よ春降る小雨独りしよばしよば音もな いつになったら晴れるやらっきぬ涙でぬらす枕 わたしや女工よはかない小鳥羽根があっても飛べも せず 空が見えても籠の中羽毛折られた小さな小島 わたしや女工よはかない花よ霜にいじけた小さなっ ほみ 248

2. 替歌研究

◆花見 山々にたなびく霞 おばろに聞ゆる鳥の声 赤き白きこき交ぜて 乱れつ香える桜花 しらべ 自然の音楽調をあわせ 天女の姿風に舞う さらに、この歌の曲はその後、だれでも知っている 「むすんで開いて」という文句で歌われるようになるが、 それについては第一一十章「現代っ子の替歌」で述べたい。 「どんどん節。と替歌 明治初期の「どんどん節」 ( 既出 ) は、『日本近代歌謡 史」によると、明治一一十年代には次のように、歌詞を歌 い替えて流行している。 くるまであす ( そ ) んだその天ばつでいまやしょたい もひのくるま ホンマカネマコトカネソウジャナイカネ うめがはちうべいが江戸っ子なればどうちうで二分の 金のこしやせぬ ホンマカ、不マコトカ、不ソウジャナイカネ いろけづいたか川ばたやなぎひにちまいにち水かがみ ホンマカネマコトカネソウジャナイカネ ままよさんどがさますぐにかぶりかりのあるとこよこ にしな ・ 4

3. 替歌研究

や寝られないまっくらやみではおかれないありあ けとぼしちやたまらないおそばも五十じゃくわれな い引っこしめったにこりやできないおさけも高く てのまれない一升一分じゃしかたがないやすいも のとてさらにない中から下ではなさけない一貫も 、つけちゃくわれない 一分になってもまだたらない そんなにもうかることはないもめんもふるぎもやす くない高くもはだかじゃいられないゅせんも高く てはいられない二十四文じゃいりがないだんだん あがってきりカないとどのつまりはしようがない さきをあんじちゃ命がないまたもないないないづく しさかりばこの節ひとがない芝居もねつから入り がない寄席もゆうやもよるはないおるすの間はし かたがないとのさまお供でぜひがないおく様ひと りでねつかれないおかえりまつより外はない文久 前 八もんつづかない天保のおつりにやこまらないそ 新 維 、つはち力いはごさらないと、つかなるにはそ、ついかな ムロ 明 いおせじのぶましもちいさくない金もちも、つけも 章すくなくないないものふかせるせきがない御用金 第 ならあたらない何から何まで安くないよたかのね あげもむりはない文久一二つじやかわれない鉄砲も 百でははなされないどうすりやよいのかわからない ないでもかせぐにしくはないむだなおあしはつかわ れないでき秋まつより外はないさてもないないな いつくし時よじせつよしかたがない言 者しきも升も さがらないお米もたかくてしようがない一一合だい ではくわれないうまいおかずはたべられないこの せつぜいたくいわれないまさかにしおではくわれな いこうこうも高くて漬けられないめしゃのまんま い ~ 、もり・・ , 刀オよい 一人まえではくいたらない一一人まえ でもまだたらない三人まえもおおくはない は、か . り - におまけが少しもない生酔いこのせつみた事ない どこでも酔うほどのまれない何をかってもやすくは オしけんやくするよりしかたがない世の中なおる にそ、つい力ないしんばうするより外はない いつでもお上にお金がない金銀出入りも用たたない お手形ばかりで官札ないお米も高くて買われない 商社の引き替えめったにない一一割五分とは情けない 9

4. 替歌研究

思い出してもうずく今 みんなあなたのせいだとは いいはしないがいいたいの 生きていながら天国に のばる気もちになぜさせた 元歌 あなただけはと信じつつ 恋におばれてしまったの こころ変わりがせつなくて つのる想いのしのび泣き 以 - 画 元歌は一九六四年、吉田矢健治作曲で、 一三ロ 増歌った。替歌は『日本春歌考」による。 倍 日寸 所 ◆ひなげし小唄替歌 四 十赤いひなげし咲くを見た 第 知らぬ他国の鉄の窓 作詞山北由希夫 ープ佐竹が だけど駄目駄目泣いたとて 花の咲かないこの私 かあいい陰ロふくらんで み知らぬ人にだまされた だけど駄目駄目泣いたとて もとの体にやもどりやせぬ 女はあそこがたいせっと 母が教えてくれたのに 無理矢理入れたのが けがのもとくやしいな 元歌は坂口ふみ緒作曲、一九六五年に大月みやこが歌 った。 ◆南国哀歌替歌 明日がくるのをおそれるように あなたに燃えてる悲しい想い 565

5. 替歌研究

夜の船ンなかにポンプがうなる ュメをぶちこわす : : : ポンプがうなる おまえなれつこの船の夜荷役 むねけがまんしてオカにあがった ィッパイきげんになったとき ワッチの時間がやってくる シャクな時間が : : : やってくる 元歌 あなた知ってる港ョコハマ 街の並木に潮風吹けば 活花散る夜を惜しむよに 復 伊勢佐木あたりに灯がともる 版 恋と情けの : ・・ : 灯がともる ら わ 、刀 元歌は一九六七年、鈴木庸一作曲。青江美奈が歌って 章人気が出た。 七 十 第 ◆カモメが船尾に ( もずが枯木で替歌 ) 作詞川内康範 カモメが船尾についてくる おいらはラットをまわしてる ワッシデッキは甲板員 ギーギー船はきしんでる みんな去年とおなじだよ けれどもたんねえものがある 機関員のはたらくすがたがねえ 汗だくではたらくすがたがねえ 自動化船だから機関員はいらねえよ 機関室はいつもガラあきだ カモメよさひしいとなくかいし エンジンはもっとさびしいだろ、つ 元歌 もずが枯木で鳴いている おいらは藁をたたいてる 綿びき車はおばあさん 作詞サトウ・ハチロー 655

6. 替歌研究

みなさん私の歌を聞いてよ 私はあわれなエ専生 もうすぐ退学になってしまう 世にも哀れな物語 私が入学した時は 夢や希望にあふれてた その時あこがれる学校があったけど 親がすすめるから入学したの 楽しいはずの学校生活 それは紛争の真最中 友人は知らない南の獄へ 学則準則くそくらえ やがて集会が開かれた 私はこの会にかまいきり ところが学校は授業をしてる 当然ほくは欠席者 先生の無責任に気づいた時 純情な僕も乱れたの いっそ後輩がいなければ 何もしなくてよかったけれど 教官も集会に参加されて わずかだが意見を発表した ところが本当は理解できず 学生と教官の対立よ やがてばくたち卒業するの 知識だけつめ込まれされて 元歌 ( コーラス ) おお人生は悩みよ楽しくないの 恋なんかしない間にふけちゃった これが人生というものかしら ( ( し力ないものね 田 5 いをり・こ十 6 、、 作詞中川五郎 624

7. 替歌研究

※そいつあゴーキだねそいつあゴーキだね 二つとせ ふざけたやろうが首を出す にくまれほうずの二年生 ( ※以下、くりかえす ) 三つとせ みつともないよなカッコして さむらい歩きの三年生 四つとせ 死にものぐるいの大あばれ よくばりばうずの四年生 五つとせ しいなから いつもぶつぶつ、 いばり歩きの五年生 替 六つとせ の 子 むりしてうけた中学校 っ みごと落第六年生 現 章 十 元歌は昭和三十八年、守屋浩が歌ってヒットした。 第「一ッとせ / 人は見かけによらぬもの / 軟派張る奴あ〇 ン大生 : : : 」 ( 浜口庫之助補作詞・編曲 ) 替歌は学年ごと の特長をとらまえ、数え歌にした。昔のはやし言葉にも 「 : : : 二年生逃げた / 三年生さがった / 四年生しかられ というのがあった。替歌の文句はあまり巧くで きているので小学生の作とは考えられない。既出「流行 しているこどもの替、ん歌による。 ◆王将替歌 ふけばとぶようなかつらをつけた はげた頭をわらわばわらえ うまれながらのつるつる頭 月も知ってるおいらのなやみ 元歌 吹けば飛ぶよな将棋の駒に 賭けた命を笑わば笑え うまれ浪花の八百八橋 月も知ってるおいら意気地 作詞西条八十 4 〃

8. 替歌研究

船乗りなんてさ船乗りなんてさ やちめまうおと思ってみたが 休暇がおわってまた乗ってきた 生活かかってるおれの仕事 いつまでもやめられない船乗りぐらし 船乗りなんてさ船乗りなんてさ まっぴらだ馬車馬みたいにコキつかわれて 酒ものめないし上陸もできない まるでカンゴクおれたちの生活 鉄のハコのなかの船乗りぐらし 船乗りなんてさ船乗りなんてさ やめてよと新こんのカアちゃんにいわれ もっともだと思っているんだぜ だけどやめられぬにくい世のなか 今日も考えなやんだ船乗りぐらし 元歌 女なんてサ女なんてサ イ = = ロ別所透 嫌いと思ってみても ひとりで飲む酒まずい酒 指名しようかいつもの娘 俺もおまえも新宿そだち 元歌は一九六七年、新宿で流していた大木英夫が、津 山洋子とコンビで吹きこんで、ヒットした。遠藤実作曲。 ◆夜荷役プルース ( 伊勢佐木町プルース替歌 ) おまえ知ってる船の夜荷役 どんな時間でも港につけば 休ますことをおしむよに マストの下にウインチうなる 情無用の : : : ウインチうなる 今航もまた船の夜荷役 アメが降ってもタンカーならば そんなことにはおかまいなしに 6j4

9. 替歌研究

科学のカ 科学の力を乗りこえて 科学のカで生きとった 前出「らくがき」より。生きるという不思議を歌った 傑作。元歌の軍隊と対照的で、ユーモラスである。元歌 「肩をならべて兄さんと / 今日も学校へ行けるのは / 兵 隊さんのおかげです / お国のために / お国のために戦っ た / 兵隊さんのおかげです」 ( 橋本善三郎作詞 ) は昭和十 四年ごろから歌われた。 ◆いきな背広 ( お富さん替歌 ) いきな背広着てるじゃないか 月賦払いの十カ月 久しぶりだな花子さん せめて今夜は新調の背広で だきつだかれつ踊ろうよ エーササー月賦ばらい 元歌は昭和一一十九年に流行し、春日八郎の出世曲。元 歌 ( 既出 ) が大時代的なのに対して、替歌は世相に合致 しており好感がもてる。前出「らくがき」より。 ◆からたちの花替歌 綿ばこの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ 綿ばこの台は切れるよ 切れる切れるいやな糸だよ 精紡の男子はさばるよ さばる事しか知らないのだよ 綿ばこの中で泣いたよ 恋人がいないと泣いたよ 綿ばこで働いても貧乏だよ いつもいつも借金ばかりだよ

10. 替歌研究

叱られても平気の平佐 厚顔無耻の田尻さんや 暑くなるに困るよあ・ : あ困るよ 訳詞堀内敬三 元歌 、つも変る女心 風の中の羽のようにし 涙こばし笑顔つくり嘘をついて欺すばかり 風の中の羽のように 女心変るよああ : : : あ変るよ これも「浅草オペラ」からの替歌で、唖蝉坊作。会計 検査院から東京市長に転じた田尻稲次郎をここでも槍玉 にあげている。 期 花 ◆新トンヤレ節 シ ク皆さん皆さん親切らしくお金を デ貸したがる商売アリヤ何じゃ 章 あれは高利貸貧乏人泣かせの 第我利我利亡者と知らないか トコトンヤレトンヤレナ ( 以下、はやし詞略 ) 皆さん皆さん東京の街歩いて 一番癪に障るものアリヤ何じゃ あれは飛んでゆく自動車がはねとばす どろどろ路の泥じゃと知らないか 皆さん皆さん停留所停留所に 、つよ、つよしてるものアリヤ何じゃ あれはポロ電車に乗る気で待ってる 気長な人間と知らないか 皆さん皆さんおかしな女どもが お花を売ってるアリヤ何じゃ あれは貴婦人自分の金を出さずに 慈善をするというのじや知らないか 明治初期の有名な流行歌を元歌 ( 第一章で既出 ) にす ることによって、誰にもすぐに歌え、語呂をあわせて諷 刺をきかせている。大正九年、添田唖蝉坊作。