エネルギー密度 - みる会図書館


検索対象: 光工学入門
39件見つかりました。

1. 光工学入門

6 章 光のエネルギー , モーメント , モードおよび強度計測 6.1 エネルギーとモーメント の強度 ) は , 電界のエネルギー密度と磁界のエネルギー密度の和である . 静電磁気学 電場と磁場の変化が同時に進行するのだから , 単位体積あたりの光のエネルギー ( 光 理解しやすいように , 光の存在する空間を占める媒質は等方的であるとする . 光は E ・ D ー川 2 によると , おのおののエネルギー密度は 2 2 〃・おー 2 である . 2 2 ″ で , 2 章で示されているトに司川を用いれば * 1 , エネルギー密度ルは , EI 川 2 ル = 2 = 司川 2 2 ″ と表される . いま考えている媒質は等方的な物質なので , エネルギーの流れの方向と 波の進行方向を表すべクトルん = E x 召の方向が一致している . て , 2 章で述べたように , 方向がんの方向を向いていて , 大きさが て , S を 1 周期で時間平均した量ーが単位体積あたりの光のエネルギー密度 , すな る . E と〃は時間的に変化しているのだから , S も時間的に変化する . したがっ ネルギーを与えることになる . この S が 2 章で述べたポインティングべクトルであ トル S , すなわち S = Ex 〃を定義すれば , S が単位時間に単位面積を通過するェ このことを考慮し 一 2 のべク ( 6.1 ) わち , 光の強度を表すことになり , ー = = 川 2 ( 6.2 ) と表される . すなわち , 光の強度は電界の振幅の 2 乗に比例することになる * 2. で , c は媒質中の位相速度で , 真空中では , c=co, に / 川である . また , 波動関数 . E = . に日々・れ破 ) を満たす条件は c2 = ( スレ ) 2 = 1 / である . 1 * 2 吸収性の物質では , 7 = x 〃にに ( E ) ・ R に ( 〃 ) ・ c = ー E2 い 2 れとなる . こで , 2 ん = であ る . んと住はそれぞれ消衰係数 , 吸収係数である . 住は cm ーヨの次元をもつ ( は実数部を示す ) .

2. 光工学入門

94 6 章光のエネルギー , モーメント , モードおよび強度計測 に重要である . また , 定在波はたがいに逆に進行する振動数 ( または波長 ) と振幅の等 しい波でつくられるのだから , 存在可能なモード数は進行波のモード数の半分である . 普通 , 光の存在する空間は光の波長 ( 数百 (m) に比べてはるかに大きいと考えら れる . そこで , んん L 》スとして , その空間中に存在する光のモード密度を求め る . すなわち , んェ , ん , ん ~ 》スなので , んを準連続な量として扱うことができる . い ま , ん空間を考え , 半径んとん十」んとの間の球殻中の体積を求めると , 4 2d んで 4 兀ん 2d ん x 2 である . 2 倍したのは , 光が あるから , この球殼中のモード数は ( 2 兀 ) 3 んェんん z 横波であるから , その偏光の自由度 2 をかけた . いま , んに対するモード密度を 体 = ー一一プの関係になる . よって , 角振動数に対するモード密度の とすれば , んェんん ~ 兀 2 んェん y ん ~ 2C0 6.3 光の検出 光を定量的に計測するためには , 光のエネルギーをほかの形のエネルギー , たとえ ば熱エネルギーや電気量などに変換する必要がある . その方法として , 光のエネルギ ー密度を測定するには , 気体や液体を用いる場合もあるが , 特別な場合を除き一般的 には固体が用いられる . すなわち , 固体中の電子またはイオン双極子が光の電場と相 互作用し , 光のエネルギーを吸収する . そのとき , 電子が励起状態になったり , イオ ン双極子の振動状態が変化する現象を利用する . 固体中のイオンの振動エネルギーは 低く , 赤外光のエネルギーと同程度なので , 可視光の計測には適さない . 可視光の計 焦電効果利用 ( 接合型もあり ) 無接合型 光音響効果利用 気体の熱膨張利用 ( ゴレーセルなど ) 熱電堆 ( 熱起電力利用 ) 熱電対 ( 熱起電力利用 ) 光電子放出 ( 外部光電効果 ) 利用 ( 光電管 , 光電子増倍管など ) 無接合型 光電子伝導 ( 内部光電効果 ) 利用 ダイオード型 ()n 接合 , ms 接合など ) 接合型 - 光起電力効果利用工 トランジスター型 (pnp 接合 , npn 接合 , mis 接合など ) 光子計数法 ( 光量が小で光子数の数えられるとき ) 図 6.2 定量的光検出器の分類 2 は 光一熱変換素子 接合型 子 素 変 気 電 光 定量的光検出器

3. 光工学入門

118 8 章レーザー に独立であるから , 実際の光の放射確率は 4 ⅱ十である . 単位時間あたり , 単位 体積あたり , 単位周波数間隔あたりの吸収量・放出量は下記のようなものとなる . 基 底状態にある原子密度ル , 励起状態にある原子密度 , 単位周波数あたりの光の工 ネルギー密度をル ( ル 0 ) として , 吸収量 = お x ル ( カレ 0 ) x 茁 0. 放射量 = 召元 x ル ( ル 0 ) x gj + 川の ( 8.3 ) ( 8.4 ) である * したがって , 光のほかに励起刺激がないとすれば , 光の吸収と放射は , お x ル ( / ル 0 ) x ル 0. 卍 = B x ル ( んレ 0 ) x 、の市十員力 d / ( 8.5 ) の条件下でつりあっている . いま , 光の場 , すなわち光による摂動はあまり強くな く , 暗黒に近いとし , かっ基底状態と励起状態のエネルギー差 = んレ 0 が大きいと すれば , 暗黒下での熱平衡として古典的ポルツマン (BoItzmann) 統計分布がな りたつので , Ni と A しの間に , 一の一→ / 衂 T が成立している . ( 8.6 ) また , 量子論によれば , 光を量子化したときの光子の熱平衡下での分布はポース・ アインシュタイン (Bose-Einstein) 統計に従い , ( 8.7 ) なる期待値をもっており , ん E. ( ル 0 ) = エネルギー密度は , 4 んレ 03 1 んレ 0 / 々 BT 1 ル ( ル 0 ) = Co e 4 んレ 03 〃 3 C e んレ 0 / 々 BT 1 んレ 0 / 々 BT ( 8.8 ) ( 8.4 ) , ( 8.8 ) 式を ( 8.5 ) 式に代入し , 温度に依存する項と依存しない項に分け , 任意の温 こで , 〃はレーザー媒質の屈折率 c = じ 0 朝 , である . ( 8.3 ) , で与えられる . 度でその式が成立する条件を求めると , 4 んレ 03 〃 3 0 が得られる . ( 8.9 ) , * 0 , , 0 ノは , それぞれ低エネルギー準位および高エネルギー準位の縮重度である . ( 8.9 ) ( 8.10 ) ( 8.10 ) 式からわかるように , , , 員の両者とも光のエネル

4. 光工学入門

8.3 レーザー光放射のしくみ 121 るものである . 実際に単一モード発振させるためには , それ相当の工夫が必要であ る . また , 誘導放射量が自然放射量を上まわるためには , ある程度以上のエネルギー 密度ル ( / ル 0 ) が必要である . このエネルギー密度を誘導放射 ( 発振 ) のしきい値 (critical value) とよび , その値は短波長の光ほど大きくなる . それは , ( 8.10 ) 式 にみられるように , 自然放射確率 4 ⅱがレ 03 に比例して大きくなっていることからわ かる . レーザー光が強力であるのは , いままでの説明からわかるように , 多くのモード ( 振動数 ) に分布して放射されているエネルギーを , 1 つないし少数のモードに集中 するからである . 自然放射光のスペクトル幅」レは , 可視光 ( レ ~ 1015HZ ) で」レ ~ 10 凵 Hz くらいで , その中には多数のモードが含まれる . 一方 , レーザー光のスペ クトル幅は」レ ~ 103HZ にすることが可能である . 単位時間 , 単位体積あたりの放射 光の出力は ( スペクトル幅 ) x ( 強度 ) であるから , レーザー光の尖頭出力は自然光の 108 倍にもなる . 1.4 節で述べたレーザー光の特徴は , 上に述べた「放射エネルギーがそこに存在す る光と同期して , 同モードに集中される」ということからすべて説明される .

5. 光工学入門

8 1 章はじめに 位体積あたりに一定の個数あり , それらが移動することによって運ばれるエネルギー である . たとえば , 100W の高圧水銀灯から毎秒放射される光子数は約 6X10i8 個で ある . レ、一ザー光の場合にはエネルギー密度が高く , それは光子数ルが多いことを 意味する . 同時に , それらの光子は位相のそろった波としての性格をはっきり表 す * 1. 光を粒子として扱うと , 光の波としての性格があいまいになるので , それらの 光子の位相がそろうことを議論するのは矛盾しているようにみえる . すなわち , 電気 べクトル E をもち , ェ方向に進む光波 ( 平面波 ) として , E=Eocos ( んェ・エー研十の = Eocos ( んェ・エー 2 応ツ十の ( 1 . 1 ) 」ェ・」んェ >—が要求されるからであ を考えれば , 不確定性原理から」レ・謝ーー 2 兀 ' 4 応 る . これらについては次のように考えれば矛盾のないことがわかる . すなわち , レー ザー光では普通光とは異なり , 光子数 ( 光子の縮重度 ) が大きく , たとえその存 在個数に」のゆらぎがあったとしても , 」 N / くル〉は小さくなる * 2. すなわち , コ ヒーレント状態では , 」 / く > = 1 / くル 1 / 2 〉であるから , →大で」ル / く N 〉→ 0 で ある . すなわち , 光子数の相対的ばらっき数はほとんどなく , あたかも数が確定した ようにみえる . したがって , 一定の波動のようになるので位相も十分正確に決まり , 古典的波と同じように扱えることになってくるのである . 参考までに , 一般にいわれているレーザー光の特徴とその物理的特性を表 1.1 に示 す . レーザー光の特性 単色性 方向性 ( ビームの細さ ) 表 1 . 1 レーザー光の特徴 可干渉性の成り立つ量 時間 空間 エネルギーの集中する量 振動数 波動べクトル 料実際の密度としては下記に示すようにかなり小さいが , エネルギー的には 1 として扱える . * 2 例 : 通常光として空洞放射光を考えると , 1 自由度 ( モード ) あたり配分される光子の平均数は , 7 、 = 6000K , ス = 600nm で , く N 〉 = 7X10 ー 3 である . 一方 , 誘導放射光 ( レーザー光 ) では , その モードの光の場の強さ ( 光子の縮重度 ) 自身に比例して増加し , あるモードのく〉を簡単に 1 以上にできる .

6. 光工学入門

92 6 章光のエネルギー , モーメント , モードおよび強度計測 光子の運動エネルギーが存在すれば , それに対応して光子の運動量があるはずであ る . 特殊相対性理論から光子の運動量を導いてみよう . 特殊相対性理論によれば , 工 ネルギーと質量とは互換性をもつ物理量である . すなわち , 速度じで運動している 静止質量の質点の運動時の質量を川 , 運動エネルギーをル , 運動量を〃とする と , それらはそれぞれ , ル = 7 〃 0 1 ー ( ツ co ) 2 川 0C0 1 ー ( ツ (o) 2 〃 70 2 襯 Co ( 6.3 ) ( 6.5 ) ( 6.4 ) 1 ー ( ツ co ) 2 である . 質点の運動量は質量川と質点の速度じの積で , ( 6.5 ) 式のようなもので ある . ( 6.5 ) 式のに対応する光子の速さは co であることがわかっているので , 光 子の質量に相当するものがわかれば光子の運動量がわかる . ( 6.4 ) 式によれば , 質量 〃 % の質点が運動しているときの質量は , 運動エネルギーで表すと , 川 = ル / C02 となる . いま , この質点の運動は位置エネルギーとは無関係に考えているので , この質点の全 エネルギーはルである . 一方 , 真空中の光子は電磁場の単位体積あたりのエネルギ ー密度川 2 をもっていて , これが光子の全エネルギールである . したがって , ル川 2 の全エネルギーを C02 でわった襯 p = ー = ち , 速度じ 0 で運動している光子の運動量は , 川 2 である . が光子の質量と考えられる . すなわ ー川 2 ー 一方 , 振動数レの 1 つの光子のエネルギーは E = んレである . ( 6.6 ) このプランクの定数 んを用いて光子の運動量を表すこともある . 上の議論をこの場合に適用すると , 光子 E カレ の質量は川 p = である . したがって , 運動量の値はカ = カ ′〃 pCo ー ス co 6 . 2 モ ス 00 ス co ん ーである . ド 一般の波は正弦波の重ね合わせで表現できる . これらの正弦波をその波の要素波と よび , 要素波の様式をモードという . 光のモードを表現するには , 振動数レ ( または 波長用 , 波数定数と伝播方向を表すべクトルん , 偏光方向 e , 消衰係数んを示す必

7. 光工学入門

6 1 章はじめに 害物が大きい場合や光束が太いときといえる . 幾何光学は波動光学の近似であると述べたが , 両者の間には本質的な差もある . そ れは強度 ( 振幅の 2 乗 ) に関してである . 幾何光学はおもに光の道筋を扱うだけなの で , 特別な場合を除いて , 光の強度や発光過程そのものについては問題にしない . 波 動光学では , 光は電場・磁場の振幅の変化を扱うのだから , 光の強度も問題にできる であろうことは推定できる . 事実 , 光の強度を問題にするときには波動光学で扱う ( 1.4 節参照 ). したがって , 反射・屈折現象をその強度を問題にして定量的に扱うに は , 2.1 節で述べるマクスウェル (Maxwell) の方程式の電場 ( お ) , 磁場 ( 〃 ) の 境界面に平行な成分が連続であるとの条件を課して , その解を求めることになる . さ らに , 光の強度を測定するには , 一般に光のエネルギーをなんらかのほかの物理量に 変換する必要がある . したがって , 光はなんらかの物体へ吸収される必要がある . そ の吸収量を温度や電流 , 電圧 , ひずみなどほかの物理量として検出測定する . 物体か らの発光の場合 , 発光も通常は物体内の光以外のエネルギーが光のエネルギーに変化 して放出されるのだから , エネルギーの質の変化 ( 変換 ) が必要である *. したがっ てそれらを論ずるには , 光と物質との相互作用を直接取り扱う , いわゆる光物性ない しは分光学的考察もあわせて必要になる . 6 章以降で扱う光の検出においては , この ような取り扱いをすると同時に , 次節で述べる量子論的扱いも若干取り人れる . 1 . 4 量子光学 近年 , レーザー光が発明されて以来 , 光学の新しい一面がみえてきて , 種々の光学 的現象は若干異なった扱いがされるようになった . ときとして , その扱いは量子光 学 , あるいは光エレクトロニクスなどとよばれる . 通常光学 ( 幾何光学および波動光 こでは簡単にふれ 学 ) と量子光学 ( レーザー光学 ) との差は 8 章で説明するので , るだけにしよう . レーザー光の特徴をひと言でいえば , (a) 単色性がよく ( 振動数が一定 ) , (b) 干渉性にすぐれ ( 一連の波が時間的・場所的に長く続いている ) , (c) 強度 , いいか えれば波長あたりのエネルギー密度が大きい , ということである . これらはすべて同 じことを現象別にいい表しているともいえる . それは , 8 章で扱うレーザー光の発生 こでは , 普通光とレーザー光の可干渉性の 法や発生原理をみればすぐ理解できる . 差について簡単に説明するにとどめる . 波動の特徴として , 強度があまり大きくな が含まれる . * 波長変換過程においても , 非線形効果を利用する方法を除き , 一般にはエネルギーの質の変換過程 く , 現象が線形で扱える範囲では、、重ね合わせの原理 " がなりたっ . すなわち , 2 っ

8. 光工学入門

120 8 章レーザー する . このような条件で , ア状態の原子数を / 状態の原子数より多くすることがで き , これらの準位間で負温度状態をつくることができる . 召げ > 劫行十川行であるた めには , ア準位から / 準位への放出遷移確率が低い必要がある . ( 8.4 ) 式からわかる ように , ア準位から / 準位への誘導放出量は , ア準位にある原子数 , と原子がいる 空間中の光密度ル ( ル 0 ) に比例している . 一方 , 自然放射量は・のみに比例してい る . したがって , いったん光が放出されれば , 誘導放出量が自然放出量を上まわるこ とが可能であるし , その上まわる量はル ( んレ 0 ) が大きいほど大きくなる . ル ( ル 0 ) を大きくするためには , 放射された光をこの遷移体系が存在している空 間に閉じ込めておけばよい . これを出現する体系が共振箱である . したがって , 誘導 光 ( レーザー光 ) 放射をするには , 上に述べた負温度の実現のほかに , 共振系の存在 が必要である . 一番簡単な共振系としては , 図 8.3 に示すように 2 枚の鏡を平行に配 置し , 一方の鏡の反射率 (R) を 100 % に , 他方を ( 100 ーの % にし , 6 を小さくして おけばよい . 共振箱中の発光体系から出た光は , 3 章で述べたように両方の鏡の間を 往復 , 干渉し , 定在波を形成する . この定在波場によって誘導放射が増強される . し たがって , 放射される光のモード , 位相は , 形成される定在波のモード ( 振動数 ) お よび位相と一致したものだけになる . さらに , 放射光のエネルギーはそこに形成され た定在波の振動に集中し , 位相も定在波のそれに一致したものになる . 放射量に関す る ( 8.4 ) 式からわかるように , 光の放射量はそのモードの光のエネルギー密度ル ( んレ 0 ) に比例しているので , いま , ある定在波のモードの光がほかのモードに比べて 強ければ , その光のみが強くなる . その極限が単一モード発振レーザーとよばれてい 鏡 : = 100 % レーサー発光体 鏡 :R = ( 100 ーの % レーサー光 定在波 : 実際の 光の定在波の波 数はきわめて多 波長 : 数百 ~ 数千 [ nm ] 図 8.3 レーザー発光に用いる共振器の一例 ( 反射率を大きくとり Q 値を大にする )

9. 光工学入門

8 . 3 レーザー光放射のしくみ 119 ギー密度によらないので , 元は , 原子と光が熱平衡にないときにも使用する ことができる . 固体のときには , エネルギーバンド中の準位をとり , フェルミ分布 1 を用い , 川の代わりに人 ( 1 ー幻 , をの代わりに ( 1 —fi) と して考えればよい . 縮重度 0 はフェルミ分布中に含められる . 8.3 レーサー光放射のしくみ ( 8.6 ) 式を変形すると , 一々 1 n - ざ。乙佐 - kB / 切 ( 8.11) Nt である . 温度 T は正であるから , ーー・ > ー -- - ノーであり , 通常の状態では一こ < ーーーには なりえない . さらに , ( 8.5 ) 式も考えれば , 2 準位間の光の吸収・放出だけで ( 放射 量 ) > ( 吸収量 ) にすることは不可能である . 放射量が吸収量を上まわるようにするた めには , 準位 / と - / の 2 つの準位以外のほかの準位を存在させたり , 光吸収以外の励 起方法 , たとえば原子・分子間の衝突や電気的励起などを用いてを > をにする必 要がある . このように , エネルギーの高い準位にある原子の数が , 低い準位にある原 子の数より多い状態を負温度の状態という . すなわち , レーザー放射を行わせるに は , この負温度の状態を実現させなければならない . 負温度状態を得る方法の一例を図 8.2 に示す . 図のように , 光吸収で / 準位から . / 準位へ励起し , 最初の励起状態を . / 準位につくる . . / 準位に励起された電子は , 無放 射遷移により 2 番目の励起状態アに移る . / から . / を通りアへ遷移する確率召。 , が , アから / への遷移確率 ( 曾 + 員司より大ならば , ア状態の原子数はしだいに増加 、無放射遷移 レーサー放出 : れ 吸収 : ん Et 図 8.2 3 準位レーザーでの光放出模型

10. 光工学入門

6 . 3 電子 電子 光吸収 伝導帯 光の検出 伝導帯 型不純 97 伝導帯 禁制帯 フェルミ準イ立 n 型不純 物準位 価電子帯 n 型 禁制帯 フェルミ準位 禁制帯 光吸収 価電子帯 真性型 光吸収 占→〇 フェルミ準イ立 0 価電子帯 p 型 図 6.4 半導体中での内部光電効果 に放出したりにのような半導体を n 型という ) , 電子を捕獲したりにの型を p 型 という ) する . 図 6.4 に示すように , これらの準位間のエネルギー差以上の光が半導 帯に照射されると , 価電子帯中および n 型不純物準位中の電子は , 光を吸収し伝導 帯中に励起される . また , 価電子帯中の電子は p 型不純物準位へ励起され , 価電子 帯中に電子の抜けた穴 ( 正孔という ) を生じる . 伝導帯中に生じた電子や価電子帯中 の正孔は固体中を動き回ることができ , 自由電子または自由正孔とよばれる . このよ うな状態で , 半導体に電圧を印加すれば , 自由電子は + 極側へ , 自由正孔は一極側へ 向かって加速され , 電流が流れる . この電流を光電流といい , この現象を内部光電効 果という . 光電流は光吸収によって生じた自由担体 ( 自由電子や自由正孔 ) の数に比 例する . また , レーザー光のような強い光でないかぎり , 光吸収は 2 章で述べたよう に光強度に比例するので , 光電流を発生する半導体は光エネルギー密度 ( 光強度 ) 測 定器として使用できる . これが光導電型検出器である . 接合型の典型的な例は , 半導体の pn 接合を用いたものである . p 型と n 型半導体 のフェルミ準位は , 図 6.4 に示すように , 各不純物準位と伝導帯の底または価電子帯 の間にあるので , フェルミ準位のエネルギー値が異なる . したがって , p 型と n 型半 導体を接合し pn 接合をつくると , 図 6.5 ( a ) に示すように , p 型中の正孔は n 型へ , n 型中の電子は p 型中へ流入する . その結果 , 接合部の p 型中のアクセプターは負に イオン化され , 負の空間電荷を形成する . 一方 , n 型中のドナーは正にイオン化さ れ , 正の空間電荷を生じる . この結果 , 接合部には高電界が発生しこの電界によっ て正孔と電子の流入は止まり , 平衡状態になる . 平衡状態では , p 型 , n 型のフェル ミ準位位置は一致するとともに , 接合部付近には自由電子 , 正孔がほとんど存在しな