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検索対象: 光工学入門
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1. 光工学入門

55 4 . 5 単一スリットによる回折 4.4 フラウンホーファー回折 フラウンホーファー回折を観測するための典型的な光学配置を図 4.5 に示す . 光源 A からの単色光を , 集光レンズで平行光線として開口部に入射させ , 開口部上の各 点の 2 次波源からの平行光線を結像レンズでスクリーンに結ばせる . 光波は開口部を 平行光線として通過するので , このような配置ではフラウンホーファー回折の条件を 満たしている . 開口部 : スリット スクリーン 光源 : A 光軸 集光レンズ 結像レンズ 図 4.5 フラウンホーファー回折 4.5 単一スリットによる回折 簡単な場合の 1 つである単一スリットによる回折像を , ( 4.4 ) 式を使って求めてみ よう . スリットの長さ ( 紙面に垂直方向 ) を / , スリット幅をわとする ( 図 4.6 ). 図 のように , 紙面上方に z 軸をとり , その方向への微小な幅を dz とする . 開口部の任 意の位置 z での微小面素は dS=/dz である . 位置名から p 点までの距離が ( 4.4 ) 式のである . これは , 図 4.6 では , ( 4.6 ) = 新十 z S in である . こで , 新はえ = 0 でのだの値で , 図 4.6 では OP 間の距離である . 日は 光軸と OP のなす角度である . 図 4.6 では結像レンズは省略してある . レンズがある 場合はスリットから出てきたと新は平行である . 一方 , レンズがなくとも , 光源 とスリット , スリットとスクリーンの距離 ( 数十 (m) がスリットの幅わ ( 数十 (m) に比べて非常に長い場合はフラウンホーファー回折の条件をほば満たしている

2. 光工学入門

7 章 マイクロ光学素子 近来 , 5.4 節で述べた光ファイバー ( 叩 tical fiber) を用いての光伝送 , 光通信や 光メモリーなど光エレクトロニクス技術 , さらには , 情報処理 , 光演算などが盛んに なってきた . それにつれて , 通常のサイズの光学素子でなく , 小さな光学素子や変 調 , 分岐 , 増幅などの要求が高まり , マイクロ光学素子に大きな進歩をみせつつあ る . この章では , そのなかでとくに重要と思われる若干の例を示す . 7.1 マイクロレンズ 通常のレンズでは中心部から周辺部へ厚さを連続的に変え , 中心 ( 光軸 ) 付近を通 る光と周辺部を通る光の光学距離を変化させて光を集光させたり , 散光させたりす る . すなわち , 光が屈折率の高い部分を通過するのに時間がかかることを利用してい る . このような形にガラスなどを加工する代わりに , 物質自身に屈折率〃の分布を っくれば , 媒質中の光速 c = co / 〃を利用して光の集光・散光 , さらには方向を変え ることができる . すなわち , 光が屈折率の高い方向に曲がる性質を利用して , 集光・ 散光作用をする屈折率分布型のレンズを作ることができる . その代表的例であるロッドレンズや平板レンズを , 図 7.1 ( a ) , ( b ) に示す . た とえば , (a) のように屈折率が光軸 ( 中心軸 ) から距離の 2 乗に比例して減少する ような円筒ロッドを作れば , その変化に応じた焦点距離をもったロッドレンズを作る ことができる . また , 強力レーザー光を通すと , 物質の屈折率が光の強度によって変 化するという非線形現象がある . したがって , 光束中に光強度の分布をつくっておい てやれば , 光をそれ自身で集光したり発散させることも可能である . この自己収れ ん・自己発散は , 極超短パルスレーザー発振などに用いられる . また , 図 7.1 ( b ) に 示すように , ロッドレンズが平板の中に多数形成された 2 次元アレイに配置すれば , 多数のレンズを配置したことと同じになるから , 1 つの光源 ( 物体 ) から多くの像を つくることもできる . 半径方向の屈折率分布を適当に変化させたり , さらに軸方向の 屈折率分布も変化させたりすれば , 結像の収差をなくすこともできる .

3. 光工学入門

100 7 章 マイクロ光学素子 半径 : ァ 焦点 光軸 屈折率 : 0 屈折率分布 : たとえば、 r2 に比例してれが減少 光線の進み方 (a) ロッドレンズ 月月ス像 物体 板レンズ ッドレンズの 2 次元アレイ (b) 平板レンズと写映 図 7.1 マイクロレンズ また , 大きな特徴の 1 っとして , 端面を平面にしうるので , これらのレンズはほか の光学系 , たとえばレーザー素子導波路と機械的に直接結合できる利点もある . 屈折 率分布は , 当初 Na や K などアルカリイオンや , Ag, Pb などの金属イオンをガラ ス中に分散させてつくっていたが , 最近は母体としてプラスティックを用い , フォト リソグラフやイオン交換拡散法など , いろいろな微細加工法によって多種類のマイク ロレンズが作られている . 7.2 光導波路中の光のモード 5 章で光ファイバーについて述べたが , この原理に従えば , 平板上に微小導波路を つくり , 光を任意の方向に進行させることも可能である . これがマイクロ光導波路で ある . 5.4 節では全反射で原理を説明したが , 実際にはコアからクラッドへの境界面 で , 波長の約 1 / 100 の深さくらい , クラッド側へ光 ' がにじみだすいわゆる表皮効果 (skin effect) がある . 光集積回路などでの光導波路の結合では , この効果を積極的 に利用することもある . 光導波路は図 7.2 に示すように , つくり方や形状によって , このように , 境界面に局在している光をエバネセント波という .

4. 光工学入門

61 4.8 回折像による解像限界 スリ . ツ、に スクリーン 10. 174 7. 016 3.832 0 ysin9 9 図 4.9 円形スリットによる回折像 ( 4.4 ) 式をこの場合に適用して , ー R から R まで積分すると , 観測点 P での回折 光の振幅は , U = C ・ etkrdS = C e 法 ( r 。 + い s ⅲの・ 2 一〃・ du と求められる . 強度は振幅の 2 乗であるから , となる ( 付録Ⅳ . 1 参照 ). こで , / 0 = ( 2 C 応び蚯 ) 2 で , これは〃 = 0 , すなわち円 形開口部の中心のまうしろでの強度である . また , ムは第 1 種の Bessel ( べッセル ) 関数である . 強度分布を図 4.9 に示す . 回折像は円形の明線と暗線が交互に現れ , そ の強度が急速に減少する円形の縞模様である . 第 1 暗線 ( 輪 ) の現れる方向は , ( 4.15 ) s in = 1 .22 ー である ( 付録Ⅳ . 2 参照 ). こで , D = 2R である . 単一スリットの場合のス = わ sin 〃 と比べると , 第 1 暗線は , やや大きい〃の方向に現れる . 次節に述べるように の方向が望遠鏡などの解像力に深く関係している . 4.8 回折像による解像限界 ( レイリー基準 ) 光学望遠鏡やカメラのレンズは実は円形スリットとみなしてよい . したがって , 図 4 . 10 に示すように , それらのレンズで結像された像は , 実はレンズが開口部となって いる回折像である . このような場合 , 複数の光源 , たとえば視角の 2 連星があると , それらの像は回折模様の重なりとして観測される . すなわち , D をレンズの直径と ( 4.13 ) ( 4 . 14 )

5. 光工学入門

演習問題解答 無視レンズ a a 2 * * 1 * * レンズ a b 129 注 : 像から出た光のうち , レンズを通り結像に有効な光がどのくらいかで , レンズ の明るさが定義される . その量を F ナンバーという . F ナンバーの定義式はレンズ の口径 a と焦点距離 f を用いて F = f/a と表せる . [ 2 ] スラブ線路を用いて説明する . 下図 ( a ) はコア中を進む波長応の平面波光 A と B の進行方向を実線で , それらの等位相面を点線で示している . また 1 点鎖線 はコアの中心を示している . 図 ( b ) は光線 A, B の進行方向 OOA, 00 B に沿って の電場の振幅と位相を示している . 両光線の位相がこのようであれば , 図 ( a ) 中の 02 点では図 ( b ) にみられるように光 A の位相は応で B の位相も兀であるから , 両光線は同位相で , 干渉の結果 2 つの光は強めあう . P3 点では光 B の位相は 3 応 / 2 で光 A の位相は 2 で逆位相であり , 干渉の結果 2 つの光は弱めあう . Q3 点では逆 に光 B の位相は 7 / 2 で光 A の位相は 3 応 / 2 であり , 同じく干渉の結果弱めあう . 2 つの光の電場の振幅が等しければ 02 点では振幅は 2 倍に , P3 , Q3 点では 0 になる . この位相差の様子はコアの厚さ方向の位置が同じであればすべて同じである . たとえ ば , 中心線上の OO,O ぃ 02, ・・・では同位相 , コア・クラッド界面上の PO , P ぃ P2 ・・ Q5 0 Oo 2 01 Po PI を 01 ・イ 02 ーン : -03- 04 P2 P3 P4 P5 P6 02 P2 3 2 2 03 04 P3 P4 (a) 波長んのときの光 A , B の進行方向と等位相面 (b) 波長応のときの光波 A, B の振幅と位相

6. 光工学入門

38 3 章光の波の重ね合わせ c : = Co ん である . これは前頁で述べた可干渉長である . たとえば , 可視光の波長幅」スは約 0.0001nm なので , ( 3.8 ) 式によると , ス = 500 nm の光波に対する可干渉長は約 2.5m となる . p. 36 で紹介した可干渉長約 1 ~ 3m はこれである . 一方 , 極端な例としてはレーザーがある . その振動数幅」レは 103HZ 以下なので , 可干渉長は 300 km にもなる *. 3.2 波自身が次の波の源 ( ホイへンスの小波の原理 ) さて光の干渉の現象は , 日常的にはシャポン玉や水に浮いた薄い油膜の七色に見る ことができる . この現象はきれいなので目を楽しませてくれる . また , めがねやカメ ラのレンズが薄紫や薄緑に色づいているのに気がついたことがある人もいるだろう . これはレンズの表面に誘電物質を薄く蒸着したもので , この章で紹介する多重反射に よる干渉を応用したものである . この膜で眼鏡やカメラのレンズを通る光の損失を軽 減しているのである . 一方 , 世の中を物理的学な目で見てみると , この光の干渉の現 象は , 歴史上非常に重要な 2 つの役割を果たしていて興味深い . 第 1 はヤング ( 3.8 ) 2 次波源 図 3.3 ホイへンスの小波の原理 * すべてのレーザーからのレーザー光の可干渉長が 300m というのでなく , レーザーの種類によっ て可干渉長は異なる . 2 次波 包洛面 : い新しい波面

7. 光工学入門

47 3 . 5 多くの波を重ねるときの干渉 これらの R, T および全位相差 6) を用いて , 透過光強度は と書くことができる . ( 3.20 ) 式の代わりに 2 0 これを書き直すと , と表すことができる . T2 T 1 十 2 ー 2Rcos Ø となる * 1. 透過光強度 / は位相差Øの関数 , すなわち図 3.7 の①と②の光線 , ②と ③の光線 , ・・・と隣りあって出てきた光線の間の位相差の関数となっている . 図 3.9 では , いろいろな反射率 R の値に対して 6) の関数として IT を模式的に図 示している . 6) = 士 2 〃 ( 襯 = 1 , 2 , ・・・ ) のとき ( 3.25 ) 式の分母は最小となり , IT が最大となる . R が大きいほど干渉縞は鋭い . 図 3.9 にあるように , 垂直入射の場 ( 図 3.8 の反射角 = 0 の場合 ) , 薄膜の厚さが 2 = 士 ( 襯 = 1 , 2 , 3 ・・・ ) を満たす場合 , IT が最大となる . すなわち , レンズに蒸着した薄膜の厚さの 2 倍が 黄色の光の波長約 500 nm の整数倍になるようにしておけば , 黄色の光はほば 100 % 薄膜を通り抜ける . いいかえると , レンズの表面で反射なし * 2 に , 光はガラス内に 入る . 光がレンズの裏面から出るときも , 上の条件を満たすように裏面に薄膜を蒸着 しておけばよい . ( 3.24 ) T i9 2 ( 3.25 ) 0 0- 1 透過光強度反射光強度 = 0. 2 = 0. 9 月 = 0. 9 = 0. 2 4 d cos + グ 2d = え←グ = 0 , 月 = 0 の場合 0 2d = え 図 3.9 薄膜の透過光 , 反射光の強度 = ( 1 ー権・つ ( 1 ー R び - ' つ = 1 ー ( に・ e 十沼 ) 十 R2 = 1 ー 2 cos 6) 十 R2 ネ 2 ガラスの表面での反射については , 5 章で詳述する . i8 2

8. 光工学入門

134 係数 45 , 46 , 80 , 86 面 78 率 46 , 88 の法則 77 , 78 , 85 検出器 9 , 95 回路 112 音響検出器 96 光 ヒ 平板レンズ 99 平面波 13 偏光 子 19 , 29 方向 15 面 15 接合型 熱的 無接合型 96 95 95 E H 円 楕円 直線 79 79 15 , 17 , 32 15 , 18 , 32 15 , 16 集積回路 112 熱電対 96 導波路の結合 112 ファイノヾー SM 型 83 , 107 108 グレイデッドインデックス型 ホイへンスの小波の原理 39 ポインティングべクトル 15 , 91 包絡面 39 ポース・アインシュタイン統計 118 ステップインデックス型 セルフォク型 放出緩和 116 放出遷移 116 のエネルギー 91 の強度 15 , 91 のモード 92 非線形現象 39 非偏光 15 表皮効果 100 フ ファラデー効果 113 フェルマーの原理 2 , 109 フェルミ準位 95 フォイクト効果 113 108 107 108 ポッケルス効果 113 ポルツマン統計分布 118 ホログラム 69 マイクロ光学素子 99 マイクロ光導波路 100 マイクロレンズ 99 マイケルソン・モーリーの実験 マクスウェルの方程式 6 , 10 39 , 43 フォトマルチプライヤー 96 フォトンカウンティングシステム 負温度 119 不確定性原理 8 複屈折 28 不純物準位 96 フラウンホーファー回折 53 プルースター角 85 フレネル回折 53 フレネル・キルヒホッフの表式 分解能 50 , 66 , 67 分極 22 率 26 分光 66 98 52 明線 57 メリディオナル・レイ 110 ヤ , ユ , ヨ ャングの実験 38 , 41 誘電率 10 誘導放射 116 光 116 ( 発振 ) のしきい値 誘導放出 116 余弦波 13 横波 4 , 13 1 / 4 波長板 19 ロッドレンズ レーザー 6 , 9 , 38 , 116 レイリー基準 臨界角 83 量子光学 6 量子型検出器 リ , レ , 99 62 96 ロ 121

9. 光工学入門

次 目 V11 ・・・ 92 ・・・ 94 6 . 2 モ 6 . 3 光の検出・ 7 章 マイクロ光学素子 7 . 1 マイクロレンズ・ 7 . 2 光導波路中の光のモード 7 . 3 スラブ線路 7 . 4 光ファイバー 7 . 5 光導波路の結合 ・・・ 99 ・・・ 100 ・・・ 102 ・・・ 107 ・・・ 112 ・・・ 113 付 録・ み 放の は導射 と誘放 ザ光と光 一ザ放ザ レ自レ 1 亠ワ」っ 0 章 ・・・ 116 ・・ 116 ・・ 119 ・・・ 122 ・・ 124 ・・ 132 演習問題・ 演習問題解答・ 索

10. 光工学入門

82 5 章平らな境界面での反射と屈折 する光の強度は必ずそれだけ失われることを意味する . ガラスでできためがねのレン ズやカメラ , 望遠鏡のレンズでも同じで , このような表面での損失を最小限にするため に , 3 章で紹介した多重光束の干渉を用いたレンズ表面のコーティングが開発された . 図 5.5 ( b ) ではさらに次のことが推測される . 人射角住がだんだん大きくなると , 人射面に垂直な ( 反射面に平行な ) E 波の成分が H 波の反射率より大きくなり , 反 射光は反射面に平行な電気べクトルの成分を多くもつ光となる . このような反射光 は , 道路上の水たまりの表面で反射された光を低い姿勢で見るとき経験することがで きる . 水面で反射された光の電気べクトルは , 水面 ( 境界面 ) に平行な成分を多く含 んでいる . また , 水のない道路面で反射された光についてもほば同じことがいえる . 偏光サングラスは , 道路で反射されたぎらぎら光るこの反射光を取り除くように偏光 面がセットされている . さらに入射角が大きくなって , プルースター角 ( 5.5 節参照 ) になると , 反射光 は反射面に平行な電気べクトルをもつ E 波のみとなる . プルースター角を越えて , 光 が境界面すれすれに平行に入射するようになってくると , E 波も H 波も反射率は大き くなり , 反射面 ( 境界面 ) に平行に近く人射すると , 反射率は 100 % 近くになる . 透過光の透過係数と透過率 ( 5.8 ) と ( 5.10 ) 式 , ( 5.11) と ( 5.13 ) 式を用い , さらに入射角だけの関数とし て E 波と H 波の透過係数を整えると , CIE = 2 COS 住 COS 住十〃 2 ー S1n 住 2 〃 COS 住 COS 住十 n2—sin 住 ( 5 . 21) ( 5.22 ) QH = 1. 0 0. 8 透過係数 0 0 30 90 。 60 入射角 : E 波と H 波の透過係数 図 5.6