7.1 道路地図デー 飛行場 ゴルフ場・スキー場・競技場 学校・病院 ⑦ ⑥ ⑤ ④ ③ ② タベース その他工場などの広い敷地をもつ施設 動物園・植物園・遊園地 主要建物 ( 官公庁・歴史的建造物など ) 739 また目的地の設定に利用する場合などでは詳細な建物の形状を定義する必要 が生じるが , その場合は他の資料図より補完することになる . 7.1 . 4 文字・記号データ 道路・鉄道・水域・行政界・施設などの形状を取得した地物の名称を文字 データとして定義する . システムの機能・画面の解像度などにより文字データの配置・文字サイズ・ 文字列の方向や長さ ( 文字数 ) を考慮する必要がある . 限られた表示画面の中ですべての地物を文字データで表現した場合 , 表示が 重複し , かえって見栄えが悪くなる . その際は文字データに代えて画面の拡大 率に応じて記号によって表現すると見やすい地図画面となる . 一般に文字・記号データの採択基準としては以下のようなものがあげられ る . ① ② ③ ④ ⑤ 日常生活において重要であるもの 歴史上・学術上・観光などの対象として著名なもの 高さや面積が大きく , 目標となる施設 利用者や訪問者が多く目的地となる場所 自己の位置判定に役立つ , 道路沿いなどにある目立つ施設など 文字・記号データに , あわせて重要度を定義して , その対象物が多数近接し ている場合は画面構成を考慮し , より重要と思われるものを優先して表示する ことができるようにする .
82 4 地理データベースの作成 ( 3 ) 地図編集用ワークステーション 図形の修正や編集 , 文字列や記号と図形の対応づけなどを行うためのワーク ステーションで , 高精細のカラーティスフ。レイとマニュアルティジタイザかタ ブレットが接続されている . 計算機としては , 上位のパー ソナノレコンビュ (PC) やエンジニアリングワークステーション (EWS) を用いる場合と , 専用 の計算機を用いる場合とがある . 作業効率を上げるために重要なのは , 対話的 な指示に対する応答速度 , 初期表示 , ズーム , スクロールなどの表示速度であ る . また , 地図の編集を目的としたソフトウェア体系をとり , 自動処理に対し て相補的な編集コマンドを揃えていることも重要である . ( 4 ) ワードプロセッサ 通常 , オフィス用として使用されている装置であっても , 地名 , 記号などの 人力に最適化されていればよい . 特に , 漢字入力に対しては , 第 2 水準の文 字 , 名称の人力に工夫の余地がある . また , 名称の種別や , 縦書き / 横書きな どの制御コードの人力を必要とする場合もある .
5.1 土木行政支援システム 97 理者は , その内容 ( 道路の区間 , 延長等 ) を住民に告示する義務がある . この 告示情報を路線ごとに体系的に管理することによって , 一本の道路の法的な履 歴が確認でき , 各種の問合せに即答することが可能になる . たとえば , 住民か らの苦情に対応する場合 , その場所が苦情を受け付けた道路管理者の管理する 部分か否かをまず確認する必要があるが , 正確な情報は告示資料に記載されて 告示資料は , 永久保存が義務づけられており , 資料自体に法的な効力がある ため , 道路法施行以来の保存量は膨大なものとなってきた . 従来はマイクロ フィルムの利用により , データ圧縮と検索の便を図ってきた . 閲覧は , 以下の ような手順で行われてきた . ( i ) ( ⅱ ) ( ⅲ ) 地名 , 地番等から , 小縮尺の道路網図上で概略の位置確認をし , 該当 する道路の路線番号を確認する . 路線番号をキーとして , 告示の簿冊 ( マイクロフィルム ) を取り出 し , 告示資料を見つける . 該当する箇所で , 過去に告示が出されているか確認する . 以上の作業は早くても 5 分程度かかり , 問合せに即応するには , 長すぎると いわれてきた . 告示管理システムでは , 告示箇所を大縮尺図上に展開し , その箇所で出され た告示の概要を属性として管理するので , 該当する箇所を指示するだけで , 必 要な情報を検索することができる . 微妙な判断が求められるときは , 属性中に 告示資料の検索番号を項目として人れているので , これをもとに , 光ディスク 装置からオンライン出力すればよい . これによって , 数十秒で検索作業が終わ るようになる . ( 3 ) 境界確定検索システム 道路境界は , 一般に公有地と民有地の境界でもあり , 特に都市部において は , 境界線を確定し , 所有者の合意をとりつける確定 ( 明示 ) 作業は重要な行 政業務である . 現地で測量作業がなされ , 所有者立ち会いのもとで確認がなさ れると , 境界確定 ( 明示 ) 図が作成され , 証明書が発行されるが , この記録は
4.3 マッフ。ディジタイズの自動化 コードを付与しておけば , 以降の処理を共通化することができる . 4.3.6 分割・合成方式による大型図面の認識 75 地図を人力するためには , AO サイズ ( 1 189mmX841mm ) までの大型図面 を処理する機能が要求される . この大きさの図面は 10 本 / mm で約 100M 画 素 , 16 本 / mm では 250M 画素 , 20 本 / mm では 400M 画素のデータ量を持っこ とになる . モノクロ図面であれば 1 画素を 1 ビットで表現することができるた め , このデータ量は約 12.5 M ~ 32 M バイト程度であり , 実メモリに格納するこ とも可能である . また , ランレングスコード化によって数十分の一に情報を圧 縮することもできる . しかし , カラー図面については , 1 画素について 1 バイ ト程度を必要とするため , このデータ量は 100 M バイトを超えることになる . この大画面処理を可能にする手法としては , 分割・合成方式がある . 分割・合成手法の概要を図 4.19 に示す . この手法は , 画像データと座標デー タの情報量の差に着目した手法であり , 全図面を一度にメモリに格納できる大 きさの部分画面に分割して人力し , 線の認識をした上で , その結果をもとにし て部分画面を接続して全体の認識結果を求めるものである . こで , 隣接する 部分画面の間に重畳領域を持たせることによって接続部にかかる線を正しく接 続することができる . 接続部の線については , まず該当するすべての線を線分 単位に分割して , 重なる線分の一方を消去する . その上で , 線分の端点の状態 を判定して , 必要なものを接続する . 4.3.7 補完処理 地図の入力においては , 切れた線の接続 , T 型交差部の補正 , 角の整形をは じめとする図形の補完処理が必要である . 図 4.20 にその主なものを示す . 線の わずかな切れをつないだり , 原図の汚れに起囚する短い線を消去したりする処 理は全図形に共通して要求される処理である . しかし , 一般的には対象の図形 によって , かけるべき補完処理の組合せは異なる . 家の輪郭線は通常直線であ るため , 直線を強化する処理と角を直角にする処理の組合せによって求める形
4.2 マニュアル方式のディジタイズ 59 登録することである . 削除処理とは , すでに登録されたデータが誤りであった り精度が十分でなかったりした場合に , 登録を抹消する処理である . 更新処理 とは , 古くなって現状を反映しなくなった図形要素を古い物として再登録した あと , 新規の入力を行う処理である . 更新処理ができるシステムはあまりない が , 今後データベースの時系列的な変化を追う必要性が増加した場合 , 重要な 機能となろう . これらの作業はディジタイズと同時に図形をグラフィックディスフ。レイに表 示 ( 消去 ) させることによって確認できるが , ディスフ。レイは 20 inch 程度の大 きさしかないので , 一度に表示できる範囲は図面の一部分にすぎない . そこで 作業者は , 常に自分が作業している範囲を見やすくするために , 表示位置の指 定や , 表示の拡大 , 縮小を行う . したがって作業者は , ある図形を新規に人力する場合 , 以下の手順を踏むこ とになる . ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ディジタイズする物の周辺をディスフ。レイに表示 ( メニュー指定 ) ディジタイズする項目の指定 ( メニュー指定 ) 座標計測 図形要素のディジタイズが終了するまで③を繰り返す . 同一項目のディジタイズが終了した場合は②にもどる . 表示範囲を変更したい場合は①にもどる . 終了 図形要素が属性データと関連する場合はキーとなるコード入力を③の冒頭で 使って行う ( 図 4.8 参照 ) . 行うこともある . これら一連の操作は , ディジタイザに張られたメニ データを入力するので , 新規入力より大きな労力が必要となる . て更新処理を行う . この処理は①古いデータを削除 , 変更した上で , ②新しい すでに完成したデータベースを更新するためには , 新しくなった部分につい
( 2 ) ( 3 ) ( 4 ) 2.1 投影法 すること 地球上の 2 点間の最短距離を縮尺倍すれば , 地図上の直線距離と一致 地球上の角度と地図上の角度が一致すること 地球上の面積を縮尺倍すれば , 地図上の面積と一致すること これらの条件をすべて満たす投影法はない . そこで , 目的に応じてこの中か ら必要な条件のみを満足する投影法を開発することになる . たとえば航海のためには , 上記の条件のなかで角度の一致が最も重要であ る . そこで , 等角投影法 (conformal projection) が選ばれる . また経済学者 や , 地理学者にとっては , 統計的な指標を地域の面積に対比することが多い ( たとえば人口密度 ) ので面積の一致を求めることになり等積投影法 (equiv- alent projection) が選ばれる . 飛行機の操縦をする場合は , ある点からある点 までの最短距離が , 地図上の直線距離と一致することが求められる場合があ る . このような時には , 等距投影法 (equidistance projection) が使われる . 2.1 . 1 地球の形状 投影法について考えるとき , 前提として地球の形状に対する認識が必要にな る . 地球の形は概念的には球形といえるが , 高山 , 深海等もあり , 実際には不 規則な形状になっている . そこで , 海面を基準として考え , 平均海面を地球の 形として代表させ , 陸地においてはこれと同じポテンシャルをもつ面を仮想す ることが考えられた . これをジオイドと称する . しかし , 地球の内部密度には 片寄りがあり , 等ポテンシャル面もわずかに凹凸をもつので , これに最も近い 幾何学的形状として回転楕円体が採用された . 日本ではべッセル楕円体と称す る回転楕円体が使われているが , その諸元を示すと以下のようになる . 長半径 = 6 377 397.155 00 m 短半径と = 6 356 078.963 25 m また , 以下のような諸係数も使われる . 離心率 e2 = 0.006 674 372 231 315
3.3 従来の地図と数値地図の相違点 イ 3 現するには時間の記述が重要である . たとえば , 路上の照明灯が故障すると道 路管理者はこれを補修し , さらに , 照明灯台帳に , 故障原因 , 補修方法 , 工事 業者 , 補修日などを記録する . また , 道路改良のために移設されたり , 古くな れば撤去することにもなり , データの抹消が必要になる . この情報が台帳に記 録されれば , 離散的にではあるが , 照明灯の一生を再現できる . しかし , 時間 は連続的に変化する . 台帳を使ったこのような離散的記録は , 擬似的な時間記 述と考えられる . 火災の延焼をシミュレートしたり , 地震災害の状況を時々 刻々記録するシステムでは , 環境情報を連続的な時間変化として記述すること が必要である . 3.3 従来の地図と数値地図の相違点 地理情報システムでは , 従来図形データを文字数値データと組み合わせて利 用することが多かった . しかし今日では , リモートセンシング技術との融合化 が図られ , 人工衛星や航空機で撮影された画像も組み合わせることが可能に なってきた . したがって , 地理情報システムが扱うデータベースの形態も , 図 形 , 画像 , 文字数値それぞれを , 目的に応じて使い分けるようになり , 以下に 形式のデータを指すことが多い . また , ラスタ形式 ( イメージ形式 ) とはラス 録をしている地図データベースを指す . 通常 , 数値地図とし こで , べクトル形式とは , 座標列を主体とする図形データによるデータ記 ラスタ形式 ( イメージ形式 ) べクトル形式 数値地図 地図従来の地図 ( 紙地図 ) 示すように地図の分化が起こっている . 、う用語はべクトル 3.1 を参照されたい . であるのに対し , 後者は「絵」であることである . 違いの詳細については表 も呼ばれる . 従来の地図と数値地図の大きな違いは , 前者は , 基本的に「図」 タデータ ( 画像 ) を主体とするデータベースを指す . これはイメージマッフ。と
28 3 . 1 3 . 1 . 1 3 地理データベースの記述方法 2 次元的な地図の記述方法 画像と図形 2 次元データとして地図を考えた場合 , グラフィックディスフ。レイに表示さ 、れた地図は多くの場合 , 索引図や , 他の図形データの背景図として使われる . たとえば照明灯の電気が切れているとの通報が市民からあったとき , 照明灯 の位置を表示した地図 ( 図 3.4 ) があれば , 場所の確認はできるであろう . この 場合 , 地図の検索要求が発生してから表示されるまでの時間と , 地図の読みや すさがもっとも重要である . 地図の検索時間を短くするためにはデータ量を軽 量化することが有効である . 図形やシンポルの単純化 , 必要な図形データのみ の表示といった手法をとり , 検索性能と読図のしやすさを追求することにな る . 地図を画像化することも有効である . 画像化すると , 図形と比べそのデータ 量はかえって増加する場合もあるが , データの形式は単純化されるので , フ。ロ グラムの表示アルゴリズムをかなり簡潔に記述することができ , データ圧縮な どの技術を使えば , 結果として表示速度の向上が図れる . ただし , 何枚もの地 図を図郭を越えて自由に平行移動 ( スクロール ) する場合などでは隣接した地 図との間で線がつながるよう , データベースをつくる際に整合させる必要があ る . 図面や文書の間に地図が混在するような資料を保管・管理したいといった要 求に応えるためには画像ファイルとして管理することが有効である . 地図を図形として扱うか , 画像として扱うかは利用目的に大きく依存する . 図 3.2 に示すように , 紙に描かれた地図は , スキャナで撮像入力することに よって電気的な信号としての画像データに変換される . このデータは , 人力対 象の地図を , 単に画像として , モノクロの場合は白と黒の , また , 多色図の場 合はそれそれの色の領域として塗り分ける単純な点列で記述できる . そのた め , 特に地図としての情報化はされていないが , そのままでも原図の伝送や表
2 地図の表示法 地図の目的によって , 表示対象の重点は変わるし , 対象地域の特性を , 地図 を見る者に理解させることを考える必要もある . また , 総描は図化する対象地 域のなかで片寄りがあってはならないし . 表現に個人差があってはならない . 調 強 強調手法には , 拡大 , シンポル化 , 転位がある . 拡大とは , 縮尺どおりに表示すると図上で認識できなくなってしまうものに ついて , 幅を太くしたり , 大きく引き伸ばして表示することであり , 総描と深 い関係がある . たとえば , 1 / 50000 地形図で幅 10m の道路を正確な縮尺で描く と , 幅 0.2 mm になる . しかし , これでは目立たないので , 1 mm 程度に拡張 し , 拡大表示する . この場合 , いろは坂のような , 曲がりくねった部分は表現 できなくなり総描 ( 単純化 ) を行うことになる . 同様のことは海岸線 , 河川 , 境界線などでも起こる . 強調表示のなかで重要なものにシンポル化がある . 縮尺どおりに表示すると 無視されるようなものはシンポル化し , その存在を利用者に伝達することが行 われる . したがって , シンポルはそれが何を示すか , 地図利用者が予備知識な しに直観的に連想できるようにデザインされねばならない . また , たとえば凸 のように , すでに一般的になっている記号を別の用途に利用することはすべき でない 2.2.4 転位 転位とは , 強調表示の結果重なってしまうものの位置をずらすことである . たとえば , 道路を拡大表示すると , 沿道の建物は道路の外側にずらして表示せ ざるをえない . しかし , 転位を勝手にすると位置精度にばらっきがでてしまう ので , 地図の目的をふまえ , 重要なものは転位をできるだけさけるべきであ る . 地形図などでは , 一般に以下のような重要度ランクを採用している . ( 1 ) 鉄道 ( 2 ) 水路
68 4 地理データベースの作成 青 80 60 紫 赤 20 400 500 600 7 波長 Cnm) 図 4.12 色鉛筆の吸光特性の一例 線を画像データとして入力する場合には , 光電変換をするときのスポット径 が問題になる . すなわち , 図 4.14 に示すように , 線幅に対してスポット径を小 さな値にしても , 無限小でない限り境界領域にかかる点は必ず存在する . この ような点におけるスペクトルは , 領域ごとの吸光度の合成値になる . そこで , 適当な許容幅を設けて吸収の差を判定する必要がある . この許容幅はスポット 径の影響とともに , 画像入力時の光学的 , および電気的変動に依存して決まる ため , 実際的には標準的な線の実測値から求める . ス℃ 1 ス℃ IB をを : み 色 C2 吸光度 ス . C2 ス℃ 2B CI CiB 、色 CI ん 波長 吸光特性の模式式図 図 4.13