完全に不活性な気体を加えて元の圧力に戻したときに , 反応速度も初めの値に戻るはず である . この不活性気体の効果は多くの場合について確かめられている . 表 15 ・ 2 は現在単分子過程だと信じられている反応についてのリストである . う反応を定量的に記述できる理論は , 現代化学の中で重要な分野になっている . 15 ・ 12 溶液中の反応 液体溶液の統計力学は気体のものほどは進んでいない . したがって溶液中の反応速度 の一般理論は , 気相反応の理論ほどは完ぺきではない . しかし溶液中の反応についての 実験的データは非常にたくさんあり , 溶液中の速度過程についてのたくさんの面白い性 質もかなりよくわかっている . N205 , C120, CH212 の分解やヒ。ネンの異性化のような 1 次反応の多くは , 気相や溶液 中でほぼ同じ速度で進む . だから分子が溶媒分子と衝突して活性化される速度と , 気相 中で同一種の他の分子と反応する速度は同じになってよい もっと注目すべきことは , 多くの 2 次反応 , というよりは二分子反応の速度は , 気体 分子の運動の衝突理論から予言される速度に非常に近い値になることである . いくっか の例が表 15 ・ 3 の最後の欄に示してある . このように両者が一致することはつぎのよう に説明できるであろう . 反応に関与する反応物のどんな分子も , 他の反応物分子と出会 表 15 ・ 3 溶液中の反応の例 15 ・ 12 溶液中の反応 0.8 0.1 0.6 0.9 381 反応 C2H50Na 十 CH31 C2H50Na 十 C6H5CH21 NH4CNO—→ (NH2) 2C0 CH2C ℃ 00H 十 OH- C2H5Br 十 OH- (C2H5) 3N + C2H5Br (NH2) 2CS 十 CH31 C12H 011 十 H20 ーー C6H1206 スクロース 溶媒 C2H50H C2H50H H20 H20 C2H50H (CH3) 2C0 H20 (H + ) Ea kJ m01 ー 1 81.6 83.3 .1 108.4 89.5 46.9 56.9 107.9 〔 ( 15 ・ 7 ) 式〕 dm31 01 ー 1 S 2.42X 1011 0.15 x 1011 42.7x 1011 4.55 x 1011 4.30X 1011 2. X102 3.04 x 18 1.5 x 1015 14.5 1.9X10 ー 4 1.2X105 1.9 x 109 うまでに , 溶液の中である程度の距離をフラフラと動きまわっているはずである . だか ら気相中に比べて , そういう分子の出会う回数は少なくなっているであろう . しかし一 度それらが出会うと , 二つの反応物分子は溶媒分子の。かご ' に閉じこめられて , かな りの時間たがいに近づいたままでいることになる . すると反応し合う分子の対の間で何 度も衝突が繰返されるので , その結果実質的な衝突の回数は気相中での値とあまり変わ らないことになる .
13 ・ 14 流通系中の反応 つある . 13 ・ 14 流通系中の反応 323 いままでに議論した反応の速度式はいずれも , 静止系 (staticsystem), すなわち , 定の体積と温度で容器の中に閉じこめられた反応混合物についてのものであった . しか し , 化学工場におけるほとんどの反応は流通系 (flow system)* の中で行われる . すな わち , 反応物は反応容器の入口から連続的に入り , 生成混合物は出口から取り出される . 流通系の二つの例について説明しよう . ①かくはんしない反応容器 ; ( 2 ) 激しいかく はんを絶えず行って完全に混合される反応容器 * *. 図 13 ・ 6 は流通する容積の速度 4 ( m3 s-l 単位 ) で反応混合物が通過する管状の反応容 器を示してある . この管から体積要素 dV だけを輪切りにして , この部分にという 濃度で入り込み , + dCK で出てゆくある特定の成分 K に注目することにする . いま縦 CK 十 dCK d / CK, の 2 項の和になるはずである . すなわち , d 内の化学反応によるものと , d に入っ 方向の混合がないとすると , dV 中の K の量の単位時間当たりの変化 , K / 市はつぎ 図 13 ・ 6 流通反応容器内の体積要素 てきたものから出てゆくものを引いた量の和であるから , d2iK rKdV—udcK ( 13 ・ 23 ) こで単位体積当たりの化学反応の速度を rK と書いた . rK の値は反応の速度式からき ちんと表せる . たとえば K に対して 1 次の反応であれば rK = ーん ICK , 2 次であれば rK = ーんなどである . 流通系での反応がある時間続くと定常状態 (steady state) に達する . そこではどの体 積要素中でも各成分のモル数は時間とともに変化せず , その体積要素に差し引き入り込 む流量がその中での反応量と正確に釣り合っている . そのとき K / 市 = 0 だから , ( 13 ・ ネ * W. C. Herndon, 工 C ん劜五 c. , 41 , 425 ( 1964 ). England ( 1965 ). * K. G. Denbigh, "ChemicaI Reactor Theory ” , Cambridge University Press, Cambridge, ぉ K がの関数として表されれば , この式は積分できる . rKdV—udcK 23 ) 式はつぎのようになる . たとえば rK=—k1CK だと , ( 13 ・ 24 )
10 ・ 15 油と水の混合物 241 になったときに沸騰が起こる . したがって揮発性の低い液体を揮発性の高い他の液体と 混ぜるとかなり低い温度でも蒸留することができる . 有機化合物の液体の水蒸気蒸留は この原理の一つの応用である . 例題 10 ・ 8 水と混ざり合わない液体 A を水蒸気蒸留したところ , 200 の 留出液が出てその中に 57.2m ーの A が入っていた . 蒸留時の沸点は 98.2 。 C で , 気圧は 100kPa だった . 98.2 。 C での水の蒸気圧は 94.9kPa である . 液体 A の密 度は水の 1.83 倍である . A の分子量 MA はいくらか . 104.7 / MA 十 142.8 / 18.0 104.7 / MA 襯 = 142.8X1.00 = 142.8g 襯 A = 57.2X1.83 = 104.7g mA/MA + mw/Mw mA/MA 98.2 。 C で A の部分圧は ~ A = 100 ー 94.9 = 5. IkPa となるから , 10 ・ 15 油と水の混合物 で MA=246gmol-1 となる . 100 したがって , 4 = 4 十 RTlnX + Tlnr = 。響十 RTlnX,w 十尺 Tln7i を 4 へプタン中での値をと書くと , ( 10 ・ 14 ) 式から 水と②へプタンへの溶解度の問題がある . この溶質の水の中での化学ポテンシャル らきがいろいろとわかるようになった . ーっの例を挙げれば , ある種の炭化水素の① の溶液の熱力学的性質の研究によって , 生体系の水溶液中でのタンパク質や脂質のはた 水と油は混ざらないとう格言があるが , 炭化水素はわずかではあるが水に溶ける . そ わりのエントロヒ。ーはそれに見合うだけ増加したはずである . が起こった結果 , 生命をもったものが発生したと考えられる . もちろんそのとき膜のま 膜が何か少量の水溶液をとりこみ , その中でントロビーが減少するような一連の変化 面にまたタンパク質分子がぶら下がるというようになっている . これらのいわば油性の 基本である . すなわちその脂質層の中にいろいろなタンパク質分子が入りこみ , その表 り立たない . 細胞膜の構造は , わずか 2 分子の厚さ ( 脂質二重層 ) の脂質の層状構造が 成り立たない . すなわち生物は細胞がなければ成り立たず , 細胞は細胞膜がなければ成 中を泳ぐようなことがあるかもしれない . しかしわが地球上の生物は油と水がなければ 他の星の世界では , シリコーンの高分子の筋肉をもった生物が液体アンモニアの海の
人の心の中には , 生まれつき備わっている部分と後から獲得した部分が あるが , その間には何も共通したところがないのだろうか . 人がもってい るのは , この二つを合わせたものだし , これ以外には何もない . そしてこ れらは全く混ざりもかみあいもしないといわれている . 本当にこの二つは 完全に別なものなのだろうか . うまく一緒にできないのだろうか . 実はこの二つのものには共通点がある . もうすでに気がついていると思 うが , どちらも人の身についている考え方なのだ . この二つが合わさって 人の心の中の知識になっている . だから , これらは別のものではあるが , 切り離すことはできない . 自然がわれわれにはたらきかける時に , われわ れの心の中の知識はこの二つに分かれる . われわれはそれをまた結びつけ る . 恐らくそういうことをするためにわれわれの存在意義があるのであろ Charles Sherrington “人と自然” ( 194 の
1 7. 熱力学の第 2 および第 3 法則ーーエントロピー 原子バーセントは 100X だから , ( 7 ・ 22 ) 式から 位体の lm 。 1 当たりの混合のエントロビーを計算せよ . 1.5 % ; 206Pb, 23.6 % ; 207Pb , 22.6 % ; 208Pb, 52.3 % である . 天然の Pb の同 例題 7 ・ 8 天然に産する鉛の同位体組成は , 原子数のパーセントで , 204Pb , △ S 1 ー R ( 0.01 引 n0.015 十 0.2361n0.236 十 0.2261n0.226 十 0.5231n0.523 ) 一 ( ー 0.063 ー 0. 1 ー 0.336 ー 0.339 ) ー 8.314 ( 一 1.079 ) = 8.97JK ー 1m01 ー 1 7 ・ 12 混合物の確率 2 種の物質を相互拡散によって混ぜるときのエントロヒ。ーの増加についての深い理解 を得るために , もっと少ない数の粒子の関係する混合過程について考えてみよう . 二つ の同体積の箱が一つの壁で仕切られるようにつながっていて , その一方には 10 個の黒 い玉が , 他方には 10 個の白い玉が入っているとする . いまその仕切りの壁をとりはらっ て両方の箱をよくゆさぶってみる . その結果二つの箱の中に白と黒の玉が乱雑に分布し た混合物ができたことになる . われわれの経験によれば , この容器を何度振っても , 白 黒の混ざり合いが起こらなかったり , 初めとまったく同じ配置になる確率は非常に小さ い . 2 種の気体の相互拡散のように , この玉の混合は本質的に不可逆過程のように見え る . 混合した状態が続く原因は , 混合物の実現する場合の数がとても大きいのに対して , 完全に分離した状態はただーっしかないことにある . トランフ。の好きな人にアヒ。ールす るようなたとえ話をすると , プリッジで配られた 13 枚の手の中の全部が , ートの札の 場合に当たる . フ・リッジをよくやっている人のほとんど誰も , こういう 13 ノ トとい う手を配られた経験はないだろうが , これは 13 枚のカードの他のどの特定の ( speci 石 ed ) 配り手と比べてもまったく同じ確率をもっているのである . しかし , この 13 ハート以 外の配り手の数があまりにも多いので , 普通に ( ランダムに ) 配った手の中で 13 / が現れる確率はきわめて小さいのである . ( 実際にその確率は , 52 ! / ( 39 ! 13 ! ) 6.35X 1011 通りの配り手の中の一つということになる . ) 今度はⅣ個の黒玉とⅣ個の白玉を使おう . 一方の箱に B 個の黒玉とⅣ = Ⅳー召個 の白玉の入る確率は , その組合わせの中の特定の配列をとる確率 Pi ( お , Ⅳ ) と , その組 合わせの中で玉が区別される場合の数 gi との積になる . 右側の箱の中の配列は , 左側の 箱の中の配列の一種の・鏡像 ' になっていることに注意しよう . もし左が黒 6 白 4 だと すると , 右は黒 4 白 6 となる . つまり反対側の箱については機械的にわかるから , 一方
9 ・ 14 浸透圧と蒸気圧 レーが実験したように , タンパク質の膜は水を通すがアルコールは通さない . 他の例で は膜は分子ふるいの役をする . すなわち膜にあいている穴の断面積は非常に小さいの で , 水のように小さな分子は通れるが , 炭水化物やタンパク質のように大きな分子は通 れないためである . しかし半透膜がどのような機構でそういう機能をもとうとも最終的 な結果は同じである . 浸透流は拡散する成分の化学ポテンシャルが障壁の両側で同じ値 になるまで続く . この流れが閉じた容器の中で起これば , その内部の圧力は増加せざる を得ない . 表 9 ・ 3 20 ℃におけるスクロースの水溶液の浸透圧 一重量 : モノレ モル濃度実測され 計算された浸透圧 / kPa 濃度 , 加 た浸透圧 m01 kg-l m01 dm-3 kPa ( 9 ・ 37 ) 式 ( 9 ・ 4 の式 ( 9 ・ ) 式 0.1 0.098 262 239 243 0.192 513 487 771 0.282 731 1027 0.370 975 0.453 1292 1220 0.6 0.533 1559 1460 0.610 1837 1700 0.685 2119 1945 0.757 2403 2190 1.0 0.825 2693 2430 211 247 553 792 1035 1279 1520 1763 2003 2244 2480 689 囲 2 1100 1300 1490 1670 1 0 2010 9 ・ 14 浸透圧と蒸気圧 平衡に達した浸透圧の大きさは熱力学的な方法で計算することができる . 図 9 ・ 11 に ついて考えよう . 純溶媒 A は B を溶かした A の溶液と膜で隔てられているが , その膜 は A の方しか通さない . 浸透圧が〃にまで上がって平衡に達する . この平衡が成り立 っための条件は , A の化学ポテンシャルが膜の両側の 2 相 a と b で等しい , , ということである . だから平衡点では溶液中のは純粋な A の・値に等しくなけれ ばならない . 溶液中のの値が純粋な A の値からずれる原因は二つあって , その二つ は″ A に対してちょうど大きさが同じで逆の効果をもったものでなければならない . そ の一方は A が溶液の中で薄まったために″ A に生じた変化である . ( 9 ・ 25 ) 式によれば , この変化は△ = TlnPA / A ・で与えられるの減少値である . こでみは溶液中 の A の部分蒸気圧 , A ・は純粋な A の蒸気圧である . これとちょうど逆の効果が浸透 圧〃によって生じたこの溶液中の″ A の増加分となる . ( 9 ・ 18 ) 式から , dga=VAdP となるから , △ = 〃である . ( この場合溶液の体積は押し縮められない , つまり塚 はによらないと仮定している . ) のこの二つの逆向ぎの変化を等しいと置くと ,
382 15. 反応速度の理論 リオン (Lyon) とレビー (Levy) は , アゾメタンの光分解 , CH3—N=N—CH3 → C2H6 + N2 の研究で , 溶媒のつくるかごの存在をきれいに実験で示した . アゾメタン分子が 紫外線の 1 光子んを吸収すると , 解離して二つのメチルラジカルができる . CH3—N= N ー CH3 → 2CH3 ・十 N ムこのラジカルはすぐに結合し合ってエタンをつくる , 2CH3 ・→ C2H6. CH3—N=N—CH3 とその重水素化物 CD3 ー N = N ー CD3 の等モルの混合物が気 相中で照射されたときにできるエタンは CH3—CH3, CH3—CD3 と CD3—CD3 で , その 比は統計的に期待される値 1 : 2 : 1 にほぼ等しい . CH3—N=N—CH3 と CD3—N=N ー CD3 の混合物の光化学分解をイソオクタンの溶液中で行ったときできるエタンはほと んど CH3—CH3 と CD3 ー CD3 になる . この実験は , 溶液中のアゾメタンの光化学分解 の初期にできるメチルラジカルが溶媒のかごにしつかりとらえられ , 各アゾメタン分子 から生じたラジカルは , よそへ拡散していって他のアゾメタン分子から生じたラジカル と出会う前に , 自分たち同士で結合することを強く支持している . 溶液中の他の二分子反応の速度は , 気相中の同じような反応の速度とは , ファクター にして 109 から 10 ー 9 という , かなり大きな差がある . このファクターの大きな反応は 大きな正の△の値に , 小さな値の反応は負の△に対応する . 気相反応で△が重 要であるという話はここでも同じように当てはまる . 会合反応は通常小さな頻度因子を もつが , それは活性複合体ができたときにエントロヒ。ーが減少するからである . 例とし てメンシ = キン (Menschutkin) 反応がある : (C2H5) 3N 十 C2H51= (C2H5)4NI. この反 応で△ S まは一 160JK ー 1m01 ー 1 である . [ 300K での△ S ま = ー 160JK ー 1m0 に 1 と△ S ま = 0 に 対応する速度式の指数部分にかかるファクターの比はいくらになるか . ] 15 ・ 13 拡散律速反応 気体中では , 二分子反応の速度の上限は衝突の頻度によって決まる . もし活性化エネ ルギーがゼロで立体因子が 1 であるならば , すべての衝突が反応に結びつく . 液体中で は , 反応速度の上限は , 溶液中を乱雑に走り回る反応物分子間の最初の衝突の頻度でき まってしまう . 1917 年にスモルコフスキー (). Smoluchowsky) はコロイド粒子の成長に関する理 論をたてた . それはコロイド粒子に向かって小さな粒子がつぎつぎに集まってその表面 に付着して大きくなるという理論である . デ , くイ (Peter Debye) はこの理論を , 溶液 中での反応の最初の出会いの速度を計算することに適用した . もし粒子間のどの出会い も反応に結びつくとすると , 拡散律速の条件下での 2 次の速度定数の限界値は , = 4 AB ん ()A + DB) ( 15 ・ 22 ) となる . DA と DB は , 反応物 A と B の拡散係数 ( 16 ・ 12 参照 ) で , イ AB は有効衝突 直径である . dAB=5x10-10m, DA=DB=10-9m2s-1 という小さな分子の典型的な値
232 10. 実在の気体と溶液 と Kx の計算値を表 10 ・ 4 に示してある . 表 10 ・ 4 クロロホルム溶液中 281.4K における N204 の解離 1 X ( N204 ) 18X ( N02 ) 1011KX c ( N204 ) 1 ( N02 ) m01 dm-3 1.03 1.81 2. 3.20 6.10 0.93 1. 1.47 1.70 2.26 8.37 9.05 8.70 9.04 8.35 平均 8.70 0.129 0.227 0.324 0.405 0.778 1.17 1.61 2.13 2.84 105K 。 1.04 1.13 1.05 1.14 1.07 平均 1. 四 この表には , 濃度 c を使って計算した平衡定数の値も入れておいた . N02 CN204 C Kx に合う標準状態を選ぶ場合の例として , 表 10 ・ 4 の N204 = 2N02 反応の Kx の値 い溶液の中と同じような状態である . になる . すなわち濃度は c 。 = lm 。 ldm ー 3 であるが , 溶質のまわりの環境はきわめて薄 ることになる . この場合っぎのような溶質の仮想的な状態を標準状態と定義すること 置いて , c → 0 のとき 7 → 1 , したがって Ka → Kc となるような活量係数 7 を新たに用い こうすると , a=c と Ka 式を適用したことを意味している . よく注意してほしい . こで Kc を使ったということは , 標準状態に新しく別な状態を選んで△ GO=—RTX を使う . —RTInKx = .20kJmo に 1 Kc に合う標準状態を選ぶ場合の例としては , 同じ表の長の値を使う . △ G (c) —RTInKc = 26.73kJ m01 ー 1 これらの例を見れば賢明なる読者はつぎのような注意を記憶にとどめるであろう . すな わち , 溶液中の反応の△ G 。値を使う場合には , その値がそもそもどういう標準状態を もとにして議論しているかを正しく認識していなければまったく意味がない . 10 ・ 10 水溶液中の生体物質の△研 生物化学的反応は , かなり厳密に pH とイオン濃度の定まった水溶液中で進行する . これらの条件は気体や無極性液体中での反応の通常の標準状態とはまったく違うので , 通常の熱測定の実験で使われる標準状態での熱力学的データを生理学的興味にあった条 件へどう関連づけるかという問題が生じる . たとえば , ある生化学物質の 298.15K の 結晶状態での△ G 尸を , 生成ェンタルビーと熱力学第 3 法則のエントロビーとから求め ることができる . その熱力学的データの例が表 10 ・ 5 に載っている .
物王里平〒とイヒ学平復〒 自然界は一つの大きな劇場と考えることができる . その一場面ー場面は絶えず変化し ている . われわれ自身の存在も , 環境の変化やからだの中の生きた細胞の変化というよ うに , 様々な物理変化と化学変化に支配されている . われわれは暖をとるために火を燃 やし , あちこち動きまわるためにエンジンの中で燃料をたく . それに対して , 身体の中 では食物の燃焼がわれわれの体温を維持し , 同時に筋肉の運動に必要な ATP ( アデノ シン三リン酸 ) という生物化学的燃料をつくり出している . 化学熱力学の目的は , 自然界における変化の普遍的な原理とその変化の方向 , および 定められた条件下での平衡点の位置などを知ることにある . これらの変化と平衡の多く は , 液体や非理想気体や結晶構造の中で起こっている . そこでは大きな分子間力は物質 間の平衡に無視でぎない影響を与えている . そのため平衡についての基本的な理論の骨 子も , 非理想系のもっ様々な熱力学上の問題点をとりこんでかなり複雑なものとなって しまう . そこでこの章では , われわれは平衡の理論を純粋物質と理想気体に限ることに して , 非理想気体や溶液の問題への拡張は 10 章で取扱うことにする . 8 ・ 1 工ントロピーと平衡 ェントロヒ。ー関数 S を導入することによって物理化学的変化を支配する統一的な理 論がつくられる . 孤立した系の中で起こる任意の変化に対して △ S 0 ( 8 ・ 1 ) カ城り立つ . 孤立系というのは , エネルギー U と体積 V が一定の系のことである . だ から ( 8 ・ 1 ) 式は , ある一定の U と V をもっ系でエントロビー S は増加するか一定で あるかのいずれかであることを述べている . S が一定であるならば , その系は平衡に達 している . その系の状態が変わる場合は , ェントロビーは増加しなければならない .
10 ・ 9 溶液中の平衡定数 231 ることがわかる . いろいろな組成でこの実験を繰り返して aA の値を充分広い範囲に求 めると , ギフ・ズーデュエムの式〔 ( 10 ・ 24 ) 式〕を使って溶質の活量 aB を計算することが こうして求めた生物化学的に興味あるいくっかの物質のモル活量係数のデータ できる . を表 10 ・ 3 にまとめてある . 10 ・ 9 溶液中の平衡定数 AG0=—RTInKa の関係は絶対的に正しいが , これは平衡の問題を数学的に解析し た結果を式でまとめたに過ぎない . この式の物理的内容を説明するとつぎのようにな 1. 2. 3. める . 化学平衡な A 十み B = cC 十イ D における反応物と生成物それそれの標準状態を定 どの成分もその標準状態にあるとしてこの反応の AGO を計算する . そのとき , 平衡混合物の各成分の活量の間に K. = 。 c D イ / 4A44B みという関係 Ka(), ぞ ) が成り立っ . この平衡混合物の実際の組成についての何らかの情報を得たり , また逆に平衡時の組 成から Ka や△ G0 を計算するためには , 活量を何らかの成分濃度の変数と関係づける必 要がある . たとえば = プ X であるから , rcc ア D イ Xcc イ ヾ TBb XAa XBb ( 10 ・ 25 ) KT が平衡定数ではなく , 活量係数のあるかけあわされた積に過ぎないことに注意する こと . 一般に平衡混合物の組成を変えたときに , T や ~ が一定であっても , Kx は一定 にはならない . しかしある場合には , 組成の変化に対して KT があまり変わらない場合 もありうる . 特に希薄溶液では , 溶質が近似的にヘンリーの法則に従い , 溶媒が近似的 にラウールの法則に従うときは , 前節で示したように , すべてのアが 1 に近づくように 標準状態を選ぶことができる . この場合 Ka → Kx かっ△ G0=—RTlnKx となる . これらの近似が充分満たされる範囲内では , 溶液中の反応については平衡定数 Kx を 使うことになる . だからといってこのような近似的な平衡定数をあなどってはいけな い . なせなら , もっと厳密な取扱いをしても実験データにあわないことがよくあるから である . とにかく大事なことは , △ G 。の標準状態を何に選ぶかをはっきりとさせること である . 溶媒の場合は純液体をとればよいだろう . 溶質の場合は X = 1 であってしかも 分子間力はきわめて薄い溶液の中と同じという仮想的な状態をとればよい . 溶液中の平衡の測定の例として , クロロホルム中の N204 = 2N02 という解離平衡に ついてのカンダル (Cundall) による初期の仕事 ( 1895 年 ) がある . 彼のデータの一部