3. 分子のエネルギー 残りの 3 Ⅳー 3 個の座標は内部自由度 (internal degree of freedom) を表してい れる . る . 例題 3 ・ 3 直線形分子 OCS の重心はどこか . ただし , 。 c = 116Pm , Rcs 156 pm ( 1 pm= 10 ー 12m = 10 ー 2 Å ) 相対的な原子質量を襯。 = 16 , 加 c = 12 , 襯 s = 32 とする . ェ軸と分子軸が重なる ようにェ軸を定める . 座標の原点が重心にあるための条件は襯 0 ェ 1 十襯 c 十襯 s ェ 3 = 0 である . 0 ー 16 ( 十 116 ) ー 12 ェ 2 十 32 ( 156 一 2 ) ・エ 2 = 52pm 重心は CS 結合上で C から 52pm = 0.52 Åのところである . りの回転 x 軸のまわ y 軸のまわ りの回転 りの回転 x 軸のまわ (a) y 軸のまわ りの回転 z 軸のまわ りの回転 図 3 ・ 1 (a) たがいに直交する 2 本の軸のまわりの直線形分子の回 転 . (b) たがいに直交する 3 本の軸のまわりの非直線形分子の回転 内部自由度は振動と回転に分配される . 直線形分子の回転運動の自由度は 2 で , 非直 線形分子では 3 である . どうしてそうなるかは図 3 ・ 1 を見ればわかるだろう . [ 直線形 分子で核を結ぶ軸のまわりの回転運動を除外する理由は何か . ]
4. 分子の量子レベル 2. 300K において平均速度で動いているヘリウム原子のドプロイ ()e Broglie) 波 長 ( 例題 4 ・ 1 ) を求めよ . 1 K ではどうか . 10 ー 6 K ではどうか . 3. 1000K において平衡状態にある核反応炉から中性子線が出ている . この中性子線 は金属はくの回折の研究に適しているか . 4. 最新式の電子顕微鏡は 1000kV で操作する . そのときの電子線の波長はいくら 5. 電子を長さ 2 nm の真っすぐの直線形分子中に閉じこめた . この電子がもっこと のできる最小エネルギーはどのくらいか . また , このつぎのエネルギー準位に電子を励 起するために必要なエネルギーはいくらか . ( 1 次元の箱の中に粒子があるというモデル を使う . これはかなりよい近似である . ) 6. IeV はなれた二つのエネルギー準位の間の遷移から出てくるスペクトル線の波 数 D(cm-1) を計算せよ . 7. C02 レーザーはス = 10.6 m の赤外線を出し , その強度は IkW である . 1 秒間に 何個の光子が放出されているか . もしレーザー出力がすべてロの水に吸収されたなら ば水の温度を 20 。 C から沸点まで上昇させるにはどのくらい時間がかかるか . 8. 12C160 分子 ( 例題 3 ・ 4 ) は一つの回転自由度あたりん T のエネルギーをもって いる . 25 。 C のとき (a) 角運動量 ; (b) 角速度 ; (c) 回転振動数 ( 1 秒間あたりの回転数 ) ; はそれそれどのくらいになるか . また (d) 回転している 160 原子の速度はいくらか . の速度は 25 。 C の平均的な並進の速度と比べるとどうか . 9. Na35CI の基準振動の波数は 380Cm ー 1 である . この振動数を計算せよ . 真空中で の波長はいくらか . 屈折率がれ ( air ) = 1.0002 であるならば , 空気中で測定したときの 波長はいくらか . このとき放射または吸収される光子のエネルギーはいくらか . (a) J; (b) eV; (c) kJmol-1 のそれそれの単位で答えよ . 10. ラ = 2 9.67cm ー 1 の HBr に対して問題 9 の計算を繰返せ . 通常スは空気中で計測 されるのに対して , D はたいてい真空中での値であることに注意せよ ( ど = c / の . 11. 1 辺が lnm の立方体の中に 1 個の H 原子がとじこめられていたとする . 最低許 容エネルギー準位はいくらか . (a) J; (b) eV の単位で求めよ . 最低エネルギー準位と そのすぐ上のエネルギー準位との間のエネルギー差を (a) eV; (b) cm ー 1 の単位で求め よ . 12. CH30H の 0 ー H 伸縮振動は D = 3300Cm ー 1 にある . CH30D の 0 ー D 伸縮振動の を計算せよ ( 力の定数は同じである . なぜか ). 13. 1 ℃ 160 のマイクロ波スペクトルにおいて , = 0 → 1 遷移は 115271.204MHz で起 こる . 12C160 の慣性モーメントと核間距離を求めよ . 14. H35C1 に対して , & = 127.5pm である . = 0 → = 1 の回転遷移の波数を計算せ よ . び 5C1 に対しても同じ計算をせよ . ただし両方とも同じをもつ . 15. H35C1 の赤外線吸収の基準振動にみられる P 枝と R 枝の間のギャップ幅 (cm-l) を計算せよ ( 問題 14 を参照 ). 16. 同位体置換しても振動のカの定数は変化しない . H35C1 のラ = 29 cm ー 1 である . H CI の場合の莎を計算せよ .
4 ・ 7 回転エネルギー プロイの関係式から , ス = ん / となるから , = ん刀 2 世が成り立ち , 〃 = = 2 ん 2 / 8 となる . はゼロになれなかったのに , なぜはゼロになれるのか . ] 図 4 ・ 7 で表された回転は 2 次元のものである . 実際には分子は 3 次元の空間で回転 している . ネルギーの式の中のの代わりの正しい表式はは十 1 ) であることがわ z 13 かる t. すなわち回転エネルギー準位として許される値は は十 1 ) ん 2 8 冗 21 ( 4 ・ 1 の となる . ( 4 ・ 1 の式から , 分子が小さな回転モーメントをもてば回転エネルギーの 1 量 子が大きくなることがわかる . ( = ん 2 であるから , ( 4 ・ 1 の式によれば , 分子の回転 振動数は回転エネルギー準位の量子数の増加に伴い増加する . 角振動数は = 2 冗ソ であることを想い起こしてほしい . 分子のマイクロ波や赤外線の吸収の測定から , ( 4 ・ 1 の式の正しいことが示される . 例題 4 ・ 4 1602 分子の核間距離は 120.80pm である . = 0 と = 1 の回転の エネルギー準位間の間隔△ ( はいくらか . 1602 の換算質量は = 1.33 x 10 ー 26 kg ( 16.02 / 32. の x 10 ー 3kgmo に 1 = 5.71 x 10 ー 23J = △ ( 8 冗 2 ( 19.5 x 10 ー 47 kgm2) ( 6.63 x 10 ー 34Js ) 2 ② = 0 では ( , = 0 , = 1 では ( 4 ・ 10 ) 式から = 19.5 x 10 ー 47 kg m2 ー = gR 。 2 = ( 1.33 >< 10 ー 26 (g) ( 121 >< 10 ー 12m ) 2 6.02 x 1023md ー 1 が得られる . 等しいとき , 350K での量子数のおよその値はいくらか . 例題 4 ・ 5 1602 分子の回転エネルギーが , 古典力学的平均値ん T にだいたい kT= ん 2 は 2 ) は + 1 ) } 8 冗 2 / 8 冗 2 / ( 8 冗 2 T ) 1 / 2 ( 8 冗 2 ) 1 / 2 ( 19.4 x 10 ー 47kgm2 ) 1 / 2 ( 1.38 x 10 一 JK ー 1 x 350K ) 1 / 2 6.63 x 10 ー 34Js ↑訳注 : 一般に角運動量んの自乗の期待値をシュレーディンガー方程式に入れて解くと , か ( ん十 1 ) が得られる . 21 ・ 5 を参照 .
28 イ を定義すると , 12. 3 T 統計熱力学 ( 12 ・ 28 ) 315 T が得られる . これは T > e , である限り 1 % 以内の誤差で正しい結果を与える . 例題 12 ・ 2 298K における F2 のを計算せよ . 1 = 32.5X10 ー 47kgm2 とす ( 12 ・ 26 ) 式に代入すれば 8 冗 2 ( 32.5 x 10 ー 47 kg (2) ( 1.38 x 10 ー 23JK ー 1 ) ( 298 K) 2 ( 6.63X 10 ー 34Js ) 2 る . = 120 12 ・ 11 回転のエネルギーとエントロピー - ー一直線形分子 ( 12 ・ 4 ) 式と ( 12 ・ 1 の式から , lmol 当たりの回転のエネルギーをつぎのように計 算することができる . 01n えん Um = ん T2 =RT 田 n ぇ ( 12 ・ 2 の この結果は古典的な値 , すなわち回転の自由度が 2 の場合のエネルギーの等分配則にほ かならない つぎにエントロヒ。ーの回転による寄与を計算すると = ん ln ぇ十 となる . ( 12 ・ 26 ) 式のをこれに入れて U=RT と置くと次式が得られる . = ln 8 2 T ( 12 ・ 3 の ( 12 ・ 31 ) 例題 12 ・ 3 298K における F2 のエントロヒ。ーに対する回転の寄与を計算せ 例題 12 ・ 2 で得られた回転の分配関数 = 120 を ( 12 ・ 3 の式に入れると Sr = ( 8.314J K-I mo に 1 ) ln ( 12 の十 ( 8.314 J K-I m01 ー 1 ) = 48.1 J K-I m01 ー 1 ( 12 ・ 31 ) 式を見ると , 慣性モーメントーが大きくなると回転のエントロビーも大き くなることがわかる . ーが大きくなれば , 回転エネルギーの準位はどんどん密につまっ ていくので , どんな温度 T であっても , 分子のとりうるミクロな状態の数もどんどん 増える . とりうる状態の数が増えるということは , それらの中での分子の分布の乱雑さ よ .
4. 分子の量子レベル この二つの例は回転の量子が古典力学工ネルギーの平均 ( 300K でん T = 4X10 ー 21J ) よ りはかなり小さいが , 並進運動の量子より何桁も大きいことを示している . そしてその 回転の量子は量子効果を容易に観測するのに充分な大きさをもっている . また室温では 量子数の高い準位まで占められているので , 回転エネルギーの平均値は古典論で予測す る値に充分近いところまでいっている . しかしながら , 低温で古典論を使って考えるの は危険である . 回転エネルギー準位のパターンを図 4 ・ 8 に示してある . エネルギーはは十 1 ) に比 3 12 わ 2 / 8 6 わ 2 / 8 冗 2 2 わ 2 / 8 1 0 0 図 4 ・ 8 剛体直線形回転子のエネルギー準位 例するので準位間の間隔はの増加とともに増大する . いい換えると , 回転エネルギー の量子の大きさはの増加に伴い大きくなる . 量子数の回転準位の統計的重率 ( 縮重度 ) gJ は 2 十 1 である . この結果は回転の 量子力学的取扱いから導かれる↑ . 4 ・ 8 振動エネルギー 分子の振動を量子力学的に取扱う第 1 近似としては調和振動子モデルを使う . 調和振 動子のエネルギー準位の量子力学的表現は , ( 4 ・ 11 ) ーん十 1 , , んの 2 ん十 1 通りの回転するべクトルに置きかわる . 21 ・ 5 を参照 . ↑訳注 : 古典的な角運動量んは , 量子力学では長さがア ( 石万でえ方向の成分が一ム うに等間隔に並んでいる . つまり振動量子のエネルギーはんである . 量子数が増すに ( 4 ・ 11 ) 式を見ればわかるが , 調和振動子の振動エネルギー準位は図 4 ・ 9 にあるよ 基準振動のモードの振動エネルギーを与える . tional quantum number) である . ( 4 ・ 11 ) 式は二原子分子や多原子分子の中の特定の である . ここでンは振動の振動数で , 。は 0 , 1 , 2 ・・・などの値をとる振動量子数 (vibra-
68 4. 分子の量子レベル 4 ・ 6 波数 : 分子のエネルギー準位の単位 SI 単位系の J を分子の量子化されたエネルギー準位の単位として使ってもよいが , 分光学の領域では , cm-l という単位をもっ波数 D = スー 1 の方が広く使われている . 吸収 や発光に伴う光子のエネルギーは , 分子の二つのエネルギー準位間の差 , ん = ( 2 ー ( 1 = △ ( に等しい . 光子の振動数ンよりは波長スの方が測定しやすい . ン = c / スを使うと , △ E = ん = ん c ( 1 / ス ) = んジである . ただし c は真空中の光速である . したがって波数 = 1 / ス はんというファクターを通してエネルギー量子△ ( に比例する . J と cm-l の間の変換 は ( J 単位のエネルギー ) = ( 1.9 x 10 ー X3Jcm ) ( cm ー 1 単位の波数 ) である . 分光学では振動数の単位にヘルッ (Hz) を使う . これは 1 秒間 (s-l) に 1 周期とい う値で , ハインリッヒ・ヘルツ (Heinrich Hertz) に因んでいる . 彼は 1 圏 8 年に Karls- ruhe 工科大学で , 電磁波の存在を実験で最初に示した人である . 4 ・ 7 回転エネルギー 3 ・ 5 で二原子分子の古典的な回転運動について考察した . 波動力学の要請によって エネルギー準位がどのように決まるのかを考えてみよう . 図 4 ・ 7 は , 原点から一定距 離 r だけ離れた換算質量″をもった粒子に許される回転運動に対応する波を図式的に 表したものである . 分子の慣性モーメントは一 = 世 2 である . ″の接線方向の速度を とすれば , 角速度は = ツ r で , 回転の運動エネルギーは ( , = 4 = ん 2 である . 量子数 (rotational quantum number) と呼ばれる量で , = 0 , 1 , 2 ・・・という値をとる . ド 2 に一致しなければならない . つまり , み = 2 すなわちス = 2 Ⅳである . は回転 回転する粒子の定在波のパターンができるためには , 波長の整数倍が軌道の円周 てこわれてしまう ( 破線 ) ル . み = 2 ”でなければ波は干渉によっ 図 4 ・ 7 回転する粒子を表す定在波のモデ
イ 6 3. 分子のエネルギー という簡単な式だけを扱えばよいことになる . この結果から , 二原子分子の回転運動は , 座標の原点から & の距離にある質量 4 の ーっの物体の回転で表されることがわかる . 図 3 ・ 2 ( b ) にこの結果を示した . 質量 4 の 運動を表すのに必要な二つの自由度に対応する座標として極座標系のとという二 つの角を選ぶと便利である . 例題 3 ・ 4 。が 112.8 pm である 12C160 の″と 1 を計算せよ . ( 1.993 十 2.656 ) x 10 ー 26 = 1.139 x 10 ー 26kg ( 1.993 x 10 ー 26 ) ( 2.656 x 10 ー 26 ) 6.022 x 1023 = 2.656 x 10 ー 26kg 15.995 x 10 ー 3 6.022 x 10 = 1. 的 3 x 10-26kg 12.000 x 10 ー 3 を述べておこう . 並進運動の場合と同様に各自由度当たりの平均の回転運動エネルギー おける全回転運動エネルギーの平均値は礒 = (} ん T 十 (} ん T ) = ん T であるという結果 しており , かっ回転の運動エネルギーが礒 , = ん 2 であったとすれば , 温度 T に こでは証明はしないが ( 12 ・ 11 を見よ ) , もし直線形分子が古典力学に従って運動 宿′はすべてゼロであるからんはゼロである . であることがわかる . 原子は質点で表され , しかも ( 3 ・ 7 ) 式中のえ軸から測った距離 図 3 ・ 2 から二原子分子 ( だけでなく直線形のどんな多原子分子 ) の回転の自由度が 2 ー = 4 & 2 = ( 1.139 x 10 ー 26 (g) ( 112.8 x 10 ー 12m ) 2 = 1.449 >< 10 ー 46 kg m2 はん T である . 非直線形分子の回転運動エネルギーは , = 歹の A2 十歹の B2 十 lc の c2 ( 3 ・ 15 ) こでそれそれの 1 とのは , 主軸 (principal axes) と呼ばれる 3 本の互いに である . 直交している回転軸に関しての値をとる . これらの軸の選び方については 12 章で議論 する . 三角形の分子 S02 を典型的な例としてとりあげ , 図 3 ・ 3 に示した . この分子の形と 大きさは分光学的方法で決められている ( 26 章 ). S02 の場合 , 主軸の選択と重心の位 置の決定は分子の対称性から解決される . 重心は 0S0 という角を 2 等分する線上 ( す なわち B 軸上 ) になければならない . 硫黄原子の質量は酸素原子の質量の総和にほぼ等 しいから , 重心は硫黄原子と 2 個の酸素原子の B 軸上への射影の中心付近にくる . 問 題に対する答えは図 3 ・ 3 に示してある . 慣性モーメントを考える基準の軸も示してあ る . モーメントム , 左の値は前の例と同じように ( 3 ・の式を使って計算してある .
1 12 ・ 16 熱容量 12 ・ 16 熱容量 cv の値は U の式を T で微分することによって容易に得られる . Cv=(OU/OT)v. 理 想気体の C ~ の値は C ~ = C / 十となる . 並進運動の Cv に対する寄与はどの場合でも古典論的な値である . 二原子分子 では , c の中の回転と振動の寄与は , つぎのように定義される回転と振動の特性温度 (characteristic temperature) を使って表すと便利である . 研 8 冗 2 表 12 ・ 5 にはいろいろな分子の特性温度を示してある . 表 12 ・ 5 回転と振動の特性温度 9v/K 分子 er/K 分子 er/K ev/K 2.88 3374 6215 2.07 2256 4394 42.7 15.02 4227 808 0.351 12.02 3787 463 0.116 32 9.06 0.0537 308 ( 12 ・ 41 ) ( 12 ・ 42 ) 02 HCI HBr HI 1.0 下、 ( ち」 ) ゝ 0 LO 0 0.5 0 0 2 0 1 0.5 1 0.5 2 0 (a) 図 12 ・ 3 (a) 二原子分子気体の Cv に対する振動の寄与 . (b) 同じく回転の寄学 . 破線は 古典論のエネルギーの等分配則からの予測値を示す 図 12 ・ 3 には二原子分子の振動と回転の熱容量を T/9v と T/6r の関数としてそれぞ れ図示してある . T がほぼ 26 になると C = 1 という古典論の値に近づく . [ ある温 度領域では Cv ( r 。 t ) が古典論の値を越えることがあるが , それはどう説明されるのだ ろうか . ] (b) 例題 12 ・ 8 表 12 ・ 5 の , と e , の値を使って , N2 の Cv(vib) と Cv(rot) が古典論的な値尺の半分になる温度を求めよ .
12 ・ 10 回転の分配関数ーー剛体直線形分子 8 冗 21 は十 1 ) ん 2 ( 12 ・ 23 ) 283 もし慣性モーメントが充分大きいと , これらのエネルギー準位の間の間隔△ ( はかなり 狭くなり , 数ヶルビンという低温の kT よりもさらに小さな値になる . この関係は , H2, HD , D2 を除くすべての二原子分子で実際に成り立っている . たとえば F2 の慣性モーメ ントは 32.5X10 ー 47kgm2 , N2 の場合は 1 = 13.9X10 ー 47kgm2 であるが , H2 の慣性モー メントは 0.46X10 ー 47kgm2 しかない ( 12 ・ 23 ) 式から , = 0 から = 1 までのエネル ギー準位の高さは , N2 で 8.00X10 ー 23J , H2 では 2.42X10 ー 21J となる . これに対して 10K でのん T の値は 1.38X10 ー 22J である . 回転に対する分子分配関数を計算するために , ( 12 ・ 23 ) 式の勺を = gJe ー / 杠に 代入するが , 直線形分子の回転エネルギー準位の統計的重率は gJ = ( 2 十 1 ) である . この結果は 21 ・ 6 の回転運動に対する量子力学的計算から得られる . 回転の分配関数 は結局 ーは十 1 ) ん 2 = ( 墅十 1 ) exp 8 冗 2 〃 T ( 12 ・ 24 ) となる . 温度が充分高く , 勺《ん T となると , 離散的なの値についての和をとるとき の隣り合った項の間の刻みがかなり小さくなり , についての和を d についての積分 に置き換えてもよくなる . となり , そのとき ( 2 十 1 ) exp 一は十 1 ) ん 2 8 2 T 8 冗 2 T が得られが . さらに分子の対称数びを導入しよう . これは異核二原子分子の場合はび = 1 で , 等核 * の場合はび = 2 となる . ( 12 ・ 25 ) 式は結局 となる . ラーーマクローリン (Euler-MacIaurin) の特性温度 研 びん 2 8 冗 2 T ( 12 ・ 25 ) ( 12 ・ 26 ) もし ( J がん T よりそれほど小さくない場合は , 回転分配関数は ( 12 ・ 24 ) 式に , オイ の和の公式を使って求めることができる . 回転 8 冗 2 ( 12 ・ 27 ) * D. A. McQuarrie, "StatisticaI Thermodynamics", p. 101 , Harper & Row Publishers New York ( 1973 ) を参照 . 対称数は分配関数に対する核スビンの寄与から出てくるのだが , こに挙げた文献のかなり詳細な説明以外には適当な解説は見られないようである . ↑訳注 : は十 1 ) ん 2 / 8 〃 T = 工と置けばよい .
4. 分子の量子レベル にんのエネルギー変化がある ( いまの場合ソは CO の基本的な振動の振動数である ). さらに吸収の全エネルギーを求めるためには , このエネルギーんに回転エネルギーの 寄与分を加えたり引いたりする . 回転部分のエネルギーを計算するためには , まず ( 4 ・ 10 ) 式を と書き直すと便利である . う . 準位間の差△ ( r は q = 召 ( 十 1 ) ( 4 ・ 14 ) こで B = ん 2 / 8 は回転定数 (rotational constant) とい となる . となる . となる . こで , R 枝 ( △ = 十 1 ) では工 = ″十 1 であるから △ G = 2B ( ″十 1 ) P 枝 ( △ 7 = 一 1 ) では工 = ″ー 1 であるから , ー 2 お″ CO の振動一回転の赤外線吸収のエネルギー△はつぎのようになる . R 枝 : △ ( = ん , 十 2 召は″十 1 ) P 枝 : △ = ん堺ー 2 お " ( 4 ・ 15 ) ( 4 ・ 16 ) ン , は CO の振動数 (vibrational frequency) , おは慣性モーメント = 4 & 2 に よって定まる CO の回転定数 (rotational constant) である . 量子力学を使って導いたこれらの簡単な式を用いて CO のスペクトルがどう記述され るかを見てみよう . 1. R 枝は△ ( abs = ん , 十 2 おは″ = 0 に対して ) から始まり , 高エネルギー側の方に 2 召の等エネルギー間隔で並んでいる一連の線である . 2. P 枝は△ ( = ん堺ー 2 おから始まり低エネルギー側の方に 2 おの等エネルギー 間隔で並んでいる一連の線である . [ 一番低い″は″ = 0 ではなく = 1 でなけれ ばならない . なぜか . ] 3. P と R 枝の間のエネルギー間隔は 4 おである . このすき間の中心 , すなわち P 枝と R 枝のそれそれの端から 2B 離れたところに , = 0 →ア = 0 という禁制の吸 収があり , そこのエネルギーは△ ( = ん v となる . これらの量子力学による予測が , 図 4 ・ 2 の CO のスペクトルにどんなによく合うか を注意深く調べるとよいであろう . 分子のこういうエネルギー準位が量子力学の式の正 しさを実証しているのだが , これだけよく合う式を考え出すのはちょっと難しい . CO のスペクトルの特徴のうち , 説明してないものがまだ二つある . その第一のもの はスペクトル線の強度に関するものである . この強度は , 光を吸収する CO 分子が最低 の振動準位。 = 0 のいろいろな回転準位 = 0 , 1 , 2 ・・・にどう分布しているかによって定 まるものである . その相対強度は 5 ・ 5 で定量的に説明することになっている . 第 2