40 3. 簡単な運動 [ 例 ] 空気の抵抗が速さの 2 乗に比例する場合 , 物体を静かに落としたとき冫ツ が 1 にくらべて小さくてその 3 次以上の項を省略できるような時間内の速さとーとの 関係 , 落下距離とーとの関係を求めよ . [ 解 ( 3.1 ー 24 ) で下向きにを正にとり , ム = 0 とおけば —tanh ( / t) 0 んツが 1 にくらべて小さいとしてこれを展開すれば , これを積分すれば 1 2 3.2 放物運動 々 e 石十 e- 12 1 1 2 ーの 2 1 3 1 6 1 ー 一様な重力のあるところで , 水平とある角をつくる方向に投げられた物体 ( 質点とみなす ) の運動をしらよう . 3 、 . 空気の抵抗を無視してよ 0 、場合 を考える . 任意の瞬間に質点 P に働く力は , 鉛直下方に大きさ襯 9 の重力が 働くだけで水平方向には力が働いていない . 水平にェ鼬 , 鉛直上方に軸を とれば ( 3.2 ー 1 図 ) , 運動方程式は mg ( 3.2 ー 1 ) ( 3.2 ー 2 ) 3.2 ー 1 図 ー = 0 mg である . これらの式はたやすく積分できる . 放物運動 ー = 0 で , 水平とス 0 の角をつくる方向に協 の速さで投げられたとする . 初期条件は = 0 , 4 = 協 cos ス 0 , = 協 sin ス 0 で , = 0 , である . ( 3.2 ー 1 ) , ( 3.2 ー 2 ) を / について積分すれば , CI, 可十 C2 初期条件を入れて ,
3.1 落体の運動 35 したがって , 1 2 ( 3.1 ー 7 ) = vot ( 3.1 ー 7 ) から / を消去すると , ととの関係式 ー 2 0 ( 3.1 ー 5 ) , となる . ( 3.1 ー 8 ) キエュ となる . * ( 3.1 ー 5 ) をみると , > 0 , つまり , はじめ上に投げたときには , 時間が たつにつれて速さが小さくなり , ある時刻なで = 0 になることがわかる . なは ( 3.1 ー 5 ) から 20 0 ( 3.1 ー 9 ) そのときの高さは ( 3.1 ー 7 ) に ( 3.1 ー 9 ) を入れて , によってきめられる . 20 ( 3.1 ー 10 ) となる . これが最高点の高さで , 質点はこの後には落下してゆく . そのときで も運動方程式 ( 3.1 ー 3 ) はそのまま成り立つのであるから , ( 3.1 ー 5 ) , ( 3.1 ー 7 ) の各式もそのまま成り立つ . - 質点が . ら - な﨣画竝 . 斜面上の 1 つの点 O を原点とし , 斜面に沿って下向きに軸をとる . 質点に 働く力は , まず重力 mg が鉛直下方に働くほ か , 斜面から質点に力が働く . この力は , 斜 面が滑らかなときにはいつも斜面に直角であ る . これを斜面からの抗力または束縛 力とよぶ . 斜面の傾きをとすれば , 重力 襯 0 の斜面の方向は軸の方向 ) の成分は gsin0 であるから , % 方向の運動方程式は ー襯 2 と書いた方が力学的エネルギー保存の法則 ( 第 5 章 ) と ( 3.1 ー 3.1 ー 2 図斜面上の運動 ( 3.1 ー 8 ) は一加が十加 g ア =
134 7. 非慣性系に相対的な運動 の一 2 % の ー 2 の一襯の 十 2 ー sinp,cosp を掛けて加えれば , ー X cos 十 Y sin ー X sin 十 Y cos ( 7.3 ー 1 ) によるとこれらの式の右辺はカの ' , 成分 X', Y' になっている . それで , 改めて肩つきの“ ”をとって上の式を書くと , 方向の運動方程 式もあわせて , 回る座標系 ( O は , 必名 ) に対して , = X 十 2 襯の一一十襯 % の Y 十 十の ( 7.3 ー 5 ) が得られる . それでつぎのようにいうことができる . 角速度で回転するとき , " 実際に働いているカ " X, Y , / の他 座標系 (), ぁ必のが , 慣性系に対して名軸のまわりにのの に , 成分が 2 の ー 2 の一 - , 0 の " 見かけのカ " と , 成 分が ( % の 2 , 襯ツの 2 , 0 ) の。見かけのカ " とが質点に働くと考えれ ば , 回転している座標系も慣性系であるかのように扱うことがで きる . 上に述べたことを理解するため , 例題を解いてみよう . 2 , 方向は原点と質点を結ぶ直線を延長した方向に向いている に向いている . 第 2 の " 見かけのカ”は遠心力とよばれるもので , 大きさは ( / は運動座標系に相対的の質点の速さ ) で , 相対速度 / に直角で右手の方 第 1 の“見かけのカ”をコリオリの力とよぶ . その大きさは 2 の / この棒をくるくる回すときの指輪の運動をし [ 例 1 ] 水平面内で一端 0 のまわりに一定の角速度で回転する滑らかな直線に束 [ 解」滑らかな棒に指輪でも通して , 縛された質点の運動をしらべよ .
212 9. 剛体のつりあいと運動 べクトルに垂直で , しかも一定の平面である . いままでは慣性主軸巳クに対する議論であったが , が固定空間に対し て一定の方向を向いていることから , 接平面は空間に固定した平面であること がわかる . この平面を不変面とよぶ . それで , つぎのようにいうことがで きる . ボアンソーの解釈 : 剛体が一点を固定されて外からカを受け ずに運動するとき , 慣性楕円体は固定平面 ( 不変面 ) に沿って滑 らずに転がる運動になっており , 角速度は固定点から接点までの 距離に比例している . 9.9 ー 2 図は 9.9 ー 1 図をもう少し立体的に描いたものである . 角速度べクト ルのは大きさも方向も慣性系に対して変わってゆく . 大きさの方はさておい て , 方向の変わり方を示すと , O を中心とする慣性楕円体が定平面に接して 空間、 ( ハーポーノ 田 . P. ード錐 ) 0 物体錐 ( ポールホード錐 ) 9.9 ー 2 図ボアンソーの解釈 ( スキ B ヰ C ) 滑らずに転がる運動になっているが , この平面上の接触点の軌跡 ( 9.9 ー 2 図 ) をハーポールホード (herpolhode) とよぶ . 0 からこの曲線上の各点に 引いた直線のつくる錐をハーポールホード錐とよぶ . つぎに , のを表す直線上にある剛体内の点を考えよう . これらの点の形成 している直線がいまの瞬間の回転軸であるが , これも時間がたつにつれて変 わってゆく . すなわち , 回転軸になる剛体内の直線は変わってゆく . その軌跡 をポールホード錐とよび , これが 0 を中心とする慣性楕円体面を切る点 の軌跡をポールホードとよぶ . 各瞬間ののはハーポールホード錐とポー
となる . ひ力学で重要なのはカのモーメントと運 動量のモーメントである . 質点 P の運 動量ベクトル = 襯 / を P から PP のように引く ( 5.5 ー 4 図 ). 0 に関する I = r X 平面に直角で r からに回す右回りの で与えられる . 方向は r とのつくる 盟のモーメント I は ( 5.5 ー 9 ) 88 5.5 ー 4 図 うときには一般に作用もちがってくる . 一般に , クトルのモーメントを考え 剛体とよばれる物体では , 力の大きさ , 方向が等しくても , 力の着力点がちが ルではその場所のちがいによって作用がちがってくることがある . たとえば , 引くかということは問題としないのであるが , 力学や物理学に出てくるべクト クトルは大きさと方向 ( 向きを区別して ) とを持つ量として , それをどこから 5. 力学的エネルギー面積の原理 P' ス .- る - 必要があ - る・ときには , そのべクトルの 位置によって物理的内容がちがう . 1 つのべクトル 4 が P 点から引かれ るとき ( 5.5 ー 3 図の PP ) , 0 について の ( または 0 のまわりの ) モーメン と 6 から p に引いた位置べクトルを 5.5 ー 3 図べクトルのモーメント r として = r x ス ( 5.5 ー 6 ) で与えられるべクトルであるの大きさは r とスとを 2 辺とする平行四辺 形の面積 , すなわち , 、。 M = 2 △ OPP ( 5.5 ー 7 ) である . したがって 5.5 ー 3 図で , 0 からスに下した垂線をカとすれば漑の 大きさはカスで与えられる . r の成分はは , 必名 ) であるから , の成分は Mx = ッ考ー名め My = 名 x ー % も M, 考 = ース x ( 5.5 ー 8 ) = m 運動量のモーメント ( 角運動量 )
5.5 べクトル積とべクトルのモーメント である . スと B とを連続的に変えてゆくときは , スも連続的に変化するので あるが , スは十 1 かー 1 かであるから , ス = 十 1 を保つかー 1 を保つかどち らかでなければならない . ス , B を連続的に変えて , 4 が % 軸の方向に , B が ( 5.5 ー 3 ) ( b ) ( ス + 召 ) x ( スーお ) = 2(B x ス ) = ー 2 ( 4 x お ) C のあ成分は 0 となる . すなわち , Cx = 0 , Cy = 0. また , = ス ~ = 0 , Bx = = 0 ァ軸の方向に一致するようにすれば , C は名軸の方に向き , ( ス x お )z = AxBy ース田工 ( ス x B = 田 x ー AxBz ( 4 x B)x = AyBz ース田 y したがって , ( 5.5 ー 2 ) から でなければならないことがわかる . であり , Cz = 田 y であるから , となる . これが 2 つのべクトルのべクトル積の成分である . あ必名方向に単位べクトルれ去んをとれば ( 5.5 ー 2 図 ) ら ん X i = J, となるが , 式である . である . ( 5.5 ー 4 ) x (B 十 C) = ス x B 十 4 x C また , ( 5.5 ー 3 ) によれば これはいろいろな場合に使われる関係 (B 十 C) x ス = B x 十 C x ス 0 5.5 ー 2 図単位べクトル [ 例 ] つぎの式を証明せよ . ( a ) ( ス x B ) 2 + い・お ) 2 = 召 2 1 つのべクトルのモーメントというものを説明しておこう . ( c ) ( スーお ) x (B ー C) = ス x B 十お x C 十 C x ス もともとべ ( 5.5 ー 5 )
236 である . 10. 仮想変位の原理 öU = 0 ( 10.3 ー 1 ) U が極小値をとる場合を考える . 質点系を少しずらして , 初速度 0 で放す とき , 動きだすわけであるが , そのとき / 番目の座標 ( 石 , 必 , ) の微小時間 の変位を , , の , , 夜 . とし , これに加えられた力を (Xt, Y. , 乙 ) , 束縛力を (Sxt,Syt,SzD とすれば , / 番目の質点は加えられたカと束縛力とを合成した 方向に動きだすから , その仕事は正である . すなわち , ( X , + Sxi) イ石十 ( Y. 十 S ぃ ) , + ( 乙 + S 幻 ) , > 0 各質点についての同様な式を加え合わせれば , 前の節で述べたように束縛力のする仕事は 0 であるから , この式は となる . となる . ( X 記石 + の ~ 十乙 z) > 0 この左辺は加えられたカのした仕事で , ーイ U に等しい . ゆえに , dU く 0 このように , U が極小値をとるような位置から質点系を少しずらし て静かに放すと U が減少するように動きだすのであるから , 結局つりあいの 状態に向かう方向に動くことになる . このようなとき質点系は安定なつりあ いの状態にあるとよぶ . U が極大値をとる場合にも同様に考えることができる . 少しずらして静か に放せば , U が減少するように動きだすのであるから , 極大の位置からます ます遠ざかるように動く . このようなとき質点系は不安定なつりあいにある とよぶ . U がまったく変わらないときには , この質点系をずらしてもやはり新しい 位置をもとにして 6 U = 0 の関係が成り立つから , やはりつりあいの状態に ある . このようなつりあいは中立であるとよぶ . 一様な球を床の上においた ときなどがこの場合に属する . öU = 0 ではあるが , 峠の点のように質点系をずらす方向によって U が増
9.1 剛体のつりあい れば , 明らかに R は FI, F2 と平行で逆向きであ る . ( 9.1 ー 8 ) ( 最後の式の代りに ( 9.1 ー 8 ) ′を使っ C のまわりのモーメントをとって = 0 て ) を書く . 179 6 一 FI ー F2 = 0 〃 FI ーわ F2 = 0 ( 1 ) ( 2 ) 9.1 ー 2 図 である . 0 ( 1 ) から = FI + F2. これが支点 C での抗力 ( 2 ) から 4F1 = わ F2. これがつりあうための条件である . [ 例 2 ] 一様なまっすぐな棒をその両端で つけた糸でぶらさげておくとき , 糸の水平と つくる角がの日 ( 日 > のである . 棒の水平と つくる角が tan 0 ー 1 2 —(tanß—tana) Ⅳ / 9.1 ー 3 図 2asin()—の \ であることを証明せよ . カⅢが重心に , 糸の張カ SI , S2 が両端 A , B でそれぞれ糸の方向に働く . SI と S2 との交 点を C とすれば , 重力もそこを通らなければ [ 解 ] まず図を描こう . 棒に働く力は , 重 ならない . なぜならば , もしそうでないと C のまわりのモーメントの和が 0 になら ないからである . B の方が A よりも高いとすれば , CB の傾きの方が CA の傾きより大きいから , A についている糸の傾きをの B についている糸の傾きをとする . 水平方向の平衡条件 鉛直方向の平衡条件 A のまわりのモーメント 棒の長さを 24 とする . ー ( 1 ) x sin 十 ( 2 ) x cos より COS ー S2 COS SI sin 十 S2 sin 日 = ル S2 ・ 2asin ( 日一の一Ⅳな cos 日 = 0 ( 1 ) ( 2 ) ( 3 ) 剛体に 3 個の力が働いてつりあうときには , それらのカの作用線は 1 点を通らなければならな い . このことは式を立てるのに必ずしも必要ではないが , 図を描くのには助けとなる .
9. 剛体のつりあいと運動 ( 9.1 ー 6 ) ( 9.1 ー 5 ) ( 9.1 ー 4 ) 178 剛体がつりあっているときには , ( 9.1 ー 1 ) , ( 9.1 ー 2 ) で = 0 , イ / 市 = 0 力の位置 , 大きさによらない . れればきまってしまい , 2 つのカのある平面の位置 , 1 つ 1 つの の方向 , モーメントの大きさ , 剛体を回そうとする向きが与えら 剛体に働く 1 つの偶力の作用は , その 2 つのカの存在する平面 の進む向きになっている . それでつぎのようにいうことができる . 定する平面に垂直で , 剛体を A のまわりにの示す向きに回る右回しのねじ 線力を下せば偶力のモーメントの大きさはカ F に等しく , 方向は 2 つの力が決 クトル積になっていることがわかる . したがって , B に働くカに A から垂 となり , モーメントを求める中心の点に無関係で AB = r2 ー rl ととのべ 2 ()z x ) = 0 = 0 であるから でなければならない . 座標軸の方向の成分で書くと , 2 Xt = 0 , 2 Yz = 0 , 2 乙 = 0 ( 9.1 ー 7 ) 2 ( X. 一石乙 ) = 0 , 2 ( 石ー yXz) = 0 となる . この最後の式の代りには , むしろ ( 9.1 ー 5 ) をそのまま書いた ( 9.1 ー 8 ) 2 x. = 0 , 2 = 0 , 2 ( Y. ー必 X. ) = 0 のはじめの 2 式 , ( 9.1 ー 7 ) の最後の式がつりあいの条件となり , 力が一平面内にあるときには , この平面内に ( ぁⅵ平面をとれば ( 9.1 ー 6 ) 2 ( 士カ五 ) = 0 ( 9.1 ー 8 ) ' がよく使われる . カ . は原点からに下した垂線 , " 士 " の記号は , モーメン [ 解 ] 9.1 ー 2 図で C を支点とし , AC = BC = ろとする . C での抗力をとす [ 例 1 ] てこのつりあいをしらべよ . トが正ならば正号 , モーメントが負ならば負号をとる .
11.1 ダランべールの原理 と同じ形になるから , つぎのようにいうことができる . ロ ある力の系を形づくっていを 247 これをダランべールの原理 ( 1743 ) とよぶ . ( 11.1 ー 1 ) と ( 11.1 ー 2 ) の両方の式をくらべてみると , 前の式の 4 という項を移項したものが後の 式であって , 式の上からはほとんどちがうところがないが , ー 4 を仮にカ のように考え , 実際に働く力といっしょにすれば静力学の問題を考えるのと同 じことになるところにその意味がある . たとえば , 等速円運動を行っている質 点を考える場合 , この質点は加速度を持っていてつりあいにないことはもちろ んであるが , 実際に働く力のほかに加速度 ( 中心に向かって 2 ) と逆の方 向 , すなわち外向きに襯 2 という大きさを持っ仮想的な * 力を考えるとつり ( 11.1 ー 2 ) を座標軸の方向の成分で書けば , あいにあるカ系となる . XI 十 X2 十・ YI 十 Y2 十・ / 1 十 / 2 十・ となる . ・十 Xn 十 ( ー幻 = 0 ・十 / な十 ( ー襯ゑ ) = 0 ( 11.1 ー 3 ) 質点がある軌道を描いて運動するときを考える . その法線方向の加速度の成 分は曲率の中心に向かってに / p である . したがって , 慣性抵抗ースの法 線成分は曲率の中心のある方向とは逆向きに ( つまり , 軌道の外側に向けて ) V2/p である . これを特に遠心力ということがある . それゆえ , 質点に働く実際のカの法線成分と , ( 仮想的のカである ) 遠心 カ襯 / 2 なとはつりあう ということになる . 遠心力という言葉は前に . 3 の回転座標系に対する相対 的な運動のところで使ったものであるが , 両方の定義は一致することもある こでも 7.2 の場合と同様に“仮想的なカ " とか“見かけのカ " という言葉を使う . 人による とこれらの言葉は不適当であるという意見を持っているが , 慣性系に対する加速度の原因となる意 味での力とはちがうので , こでもこれらの言葉を使うことにする .