8. 質点系の運動量と角運動量 ているので上のままでは少しまぎらわしい . P の質量をから″にしても , 万有引力の大きさをこれにつられて変えることをしなければ上に述べたままの ことが成り立つ . ( 8.7 ー 4 ) は 4 2 となるが , ″の値を入れれば 172 となるから , つぎのようにいってもよい . 惑星の太陽に相対的な運動は , 太陽が固定され , その質量が M 十になったと考えたときの運動に等しい . それゆえ , ( 6.2 ー 17 ) で与えられた惑星の周期の式は , 太陽も動くことを考 えると 3 / 2 2 G M 十襯 と書きかえなければならない . 二体問題を一体問題に直すもう 1 つの方法には , 重心に相対的な両質点の運 動をしらべる方法がある . それには ( 8.7 ー 1 ) のとー % 2 を重心に相対的 な位置を使って表せばよい . 重心から P までの距離をとし , 重心を原点と するときの P の x 座標を改めて % 1 とすれば 慨十 % 1 ー 2 の代りに となる . 重心に固定した座標系は慣性系であることを考えて , ( 8.7 ー 1 ) は 同様に Q についても となり , ( 8.7 ー 6 ) ( 8.7 ー 7 ) ( 8.7 ー 8 ) となる . はじめ静止している原子核 ( 質量 M , 電気量加 ) に帯電粒子 ( 質量 いま ,
10 仮想変位 227 仮想変位の原理 この章から解析力学に入るのであるが , まず仮想変位 ( 仕事 ) の原理と いうものを説明する . それには仮想変位という言葉の意味と , なぜそのような ものを考えるかということを説明しなければならない . 力学的体系のうちで もっとも簡単なのは , 空間内を自由に動くことのできる 1 つの質点の場合であ るが , これはあまり簡単すぎて , 仮想変位の意味をつかまえるのにかえって不 便である . それでもっと複雑な , 滑らかな , または固い束縛条件にしたがう体 系について述べることにしよう . 一体 , 力学的体系の構造を述べるのにどれだけのことをいえばよいかという ことから考えよう . もちろん , その体系の各部分の形 , 質量 ( または重さ ) , 接触している部分の状態をすべて述べれば , それでその体系のつりあいなり , 運動なりを議論するのに必要な材料が与えられたわけであるが , これらの材料 が全部必要であるとは必ずしもいえない . 体系の運動 ( つりあいはその特別な 場合である ) をしらべるのに最少限の知識があればよいのである . たとえば , 体系の一部がねじになっている場合 , ねじを切ってあるところの形がどうで あるかとか , どことどこが触れあってどのような力をおよばしあっているかと いうことは通常必要ではなく , ただねじを一回転させると , どれだけ進むか ということ , すなわち , ねじの歩み ( ピッチ ) がどれだけかということが重 要なことである . 一般に , 力学的体系は束縛条件を受けながらその各部分が動くことができる ようになっているのであるが , 同時に , その体系はそのいろいろな点で外から
第 3 法則によって , であるから , 154 ( 8.2 ー 5 ) ( 8.2 ー 6 ) ( 8.2 ー 4 ) は ( 8.2 ー 7 ) ( 8.2 ー 8 ) となるが , 々という力があればおという力もあることに気がつく . 運動の 8. 質点系の運動量と角運動量 2 = 0 となる . となる . したがって , この式をみると , 質点系の運動量が時間に対して変わる割合は , これに働く外カ の総和に等しく , 内力にはまったく無関係である ことがわかる . 質点系が孤立しているときには = 0 (i ー から , ( 8.2 ー 7 ) の右辺は 0 となる . したがって 2 ー わち , ・ ) である 一定となる . 質点系が孤立していて , 外からカを受けないときには , その運 または , 2 ル = 一定 これを運動量保存の法則とよぶ . 式で書くと , 動量は一定に保たれる . * すな ル = 一定 , ル = 一定 , ル = 一定 ( 8.2 ー 9 ) 運動量はそれが孤立系で保存されることからわかるように , エネルギーなど の点でカよりも運動量のほうが根本的な量であるとさえいえる . この節では , 考えられる . 一般に物理学では保存される量に基礎的な意味が与えられる . そ 保存される量と並んで , 力学またはもっと一般に , 物理の根本的な量であると とにかく 2 = 0 ならばよい . 運動の第 3 法貝ゝら運動量保存の法則を導いたが , 電磁場のように質点以外の 孤立しなくても .
15 1.4 加速度べクトル ときの速度 ( 初速度 ) が与えられたときの , 任意の時刻ーでの位置と速度と を与えるものである . ( 1.4 ー 11 ) , ( 1.4 ー 12 ) から / を消去するのに , ( 1.4 ー 12 ) から一を出して ( 1.4 ー 11 ) に代入すれば % = % 0 十 2 〃 となる . これは , 位置と速度の関係を与える . と / との関係が % = 4 cos ( の一十住 ) , で与えられる運動は大切である . 速度は amsin( の一十 ) 40 ( 1.4 ー 13 ) ( 1.4 ー 14 ) 定数 ( 1.4 ー 15 ) 4 であり , 加速度は イ 2x ( 1.4 ー 16 ) でみると , となる . 加速度はいつも原点の方を向いており ( > 0 のとき加速度 < 0 , % < 0 のとき加速度 > 0 ) , その大きさは原点からの距離 に比例している ことがわかる . ( 1.4 ー 14 ) で与えられる型の運動を単振動または単一調和 運動とよぶ . この式でみると , % は土 4 の間を往復運動することがわかる . 4 を振幅とよぶ . cosine の中のの / 十住は角であるが , この角によって % の 値がきまるのでこれを位相とよぶ . 住は位相定数または初相 ( = 0 での 位相という意味 ) とよぶ . / が増してゆくとき , 2 兀 ( 1.4 ー 17 ) だけ時間がたつごとに , 位置も速度も同じ値がくりかえされるので , T を周 期とよぶ . のの代りに T を使えば ( 1.4 ー 16 ) の〃 COS ( の十 2 ) = ( 1.4 ー 18 ) = 〃 COS
新 . 3 重心の運動の保存の法則 ″ = U log これはロケットの質量がになったときの速度を与えるもので , 放出率が一定でな 157 0 ー = 0 で x = 0 の条件で積分すれば , = U log 単位時間に一定量 4 の質量を放出するものとすれば くても成り立つ . ー log 質点系の各質点の位置べクトルをら ( 石 , 必 , ) とし , 質量をルとすれば 8 3 重心の運動の保存の法則 = U ー十 XG M = 2 ル ZG YG ル必 ( 8.3 ー 1 ) ( 8.3 ー 1 ) ′ で与えられる点を質点系の重心 , または質量の中心とよぶ . 質点系の配置が与えられれば , 座標系のとりかたにかかわらず ( 8.3 ー 1 ) の 形の式で与えられる点は一致することを示すために , 位置べクトルを引く原点 を O から O' に移してみる . 新しい原点 O' から引いた位置べクトルによ り , ( 8.3 ー 1 ) と同じ形の式で与えられる点を G' とすれば O からみた O' の位置べクトルを ro とすれば ro 十 これを ( 8 . 3 ー 1 ) に入れて ル ( ro 十 ) ro 十 ro 十 rG' となる . したがって , rG と rG" の関係は rz との関係と同じになるから G と G' とは同一の点でなければならない . 重心に原点をおけば , ( 8.3 ー 1 ) による重心の位置は当然 0 となるはずであ
92 5. 力学的エネルギー面積の原理 で与えられるとき , 保存カかどうかをしらべよ . 保存力ならば位置エネルギーはど うなるか . 2. 一平面内を運動する質点に働く力の成分が , 質点の座標をあとして Y = 2 X = 4 , で与えられる軌道を描く質点に働く中心力はどんなカか . 0 く c く 1 = 冰 1 十 c cos ) , 7. 一平面内で 張って 0 と質点との距離を変えるとき , 質点の角速度はどう変わっていくか . O に通しておく . 質点を , はじめ 0 のまわりにある角速度で運動させ , 糸を引 6. 滑らかな水平板の上においてある質点に糸を結びつけ , その糸を板にあけた穴 と書くことができることを示せ . ス = ( 4 ・ル厖 + x ( 4 x ) 5. 1 つの単位べクトルをとすれば , 任意のべクトルスは はス , お , C を稜とする六面体の体積であることを証明せよ . 4 ・ (B x C ) = B ・ ( C x ス ) = C ・ ( ス x B ) とすれば 4. ス , B, C がこの順に右手系 ( 一般に互いに直角でなくてよい ) をつくっている ( c ) (B x C ) ・ ( ス x の ) + (C x 4 ) ・ ( B x の ) + ( 4 x B) ・ (C x の ) = 0 ( a ) ス x ( お x C ) = B(A ・ C ) ー C(A ・お ) 3. つぎの諸式を証明せよ . 合と , 弦 AB ℃に沿ってゆく場合とで , このカの行う仕事を比較せよ . る点 A から , 軸上の ( 0 , 幻で与えられる点 C まで , 円周 ABC に沿ってゆく場 で与えられるとき , 保存カかどうかをしらべよ . また , % 軸上の ( 乙ので与えられ
9.10 外力を受けない対称的な剛体 ず , のキ 0 ツ = = 0 の場合を考える . 剛体の角速度は O 名の向きにのであ るから , そのど , ク , ( 成分は表を見ながら一の sin 0 cos の sin 0 sin 仇 の cos 日である . キ 0 , の = = 0 のときも , 同様にして ( のは OK の方向 にの成分は日 sin 日 cos 0 ; キ 0 , 0 = の = 0 のときにはのは ( の方 向に向かっているから 0 , 0 , となる . 一般にの , 日 , のどれもが 0 でないとき には , これらの角速度を合成したものであって , の 1 = 日 sin ーの sin O COS の 2 = 日 COS 十の sin O sin の COS 日 の 3 217 ( 9.10 ー 8 ) である . さて , 慣性系に対する剛体の運動をきめる問題に立ちかえり , ス = B で他 からカが働かない場合を考えよう . 剛体に働く力の O についてのモーメント は 0 であるから , O のまわりの角運動量んは大きさも方向も一定である . れを名軸にとり , これに直角にあ軸を慣性系に固定してとることにしよう . これに対して剛体がどう動くかをしらべればよい . のど方向の成分は方向 ーん sin 日 cos であることがわかるし , 一方 , これは主軸 余弦の表から の方向の角運動量成分であるからの 1 に等しい . の 1 は ( 9.10 ー 8 ) で与えられ ているから , の 1 = O sin ー の sin O COS ( 9.10 ー 9 ) Sin COS 同様に の 2 日 cos 十の sin O sin = ーー COS O 十の cos 日 ( 9.10 ー 9 ) x sin 十 ( 9.10 ー 10 ) x cos をつくれば 0 = 一定 ( 9.10 ー 12 ) これはオイラーの方 したがって , ( 9.10 ー 11 ) からの 3 一一定 = となるが , 程式からも出てきた結果である . ( 9.10 ー 10 ) Sin 日 Sin ( 9.10 ー 11 ) の 3
250 mlsin0w21ö0cos0—襯 gsin 日お日 = 0 11. ダランべールの原理 ように , 糸の傾きを O から 0 十ö0 に変えるときのおのおののカの行う仕事を計算す とができるはずである . そこで仮想変位の原理を使ってみよう . 11.1 ー 2 図 ( c ) の さて , 一度静力学の問題に直してしまえば , 静力学で使われる方法は自由に使うこ となり , 上の第 2 法則をそのまま書いたものと同一のものが得られる . S cos O ー襯 0 = 0 鉛直方向のつりあい条件 水平方向のつりあい条件 mlsin0Ö—Ssin0=0 条件を書けば , に力を加えてつりあわせた場合とまったく同じことになる . したがって , つりあいの つりあいにある力の系をつくっている . ちょうど糸で質点をつるしてこの質点に水平 ればよい . これから となる . 2 したがって , 仮想変位の原理により S の行う仕事 のする仕事 襯 lsin 日の 2 のする仕事 / sin O の 2 ( おの cos 9 0 ー襯 9 sin 日 ( お砌 / cos 日 この例でわかるように , ダランべールの原理でつけ加える慣性抵抗は加え られたカ ( 既知カ ) の仲間に入れられる . このことはつぎに説明する一般の 場合にもいえることである . ダランべールの原理の意味をもっとよく理解するてだてとして , 2 つの例を S 斜面からの束縛カ mA ー 3 図 効 有 —mA 慣性抵抗 加えられたカ ( 下方に mg) 11.1 タ・ラン , ヾ ールの原理 考えよう . この原理は , 質点あるいは 質点系について束縛条件が与えられ て , これにしたがうように運動する場 合について適用すると一般的な力学理 論の発展に関係が深い . したがって , 例となる運動も束縛された運動からと ることにしよう . 第 1 の例は前に 3.1 で扱ったもの
9.3 剛体の慣性モーメント 185 を使い , また で微分すれば ( 9.3 ー 1 ) ( 9.3 ー 2 ) 2 = であることを考えに入れて , 上の式を一 / 十 ( 1 十 2 ) 〃 2 2 ( 1 ールル が得られる . エネルギーだけを使ったのでは , 束縛力である糸の張カ SI , S2 は出てこない . 剛体に働く力の行う仕事を計算しておこう . 9.2 ー 5 図で Pt に (). , Y. ) が作用していて , 剛体が だけ回るとしよう . Pt の座標 ( 石 , 必 ) は rz• COS ら Yi = S1n で与えられるから , = の回転に対して石 , 必は COS = 石イ sin ー必 dp モーメント 9.2 ー 5 図剛体に働く力の だけ変位する . したがって , (Xz, (z) の行った仕事は X 記石十の . = ( %. Y. ー YiXz)dp となる . このの係数はちょうど力のモーメントⅣーになっている . それゆ え , 全体のカの行った仕事は ( 9.2 ー 8 ) となる . ル = [ . v. ー共 & 月 dp = Ⅳ 体の慣性モーメント 質量分布と軸とが与えられれば , この軸についての ( またはこの軸の / = M 2 で与えられる . 剛体の全質量を M とするとき , まわりの ) 慣性モーメントは ( 9.2 ー 3 )
öE カ 1 ー十 , い 5.2 ハミルトン一ヤコビの偏微分方程式 カ 2 2 ' öa2 311 ( 15.2 ー 16 ) ( 15.2 ー 16 ) の最初の群の第 1 の式は時間と運動との関係を与えるが , その ほかの式は一を含んでいないから軌道を与え , また第 2 の群が運動量を与える DS / 十 , ( ⅱ ) E = の十の十・ ことはもちろんである . ・十 2 / の場合 = ー十區 , öa2 öal öS öの ' カ 1 カ 2 ( 15.2 ー 17 ) ( 15.2 ー 18 ) öQf となり , ( 15.2 ー 17 ) のどれにも / が入っているが形は対称的になっているこ とが場合によって便利なことになる . 〃が一を陽に含んでいないときには , S ( の , 42 , ・ わかれば ( 15.2 ー 6 ) を解いてルを求めないでも , , ク / , 住 1 , ( 15.2 ー 11 ) を解いて S を 求めればよい . ( 15.2 ー 11 ) もハミルトン一ヤコビ (H ー J) の偏微分方 程式とよばれる . [ 例 1 ] 質点に力が作用しないときのハミルトン一ヤコビの偏微分方程式を解け . ハミルトニアンは 1 ( カ x2 十加 2 十ル 2 ) したがって , H ー J 偏微分方程式は 2 2 十 これを解くために とおけば 2 1