あたり - みる会図書館


検索対象: 龍の子太郎
38件見つかりました。

1. 龍の子太郎

やまやま 山々ははげしくゆれうごき、み るみるあたりはくらくなったかとお もうと、たきのような雨が、ざあっ とふってきました。 「やれまあ、山へいったしゅうはどう したかよ。たつはただのからだでないに、 ぶじかよう。」 ばあさまはおろおろしながら、たったりす わったりしておりましたが、やがて、ひとと きあまりもふりつづいた大雨は、ふりだしたと きとおなじように、びたりとやみました。 .2 ゝを 26

2. 龍の子太郎

こうなると、みんなもうよろこんで、はいはい、と手をうちながら、おどりながら、夜 じゅうあるきにあるきつづけ、やがてしらしらと、あたりがあかるくなってきました。 いわやま もう、おそろしい岩山からはぬけだし、あたりはすくすくとのびたすぎの林でした。す がすがしいにおいが、あたりいつばいたちこめて、あたりはふるような小鳥のさえずりで す。きのうのできごとは、まるでゆめとしかおもえません。 こたろう たっ 「龍の子太郎さんや、あやさんや、見なされ。あそこにばかでかい岩がありますのい、あ の岩をまわると、くわらっとけしきがかわって、わしらの村が一見えじゃ。」 こたろう たっ と、たのしそうにわらいながら、さきほどのじいさまが、龍の子太郎とあやのそばへよっ てきました。 日こえ くろ 黒おにめを ぶんなげてくれたよ むらひとみ 一」とり′ はやし よる

3. 龍の子太郎

宿ド物燾毒 い第 , に , 受当 顰気こ をャ。も を、を畆 ごえ ははは、ははは、ははは、わらい ~ 尸はかぎりなく つづき、龍の子太郎の目のまえを、まっ白なかおの ゆきおんな 雪女たちが、つぎからつぎへおどってはきえ、き えてはまたあらわれます。 「くそう、くそう、くそう、あっちへいけ ! 」 手をふりまわし、おおいかぶさって ゆきおんな くる雪女のかおを、はねの あたしたちの手からにげてごらん あたいたちをばかにしてごらん あたしたちの手からにげてごらん あたいたちをばかにしてごらん こたろう 146

4. 龍の子太郎

「なに、どっちでもたいしたちがいはないだ。お、 ' らの家へきてはたらいてくろ。」 「そういうばあさまは、どこのお人だね。なんで そんなにさわいでるんだ。」 「なんでさわいでるって、まあ、見てくろよ、こ くさ の田んぼを。草ぼうぼうでねえかよ。 ちょうじゃ おらの家はな、にわとり長者といってな、このあたりきっての大長者さまだに。だも げなんげじよ の、ついこのあいだまでは、下男下女あわせて三百六十五人もおったでよう。そうして朝 から晩まで、とっととっとと、はたらいていたもんだが、なんとしたもんだべ、ひとりに げ、ふたりにげ、いまじやひとりもいなくなってしまっただに。おかげでこのとおり、田 くさ んぼって田んぼには草がぼうぼうで、田うえもできね。あいなあ。」 こえ ばあさまはそこで、声をあげてなきだしました。 「あいなあ、まるで金をすてるようなもんだぞい。おら、まいにちないているでよう。こ ばん かね にん おおちょうじゃ あさ 113

5. 龍の子太郎

ところが、いったいどうしたことでしよう。 あたりはしいんとして、ねずみ一びきとびだしてくるけはいはありません。 「あんれ、おかしいど、このあいだはじめてこの山にきたときは、みんな、よろこんであ つまってきたもんだ。うさぎなんか、おらのたいこがあんまりうまいもんで、ないていた ようだったそ。それなのに、いったい、どうしたもんだ。」 あか 赤おには、もういっぺんさけびました。 あか 「あつまれえ、赤おにさまのたいこだぞう。あつまれえ。」 それでもあたりはしんとして、ただ、ささの葉がざわざわなるばかりです。赤おには、 かんかんにはらをたてると、いきなり、そこらの岩をひっくりかえし、ほじくりかえし、 とうとう、小さなねずみを一びき、つまみあげました。 「やい、ねずみ、なぜおれさまがよんだのにでてこんか。」 「すみません、すみません。おら、耳のおくに、できものができたもんで : : : たいこはか んべんしてください。」 あか

6. 龍の子太郎

ゅぎ かぜ しかし、雪はますますはげしくなって、風さえまじり、いきもつけないほどふりしきっ たっ ちから てきました。龍の子太郎はこぶしをにぎり、力をこめて、あるきながらさけびました。 ゆき 「ほ、こったら雪っこ、なんだってえ、なんでもねえや。」 ゆき あたりはいつのまにか、つぶつぶとくれてきていました。くらい夜の中を、雪はせわし ゆき たっ こたろう くまいおどりながら、雪けむりとなって、どっと龍の子太郎にぶつかり、くずれてはまた ゆき まいあがります。ロも、目も、くびすじも、もちろんからだにも、雪は、ぶつかってはっ ゆき たっ こたろう もり、龍の子太郎は、もう雪だるまのようになっていました。 「くそう、まけね、おら、まけね。おら、おかあさんにあうんだ。おら、することがい ばいあるんだ。」 すると、あたりいちめん、ははは、ははは、ははは、と、あざけるようなわらいがおこ りました。 ゅぎ 下みれば雪っこ こたろう よる っ 145

7. 龍の子太郎

ひとみごくう そして、もし、人身御供をさしださないと、ここらあたりいちめんこうずいにして 。そこで、たくさんの人のいのちにはかえられ やるぞ、といっておどかすのですって : としひとみごくう ないと、まい年人身御供を、なくなくさしだしているのですって。」 「なんということだ。」 こたろう たっ 龍の子太郎は、まっかになってはらをたてました。 「ひやくしようがいちばんたいせつにしている水のもとをにぎって、わるいことをしてい るというんだな。ようし、おいら、きっとたいじしてみせる。」 くろ たっ 「でも、龍の子太郎、黒おにはとてもとてもつよいのよ。」 「だいじようぶさ、しんばいしないで見ていろさ。」 そのとき、ズシーン、ズシーン、と、地ひびきがしてきました。すると、あたりの岩が おと たに びりびりとゆれ、岩のかけらが谷へおちて、たかい音をたてました。 こたろう たっ くろ 「あ、黒おにだわ。さあ、はやく、龍の子太郎、こっちへきて ! 」 いわや こたろう たっ あやは、龍の子太郎の手をとると、岩屋の中へかけこみ、木のからびつへ こたろう こたろう たっ 、龍の子太郎

8. 龍の子太郎

くろ びつくりしたのは黒おにです。いきなり、おへそのあたりがむず ごえ らむずらしたかとおもうと、ちょうしはずれのどら声が、 でんでらでんのでんでらでん とはじまったのですから、つい気が ぬけて、えへら、としてしまいまし こたろう たっ た。そこをすかさず龍の子太郎が、 と、なげとばしたからたまりません。おにはもん せつべき どりうって、ふかい絶壁の下へなげこまれた : : : とおもいましたが、 ゃあっ

9. 龍の子太郎

と、しこをふみました。すると、あたりはじしんのようにぐらぐらとゆれ、岩屋の上か ら、大きな岩ががらがらおちてきました。 「うん、すもうか、おら、すもうならだいすきだ。」 たっ こたろう 龍の子太郎は、のこのこおもてへでると、 でんかしよう でんかしよう と、しこをふみました。 くろ たっ やがて、むずとくんだ黒おにと龍の子太郎は、 ドーンドトーン ドーンドトーン こたろう いわや 7 7

10. 龍の子太郎

あか たっ 龍の子太郎のほおは赤くなり、 ばっちりと目を見ひらきました。 たっ こたろう 龍の子太郎はふしぎそうにあ やを見つめ、それからあたりを見 まわしました。いつのまに、どう ぎやくにあるいたのか、ここはきの一つ たっ のかや野らしくおもえます。龍の子太 ろう 郎は目をばちばちさせていいました。 「おら、ゆめでも見ているんだろう 「ゆめではないわ。わたしはあやよ。 たっ こたろう 龍の子太郎がしにそうになったので、と んできたの。」 か。」 こたろう 150