やがて - みる会図書館


検索対象: 龍の子太郎
25件見つかりました。

1. 龍の子太郎

やまやま 山々ははげしくゆれうごき、み るみるあたりはくらくなったかとお もうと、たきのような雨が、ざあっ とふってきました。 「やれまあ、山へいったしゅうはどう したかよ。たつはただのからだでないに、 ぶじかよう。」 ばあさまはおろおろしながら、たったりす わったりしておりましたが、やがて、ひとと きあまりもふりつづいた大雨は、ふりだしたと きとおなじように、びたりとやみました。 .2 ゝを 26

2. 龍の子太郎

と、しこをふみました。すると、あたりはじしんのようにぐらぐらとゆれ、岩屋の上か ら、大きな岩ががらがらおちてきました。 「うん、すもうか、おら、すもうならだいすきだ。」 たっ こたろう 龍の子太郎は、のこのこおもてへでると、 でんかしよう でんかしよう と、しこをふみました。 くろ たっ やがて、むずとくんだ黒おにと龍の子太郎は、 ドーンドトーン ドーンドトーン こたろう いわや 7 7

3. 龍の子太郎

を ` こ 3 かえりをいそぎました。 いわやま ゅうひ やがて、まっかなタ日が、のんのんのんと岩山のか げにおち、まっくらな夜がきましたが、村の人たちの 意気はあがるいっぽうです。とうとうじいさまが、手 当をう 0 てうたいだしました。 4 、 ヨーイトオ くろ 黒おにめが くろ 黒おにめが どどんどでらん どんどんと 山こえ よる むら

4. 龍の子太郎

あか 赤おには天たかくなげあげられ、くるくるとまわりながら、天のはてにすいこまれるよ うに小さくなり、やがて、そのすがたは見えなくなりました。と、しばらくして、 ぶじについたら、たいこをならしてしらせろよ。」 それえいやあっ おと という、かわいらしいかみなりの音が一つ、きこえてきました。 「あ、ぶじについたらしいぞ。それにしても、赤おにのたいこも、天につ 2 ら、ずいぶ おと んかわいらしい音にしかきこえないんだなあ。」 ゴロゴロゴロ てん てん

5. 龍の子太郎

むら 「わしは村じゅうの大がまあつめるんじゃ。」 「ほいほい。」 「ほいほい。」 村じゅうの人たちは、もううれしくてぼうっとしながら、やがて、あつめてきた村じゅ うの大がまに、まっ白な米のごはんを、ほくほくとたきあげました。 「ほうい、にぎれや、にぎれや、むすびにするだぞ。」 むら むすびだむすびだ ほいごまのむすび ほいみそのむすび ほいうめぼしのむすびにやきむすび むすびだむすびだ し し こめ むら 100

6. 龍の子太郎

たっ 「龍の子太郎、おまえはなんというやさしい子だろう、こんなすがたのおかあさんのそば にでも、いっしょにいてくれるというのかい」 「いっしょにくらすとも、おかあさん。ばあさまも、みんないっしょにくらそうよ。でも たっ こたろう わるいことなのか : 龍の子太郎はロごもりました。いっていいことなのか : たっ こたろう からなかったのです。でも、どうしてもききたいことでした。龍の子太郎はおもいきって いいました。 にんげん 「でもおかあさん、どうしておかあさんはりゅうになってしまったの。もう人間にはもど れないんだろうか。」 たっ おかあさんのりゅうは、龍の子太郎のことばに、じっとうなだれていましたが、やがて、 どうしてりゅうになったの こたろう こたろう 163

7. 龍の子太郎

しがおもしろくてたまらね。 山をつぶすのはまかせてくれえ。」 たちまちたいこのすきな赤おには、かみなりさまのなかまを百もあつめる おと たっ こたろう と、いっせいに小さな山めがけてとびおりました。その音のものすごいこと、龍の子太郎 はしつかり耳をおさえて、りゅうのせなかにうつぶしました。やがて、まるでこの世のお わりかとおもわれるほどおそろしいひびきは、ばったりやみました。 たっ こたろう 龍の子太郎は、そっと目をひらきました。山のかたちはむざんにかわり、なまなましい きずあとのように、山はばっくりと口をあけています。 ドぃ年い 、第年いを 185

8. 龍の子太郎

ミを たっ こめて、からだをたたきつけ、たたきつけ、 やがて風雨の中に夜はあけ、また日はしずみ 二ました。しかし山は動きません。おかあさんのりゆ ( 、 ~ 、、・うのからだからは血がながれ、はく」きはほのおと なって、山はだをやきます。 「おかあさん、こっち、こっちの山だ。そこへ ! 」 たっ こたろう こえ なみくろくも 龍の子太郎の声が、あれくるう波と黒雲をつらぬいて、ひびきわたります。そのとき、 こたろう そら ごえ 龍の子太郎は、ふと、空のはてからききおぼえのあるたいことうた声をききつけました たいこのすきな赤おにだ トントカトカトカ スットントン うご 183

9. 龍の子太郎

で、声はとどかないだろうし、一生すわっていたって、あえるかあえないかわからない。 そのりゅうにどうや 0 てあうか、そこがむずかしいところだ。」 ばあさまは、そこでことばをきりました。 ( (. 夛「ありがとう、山のばあさま。なら、おらはこれからでかけます。ここにあるい ねは、すこしだども、米にしてたべてくろ。」 するとばあさまは、すっかりよろこんで、歯をむきだしてにかにかわらい ました。 「まてやい。ならおまえ、ちょっとこれを米にするまで、手つだっ ていけ。せば、おらがあずきいれて、あずきままをたいてや るべ。門出いわいっていうもんだ。」 たろ ) ) たっ そこで、龍の子太郎がいねをこいて米につけば、ばあ さまはあずきをより、やがて、しかけたあずきまま は、ぶうぶう、うまそうなゅげをたてはじめま しよう こめ かどで こめ こめ 139

10. 龍の子太郎

「おまえは、なんてかしこいむすめだろう。」 おかあさんのりゅうは、あやの声にじっと、耳をかたむけていいました。 こえ み 「わたしにはかおは見えないけれど、声をきいているだけで、どんなにやさしく、かしこ いむすめさんかわかるよ。さあ、いっておくれ、そして、山にすむ人たちにしらせておく れ、山のかたちがかわり、あたらしい川がしぶきをあげてながれてくるんだ、とね。そし て、あたらしい土地が生まれるんだ、とね。でも、そのために、ひとりでもしんだり、け がをするよ一つなことがないように : : ・とね。」 「はい、ではいってまいります。」 そら あやは、白いうまのせなかにとびのると、たちまち空たかくかけのぼり、みるみる小さ くなりました。うまのくびのすずの音も、やがてかすかになりました。 ひろい土地が生まれたよー とち とち こえ 180