アメリカの ふるぎ はら、米軍のはらいさげとかいう軍服や、ジーンズなんかの古着をう みせ ってる店が、よくあるじゃない。 みせ ぼうれい ああいう店に、アメリカ人の亡霊がでるっていううわさ、しってる ? とも わたしの友だちが、アルバイトしてるんだけどね。でたんだって。 てんちょう みせばん ある日、店長とふたりで店番していてね。 こんや きやく みせ ( 今夜はお客がすくないなあ ) って、ばんやり店の入り口ながめていた ぺいぐん ぐんぶく もちづきまさこ 望月正子 1 22
ェ 16 臥、すすま十土愛 ・ぜったいふりむくな / 松谷みよ子 つめたーい前菜のもりあわせ。たべると、いっしゅん気がとおくなります。 ほうもんしゃ まよなか ・真夜中の訪間者 / 小沢清子・ 東南アジアで大ブーム、うらみの激辛めん。頭がしめつけられるおいしさです。 ・こっちおいで / 藤かおる 沖縄産の塩で上海ガニを料理しました。長生きできる味です。 にようばう くび ・女房の首 / 吉沢和夫・ 5 月の節句限定、麦とあすきの特製がゆ。亡霊もおもわす手をだすほど / そうそうれっしゃ ・リンカーンの葬送列車 / 八百板洋子 よみがえった 19 世紀の味、フライドチキンは 8 分間でたべきってください。 ほうし ・法事は、やりなおし / 宮川ひろ・ お寺の精進ランチは大人気 2 回っつけてたべてもあきません。 ・とうさんの足 / 剣持弘子・ イタリアの家庭料理、骨つき肉のポモドーロ煮。わっとおどろくスパイスがきいています。 じゃ、バーイ / 森下真理・ ひとロサイズの白と黒のごまだんご。なみだのみつをたつぶりかけて / ・おいで、おいで / 斎藤君子・ あつあっロシア風おかゆにタマゴ焼き。坂をころげおちるおいしさ / ばぐるま ・乳母車の怪 / 望月新三郎・ イラク風トマトとキノコのソテーは、赤ちゃんの悲鳴がきこえます。 ・ふたりのケイト 高津美保子・ アルプス地方特産のハープティー、目もくらむかおりに気をつけて / ばうれい , ・デザートアメリカ人の亡霊 / 望月正子・ ぞうっ / として、アメリカンティストのポップコーン。 ・ 20 ・ 27 ・イ 8 ・ 59 ・ 67 ・ 76 力、し、 ・川 3
執筆者紹介 ( 50 音順 ) おざわ きよ 群馬を中心とした民話を採集。著書に『あの世 小沢 冫月子 からのおくりもの』『高崎のむかしばなし』など。 けんもち ひろ 弘子 日伊の民話・児童文学を研究。著書に『クリン 剣持 王』『ピノキオ』『三つのオレンジ』など。 君子 日ロの民話を研究。著書に『かもとりごんべえ』 斎藤 『シベリア民話集』『ロシアの妖怪たち』など。 日独の民話を研究。共著に『世界の魔女と幽 高津美保子 霊』『走るお婆さん』。著書に『白雪姫』など。 つねみつ 民俗・ロ承文芸を研究。著書に『学校の怪談』 常光徹 『妖怪図鑑』など。 著書に『上総の民話』『くらっこ』『へつぶりむ 藤かおる すこ』『くらげほねなし』など。 著書に『現代民話考』『龍の子太郎』『やまんば 松谷みよ子 のにしき』「あかちゃんの本」シリーズ等多数。 みやかわ 著書に『春駒のうた』『夜のかげばうし』『つば 宮川ひろ き地ぞう』『天使のいる教室』など多数。 著書に『よみがえった水仙』『ねすみにわとり 望月新三郎 ねこいたち』『とんちばなし』など。 著書に『ちいさな村に汽車がきた』『海ガメ通 望月正子 信海太の夏』『てんにんのよめさま』など。 著書に『月夜野に』『三人組、ふしぎの旅へ』 森下真理 『三つの時計の物語』『花ものがたり』など。 プルガリア・マケドニア民話・児童文学を研究。 八百板洋子 訳書に『吸血鬼の花よめ』など。 よしざわかずお 著書に『民話の再発見』『民話の心と現代』、共 吉沢和夫 著に『佐渡の伝説』など民話論多数。 さいとう きみこ たかつみほこ とおる ふじ まったに もちづきしんざぶろう もちづきまさ もりした 、つ た お や
乳毋車の エムまちみんぞくしりようかん 町の民俗資料館といえは、めすらしいイベントをおこなうので、 よくしられている。 よ よさかいてん こんかい 今回は、「あの世とこの世の境展」だ。 ど し あの世って、死の国のことだ。一度いったらかえれないところだ。 たいけん さいしゅうび このイベントの最終日、「体験コーナー、というのがあって、ばくは し いつばん とてもこわい話をきいた。このコーナーでは、一般の人といっしょに資 一つばぐるま はなし カー ー 3 もちづきしんざぶろう 望月新三郎 1 〇 3
・怪談レストラン編集委員会・ 松谷みよ子 ( 責任編集 ) 剣持弘子 高津美保子 常光徹 水谷章三 望月新三郎 吉沢和夫 ・協力・ 日本民話の会 ・シリーズデサイン・ たかいよしかす ( 京田クリエー 怪談レストランの 亡レストラン シ - ョン ) 怪談レストラン編集委員会・責任編集松谷みよ子 絵たかいよしかす 2003 年 6 月 1 5 日第 1 刷発行 2003 年 7 月 1 1 日第 3 刷発行 発行所・・・・・・株式会社童心社〒 1 60 ー 0008 東京都新宿区三栄町 22 容 03 ー 3357 ー 41 8 1 [ 販売 ] 03 ー 3357 ー 4402 [ 編集 ] 印刷・・・・・・光陽印刷株式会社製本・・・・・・株式会社難波製本 02003 Miyoko Matsutani, Toru Tsunemitsu, Kimiko Saito, Hiroko Kenmochi, Shinzaburo Mochizuki, Yoko Yaoita, Masako Mochizuki, Kazuo Yosizawa, Mihoko Takatsu, Hiro Miyakawa, Kiyoko Ozawa, Kaoru Fuji, Mari Morishita, Yoshikazu Takai published by DOSIN-SHA, printed ⅲ Japan ISBN イ -494-01072-3 NDC913 144P 17.3 x 12.3cm インターネットホームページ http: 〃 www.doshinsha.co.jp/
こんだな。そんなところへとびこんだら、わてはとけてしまう」 くび そういうと、首はふっときえてしまったと。 せつく その日はちょうど、五月の節句だったそうな。 せつく そんなことがあってから、五月の節句には、ヨモギとショウブをのき したにさすようになったんだと。 らーん 4 ゼうなんた・ れにしてを かし市古はいしい 58
しゃ こえ すりなく声がひびいたそうだ。 それから数年たった四月の夜、ふしぎなことがおこった。ニューヨー ちゅうおうてつどうせんろ そうそうれっしゃ ク中央鉄道の線路に、どこからともなく、リ ンカーンの葬送列車があ えき れっしゃ なんぼくせんそう らわれ、駅のホームにすべりこんだのだ。そして、列車から、南北戦争 ぐんぶくみ のときの軍服を身にまとった兵士があらわれ、リンカーンのひつぎを列 車にはこびいれた。 すうねん よる れつ
ぶん 「それも八分。あの日、 リンカーン閣下が、わたしたちとのお別れのた ていしゃ じかん めに停車した八分と、びったりおなし時間しゃないか」 えき 駅にいた人びとは、ロぐちに、このふしぎなできごとをいいあった。 「こんなことって、あるのだろうか」と。 でも、この列車は、いまでも四月になると、すがたをあらわすことが いたし どれいかいほうしゃ あんさっ あるそうだ。偉大な、奴隷解放者であったリンカーンの暗殺は、おおく こえ の人にかなしまれ、リンカーンのすがたをみたという人びとの声は、さ とち まざまな土地でささやかれている。 れっしゃ ぶん かっか わか
おも かなしい思いカ月 たか、日がたつにつれて、うす紙をはがすように、 のおくからうすれていったそうな。そうなると、くる日もくる日もひと りでいるのかさびしいというより、いささか、しんどくなってきた。三 いえ ど どめし 度三度の飯もっくらにゃならん。きるもののしまっ、家の中のそうじ、 いろりの火をけさぬようにすること、あれやこれや、みんなひとりでせ にゃならん。 「おらもまだわかいし、こらあ、あたらしいかかあをもらわにや、やっ てゆけんぞい によ一つ。ほ , っ せわ 世話をする人があって、あたらしい女房をもらうことにしたんだと。 しばらくのあいだはいっしょにくらしておったが、よそへでかせぎにい がみ むね 9 4
こっちおいで ぐん おきなわ しようわ たいへいようせんそう 昭和二十年六月、太平洋戦争のおわりごろ、沖縄に、アメリカ軍の大 軍がせめよせてきました。 とち おきなわ ぐんへいし 日本軍の兵士よりも、沖縄の人びとがおおぜい死んだ、日本の土地で のはじめての戦争です。 ぐんへいし かえんほうしやき アメリカ軍の戦車や、火炎放射器でおいたてられた日本軍の兵士、二 十人あまりが、南部の山のふもとで、アメリカ軍にいくえにもかこまれ ぐんせんしゃ なんぶ せんそう 0 ぐん し ふじ 藤かおる ぐんたい 4