ッ -2 。コ 0 一 「なにつ、あれはあれでむかしの はなし 話だ。いまさらなにをいう。一一度 と化けてでるな 夫は草かりがまですたっと、死 びとくび 人の首をきりおとした。したら、 首がひょいと夫のかたへのつかっ て、ひつばってもたたいても、は なれなくなってしまったと。 それからとい、つもの、どこへか しくのにも、かたに首をの せに ) おっと おっと 54
きみ つけていかねばならないので、どこでもみんな気味わるがって、 「もう、あんたはこなくってもいい」 「そんな首のふたつもある人を、やとうわけにはいか によう。ぼ、つ きみ いになってしまったんだと。女房も気味わるがっ て、さとへかえってしまった。 おっと むらびと ひとりばっちになった夫が、あるとき村人からもらったもちで、ぞう にをこしらえてたべておった。するとかたの上の首が、 「わてにも、もちをくれ、食いてえ、食いてえ」 とさけびだした。夫はひょっとかんかえて、 「よーし、もちをやるぞ。たんとやるから、首いつばい食うといい」 おっと 0 5 5
さいきん にかんじる最近の日本では、過去の話とはかりはいっていられません。「ぜったいふ りむくな」はそういう話です。 -6 ゝ ) ゝ しんびてき 物ほうれい まよなか ほうもんしゃ 「真夜中の訪問者」では、〃カッラみが亡霊の媒介になります。神秘的にあっかわれ かみけ じよせいおも ることも多い女性の髪の毛ですが、女性の思いかこもり、そのカッラが、ときにはう ・ほ , つれい らみをはらそうとして、亡霊をよびよせることもあるのかもしれません。 じ」く おきなわせんじようか おきなわせんはなし 「こっちおいで」は沖縄戦の話です。一九四五年六月、沖縄は戦場と化し、地獄を 9 せいねんぼうれい け . い、け . ん じっさい 実際に経験したのです。そのなかで、故郷の戦死した青年の亡霊にみちびかれたおか はなし いのち げで、命びろいした男の話です。こういう話は、みなさんもきっとどこかできくこと かあるでしよ、つ。 ぼうれい ふうふ によう・は、つく。ひ 「女房の首」は先妻が死んでまもなく後妻をもらった夫婦のところへ、先妻の亡霊 くび がでる話です。死体の首をきると、首だけになってついてまわるという、うらみのふ ぼうれいばなし かい亡霊話です。 そうそうれっしゃ 「リンカーンの葬送列車」は、アメリカの人びとのあいだで、まことしやかにかたら はなし おおじよせい したい せんさい はなし はなし し かこはなし こきよ、っせんし ′」さい せんさい
だいどころ というと、台所にあった、 こめ からの米びつのふたをあけ た。首はばっとかたからは なれると、からびつの中に とびこんだ。 「それつー と、夫はふたをぎっちりし めて、上に石をのせると、 どんどん、どんどん、にげ だした。 おっと 0 電ー 0 0 0
ところが首は、石をはね とばしてふたをあけると、 ひゅう、ひゅう、音をたて て、夫のあとをおっかけて きた。 おっとむがむちゅう 夫は無我夢中で、ヨモギ とショウフのいつばいはえ はら た原つばへ、にげこんだん 「よくもそんなとこへにげ おっと
こんだな。そんなところへとびこんだら、わてはとけてしまう」 くび そういうと、首はふっときえてしまったと。 せつく その日はちょうど、五月の節句だったそうな。 せつく そんなことがあってから、五月の節句には、ヨモギとショウブをのき したにさすようになったんだと。 らーん 4 ゼうなんた・ れにしてを かし市古はいしい 58
ました。目がまわったり、はき気がしたりして。 よ、つふく 洋服ゆるめて、カッラとってやすんでいたら、すぐになおりましたけ どね。 けつきよく、でかけるのはやめました。 その晩のことです。 よなか 夜中にふっと、目がさめました。 かぜ 首やははに、風があたっています。 「おお、さむ [ みると、べ ています。 ばん まど かぜ ッドの足もとの窓があいていて、カーテンか、風におどっ 3
まえへったえろ」 めいれい そうすると、まえへ、まえへ、命令がったわっていく。 めいれい なんだかへんな命令だなあ。どうもへんだとおもって、よこをあるい じよ , つかん ている上官どのを、ちらりとみた。 かお すこーし、夜があけかかってきたから、うっすら、顔がみえる。それ かお がさ、ひきつった顔してるんだ。首つきだしてさ、青ざめているんだ。 かくかくあるいている。 あしおと そのあいだにも、うしろからの足音は、どんどんせまってくる。 サッサッサッサッ みち ぶたい 「うしろから部隊がきますが、道をゆすらんでいいですか .
がいこくじんまんび このごろ、外国人の万引きもおおいからね。 その男は、軍服のハンガーをひとつずつはすしてひろげている。なに かチェックするように、うらまでしげしげとみて、首をふったりすくめ たりして、もとにもどす。それをかたつばしからやっている。 ( なにをさがしているんだろう ) とおもったけど、あまりのしんけんさ てんけん におされて、みているしかなかった。やがて、その男はすべてを点検し おわると、かたをおとし、さびしそうにスーツときえてしまった。 てんちょうかお 「ああっ、これがうわさのー って、店長と顔をみあわせたって。 まひるま それがね、夜だけじゃないんだって。真昼間でも、客がとだえると、 いつのまにかいる。おなじ人しゃないらしいけどね。 よる ぐんぶく きやく 1 24
ェ 16 臥、すすま十土愛 ・ぜったいふりむくな / 松谷みよ子 つめたーい前菜のもりあわせ。たべると、いっしゅん気がとおくなります。 ほうもんしゃ まよなか ・真夜中の訪間者 / 小沢清子・ 東南アジアで大ブーム、うらみの激辛めん。頭がしめつけられるおいしさです。 ・こっちおいで / 藤かおる 沖縄産の塩で上海ガニを料理しました。長生きできる味です。 にようばう くび ・女房の首 / 吉沢和夫・ 5 月の節句限定、麦とあすきの特製がゆ。亡霊もおもわす手をだすほど / そうそうれっしゃ ・リンカーンの葬送列車 / 八百板洋子 よみがえった 19 世紀の味、フライドチキンは 8 分間でたべきってください。 ほうし ・法事は、やりなおし / 宮川ひろ・ お寺の精進ランチは大人気 2 回っつけてたべてもあきません。 ・とうさんの足 / 剣持弘子・ イタリアの家庭料理、骨つき肉のポモドーロ煮。わっとおどろくスパイスがきいています。 じゃ、バーイ / 森下真理・ ひとロサイズの白と黒のごまだんご。なみだのみつをたつぶりかけて / ・おいで、おいで / 斎藤君子・ あつあっロシア風おかゆにタマゴ焼き。坂をころげおちるおいしさ / ばぐるま ・乳母車の怪 / 望月新三郎・ イラク風トマトとキノコのソテーは、赤ちゃんの悲鳴がきこえます。 ・ふたりのケイト 高津美保子・ アルプス地方特産のハープティー、目もくらむかおりに気をつけて / ばうれい , ・デザートアメリカ人の亡霊 / 望月正子・ ぞうっ / として、アメリカンティストのポップコーン。 ・ 20 ・ 27 ・イ 8 ・ 59 ・ 67 ・ 76 力、し、 ・川 3