生き物 - みる会図書館


検索対象: ふたごの魔法つかい空のウサギ
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1. ふたごの魔法つかい空のウサギ

こえ おとこ デデブの声に、男の子は、だまったまま、こっくりと、うなすいた。 こえ デデブは、しみしみとした声で、いった。 「たとえ夢でも、生き物たちになれば、生きていることが、うれしくなるもの にんげん ちきゅう さ。おまえたち人間も、地球という星に生まれた、たくさんの生き物のひとっ だからな」 おも 羽子は、さっきまでみていた、ふしぎな夢を、思いだしていた。とちゅうま ゅめ でしか、みられなかった夢だ。 「魚に、なった ? 」 おとこ 桃子がきくと、男の子は、小さくうなずいた。 「大きな生き物にも、なった ? 」 とり きようりゅう 「恐竜にも、なった。島にも、なったよ」 さかな ももこ ももこ おお ゅめ もの もの こ こ ちい ゅめ もの

2. ふたごの魔法つかい空のウサギ

みなれた体もなかった。一あるのは、そこにいるという、気もちだけだ。 おも でも、桃子は、それをふしぎには、思わなかった。なん万年、なん十万年、 おくねん なん億年もまえから、そうだったような、とても、しぜんな、かんじだった。 みずなか ももこ 水の中には、かぞえきれない、あわっぷが、ゆらゆらと、ゆれている。桃子 おも おと と ) てもを ) も、あわっぷの、ひとつのように思えた。なんの音も、きこえない。 はんぶん ても、しすかなところだった。半分ねむっているような気もする。 そのとき、うすぐらい水の中か、ハ、 ソと、あかるくなった。すると、 で、ゆらゆらとゆれていた、たくさんのあわっぷが、ふしぎな生き物のすがた に、かわったのだ。 もの その生き物たちは、ふわふわと、およぎはじめた。しつばのながいのもいれ あか ば、みじかいのもいる。赤い色のもいれば、白いのもいる。ひとつひとつが、 からだ ももこ みずなか しろ まんねん もの まんねん

3. ふたごの魔法つかい空のウサギ

( : : : どうしたんだろう ? ) ももこ ゅめ とちゅうで、夢からさめてしまったようで、桃子は、すごく、ものたりない き 気がした。もっともっと、夢のつつきか、みたかった。 ひかりやかたなか 桃子が、ばんやりと、光の館の中を、みまわしていると、さっきまでとは、 き ぽんひかり あおひかり 十本の光が、ひとつに、あつま 青い光のようすか、ちかうことに気がついた。 おお こんどは、なにか、巨大な生き物に、なっているのを、かんじていた。どん きぎ ももこ な生き物か、桃子には、わからなかった。ジャングルの木々が、下にみえる。 もも」 たかやま とおくには、高い山か、つらなっている。桃子か、なかまを、さかそうとして、 くび 大きく首を、まわしたときだった。 ももこからだ ひかりやかたっちうえ め 桃子は、ふっと、目がさめた。気がつくと、桃子の体は、光の館の土の上に あった。 ももこ ももこ もの きょだい ゅめ もの き した

4. ふたごの魔法つかい空のウサギ

「ごはんは、いつでも、食べられるわよ」 「、フ / ル」 「アカデミーで、なにか、あったの ? 」 「べつに。 いつもとおなじだよ」 ももこ 桃子は、そっけないへんしをして、リビングのソファーに、ねころがった。 にち と、つ 「日よう日だっていうのに、お父さんは、パチンコにいったきり、かえってこ ももこ ないし、桃子は、つめたいし。さびしい、さびしい」 お母さんは、ぶつっと、ぐちをいいながら、おふろのそうじを、はじめた。 桃子は、生き物になった夢のつづきを、みるように、 いつものへやを、ゆっ くりと、みまわした。 ふるしやしん しやしん かべには、古い写真が、かざってある。桃子か、ようちえんのときの写真だ ももこ かあ もの ゅめ ももこ 110

5. ふたごの魔法つかい空のウサギ

とうなか 桃子は、デデブに、さそわれるまま、塔の中にはいって、息をのんだ。 あおひかり てんしようから、なん本もの青い光が、すじになって、ふりそそいでいた。 「ここが、おまえたちが、生まれかわるための家さ」 こえ デデブのしわがれた声が、がらんとした家の中に、こだました。 「あの : : : 生まれかわるって、あたし、死んでるんですか ? それとも、まだ、 生きてるんですか ? 」 デデブは、ふっと、わらった。 からだ こころし 「体は、生きているから、しんばいするんじゃない。でもな、心が死んでる のさ。あたしか、い ってるいみか、わかるか ? 」 ももこ からだこころ 丿子はいままで、体と心を、ばらばらにわけて、かんかえたことかなかった。 ( 心が、死んでる : こころ ももこ ぼん いえなか

6. ふたごの魔法つかい空のウサギ

ままで、こんなけいけんをしたこ 桃子は、そんな自分が、ふしぎだった。い かな とが、なかった。なみだがでるのは、きまって、つらいときや、悲しいときだ ノ才 / こえ どうしていいか、わからなくて、料子は、デデブに声をかけた。 デデブは、 羽子たちといっしょに、ウサギたちを、みあげていた。 そら 「きれいだな : 。空のウサギは : デデフは、ひとりごとのように、つぶやいた。そして、かみしめるように、 しナ / 「それでいいんだ。きれいなものをみて、心がうごかされるのは、おまえたち の心が、ちゃんと生きているしようこだからさ」 」ころ ももこ ももこ じん ももこ こころ

7. ふたごの魔法つかい空のウサギ

あたま おとこ で、両足をかかえて、うごかなかった。男の子のことで、頭が、い ( きっと、あの子だ : ももこ おも 丿子は、ドキドキしなから、そ、フ田 5 った。 こえ あおじろかお おとこ 耳のおくに、青白い顔で、はなしていた、男の子の、かんじようのない声が、 よみがえってきた。 『ミンナ、ミンナ、ボクノコト、スキジャナイミタイタ・・・・ : 』 『イキテルノッテ、ツライヨ : こえ め おとこ 羽子は、目をつむった。男の子の声か、こだまのように、ひびいていた。 じぶんじん ひとから、きらわれるのは、さびしい。でも、自分で自分が、きらいになる のは、もっと、さびしいことなのかもしれない。 ( 生きてるのって、つらいけど : : : ) ももこ みみ りよ、つあし こ こ こ つよ ) ごっこ。 しナ / ネ / 114

8. ふたごの魔法つかい空のウサギ

ネネプの目は、う 0 すらと、赤く 0 ていた。 ももこ こえ 羽子は、きゅうにはじまった、ふたりのけんかに、声もだせなかった。石の ウサギの下に、にげこむのか、せいいつばいだった。 こ 「ネネプねえさんには、わからないのさ。子どものころから、いつでも、ゆう じん とう生のネネプねえさんには、自分をきらいになってしまった、この子たちの かな ほんとうの悲しさか、わからないのさ」 くろ デデブは、黒いつめを、カチカチとならして、いった。すると、こんどは、 ネネプか、白いつめを、カチカチとならした。 どりよく じぶん 「デデブ、よくきくんじゃ。なんの努力もしないで、自分をすきになれるわけ いしもり っしよ、フけんめいに、でようとする気 か、ないじやろう。この石の森から、 じしん ちからおも もちが、子どもたちに、生きる力を思いださせ、自信をつけさせるんじゃ」 した しろ こ いし

9. ふたごの魔法つかい空のウサギ

かん あ う感しで、ひとしきり言い合いました。 びん かんそうか アヤナちゃんは、キティちゃんの便せんに感想を書いてきてくれました。「ちょっと まほうわたし こわくて、たまにゾーーツときたときがある。でも、おもしろい魔法は私がっかって、 ほんと、フにできそ、つなかんじがした」 じつわたし よ はなしさいしょ ねん さきゅ 実は私はこのお話を最初に読んだとき、一九九九年という先行きが見えにくくおとな で げんき じだい さくしやかわきたりようじ おく 月北亮司さんが送ろうとする「がん も子どももあまり元気の出ない「時代」に作者のー じぶん ばらなくていし 自分をたいせつに」というメッセージがストレートすぎて、子どもた 、つ おも ちに受けとめられるのだろうかと思いました。が、子どもたちと話してみて、おとなが しんばい げんき 心配するほど子どもたちは元気をなくしてはいないんじゃないか、となんだかうれしく かわきた かんかたう なりました。そして、 , 北さんからのメッセージも、いろいろな感し方で受けとめられ おも そざい まほう えがせかい ていると思いました。そこでは、ダンスという素材や、ふたごの魔法つかいが描く世界 と しかくてきうつく いろたいひそら しろくろあかあお の視覚的な美しさのイメージーーたとえば、白と黒、赤と青の色の対比や空を飛び回る げんそうせい かわきた きようゆう ウサギたちの幻想性ーーーなどが、 丿北さんが子どもたちと共有するセンスとして生き ているのではないでしようか こ こ 0 み まわ 121

10. ふたごの魔法つかい空のウサギ

フこ 第」魔ウ ヾーふノ フォア 工 S B N 4 ー 4 9 4 ー 0 2 7 4 6 ー 4 C 8 2 9 5 \ 5 6 0 E 膩ⅡⅢ刪Ⅲ馴Ⅷ 9 7 8 4 4 9 4 0 2 7 4 6 0 A ロ 4 民ふたごの魔法つかい空のウサギ ダンススクールの みち かえり道、 まほう 魔法つかいの ネネプにあった , せかい ふしぎ 不思議な世界へ しゆっぱっ さあ、出発 " ・「解説」より しんばい はな 子どもたちと話してみて、おとなが心配するほど子どもた げんき ちは元気をなくしてはいないんじゃないか、となんだかうれ かわきた さんからのメッセージも、 しくなりました。そして、川北 おも かんかたう ろいろな感し方で受けとめられていると思いました。そこで まほう えがせかい そざい は、ダンスという素材や、ふたごの魔法つかいが描く世界の しろくろあかあお しかくてきうつく 視覚的な美しさのイメージー・ーたとえば、白と黒、赤と青の かわ げんそうせい いろたいひそら 色の対比や空を飛び回るウサギたちの幻想性ーーー・などが、ー きようゆう きた 北さんが子どもたちと共有するセンスとして生きているので はないでしよ、フか こ こ 0 北亮司・りやかよこ・画 まわ 童心社 定価 ( 本体 560 円 + 税 ) ( 三輪ほう子 ) こ こ フォア文庫の整理番号 ・アルファベットとシンポル・マークの色によって対象 を表示してあります。 ・数字は対象別の通し番号です。 ・定価の変更によって広告表示と実際の定価カ嗄っ ている場合もあります。 日北亮司・作 A = 小学校低・中学年 B = 小学校中・高学年 C = 小学校高学年・中学 FOUR 装丁安野光雅 BUNKO