ジャングル - みる会図書館


検索対象: 中央アメリカをかける
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1. 中央アメリカをかける

◆フーリオさんの平和主義 グアテマラをあとに、コスタリカにむかいました。コスタリカのジャングルで野生動 さっえい 物を撮影するためです。 コスタリカは、太平洋とカリブ海にはさまれたとても小さな国です。首都のサンホセ から車で西にむかって一時間もいけば太平洋岸にでます。反対に、東に二時間ほどいけ ばカリブ海です。この小さな国土に四六もの国立公園と国立自然保護区があります。公 そうめんせき 園と自然保護区の総面積は全国土の二七パーセントをしめています。コスタリカは、ま さに森の国なのです。 国立公園や自然保護区のジャングルは野生動物の宝庫でもあります。めずらしい動物 たちがたくさんいると聞いて、ぜひ撮影したいと思っていました。 首都のサンホセで、ガイドのフーリオさんとおちあいました。フーリオさんはコスタ リカのどこのジャングルに、どんな動物がいるか知っています。「あの動物が見たい」と 川森の国コスタリカの動物たち ほ、つ」 ほご 99 4 ] 森の国コスタリカの動物たち

2. 中央アメリカをかける

ぜんれいさい グアテマラの全霊祭の村トドスサントスからコスタリカのジャングルまで、一〇月か ら一一月にかけて中米を再訪したあと、メキシコにもどって、ジャングルに点在するマ ちゅうだん せきさっえい ヤの都市国家の遺跡を撮影し、手術前に旅を中断したアカプルコにもどりました。一一 月二五日、ノブとともに自転車にまたがってアカプルコを出発。一二月一三日、メキシ とうちゃく コからアメリカへ入国。一二月一六日、ナバホ族の土地に到着しました。これでグレー トジャーニーの三年目が終わったことになります。次の巻ではちょっと時間をもどして、 ほ、つ」く 六月から一〇月にかけての北米の旅を報告します。 さいほ、つ てんざい 115 [ 4 ] 森の国コスタリカの動物たち

3. 中央アメリカをかける

「いちばんよく姿を見せるのは、一二月から五月なんだ。いまはシーズンじゃないから うん ね。うまく見れるかな」と心配するオスカルさんとともにジャングルに入りました。雲 むりんせ 霧林は背の低い木々がびっしりとからまりあっていて、ガイドがいなければたちまち道 に迷ってしまいます。 オスカルさんの心配をよそに、ジャングルに入って間もなく、ケツアールが姿をあら むね わしました。全体はあざやかな緑色です。胸の部分の羽毛だけが真っ赤なのが目立ちま こん ケツアールのエサは、アポカドに似たアグアカティ 1 ロと呼ばれる木の実と小さな昆 そうがんきよ、つ 虫です。双眼鏡で見ていると、アグアカティーロをのみこみ、種だけを器用にはきだし ていました。 マヤには、ケツアールにまつわる伝説があります。 マヤの伝説の古都クマルカフに、地上でもっとも美しい花が咲いていました。この花 の父親はマツの木で、母親は星の光でした。花には兄弟姉妹がたくさんおり、そのひと つがランでした。ある朝、ランが目ざめると、そのからだがいつの間にか鳥になってい ました。これがケツアールでした。ケツアールはランの生まれ変わりなのです。 ちゅう すがた すがた 108

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いうと、「それならこの国立公園のあそこのジャングルにいるよ」と教えてくれます。 フーリオさんの母親は、コスタリカ南部の先住民プリプリ族です。フ 1 リオさんもプ さい リプリ族の村で育ちました。二〇歳近くになってはじめてサンホセにでてきたとき、フ けいかんよ ーリオさんは靴をはいていませんでした。はだしで町を歩いていると、警官に呼びとめ けいかん られます。あやしい男だ、というわけでしようが、悪い警官にたかられてこまったこと ちょうきより もありました。中米各地を走る長距離トラックの運転手をしていましたが、一四年前か ら自然公園のガイドをしています。 でんとう プリプリ族には、争いを徹底した話し合いで解決しようという伝統があるそうです。 「コスタリカが外国と戦争になっても、戦いたくない。あくまでも話し合いで解決すべ 他人に武器をむけたり、殺したりするよりも、自分が死ぬほうがましだよ」とフ ーリオさんはい ) します。 しゅぎ フーリオさんのこの主義は、ジャングルの中でも徹底しています。小さなアリやカエ ルを踏み殺すことのないように、気をつけて歩きます。先住民の「話し合いによる平和」 ひぶそうちゅうりっせいさく の文化がコスタリカの非武装中立政策の基本にあるのかもしれないと思いました。 たにん くっ てってい 100

5. 中央アメリカをかける

きけん ◆危険なジャングルへ ちきよう なんかんとつば 南アメリカ大陸から中央アメリカにわたるには、ダリエン地峡という難関を突破しな じばん ければなりません。南北アメリカ大陸をつなぐパン・アメリカンハイウェイが、地盤の 悪さからただ一か所とぎれている場所です。 しっちたい ダリエン地峡はコロンビアとパナマの国境に広がる湿地帯です。コロンビア側はカテ イオス国立公園、パナマ側は世界遺産にも指定されているダリエン国立公園となってい ちいき ます。人間の手が入らない自然がそのまま残っている、中南米でもめずらしい地域です。 熱帯雨林が広がり、アマゾン以上に動物の密度がこくなっています。 そしてまたここは、世界でもっとも危険な場所のひとつでもあります。ジャングルと けいさっ 湿地帯がじゃまをして、警察や軍の手がなかなかとどかないため、反政府ゲリラや犯罪 かくめいぐん そしき 組織の基地となっているのです。盜賊をはじめ、 ( コロンビア革命軍 ) 、 i--a してき まやくみつゆ かいほうじんみんぐん ( 解放人民軍 ) などの反政府ゲリラ、彼らをつけねらう農園主の私的軍事組織、麻薬密輸 田ダリエン地峡を越えて りき一、つ さん かれ みつど はんせいふ はんざい

6. 中央アメリカをかける

目次 グレートジャーニーとは っ」し玉、つ 田ダリエン地峡を越えて きけん 危険なジャングルへ トウルポ出発 南米卒業 図自転車で中米を縦断 ふたたびカヤックで みつにゆうこく 密入国ルート しようとっ つ」 O イヌと衝突 鼠径ヘルニア 。ハナマ運河をわたる しやくねっ つ」 0 ′ 灼熱の路上 軍隊のない国コスタリカ CO ′ 0 ニカラグア入国 むつつりしながらも親切な人たち ホンジュラス入国 エルサルバドルの陽気な人々 、ナこえの文明 天文学とし ( , けいかん 警官にたかられる 2 4 5 5 6 じゅうだん 2 5 4 4 6 4 4 6

7. 中央アメリカをかける

ほ、つヤ」 だけど、野生動物の宝庫でもある。わたし自 身もジャングルの自然が大好きだ。そこで、 自然保護区にして開放することにしたんだ」 とエディさんは自然保護区をつくったきっか けを話してくれました。 自然保護区にペンションを建てて、宿泊し た観光客を、息子のオスカルさんとホルへさ んが案内します。観光客の目当てはケツアー ルです。 ケツアールは、標高一、五〇〇メートル以上 の雲霧林に住む鳥です。森林伐採などが原因 ツで減っています。手のうちょうがありません。 つかまえてかごに入れると死んでしまう、飼 ラ マ育ができない野鳥です。このことから「自由 の象徴」として中米で人気があるのです。 い ば い′さ しゆくはく 107 [ 4 ] 森の国コスタリカの動物たち

8. 中央アメリカをかける

マヤ月ティカル アカプルコへ 59 りよ、つよう 手術とサンプラス諸島での療養 ぜんれいさい マ / O 3 全霊祭の村 7 ′ 0 ふたたび中米へ リゴベルタ・メンチュウさんに会、つ 71 っ / -5 メンチュウさんからのメッセージ フ / 8 全霊祭の村 サンチャゴ・ラメレスさんの家に泊まる 82 ききよう 8 ・ 6 長男ファンさんの帰郷 ないらんき 内乱期のトドスサントス ナ、ま 競碼がはじまった 92 お墓参り 9 / 川森の国コスタリカの動物たち フーリオさんの平和主義 さんらん ウミガメの産卵 ケツアールを見る ほうせき ジャングルの宝石たち 1 ー、ーっ 白いコウモリ あと・かき は しよと、つ 9 ・ 0 0 ′ 0 ′ 0 ′ 9 ・

9. 中央アメリカをかける

0 ハイチドミニカ 共和国 0 キューーぐ リヤマイわ ポンュラス ニカラづラー メキシコ 0 0 心トズ、 りアテマラ 人へフ 工 工ルサルべレ ネスエラ コロンヒア コスタリカ ン ャビサ④ ーナマ ′ナマ ノロ・デ・ラス・レトラス クリスタレス、 . アトラト川 コロンビア 徒挙・自転カヤッワ 0 組織などが、ジャングルの中で銃撃戦を行っ ています。 昨年も数百人がこの地域で殺され、国連平 け・んレ」、つ ケリラや 和維持軍の出動も検討されました。、 ゅ、つかい 犯罪組織は、外国人を誘拐して身代金を要求 し、要求にこたえないと人質を殺すといった かつどう 事件をおこしています。身代金を組織の活動 資金にするのです。 そうび ばくは日本で装備をととのえ、安全対策を 力いむしよう ねりました。計画を知った日本の外務省は「危 険すぎる。中止してもらいたい」といってき ました。現地からも「ゲリラが集結している じよ、フきよう ようだ。危険な状況だ」という知らせが入り ました。しかし、この危険地帯を越えなけれ ば、中米へ前進できません。 しきん じ じゅうげきせん たいさく 7 [ 1 ] ダリエン地峡を越えて

10. 中央アメリカをかける

のような外見にもかかわらす草食性でおとなしいイグアナなど、本当に野生動物の宝庫 でした。 なかでももっともめずらしい動物はシロへラコウモリです。世界でただ一種類の白い コウモリです。体長五センチから六センチほど。昼間はショウガの仲間のヘリコニアと , つらがわ いう植物の葉の裏側にぶらさがって眠っています。なかなか見ることができないと聞い ていたのに、フーリオさんの友人のガイドが「ここにいるよ」とあっさり見つけてくれ ました。 さっえい のちに日本に帰国したとき、ばくがシロへラコウモリの写真撮影に成功したと聞いた 東京のコスタリカ大使館が「写真を貸してもらえないか」といってきました。大使館も めずらしがるようなコウモリだったわけです。 ジャングルの動物たちをたつぶり観察して、公園内のロッジに帰りました。夜になる とロッジのまわりで、ヤドクガエルたちの鳴き声がしました。ストロべリーヤドクガ工 ふくろ ルのオスは、のどの下に声をだす袋をもっています。この袋をふるわせて音をだし、メ もよう スをさそいます。声をたよりに近づくと、黒と赤のまだら模様の小さなストロべリ 1 ャ ひきはか・け ドクカエルがいました。オスの後をメスがついていきます。二匹は葉陰に消えました。 ねむ ほ , っ」 1 14