ーちらも、くつくーと声を出してあいさつをします。そうすると たくさんのゴリラたちがくつく、一一一一 , , ーとあいさつをしてくれます。 なかま ゴリラたちがぼくを仲間として受け入れてくれたのです。
一を ' まい篳 ち でも、顔見知りになるとどうでしよう。ゴリラのルールを守って近づ おだ けば、とても穏やかな顔で迎えてくれます。ますシルバーバックがじっ とこちらを見て、気持ちを確かめるように顔をのぞきこむと、くつく ーあと低い声を出します。それがあいさつです。 むか
ゴリラは楽しいとき、目をきらきらさせて、ロを少し おもしろ ふまん 開けます。これがゴリラの微笑です。不満なとき、面白 くないとき、ロを尖らせてこっこっこっと声を出します。 きんちょう 緊張したとき、どうしようか迷っているとき、ゴリラ はロをぎゅっと結びます。 ほほえみ とが まよ 口をきゅっと結ぶ。 口を尖らせる。 24
それは、シルバーバックがいつも声を 出しているからです。 く一、うみああ、くみああ。 休むときはみんなシルバーバックのそ ばに集まってきます。そして、おなかを くつつけたり、ひざまくらをしたりして ひるね 昼寝をするのです。昼寝の時間は 2 時間 ねむ から 4 時間もあります。ゴリラは眠るこ とがとっても好きなのです。 昼寝するゴリラ。
シルバーバックの背中ですべり台遊び。 子どもたちは、シルバーバックの白い背が大好きです。白い毛にさわ ってみたり、毛づくろいをしてみたりします。なれてくると、びしやび しやと背中をたたいてみたり、すべり台にしたりして遊びます。 けつ シルバーバックは決して怒らず、やさしく子どもたちを見守っていま らんぼう す。あんまり遊びが乱暴になると、こほっ、こほっとせきのような声を 出して子どもたちをいさめます。 あそ 1 8
ルん なちす き赤く れ抱 んな をす さだんま ちま がす赤だ ちで たらすすが もかまで声 どだりき 子全なず好」笑 、安くびな はばよ良遊うつ J にれ仲もそく とてしこ わにちと楽く まばたははこ のそもちに < 笑い顔で遊ぶ子どもたち。 んのどたりこ さク子もたく 父ツにどあこ おバぐ子。く 一すり 赤ちゃんを抱く子どもゴリラ。
けんかの仲裁。 遊びに力が入りすぎたり、同じ食べ物を取り合ったりすると、けんか が起こることがあります。けたたましい叫び声がして、けんかをいさめ るこほっ、こほっ、こっこっという声があちこちから起こります。する と、たちまちお父さんのシルバーバックが地響きをあげてやってきて、 けんかに割って入ります。シルバーバックににらまれると、どんなけん しす ちゅうさいめいじん かもまたたくうちに静まってしまいます。お父さんは仲裁の名人です。 どんなけんかでもえこひいきすることはありません。必す、けんかを しかけた方をいさめ、体の小さい ほ 子どもを保護します。だから、子 よわ どもたちが弱いものいじめをする ことはありません。子どもたちは、 しんらい 信頼できるシルバーバックのそば で、安心して遊び続けることがで きるのです。 あそ さけ じひび かなら つづ 26
ー 7 ノ一を シルバーバックの示威〔しい〕行動 ( 力強い姿を見せて敵をおいはらう ) 。 むね とっしん よくしらない人間に出会うと、ゴリラのオスは胸をたたいて突進して うで きます。 200 キログラム以上の巨体が立ち上がり、長く、太い腕をのば したら、とても大きく見えます。 せなか おとなのオスは、背中が雪のように白く、シルバーバック ( 銀の背 ) は きようめい と呼ばれます。胸は太鼓のように張り、のどから胸の下に広がる共鳴 袋が大きな音を響かせます。はうあーっというほえ声と、ぼこぼこぼ こぼこという胸をたたく音が森にこだまします。森中が大きく揺れるよ うな気がして、思わず、逃げ出したくなってしまうのです。 きよたい ひび ぶくろ
30 年前にはじめてゴリラに会ったと き、ぼくは人間がとてもかなわない能 力をゴリラがもっていると感じました。 でも、長い間それがどんな能力なのか、 わかりませんでした。野生のゴリラとつ きあいを続けるうちに、それは自分を抑 なかまむか えて仲間を迎え入れる能力だと思うよう になりました。一見こわそうに見えるオ じつ スゴリラが、実は子どもゴリラたちに慕 われるやさしいお父さんだったからです。 ぼう あか ゴリラの赤ん坊は 3 年間もお母さんの ぼう ちちす あま お乳を吸って育つ甘えん坊です。しかし、 ちちばな りつば 乳離れをすると、たちまち成長して立派な体 になります。 10 歳になる頃には、オスは にんしん 100 キログラムを超え、メスは妊娠できる体 きゅうそく になっています。このように身も心も急速 に成長できるのは、お父さんゴリラが子育て をするせいだろうと考えられています。子ど もが乳離れをする頃になると、お母さんゴリ せつきよくてき ラは積極的にお父さんゴリラに近づき、子 あす どもを預けようとします。このとき、お父さ きよようりよくほうようりよく んゴリラの大きな許容力と包容力が、子ど もたちを引き付けるのです。 じ しゅちょう ゴリラの子どもたちは自己主張すること むね かた が大好きです。肩をいからせて歩いたり、胸 たが をたたいたりしていばって見せます。互いに かなき 負けていないので、ときどきぶつかって金切 り声が起こります。でも、お父さんゴリラが だいじようふ いるから大丈夫です。お父さんゴリラは、 けつ 決してえこひいきをせず、大きな体を子ども わ たちの間に割り込ませてけんかを止めます。 りよく つづ おさ かべ 大きな壁になることによって、子どもたちを たいとう 対等につき合せるのです。このように、がま ん強く子どもたちを受け入れるお父さんゴリ ゆうえんち ラのまわりは、まるで楽しい遊園地のように 見えます。おかげで子どもゴリラたちは、仲 そんちょう 間を尊重しあって集団生活を送る能力を育 てることができるのです。 でもそんな平和な暮らしをしているゴリラ ばっさい たちが、森林の伐採や内戦によってすむ場所 せつめつききひん 絶滅の危機に瀕しています。コンゴ を失い、 みんしゆきようわこく ちょうさ 民主共和国でゴリラの調査をしている仲間 たちといっしょに、ぼくはホレポレ基金とい ほ かつどう うゴリラの保護活動を始めました。ゴリラは ちがしんか りんじん 人間とは違う進化の道を歩んだ隣人です。人 間を超える能力をもったゴリラたちが、いつ までも生きていける自然を大切にしたいと思 います。 さい く うしな ききん ゆうえんち ちきゅう ドキュメント地球のなかまたちお父さんゴリラは遊園地 2006 年 5 月 20 日初版 写真 / 文山極寿一 発行者小桜勲発行所株式会社新日本出版社 〒 151 ー 0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷 4 ー 25 ー 6 営業 03 ( 3423 ) 8402 編集 03 ( 3423 ) 9323 電話 ル info@shinnihon-net.co.jp メ ホームページ www.shinnihon-net.co.jp 振替 00130 ー 0 ー 13681 印刷亨有堂印刷所製本小高製本 NDC460 32P 26 x 19cm 落丁・乱丁がありましたらおとりかえいたします。 0 ) Juichi Yamagiwa 20()6 ISBN4-406 ー 03268 ー 1 C8345 Printed in Japan ⑩本書の全部または一部を無断で複写複製 ( コヒ。ー ) することは、著作権 法上での例外を除き、禁じられています。本書からの複写を希望される場 合は、日本複写権センター ( 03 ー 3401-2382 ) にご連絡ください。
。、 : , →第を当ま一 イ ' , ら ゴリラのべッド。 まいばん ねむ 毎晩、べッドをつくって眠るのは、 オランウータン、ゴリラ、チンパンジ しゅうせい ーに共通な習性です。でも、地上の べッドをつくるのはゴリラだけです。 大きなシルバーバックがいれば、肉食 のヒョウやハイエナがやってきても大 丈夫だからでしよう。 シルバーバックが死んだりすると、 とたんにメスや子どもたちは木の上に べッドをつくるようになります。大き な体をしたゴリラにとっても、木の上 は最も安全な世界なのです。 じようぶ もっと 木の上のべッド。