074 法学セミナー 2016 / 05 / no. 736 LAW CLASS 判例は未登記譲受人につき取得時効を認める が 3 ) 、その上で、譲受人と占有者間の優劣に関する 「取得時効と登記」準則が、この問題類型 ( 以下、「譲 受人→抵当権者型」という ) にも妥当するかが問われ る。これまでも断片的に取り上げてきたが、判例に より確立された準則をまとめて確認しておこう。 判例は、 177 条における「登記を要する物権変動」 に取得時効も含まれるとしつつ、登記の要否につい ては、時効完成時を基準として、譲受人が取得時効 による物権変動の当事者に準じる関係。 r 第三者のど ちらにあたるかによって決する立場に立つ。 第一に、時効完成時の所有者は当事者に準じる関 係に立っことから登記不要である旨を前提とし て、時効完成前の譲受人も同様となる ( 当事者準 第二に、時効完成後の譲受人については、時効取 得の後その旨につき未登記の間にこれと相容れない 譲渡が行われたとみうるため、占有者と対抗関係に 立つ ( 第三者準則 ) 16 ) 。そうすると、時効完成後の譲 受人が先に登記を備えた以上、もはや占有者が保護 される余地はないのかが問われるが、これに答える のが以下の二つの準則である。 まず、時効完成後の譲受人にも背信的悪意者排除 論が妥当する。判例は背信的悪意の意義につき、多 年に亘る占有継続の事実に対する悪意 + 登記の欠缺 の主張における信義則違反を挙げる ( 背信的悪意者 排除準則 ) 17 ) 次いで、占有者が時効完成後の譲受人の登記後も さらに占有を継続し、新たに取得時効が完成した場 合、両者は当事者に準じる関係に転じるため、登記 不要となる ( 再度当事者準則 ) 18 ) 事例 P .3 において、本件抵当権設定は時効完成 後であるから、第三者準則によれば、 H は登記なく して丙地の所有権取得を I に対抗することができな い。もっとも、 I が本件抵当権設定に際して、 H が 丙地を長期に亘って占有している事実を確認した上 でこれを前提として抵当権を設定した場合であれ ば、背信的悪意者にあたり得るが、事例 Part. 1 のよ うな境界誤認型の事例以外では困難であろう。加え て、譲受人→抵当権者型に背信的悪意者排除準則を 適用すれば、抵当権者の主観的態様によって買受人 の地位が不安定になるおそれがあることも懸念され 19 ) それでは、抵当権設定登記後 10 年の占有継続を理 15 ) 由として、再度当事者準則を譲受人→抵当権者型に あてはめてよいか ? これに応接したのが平成 24 年 判決である。 [ 2 ] 平成 24 年判決の論理 平成 24 年判決の論理は以下の通りである。 i . 未 登記の占有者がいかに長期間占有を継続しても抵当 権の負担のない所有権を取得できないというのは、 取得時効の趣旨に反する。ⅱ . 占有者は抵当権実行 後の買受人ひいては抵当権者と対抗関係に立ち、そ れは譲受人との対抗関係に比肩するものであるとこ ろ、再度当事者準則によれば譲受人が所有権を失う 場合にまで抵当権者を保護するというのは、均衡を 失している。ⅲ . したがって、占有者が抵当権の存 在を容認していたなど、抵当権の消滅を妨げる特段 の事情がない限り、占有者は抵当不動産を時効取得 し、これにより抵当権は消滅する。 i . 長期占有保護の必要性、ⅱ . 譲受 要するに、 人に対する関係との共通性および均衡を理由とし て、抵当権者についても再度当事者準則が妥当する というのである。なお、同判決は抵当権消滅を取得 時効の効果として導いており、 397 条確認規定説に 親和的であるが、同条には言及していない。 ところで、同判決には次のような注目すべき補足 意見が付されている。 i . 抵当権も所有権と同じく 長期占有によって消滅することを正当化するには、 所有者と同じように抵当権者にも時効による権利消 滅を防止する手段が手当てされていなければならな いところ、抵当権者は抵当権実行前において直ちに 占有を排除して取得時効の完成を阻止することはで きない点を考慮すべきである。ⅱ . 時効による抵当 権の消滅を導くための法的根拠として民法 397 条の 意義が見直されてよい。 法廷意見が、占有者保護の必要性および所有権と の共通性ないし均衡の観点からアプローチするのに 対して、補足意見は、非占有担保としての抵当権の 特色および抵当権者の不利益に配慮すべき旨を指摘 するものであり、両者を通して考察すべきポイント を把握することが重要である。 [ 3 ] どのように考えるべきか ? 事例 Pa 3 において、未登記の H は抵当権者に対 抗できない占有者であるが、抵当権設定登記前から 占有しており、本件抵当権の負担を前提として占有
2016 05 ー 06 ー法政大学比較経済研究所研究シリーズ 30 金型産業の技術形成と発展の諸様相 新刊案内 グローバル化と競争の中で 法政大学比較経済研究所・馬場敏幸 / 編 ほうせいだいがくひかくけいざいけんきゅうじよ・ばばとしゆき ( 法政大学・大 学院経済学部国際経済学科教授 ) A5 判本体 4000 円十税 978-4-535-55850-2 ( 好評発売中 ) いまこそ学ぼうマクロ経済学 く社会・文化・歴史・教育〉 A5 判予価 2500 円十税 978-4-535-55818-2 ( 5 月中旬刊 ) ( 日本大准教授 ) ・かわさきけんたろう ( 東洋大准教授 ) しみずじゅんこ ( 学習院大教授 ) ・おおのさなえ ( 武蔵大教授 ) ・まつばらきよし 清水順子・大野早苗・松原聖・川崎健太郎 / 著 理論から実践まで 徹底解説国際金融 A5 判予価 2700 円十税 978-4-535-55802-1 ( 5 月中旬刊 ) ほそのかおる ( 学習院大学経済学部教授 ) 細野薫 / 著 A5 判本体 3400 円十税 978-4-535-58688-8 ( 好評発売中 ) 国際政策学部教授 ) ・あだちよしみち ( 山梨県立大学国際政策学部准教授 ) しぶやあきひさ ( 山梨県立大学国際政策学部教授 ) ・はきいのぼる ( 山梨県立大学 澁谷彰久・波木井昇・安達義通 / 編著 山梨県立大学共同プロジェクト 人口減少社会と地域力の創造 わが国の金型産業の形成と現状を歴史的に概 観しつつ、メガ・コンペティションの時代をいか に生き残っていくかを実証的に考察。 [ 第 2 版 ] マクロ経済学の基本的なフレームワークに沿 って、全 12 章を一歩一歩学んでゆけば、日本と 世界の経済への理解がぐんと深まる。 実際のデータや実務、ニュースに即して国際金 融を基本から解説するテキスト。ビジネス人の 学習者向けにファイナンスの初歩も学ぶ。 人口減少社会の到来に対し、地域や地方都市 がそれぞれの潜在的な可能性を掘り起こして いくための方向性を山梨を素材に考察する。 ゼミナール日本のマス・メディア [ 第 3 版 ] 春原昭彦・武市英雄 / 編 はるはらあきひこ ( 上智大学名誉教授 ) ・たけいちひでお ( 上智大学名誉教授 ) A5 判本体 2400 円十税 978-4-535-52148-3 ( 好評発売中 ) 1998 年の初版以来読み継がれてきたマス・メ ディアに関する基本的なテキスト。最新の研究 成果も盛り込み、わかりやすく解説する。 Q & A 不登校間題の理解と解決 海野和夫 / 著 うんのかずお ( 学校心理士、家族心理士、臨床心理士、 N P 0 福島緩和ケアネット ) A5 判予価 2200 円十税 978-4-535-56353-7 ( 5 月中旬刊 ) ※表示価格は本体価格です。別途消費税がかかリます。 不登校問題は本人のみならず保護者、学校教 師にとっても、、難問、、である。教育相談のべテラ ンが間題解決の具体的道筋を示す。
刑事訴訟法の思考プロセス 113 ければならない。ただ、②強制手段に当たらな い有形力の行使であっても、何らかの法益を侵 生し又は侵生るおそれがあるのであるから、 状況のいかんをわ宀に言六されるものと るのは当でなく、必要、、急なども 慮した、え、具的状況のもとで当と認めら れる限度において許容される。 以上の判断プロセスと判断基準を示したうえ、最 高裁は、本件の警察官の行為は、 a 「性質上当然に 逮捕その他強制手段にあたるもの」とはできないと し ( ①のあてはめ ) 、 b 任意処分として、許容される 範囲を超えた不相当な行為ということは」できない としています ( ②のあてはめ ) 。判例も、 3 で述べた 思考プロセスに沿って、強制処分該当性を検討し、 本件捜査は任意処分に当たるとして ( a ) 、そのう えで任意処分としての適法性を踏まえて検討してい ることが分かります ( b ) 。下線部②は、任意処分 としての適法性の判断基準で、 197 条 1 項本文にお ける捜査の「目的を達するため必要」といえるかの 判断基準 ( 比例原則 ) といえるでしよう。 問題は、判例がどのような基準で、強制処分該当 性を検討したかです。昭和 51 年決定は、「有形力行 使の有無」というかっての通説の基準 6 をとらず、 下線部①のように判示しました。このうち、 ( ア ) 「個 人の意思を制圧し」、 ( イ ) 「身体、住居、財産等に 制約を加えること」が、判例の示した基準で重要だ とされています。 この判示自体は多くの学説によって支持されてい ますが、とくに、 ( ア ) を中心に、その理解にはや や争いがあります 7 。ここでは、その争いを詳細に みることはできませんが、昭和 51 年決定の ( ア ) ( イ ) 部分を、すべての捜査活動に応用可能な基準として 理解しようとする場合は、通説のように、 ( ア ) を「対 象者の明示又は黙示の意思に反すること」と、 ( イ ) を「法定の厳格な要件・手続によって保護する必要 があるほど重要な権利・利益に対する実質的な侵害 ないし制約」と理解することになります 8 。 ( ア ) に該当しない ( 同意がある ) 場合には、そもそも ( イ ) に該当することはないということから、強制処分該 当性判断については、 ( イ ) ( 以下、「重要な権利・利 益の侵害」とします ) が中心の基準となります。 判例・通説の考えを活用する場合の注意点 平 20 ・ 4 ・ 15 刑集 62 巻 5 号 1398 頁 ) 。同決定は、憲法 を理由に、強制処分該当性を否定しています ( 最決 受忍せざるを得ない場所におけるもの」であること 常、人が他人から容ばう等を観察されること自体は おける被告人の容ばう等のビデオ撮影について、「通 デオ撮影、不特定多数の客が集まるパチンコ店内に 判例は、公道を歩いている被告人の容ばう等のビ よう ) 。 と関連づけるべきかについては、議論はあり得るでし 強制処分該当性を判断する際に、常に憲法 33 条や 35 条 強制処分性は否定されることになります ( もっとも、 説明されます ) への侵入・侵害はないと評価され、 行われないであろうと合理的に期待できる場所などと 想定し得ない場所とか、他者による観察や聴取などが 護されている「私的領域」 ( 通常他者からの観察等を を侵害する可能性はあるものの、憲法 35 条により保 する「みだりに容ばう・姿態を撮影されない自由」 いる者をカメラで撮影する捜査は、憲法 13 条に由来 対する侵害となります。そうすると、公園を歩いて 条、憲法 33 条・ 35 条の保護する重要な権利・利益に 害とは、単なる権利・利益の侵害ではなく、憲法 31 このような説明によれば、重要な権利・利益の侵 と説明されているのです。 保護するほどの「重要な」権利・利益に対する侵害 原則 ( 憲法・刑訴法上の厳格な要件や手続 ) によって うな趣旨説明から、強制処分とは、この両者の原理・ ントロールも原則として必要とされます。以上のよ 33 条・ 35 条 ) により、強制処分には裁判官によるコ すべきことにあります 9 。さらに、令状主義 ( 憲法 自身による、国会を通じた意識的かっ明示的決断を う国民の権利・利益の侵害を許すかについて、国民 強制処分法定主義の趣旨の 1 つは、強制処分とい ちます。 「重要な」権利・利益の侵害に限定する根拠が役立 示されていませんが、この混乱の解決には、通説が 処分と考えてしまうといった混乱です。判例では明 分理解せず、感覚的にプライバシー侵害だから強制 第 1 に、「重要な権利・利益」の具体的意味を十 招くことがあります。 的に判例・通説の基準を活用する場合、やや混乱を 特にプライバシー侵害が問題となる場合に、具体
034 すぐ上で紹介したⅡ ED について米国連邦最高裁は、 表現の自由保障との兼ね合いから、表現の対象者が パプリック・フィギュアである場合には原告は現実 の悪意の立証を求められ、表現の内容が公共の関心 事を述べる場合には特別の保護が与えられて表現者 は免責される、と判示してきたむろん筆者とて、 これらの成立要件や免責法理を日本法にそのままス ライドさせよと主張したいわけではない。とはいえ、 成立要件を明確化し、憲法の要請と適合するように 免責法理を整えていこうとする姿勢には我々も見習 うべきところがあると考えている。 差止めの可能性 最後に、ヘイトスピーチに対する民事救済という テーマを考えるとき、京都事件で学校から半径 200 m の範囲内で原告を誹謗中傷する演説やビラ配布行 為の差止めが認められたことが注目に値する。加害 行為が繰り返されており、特定人に対する将来の被 害が具体的であれば、ヘイトスピーチの差止め命令 を裁判所は発することがあるとの先例ができたわけ で、被害者側にとっては効果的な対抗手段たりうる。 ただし、裁判所は時間と場所を定めての差止めであ ったからか、示威活動の悪質性を重視したためか、 あるいは、繰り返されてきた行為をさらに継続する ことの差止めだったためか、表現の自由に配慮して の詳細な差止め要件を厳密に検討した気配がな 四 ) 。ここでは紙幅の関係から、安易な差止めが拡 大すれば表現の自由が掘り崩されることになるので 警戒の眼差しを緩めるべきではないと指摘しておく に止める 1 ) 京都地判平成 25 ・ 10 ・ 7 判時 2208 号 74 頁、大阪高判 平成 26 ・ 7 ・ 8 判時 2232 号 34 頁、最決平成 26 ・ 12 ・ 9 LEX/DB 25505638 。 2 ) 後者は同時に濫訴の危険性を胚胎していることに注 意が必要である。 3 ) 民事の場合は意見の発表でも特定の第三者への発言 でも名誉毀損の成立は否定されないので、刑事の場合よ りも責任を問われうる範囲が広い。 4 ) 奈良地判平成 24 ・ 6 ・ 25LEX / DB25482112 。 5 ) 最判昭和 41 ・ 6 ・ 23 民集 20 巻 5 号 1118 頁、最判平成元・ 12 ・ 21 民集 43 巻 12 号 2252 頁、最判平成 9 ・ 9 ・ 9 民集 51 巻 8 号 3804 頁。 6 ) 松井茂記「マスメディア法入門〔第 5 版〕」 ( 日本評 論社、 2013 年 ) 117 頁。 7 ) 一審では「公益を図る表現行為が実力行使を伴う威 圧的なものであることは通常はあり得ない」との判断も 合わせて示され、上級審でもこの点は維持されている。 8 ) 東京地判平成 17 ・ 2 ・ 24 判タ 1186 号 175 頁、東京高判 平成 17 ・ 9 ・ 28LEX / DB28131634 。 9 ) 札幌地判平成 14 ・ 6 ・ 27LEX / DB28072130 ( 〔〕内 は引用者 ) 。 10 ) 「所沢市内において野菜を生産する農家」という程度 であれば対象を特定したものとして認められる ( さいた ま地判平成 13 ・ 5 ・ 15 判タ 1063 号 277 頁 ) 。刑事ではある が、大判大正 15 ・ 3 ・ 24 刑集 5 巻 3 号 117 頁も参照。 (1) 参照、小谷順子「日本国内における憎悪表現 ( ヘイ トスピーチ ) の規制についての一考察」法学研究 87 巻 2 号 ( 2014 年 ) 394 頁。 12 ) ヘイトスピーチ被害の性質を「集団そのものの名誉」 を害することに求める見解もある。しかし、集団誹謗 (group libel, group defamation) という括り方は、特定 の個人・団体の被害救済を狙う不法行為法制のもとでは 困難というほかない。 13 ) 表現の字面は集団そのものを対象としていたとして も、その発言を取り巻くコンテクストによっては、特定 個人を対象としていると解釈する余地はあろう。 14 ) 参照、駒村圭吾「憲法の観点から一一憎悪と表現の 規制をめぐって」国際人権 24 号 ( 2013 年 ) 72 頁。被害者 の声をどのように法的言説・ Rights TaIk に変換してい くのか ( できるのか ) が法学徒に問われている。ただし、 その作業そのものに、被害者を置き去りにしてしまう陥 穽が口を広げているかもしれないことは留意されていて よい。参照、望月清世「ライットークの語れなさ」棚瀬 孝雄編「法の言説分析』 ( ミネルヴァ書房、 2001 年 ) 232 頁以下。 15 ) ジェレミー・ウォルドロン ( 谷澤正嗣・川岸令和訳 ) 『ヘイト・スピーチという危害』 ( みすず書房、 2015 年 ) 6 頁。ウォルドロンはこうした社会の成員としての基本 的な社会的地位を「尊厳 (dignity) 」と称している。 16 ) 金尚均「ヘイト・スピーチ規制の意義と特殊性」同 編『ヘイト・スピーチの法的研究』 ( 法律文化社、 2014 年 ) 155 頁。 17 ) 最判平成 11 ・ 3 ・ 25 裁時 1240 号 6 頁。 18 ) 本稿の観点からは、判決がこのほかに、「本件記事が 上告人ら個々人の内心の静穏な感情を害する意図・目的 で掲載されたというような事実関係もうかがわれない」 と述べていたことが興味をひく。 19 ) 判決は心の平穏と [ 3 ] で扱う侮辱による名誉感情の侵 害とを分けて判断している。 20 ) 集団そのものに向けられた悪辣なヘイトスピーチが、 それを否応なく直接見聞きした個々人の内心に「害悪 harm 」といえるほど深刻な打撃を与えているという社 会通念が仮に成立すれば、事情は異なってこよう。 (1) 山本敬三「差別表現・憎悪表現の禁止と民事救済の 可能性」国際人権 24 号 ( 2013 年 ) 78 頁。 22 ) 一部の民法学説は名誉毀損の中に名誉感情侵害を含 めて考えている。たとえば、川井健「民法概論 4 ( 債権 各論 ) 〔補訂版〕』 ( 有斐閣、 2010 年 ) 420 ー 21 頁。 23 ) 例として ( 実質的に同種の判断となる発信者情報開 示請求事件を含む ) 、タクシー運転手に対する「昔は駕
LAW JOURNAL 口一ジャーナル えん罪救済センターの始動 001 JOURNAL ロー・ジャーナル 法学セミナー 2016 / 05 / no. 736 冤罪を訴える事件の調査や弁護の支援を無償で行 う「えん罪救済センター」 1 が、 2016 年 4 月から立 命館大学を拠点として活動を開始する。いわゆる「イ ノセンス・プロジェクト」の日本版であり、国内で は初の取り組みとなる。 1 イノセンス・プロシェクトとは 「イノセンス・プロジェクト」とは、冤罪被害者 の救済を行うための調査・弁護活動を無報酬で行う 団体のことである 2 。 1992 年、ニューヨークのカー ドーゾ・ロースクールに第 1 号のイノセンス・プロ ジェクトが誕生した 3 ) 。四半世紀を経て、現在では アメリカだけで 60 以上のプロジェクトが存在する。 各州に、少なくともひとつのプロジェクトがある。 第 1 号のイノセンス・プロジェクトは、 DNA 鑑 定を行うことで無実が明らかになる事件 ( 一部の性 犯罪や殺人罪などが典型的な事件 ) のみを受任してい る 4 。そうしたことから、 DNA 鑑定を活用すること によって冤罪支援活動を行っている団体のイメージ が強いようである。たしかに初期に立ち上がったプ ロジェクトはそうだったが、活動が円熟期を迎えた 現在、 DNA 鑑定では冤罪を晴らすことができない 事件に支援対象を広げているプロジェクトも多く存 在する。代表的な例は、放火事件である。事件直後 の火災調査によって放火であると判断され有罪を受 けたが、元の火災調査自体が科学的に見て誤ってい たという場合である。アメリカでは火災の原因を科 学的に分析するという取組みが進んできた。そのこ とによって、以前の火災調査が、実は非科学的に行 われていたことが明らかになった。このような新た な知見が、放火事件の冤罪救済活動に結びついてい る。 なお、全てのプロジェクトに共通するのが、原則 として、「無実」を主張する者の事件 ( 犯罪性・犯人 性を争う事件 ) のみを受任するという点である。 イノセンス・プロジェクトの活動形態として日本 日本版イノセンス・プロジェクトの可能性 甲南大学教授 笹倉香奈 で良く知られているのは、ロースクールをベースに したプロジェクトのモデルである。クリニック科目 ( 臨床教育科目 ) のひとっとしてロースクールの中に 実務家教員によって開講される。学生はその講義を 履修することで冤罪被害者の弁護活動に参加する。 実際の事件の弁護活動を実務家とともに行うこと は、学生にとってまたとない実践的教育の機会とな る。無償の弁護活動であるから、社会にも貢献でき る。このような形態のほかにも、公設弁護人事務所 やその他の一般の弁護士事務所の中に設置されてい るプロジェクトや、 NPO として活動するプロジェ クトも存在する。 なお、アメリカでは州ごとに大きく法制度が異な り、弁護士は自身が登録している州においてのみ弁 護活動を行うことができる。そのような理由から、 「イノセンス・プロジェクト」という同じ名前がつ いていても、一つひとつのプロジェクトはそれぞれ 独立した団体であり、個別に活動を行っている。 2 イノセンス・フロシェクトの影響 アメリカでは、 DNA 鑑定によって冤罪を晴らさ れた事件は 337 件に上る ( 2016 年 3 月 25 日現在 ) 。 のうち 20 件は、死刑判決を言い渡されていた事件だ った。これらの事件の多くにイノセンス・プロジ ェクトが関わった。膨大な数の冤罪事件は、社会を 大きく揺るがせた。 1990 年代までのアメリカでは、 冤罪事件があるとの認識が一般的ではなかったので ある。このような状況の下、プロジェクトが DNA 鑑定を用いたことは、画期的だった。 DNA 鑑定は、 科学的に「完全な無実」を立証することのできる証 拠だからである。全く無実であることが明らかであ る人々が有罪を言い渡され、時には死刑を言い渡さ れていたという事実は、人々に衝撃を与えた。「無 実の人を処罰してはいけない」という命題には、ど のような立場の者も疑問を差し挟むことができな い。さらに、これらの事件を分析することによって、
060 ます。なので実際には、裁判所に提出する書面を書 いたり、あるいは書くためにクライアントからヒア リングをしたり、資料をもらったりするなどの作業 が 1 日のうち多くを占めます。訴訟以外では、契約 書のチェックなどの一般的な企業法務ですね。最近 行ったものとしては、最近できた上場企業に適用さ れるコーポレートガバナンス・コード ( 企業統治の ための新たな規範 ) の対応や、会社に不祥事が起き てしまった場合の対応、そういったものをやってい ます。個人的な仕事としては、刑事事件もやってお りますし、ちょっと変わったところとしては C M の 出演契約書を作ったりもしています。 戸塚私は、みなさんがイメージしやすい業務をや っているほうだと思います。たとえば、法律相談を 受けてアドバイスをしたりとか、それから依頼を受 けて交渉したりとか、裁判所に行って法廷に立った りとか、それから警察署に行って被疑者に接見をし たりとか、そういったことを日常的にしています。 絶対数として、一般民事の事件は多いですけれども、 他の弁護士と比べれば刑事の事件を比較的多くやっ ていて、熱心に取り組んでいるほうだと思います。 刑事の事件としては、事案としては万引きとかから 殺人事件まで、あとは共犯の複雑なものとか、無罪 かどうかを争う事件とか、再審を求める事件とか、 告訴まで幅広くやっています。刑事訴訟法の証拠能 力の勉強も重要ですので、みなさんしつかり勉強し てくださいね。あと、特徴のある分野として、行政 法分野の外国人の入管事件をやっていまして、入国 管理局に行って申請の取次ぎをしたりとか、行政訴 訟の提起などもやったりしています。 重政私は、他の方々と異なりまして、企業で働い ており、しかも現在みなさんが企業で弁護士が働く ということで一般にイメージされるいわゆるインハ ウス業務ではなく、訴訟とか不正調査にかかわる証 拠をコンピュータやスマホから復元して調査すると いう「デジタルフォレンジック調査」という業務の コンサルティングをやっております。最近ですと、 東芝の不適切会計事件で元社長の P C から削除され たメールが大量に発見されたことが、利益の嵩上げ に元社長が関与していたことを示す決定的証拠にな ったということは、新聞報道などでみなさんもご存 知かもしれませんが、調査を行うにあたって、弁護 士や企業の法務部とコミュニケーションをとったう えで、実際にどういう証拠が必要になってくるのか、 それらをどういう形で収集していくのかということ について、お客様と弊社のエンジニアとの間の橋渡 しを行うというのが私の仕事です。また現在は、お 客様の対応だけでなくて、本を書いたり、講演を行 ったりしてデジタルフォレンジックを広めるという 仕事もやっています。最近はテレビ局などから取材 を受けることもあります。 5 年前に大阪地検の証拠 の改ざん事件があったことはご存じかと思います が、あれも実はうちの会社が関わっておりまして、 先日その件に関して取材を受けて関西口一カル番組 に 1 分ほど出演しました。 堀私の事務所は横浜にありまして、顧問先を結構 多く抱えているので、企業法務がメインではあるん ですけれども、やはり地元の企業という性質上、 部は上場企業ですが大部分は小規模な企業が多いの で、一般民事と変わらないような企業法務というも のもたくさんあります。あとは、社長さんの離婚で すとか、事業承継に伴う相続問題など、いろいろ幅 広くやっているイメージです。刑事事件の国選弁護 も年に 2 、 3 件はやっているので、東京の企業法務 をやっている弁護士さんよりは、たくさん幅広くや っているという感じです。 小塩私は、先ほど申し上げたとおり、企業法務、 訴訟・紛争と、あとスポーツをやっています。私自 身、ラグビーをずっと大学までやっていて、いま本 当に嬉しいことにラグビーが非常に人気になってい ます。大学の同期や先輩・後輩がいまちょうど日本 代表で活躍しているメンバーなので、彼らと一緒に 選手会設立の準備をしています。日本代表の廣瀬選 手、トップリーガーの和田選手、川村選手が中心と なって頑張ってくれています。近々、記者会見で発 表できると思いますが、いろいろな問題もあり、調 整が難しいです。選手会については、弁護士として はあまり関係ないかと思われるかもしれないです が、定款を作るにしても、議事録を作るにしても、 どこでも法律は関わってきます。私自身、知らない ことも多かったので、一般社団法人の仕組み等を一 生懸命勉強しました。
法セミ LAW CLASS シリーズ 憲法解釈論の応用と展開 [ 第 2 版 ] 憲法 解駅論の 応用と展開 宍尸常寿 / 著 学習者の誤解を芯からほぐし、憲法解釈論の深い理解を導いた初版から 3 年。この間の新判例、文献を 網羅して刊行する待望の第 2 版。 ■本体 2 , 700 円十税 / A5 判旧 BN978-4 ー 535 ー 52046-2 基本事例で考える民法演習 池田清治 / 著 「基礎・基本」の定着を追求する演習書。基本レベルから応用・展開レベルまで、段階的な記述で思考を 鍛える。 ・本体 1 , 900 円十税 / A5 判旧 BN978-4 ー 535-51971-8 基本事例で考える民法演習 2 池田清治 / 著 「基礎・基本」の定着を追求する演習書。基本レベルから応用・展開レベルまで、段階的な記述で思考を鍛える 好著の第 2 弾。 ■本体 1 , 900 円十税 / A5 判旧 BN978-4-535-52067-7 クロススタディ物権冫去事案分析をとおして学ぶ ク、スタ 物権法 田高寛貴 / 著 多様な事実が交錯する複雑な事案も、「クロススタディ」で乗り越えられる。事案の読み解き方を身につけ、 物権法の理解を深めよう。 ・本体 2 , 800 円十税 / A5 判旧 BN978-4-535-51618-2 担保物権法講義 : 第第二、を 河上正二 / 著 『物権法講義』に続く、法学セミナー連載からの 4 冊目の単行本。変動する担保法の世界を、基礎から丁 寧に学ぶ。 ■本体 3 , 700 円十税 / A5 判旧 BN978-4-535-51980-0 理論刑法学入門刑法理論の味わい方 高橋則夫・杉本一敏・仲道祐樹 / 著 刑法学上の重要論点を気鋭の研究者が大胆に分析し、驚きと発見の中から理論刑法学の姿を鮮やかに描き 出す。 一本体 3 , 300 円十税 / A5 判旧 BN978-4-535-52031-8 実例で理解するアクチュカレ会社法 上柳敏郎 / 著 会社法が現実の社会のなかでどのような機能を果たしているのかを事例に基づいて解説。市民・消費者 の立場から活用する視座を得る。 ■本体 2 , 500 円十税 / A5 判旧 BN978-4-535-51816-2 民事訴訟法重要間題とその解法 杉山悦子 / 著 民事訴訟法の学習上で躓きやすい問題を題材に、基礎的な知識から考え方の分岐点までを分かりやすく 説く。 一本体 a800 円十税 / A5 判旧 BN978-4-535-52021-9 刑事訴訟法入門 緑大輔 / 著 刑事訴訟法学習の基礎力を身につける入門書。条文の構造、判例の読み方、学説の意味など、学習に 欠かせないポイントを身につける。 ・本体 2 , 600 円十税 / A5 判旧 BN978 ー 4-535-51922-0 日本評論社 〒 1 70-8474 東京都豊島区南大塚 3-12-4 TEL : 03-3987-8621 FAX : 03-3987-8590 こ注文は日本評論社サービスセンターへ TEL : 049-274-1780 FAX : 049-274-1788 http://www.nippyo.co.jp/ 民法演習 ・本事例 ( をえる 民法演習 ・地物をと・してみ 担保物権法講義 アクチュアル 刑事 訴訟法 入門
亠最新判例演習室ーーー憲法 の間の相互協力及び安全保障条約 6 条に基づく施設 及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に 本件の原告は日本国とアメリカ合衆国との間の相 互協力および安全保障条約に基づき、日本国がアメ 関する協定の実施に伴う民事特別法 2 条に基づき、 損害賠償及び遅延損害金として約 10 億 1045 万円の支 リカ合衆国軍隊の使用する施設及び区域として提供 払いを求めた。本件は同支部で係争中の「第 2 次普 する普天間飛行場 ( 沖縄県宜野湾市 ) 周辺に居住し、 天間爆音訴訟」とは別に提訴されたものであり、同 若しくは居住していた者など 2178 人である。原告は 訴訟原告が求める飛行差し止めについて「早期の判 同飛行場から発生する騒音被害を受けているとし 決を得たい」として訴えに盛り込んでいない。 て、被告 ( 国 ) に対し、日本国とアメリカ合衆国と [ 那覇地沖縄支判 2015 ・ 6 ・ 11 判時 2273 号 9 頁 ] 事実の概要 7 億 5400 万円の損害賠償支払命令を下した普天間騒音訴訟一審判決 値 75 以上の区域に居住する原告の被害を認め、賠 償金額も増加傾向にある。本判決もかような流れ 安全保障上の公共性が認められるとされる基地 の騒音被害は周辺住民にとって受忍すべきものか。 の中に位置づけられようが、 2010 年判決では被害 認定された低周波音被害は否定されている。他の うるささ指数 (W 値 ) 75 の区域の住民は大きな 基地騒音訴訟とは異なり差し止めを求めていない ことから、本訴訟が騒音被害からの救済を求める 騒音に、同 80 の区域の住民はかなり大きな騒音に、 住民の分裂を招くものではないのかという論点が 高い頻度でさらされていたと推認できる。会話や あり得る。本訴訟は、差し止めを同時に求める他 通話、作業や学習、睡眠の妨害、米軍機墜落の不 の爆音訴訟と比べて、基地が住民に多大な被害を 安や恐怖など、精神的苦痛による被害は、居住区 与えているという違法性があまり前面に出ている 域の W 値に応じて等しく受けている。普天間の併 印象がなく、損失が出たから全体で補償するとい 用はわが国の安全や極東における国際平和に寄与 う国家補償の概念を感じさせるという評価 ( 高良 するもので、国民全体の利益につながる公共性を 鉄美・琉球新報 2015 年 6 月 12 日 ) もある。しかし、 有している。住宅防音工事やその助成は日常生活 への影響を一定程度軽減する効果があるが、違法 大半が高齢者であり、訴訟の長期化を懸念した原 告団は、そもそも普天間飛行場の危険性除去・早 性を低減させるとまでは言えず、慰謝料の減額に 期撤去を訴えるものとして本訴訟を位置づけ、裁 とどまる。普天間の公共的利益は、限られた一部 少数者が特別の犠牲を払うことによって初めて実 判所が騒音被害を認めたことによる国へのインパ クトを成果として誇った。米軍機差し止めに国の 現し得る。公共性のみをもって原告らが被害を受 支配が及ばないとする「第三者行為論」による司 忍すべきものとはできない。 W 値 75 以上の原告ら 法の高い壁を踏まえ、違法な権利侵害・法益侵害 に対する違法な権利侵害ないし法益侵害に当た という被害認定に注力した本訴訟は、基地周辺の る。 1 日あたりの慰謝料は、 W 値 75 区域で 150 円、 現状が合法の範囲を逸脱するものであること、賠 W 値 80 区域で 3 開円とするのが相当である。 償命令が繰り返されても改善されないことから生 ずる「違法の常態化」に対する異議申立として把 第 1 次普天間爆音訴訟控訴審判決 ( 福岡高沖縄 握されるべきことは間違いない。 2010 年控訴審判 支判 2010 ・ 7 ・ 29 判時 2091 号 162 頁 ) は、米軍機 飛行差し止め請求を退け、賠償を命ずる形で確定 決は、嘉手納で 3 度の司法判断にもかかわらす国 が抜本的対策を怠り、自ら定めた環境基準も達成 した。その後、同訴訟に参加していない住民が原 されていないと国を批判した。それから 5 年を経 告団を結成し提起したものが本訴訟である。判決 て、本判決に、被害状況が 2010 年と比べて「大き は安全保障上の基地の公共性を認めつつ、周辺住 く異なるところはない」と断じさせた点も成果と 民が「特別な犠牲」を払っているとし、賠償金額 なろう。第 1 次普天間爆音訴訟では、米軍基地司 は、 2010 年判決 ( w 値 75 区域で日額 2 円、 W 値 令官が初めて被告とされるなど、訴訟で多様な方 80 区域で 4 開円 ) を下回るが、第 4 次厚木騒音訴 法が模索されており、差し止め請求をあえて避け 訟 1 審判決 ( 横浜地判 2014 ・ 5 ・ 21 LEX/ た手法の意義を軽視すべきではない。 DB2544 34 / 25446437 ) ( W 値 75 区域で日額約 133 ( あそう・たもん ) 円、 w 値 80 区域で約 266 円 ) を上回り、総額 7 億 法学セミナー 54 開万円となった。最近の基地騒音訴訟では、 W 2016 / 05 / n0736 裁判所の判断 鳴門教育大学准教授麻生多聞
新刊案内 2016 05-06 行政法事案解析の作法 [ 第 2 版 ] 大貫裕之・土田伸也 / 著 法科大学院・司法試験対応の事例演習書。事 おおぬきひろゆき ( 中央大学法科大学院教授 ) ・つちだしんや ( 中央大学法科大学 案をいかに読み込んでいくのか、その作法を 院教授 ) 習得する。支持の厚い演習書の改訂第 2 版。 A5 判本体 2800 円十税 978-4-535-52006-6 ( 好評発売中 ) く市民〉と刑事法 [ 第 4 版 ] わたしとあなたのための生きた刑事法入門 内田博文・佐々木光明 / 編 うちだひろふみ ( 神戸学院大学教授 ) ・ささきみつあき ( 神戸学院大学教授 ) A5 判本体 2500 円十税 978-4-535-52142-1 ( 好評発売中 ) 基礎演習行政法 [ 第 2 版 ] 刑法、刑事政策等の入門授業で多く使用実績 がある刑事法入門書。問題提起が多く、自分の 頭で考える端緒とすることを狙いとする。 土田伸也 / 著 っちだしんや ( 中央大学法科大学院教授 ) A5 判本体 2300 円十税 978-4-535-52180-3 ( 好評発売中 ) ■法セミ LAWCLASS シリーズ 基本講義消費者法 [ 第 2 版 ] 中田邦博・鹿野菜穂子 / 編著 シンプルな事例で消費者法の基本から応用ま なかたくにひろ ( 龍谷大学大学院法務研究科教授 ) ・かのなおこ ( 慶應義塾大学大学 でを解説。集団的消費者被害回復のための特例 院法務研究科教授 ) 法等の法改正に対応した改訂版。 A5 判本体 2700 円十税 978-4-535-52189-6 ( 好評発売中 ) 行政法の初学者向け事例演習・解説書。法学 部生、公務員試験受験生から、法科大学院入 試、法科大学院生まで、広い需要に応える。 憲法 [ 第 5 版 ] 辻村みよ子 / 著 つじむらみよこ ( 明治大学法科大学院教授 ) A5 判本体 3800 円十税 978-4-535-52183-4 ( 好評発売中 ) 自治体職員の働く権利 Q & A 自治体職場で起こるさまざまな労働問題を、実 中尾誠・渥美雅康・城塚健之 / 監修自治労連・自治労連全国弁 護団 / 編なかおまこと ( 弁護士 ) ・あつみまさやす ( 弁護士 ) ・じようつかけ 例をはじめ今後予想される問題も加えて Q & んし ( 弁護士 ) ・じちろうれん・じちろうれんぜんこくべんごだん A 方式で解説する ( 92 問 ) 。勉強会にも最適。 A5 判本体 1900 円十税 978-4-535-52167-4 ( 好評発売中 ) ※表示価格は本体価格です。別途消費税がかかリます。 客観的な学説紹介、詳細な判例解説で、学生 が安心して学べると定評のある教科書が、新 判例と従来の判例解説部分も強化して、改訂。
2016 05-06 く法律〉 憲法学教室 [ 第 3 版 ] 浦部法穂 / 著 うらべのりほ ( 神戸大学名誉教授 ) A5 判本体 3900 円十税 978-4-535-52151-3 ( 好評発売中 ) 基本刑法 I 念論 [ 第 2 版 ] 大塚裕史・十河太朗・塩谷毅・豊田兼彦 / 著 おおっかひろし ( 明治大法科大学院教授 ) ・そごうたろう ( 同志社大法科大学院教 授 ) ・しおたにたけし ( 岡山大教授 ) ・とよたかねひこ ( 関西学院大法科大学院教授 ) A5 判本体 3800 円十税 978-4-535-52161-2 ( 好評発売中 ) リーガル・リサーチ [ 第 5 版 ] 指宿信・齊藤正彰 / 監修・いしかわまりこ・藤井康子・村井のり子 / 著 いぶすきまこと・さいとうまさあき・いしかわまりこ・ふじいやすこ・むらいの ■南山大学学術叢書 A5 判本体 3700 円十税 978-4-535-52145-2 ( 好評発売中 ) おかむらよういちろう ( 京都造形芸術大学客員教授 ) 岡村暢一郎 / 著 いかにして産業は「ホンモノ」となるか 産業秩序の法社会学 A5 判本体 1800 円十税 978-4-535-52162-9 ( 好評発売中 ) 新刊案内 を、養殖真珠産業を素材に考察する。 当な商品として受容されていくメカニズム 新しいモノやサービスが社会に認知され、正 ータベース、電子媒体を織り込み改訂。 た定評のマニュアル本が最新のリーガル・デ 法情報へのアクセス・リサーチ方法を網羅し 版よりもさらに深く、わかりやすく全面改訂。 や共犯をはじめ、注目の最新判例も踏まえ、初 既に定番となった大好評の教科書。因果関係 の立法、判例にも言及して 10 年ぶりに大改訂。 解く体系書として支持された全訂第 2 版を最新 人権を基底に据えた明快な記述で憲法を読み 司法の独立性とアカウンタビリティ イギリス司法制度の構造転換 榊原秀訓 / 著 さかきばらひでのり ( 南山大学大学院法務研究科教授 ) A5 判本体 6300 円十税 978-4-535-52150-6 ( 好評発売中 ) ■日評べーシック・シリーズ 憲法Ⅱ人権 新井誠・曽我部真裕・佐々木くみ・横大道聡 / 著 ※表示価格は本体価格です。別途消費税がかかります。 A5 判本体 1900 円十税 978-4-535-80677-1 ( 好評発売中 ) きくみ ( 東北学院大学准教授 ) ・よこだいどうさとし ( 慶應義塾大学大学院准教授 ) あらいまこと ( 広島大学大学院教授 ) ・そがべまさひろ ( 京都大学大学院教授 ) ・ささ 近時のイギリスの司法制度改革で重視された 「司法のアカウンタビリティの確保」の経緯の 探究を通じて、その普遍的重要性を解明する。 憲法の基本が深く理解できる教科書。判例とそ れに挑戦する学説それぞれの考え方を丁寧に 解説し、憲法学の世界に読者を誘う。全 2 巻。