債権法講義 [ 各論 ] 4 ( 契約総則 ) : 087 2 2008 年 ) ; 平野裕之・民法総合 V ( 契約法 ) < 第 3 版 > ( 信 山社、 2007 年 ) ; 同・コアテキスト民法 V ( 契約法 ) ( 新世社、 2011 年 ) ; 藤岡康宏 = 磯村保 = 浦川道太郎 = 松本恒雄・民法 Ⅳ債権各論 < 第 3 版補訂 > ( 有斐閣、 2009 年 ) ; 星野英一・民法概論Ⅳ ( 契約 < 改訂版 > ) ( 良書普 及会、 1994 年 ) ; 谷口知平 = 五十嵐清編・新版注釈民法 ( 13 ) 債権 6 ( 契約 I 、Ⅱ ) く第 2 版 > ( 第一法規、 2013 年 ) 能見善久 = 加藤新太郎編・論点体系判例民法 5 、 契約 ( 青林書院、 2005 年 ) : 伊藤滋夫・民事要件事実講座 3 民法 1 債権総論・ 1 巻 ~ 第 6 巻 ) ( 日本評論社、 1990 年 ) ; 椿寿夫編・講座現代契約と現代債権の展望 ( 第 1 巻 ~ 第 9 巻 ) ( 日本評論社、 1984 年 ) ; 遠藤浩 = 林良平 = 水本浩監・現代契約法大系 ( 第 第 7 巻 ) ( 有斐閣、 1962 年 ~ 1963 年 ) ; 契約法大系刊行委員会編・契約法大系 ( 第 1 巻 ~ 斐閣、 1998 年 ) ; 広中俊雄 = 星野栄一編・民法典の百年 I 、Ⅲ ( 有 星野栄一編集代表・民法講座 ( 5X6 ) ( 有斐閣、 1985 年 ) ; 2 版 > ( 日本評論社、 2010 年 ) ; 鎌田薫 = 須藤典明編・民事法Ⅲ ( 債権各論 ) < 第 波書店、 1983 年 ) ; 芦部信喜ほか編・岩波講座・基本法学 4 ( 契約 ) ( 岩 3 版 > ( 有斐閣、 2008 年 ) ; 瀬川信久 = 内田貴編・民法判例集債権各論く第 選Ⅱ < 第 7 版 > ( 有斐閣 ) 、 ( 別冊ジュリスト 224 号 ) 中田裕康 = 潮見佳男 = 道垣内弘人編・民法判例百 < 判例・講座・注釈書など > 1954 年、 1957 年、 1962 年 ) : 我妻栄・債権各論 ( 上、中一、中二 ) ( 岩波書店、 山本敬三・民法講義Ⅳー I ( 契約法 ) ( 有斐閣、 2005 ( 成文堂、 2013 年 ) ; 山崎敏彦・債権各論講義ー要件事実的アプローチ 宮本健蔵・マルシェ債権各論 ( 嵯峨野書院、 2007 年 ) ; 書院新社、 1978 年、 1983 年、 1978 年 ) ; 三宅正男・契約法 ( 総論、各論上、各論下 ) ( 青林 水本浩・契約法 ( 有斐閣、 1995 年 ) ; 斐閣、 1989 年 ) ; 松阪佐ー・民法提要 ( 債権各論 ) く第 5 版 > ( 有 本田純一・債権各論 ( 弘文堂、 2010 年 ) ; 柚木薫 = 高木多喜雄編・新版注釈民法 ( 14 ) 債権 5 ( 贈与・売買・交換 ) ; 幾代通 = 広中俊雄編・新版注釈民法 ( 15 ) 債権 6 ( 消 費貸借・使用貸借・賃貸借 ) ; 幾代通 = 広中俊雄編・新版注釈民法 ( 16 ) 債権 7 ( 雇 用・請負・委任・寄託 ) ; 鈴木禄弥編・新版注釈民法 ( 17 ) 債権 8 ( 組合・ 終身定期金・和解・約款論他 ) ; ( かわかみ・しようじ )
086 法学セミナー 2016 / 05 / no. 736 ( 3 ) 和解 和解は、当事者が互いに譲歩してその間に存する争 いをやめることを約するものである ( 695 条 ) 。紛争を それ以上蒸し返さないよう、後から新たな証拠が出て きても、和解の結果は動揺しないものとされている ( 696 条 ) 。民事紛争の自主的解決の方法であり、交通 事故などでの「示談」も、和解に準ずる性格を有する。 裁判所で争われている事件について、裁判所カ喇解を 勧めることもあり、裁判所で和解が成立した場合 ( 裁 判上の禾 ) 、当事者に確認されてその内容力啝解調書 に記載されると、判決と同一の効力を生ずる眠 9 条、 265 条、 267 条参照 ) 。なお、第三者 ( 調停人 ) が、争いの ある当事者の間に立って斡旋をして和解をさせること を「言刪亭」といい、民事事件でも借地借家関係や家族 関係、消費者取引などの紛争では裁判と並ぶ大きな役 割を演じ、交通事故紛争などでも組織的な調停制度が 利用されている ( 交通事故紛争処理センター ) 。よく似た ものに、「仲裁」や「裁判外紛争解決手段 (A1ternative Dispute Resolution:ADR) 」があり、近時注目されてい る。特に裁判所が関与する仲裁は、仲裁法 ( 平成 15 〔 2003 〕 年法 138 号 ) で詳細な手続きが定められており、同手続 きによる仲裁判断は確定判決と同一の効力カ咐与され る ( 同法 45 条 ) 。仲裁法によらない仲裁は、当事者カ鰤 裁人を定めて、その仲裁判断に従うという「仲裁契約」 であるが、これには確定判決と同一の効力までは認め られない。 以上カ眠法上の典型契約 ( 有名契約 ) である。もち ろん、これ以外にも様々な契約類型カ在し、その性 質決定をめぐって多くの議論があることは既に前回述 べたとおりである。なお、商取引における契約では、 業態に応じた様々なルールの展開が見られ、商取引法 上、仲立契約・問屋契約・特約店契約・運送契約・倉 庫寄託契約・電気通信役樹是供契約・保険契約など、 いくっかの契約類型カ陬り上げて論じられるが、 では省略する ( 後掲、江頭・商取引法カ陏益である ) 。 【教科書など】参考文献は、必要に応じて関係箇 所に掲げるが、本講義契約法部分で略記引用する ことのある教科書・概説書・講座物の一部を凡例 本評論社、 2009 年 ) ; 代わりに掲げておこう。なお、債権法改正関連の ものは掲載していないが、商事法務編・民法 ( 債 権関係 ) 改正法案新旧対照条文 ( 商事法務、 2015 年 ) 、 野澤正充・契約法 ( セカンドステージ債権法 1 ) ( 日 田山輝明・契約法 < 第 3 版 > ( 成文堂、 1993 年 ) ; 論 ) ( 法律文化社、 2007 年 ) ; 滝沢昌彦 = 武川幸嗣・ハイプリッド民法 ( 債権各 高島平蔵・債権各論 ( 成文堂、 1988 年 ) ; 鈴木禄弥・債権法講義 < 4 訂版 > ( 創文社、 2001 年 ) ; 1975 年 ) ; 末川博・契約法 ( 上・下 ) ( 岩波書店、 1958 年、 1998 年 ) ; 品川孝次・契約法 ( 上・下 ) ( 青林書院、 1986 年、 文堂、 2012 年 ) ; 清水元・プログレッシプ民法 [ 債権各論 I ] ( 成 同・契約各論 I ( 信山社、 2002 年 ) ; 得 ) < 第 2 版 > ( 新世社、 2009 年 ) ; 潮見佳男・債権各論 I ( 契約法・事務管理・不当利 後藤巻則・契約法講義 < 第 3 版 > ( 弘文堂、 2013 年 ) ; 来栖三郎・ ( 法律学全集 ) 契約法 ( 有斐閣、 1974 年 ) ; 斐閣、 1995 年 ) ; 北川善太郎・債権各論 ( 民法綱要Ⅳ ) < 第 2 版 > ( 有 川井健・民法概論 4 < 補訂版 . > ( 有斐閣、 2010 年 ) ; 勝本正晃・債権法概論 ( 各論 ) ( 有斐閣、 1949 年 ) ; 不当利得 ) ( 弘文堂、 2008 年 ) ; 笠井修 = 片山直也・債権各論 I ( 契約・事務管理・ 加賀山茂・契約法講義 ( 日本評論社、 2007 年 ) ; 大村敦志・基本民法Ⅱ ( 債権各論 ) ( 有斐閣、 2005 年 ) ; 2006 年 ) ; 近江幸治・民法講義 V 契約法 < 第 3 版 > ( 成文堂、 江頭健治郎・商取引法く第 7 版 > [ 弘文堂、 2013 年 ] 斐閣、 1984 年 ) ; 梅謙次郎・民法要義巻之三債権編く復刻版 > ( 有 学出版会、 2011 年 ) ; 内田貴・民法Ⅱ ( 債権各論 ) く第 3 版 > ( 東京大 石田穣・民法 V ( 契約法 ) ( 青林書院、 1982 年 ) ; 版 > ( 法律文化社、 1993 年 ) ; 石外克喜編・現代民法講義 V ( 契約法 ) く第 2 出版会、 2010 年 ) ; 池田真朗・新標準講義民法債権各論 ( 慶應大学 < 教科書・概説書など > 融財政事情研究会、 2015 年 ) が便利である。 潮見佳男・民法 ( 債権関係 ) 改正法案の概要 ( 金 平井宜雄・債権各論 1 上 ( 契約総論 ) ( 弘文堂、 広中俊雄・債権各論講義く第 6 版 > ( 有斐閣、 1994 年 ) ;
116 LAW CLASS 5 ) GPS 捜査については、「小特集強制・任意・プライ バシー : 『監視捜査』をめぐる憲法学と刑訴法学の対話」 法律時報 87 巻 5 号 ( 2015 年 ) 60 頁以下、「特集 2 GPS 捜査の問題点と刑事弁護の課題」季刊刑事弁護 85 号 ( 2016 年 ) 83 頁以下及びそこでの引用文献など参照。 6 ) かっての通説としては、平野龍ー「刑事訴訟法』 ( 有 斐閣、 1958 年 ) 82 頁以下など . 7 ) その議論状況を検討したものとして、大澤裕「強制 処分と任意処分の限界」刑訴法百選 4 頁以下、井上・前 掲書注 4 ) 2 頁以下、葛野尋之「判例学習・刑事訴訟法 〔第 2 版〕』 ( 法律文化社、 2015 年 ) 3 頁以下など、川出 敏裕『判例講座・刑事訴訟法 [ 捜査・証拠篇 ] 』 ( 立花書 房、 2016 年 ) 5 頁以下など。 8 ) 井上・前掲書注 4 ) 7 頁以下。これに対し、昭和 51 年決定を、 ( 昭和 51 年決定の事例のような相手方に対す る有形力の行使など ) 「直接相手方に向けてなされる」 捜査上の処分には少なくとも妥当する基準を示したもの と理解する場合は、 ( ア ) をそのまま「意思の制圧」 ( 「意 思に反する」では足りない ) と理解することになります ( 川出・前掲書注 7 ) 2 頁以下など ) 。そのうえで、それ 以外の、通信傍受のような「対象者が認識していない状 態で行われる処分」 ( 最決平 11 ・ 12 ・ 16 刑集 53 巻 9 号 1327 頁 ) については、通説の基準が適用されることにな るとされています。いすれにせよ、すべての事案につい て「意思の制圧」というフレーズを丸写しで使うことに は、問題があるでしよう。この「意思の制圧」について、 佐々木正輝 = 猪俣尚人『捜査法演習』 ( 立花書房、 2 開 8 年 ) 44 頁は、被処分者が反対意思を明示しているかどうかに かかわらす、「抵抗不可能な状態下に置く」こととして います。判例に関する裁判官による詳細な検討として、 青沼潔「強制処分の意義及び任意捜査の限界」法学セミ ナー 712 号 ( 2014 年 ) 120 頁以下。 9 ) これが強制処分法定主義の趣旨の「民主主義的側面」 とされます。これに加え、強制処分の内容・要件・手続 を事前に明示することにより、強制処分に関する予測可 能性を確保するという「自由主義的側面」も存在します。 10 ) 酒巻匡「刑事訴訟法』 ( 有斐閣、 2015 年 ) 30 頁以下な ど。 (1) この問題については、井上・前掲書注 4 ) 431 頁以下 などを参昭 12 ) GPS を用いた捜査の強制処分性を認めた裁判例とし て、大阪地決平 27 ・ 6 ・ 5 LEX / DB25540308 、名古屋地 判平 27 ・ 12 ・ 24LEX / DB25541935 など。その強制処分性 を否定したものとして、大阪地決平 27 ・ 1 ・ 27LEX/ DB25506264 。 13 ) すべての権利・利益侵害を強制処分とすべきとの私 見を示したものとして、斎藤司「強制処分概念と任意捜 査の限界に関する再検討」川崎英明ほか「刑事訴訟法理 論の探求』 ( 日本評論社、 2015 年 ) 19 頁以下。 14 ) 後藤昭「強制処分法定主義と令状主義」法学教室 245 号 ( 2001 年 ) 12 頁。また、この見解は、捜査のための「権 利制約」を規制するという強制処分法定主義の目的のた めには、「同意に基づかない権利制約があれば、侵害の 程度を問わず強制処分とするという基準の方がより忠実 であろう」とします。同趣旨の見解として、緑大輔「刑 事訴訟法入門』 ( 日本評論社、 2012 年 ) 47 頁など。本文 で述べた見解とは、「権利」制約としている点で異なり、 さらに検討が必要です。 15 ) 今回は検討できませんでしたが、強制処分概念を再 検討するものとして、松田岳士「刑事手続の基本問題』 ( 成文堂、 2010 年 ) 227 頁以下、稻谷龍彦「刑事手続にお けるプライバシー保護ーー熟議による適正手続の実現を 目指して ( 1 以 8 ・完 ) 」法学論叢 169 巻 1 号 ( 2011 年 ) 1 頁以下一 173 巻 6 号 ( 2013 年 ) 1 頁以下など。 ( さいとう・つかさ )
に外ならない」と判示しており、ドイツのヘイトスピー チ規制である民衆扇動罪における「人間の尊厳への攻撃」 要件の判断と共通する部分がうかがわれ、興味深い。 8 ) アメリカにおける諸学説の主張については、奈須祐 治「ヘイト・スピーチの害悪と規制の可能性 ( 一 ) 」関 西大学法学論集 53 巻 6 号 ( 2004 年 ) 57 頁以下が詳しい。 9 ) 柑本美和「「暴行』と「傷害』」上智法学論集 50 巻 4 号 ( 2007 年 ) 105 頁以下参照。 10 ) このような視点からすれば、現行刑法で対処可能な ものはヘイトスピーチというよりへイトクライムである との見方も可能であろう。前田朗「ヘイトクライム研究 所説」 ( 三一書房、 2015 年 ) 16 頁以下参照。 (1) 集団侮辱罪については、楠本孝「集団侮辱罪と民衆 扇動罪」龍谷大学矯正・保護総合センター研究年報 2 号 ( 2012 年 ) 38 頁以下など参昭 12 ) こうした例をひきつつ、現行法でも「全員に共通す る性質が認められるのであれば、集合的名称での複数人 に対する名誉毀損は可能」とするものとして、大塚仁ほ か編「大コンメンタール刑法〔第 2 版〕 12 巻』 ( 青林書院、 2 開 3 年 ) 16 頁〔中森喜彦執筆〕。 13 ) 曽根威彦「判批」判例時報 1388 号 218 頁以下、平川宗 信「判批」警察研究 63 巻 5 号 ( 1992 年 ) 42 頁以下、君塚 正臣「扇動罪と破防法」阪大法学 41 号 ( 1992 年 ) 1283 頁 以下など。なお、先の渋谷暴動事件では、この演説の 4 日後、実際に渋谷で暴動が起き、警察官 1 人が死亡した ほか、交番等への放火、山手線の運行が止まるなどの事 態が生じている。学説から少なからぬ批判を受ける同判 決でさえ、破防法の扇動罪の成立を認めた事案にはこう した背景が存在した。扇動罪処罰の検討に関しては慎重 に慎重を重ねた検討が求められる。 14 ) 金尚均「ヘイト・スピーチ規制における「明白かっ 現在の危険』」龍谷政策学論集 4 巻 2 号 ( 2015 年 ) 79 頁 以下も参照。 15 ) 民衆扇動罪の制定過程については、拙著「ドイツに おける民衆扇動罪と過去の克服ーー一人種差別表現及び 「アウシュヴィッツの嘘』の刑事規制」 ( 福村出版、 2012 年 ) 参照。なお、その他にもヘイトスピーチと虐殺との 関連を想起させるものとしては、ルワンダ虐殺の際に「ゴ キプリどもを皆殺しにしろ」などと連日繰り返されたラ ジオ放送などがある。 16 ) したがって、口頭による表現よりも、印刷物、掲示 物およびインターネットへの書き込みなどのほうが、社 [ 特集員へイトスヒーチ / ヘイトクライムⅡーー理論と政策の架橋 法津時報 029 会に持続的に存在する点で問題が大きいとみる。なお、 ( さくらば・おさむ ) る助成の成果の一部である。 25 ) 本稿は科学研究費補助金 ( 課題番号 15K16943 ) によ ( 2015 年 ) 127 頁以下も参昭 概念の外延と内包に関する一考察」比較憲法学研究 27 号 スピーチの定義」 19 頁以下、梶原健佑「ヘイトスピーチ 前田・前掲注 10 ) 書 309 頁以下、金・前掲注 18 ) 「ヘイト また、ヘイトスピーチの類型化を試みるものとしては、 イトスピーチの法的研究』 ( 法律文化社、 2014 年 ) 121 頁。 24 ) 拙稿「刑法における表現の自由の限界」金尚均編「へ 頁以下を参照されたい。 刑罰を規定すべきか」部落解放研究 204 号 ( 2016 年 ) 179 23 ) 詳細については、拙稿「禁止規定の担保措置として 22 ) 紙幅の関係上、これに関する詳細な検討は別稿に譲る。 (1) 三井誠「判批」警察研究 61 巻 7 号 ( 1990 年 ) 54 頁。 制しないのは極論であろう」 ( 同 165 頁 ) と指摘する。 からという理由で、現実の切迫した法益侵害を放置し規 2013 年 ) 164 頁以下参照。ただし、「濫用の危険性がある 20 ) 師岡康子「ヘイトスピーチとは何か』 ( 岩波書店、 ( 尚学社、 281 年 ) 85 頁。 19 ) 戒能民江編著「ドメスティック・バイオレンス防止法』 の定義」龍谷法学 48 巻 1 号 ( 2015 年 ) 19 頁以下。 事規制を検討するものとして、金尚均「ヘイトスピーチ 18 ) ヘイトスピーチに特有の害悪に焦点をあて、その刑 : 彡い、 0 矢昭 17 ) 各国の法状況については、前田・前掲注 10 ) 書 553 頁 りわけ第 4 章および第 5 章参昭 イト・スピーチという危害」 ( みすず書房、 2015 年 ) と ジェレミ ・ウォルドロン ( 谷澤正嗣 / 川岸令和訳 ) 『へ いう意味で、むしろ環境犯罪との類縁性が想起される。 限界点に達すると取り返しのつかぬ害悪を発生させると と概念化するが、私見では、小さな害悪が蓄積し続け、 ウォルドロンはヘイトスピーチからの保護利益を「尊厳」 日東日个大震災 5 年 あの 3.11 から 5 年が経過した今、被災地の内外で、 どのような異同があるのか。被災地で顕著な事象 に着目しつつ、日本の普遍的な法的問題も視野に おいて分析する。 日本評論社 2016 年 4 月号 好評発売中 / 本体 1 , 750 円 + 税 2 被災地における法と法律家の役割・・・飯考行 / 被災地の住 宅問題と法・・・津久井進 / 被災地の雇用・労働問題と法・・・和 田肇 / 被災地の高齢消費者保護と法・・・河上正二 / 福島原 おける個人番号制度をめぐる諸問題・・・人見剛ほか 改正案における協議・合意・・・池田公博【法律時評】番号法に ツの司法取引と日本の協議・合意制度・・・辻本典央 / 刑訴法 米国の司法取引と日本の協議・合意制度・・・青木孝之 / ドイ 的検討ーーー比較法研究を踏まえて企画趣旨・・・加藤克佳 / で語る日本国憲法・・・金井光生ー小特集 : 司法取引の多角 ・・・福田健治・河﨑健一郎 / Vo 「 dem Gesetz—福島大学 発事故賠償の現段階・・・吉村良一 / 原発事故と避難の権利
[ 特集員へイトスピーチ / ヘイトクアムⅡ ーー - 理論と政策の架橋 岡山市ホームページ http:〃www.city.okayama.jp/ 045 設について、「正当な理由がない限り」住民の利用 を拒んではならず、「不当な差別的取扱いをしては ならない」と規定しているが、 2013 年 6 月、山形県 生涯学習センターは、講演集会目的での在特会から の施設利用申請を不許可にしたという 29 ) 。また、地 方公共団体に対して、積極的にそうした措置をとる よう求める意見もある屋内施設における集会の 場合、通常はそこでなされた表現が直接に不特定多 数の者へ届くことはないため、施設利用制限措置の 主要な意義は、当該地方公共団体が人種差別的言論 を後援・擁護・支持しないというメッセージ効果に 求められる。しかし、公共施設の利用制限は、集会 の自由に対する典型的な事前抑制であり、泉佐野市 民会館事件や上尾市福祉会館事件の最高裁判決 31 ) が 施設利用拒否について設定した基準をクリアするに は、かなりの困難を伴うであろう 32 。そこでもたら される「害悪」は何であり、誰が、どの段階で、ど のような基準に照らして判断を行うのかなど、詰め るべき点は多い。 また、鳥取県や大阪市では、個性的な首長のリー ダーシップによって人権問題・ヘイトスピーチ問題 への対応が試みられた。国の対応が省庁ごとの縦割 りになりがちであり、政党間の思惑の違いから法整 備が進まない現状に鑑みると、首長のリーダーシッ プによる総合的・一元的行政への期待も理解できな いではない 33 ) ただそうした取り組みが当該地方 公共団体の「地域における事務」として職員の間に 根付き、住民の理解を得られなければ、首長の交代 とともに「事業の縮小・廃止」に至る可能性もあ る。他方、地方公共団体における「執行機関の多元 主義」の理念は形骸化し、首長への権限集中が進行 している 34 ) 。こうしたなか、ヘイトスピーチを民主 政 ( 住民自治 ) の前提条件に関わる問題と捉えるの であれば、その条件整備を首長のリーダーシップに 託すことが何を意味するのかも、真剣に考える必要 がある。 1 ) 棟居快行「人種差別と国家の差別撤廃義務」法律時 報 84 巻 5 号 ( 2012 年 ) 71 頁、 72 頁。 2 ) 部落解放・人権研究所編『地域に根ざす人権条例 人をつなげるまちづくり」 ( 解放出版社、 2003 年 ) 84 頁。 なお、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」 ( 2000 年 ) は、人権教育及び人権啓発に関する施策の推進につ いての、国、地方公共団体及び国民の責務を定めている ( 1 条 ) 。 3 ) shimin/jinken/jinken—00026. html ( 最終アクセス 2016 年 3 月 22 日 ) 。 4 ) 鳥取県条例については、鳥取県ホームページ http : / / www.pref.t0ttori.lg.jp/32501.htm ( 最終アクセス 2016 年 3 月 22 日 ) 、および大田原俊輔「鳥取県人権条例をめぐ る経緯と課題」障害者問題研究 36 巻 1 号 ( 2008 年 ) 48 頁。 5 ) ヘイトスピーチ審査会委員の委嘱手続に議会同意を 追加し、被害者に対する訴訟費用等の支援に関する条文 が削除された。なお、この間、市長は橋下徹氏から吉村 洋文氏へ交代している。 6 ) 大阪市条例については、大阪市ホームページ http:// www.city.osaka.lg.j p/shimin/page/0000339043. html ( 最 終アクセス 2016 年 3 月 22 日 ) 。 7 ) 憲法 94 条にいう「条例」に地方公共団体の長が制定 する規則等が含まれるかについては議論があるが、本稿 では、議会の議決によって制定された条例に限定する。 8 ) 最大判昭和 50 ・ 9 ・ 10 刑集 29 巻 8 号 489 頁。なお、条 例制定に伴う地域間の差異については、憲法が条例制定 権を認める以上、容認される。最大判昭和 33 ・ 10 ・ 15 刑 集 12 巻 14 号 3305 頁。 9 ) 岩崎建定「条例制定権の限界一一領域先占論から規 範抵触論へ」小早川光郎・宇賀克也編「行政法の発展と 変革 ( 下 ) [ 塩野宏先生古稀記念 ] 』 ( 有斐閣、 2001 年 ) 357 頁以下、 365 頁以下。 10 ) 角松生史「自治立法による土地利用規制の再検討ー メニュー主義と『認知的・試行的先導性』」原田純孝編『日 本の都市法Ⅱ』 ( 東京大学出版会、 2001 年 ) 321 頁以下、 326 頁以下。 (I) 徳島市公安条例事件 ( 前掲注 8 ) ) 、広島市暴走族追 放条例事件 ( 最判平成 19 ・ 9 ・ 18 刑集 61 巻 6 号 601 頁 ) 、 岐阜県青少年保護育成条例事件 ( 最判平成元・ 9 ・ 19 刑 集 43 巻 8 号 785 頁 ) 。 12 ) 条例による「淫行禁止」について、塩野宏「行政法Ⅲ 〔第 4 版〕』 ( 有斐閣、 2012 年 ) 189 頁。 13 ) 斎藤誠「条例制定権の限界」高木光・字賀克也編「行 政法の争点』 ( 有斐閣、 2014 年 ) 206 頁以下、 206 頁。 14 ) 徳島市公安条例事件最高裁判決 ( 前掲注 8 ) ) が示す 判断枠組みをパラフレーズしたものである。 15 ) 日本の憲法学においても、ヘイトスピーチ規制の「条 件付き合憲論」が有力であるとされる。奈須祐治「ヘイ ト・スピーチ (hate speech) の規制と表現の自由ーーー『内 容中立性原則 (content neutrality principle) 』の射程」 関西大学法学論集 50 巻 6 号 ( 2 開 1 年 ) 243 頁以下、 245 頁。 16 ) 斎藤・前掲注 13 ) 207 頁。 17 ) 「人種差別撤廃条約第 7 回・第 8 回・第 9 回政府報告 ( 仮訳 ) 」 ( 平成 25 年 1 月 ) パラグラフ 84 。 http:〃www. mofa. g0jP/m0faj/meS/000023044. pdf ( 最終アクセス 2016 年 3 月 22 日 ) 。 18 ) 法務省人権擁護推進審議会答申「人権救済制度の在 り方について」 ( 平成 13 年 5 月 25 日 ) 6 頁以下。 19 ) 京都地判平成 25 ・ 10 ・ 7 ( 判時 2208 号 74 頁 ) 、最決平 成 26 ・ 12 ・ 9 ( LEX / DB25505638 ) 。 20 ) 国会に提出された人権擁護法案 ( 2 開 2 年 ) と「人権 委員会設置法案」 ( 2012 年 ) がいすれも審議未了廃案と なった事実の評価は難しいが、大阪市条例のようにヘイ
082 法学セミナー 2016 / 05 / no. 736 た同時履行の抗弁などを信販会社に対しても主張でき るようにしている ( 同法 30 条の 4 、 35 条の 3 の 19 。いった んは切断された抗弁をつなぐという意味で「抗弁の接続」と いう ) 。自動車や不動産をローンで購入する場合にも、 事情は同じであるが、こちらは通常のクレジットとは 別の形で規律されている。 4 労務提供型契約 民法は、労務提供型の契約類型として雇用・請負・ 委任・寄託の 4 種を定める。事務処理等の委託を目的 とする「委任」の要素がべースにあり ( 646 条 ) 、労務 の提供について、相手方の指揮命令に服するものが「雇 用」 ( 623 条 ) 、仕事の完成を目的とするものが「請負」 ( 632 条 ) 、物の保管を目的とするものが「寄託」 ( 657 条 ) であると考えてよいであろう。とはいえ役務給イ寸は、 あらゆる契約に内包されており、極めて多様である。 + 仕事の完成と報酬 + ものの預かり 寄託 ( 1 ) 雇用契約 労務の提供 相手方の指揮・命令 請負 雇用については、労働契約の条件等に関して、早く から労働基準法 ( 昭和 22 〔 1947 〕年法 49 号 ) を始めとす る労働三法 ( 労働組合法 [ 昭和 24 〔 1949 〕年法 174 号 ] ・労 働関係調整法 [ 昭和 21 〔 1946 〕年法 25 号 ] ) や労働災害補 償保険法 [ 昭和 22 〔 1947 〕年法 50 号 ] などが重要な役割 を演じてきたが、更に労働契約上のルールを整備すべ く、 2007 年に労働契約法 ( 平成 19 〔 2007 〕年法 128 号 ) が制定されて詳細な規定がおかれ、民法の雇用に関す る諸規定 ( 623 条 ~ 631 条 ) は、ほとんど意味を失った。 労働契約法では、労働者の雇用の安定と生存権を守る ため、解雇権濫用法理なども明文化されている ( 同法 16 条参照 ) 。他方、非正規雇用を多数生み出した労働者 派遣法 ( 昭和 60 〔 1985 年〕年法 88 号 ) やパートタイム労 働法 ( 短時間労働者の雇用管理の改善に関する法律 [ 平成 5 年〔 1993 年〕法 76 号 ] ) などがもたらす多くの課題にも 直面しているが、詳細は労働法で学んでいただきたい。 ( 2 ) 請負契約 させ、他方 ( 注文者 ) がその仕事に対して報酬を支払 請負は、当事者の一方 ( 請負人 ) がある仕事を完成 うことを約東して成立する契約である ( 632 条 ) 。仕事 の完成を目的としている点で、他の契約類型と区別さ れる。報酬は、「仕事の完成」に力点が置かれている ことと関連して、完成した仕事の目的物の引渡しと同 時もしくは労務の終了時以降とされているが ( 633 条 ) 、 ときに実態に合わないため、可分の給付に関しては報 酬の分割請求も可能と解されている ( 最判昭和 56 ・ 2 ・ 17 去 967 号 36 頁。なお、改正法案 634 条も参照 ) 。 請負の代表は建設工事請負契約であるが、これには 建築基準法 ( 昭和 25 〔 1950 〕年法 201 号 ) や建設業法 ( 昭 和 24 〔 1949 〕年法 1 開号 ) 等の規制があるほか、多くの 場合、標準約款が利用され、その契約内容を形成して いる ( たとえば、建築士会・建築家協会・建設業協会などか らなる眠間 ( 旧四会 ) 連合協定工事請負契約約款」など ) 。 約款内容の当否はともかく、民法の規定に関連しては、 欠陥住宅など、仕事にキズ ( 瑕疵 ) があった場合の請 負人の担保責任と、危険の移転に関する重要な問題が ある。仕事に瑕疵がある場合、瑕疵の修補・損害賠償 のほか、建物等の土地の工作物についての請負を除い ては契約解除ができることになっている ( 634 条、 635 条。 改正法案では両条は削除され、売買と同様の契約不適合一般 を理由とする追完請求・損害賠償請求・請負報酬減額請求・ 解除などで対処される。なお不適合の場合の責任につき、改 正法案 636 条以下 ) 。 目的物に瑕疵がある場合、注文者は、信義則に反し ない限り、請負人から瑕疵の修補に代わる損害賠償を 受けるまで報酬全額の支払いを拒むことができる ( 634 条 2 項第 2 文参照。最判平成 9 ・ 2 ・ 14 民集 51 巻 2 号 337 頁 ) 。 また、判例では、建築請負の仕事の目的物である建物 に重大な欠陥があるために建て替えざるを得ない場合 には、注文者は請負人に立て替えに要する費用相当額 の損害賠償請求をすることができ、それは民法の規定 の趣旨に反しないとされている ( 最判平成 14 ・ 9 ・ 24 判 時 1801 号 77 頁 ) 。なお、住宅の品質確保に関しては、住 宅の品質確保に関する法律 ( 品確法 ) ( 平成 11 〔 1999 〕年 法 81 号 ) が重要である。 仕事が完成して引渡す前の目的物 ( たとえば家屋 ) の 所有権の帰属に関して、判例は、特約のない限り主た る材料の提供者に帰属するとしてきた ( 大判大正 3 ・ 12 ・ 26 民金耙 0 輯 1208 頁、大判昭和 7 ・ 5 ・ 9 民集 11 巻 824 頁 など。材料提供者帰属説 ) 。しかし、最近では、代金の支 払状況から当事者の合意を推定するなどして、注文者 に原始的に帰属させる判断力いている ( 注文者帰属説。
046 トスピーチの抑止に目的を限定した条例制定の桎梏とな るとはいえないであろう。もっとも、今後国の法令が整 備された場合は、条例との調整が必要となりうる。 21 ) 木村草太「公安条例の明確性一一徳島市公安条例事 件」長谷部恭男・石川健治・宍戸常寿編『憲法判例百選 I 〔第 6 版〕』 ( 有斐閣、 2013 年 ) 186 頁以下、 187 頁は、 「法律の趣旨・目的が不明確な場合には、その法律は、 合理的な条例を許容し、不合理な条例を排除する趣旨だ と解するのが合理的だろう」とする。 22 ) 大橋洋一「行政法 I 〔第 2 版〕』 ( 有斐閣、 2013 年 ) 307 頁以下。 23 ) 刑罰の方が威嚇・抑止効果が高い、手続に習熟して いない、発動の機会が増えると忙しくなるなどの地方公 共団体職員の意識があるともいわれる。北村喜宣『自治 力の発想パワーアップ分権時代の政策法務』 ( 信山社、 2001 年 ) 51 頁以下。 24 ) ヘイトスピーチの「歴史性」「非対称性」については、 本誌 726 号 ( 2015 年 ) の「特集ヘイトスピーチ / ヘイ トクライムーーー民族差別被害の防止と救済」所収の各論 考を参照。 25 ) 内田博文「刑事法および憲法と差別事件」法学セミ ナー 726 号 ( 2015 年 ) 44 頁以下、 47 頁。 26 ) 松本英昭「新版逐条地方自治法〔第 8 次改訂版〕』 ( 学陽書房、 2015 年 ) 502 頁。 27 ) 大橋洋一「現代行政の行為形式論』 ( 弘文堂、 1993 年 ) 369 頁。 28 ) とはいえ、全国的に様々なリソースの遍在が進行す るなかで、各地方公共団体が適切な人材や十分な予算を 確保できるかどうかも課題であろう。また、全国の市町 村に約 14 , 0 開人配置されている人権擁護委員との間の役 割の整理も必要となるだろう。 29 ) 師岡康子「ヘイトスピーチとは何か』 ( 岩波新書、 2013 年 ) 180 頁以下。 30 ) 東京弁護士会「地方公共団体に対して人種差別を目 的とする公共施設の利用許可申請に対する適切な措置を 講ずることを求める意見書」。 http: 〃 www.toben.or.jp/ message/ikensY0/post-412. html ( 最終アクセス 2016 年 3 月 22 日 ) 。 (1) 最判平成 7 ・ 3 ・ 7 ( 民集 49 巻 3 号 687 頁 ) 、最判平 成 8 ・ 3 ・ 15 ( 民集 50 巻 3 号 549 頁 ) 。 32 ) 大阪市人権施策推進審議会答申も、この点を危惧し て、「ヘイトスピーチが行われることが想定されること だけをもって、事前に公の施設の利用を拒否することは 極めて困難である」としている。また、座談会「表現の 自由」論究ジュリスト 14 号 ( 2015 年 ) 159 頁以下、 161 頁 〔曽我部真裕発言〕も参昭 33 ) 江橋崇「人権条例の広がった背景と、人権のまちづ くりとの結びつき」前掲注 2 ) 6 頁以下、 14 頁。もっと も、同稿は、地域の意向の積み上げがあったことも併せ て評価している。また、座談会「表現の自由」前掲注 32 ) 173 頁も参昭 34 ) 最近の例として、 2015 年 4 月施行の改正「地方教育 行政の組織及び運営に関する法律」により、教育長を首 長が議会同意を得て直接任命・罷免できるようになっ ( なかむら・ひでき ) 新・コンメンタ—J レ 新・コンメンタ•—J レ 憲法 木ド聟史・只野雅人 憲法とは 制定過程 CO NTENTS 木下智史・只野雅人 [ 編 ] 充実のコンメンタ—) レ。 丁寧に解説。学生から実務家まで活用できる、 関連法令、重要判例、学説を踏まえ、 日本国憲法の条文の趣旨を、 上諭 前文 第 1 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 第 7 章 第 8 章 第 9 章 天皇 戦争の放棄 国民の権利及び義務 国会 内閣 司法 財政 地方自治 改正 第 IO 章最高法規 第 1 1 章補則 ・本体 4500 円十税 / A5 判 / 5BN978-4-535-52147-6 [ 電子書籍 Kin 団 e 版もあります ] 〒 170-8474 東京都豊島区南大塚 3 ー 12 ー 4 TEL : 03-3987-8621 /FAX. 03-3987-8590 ( イ ) 日本言平目冊ネ土 こ注文は日本評論社サービスセンターへ TEL : 049-274-1780/FAX . 049-274-1788 http://www.nippyo ・ co ・ jp/
! ! ハ←ル回イヤル 109 は電子計算機使用詐欺罪の成立が問題となる。ただ、 いすれにせよ、これらの罪は先行の不正取得につい て成立した窃盗罪や電子計算機使用詐欺罪との関係 において不可罰 ( 共罰 ) 的事後行為として評価され るべきである。また、自己の占有する他人の媒体を 複数回にわたって使用することにより電子マネーを 不正に利用した場合にも、罪数処理が問題となる。 この場合には、その不正利用ごとに横領罪が成立し て、それらは包括一罪の関係にあると解するべきで あろう。 1 ) プリペイド式電子マネーを購入するためには、その 運営会社に対して現金等を移転し、電子マネーに関する データを取得する ( いわゆるチャージないしは積み増し ) ことが必要である。ただし、その購入にクレジットカー ドを使用することも可能である。 2 ) 大塚仁「刑法概説 ( 各論 ) 〔第 3 版増補版〕』 ( 有斐閣、 2005 年 ) 172 頁、川端博『刑法各論講義〔第 2 版〕』 ( 成 文堂、 2010 年 ) 275 頁、佐久間修『刑法各論〔第 2 版〕』 ( 成文堂、 2012 年 ) 173 頁以下など。 3 ) 「不法領得の意思」の内容をどのように理解するべき かについては、内田幸隆「ボクが盗んだ理由」本連載第 3 回 ( 本誌 722 号 ) 110 頁以下参照。 4 ) 残高のない IC カードについても、電子マネーを新た にチャージすることによって利用可能となることから、 その点に着目することでなお財産的価値を認めることが できるように思われる。また、 IC カードの所有権は運 営会社に帰属しており、カード利用者はそれを貸与され ているにすぎない場合がほとんどであるが ( 例えば、 Suica について、東日本旅客鉄道株式会社 IC カード乗車 券取扱規則 5 条参照 ) 、カード利用者における利用権限、 あるいはそれに基づく占有を侵害している点を捉えて窃 盗罪などの財物罪の成立を認めることができよう。 5 ) なお、例えば、 Suica のように、 IC カードに金額情報 が記録されていても、カードの利用情報が運営会社のサ ーバに送信され、その利用情報に基づき電子マネーの金 額情報がサーバ上で統合的に管理されている場合があ る。このような場合も視野に入れると、媒体型電子マネ ーとサーバ管理型電子マネーの区別は相対的なものにす ぎないことになる ( 松井茂記ほか編「インターネット法』 ( 有斐閣、 2015 年 ) 203 頁注 ( 2 ) 参照〔森田果〕 ) 。した がって、財産犯の成否について検討する際に、 Suica の ような電子マネーを想定する場合には、本文で後述する ように、具体的な媒体が伴う場合には「財物」性の有無 を検討し、そうでなければ「財産上の利益」性を検討す るという段階を踏むべきであろう。 6 ) この問題について、詳しくは、内田幸隆「電子マネ ーと財産犯」刑ジャ 15 号 ( 2009 年 ) 20 頁以下参昭 7 ) この点につき、橋爪隆「ネット取引と犯罪」法教 391 号 ( 2013 年 ) 91 頁参昭 8 ) 電子計算機使用詐欺罪が成立する場合には、これと 一体となって ( 支払用カード ) 電磁的記録不正作出罪も 成立すると考えられることから、これらの罪は牽連犯な いしは観念的競合となると解される。なお、電子マネー の金額情報が IC チップに記録される場合には、その媒 体として「カード」という形状をとる必然性はない。例 えば、機種によっては携帯電話、スマートフォンを媒体 として電子マネーを利用することが可能である。しかし、 刑法 163 条の 2 では、その客体が「カード」に限定され ているために、それ以外の形状をした媒体に適用するこ とは困難である ( 内田幸隆「電子マネーと犯罪」法コン 27 号 ( 2009 年 ) 84 頁、松井茂記ほか編「インターネット 法』 ( 有斐閣、 2015 年 ) 242 頁〔渡邊卓也〕 ) 。 9 ) この点につき、渡邊卓也「電子計算機使用詐欺罪に おける『虚偽』性の判断」「野村稔先生古稀祝賀論文集』 ( 成文堂、 2015 年 ) 364 頁は、いわば財産を得る権利をも って利益と捉えることになり、利益概念を抽象化するこ とにつながると指摘する。 10 ) 例えば、 PASMO ( パスモ ) について、 PASMO 取扱 規則 5 条 4 項によると、記名 PASMO は当該記名人以外 の者が使用することができないと定められている。 (l) 渡邊・前掲注 9 ) 376 頁は、当該システムにおいて予 定されている客観的な制度趣旨に照らして、電子計算機 使用詐欺罪における情報の虚偽性を判断するべきと指摘 する。さらに、内田幸隆「嘘っきは裏切りの始まり」本 連載第 9 回 ( 本誌 728 号 ) 116 頁参昭 12 ) 電子計算機使用詐欺罪が成立しない理由につき、米 澤慶治編『刑法等一部改正法の解説』 ( 立花書房、 1988 年 ) 125 頁〔的場純男〕、橋爪隆「電子計算機使用詐欺罪」『刑 法の争点』 ( 有斐閣、 2007 年 ) 194 頁、西田典之『刑法各 論〔第 6 版〕』 ( 弘文堂、 2012 年 ) 219 頁昭 - 彡い、 0 13 ) 他方で、ネット上で当該電子マネーを使用すること により、商品など財物を取得する場合には、窃盗罪の成 立を検討することになるが ( 的場・前掲注 12 ) 116 頁、 139 頁参照 ) 、立法論的には電子計算機使用詐欺罪の客体 に「財物」を追加することも検討するべきである。 14 ) 的場・前掲注 12 ) 125 頁、西田・前掲注 12 ) 220 頁、 高橋則夫「刑法各論〔第 2 版〕』 ( 成文堂、 2014 年 ) 345 頁など参照。なお、ここでは、有償サーピスの取得、な いしはその代金支払いの免脱が「財産上の利益」に当た ることが前提となる ( 橋爪・前掲注 12 ) 195 頁参照 ) 。 15 ) この議論について詳しくは、杉本一敏「判批」刑法 判例百選Ⅱ各論〔第 7 版〕 ( 2014 年 ) 138 頁以下、田山聡 美「盗んで、壊して、その手を上に」本連載第 10 回 ( 本 誌 729 号 ) 117 頁以下参照。 16 ) この点につき、伊東研祐「判批」刑法判例百選Ⅱ各 論〔第 6 版〕 ( 2008 年 ) 137 頁は、部分横領の概念を肯定 して、カードの使用ごとに複数回の横領の成立を認める。 さらに、内田・前掲注 6 ) 23 頁以下参照。 17 ) このことにつき、特に横領罪の成否については、内田・ 前掲注 6 ) 25 頁以下参照。また、保有者本人に成り済ま してサーノヾ管理型電子マネーを不正に利用する場合に は、主に電子計算機使用詐欺罪の成否が問題となろう。 ( うちだ・ゆきたか )
株式会社法の基礎 093 報酬コンサルティング部門『経営者報酬の法律と実務 ( 別 冊商事法務 285 号 ) 』〔 2005 年〕 19 頁 ) 。 6 ) 大阪地判昭和 2 年 9 月 26 日法律新聞 2762 号 6 頁、矢 沢・前掲注 5 ) 241 頁、大隅 = 今井・前掲注 5 ) 166 頁。 7 ) 龍田節「役員報酬」我妻榮編「続判例展望 ( 別冊ジ ュリスト 39 号 ) 』 ( 1973 年 ) 178 頁。 8 ) 伊藤靖史『経営者の報酬の法的規律』 ( 有斐閣、 2013 年 ) 19 頁以下、落合誠一編『会社法コンメンタール ( 8 ) 』 ( 商 事法務、 2009 年 ) 148 頁以下〔田中亘〕、比較法研究セン ター「役員報酬の在り方に関する会社法上の論点の調査 研究業務報告書」 ( 2015 年 ) 68 頁〔松尾健一〕《 http:〃 www.moj.go.jp/conten レ 001131783. pdf 》 ( 2016 年 3 月 21 日最終確認 ) 、津野田一馬「経営者報酬の決定・承認手 続 ( 1 ) 」法学協会雑誌 132 巻 11 号 ( 2015 年 ) 2086 頁以下。 9 ) 田中・前掲注 8 ) 163 頁。 10 ) 田中・前掲注 8 ) 163 頁は、個人別の報酬額まで株主 総会に決定させることが、裁判所による事後的審査の可 能性を留保しつっ取締役会にこれを決定させることと比 べて、報酬規制の手法として優るとは必ずしも言いきれ ないとする。 (1) 例えば、タワーズワトソン社の調査研究 ( 2014 年度 ) によれば、米国では Fortune500 企業、英国では FT UK500 企業、日本では時価総額上位 100 社のうち、売上 高 1 兆円以上の企業を取り上げて、 CEO の報酬額 ( 連 結子会社の役員として受けた報酬額を含む ) をみると、 その中央値は、米国では 12 億 2251 万円 ( うち基本報酬は 1 億 3160 万円、業績連動賞与は 2 億 7057 万円、株式報酬 等の長期インセンテイプは 8 億 2034 万円 ) 、英国では 6 億 7840 万円 ( うち基本報酬は 1 億 6736 万円、業績連動 賞与は 2 億 3031 万円、株式報酬等の長期インセンテイプ は 2 億 8073 万円 ) 、日本では 1 億 2950 万円 ( うち基本報 酬は 7627 万円、業績連動賞与は 3584 万円、株式報酬等の 長期インセンテイプは 1738 万円 ) である《 https:〃 www.towerswatson.com/ja-JP/Press/2016/01/Towers- Watson-Japan-StPock-Option-implementation-status 》 ( 2016 年 3 月 21 日最終確認 ) 。 12 ) 伊藤・前掲注 8 ) 39 頁以下・ 109 頁以下、田中・前掲 注 8 ) 165 頁。例えば、株主総会による限度額の決定後 に取締役の員数が著しく減少したにもかかわらず、取締 役会が漫然と 1 人あたりの取締役の報酬額を増やしたよ うな場合には、任務懈怠責任が認められる可能性がある といわれる ( 田中・前掲注 8 ) 166 頁 ) 。ただし、「 7 」 で触れるように、この点に関する司法審査の機能は限定 的であると考えられる。 13 ) 名古屋高金沢支判昭和 29 年 11 月 22 日下民集 5 巻 11 号 1902 頁。 14 ) 龍田・前掲注 7 ) 175 頁、矢沢・前掲注 5 ) 244 頁。 15 ) 田中・前掲注 8 ) 166 頁。 16 ) 東京地判昭和 44 年 6 月 16 日金判 175 号 16 頁。また、最 判昭和 31 年 10 月 5 日集民 23 号 409 頁は、一任を受けた取 締役会が、社長と専務取締役の報酬については両名の総 額だけを決定して、両名間の配分は社長に再一任した事 例につき、かかる再一任は違法でないと判示している。 17 ) 龍田・前掲注 7 ) 175 頁、江頭憲治郎「株式会社法〔第 6 版〕」 ( 有斐閣、 2015 年 ) 449 頁注 6 参昭 18 ) 阪埜光男「判批」金融・商事判例 197 号 ( 1970 年 ) 5 頁、伊藤・前掲注 8 ) 268-269 頁、津野田一馬「経営者 報酬の決定・承認手続 ( 2 ) 」法学協会雑誌 133 巻 1 号 ( 2016 年 ) 115 頁。 19 ) 津野田・前掲注 18 ) 115 頁。 20 ) なお、このような改善策を会社法改正によって実現 すべきか、それとも証券取引所の上場規則の改正によっ て実現すべきかは別途問題になる。 21 ) 伊藤・前掲注 8 ) 281 頁以下、松尾・前掲注 8 ) 72 頁、 津野田・前掲注 18 ) 119-120 頁参昭 22 ) 尾崎悠ー「ドッド・フランク法制定後の米国におけ る役員報酬規制の動向」神作裕之責任編集・資本市場研 究会編「企業法制の将来展望 2013 年度版』 ( 資本市場研 究会、 2013 年 ) 288 頁。なお、伊藤・前掲注 8 ) 285 頁、 松尾・前掲注 8 ) 72-73 頁、津野田・前掲注 18 ) 120 頁も 参 23 ) 津野田・前掲注 18 ) 118 頁。なお、松尾・前掲注 8 ) 69 頁も参昭 24 ) 津野田・前掲注 18 ) 119-120 頁。また、尾崎・前掲注 22 ) 289 頁以下、松尾・前掲注 8 ) 70 頁も参照。米国では、 連邦法 ( ドッド = フランク法 ) でかかる株主総会の勧告 的決議が要求されるが、勧告的決議とされる大きな理由 の一つは、州会社法上、取締役報酬について株主総会は 決定権限を有しないとされていることにある ( ただし、 ストック・オプションなどの工クイティ報酬については、 株主の同意を要求する州会社法もあるほか、証券取引所 の上場規則で原則として株主の同意が要求されている ) 。 米国法の詳細につき、伊藤・前掲注 8 ) 119 頁以下・ 189 頁以下、尾崎・前掲注 22 ) 245 頁以下、松尾・前掲注 8 ) 1 頁以下、津野田・前掲注 8 ) 2127 頁以下参昭 25 ) 菊田秀雄「 EU における取締役報酬規制の新たな展開 と日本法への示唆」奥島孝康先生古希記念論文集編集委 員会『現代企業法学の理論と動態第 1 巻 ( 上篇 ) 』 ( 成 文堂、 2011 年 ) 293 頁参照。こうした立法論の下では、 報酬決定の基本方針は、株主総会決議による取締役会ま たは報酬委員会への委任の趣旨となるから、それに反し て具体的な報酬が決定された場合には、取締役の任務懈 怠責任が生じるほか、取締役会決議や報酬委員会決議の 効力にも影響が及びうる。この意味で、かかる立法論に は、取締役会・報酬委員会による報酬決定に対する司法 審査の実質化という意義も認められる。ただし、報酬決 定の基本方針として、株主総会決議で抽象的な方針が定 められてしまうと規制の意義が乏しくなるから、株主総 会で報酬決定の基本方針として定めるべき事項を法定す ることも必要であろう。この点については、前掲注 22 ) に対応する本文も参照のこと。 26 ) 米国の say on pay に対する議決権行使助言会社の影 響力について、尾崎・前掲注 22 ) 255 頁以下、津野田・ 前掲注 18 ) 67 頁以下参昭 ( くばた・やすひこ )
040 2 開 9 年 ) 65 頁。 4 ) 京都地判平成 25 ・ 10 ・ 7 判時 2208 号 74 、 103 頁。 5 ) 奈須祐治「判批」新・判例解説 Watch14 号 ( 2014 年 ) 15 、 18 頁。 6 ) 詳細は、梶原健佑「ヘイト・スピーチ概念の外延と 内包に関する一考察」比較憲法学研究 27 号 ( 2015 年 ) 127 、 138 ー 140 頁を参照。 7 ) JAMFS B. JACOBS & KIMBERLY POTTER, HATE CRIMFS: CRIMINAL LAW & IDENTITY POLITICS 36 (Oxford University press 1998 ). 8 ) 「ヘイトクライム」という呼称が使われるようになっ たのは 1980 年代である。なお、「ヘイトスピーチ」とい う呼称も同時期に使われるようになった。なお、ヘイト クライム法の歴史については、 Daniel Aisaka & Rachel Clune, 〃召 C 川召召 g ″〃イ C ん 4 〃 g い 14 GEO. J. GENDER & L. 469 ( 2013 ) を参照。 9 ) ローラー ミカ「ヘイトクライムに関するアメリカ の連邦法」外国の立法 258 号 ( 2013 年 ) 3 頁以下に、同法 の訳と解説がある。 10 ) 各州の立法状況については、反名誉毀損同盟 (Anti- Defamation League) のホームページで参照できる。 http://www.adl.org/assets/p df/comb atin g-hate/ADL- updated-2016-Exce ト State-Hate-Crime-Statutes. pdf ( 平成 28 年 3 月 3 日最終閲覧 ) (1) 蟻川・前掲注 1 ) 2 ー 3 頁。 12 ) R. A. V. 判決と同じく、十字架を燃やす行為の規制 が問題となった 2003 年の BIack 判決 (Virginia v. BIack, 538 U. S. 343 ( 283 ) ) では、問題となったバージニア州 法について、 R. A. V. 判決が示す①にあたる - ーー脅迫の とりわけ有害な形態である「真の脅迫」の規制ーーとし て、合憲である旨判示した。 13 ) JACOBS & POTTER, s ゆ川 note 7 at 112. 14 ) 小谷順子「アメリカにおけるヘイトスピーチ規制」 駒村圭吾・鈴木秀美編「表現の自由 I 状況へ』 ( 尚学社、 2011 年 ) 454 、 462 頁。なお、梶原健佑「ヘイト・スピー チと『表現』の境界」九大法学 94 号 ( 2007 年 ) 49 、 73 頁 以下も参昭 15 ) 奈須祐治「言論の自由保障における「言論 (speech) 』 の外延ーーヘイト・スピーチ規制の合憲性判断における 言論 / 行為区分論 (speech / conduct distinction) の 限界」九州法学会会報 2006 ( 2007 年 ) 5 、 8 頁も昭 : クハ、 0 16 ) Note, 召化厩 C , 107 HARV. L. REV. 235 , 240 ; 言 葉によるものだけではなく、行為によってある見解等を 表明する場合 ( いわゆる「象徴的言論」 ) にも言論の自 由の保障が及ぶのは周知のとおりである。十字架を燃や すという「行為」がヘイトスピーチとみなされるのは、 その行為が発する ( KKK による暴力の歴史と関連する ) メッセージが理由である。これに対して、十字架を燃や す行為と同様に人種差別的なメッセージを伝達するとい われている「木に縄を吊るす行為 (noose) かって 行われた奴隷に対するリンチを象徴する行為・一一」はヘ イトクライムとされる。 17 ) CASS R. SUNSTEIN, DEM()CRACY AND THE PR()BLEM ()F FREE SPEECH 194 ( Free press 1995 ) ; ミッチェル判決 において、ウイスコンシン州最高裁判所は、ウイスコン シン州法は、反差別法が客観的な行為 (objective act) を処罰するのとは異なり、主観的な精神過程 (subjective mental process) を処罰している点を指摘する。 18 ) Martin H. Redish, お“面川 T ん 04g お“川 0 / E 工カ s 朝 0 ル・〃〃 C 〃尾 Sentencing E 〃ん 4 c に襯に〃ー イおレ川イ召厩 T ん eo 11 CRIM. JUST. ETHICS 29 , 38 ー 39 ( 1992 ). 19 ) Note, s ゆ note 16 at 241 ー 244. 20 ) United States v. O'Brien, 391 U. S. 367 , 376 ー 377 ( 1968 ). 21 ) 立法目的が表現の自由の抑圧にある場合には、厳格 審査が適用される。 22 ) Note, s ゆ note 16 at 242 ー 243. 23 ) 芦部信喜『憲法学Ⅲ人権各論 ( 1 ) く増補版 > 』 ( 有斐 閣、 2000 年 ) 108 頁。 24 ) 最大判昭和 48 ・ 4 ・ 4 刑集 27 巻 3 号 265 、 269 頁。 25 ) なお、前掲注 12 ) で言及したように、 2003 年の Black 判決は、問題となったバージニア州法は R. A. V. 判決が 挙げた内容中立原則の例外にあたるとした。しかし、同 州法は、明らかに十字架を燃やす行為が発するメッセー ジを理由に規制するものであり、 BIack 判決は R. A. V. 判 決の射程を限定したと指摘される。この立場からする と、ヘイトスピーチは、その害悪ゆえに規制が憲法上正 当化され、ヘイトクライム法もまた憲法上正当化される。 歴史的・社会的文脈の異なる日本において、ヘイトスピ ーチおよびヘイトクライムの害悪についてどのように考 えられるのかについては、今後の検討課題としたい。 ( ひがき・しんじ )