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検索対象: 新特許法の実務解説
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1. 新特許法の実務解説

求の範囲の記載にもとづいて定めなければならない、と規定しているので、いかにこの欄が重要であるかが わかる。したがって、本欄では発明の構成に欠くことができない事項だけを要領よく一項にまとめて記述 し、発明の目的とか効果は書かないことである。よく効果ばかり書いて発明の構成 ( たとえば機械の発明で あれば、その機械の構造やメカニズム、方法の発明であればそのプロセスや方法の過程など ) が全く記載さ れてないのがあるが、このようなものは特許されない。また、次に述べる発明の詳細な説明の内容を逸脱せ ず、また、これと矛盾するような表現や一致しない字句を用いることのないように注意すること。 なお、実施例が発明の詳細な説明で多数掲げてある場合は、これらのすべての実施例を一つの発明として 包含できるような概括的表現でその構成を記述するか、そのうち最も代表的な実施例をその構成として記述 してもいい。もっとも、あまり概括的な表現をとると、権利が広すぎるとか、なんの構成要素からその発明 が成立しているかが不明になる。そこには発明はない、つまり発明未完成だとか、記載不備ということで拒 絶されることがあるから注意を要する。「風力を利用して風車を回転させ、その回転により発電する装置」 のような記載では、その装置がどのようになっているか不明だし、それは単なるヒントの域を出るものでは ないとして拒絶されるわけである。 ⑨「発明の詳細な説明」の欄では、発明の目的、構成、作用効果を技術的な見地から、その発明の技術 領分野における通常の知識を有する者が容易に理解し、かっその説明にもとづいてその発明を容易に実施でき る程度に理論的、客観的に記述すること。 の 願 発明の目的や構成および作用効果は、必ずしもはっきり区分して書く必要はないが、そのようなことが、 出 許この欄に記述されていればいレ 特 「発明の目的」としては、その発明が解決しようとする問題点や、産業上の利用分野などを、従来の 技術との関連で記載すること。これを例で示しておこう。 ( 例 1 ) 「この発明は〇〇に関するものである」

2. 新特許法の実務解説

の場合、暖房装置からストーブ、コンロなどまでいろいろのものを含んだような書き方をすると、 たとえある特定の具体的な暖房装置が、明細書の「発明の詳細な説明ーの項に記述してあっても、 「特許請求の範囲 , に記載されたものからはどこに発明があるのか不明な場合がある。この場合、 このような記述ではまだ発明が完成したとはいいがたいので、これでは特許できないとして、出願 が拒絶されることがあるから注意を要する。 その他の条件 その他特許出願が特許されるための条件として、その出願が真の発明者またはその正当な承 継人によりなされていることが必要である。共同発明なのに、一人だけの名義で出願することはで るきないし、いろいろの発明をまとめて一つの出願にしても、普通は特許されない。 ②今回の特許法改正によって、特許要件の一つに加えられたものに「先願の範囲の拡大」とい うのがある。先願の範囲の拡大の意味については前に説明した通りである ( 一六ページ参照 ) が、 要するに、明細書および図面の記載事項全体で先後願の判断がなされるので、この点十分留意する ん必要がある。

3. 新特許法の実務解説

の願書で出願することが例外として認められている。 右の原則または例外に適合しない出願は特許されないことになるが、このことが特許庁審査官な どから指摘された場合や、特許出願人自身がそのことを察知して、その二以上の発明を含む特許出 願を、一または二以上の新たな特許出願に分割することができるわけである ( 第四十四条第一項参 たとえば、最初、特許法第三十八条ただし書きのいわゆる併合の特許出願 ( 六〇ページ参照 ) を したが、よく検討してみると、それは併合発明の要件を具備しないことが判明した場合とか、方法 の発明とその装置の発明をいっしょにして併合特許出願をしたが、その装置はそれほど特異な装置 ではなく従来の若干の改良にすぎないので、その装置は特許になりそうにもないという場合は、そ の併合発明としての要件を満たさない発明 ( その発明は複数である場合もある ) を一または二以上 の新たな特許出願として分割してもいいし、また前例の後者の場合のように、その装置発明を分割 要して新たな特許出願として出願した後、その新たな特許出願を実用新案登録出願に出願変更するこ の 願ともできるわけである。 出 分割した新たな特許出願が元の特許出願の内容を逸脱しない範囲でなされたときは、その新たな 特許出願は、元の特許出願を出願したときに出願したものとみなされる。 なお、特許出願の分割はいつまでできるかというと、原則は元の特許出願についてなされた査定 1 イ 0

4. 新特許法の実務解説

びに法人にあっては代表者の氏名 ついて同一の願書で特許出願をするときは、第二項 二提出の年月日 第四号の特許請求の範囲は、発明ごとに区分して記 三発明の名称 載しなければならない。 四発明者の氏名及び住所又は居所 ( 共同出願 ) 2 願書には、次に掲げる事項を記載した明細書及び第三十七条特許を受ける権利が共有に係るときは、 必要な図面を添附しなければならない。 各共有者は、他の共有者と共同でなければ、特許出 一発明の名称 願をすることができない。 一一図面の簡単な説明 ( 一発明一出願 ) 三発明の詳細な説明 第三十八条特許出願は、発明ごとにしなければなら 四特許請求の範囲 ない。ただし、二以上の発明であっても、特許請求 3 追加の特許を受けようとするときは、追加の特許の範囲に記載される一の発明 ( 以下「特定発明」と を受けようとする発明についての追加の関係を明細 いう。 ) に対し次に掲げる関係を有する発明につ、 書に記載しなければならない。 ては、特定発明と同一の願書で特許出願をすること 4 第二項第三号の発明の詳細な説明には、その発明 ができる。 の属する技術の分野における通常の知識を有する者一その特定発明の構成に欠くことができない事項 : 容易にその実施をすることができる程度に、その の全部又は主要部をその構成に欠くことができな 発明の目的、構成及び効果を記載しなければならな い事項の主要部としている発明であって、その特 定発明と同一の目的を達成するもの 5 第二項第四号の特許請求の範囲には、発明の詳細二その特定発明が物の発明である場合において、 な説明に記載した発明の構成に欠くことができない その物を生産する方法の発明又はその物を生産す 事項のみを記載しなければならない。 る機械、器具、装置その他の物の発明 6 第三十八条ただし書の規定により二以上の発明に 三その特定発明が方法の発明である場合におい

5. 新特許法の実務解説

三化学方法により製造されるべき物質の発明 ( 追加の特許の要件 ) 第三十一条特許権者は、次に掲げる発明について 四原子核変換の方法により製造されるべき物質の 発明 は、独立の特許に代え、追加の特許を受けることが できる。 五公の秩序、善良の風俗又は公衆の衛生を害する おそれがある発明 一その者の特許発明の構成に欠くことができない 事項の全部又は主要部をその構成に欠くことがで ( 特許を受ける権利 ) きない事項の主要部としている発明であって、そ第三十三条特許を受ける権利は、移転することがで きる。 の特許発明と同一の目的を達成するもの 2 特許を受ける権利は、質権の目的とすることがで 二その者の特許発明が物の特許発明である場合に おいて、その物を生産する方法の発明又はその物きない。 を生産する機械、器具、装置その他の物の発明 特許を受ける権利が共有に係るときは、各共有者 三その者の特許発明が方法の特許発明である場合 は、他の共有者の同意を得なければ、その持分を譲 において、その方法の特許発明の実施に直接使用渡することができない。 する機械、器具、装置その他の物の発明 第三十四条特許出願前における特許を受ける権利の ( 特許を受けることができない発明 ) 承継は、その承継人が特許出願をしなければ、第三 第三十ニ条次に掲げる発明については、第二十九条者に対抗することができない。 の規定にかかわらず、特許を受けることができな 2 同一の者から承継した同一の特許を受ける権利に ついて同日に二以上の特許出願があったときは、特 一飲食物又は嗜好物の発明 許出願人の協議により定めた者以外の者の承継は、 二医薬 ( 人の病気の診断、治療、処置又は予防の第三者に対抗することができない。 3 同一の者から承継した同一の発明及び考案につい ため使用する物をいう。以下同じ。 ) 又は二以上 ての特許を受ける権利及び実用新案登録を受ける権 の医薬を混合して一の医薬を製造する方法の発明

6. 新特許法の実務解説

その一つは職務発明に関する通常実施権で、他の一つはいわゆる先使用による通常実施権である。 ①職務発明による通常実施権日たとえば、繊維会社の研究所に研究員として研究に従事して いたが、社に勤めている間に社の業務範囲に属する繊維に関して発明甲をしたとしよう。か かる場合、かりにが自己の名義で特許権を取得したり、他社にその特許権を譲渡したり、あるい は社を退職しても社はその甲特許発明を無償で数量や地域に関係なく実施できるとしている これは従業者が研究所などにいて発明することに経済的、物質的支援をしてきた使用者に対し て、その代償として認められた通常実施権である。 この例は、きわめて典型的なものを引用したが、実際に起こるケースはもっと複雑で、デリケー トで、職務発明にもとづく通常実施権がはたして成立するか否かむずかしいのが現状である。 前例の場合、経理課の者や人事課の者とか単なる運搬者とかエレベーターの電気工事者などが、 仮に社と関係ある繊維織機について発明しても、それは彼らにとっては自分の本来の職務とはあ まりにも離れているので、その発明は職務発明にならないといえる。 また、研究者が、研究所にはいたが、そのころは発明が全く実らないで、社から退職後努力 した結果やっと甲発明を完成したとか、社の業務範囲と全く関係のない自動車のエンジンについ て発明したという場合は、いずれも職務発明にはならない。したがって、このような場合は、 << 社 ( 第三十五条 ) 。 172

7. 新特許法の実務解説

から三十日以内に試験、発表、出品などをした事実を証明する書面を提出すれば、その出願に関す るかぎり、その発明は新規な発明として扱われる ( 第三十条 ) 。 しかし、この場合、同じ発明について独自で発明をした第三者が出願日より先に特許出願してい るときは、この出願はその他人の出願より遅れた出願として特許が拒絶されるので、出願人として は発明を公表する前に、一日でも早く出願を済ました方が無難である。なお、発明が刊行物や博覧 会などで発表されたあとで、第三者がその発明を特許出願しても、その出願に係る発明は、新規な 発明でないとして特許が拒絶されることになるわけである。 最先に出願された発明であること る な同じような発明や考案をした者が多数いる場合、だれが特許をうるかというと、それは最先に特 に 許許出願した者である。 がでは、同じ日に出願が二人以上の者により別々になされたときはどうするか ( 事実このような例 発はあまり多くはないが ) が問題になる。このような場合は、お互いに協議させて、どれか一つだけ 残し、あとは出願を取り下げさせるわけである。協議することもできない場合、または協議はした が話がまとまらない場合は、いずれにも特許しないことにしている。同じ日とは、時間は問題にし ないで日を単位にして順位を定めるので、朝一番に出願しても午後に出しても同じである。

8. 新特許法の実務解説

て当該特許出願後に出願公告又は出願公開がされた が特許出願をしたときも、前項と同様とする。 ものの願書に最初に添附した明細書又は図面に記載 3 特許を受ける権利を有する者が政府若しくは地方 公共団体 ( 以下「政府等」という。 ) が開設する博 された発明又は考案 ( その発明又は考案をした者が 当該特許出願に係る発明の発明者と同一の者である覧会若しくは政府等以外の者が開設する博覧会であ 場合におけるその発明又は考案を除く。 ) と同一で って特許庁長官が指定するものに、パリ条約の同盟 あるときは、その発明については、前条第一項の規国の領域内でその政府等若しくはその許可を受けた 定にかかわらず、特許を受けることができない。た者が開設する国際的な博覧会に、又はパリ条約の同 だし、当該特許出願の時にその出願人と当該他の特盟国以外の国の領域内でその政府等若しくはその許 許出願又は実用新案登録出願の出願人とが同一の者可を受けた者が開設する国際的な博覧会であって特 許庁長官が指定するものに出品することにより、第 であるときは、この限りでない。 二十九条第一項各号の一に該当するに至った発明に ( 発明の新規性の喪失の例外 ) ついて、その該当するに至った日から六月以内にそ 第三十条特許を受ける権利を有する者が試験を行 の者が特許出願をしたときも、第一項と同様とす い、刊行物に発表し、又は特許庁長官が指定する学 術団体が開催する研究集会において文書をもって発る。 表することにより、第二十九条第一項各号の一に該 4 特許出願に係る発明について第一項又は前項の規 当するに至った発明について、その該当するに至っ定の適用を受けようとする者は、その旨を記載した た日から六月以内にその者が特許出願をしたとき書面を特許出願と同時に特許庁長官に提出し、か つ、その特許出願に係る発明が第一項又は前項に規 は、その発明は、同項各号の一に該当するに至らな 定する発明であることを証明する書面を特許出願の 録かったものとみなす。 日から三十日以内に特許庁長官に提出しなければな 2 特許を受ける権利を有する者の意に反して第二十 らない。 付九条第一項各号の一に該当するに至った発明につい て、その該当するに至った日から六月以内にその者 239

9. 新特許法の実務解説

〔説明〕 ①用紙や文字については、前記の通り日本工業規格列 5 番の大きさの全くの白紙を縦長に用いて、四 号活字のタイプ印書により横書きすること。 ②余白は、少なくとも用紙の左に二センチメートル、上に六センチメートル、右と下に各三センチメー トルをとること。 ③「発明の名称、は、その発明の内容を簡単明りように表現するものであること。たとえば自動車ドア の自動開閉装置に関する発明であれば、単に「自動車」と紋切り型にしないで、「自動車ドアの自動開閉装 置ーのようにすることである。 最新式とか自分の氏をとって「田中式〇〇 , のような無意味な形容詞は用いないこと。また、あまり長く なる名称も適当ではない。 発明が物に関するものであるときは、「〇〇の装置、機、器、回路、材、または組成物」のように名称の 終わりをこのようなもので結ぶといい 発明が物を生産する方法とか食品の加工法とか処理方法または測定方法のように、方法に関する発明であ るときは、その名称は「〇〇方法、〇〇の加工法 , のように表現すること。 なお、発明の名称には、かたかなでふりがなをつけること。 領 要 ④「発明者、の欄には、あくまで現実に発明した者の住所、氏名を記載すること。法人そのものは発明 願は行なわないので、法人を発明者にすることはできない。この欄は、とにかく人間の住所、氏名を書くこと 許である。しかし発明者と特許出願人とが同一人の場合は、この欄には住所、氏名を書く手間を省いて、単に 特 「特許出願人と同じーと略記しても差しつかえない。 住所は県名、番地、号まで完全に一字も省略しないで記載し、番地がないときはカッコして住所の末尾に ( 無番地 ) と表記すること。もっとも、無番地という番地があるところもあるので、そのときはカッコをつ

10. 新特許法の実務解説

案や液体、気体、粉体に関するような考案は実用新案の対象にはならない。 要するに、特許は大発明を保護し、実用新案は小発明を保護するものであるといえる。 発明の種類 発明には、物に関する発明と、方法に関する発明の二通りがある。この区別は、あとで特許権の 効力のところで説明するように ( 一六〇、一八一ページ参照 ) 、他人の侵害を排除する場合にその 権利効力の面で大きく相違することになる。 物の発明の例としては、機械や装置、器具、混合物など自体に関する発明がある。また、方法の 発明にはさらに二通りあって、物の生産を伴う方法の発明と物の生産を伴わない方法の発明とがあ る。物の生産を伴う方法の発明の例としては、化学薬品の製造方法や植物の裁培方法、食品の加工 法などがあり、物の生産を伴わない発明の例としては、測定方法とか汚水処理方法、空気浄化方法 などがある。 2 特許出願できる者 小説を書いたり曲を作ったりしたときは、その完成と同時に著作権が発生する。この著作権の発