ハレていてあまり有効でない。別の手を考えないと ( 笑 ) 。 すれにしても、その人が持っている能力に気付かずダメにして しまったら、俺の失敗ですよ。 人が成長するしくみ つねにデザイナ 1 たちのそばにいて、言いたいことを言い 言わせたいことを言わせる。こうした宮田氏のスタイルは、ド ラフトのスタッフが二〇名ほどの頃には徹底できた。が、四〇 名にもなると到底無理だという。そこにはまた別のク仕組みク が必要だ。 「たとえばクライアントと担当者全員で、年に一、二回、合宿 をしています。来年はどうしようって、将来の話だけをする。 そんな機会があると、どのスタッフも自由に意見が出せるし、 立場的に低い人も喋らざるを得ない。すると、クライアントや カメラマンからその場で意見が返ってくるから、挫折したり、 時には自信を得たりしますよね。そんな中でそれぞれが勝手に Photo 】 OZAWA Yoshihito 1 0 7 ドラフトの宮田識さんを東京・恵比寿に訪ねる
DTP IDEE 旧 EO JAF 索引 ヨーガン・レール 1 分間マネジャ - 20 : 80 の法則 グレート・ブルー 1 68 , 3 0 0 2 5 4 087 0 3 5 075 「できる人」はどこがちがうのか デニス・ポイル 075 1 4 0 1 6 5 075 2 6 2 PowerBook Duo Without Thought アートセンタースクール アスペン世界デザイン会議 神谷直彦 植田義則 伊藤弘 アレッシー 2 1 5 オフィス・ランドスケープ 1 5 4 ヴィルフレド・パレート 0 5 4 イヴォン・シュイナード 1 1 8 河井寛次郎 034 0 71 242 0 63 , 071 0 91 , 1 6 3 087 テレワーク ドラフト 西田真設 野口晴哉 パタゴニア 畑中洋太郎 馬場浩史 / ヾ / ヾラギ 樋口裕康 ファインモールド ファシリテーター 1 9 8 , 28 5 0 8 5 091 1 2 6 1 2 4 1 0 3 2 5 0 0 3 9 2 6 6 213 フェザー・クラフト 163 フォークの歯はなせ四本になったか 深澤直人 035 ブルーノ・ムナーリ フレックスワーク プロジェッティスタ 2 5 0 2 3 6 1 1 6 クイックポナー グルービジョン 2 4 2 054 053 085 ペットサウンズ 0 2 9 ヘンリー・ベトロスキ - ポ - ル・マッコブ 048 0 8 5 紅の豚 黒崎輝男 黒澤明 甲田幹夫 小林弘人 齊藤孝 佐藤直樹 佐藤雅彦 2 1 3 1 6 5 0 3 0 132 1 2 9 135 1 1 4 町山一郎 039 水口哲也 050 ミヒヤ工ル・エンデ 宮田識 1 0 3 2 2 9 ムッソリー 村上春樹 249 0 31 モチベーション・リソース革命 1 2 9 0 8 5 260 失敗学のすすめ シャルロット・ペリアン スターネット 1 9 8 スペースチャンネル 5 清遊の家 042 セルフェスティーム ソイルセラミックス 象設計集団 038 0 6 3 127 046 0 5 0 森本晃司 八木保 柳宗理 227 016 0 5 7 ラウラ・ボウリノ 1 1 8 2 3 0 鷲田清ー 1 3 2 ワイアード ワークデザイン研究室 ルヴァン 168 , 300 2 5 7 ダブル・バインド 1 7 7
ドラフトの宮田識さんを東京・恵比寿に訪ねる【 1999 年・夏】 「できるだけ″その人が出る状況を つくり出す 使う道具の質に、多くのデザイナ 1 は敏感だ。しかし仕事の 道具はコンピュータや文具だけではない。たとえばオフィス空 間や、仕事上のちょっとしたコミュニケ 1 ション習慣など。環 境という方が包括的かもしれないが、これらは仕事の質に強く 関わる。 ドラフトをひきいる宮田識氏は、日本を代表するア 1 トディ レクターの一人であると同時に、デザインを生み出す「現場」 のデザイニングに長けた独創的なマネージャ 1 だ。スタッフの 力を十二分に引き出すことが、ドラフトにおける彼の大きな仕 事である。 「僕はアシスタントは募集していない。デザイナ 1 を雇ってい るわけだから、彼らにデザインをさせなければと思うわけです。 1 0 3 ドラフトの宮田識さんを東京・恵比寿に訪ねる
宮田氏の肩書きはア 1 トディレクタ 1 だ。しかし、その動き を、つかがっていると、ファシリテータ 1 としての色合いが強く 感じられる。 ファシリテータ 1 とは、【 FaciIitate: 容易にする、促進す る】という言葉のとおり、トップダウン型のリーダーシップや ディレクションとは異なる、支援者的な存在を指す。スポーツ 選手に対するコ 1 チは、その分かりやすい一例だろう。 先のパタゴニアにしても、宮田氏のドラフトにしても、規模 の違いこそあれ、自社が抱えるスタッフという資源に力を与え それを育むことを強く意識している。強力なリ 1 ダ 1 が存在し、 " ファシリテーション 4 とい - っマネー、シャーの仕事 て、人の仕事をのぞき込んだり、ロ出しできない関係が生まれ てしま、つ。『ちょっと教えてよ』『どっちがいいと思、つ ? 』って いう関係を互いに維持するには、やはり空間のからくりも要る んです , Photo 】 OZAWA Yoshihito ドラフトの宮田識さんを東京・恵比寿に訪ねる
育っていく。 賞をいただいた時には、なるべく打ち上げをします。五時頃 から誰もオフィスにいなくなって、毎回無礼講ですよ。そこに はコピ 1 ライターも来るし、ドラフトの卒業生もやって来る。 わーわ 1 一緒に喋りながら先輩から怒られたりもする。すい分、 長い間続いていますが、暮れに、二〇〇人規模のパーティを開 きます。うちのスタッフがホストとホステス役。みんな一張羅 を買って頑張っておもてなしする。こうしたことを、ドラフト では公の行事にしています。僕がじかに接しなくても、こうし た中でみんな成長できる。そんな経験の場をつくることが大切 なんです。 オフィス空間にも、また別のク仕組みツがある。 「建物のプランがくの字型になっているので、別のフロアーや 部屋の様子が、つねになんとなく見えている。そういう物件を 探したんですよ。スペースも区切らずに、なるべくオ 1 プンに する。それぞれの空間が閉じていると、お互いが見えなくなっ PhotO 【 OZAWA Yoshihito 1 0 8 1 : 働き方がちがうから結果もちがう
その人が光る仕事をね。 みんな、それぞれの夢や希望があって、できれば一から十ま でやりたいような人たちです。若い時の自分もそうだった。そ んな人を迎える以上、いい仕事をさせる責任があるし、デザイ ナーとしての自分の立場も変えていかざるを得ない」 ドラフトは請け負ったデザイン業務の範疇を越えて、クライ アントと徹底的に意見やアイデアを交わし合う仕事ぶりでも有 名だ。 「打合わせで僕は一種のホラを吹くわけです。そのホラを実現 しなければならないが、自分の手にはあまる。そこで、スタッ フひとりひとりの中から、できるだけいい能力を引き出す必要 があるわけです。 その人が持っているもの、ちょっとした光っている部分に気 付いて、ポッと焦点の合った仕事を与えると、人はかならず成 しくらでも 長する。与えることが大事なんです。そんな時は、、 平気な顔で働いているし、時間の使い方や他人との兼ね合いに 宮田識 1948 年生まれ。 日本デザインセンターを経て、 祀年宮田識デサイン事務所 ( 現、ドラフト ) 設立。年 「 D ・ BROS 」をスタートさせ プロダクトデザインの世界に 参入する。代表作に、日本鉱 業、横浜ゴム (PRGR) 、モ スパーガー、ラコステ、キリ ン一番搾り、キリン淡麗、ブ ライトリング、ウンナナクー ル、キリンビバレッジ「世界 のキッチンから」、など。主 1 0 4 1 : 働き方がちがうから結果もちがう
ドラフトの宮田識さんを東京・恵比寿に訪ねる 人が成長するしくみ。 / クファシリテーションツというマネージャーの仕事材 「自分で考えなさいーということを教える 1 / 心臓のチャックをひらく / 力を引き出す 2 小林弘人さんを東京・お茶の水に訪ねる やり方がちがうから結果もちがう 2 他人事の仕事と「自分の仕事 仕事を「自分の仕事、にする / 「自分」を掘り下げることで他人と繋がる 植田義則さんのサーフポードづくりを訪ねる 甲田幹夫さんのバンづくりを訪ねる 矛盾を感じさせない仕事とは ヨーガン・レールさんのモノづくりを訪ねる 意味のないことには関わりたくない / 美意識としての環境問題 8 / 深く入ることで見えてくるもの期 / 本当は自分のものを自分でつくりたい 1 0 3 1 3 2 1 6 8 1 5 4
( 全生社 ) という本がある。此ることの難しさと、それによっ て拓かれる人の心の在り方について書かれた一冊だ。叱るにせ よ褒めるにせよ、それは相手に一歩踏み込む行為であり、その 時私たちはその人に対する責任を問われている。またそれが、 踏み込む側の自我の誇示として行われる場合には、褒めても叱 っても、人の心を拓くことはない、と彼は説く。 萎縮していては力を発揮できないから、安心して肩の力を抜 ける環境づくりは必要かもしれない。褒めることで、勇気や自 信を持っきっかけを与えることも、多少は出来るかもしれない。 しかし、自信とは文字通り自分を信じることであり、本来的に 他人から与えられるものではない。本人が自分自身で抱くもの でなければ、継続的な力の源泉にはならない。 セルフェスティ 1 ムという言葉がある。日本語では「自尊感 情」と訳されることもあるが、プライドとは少しニュアンスが 異なる。「自分自身が好きで、自信があり、その自分を大切に ドラフトの宮田識さんを東京・恵比寿に訪ねる
1 の養成プログラムを提供している。でまとめられたと いうファシリテータ 1 一〇カ条 ( 原訳】南山短期大学・星野欣 生教授 ) に、西田氏が若干のアレンジを加えたものがあるので 紹介したい。 ( 1 ) 主体的にその場に存在している。 ( 2 ) 柔軟性と決断する勇気がある。 ( 3 ) 他者の枠組みで把握する努力ができる。 ( 4 ) 表現力の豊かさ、参加者の反応への明確さがある。 ( 5 ) 評価的な言動はつつしむべきとわきまえている。 ( 6 ) プロセスへの介入を理解し、必要に応じて実行できる。 ( 7 ) 相互理解のための自己開示を率先できる、開放性がある。 ( 8 ) 親密性、楽天性がある。 ( 9 ) 自己の間違いや知らないことを認めることに素直である。 (2) 参加者を信頼し、尊重する。 ( 『ワ 1 クショップ』中野民夫、岩波新書より ) 1 2 5 ドラフトの宮田識さんを東京・恵比寿に訪ねる
もやっていました。裏方から舞台装置から、まさに人々のクリ ェイテイプな力をすべて集めてつくり出されるのが劇場という 空間です。みんなのエネルギーを最大限に、オーラのように引 き出す。その素晴らしさに感動しながら働いていた。そういう 方法で仕事をするのが好きなんです。 私はね、 いいデザインに自分の名前を付けて出すことには興 味がない。自分自身がデザインをするとか絵を描くのではなく て、みんなのカ、社会性のある普遍的で大きなテ 1 マ、社会の 内側から社会そのものを変えてゆくような集団のクリエイティ ビティに興味があるの。 人から引き出すノウハウを教えてもらえませんか。 ボウリノできるだけ自由に、自発的に仕事をしてもらうこと。 そして逆説的であること。その仕事の価値や意味を問い続ける こと。不可能に思えてしまうようなことを提案して、オ 1 プン にフレキシプルにね。 1 2 3 ドラフトの宮田識さんを東京・恵比寿に訪ねる