職業倫理 - みる会図書館


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1. 超バカの壁

結局、その写真は公表されていません。そんなふうに腰が据わっていないカメラマン が公表できるはずもない。 結局彼が私に要求していたのは、「載せていい」と背中を押してくださいということ だったのだと思います。少なくとも彼はプロのカメラマンではないと思った。写真の専 尸学校ではそ、ついうこと、倫理を教えていないのだろうかとも思いました。 こういう職業倫理というものを日本はわりあいに軽視しています。かっては伝統的に 黙って伝承していたものです。そういう伝承も封建的といえばそれまでなのですが、民 主的な社会になってから、その倫理の伝承をなくしてしまった。 だから医者の倫理についても外野から言われるようになった。それも変な話です。医 師会は本来そういう倫理を自分たちで決める場所のはすです。医者ならこういうことは しちゃいけないよということを医者が集まって決めるのが本来の姿でしよう。ところが 医師会はそんなことについては触れません。臓器移植の是非という問題は本来は医師会 が決めていくべきことなのです。倫理が行動の規則だとしたら、職業倫理というのはあ 748

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いたからもう駄目だ、と言って断ればいいわけです。「これ以上は貸せない」の一言で 終わりです。 つかず離れずを実行するためには、そういう原則を自分で作らないといけません。結 局自分がしつかりしないと出来ない。しつかりするとい、つことが原則を作るとい、つこと です。それが実は倫理なのです。仕事に関わればそれが職業倫理ということになる。 職業倫理のない人 あるとき解剖を撮らせてくださいといってカメラマンが取材に来たことがありました。 撮影後、彼が、撮った写真を公表していいですかと聞いてきた。 題それで私が「遺族が文句を言ってきたときにはどうしますか」と尋ねると「社に帰っ 主意したのです。カメラで飯を食ってい 9 て相談します」と言いました。それで私は彼に、冫 . 間る身として、自分が撮った写真をどこでどういうふうに公表するかという原則は自分の 人 中にないのかと。その原則がないのならばプロではないと言ったのです。写真は撮った 7 けれども公表するしないについては皆と相談して決めましようでプロと言えるかと言っ

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10 人間関係の問題 る種のマニュアルです。 私が死体は生きている人と同じだろうと言ったときに、医学部の先生で、本気で悩ん でいた人は助かったと思います。もちろんそんなことを考えていない人は何も感じなか ったでしようが。原則を持つ、職業倫理を持っというのは大事なことなのです。 ノ 49

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7 金の問題 金で買えないものはないか金への恨み金で買えない死体研究は金で 買えるか 5 一 9 心の問題 心の傷は治すべきか震災と戦争のイライラする匂いヤコプ ソン器官連続殺人犯の脳 7 川人間関係の問題 なぜイライラする人が増えているのか老人文化の必要性つかず離れずが ファンレターの返事原則を持っ職業倫理のない人 5- システムの問題 活字離れは問題なのか ネットとメールも活字文化 テレビの影響力カ オス理論フラクタル理論結論は物差し次第わからないことの価値

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まり偉そうなお説教をしない仏教においても、不殺生の戒があるのです。 昨今は倫理問題と言われても、それこそ「いやらしい想像をするな」というような戒 めだと思われがちです。どちらかというと倫理や道徳というのはその手前の規制のよう に思われやすい。しかし異性を見ていやらしい想像をすることは、ある程度は仕方のな いことです。それをイエスのように、出口に到達するよりもはるか手前で規制しようと しても無理です。大切なのは実行に移さないことです。 九・一一テロで突っ込んでいったテロリストは、その抑制が完全に外れた状態にあり ひど ました。酷いことをしたと思いますが、ある意味でこれは、極めて人間的な行為です。 動物は普通そんなことはしません。元からそんなことをしてはいけないという抑制かか かっているからです。 抛「飛んで火に入る夏の虫」というけれども、その虫は間違って火の中に入っているだけ の です。危ないとわかっていて突っ込む虫はいません。完全に本能に逆らう自爆テロのよ ロ テ うな行為は極めて人間的な行為だということがおわかりになるでしよう。動物的感覚を 無視しているからこそ出来ることです。

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テロは倫理問題 出口のところでプレーキを踏む、コントロ ] ルするのは何でしようか。それが「倫 理」です。出口のところで行動を規制する。 イエス・キリストによれば、「汝姦淫するなかれ」という場合、「みだらな思いで他人 の妻を見る」ことだけでも「姦淫」にあたるとしています。これは出口よりも随分元へ 戻って感覚についてまでコントロールしようとしている。普通は倫理というのは「汝殺 すなかれ」というように行動を規制するものです。「汝殺すなかれ」のことを仏教でも ふせっしよう 「不殺生の戒」としています。この点ではキリスト教も仏教も同じです。 倫理というと、ついつい頭の中での抽象的な戒めだと思われるかもしれません。しか し実は出力Ⅱ行動の規制なのです。 つまり単純に言ってしまえば、テロというのは倫理問題なのです。「そういうことは しちゃいけないよ」ということをしている人たち、規制か利かない人たちがいる。それ は彼らには倫理がないからです。 倫理が大切だというのは人間社会で生きていくのにはわかり切った話です。だからあ

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世襲のすすめ そもそも仕事は世襲でもいいのです。世襲というものは一時期、悪の権化みたいに言 われていました。封建的だとか何だとかいう批判です。でも小泉純一郎首相も三代目で すが、世襲を理由にはあまり批判されません。 医者の世界でも三代目なんてケースは珍しくありません。要するに地盤、看板が必要 な職業は世襲にならざるをえない面があるのです。「先代が死んだからもう病院を閉め ます。さようなら」では、地域が困ります。世襲ならば設備などのハードの面をスムー ズに引き継げます。 その代わり子供が幼いときから職業のことをたたき込むのです。もしも子供がいない か、出来が悪ければ、外から才能のあるやつを引き抜いて養子にすればいい。 日本の社 抛会はそうして維持されてきたのです。ある時期までは養子縁組が非常に頻繁に行われて きら 者いました。忠臣蔵でなぜ上杉家が吉良家の助つ人で出てくるか。吉良の長男を上杉家が 若 養子にするといった縁があったからです。 ささめゆき むこ 谷崎潤一郎の『細雪』のように家に娘しかいなければ、出来のいい婿を連れてきて跡 2

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考えてみると、私も若いころはフリ】ターと大差なかった気もします。なぜなら二十 九歳まで給料というものを貰っていなかった。私だけが特別だったのではありません。 当時の医学部生はストレ】トで卒業して大学院を出てもそんなものでした。大学を二十 四歳で卒業した後に二十五歳でインタ】ンをやって、それから大学院生を四年やった。 その間給料は貰えません。 インターンは無給です。もちろん、その間の生活費を全部親がかりというのは、いく ら何でも無理です。それでアルバイトをして何とか過ごしていました。 最終的に医者になるというゴールは決まっているのですから、今のフリーターとまっ たく同じではないのでしよう。いわゆる苦学生とあまり変わらないかもしれません。そ れでもフリーター的な気持ちはわかるのです。なぜならそもそも私が医学部に行った理 抛由のひとつは、学生でいられる期間が長いからというものだったからです。 者当時はこういう考え方の持ち主を「モラトリアム人間」と言いました。『モラトリア おこのぎ 若 ム人間の時代』 ( 小此木啓吾著・中公文庫 ) という本がベストセラーにもなりました。私 にもそういうモラトリアムの気分、就職したくないという気持ちがたしかにあったので

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エコノミストの日下公人さんからこんな話を聞いたことがあります。戦前は旅館に泊 まっている客を巡査が見回りに来た。そこで宿帳の職業欄に「無職」と書く客がいるの を見ると巡査は「きようは客種がいいな」と言っていたそうです。今ならば無職は屋し まれるところですが、当時は働かなくても食べられるような人は地主のような大金持ち だというのが常識だったからです。 そう考えると「国民皆労働」が常識になったのは戦争のせいではないかと思います。 今は豊かになったから、ある程度の人数が働かないで済むようになったのです。 「自分に合った仕事」なんかない もっとも、ニートやフリーターの人が幸せかどうか、それは別の問題です。 どうも現状に満足しておらず、何かを求めている人が多いらしい。それで調査をする と、働かないのは「自分に合った仕事を探しているから」という理由を挙げる人が一番 タタいとい、つ これがおかしい。二十歳やそこらで自分なんかわかるはずがありません。中身は、空

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の分布の中のいい線に女の人がいて真ん中におさまっていると言ってもいいでしよう。 政治家の夜 政治家というのは基本的には男性的な職業です。そのなかでも小泉首相は極端な人で すから、ものすごく男性的だと言ってもいいかもしれません。 政治家は選挙中に子供を作っていることが多いそうです。それは要するにギャンプル 性が高い行為に興奮しているからです。横山ノック前大阪府知事が選挙中に強制わいせ つ事件を起こしたのもその意味ではわかります。選挙とはああいうものなのです。 ) 、 こととは一一 = ロいませんが。 選挙はお祭りだといいますが、まさにお祭りの夜の男女みたいになっているのです。 お祭りの夜は非日常的な頭になって興奮状態にある。 政治家に女性問題がっきものになるのもそれが理由です。それを昔は格好よく「英雄 色を好む」と言っていたわけです。権力を追求するという行為自体がテストステロンと いう男性ホルモンの作用ではないかという気がします。多少の例外はあるにせよ、女性