7 一 - お酒でウサを晴らすのは逆効果 法 省 「グチでストレスを晴らす」のは、許容範囲としましよう。しかし、「お酒でブ ウサを晴らす」のは、やめるべきです。お酒は、食事や会話をスムーズに楽しテ くするための、補助嗜好品と考えましよう。 お酒、すなわちアルコ 1 ルは、ご存じのように飲みすぎてしまうと、大脳全き 体の抑制力、いわば「慎む力」「辛抱する力」を、奪ってしまいます具体的長 には、人間の倫理感情を統制する前頭葉の機能が徐々にマヒしてしまい、言動も っ や行動がおかしくなってきます。 もちろん、陽気で楽しくなる作用が、お酒にはあります。人間の「快楽、をン つかさどるのは、ド ーパミンか適度には ーパミンという神経伝達物質です。ド たらくならば人間のやる気を出すためには効果的なのですが、過剰にはたらく と快楽なしではやっていけなくなってしまい、依存症などの原因になります。 第 7 章 227
したがって、人間には、ドー ハミンのはたらきすぎを抑える機能かあります。 アルコールは、ドーヾ ノミンを抑えるブレーキを、効かなくさせてしまうので す。プレーキを壊してしまうのですから、アルコールは非常に危険な物質とも 言えるのです。 ストレスも悩みもなく、幸せいつばいに生きている人ならば、上機嫌で楽し く酔えるでしよう。問題は、ストレスと不満と怒りが充満している人が、お酒 を飲みすぎてしまった場合です。 怒りや不平不満でいつばいのときにお酒が入ると、平素の前頭葉の抑えが効 かなくなって、ド ーパミンの「プレーキ」も壊れてしまい、一気に暴発してし まう危険性が高まるのです。 ママママ▽酔っ払って「記憶をなくす」メカニスムとは ? △△△△△ お酒でさらに布いのは、記意が飛んでしまうことです。泥酔したあげく、何 をしたかまったく覚えていないという経験、ありませんでしようか アルコールの影響で、一時的に記億がなくなってしまうことを専門用語で 228
多くて、テンパってるな」と思ったら。お酒の飲みすぎには十分注意しましょ う。宴席から早く脱出する、途中で水をたくさん飲むなど、具体的な対策を練 っておくことです。 亠 = 0 長か なん ) ーフ ゐあ 5 0 0 0 230
章 7 テンバっても成長できる「ポジテイプ反省法」 第 1 テンパる経験も貴重な財産 : 2 反省には、必す褒美を混せる・ 3 「テンパりやすい状況リスト」を作る・ 4 万が一キレてしまったら、すぐ謝る・ 5 自分がテンバってかけた迷惑には、謝罪と感謝を・ 6 キレてしまって後悔したときには ? 7 お酒でウサを晴らすのは逆効果 8 「イヤなことは寝て忘れる」を実践する・ 本文イラスト〕安ケ平正哉
朝の準備は 「前日の夜」に済ませておく さんは日曜日に、子どもの野球大会で息子といっしょに張り切ってしまい ました。さらに、試合後に父兄会で焼肉会があり、ビールも飲んですっかりで きあがってしまい、家に帰ってすぐに眠ってしまいました。 月曜日の朝、さんが、「テンバった」状態で一日をスタートしたのは言う までもありません。なんとかギリギリ会社に間に合う時刻には起床したのです が、出勤準備がほとんどできていませんでした。 「今日は寒いの ? 何を着ていこうかー 「午後からのプレゼンの資料、どのカバンに入れたつけ 「忘れものは、大丈夫かな」 と、ややお酒が残った重い頭で急いで身支度をして、慌ただしく出勤してい きました。しかし、忘れ物が一つありました。傘です。どのテレビ局の天気予 1 24
「テンパってーしまい、上司に怒られた。プレゼンで「テンパって」しまい、 恥をかいたなど、ついていない日というものはあるものです。べッドに入って 法 からも「しまった : : : 」とクョクョ学々んこんでしま、つこともあるでしよ、つ。 省 反 しかし、食べ物と同じで、イヤな記憶も脳で消化されると考えてください。 イ テ 胃は胃液で食べ物を消化します。イヤな記憶は、睡眠で消化されると思ってく ポ ださい。 そのためには、良い睡眠が重要です。寝る前までネット三味、あるいはこれき から寝るというときにお菓子を食べてしまう、夜遅くまでお酒を飲んでいるな長 成 も ど、睡眠を浅くする生活習慣を控えるべきでしよう。 て っ 睡眠をとってリフレッシュした翌朝の脳は、前の日ほどクョクョした受け止 ン め方をしなくなっています。「イヤなことは寝て忘れーて、「テンパりにくいー だけでなく 、ハッピーな人生観を持っていきたいですね。 「テンパりーやすくなってくるとも一言えるのです。 第 7 章 233
ンをたたき壊してしまった、など。いろいろな行動パタ 1 ンがあると思います が、衝動性のコントロールには結果的に失敗しています。 思い当たる節が多い人は、自分は衝動性が強いと自覚するべきでしよう。思 が、い、行動力があるなどと勘違いしてはいけません。今まではなんと かうまく乗り切ってきたのかもしれませんが、一つの「キレてしまう」行動 が、社会的な命取りになりかねません。 の う ま マ↓↓睡眠不足とお酒は、衝動性を助長する△△△△△ し 「テンパって」しまい、脳が興奮状態にあるときは、ノルアドレナリンも高まっ ン っていることは説明しました。このノルアドレナリンは、央楽物質であるドー ハミンと、密接に連動しています。 ーパミン系のネットワークか、ど、つやら強く関わっているよぜ 衝一里性には、「 うです。バンダ 1 ビルト大学のグル 1 プが、 2 010 年の『サイエンス』誌 に、人間の衝動性の違いは、ドー ハミン神経の違いであるという結果を報告し ました。 第 2 章
です。計画的ではなく、衝動的であることが多いのですが、突発的・衝動的と いっても、なにかしらの伏線があることが多いもの。 会社で不愉快なことを引きすって、ヤケ酒を飲んだあとの帰り道で、ちょっ としたことで駅員さんや店員さんにキレてしまう事件も、あとを絶ちません。 暴力行為にまで至った人は、警察のお世話になります。事情聴取では、「どうま し してあんなこと言ってしまったんだろう」と、殊勝に反省する人が多いそうでて し す。 し 警察の厄介になってしまっては、自分が後悔するのはもちろんですが、家族無 台 や同僚にもたいへんな迷惑をかけてしまいます。キレそうなそのときに、「冷を 静な自分 , のコントロール指令を届けられれば、防げたはすの事件が実に多い と のではないでしようか る ン マ▽マ「良いテンバり」への変換方法を習得するのが近道△△△△△ コントロールを失ってしまう前に、なんとか手を打っておく必要がありま す。「テンパり」をたちどころに消してしまう技術がいちばん役に立つのでし 第 1 章
「ブラックアウト」と言います。もともと停電の意味ですが、アルコ 1 ルによ る記意喪失のことを指すよ、つになりました。 人間の短期記憶は、脳の海馬という貯蔵庫に蓄えられます。海馬は、グルタ 去 省 ミン酸というアミノ酸を介して、記億情報の伝達を行っています。アルコール は、グルタミン酸の受け取り役である「 z#< 受容体」のはたらきを、低下ブ イ させてしまうのです。 「受容体」は、その場限りで忘れやすい短期記憶を、中期、長期記憶は に変換する作用も持ち合わせています。いわば記憶を固定するプロセスが、おき 長 酒によって妨害されるわけです。 酔っ払いによる、タクシーの運転手さんや駅員さんへの暴力行為があとを絶も っ ちませんが、警察署で「記億にない」と言うのは、まんざらウソではないこと ン も多いのです。しかし、泥酔するまで飲んでしまったのは、やはり自分自身の 責任です。 「キレてしまった」背景には、普段からあれこれと「テンパっている」ことが あったのかもしれません。完全禁酒とまでは言いませんが、「最近ストレスが 第 7 章 229
ポジトロンを人間に応用した実験です。結果として、衝動性の強い人ほ ど、中脳のド ーパミン受容体 ( 詳しくは / ) が少なく、線条体でのド ーパミン放出が多かったのです。ド 1 パミン又容体か少ないとい、つことは、ド はた、らき一にノい ーパミンのはたらきすぎを抑えるネガテイプコントロールが、 ことが考えられます。 日本では考えづらいのですが、実験には覚醒剤であるアンフエタミンも使わ れました。衝動性の強い人は、違法ドラッグに手を出しやすいとも考察してい ます。 ーパミンの複雑なメカニズムがあるのです。 衝動性のウラには、脳のド 逆に、自分の衝動性コントロ 1 ルは大丈夫だと油断している人にも、警告を 与えておきます。それだけ毎日我慢を重ねている証拠でもあるわけです。特に こういう人は、衝動性を助長する睡眠不足とお酒は要注意です。睡眠不足とア かくらん ルコールは、脳のド ーパミン系を攪乱させ、衝動性の嵐を巻き起こすことにな らないとも限らないのです。