テンバり続けると、 パフォーマンスが下がる 仕事には適度な緊張、この本で言うところの「 いいテンパりーか必要です。 のんべんだらりとしていては、、、 しし仕事はできません。 ただ、「テンパる」状態が長く続いてしまうと、パフォーマンスが逆に低下 して、「キレるー危険性が上がってしまいます。 脳内の神経伝達物質の点から、「テンパり 続けるダメージについてお話し しましよう。神経伝達物質の中では、、つつや不安に関係するセロトニンが有名 ですが、「テンパりーが関わるのはノルアドレナリンです。 ノルアドレナリンは、血圧や脈拍を上げるアドレナリンの元となる物質で、 アドレナリンよりも脳神経に多く分布しています。ノルアドレナリンのはたら きを簡単に言うと、生命の危機や不快な状態に対処することです。 いまにも噛みつきそうな猛大にいきなり出くわして吠えられたら、逃げるか
も、風評被害を発生させるおそれのある報道には慎重になります。「ゼロリス ク」という幻想のせいで、適切な情報が行き渡らなくなります。情報への不信 感が、人々の不安と不信感をさらにかきたてる、という悪循環に陥っていまし た。のパニック騒ぎを、社会病理から捉えた池田先生の観察は、炯眼だ 法 る と思います・。 て 育 ↓マ↓「ゼロリスク探求症候群」による集団的なテンバり状態△△△△△ っ はいつのまにかうやむやになりましたが、 2011 年 3 月Ⅱ日以降のを 格 日本が、問題以上に深刻な「ゼロリスク、問題を抱えています。がれき 人 な の処理や電力問題など、東日本大震災、福島原発事故関連のイシュ 1 です。 ら どの問題も本質的に「リスク」を伴います。トレードオフの項目でもお話し ン テ しましたが、 「リスク」がゼロになることは、現実的にありえないのです。 しかし、人々は損な目にあうこと、自分に危害が及ぶことには、とても敏感 です。したがって、「危険性が 0 % でないと受け入れられない」という極論に なってしまいます。 けいがん 第 5 章 171
テンバると 「人生を台無し」に してしまう ! 3 その「危険性」と「ダメージ」
したがって、人間には、ドー ハミンのはたらきすぎを抑える機能かあります。 アルコールは、ドーヾ ノミンを抑えるブレーキを、効かなくさせてしまうので す。プレーキを壊してしまうのですから、アルコールは非常に危険な物質とも 言えるのです。 ストレスも悩みもなく、幸せいつばいに生きている人ならば、上機嫌で楽し く酔えるでしよう。問題は、ストレスと不満と怒りが充満している人が、お酒 を飲みすぎてしまった場合です。 怒りや不平不満でいつばいのときにお酒が入ると、平素の前頭葉の抑えが効 かなくなって、ド ーパミンの「プレーキ」も壊れてしまい、一気に暴発してし まう危険性が高まるのです。 ママママ▽酔っ払って「記憶をなくす」メカニスムとは ? △△△△△ お酒でさらに布いのは、記意が飛んでしまうことです。泥酔したあげく、何 をしたかまったく覚えていないという経験、ありませんでしようか アルコールの影響で、一時的に記億がなくなってしまうことを専門用語で 228
になり、 2000 年頃から後者の「目一杯の状態になる」が「余裕がなくな る」という悪い意味を持ち、「あわてて動揺するー「切羽詰まった状態になる」 などの意味に使われるようになりました。 「もういつはいいつはいた ! 」というこころの悲鳴とも一言えます。 マージャンをやったことのある人ならばわかるでしようが、「聴牌 ( テンパ イ ) ーは役ができてあがれる一歩手前ですが、逆に他人に「ロン ! 」とあがり の を与える危険な状態の一歩手前でもあります。このときにほかの人があがれそ う うな「危険牌ーをひいてしまうと、自分のテンパイを崩してしまうか、他人にし て っ あがられるのを覚悟で危険牌をきるしかありません。 他人にあがられる、すなわちロンされてしまったときが、「キレて怒り爆ン 発ーということでしようか。これが、現代語「テンパるーの定義のようです。 このように「テンパる」とは、精神的に抜き差しならない状態、一触即発のぜ 状態と解釈してよさそうです。 2000 年頃からこの用語はあると書きました が、川年以上経った現在でも十分通用していて、一般語になってきた感もあり ます。
テンバっているのに 気がっかない危険 自分が「テンパって」いるとい、つことを意識できるときは、コントロール可 能であるということです。危険な状態は、自分が「テンパって」いることに気 がっかないことです。 自分の特徴というものは、自分が思っているほど熟知しているわけではあり ません。自分の都合のいい目線で、自分を評価していることがほとんどです。 怒りつほい人が、自らのことを怒りつほくて怖い人間だと、あまり思っていな いよ、つに、です % 「病識」という用語があります。こころの病気の人が、自分のことを「病気」 であると認識する能力のことを言います。たとえば「隣の人が嫌がらせのため に盗聴器を仕掛けている」「あいつがネットでわたしのことを中傷している」 といった被害妄想を持った人の場合は、基本的に病識はありません。「そんな
章 1 テンバると「人生を台無し」にしてしまう ! 第 まえがき 1 「テンパっている人」が急増している理由 2 今の若者はテンパりやすいのか ? 3 「良いテンバり」と「悪いテンハり」 4 「テンパる」は「キレる」黄色信号・ 5 長年続けた努力も、一瞬の「テンパり」で水の泡・ 6 テンパり続けると、パフォーマンスが下がる・ その「危険性」と「ダメージ」 36 31 28 24 20 1 6
7 「慢性的なテンパり」は、うつにつながる・ 8 テンハっているのに気がっかない危険 章 2 なせ人は「テンバってしまう」のか ? 第 1 「テンパる」とはどういうメカニズムか・ 2 「テンパりやすい性格」は遺伝するか ? 3 テンハるとは、「こころの視野狭窄」のこと・ 4 「頭が真っ白」は、ワーキングメモリの問題です・ 5 突然キレる人には「衝動性」が潜んでいる・ 6 脳のアラーム「扁桃体」の鳴りすぎでテンパる・ その「科学的メカニズム」 69 66 62 58 54 50 44 40
す。 アーモンドの種子に似た形をしている扁桃体は、生命の維持には欠かせない 脳の部分です。危険な場面に直面したときに、向き合うか逃げ出すか、いわゆ る「闘争か逃走か」という反応の中心なのです。脳の警報、アラームを担当し ていると言えば、わかりやすいかもしれません。 動物実験でサルの扁桃体を切除すると、そのサルは恐怖をまったく感じませ ん。毒ヘビなど自分の天敵にヒョコヒョコと近づいていってしまいます。人間 でも、脳腫瘍などの影響で扁桃体にダメージを受けた人は、恐怖を感じなくな ります。扁桃体がちゃんと機能しているからこそ、私たちは噛みつきそうな猛 大を怖がるわけです。噛まれてはじめて危険に気づくような鈍感な生物は、自 然淘汰の中で絶滅していったことでしよう。 △△△△△ ↓マ↓扁桃体のアラームをオフにする鍵 しかし、扁桃体のはたらきすぎは、「テンパる」原因になります。扁桃体 も、ノルアドレナリンなどの緊張をつかさどる物質が強くはたらく脳部位で
2 一 - 「一時戦線離脱」をはかる 古代ギリシャの著述家プルタルコスは、著書『怒らないことについて』の中 で、こう記しています。 「泰然自若としていること、それが無理なら静かなところに逃れてそこで休む こと どうしても落ち着いていられなくなって「テンパって」しまうようならば、 現場をいったん離脱して一休みするのが、今も昔も良策のようです。 まじめな日本人は、修羅場でもなんとか踏みとどまって解決を、と考えがち です。半泣きになっても、なんとかまとめようというところに、まじめな国民 性か、つかか、んます。 しかし、無理に踏みとどまってあがいていると、かえって感情がエスカレー トし、自分ではど、つしよ、つもない危険な状態に陥ることもあります。自分はな