働き - みる会図書館


検索対象: セルフコントロール
36件見つかりました。

1. セルフコントロール

・章扉イラスト " 渡辺冨士雄 ト・ハック法の練習方法 〔・ハイオフィ ードバックはセルフコントロールか〕 コントロール方法の不明確さ / 強化刺激と自律反応 / 強化刺激の意 味と方向性 / 意図的関与の効果 / フィード・ハッグ情報の働き 第 6 章ー自己弛緩訓練法 : ・ 筋弛緩法と自律訓練法 / 筋緩と心的弛緩の融合 / 自己弛緩訓練の 進め方 / 訓練時間と回数 〔弛緩訓練をめぐる諸問題〕 不安解消のメカニズム / 拮抗制止としての弛緩 / 弛緩と心的ストラ ティジ 亠めとがき 9 165

2. セルフコントロール

重要な番人である。 ところが、こんなに重要な働きをする神経であるのに、この神経の働きをわれわれは直接意 識して、さまざまな働きをするよう命じることができない。自分の心臓を速くしようと努力し てもまず不可能である。お腹の調子が悪いので、お腹の付近にある血管を広げて、血液量を多 あたた くし、温めようとしても、これもまずできない。冷や汗などかこうとしても、かけるものではな いが、教室で思いがけないときに当てられたり、そっとするようなことに出くわせば、冷や汗 が出ないように努めても自然に出てしまう。 その上、自律神経の働きそのものにはちっとも気づかない。人前で失敗をしたり、身の毛の よだっ思いをしたりすると、自律神経の働きで、血管が収縮し、血液量が減少する。そのため、 毛穴が収縮して、そのあと冷ややかな感じと、毛穴が狭くなった知覚が身の毛がよだっと感ず るのである。いずれにしても、われわれは自分の意志で、自律神経の働きをコントロールする ことができないのと同時に、自律神経の働きそのものを直接意識することができないのである。 その上、感情や情緒の大部分は、意識でコントロールできない自律神経と密接に関係してい ることが、いろいろな研究から確かめられている。心に悩みや葛藤がある人、あるいはノイロ ーゼになっている人は、不安や恐怖が強く、緊張が高いこともよく知られている。それゆえ、 なか

3. セルフコントロール

業であった。 今は昔話になってしまったが、心身症の研究が十分なされていなかった頃、手や足の運動麻 痺を主な症状とする、いわゆるヒステリー症状は、中年婦人の性の欲求不満から起こるといわ れていた。しかし、近頃こうした心身症状は、老若男女、ほとんどの人にみられることが明らか になってきた。その結果、心と身体は、切り離せない強い絆で結ばれ、因果の関係が支配して いることもわかってきた。 また、心身の相関関係はヒステリーなどにみられるだけではない。学校、職場、家庭など、 あらゆる社会生活の中で体験する心のひずみが、悩み、不安、恐れ、あつれき、葛藤という形 にまで発展すると、身体症状に転換し、先に述べたようなさまざまな症状を呈することが明ら かにされている。 無意識の噴出 古代ギリシアの学問の祖アリストテレスは、心と身体は別々のものではなく、両者は密接に 統合された一つの統一体であって、その働きが外に表われたときの両面であると考えた。しか し、ギリシアの学問が中世の神のべールに隠されてしまい、近世になって医学、生理学の研究 59 心と体のコントロール

4. セルフコントロール

くストレス型 > 心理的ストレス ・心の疲れ ・騒音 ・悩み ・睡眠不足 身体症状 ・胃潰瘍 ・胃下垂 ・頭痛 ・車酔い くコンプレックス型〉 ようになる心の働きに必然性があると考えた。 こうした心の働きもたいていは、「こわい」「憎 い」「嫌い」「許すことができない」などの感情 状や情緒的内容を含んでいるため、かえって意識 体しない心の部分に追いやられ、ときどきひょっ らとした機会に、その働きが身体症状や心の異常 ス状態となって顔を出す。 ッフロイトは、強い欲求をもっても、社会がそ プの欲求満足行動を許さないときは、その欲求は コ無意識の世界に追いやられると主張した。しか ス 求 ス レ し、この欲求は休火山みたいなもので、何かの ク ッ きっかけで、ときどき噴き出し、特別な身体症 満なス プ不れ足外 状に形を変えて現われると考えた。 求さ満の ン 欲許の心 コ 0 しかし、心と身体の関係はこのような欲求不 満の現われとしてだけではなく、心理的ストレ 身体症状 ・手足のマヒ・ ・偏頭痛 ・扁桃腺がはれる ・起立性失調症 ・おねしょ ・チック症状 61 心と体のコントロール

5. セルフコントロール

ス、単純な悩み、心の疲労などによっても引き起こされることは、胃潰瘍や種々の恐怖症など の臨床的研究から認められている。 それを図示すると、前ページの表のようになる。 意志てコントロールてきない自律神経の働き 外から、有害な刺激が肉体に加えられると、肉体が損傷するだけではない。身体中に張りめぐ らされている神経網を通じて、心の障害や病気を引き起こす。最近の心身症の研究はますます その領域を広げ、どんな刺激がどんな心の障害を起こし、どんな心の障害がどんな身体の病気 を引き起こすかについても、そのべールを開きつつある。 心身症のうちでも、特異な障害に自律神経失調症というのがある。 ところで自律神経とはどんな神経であろうか。 図からもわかるように、自律神経は心臓、肺、胃、腸、消化腺、腎臓、膀胱など、消化器 官、循環器官のほとんどに関係し、これらの器官を効率よく働かせ、また、各器官の間の調整 をはかっている。この図には出ていないが、体温や発汗、血管の拡張、縮小にも関係し、それ らをコントロールする働きをしている。いわば、人の生命を維持し、新陳代謝を適切に行なう

6. セルフコントロール

が生じる。これがジェームス・ランゲ説で、一九世紀終わりから二〇世紀初頭にかけて一般に 受け入れられた。 この説は、ニ = ースを大脳が知識としてキャッチすることより、その結果起こる身体器官の 変化の認知こそ、感情の体験の本質であることを強調している。このため「悲しいニースを 聞いたから悲しいのではなく、涙を流すから悲しいのだ」という、実に逆説的なたとえ話とし て知られることになった。「涙を流すから悲しいのだ」という前の「悲しいニュースを知覚し て、その結果起こる」という部分が欠けたまま、後半の部分のみが人々のロにのばったため、 まったく常識からはずれ、ダジャレのように思われて、その後人々から忘れられてしまった。 もっとも、ジェームス・ランゲ説が棄てられたのは、事実は、キヤノンという有名な生理学 者が、このジェームス・ランゲ説の感情の働きの中枢を、間脳あるいは視床の働きによって、 大変巧みに説明しなおしたためであった。 しかし、このジェームス・ランゲ説は必ずしも真実でないとして放棄されるどころか、近年 改めて見なおされ、新たに名誉回復されたのは、運命の皮肉といえる。 この名誉回復に一役買ったのが、パイオフィード・ハック説である。 136

7. セルフコントロール

IOO 心の緊張度 不快感評定 フィード・ハック効果は暗示効果 ところで、こうしたパイオフィード・ハックの説と、自 己暗示とを結びつける有力な考え方や研究結果が、最 近、現われた。この考え方によると、暗示効果は、・ハイ 快オフィードバッグ技法における生理的指標の認知の働き と以上に重要な役割を果たしていることがわかった。 それは、先に述べた心理的状態↓生理的状態の変化↓ ププププ 検出↓信号↓認知という経路の中で、この心理状態から 法 ググググ イ認知までの経路が、自己暗示によってほとんど置き換え贓 群群群群 ー 2 2 Ⅲ過のられるのではないかという考え方である。 釜音 9 もちろん生理的状態の変化が重要な働きをしているこ とは相違ないが、極端にいえば、自分がそう思い込み、確 信すれば、それに応じた生理的変化をも生じるという考オ えで、それを証明する実験事実も多く現われている。本 人の生体変化の情報でなく偽の生体情報を本人のものと 」 A ー B

8. セルフコントロール

矯正が専門化しているため、そこにはメリットとデメリットがある。交通の不便をおして遠い 病院に行かねばならないし、ぶらりと門をくぐることもできない。事前に約東しなければなら ない。薬物の服用だけでは、心理的な悩みや葛藤を治療することはできないことが多い。ま た、長い時間を要するカウンセリングや心理相談 こ応ずる精神科医やサイコロジストもそう多 くはない。時間をかけると、その費用も想像を絶する額となることが指摘されている。 このような背景を考えてみると、セルフコントロール法が受け入れられる現状がよく理解さ れる。 さらに、セルフコントロール法は、障害に陥らないよう、病気にならないよう、日頃、、い身 の健康を保っための具体的な予防的処置としても十分に利用できる。 自己治療のすすめ 心の病気の治療は生傷の手当や鼻炎、チフスの治療とは異なる。心は、意識していることか ら始まって、手を動かしたり、笑ったり、怒ったり、走ったりする働きの中核で、心身の中枢 管理センターである。この中枢管理の働きが鈍ったのが心の障害である。 心の悩みや葛藤の苦しみは、他人の慰めのことばで、すぐ消えたり、薬を服用してただちに 71 心と体のコントロール

9. セルフコントロール

元来、外からの視覚刺激は私たちの脳を活発化させる働きをもっているが、そのことは同時 に興奮状態をひき起こし、感情的、情緒的には不安定さをもたらすことになる。 それゆえ、眼をつぶって何も見えないということは、感覚的な働きが不活発になることだ け・にとどきらない。 心の感情的動揺をまず防ぎ、心理的安定感を増すことになる。その上、身 体を楽にした状態で、あまり身体を揺り動かさないならば、外界からの刺激は音だけである。 そこで、激しい騒音をしゃ断すると、心に平静さがもどり、感情に安らぎの状態が現われるの も、まったく論理的でもっともなことである。 心身のリラグセイションを十分行ない、筋の緊張が気になったり、注意がそちらに向くこと がないようにする。また、身体の一部に痛さやカュミなどがないよう、練習前に調整する。 瞑想練習はまず基礎練習から入る。ただし、重・温感などの試行を各ステップごとに分けて 行なわない。全体の練習過程の中で、各基礎練習試行を行なう。 法 基礎練習の終了後、特定の感覚にこだわらず、またイメージなどを用いないで、身体全体へ 示 の注意に切り換える。やや意識水準が下がるがそれでよい。拍動も平静になり、呼吸も吸気が暗 己 自 大きくなり、ゆっくりした呼吸となる。身体の特定の場所からの刺激もなくなり、身体全体が 安静化、安定化した状態になる。何かのイメージが浮かんでも、それにこだわらないで、浮遊盟

10. セルフコントロール

が盛んになり、身体の構造や機能が明らかになるまで、心と身体は別のものであるとみる二元 論の立場が強かった。 有名なフランスの哲学者デカルトは二元論の代表的主唱者であった。身体の生理機能は消滅 しても、心は肉体から離れて他の場所に移動し、消滅することはないと主張した。そして、身 体が生き続ける限り、心は脳の前頭部、あるいは心臓にその座を宿しているといった。その後、 自然科学の急速な発展によって、身体や心の機能について多くの知見が発表されることになっ たが、それでも一九世紀まで、心と身体の関係は神秘的な要素を含んでいた。 一九世紀の終わりから二〇世紀の初め頃、一方は心を自然科学の対象とし、他方は心の非合 理的な面を無意識という武器を用い、それで神秘的な心の・ヘールをはがそうとした卓越した二 人の研究者が現われた。前者が実験心理学の礎を築いたドイツの心理学者ヴントであり、後者 が精神分析を創始したウィーンの精神科医フロイトである。 そじよう とくにフロイトは、自然科学的に心を学問の俎上にのせるヴントの実験心理学的方法に対 し、意識しえない心の働きを重視すべきであるとして、その働きを明らかにするのに心の表面 的活動たけから法則性をみる自然科学的方法にまっこうから反対した。 日常生活にみられる言い間違い、やり損いなども、それは単に偶然のミスではなく、その