生体 - みる会図書館


検索対象: セルフコントロール
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1. セルフコントロール

応、不随意反応に影響し、身体的弛緩から心理的弛緩をもたらす。 弛緩訓練をしているとき現われる生体反応、心理生理反応を外的感覚刺激として被験体に フィードバッグし、生体が認知するとき、このフィード・ハッグがさらに被験体の心身反応の制 御に影響をもたらす。これが・ハイオフィード・ハッグの一般的考え方である。自己の生体反応の 情報が自分にフィード・ハッグされるという点では、外から新しい刺激や情報が入力されるので はない。自分の意図によって産出された情報が、外的な情報伝達機構によって自分にフィー ・ハッグされたにすぎない。 これを一般化して図示すると、八五ページのようになる。 この図は、自己の意図や意志が自己確信を経て、神経系に影響し、心身反応の変化をもたら す機能を示している。 セルフコントロールは、自分の意図によって自らの心身反応やイメージ、感情状態をある方一 向に導き出し、それがさらに、ある望ましい心理状態を誘起させる制御過程、やさしくいえ ば、訓練・練習過程である。もちろん、この全体過程の中では若干の差違はあるものの、全体 的には一貫した過程である。 セルフコントロールの実際の訓練法は多くあるが、行動療法に裏打ちされ、かっ筆者が臨床 87 セルフコントロルとは

2. セルフコントロール

い浮かべたりする、いわゆる意図的関与をし、心的ストラティジを用いた場合には、生体の反 応がフィードバッグされれば、い拍増加がいちじるしく起こるが、フィードバックなくしても生 じることが確証された。 フィード・ハック情報の働き ところで、今までの研究では、・、 ノイオフィード・ハッグが効果があるのは、自分の生体反応が 内受容性認知が起こると同時に、生体反応が外的な感覚信号に変換され、本人に感覚信号とし て認知されることが必須条件とされてきた。したがって、自分の生体反応がフィードバッグさ れないか、無関係な情報、偽の情報がフィードバックされても、生体反応を変化させる効果は贓 ないとされている。それは、外から受ける生体反応情報とわれわれの生体の中で脳に伝えられ る内受容性のフィードバッグ情報とが一致しないために、生体反応を変化させることができな いと説明されてきた。 これに対し、べィリンズは偽の情報をフィ ード・ハッグして、偽の情報の方向に生体反応を変 容することを実証したが、理論的にはこれについて明らかにしていない。沢崎らはべィリンズ とほぼ同じ実験手続きで心拍の偽のフィードバッグ情報を被験者に与え、被験者はそれが自分 161 パイオフィ

3. セルフコントロール

の生体反応だと自己確信すれば、その情報の元になった刺激に対する認知が変わることを明ら かにした。さらにこの手続きで、真・偽の生体情報をフィード・ハックしたときの容積脈波を測 定すると、フィード・ハックされる生体反応情報が心拍増加音で、その上、その心拍音が自分の ものであると教示された実験群は、それは意味のない音だと教示された統制群に対し、いちじ るしい振幅の減少を示した。偽の外的情報の方向に生体反応が変わったのである。 この実験結果から二つのことが結論される。一つはフィード・ハッグされる外的情報が客観的 には偽の情報でも、真の情報だと自己確信すれば、それは意図的関与の働きをし、客観的に真 の刺激とまったく同じような情動反応を引き起こす。第二には、生体反応の外受容性認知と内 受容性認知とが一致してフィードバックされることはパイオフィード・ハッグ効果の必要条件で はないということである。 自己暗示、禅、自己弛緩法などの実践研究からもわかるように、生体のフィードバック情報 は、ある一定方向への生体反応の変容に対し、促進的効果要因になるにすぎない。むしろ、被 験体の内的制御能力、意図的関与が心身反応の制御に、より顕著な効果をもっていることが明 らかにされた。 ノーリスらの脳波の変容の研究、シュワルツ、シャビロらの一連の研究は、被験者の意図や 162

4. セルフコントロール

間のある特定の条件下の実験を除いて、一般的にいえば、人間の自律反応あるいは不随意反応 のパイオフィードバッグによる行動変容では、①心的ストラティジが必要であること、②フィ ード・ハッグ情報ないし、強化刺激について被験者はその意味、方向性を知っていること、③動 機づけ要因、教示は行動変容にはパイオフィード・ハック情報と相乗効果がある点を明らかにし ている。 意図的関与の効果 行動療法の実践で、四肢の力を抜く、呼吸調整をする、イメージを思い浮かべるなどは自分 の意図や意志で随意的に制御できる機能である。また、受動的注意集中、四肢の重感、温感な どの自己確信、自己暗示は、自律反応や脳波などの不随意反応に変化をひき起こす。この際、 生体の変化は外受容性感覚情報信号に変換され、生体にフィード・ハッグされる。 それでは、く ノイオフィード・ハック技法では、生体の意志、意図、自己確信などの心的ストラ ティジはどんな役割を果たしているか、生体反応の外的フィードバッグは、パイオフィー クの効果にとって必要条件であるか。筆者がすでに指摘しているように、人間の・ハイオフィー ド・ハッグは、動物の自律反応のオペラント条件づけほど、簡単なメカニズムでは説明できない

5. セルフコントロール

拍 / 分 ・一・教示十フィードバック 0- ー -0 教示のみ △ー・一△フィードバックのみ 十 十 十 0 十 心拍の増減 0 ー 2 3 4 5 ー 2 3 4 5 行 試 セッション I し、それとは異なったメカニズムによって、生 じるのではないかという証拠がある。 ミラーらの自律反応のオペラント条件づけの 研究は大部分、動物を被験体としている。動物 ン の研究は、心的ストラティジが強く働く人間の ョ シ場合の・ハイオフィードバッグの研究と同一の次 セ実元で比較したり、論じたりすることには元来な 増じまない。また、生体反応のフィード・ハッグ情 舶報刺激自体、動物にとっては単純な強化刺激、 報酬の役割を持っ必要があるのに、人間では二 次的強化刺激であれば十分であることが多い。 あるいはパンデュラがいう予期的強化刺激で あっても、また教示、あるいは動機づけの教示 だけでもパイオフィードバックへの効果が確か められている。その上、生体反応の結果の情報 159 パイオフィ ードバック訓練法

6. セルフコントロール

IOO 心の緊張度 不快感評定 フィード・ハック効果は暗示効果 ところで、こうしたパイオフィード・ハックの説と、自 己暗示とを結びつける有力な考え方や研究結果が、最 近、現われた。この考え方によると、暗示効果は、・ハイ 快オフィードバッグ技法における生理的指標の認知の働き と以上に重要な役割を果たしていることがわかった。 それは、先に述べた心理的状態↓生理的状態の変化↓ ププププ 検出↓信号↓認知という経路の中で、この心理状態から 法 ググググ イ認知までの経路が、自己暗示によってほとんど置き換え贓 群群群群 ー 2 2 Ⅲ過のられるのではないかという考え方である。 釜音 9 もちろん生理的状態の変化が重要な働きをしているこ とは相違ないが、極端にいえば、自分がそう思い込み、確 信すれば、それに応じた生理的変化をも生じるという考オ えで、それを証明する実験事実も多く現われている。本 人の生体変化の情報でなく偽の生体情報を本人のものと 」 A ー B

7. セルフコントロール

ントロールさせるしかたを学び、それによって最終的には被験者は自分自身の生理過程のコン トロール方法を獲得する。 たとえば、血圧の高いグライエントが、薬物や注射の助けを借りないで、自らのカで血圧を 下げようとする場合の手続きは、まず、このグライエントの血圧を血圧計を用いて測定し、プ ラウン管に映しだす。グライエントは、自分の生理反応がフィード・ハックされ、その刻々の変 化をも認知することができる。この生理反応の情報を重要な手がかりにして、医師ではなくク ライエント自身が血圧降下を引き起こそうとする。 し力し、・、 / イオフィ ード・ハッグのこの手続きには、、 しくつかの問題がある。 その第一点は、フィード・ハックされる情報にもとづいて、自分で自分の心身反応をどうコン トロールするのか、その手続きや方法が不明確なことである ( この手続きの不明確さは、アメリカ のパイオフィードバック研究の大部分についていえる ) 。つまりグライエントは、自分の生体反応を 坐して認知していれば、その生体反応がおのずからある一定方向に変容するという驚くべき楽 観主義に裏打ちされた理論が、アメリカでは受け入れられている。 こうした理論になってしまった原因の一つは、動物実験から得られたオペラント条件づけの 行動変容理論をそのまま人間に適用してしまったためである。 152

8. セルフコントロール

心身変化のフィードバック 私たちは、自分の体のコンディションについては、自分が一番よく知っていると思いがちで ある。だが、 正しく、正確に知っているかといわれれば、必ずしも自信はない。熱がありそう だと田 5 えば、体温計の力を借りなくてはならない。体がなんとなくだるい、食欲がないという 自覚症状があれば、医師や病院を訪れ、医学的診断を受ける。どうしても、自己流の診断だけ では心もとなくなり、もっと正確な客観的な手段が必要となってくる。 ノイオフィ これと同じよ、つに、・、 ード・ハッグ・システムは、自分の心身の状態を、自分で見る ことや聞くことで、心身の治療を行なおうとする。したがって、心身の情報が入ってくること が第一に必要である。 生体情報が感覚として自分が認知することに加えて、自分の意図で身体的、心理的な変化を 起こし、その変化の情報が自分にフィード・ハック ( 自分の所にもどってくること ) されるという条 件が必要である。 別に身体の異常がないときでも、友だちにからかい半分に「おい君、なんだか君の顔はあお いそ」といわれると、なんともないと思っていたのに、やはり身体の調子が悪いのかなあと思 132

9. セルフコントロール

暗示の効果 他者暗示も自己暗示も、ともに暗示作用を重視しているという点では同じである。また、今 述べた信念あるいは自己確信のような心の働きが、身体的変化を媒体に、ある心身の効果を実 現できるという点でも類似している。 異なる点となると、他者暗示では暗示をするのが他者であるため、他者の暗示によって一方 的に催眠状態という心身の異常状態に導かれ、同時に行動が左右される点である。本人の意 志、意図、努力は、自己暗示では、本人の主体性として残っているが、他者暗示では催眠状態 になると、ほとんど無効になってしまう。 ところが最近の研究によると、心身を催眠状態のような異常状態に置かなくても、他者が暗 示的働きかけをすることによって、心の状態、身体の反応がその暗示の方向にそって、簡単に 変容されていくことが確かめられている。 ハイオフィ ード・ハックにおいては、他者が暗示的働きかけをする場合、身体的反応を被験者 に客観的に表示する方法をとり、この点が、言葉を用いる自己暗示と異なっている。 ここで、私の研究室で行なっている自己暗示によって体温を上げる研究の結果を紹介してみ

10. セルフコントロール

して通り過ぎる感じになる。やがて、自己と自己以外の外界とに調和感、一体感が感じられれ ば、練習もかなり成功したとみられる。 以下、全体をとおして留意すべき点をあげておく。 座禅、ヨガの行法、内観法などの瞑想過程に共通する部分は、この瞑想練習法の根幹を成し ていると考えられる。 しかし、座禅、ヨガ、内観法の習熟者でも、自己暗示法では、原則として基礎練習から始め る。というのは、自己暗示法では、身体のリラグセイション、緊張除去、言葉やイメージの自 己暗示などを媒介して、最終的に心理的安定状態を達成するところにあるからである。 特殊なイメージにこだわったり、連想がつぎつぎに現われるのは初期の場合であるが、練習 が進んでもこの状態のときは、基礎練習のある段階にもどる。 たいてい練習の初めには、ねむ気が出てきて、自己暗示効果がないことが多い。したがって、 姿勢はできるだけ腰かけ正姿勢をとるようにする。またねむ気がすぐくるときは、五 ~ 一〇分 ぐらいで中断時間をいれるのがよい。不眠症、イライラ、興奮しやすい人には、この方法は有 こうしん 効であるが、不安、恐怖の強い人には、急激な不安の亢進、恐怖におそわれることがあるので、 122