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検索対象: 原発の闇を暴く
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1. 原発の闇を暴く

中で、のうのうとアグラをかいてきたからです。その安全過信と欲得が今回の人災を招い た。テレビに出て「安全だ」と会見や解説をしていた人間はみんな同罪ですよ。今回の事 りゅうげんひご 故でばらまいた流言蜚語はもちろんだが、過去にどれだけ悪質な発言をし、行動を取っ げんち てきたか、この章できっちり一一 = ロ質を取って検証しこい。 明石広瀬さんは彼らのことを総称して「原子力マフィア」と呼んでいますが、言い得て 妙ですね。安心だ、安全だと耳にここちょい言葉ばかりを乱発して、一般人を小バカにし てきた非科学的かっ無責任な一一 = 口説をこのまま放置してはいけないと思います。彼らのせい で、今も事故現場ではたくさんの作業員が被曝し、避難が遅れた福島の人々が危険にさら されているわけですから。 しかし、僕も原発に関わる人脈をいろいろ取材してきましたが、原子力マフィアという のは恐ろしいほど裾野が広いうえに、利権をめぐってのヒエラルキーがきちっと構築され ているのですね。今回の事故でもいろんな学者が跋扈していますが、皆の知らないところ で彼らはちゃんとつながっているのです。 ・はっ )

2. 原発の闇を暴く

安全デマを振りまいた御用学者たち 明石福島の原発が津波で全電源喪失してから、次々に起こる悪夢のような映像を人々は かたず テレビにかじりついて固唾を呑んで見てきたわけです。そこに、ふだん見慣れない原子力 関係の人間が続々と登場し始めました。「原子力安全・保安院」、「原子力安全委員会」、 「原子力委員会」、さらには連日のようにテレビに出て現状を解説する原子力工学の専門家 と称する者たち。一般の人たちも、最初はいったいどうなるのだろうと、彼らの会見や解 説に一生懸命耳を傾けていたと思います。 しかし、事態が深刻になるにつれて、「建屋に溜まった水素が爆発しただけで、原子炉 はすでに停止しているから大丈夫です。冷静な対応を」、「燃料は冷やされているから大丈 夫」といった、安全をことさら強調した解説は、 , 彼らにとって都合のいい″希望的観測〃 にすぎなかったことが一般市民にも露呈してしまった。炉心の燃料が溶け出し、あんな高 濃度の汚染水が海にジャプジャプ流れ出したら、誰だって「大丈夫であるわけがない。今 までの説明はいったい何だったのか ? 」と不審に思いますよ。

3. 原発の闇を暴く

を伝えようとしてきた。僕は一〇年前、週刊誌「サンデー毎日」の連載で浜岡原発の事故 災害のシミュレーションもやりました。しかし、危ないぞとさんざん言ってきたことが結 局役に立たなかったわけで、大変悔しい思いをしているのです。 二〇〇七年に金曜日から刊行した『原発崩壊』の冒頭にも書いたのですが、僕は「想 かさ 定外」という言い訳が大嫌いです。この、ものすごく使い勝手のいい言葉を、権威を笠に 着る人々がこれまでどれだけ使ってきたか。案の定、今回の「フクシマ原発震災」でも、 「想定外」発言が飛び交っている。想定外だと言い逃れさえすれば、自分たちがやってき たことはすべて免責されると思っている。そんな彼らが原発の安全審査をしてきたわけで す。最低でも、そういう無能な人間は即刻総入れ替えすべきです。 広瀬そう、原発事故を想定さえできなかった素人をマスコミから一掃しない限り、日本 の将来はない。 明石もちろん、原子力の安全審査の現場からも一掃させるべきです。大学で原子力工学 を学んだと言って原発を推進してきた面々が原発に「安全」のお墨付きを与えたことで、 結果的にこの大事故を引き起こしたわけですから。原子力安全・保安院も原子力安全委員

4. 原発の闇を暴く

し、反核 ( 反原水爆 ) 運動や、原発の「安全性」を語る分には大したタブーはありません。 そしてその状況は、原発震災が発生し、漏れ出した放射能が首都圏にまで飛来する事態に 至ってもなお、さほど変りはないなと実感しています。 マスコミ報道で重用されるのは、原発推進派に分類される " 識者〃や " 専門家 , ″科学 者〃と称する人々です。こうした傾向は、今回の福島第一原発事故でさらに強まっている。 彼らは顔や名前や肩書が違っても、「安全です」「大丈夫です」と、決まって紋切り型のロ 上を述べる。そんな彼らをマスコミが繰り返し使い続けるのは、そうしたニーズがマスコ ミの側にあるからで、彼らがそのニーズに応える期待通りのコメントを吐いてくれるから です。事故が拡大し続け、その深刻な状況を一度でもまともに解説してしまうと、その後 はマスコミから声がかからなくなる。 広瀬そうした人間の安全デマに踊らされているうちに、われわれの予想した通り、事態 はどんどん深刻になっていった。最初からあれだけの水素爆発の爆風による衝撃があって、 誰が見ても、お釜や格納容器や配管、配線が無事なわけがない。計器もすべて影響を受け ているのだから、原子炉内の温度や中性子量、放射線量、水位など、事故の収束に不可欠

5. 原発の闇を暴く

会も、一から人選をやり直すべき。そうでなければこの本を出す意味がない。 広瀬いや、私はそう思っていない。それでは連中とマスコミの好きな「対策論」になっ て、結局また原子力産業が生き延びてしまうだけだ。保安院も安全委員会も、原発がなく なればこの世に不要なのです。パソコンでは不要なデータをごみ箱に捨てるでしよう。そ れでもまだ、、 こみ箱に残っている。ごみ箱を空にしてからでないと安心できない。事実を 隠蔽し続ける東京電力の大罪はもとより、全世界に放射能をバラまいて平然としている責 任者たちがしてきたことを、実名を出して、国民が裁いてゆかなければ意味がない。そり ゃあこんな大惨事になって不安の極致にいる時に、安全だと言われれば、日本人は安心で きるほうにしがみつきたくなります。しかし、事態はどんどん悪くなっている。他人事の ような会見を続けてきた保安院が、福島の事故を「レベル 7 」と認めざるを得ない断末魔 の状況になっているというのに、まだ気楽なことを放一言している自称 " 専門家〃が山のよ こんりんぎい うにいる。この人間たちは、みな原発の利権で飯を食っているのだから、もう金輪際テレ ビでしゃべるなと一言いたし とう責任を取るつもりなのか。二〇 明石「大丈夫だ」「安全だ」と言ってきた人たちは、、、 17 第一章今ここにある危機

6. 原発の闇を暴く

「平和」の言葉を使ったかと言えば、その正体が、人間を殺すための軍事技術だと知って せんこう いたからです。一瞬の閃光と熱で、大量の人間を地上から抹殺する技術です。ウランの採 掘から濃縮、そして発電後にその燃料が行き着く先は、原爆材料プルトニウムの抽出とい う最後の目的地であって、今、日本全土の原子炉に潜在している危険性です。その正体を 隠すために生まれたのが、平和利用という仮面なのです。そして現在も、その衣の下にあ る正体がまったく変っていないことに、皆が気づいていない。最も分っていないのは、日 本の文化人たちだ。六ヶ所再処理工場と高速増殖炉「もんじゅ」の目的地も、そこにある のです。 これは、平和どころか、悪魔の所業です。人間と共存させてはならない技術です。 私は死ぬまで、この産業の完全消滅に骨折ります。 最後に、読者にこの言葉を捧げて、閉じたいと思います。 「理性の感情とは、愛である」ロマン・ロラン 249 第三章私たちが知るべきこと、考えるべきこと

7. 原発の闇を暴く

う。人命救助を阻んだ東京電力の罪は重いと思います。 そもそも国は、原発事故時における周辺住民の防災対策は「原発から半径一〇キロ圏内 までで十分」としてきたわけです。一〇キロを超える被害など起こらないと「想定」して きた。このことだけをもってしても、国は事故の責任から逃れることはできません。 広瀬マスコミで取り上げられない、そのような被害者の無念さこそ、最大の問題ですね。 福島には、すばらしい有機栽培を営んでいる農家がたくさんあった。私はそうした県内農 家の人たちに招かれて、原発の危険性を話したことがありました。その彼らが精魂こめて つくり上げた土壌を汚染してしまった。福島だけでなく、東北は日本の食料基地です。海 も山も、です。それがどんどん汚染されて出荷制限されていくのを見るのがつらい。原乳 も搾っては捨てられてゆく。私は大学に入った年、東北の開拓農場に働きに行って初めて 人生を教えられた人間なので、野菜の出荷制限は到底許し難い。地震、津波だけでもたく さんの被災者がいて、国を挙げてみんなで助けなくてはいけない時に、放射能のためにポ ランティアも入れなかった。誰もいなくなった二〇キロ圏内には、しばらく行方不明者の がれき 捜索にも入れなかった。ひょっとすると瓦礫の下でまだ生きていた人たちがいたかも知れ 19 第一章今ここにある危機

8. 原発の闇を暴く

も「理解」などできません。 被曝の恐怖に加え、これまでの生活基盤を丸ごと取り上げられるかもしれないという今、 多くの福島県民が味わわされている生き地獄のような苦しみや悲しみなど、この人にとっ ては所詮、他人事に過ぎないのでしようね。不幸にしてフクシマの人たちが急性症状や晩 発性症状に見舞われたとしても、こういう人は決して責任など取ろうとはしないものです。 広瀬久住の履歴を見ると、広島大学医学部を卒業後、一九八八年五月に日米共同研究機 関「放射線影響研究所 ( 放影研 ) 」臨床研究部副部長、その後、広島大学原爆放射能医学研 究所とある。放影研という組織を仕切ってきたのは、重松逸造という男です。 重松は戦時中に海軍軍医で、戦後、一九五五年にアメリカ留学から帰国したのですが、 この渡米中に、原子力マフィアとの何らかのコネクションをつくったのだと私は推測して います。一九六六年に国立公衆衛生院の疫学部長に出世し、一九七三年に諮問委員 会委員に成り上がる。そして国際疫学協会理事となり、スモン病、イタイイタイ病、川崎 病の研究班長となり、公害・薬害発生の原因物質をいずれも「シロ」と判定し、「疫学犯 とろく 罪」と呼ぶべき行為を重ねてきた信じ難い人間です。宮崎県の土呂久鉱害 ( 住友金属鉱山 134

9. 原発の闇を暴く

き ) と -0 長の班目春樹、原子力政策を進めている経産省・資源エネルギー庁原子力部会長の田中 知、みんな東大大学院工学系研究科ですよ。いかに原子力マフィアが東大学閥に結 集しているか分る。 東大をリーダーとする学界のポス的存在が、前東大総長の小宮山宏らしいね。今は三菱 総合研究所理事長で、一一〇〇九年から東電の監査役に就任し、内閣府の国家戦略室政策参 る す 弾 与となっている。太陽光エネルギーを導入した自宅を「エコハウス」なんて呼んでいるが、 を 実は地球温暖化脅威論をあちこちで煽りながら、「原発は環境保持のために必要」という ち 論調で人々を取り込もうとしてきた。エコ、エコと叫んで OON 狩りに熱中する時代の空 任 気をいち早く読んで、これを「原子力ルネッサンス」の旗印にしたのが小宮山だよ。こう の 故 いうふうに「エコ」という一一一一口葉を使う人間は、まったく信用ならない。 事 Ⅱ科学技術原 明石小宮山宏は、四月一日付「朝日新聞」朝刊のオピニオンページ「 3 ・ 章 は負けない」で、「原子力は、幻世紀の半ばまでをまかなうエネルギーだと私は考えてい 第 ます。本来は太陽エネルギーなど自然エネルギーの方がいい」「最大限の安全策を講じ、 自然エネルギーの実用化が実現するまでつないでいくしかない」と、読者を刺激しないよ あお

10. 原発の闇を暴く

るじゃないですか。乳牛には、たくさんの水を飲ませるのですよ。原乳の放射能検出は、 その水の汚染を示しているわけで、酪農家が本当に心配になるのは、当然なのです。こん な基本的なことも知らない大学教授が、放射線の専門家だと偉そうにして、放射能安全論 をしゃべっている。このような人間を放射線健康リスク管理アドバイザーに雇う福島県の 佐藤雄平知事も、住民の健康を本心から考えていないと批判されるべきだ。五月一四日に は、その佐藤知事が先頭に立って、東京都内で岩手、宮城、福島三県農産物の大売り出し をやって安全を宣伝し、風評被害追放の一大キャンペーンをしていたが、今回は風評被害 なんて、ないんだ。日本全土が放射能汚染されたのだから、すべて実害だよ。そもそも佐 藤知事は、二〇一〇年のプルサーマル導入にゴーサインを出した責任者だ。 明石福島第一原発の三〇キロ圏の同心円外に位置する飯舘村周辺に住む人々は、明らか に高い汚染にさらされているにもかかわらず、ずっと放置されました。ここに住む一五歳 以下の子供たち約九五〇人について甲状腺の被曝線量を調べた結果が、四月二日に国から 発表されたのですが、「いずれも問題なかった」という。最高で毎時〇・〇七マイクロシ ーベルトで、国の原子力安全委員会が定める基準値 ( 毎時〇・二マイクロシーベルト ) を下