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検索対象: 原発の闇を暴く
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1. 原発の闇を暴く

ら、過去と現在の断層評価が異なるのは当然だ」と開き直って、自分を正当化していまし 広瀬この衣笠と組んで、中越沖地震でガタガタになった柏崎刈羽原発を一年後に運転再 開させようとしたのが、当時「中越沖地震における原子力施設に関する調査・対策委員 会」の委員長になった班目春樹です。事故現場の写真を見ていないと平気でコメントした うえで、柏崎安全論を繰り返した。 明石そうして、地震で建屋ごと傾き、二度と動かしてはならない柏崎刈羽原発の運転を 再開させてしまった。活断層や震源域の真上に建つ「もんじゅ」や浜岡原発も、一触即発 の危険をはらんでいます。そして今、地震と津波で破壊された福島第一原発は、福島県民 に想像を絶するほどの苦難を与え続けている。 広瀬とてつもない事故が今ここで起こっているというのに、彼らは電力マネーとポスト 維持のために「あり得ない安全」を振りまいてきた。国民を守る意識などこれつばっちも ないことは、明々白々でしよう。自分が許認可に関わった原発をすべて今すぐ止めて、は つきりと責任を取るべきだろう。 こ 0

2. 原発の闇を暴く

あるし、何より日本国内の原子力プラントで最低の耐震設計ですからね。六ヶ所村がやら れたら放射能災害は福島どころの話じゃなくなる。ニュースに出てこないからますます心 配になって、調べてもらったら、作業員全員が一時退避したらしいが、たぶん大丈夫だろ , っとい , っことしか分らない。 明石六ヶ所再処理工場の耐震性は、あの「活断層過小評価」で名高い衣笠善博 ( 東京工 業大学名誉教授 ) のお墨付きですから、全然信用ならないです。衣笠の甘い活断層評価の おかげで、これまで日本にどれだけの原発が立地できたことか。原子力産業のヒーローと も呼べる人物です。 広瀬いやまったくその通りで、衣笠の、権力を背景にした「犯罪」は重大です。彼のこ とは・後の亠早でじっくり請しましょ , つ。 おおま 衣笠が断層を短く評価してきたおかげで、六ヶ所再処理工場も大間原発 ( 青森県大間町。 ひがしどおり 建設中 ) も東通原発 ( 青森県東通村 ) も、全国最低の耐震性になってしまった。国は今、 原発施設の耐震性についてバックチェックという見直し作業をやっているけれど、青森の 下北半島にあるその三施設の耐震基準は四五〇ガルで、今もって日本で最低です。なぜな 今ここにある危機 75 第一章

3. 原発の闇を暴く

第一章今ここにある危機

4. 原発の闇を暴く

ら一〇〇年かかる可能性がある」という専門家の分析が載っています。原子炉が安定して おらず、さらに放射性物質が大量に放出される可能性が残っているので、そういう見方に なるそうです。またこの記事では「旧ソ連・チェルノブイリ原発では事故から約八〇年後 に当たる二〇六五年まで除染がおこなわれる予定」と書かれている。そんな長い時間を想 像できますか。福島で被曝した子供たちが大人になり、老人になってもなお放射能災害は 続くのですよ。現に、今年はチェルノブイリ原発事故から二五年だというのに、深刻な被 害が続いている。 東電は「六 5 九ヶ月で収束の見通しを立てる」という工程表を発表しましたが、今まで の泥縄式のやり方を見ていると、とてもスケジュール通りに収束できるとは思えない。能 まだらめ 天気な発言を繰り返していた班目春樹・原子力安全委員長は、高濃度の汚染水流出につい て記者から質問されて「どんな形で処理できるか知識を持ち合わせていない。保安院で指 導してまし、 。し」と言ってサジを投げたのですよ。今の日本に「無能」であることを罰する 法律がないのが悔しいです。

5. 原発の闇を暴く

に生み出してしまったか。いま、食品に従事する人たちは、誰もが放射能の言葉におびえ なければならない状況にある。農家や漁業者は、取り返しのつかないほど汚染された大地 と海を、元通りにして返してくれと叫んでいる。町の魚屋さんも、レストランも、東京電 力による放射能汚染水の大量放流で、大変な被害を受けている。観光地も、外国人旅行者 が日本を避けようとするので、言葉には出せないほど大変な苦労を強いられている。みな、 内心では、原因も責任者も知って腹立ちを覚えながら、それを口にすると自分にはねかえ ってくる被害が大きくなるので、ロをにごさなければならない。 これは、東日本大震災による地震・津波の被害者と、ひとくくりにしてすむことではな い。今、進行中の出来事は、間違いなく原子力災害だ。放射能災害だ。 みなの言葉を聞いていると、「原子力ムラ」があると言っている。原子力の世界には 「御用学者」が山のようにいるのだという。しかし、このように恥ずべき大事故を起こし て住民を避難させ、あの人たちの一生を取り返しのつかない苦境に追い込み、加えて事故 を収束することさえできない今、そのように生易しい言葉ですませられるものだろうか。 あいつらは原子力マフィアだ。壮大な原子力シンジケートだ。私に言わせれば、その責任

6. 原発の闇を暴く

に追い込まれた時も、何の問題もなかったのですよね。マスコミは電力危機とか騒いでい ましたが、 全部の原発が停止してもまったく停電は起こらなかった。今、浜岡原発の全機 停止を受けて、中部電力管内の人たちが「計画停電をやられてはたまらない」と文句を言 っていますが、皆、電力会社のネガテイプ・キャンペーンに乗せられてきたわけです。 広瀬ただし、われわれがこのことをあまり言わなくても大丈夫なように、世間が変って きています。東京電力が計画停電を強行し、「原発がないと停電するぞ」という脅しをか けたおかげで、誰も予測しなかった、面白いことが日本全土に起こりつつあるのです。今 夏は、大企業が、計画停電などで工場を止めることなどできないと、電力会社依存を脱却 しようと軒並み自家発電を始めたので、原発なしでもまったく電力不足にはならないこと が実証される状況です。電力会社は、計画停電によって重要な大口ューザーを失い、墓穴 を掘ったようだね。企業が自家発電機を持てば、それが私の望んでいた「分散型電源」に なり、理想社会に向かいます。 そもそも、原発がないと停電すると考えることがナンセンスなのです。なぜ、「原発が 電力の三分の一を占めている」「原発がないと停電する」といった大嘘を国民も政治家も 212

7. 原発の闇を暴く

ウムが検出されたことも、飯舘村がその後、全村避難に追い込まれていくことも、何の罪 ) ら もない牛たちが殺されていくことも、コウナゴが放射能で高濃度の汚染に晒されているこ とも、福島の子供たちが「年間二〇ミリシーベルト」の被曝を強要されることも、そして 今回の事故が「レベル 7 」であることも、何も報じられていないわけです。 そんな情報が報じられるようになった今の時点で同じアンケートを取ったとすれば、果 たして同様の結果が出るでしようか ? 是非、今こそ「世論調査」を実施して欲しいもの です。皆がまだ、本当のことに気づいていない間のドサクサに紛れて調査をおこない、 「原発が必要」という " 世論〃を演出したいために書かれた記事にすぎません。だから、 この手の「世論調査」結果などに真面目に付き合う必要はありません。世論調査の結果が 自分の感覚とはあまりにもかけ離れていることに違和感を覚えた読者もきっと多いことと 思います。 この「東京新聞」の世論調査記事が出た頃、たまたま同じ新聞社から僕に原稿の執筆依 しい」と一一 = ロわれていた 頼が来ていたんですね。「福島事故に関することなら何を書いても、 ので、いっそのこと、この話を書いてやろうかと思ったほど、腹立たしさを覚えました。

8. 原発の闇を暴く

明石福島の汚染水を、六ヶ所再処理工場に持っていくという話も出ていたらしいですね。 広瀬あれはとんでもない話だ。青森県の住民にとっては = = ロ語道断ですよ。さらに、六ヶ 所再処理工場と同じ最低の耐震性の大間原発で、プルトニウムとウランを混合した 燃料を全炉心で使う「フル >O>< 」をやろうというのだから、下北半島に対する住民の不 安は、ますます大きくなっていると思います。 >O>< 燃料を使う場合、中性子を吸収して 核分裂を止める制御棒の機能が低下することはもう分っているのです。今の青森は非常に こわい 明石青森県だけでなく、津軽海峡をはさんで対岸にある北海道の函館市だって大間原発 から一八キロしか離れていないですよね。事故が起これば北海道も巻き込んだ甚大な被害 になる。 広瀬二〇一〇年の年末ですよ、青森市に行って「世界的に太平洋プレートが動いている から大地震が間近だ、危険が迫っている」と話したのは。でも、それを食い止める前に地 震に襲われた。 明石すでに多くの人たちにとっての共通認識になってきたようですが、中部電力の浜岡 77 第一章今ここにある危機

9. 原発の闇を暴く

で反原発運動が盛り上がったことがあったじゃないですか。実験に反対する署名数が一〇 〇万人を超えて、一九八八年四月に東京・日比谷でおこなわれた「原発とめよう一万人行 動」集会には、主催者の予想を大きく上回る二万人もの人が集まりました。そして一九八 八年七月、テレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ」で原発特集が組まれ、広瀬さんも出 演されました。 あの番組の模様は僕も「朝日ジャーナル」誌上でレポートしたのですけど、プロデュー くき ) か サーだった今は亡き日下雄一さんから、放送直前にこんな熱い思いを聞かされたことがあ るのです。 「番組にはスポンサーがっかないし、放送にこぎつけるまで局の内外から相当な圧力もあ った。中でも許せなかったのは、原発推進の旗振りをしてきた朝日新聞の大熊由紀子記者 ( 朝日新聞社刊『核燃料ー探査から廃棄物処理まで』著者 ) が出演を拒否したことだ。無責任極 まりない。今こそ彼女は語るべきではないか。でも、大熊氏は逃げた。彼女だけは絶対に 許すことができない」 かっての「原発」報道の現場には、日下さんのような戦うジャーナリストもいたのです。 168

10. 原発の闇を暴く

の原発震災の大惨事を起こした責任者の実名を挙げて糾弾し、彼らが原発を守るためにど んな汚いウソをついてきたかを暴いてきました。 でも、実名を挙げて悪事を暴こうとも、僕は単なるセンセーショナルな告発本にはした もち くはないと思ってきました。この本が出る頃も、福島の原発事故は収束していない。 ろん、今まで電力マネーでいい思いをしてきた推進派の人間たちには「事故を収束できな い責任」を問いたい。そしてきっちりけじめをつけて欲しいと思っています。だけど、今 この瞬間も、僕は福島の事故を終らせるにはどうしたらいいのか、それを考えたいと思っ ているのです。 東電が示す「工程表」など、国民を小ばかにした「安全アピール」にすぎません。残念 ですが、彼らが示したとおりに事が運ぶことはまず、ないでしよう。ですが、このまま福 島の人たちの故郷がなくなってしまうことは、、、 とうにも許しがたい。原発事故のおそろし さは、一九八六年四月に発生したチェルノブイリ原発事故の後から二四年間、原発事故や 核施設に関する取材をずっと続けてきたのでよく分っているつもりです。京大原子炉実験 所の小出先生は「最悪の事態という破局は、最後の一線でギリギリ食い止められている」 242