ら駿河湾の連続地震は、明らかにこの一帯が海底深いところで活発に動き始めている重大 な警告です。私は特に駿河湾と若狭湾が危ないと見ていますが、今や日本中が危険な状態 にあります。これからもっと大きな地震が来ますよ。 明石僕が今回の原発震災発生直後に「週刊プレイボーイ」で書いた記事では、平安時代 じ・ようがん に起こった「貞観の地震と津波」の話を中心に据えました。今回の大震災は、貞観地震 を引き起こしたものと同じ海底活断層が動いたために起こったのではないかと推測されて いますが、被害は貞観の地震と津波によるものに匹敵するか、それを上回るとも言われて いるからです。その際、地震学者や変動地形学者の応援を得て、いろいろ調べたのですけ 機 ど、貞観の地震 ( 八六九年 ) と前後して富士山が噴火 ( 八六四年 ) しているのですよ。東海る 地震と東南海地震、南海地震が連動して発生した一七〇七年の「宝永地震」の際にも、直 後に富士山が噴火しています。この符合は何を意味するのか。 今 章 広瀬そう、だから一緒に起こるのですよ。地震と火山の噴火が密接に関わっていること 第 は自明の理です。ところが、火山噴火予知連絡会の連中は、「地震と火山活動は切り離し て考える」と言うわけ。そういう地球的な構造を考えないで学者がポソボソしゃべるから
中で、のうのうとアグラをかいてきたからです。その安全過信と欲得が今回の人災を招い た。テレビに出て「安全だ」と会見や解説をしていた人間はみんな同罪ですよ。今回の事 りゅうげんひご 故でばらまいた流言蜚語はもちろんだが、過去にどれだけ悪質な発言をし、行動を取っ げんち てきたか、この章できっちり一一 = ロ質を取って検証しこい。 明石広瀬さんは彼らのことを総称して「原子力マフィア」と呼んでいますが、言い得て 妙ですね。安心だ、安全だと耳にここちょい言葉ばかりを乱発して、一般人を小バカにし てきた非科学的かっ無責任な一一 = 口説をこのまま放置してはいけないと思います。彼らのせい で、今も事故現場ではたくさんの作業員が被曝し、避難が遅れた福島の人々が危険にさら されているわけですから。 しかし、僕も原発に関わる人脈をいろいろ取材してきましたが、原子力マフィアという のは恐ろしいほど裾野が広いうえに、利権をめぐってのヒエラルキーがきちっと構築され ているのですね。今回の事故でもいろんな学者が跋扈していますが、皆の知らないところ で彼らはちゃんとつながっているのです。 ・はっ )
はたいしたものだと思いました。それがジャーナリストだと思うのですよ。 今回はでも、まともな記者が一人も出ていないでしよう。科学文化部の山崎淑行 記者は、高速増殖炉「もんじゅ」の運転再開の時に「世界が注目している」などと解説し てきた素人だし、水野倫之解説委員は、東海村 h00 臨界事故の時に中性子線が放出され ている危険性を警告しなかった人物です。 明石ただ、さすがに水野解説委員も今回は「国の危機」を感じ取ったのか、「東電は情 報を隠さずに出すべきだ」とニュース番組で発言していましたよ。そのせいなのかどうか 分らないけれど、しばらく画面から消えていた時期がありました。じきに再び解説者とし て復帰していましたが。 広瀬しかし彼らは、事故直後に関村のような学者を毎回登場させて、お説ごもっとも、 とやっていたじゃないですか。私は信用ならないね。みんな、よく選んだものだと思うぐ らい全員が原発の推進者、つまり利権者であってね、だから、ニュースでもワイドショー ごようたし でも、出てくるのは東電御用達の学者ばかりだった。藤田祐幸さんは長崎に移住している けれど、事故発生当夜にフジテレビでコメントし、「これから東京に行ってテレビ局から 124
松浦は、「読売新聞」 ( 四月九日 ) の取材に答えて「津波を考えていなかったわけではな いが、予想よりはるかに大きかった。今回と同様の規模の津波が過去にあったと警告する 研究者がいるのを知ったのも最近のことだ」と、われわれより無知だったことを白状して いる。原発の推進学者たちは、過去の津波を知らなくて、原子炉を運転してきたのだよ。 今回の事故を起こしても反省していない証拠に、事故対応を「戦争」にたとえ、「 ( 放射能 と戦うのは ) 決して勝てない戦争だ。放射能は人間の知恵では消せないからだ」と言いな がら、「一方、負けてはならない戦争でもある」「日本や世界のエネルギー事情を考えれば、 原子力を使えなくなる状況にはできないからだ」なんて、まだ原子力時代を続けようとし ている。原子力産業は断崖に追いつめられているので、これからの彼らの発言は、「対策、 対策、対策」に集中している。その巨額の対策費にたかって、また新組織をつくれ、津波 対策だ、と飯のタネにしようというわけだ。国民が「冗談じゃない。原発なんて危ない発 電法はもうこりごりだ。原子力マフィアは即刻解散しろ」という声をあげないと、日本に 未来はない。断言しておくけれど、このままでは、もうすぐ第二、第三のフクシマが起こ ります。
明石『原発崩壊』の中でも書いたのですが、電力各社には被害者的な側面もあるのです ね。 " 活断層カッター。衣笠は安全審査をないがしろにしているわけですから、衣笠を使 、続けることは国民のためにならないばかりか、電力会社や国のためにもならない。 今回の事故で、国は莫大な額の税金を注ぎ込むことになるのは確実です。東電に至って は、衣笠を信じたばかりに、福島第一の六基すべてが廃炉にされるばかりか、会社そのも のが消滅しかねないほどの事態にまで追い込まれている。衣笠に媚びてきた他の電力会社 も「明日はわが身か」と気が気でないでしよう。 電力会社は衣笠になぜ媚びへつらってきたのかというと、規制当局である原子力安全・ 保安院が衣笠を重用しているからなのです。そして保安院は、福島でこれだけの大惨事を 招いた衣笠を、今後も「御用学者」として使い続けるつもりでいる。常識的に考えれば、 衣笠の学者生命はフクシマ原発震災とともに終りです。しかし、そうならないかもしれな 異常と言うほかありません。 191 第二章原発事故の責任者たちを糾弾する
べきですが、現実論では、福島第一原発の敷地しか考えられません。地下水の豊かな日本 では、地層処分は絶対に許されませんので、地上で永遠に管理するほかありません。した がってこれは、日本が生き残った場合にも、未来に対する悲劇のモニュメント「ノー・モ ア・フクシマ」として、そこに残されるべきです。絶対に隠してはいけません。東電の 「犯罪」を刻んだ永遠の記憶として、残す必要があります。 明石まるでヒロシマの「原爆ドーム」のようですね。全面的に賛成です。 日本から原子炉を廃絶するために 広瀬今回の福島の事故を受けて、世界的に原発廃絶の気運が盛り上がっています。世界 のどこの国だって、もう日本の原発は買いません。日本が技術後進国に原発を売り込もう とすれば、アメリカもヨーロッパも許さないでしよう。事故を起こされれば自分たちも巻 き込まれるわけですから。 明石韓国がトルコに原発を売り込もうとして、そこに日本が割り込んで横取りしようと していたところに、福島の事故が起こったのです。日本側はエラそうに「おカネのことな
専門家を名乗る御用学者は「水素爆発で原子炉建屋は吹き飛んでも、圧力容器は健全だ」 と解説をしていた。が、しばらくすると圧力容器「健全」説は破綻し、メルトダウンして いたことが明らかになる。環境への放射能の放出量にしても、事故発生からの数日間だけ で実に七七京べクレル ( 行 x 川の乗べクレル ) にも及んでいるのだという。住民の健康被 害が顕在化するのも時間の問題だろう。 と思う。ただし、電力会社 そんな中、おそろしい本が出来上がってしまったものだ や御用学者にとって、ではあるが。 誰が見ても最悪の状況になっているにもかかわらず、それでも「安全」「大丈夫」と叫 び続けている人々がいる。これだけの事故を起こしてもなお「それでも原発は日本に必要 うそぶ だ」と嘯き続けている人々もいる。そんな彼らの正体をここまでストレートに暴いている 書籍は他にないだろう。 なぜ彼らはことさらに「安全」を叫び、原発を擁護しなければならないのか。その背景 とインチキ満点のカラクリが分ってしまえば、怒りの感情しか湧いてこない。今回、久し ぶりに広瀬さんととことん語り合って、ます私自身が大変勉強になった。 251 あとがきにかえて
いながら、一年間の積算線量限度をいきなり「二〇ミリシーベルト」にしようと、大した 議論もないまま簡単に決めている。乱暴すぎます。これまで、一般公衆における一年間の ミリシーベルト」の二〇倍の数値ですよ。久住委員の発 積算線量限度だとされてきた「一 言を引用します。 る 二〇ミリシーベルトに急に上がるということに大変心配されるのではないかと思います。弾 を しかし、あくまで一年間に一〇〇ミリシーベルトまでは確定的影響という被曝をしたと ち きに、短期間に現れる身体影響も、長期的に起こってくる晩発的影響、確率的影響も起都 任 こらないことをはっきり皆様に理解していただきたいと思います。特に今回は、急性被責 故 曝、一度の被曝ではなく、継続している慢性被曝ですから、影響はより少ないというふ 事 発 原 うに考えられます。 章 第 この言葉を信じた末に「身体影響」が現れた場合、医療面でも経済的にも、この久住と いう人が公的に、かっ個人的にも責任を取ることを保証・確約してもらえない限り、とて
せと言っている。こうした非常識が、国民の憤激を買っているというのに。 さらに、「東電をつぶしたら株主の資産が減ってしまう」、「原子力損害賠償法には『損 害が異常に巨大な天災地変によって生じたときはこの限りではない』という免責条項もあ る」と、賠償逃れまでヌケヌケとしゃべっている。この男は死ぬまで目が覚めない奴だ。 さらに「低線量の放射線はむしろ体にいい」とは、さすが東電顧問だ。 明石ならば、原発におけるそれまでの「放射線管理」はいったい何だったのでしようね。 「五重の壁」うんぬんのを自ら否定しています。ネットでは「 < 級戦犯だ」と叩かれ ているみたいですが、そんな批判は屁とも思わないでしようけど。「東電をつぶしたら株 主の資産が減る」とも言っていますが、東京電力の株主たちが四〇〇人くらい、東北電力 の株主たちが二〇〇人くらい結束して「原発をやめよう」と株主総会で提案しました。も う時代は変りつつあるのです。ほかの株主からもそうした提案が各電力会社に対してされ るのではないですか。それに、「異常に巨大な天災地変」による事故だから損害賠償は免 責だという言い訳も通りません。加納は曲解しているようですが、今回の事故は明らかな 「人災」なのです。きっちり責任を取ってもらいましよう。政府と東電で責任を押し付け 208
ウムが検出されたことも、飯舘村がその後、全村避難に追い込まれていくことも、何の罪 ) ら もない牛たちが殺されていくことも、コウナゴが放射能で高濃度の汚染に晒されているこ とも、福島の子供たちが「年間二〇ミリシーベルト」の被曝を強要されることも、そして 今回の事故が「レベル 7 」であることも、何も報じられていないわけです。 そんな情報が報じられるようになった今の時点で同じアンケートを取ったとすれば、果 たして同様の結果が出るでしようか ? 是非、今こそ「世論調査」を実施して欲しいもの です。皆がまだ、本当のことに気づいていない間のドサクサに紛れて調査をおこない、 「原発が必要」という " 世論〃を演出したいために書かれた記事にすぎません。だから、 この手の「世論調査」結果などに真面目に付き合う必要はありません。世論調査の結果が 自分の感覚とはあまりにもかけ離れていることに違和感を覚えた読者もきっと多いことと 思います。 この「東京新聞」の世論調査記事が出た頃、たまたま同じ新聞社から僕に原稿の執筆依 しい」と一一 = ロわれていた 頼が来ていたんですね。「福島事故に関することなら何を書いても、 ので、いっそのこと、この話を書いてやろうかと思ったほど、腹立たしさを覚えました。