心理 - みる会図書館


検索対象: <つきあい>の心理学
64件見つかりました。

1. <つきあい>の心理学

い。勝負に負けたらそれで終わりである。 学校でもそうである。勉強のできない子が宿直室で先生から教えてもらったとか、先生の家 に遊びに行ったとか、先生が〃親代理〃だという感情体験が今の子どもは少ない。竸争に負け たからといって、なぐさめてくれる先生が少ないのである。 竸争が激しくなるほど、自分をつつんでくれる人、勝ち負けとは無関係に自分を愛してくれ る人を求めるものである。そうしないと、切なさ・悲しさ・不幸感の処理ができない。竸う必 要のない世界、劣等感・屈辱感のない世界。これを誰でも求めるようになる。わかりやすい例 が、命の電話とかカウンセリングである。カウンセラーが特に役立つアドバイスをしなくて も、電話で声をきくだけでおちつくとか、先生の顔をみながら対話するだけで満足だ、という 人が出てくるのも当然である。 たとえていえばこうである。父が長女を大事にした場合、次女は愛情争奪戦に負けたことに学 帝 なる。しかし、母や祖母あるいは祖父にかわいがられることによって負け大の心理にならない の ですむ。孤独・悲哀・屈辱・劣等感をもたないですむ。今の社会は一般的にいって、この場合 あ れ の母や祖母や祖父に相当するものが少ない。それだけに竸争が身にこたえるのである。 むかしはこういう場合でも神や仏がいた。現実世界で満たされない欲求ーーー父母に認められ

2. <つきあい>の心理学

ちに抑圧しているか、あるいは、自・他の分離意識が不充分なため、自分と人とを比較できな いか、のどちらかである。 さて、劣等意識があると、これを克服しようとの動きが無意識に出てくる。これが引き下げ の心理であり、反動形成の心理であり、自己卑下の心理である。 引き下げの心理とは、相手にケチをつけて、自分の劣等意識を消そうとする心理である。た とえば著作をもたない学者が著書の多い同僚学者を評して「彼の本は啓蒙書ばかりである。彼 にはアカデミッグな能力がない」というのが引き下げの、い理である。 反動形成の心理とは、自分の劣等意識を克服するために他の極端に走る心理である。小心者 ほど豪傑ぶる、ホモが異性好きの言動をとる、冷淡な人間が八方美人になるなどが例である。 自己卑下の心理とは、人に卑下されないうちに、先手を打って自分で自分を攻撃・非難する 心理である。こうすることによって人の攻撃・非難を防いでいるのである。「ばくは学歴がな いものだから : : : 」といえば、たいていの人が「今は学歴主義の時代ではない。君のような実 力者の時代だよ」と応じてくれる。「君はたしかに学歴が低い。だからダメなんだ」と追いう ちをかけてくる人は稀である。そのことを知っているから、自分に対して先制攻撃をかけてい るのである。それが自己卑下の心理である。 192

3. <つきあい>の心理学

も、つきあいの場ではまったく頭の回転が止まってしまうことがある。なぜか。 理由はふたつある。つきあいとはどうするものか、そのハウッーを知らないこと、第二は、 知ってはいるが「こわくて近づけない」「恥ずかしくてできない」という心理的距離の遠さで ある。 ぶあいそう つまり、無愛想にふたつある。ひとつは悪意はないのだが気が利かないため無愛想に見える もの、第二は悪意があって無愛想なもの、である。ここで悪意という意味は、態度がネガティ プという意味である。こわい、好きでない、不信感、恥ずかしい、あとが面倒くさい、などで ある。 あ 本章では、このふたつの下手なっきあいをどう乗り越えるかを考えたい。結論は「頭を使れ え」ということになる。作戦をねることをためらうなかれである。そこがふれあいとちがうと で ころである。 へ あ っ ーーーっきあいの原理 つきあいをよくしたいがどうしてよいかわからない人がいる。要領がわるいということはハ で

4. <つきあい>の心理学

異常の構造 木村敏跖 ^ つきあい〉の心理学ー国分康孝① む理・精神医学 黼自己分析 池見酉次郎 ^ 自立〉の心理学 国分康孝 ー・・ターーシッ。フ 石塚幸雄 国分康孝 人問の心のふしぎーー村松常雄自己実現の方法 7 の心理学 制感備はいかにしてー大木幸介自己コントロールーー・成瀬悟策チームワークの心理学ー国分康孝 原野広太郎フロイト 鶤記憶力 岩原信九郎れコントロール 宮城土日弥訳 ・クピリヤノヴィッチ 用記憶力を 自己弛緩法 原野広太郎甦るフロイト思想ー佐々木孝次 c-O しま / 、亠 9 ” 金光不一一夫訳 弸直観カ 新崎盛紀人間関係の心理学ー早坂泰次郎旒ュングの心理学ーー秋山さと子 集中力 山下富美代團ェロス的人問論 小此木啓吾ュングとオカルトー秋山さと子 性格 ュングの性格分析ー秋山さと子 詫摩武俊秘密の心理 小此木啓吾 川性格分析 秋山さと子 、日捷之催眠のすべてー・・ルクロン夢診断 人はなぜ悩むのか 相場均タバコ 宮城音弥 岩井寛うその心理学 1 天才ーーー創造の 繝ノイローゼ 宮城音弥川異常の心理学 相場均 福島章 ”ー。ハ -z ーが亡フ「ノイ 簡自閉症 稲村博 玉井収介繝「誤り」の心理を読むー海保博之症候 ーー森崇 うつ病の時代ーーー大原健士郎好きと嫌いの心理学ー詫摩武俊青春期内科診療ノート 中西信男 自己不安の構造 詫摩武俊躓ナルシズム 石田春夫川露性と適性の 笠原嘉 セルフ・クライシスー石田春夫「らしさ」の心理学ーーー福富護皿退却神経症 「ふり」の自己分析ーー・石田春夫「出会い」の心理学ーー都留春夫正常と異常のはざまーー森省一一 ス -z—レス 磯貝芳郎対人恐怖 内沼幸雄 内山喜久雄Ⅲ集団の心理学 ”ーコ、 / ト・ロー ! ル ストレス 宮城音弥圏自己抑制と自己実現ー唄貝務 5 森田療法 岩井寛バニックの心理 安倍北夫

5. <つきあい>の心理学

なぜ、人の欲求を絶えず満たすことはむつかしいのか。相手がどんな欲求をもっているかの 推察が当たらないことがあるからである。当の本人自身、自分が何を願っているのかわからな いことがある。仮に相手の欲求がよみとれたとしても、それを満たしてやれないことがある。 時間がない、金がない、体力がない、心配ごとがある、立場上できない、他の誰かに気がねし て、などがその例である。 つきつめていえば、相互に愛がないままに人生のある瞬間を共有せざるをえないことがあ る。砂を噛む思いに堪えねばならないことがある。煮え湯を呑まなければならぬことがある。 しかし、それでもおとなは生きる力をもっている。 にもかかわらず、人に拒否されたら自分の人生は台なしである、まっ暗である、生きる価値 へ がない、生きられない、などと落ち込むのはなぜか。思うに幼少期の体験から脱脚していない あ からである。肉体はおとなになったが、心理的には幼少期にとどまっているからである。幼少れ ら 期の条件づけを今でも引きずって歩いているからである。 要約するとこうなる。人との出会い、人との心のふれあいの原理は二つに集約される。 あ 「自分のホンネに気づけ」 っ 「気づいたらそれを表現せよ」

6. <つきあい>の心理学

たい、社会に受け入れられたいーーーを神や仏にすがるかたちで満たしていた。神や仏が父や母印 の代理をしてくれていた。ところが今日のように科学教育が発達すると宗教心は稀薄になって いき、神や仏もむかしほどの神通力をもたなくなった。 神や仏にすがる気持がないから、どうしてもこの現実世界で心のやすらぎを得たくなる。人 と竸って勝たなくても、ただ自分が存在しているということだけで自分を認めてくれる世界を 求めたくなる。それがこころのふれあいである。心のふれあいは勝ち負けのない世界である。 したがって心のいやされる世界である。竸争社会になればなるほど、心のふれあう世界を求め たくなる。アメリカでエンカウンター・グループが盛んなのもそれである。 ことばをかえていえば、現代は神仏も含めて親らしきものが弱いので、人間は親をあてにせ ず、仲間同士でーーっまりきようだい同士でーーーいつくしみ合おうとしているのである。ふれ あいとか出会いといわれるものは、したがって、曾我兄弟の心理である。曾我兄弟には父が殺 されていなかった。それゆえ兄弟が仲よくしなければ生きていけなかった。 親は死んだ ! ではなぜ現代社会には親がいないのであろうか。なぜ、子を叱咤激励し力になってくれる父 しった

7. <つきあい>の心理学

: という心理は現代ほどには強まらなかったと思う。真面目に努力していれば上司や教師が 必ず認めてくれるという信頼感があった。 ところが今はちがう。家族主義の稀薄化と能力主義の台頭が個人と個人の竸争を激化した。 人を出し抜かないと飯が食えないかのような感じが蔓延している。おちおちしておれないので ある。誰かがなんとかしてくれる時代ではない。つまり〃親代理〃がいないのである。「これ これの点をとりました」「これこれのライセンスをもっています」「これこれの仕事をしまし た」と誇示して認められないことには、うだつがあがらないのである。 もっとも、アメリカにくらべると終身雇傭制度の日本はずっとよい。竸争に負けたからとい って職を追われるわけではない。自分さえ窓際族扱いを我慢すれば月給はもらえる。自己保存 の本能のゆすぶられ方はアメリカほどではない。 の掃除夫をしたが、いっ馘になる 私はミシガン州立大学に留学時代、アルバイトでデパート かとびくびくしどおしだった。私より有能な掃除夫が応募してくれば、一発でおろされること を知っていたからである。あるいはレイオフのとき、成績のわるい掃除夫がイの一番に馘にな るからである。私に掃除の仕方を教えてくれた黒人青年は、いつのまにかいなくなってしまっ まんえん

8. <つきあい>の心理学

今きあしの 心理学 自分を正しく見つめること、 現代新書既刊より 人の良さを良さとして認めること、わかってはいるが、 なかなかむずかしい。その手がかりとして、 心と身体の接点の医学Ⅱ心身医学の立場から、 自分とはなにかを探った池見酉次郎『自己分析』、 からだと心の調和を求めつつ、人間の潜在能力をひき出す 具体的な自己鍛錬法を説いた成瀬悟策『自己コントロール』、 「見られる自己」「見る自己」「根源の自己」の関係性の中に ほんとうの自分を見すえた石田春夫『自己不安の構造』、 独自の対人関係トレーニングで人間の真実を見出す過程を示しつつ 人間関係の基底を明かした早坂泰次郎『人間関係の心理学』などがある。 〈つきあい〉の心理学ーーー目次よリ ・つきあいからふれあいへ ・ふれあいの帝王学 役割社会と脱役割 / 親なき競争社会 ・ふれあいのライセンス ・人生哲学の再検討ー七つのビリーフ ・つきあいはヘッドで、ふれあいはハ ・ワンパターンの打破 ・自他のイメージ・チェンジ ・過去からの解放 競争の心理と劣等意識 / 「しつけ」からの脱却 ・こくぶ・やすたか まれ。東京教育大学、同大学院を経て、 儿三 C ) 年、鹿児 現在、筑波大学教授。専攻はカウンセリング心理学。 著書に、 『エンカウンター』『カウンセリング教授法』 『カウンセリング & ①②』・・・・誠信書房、 『教師の自信』『教帥の表情』『教師の教師』ー瀝々社—など、 現代新書に『〈自立〉の心理学』『リーダー、ンツブの心理学』 「チームワークの心理学』がある。 国分康孝 0 実つきあの哈理学ト 講談社現代新書 、 ~ ひとと心のふれあいかもてないために、生きることにつまずいて しまうことか多い。べたっかないふれあいを楽しむためには、 ①人生を時間の流れで観察できること②生きる意味を自分で 創造できること 3 人生における自分の役割をもっていること この三つの資質が欠かせない。自分を見つめ内面の曇りをなくすことが エンカウンター 出会いの出発点なのである。ひとことのあいさつ、潤滑油としての〈つきあい〉、 毅然たる自己主張の大切さなども指摘しつつ、 国分康孝 豊かな人間関係への道を説くガイド・ブック。 ふれあい中毒ーー他とのふれあいがなければ自分は 甚えられないという人間は、 生きてはいけない、士 ふれあい中毒症者である。これは健全なふれあいてはない。 強迫性 ( がむしやら ) は健全ではない。 しつこくない者同士の 健全な人はけっしてしつこくはない。 深い交わり、これが健全なふれあいである。しつこくないためには 条件がある。自分はひとりで人生が歩めるという自己信頼感である。 「人とのふれあいがあるにこしたことはない。それがあれば しかし、なければないで、 人生が豊かになることはまちがいない 自分なりに生きていける」という淡白さ、いさぎよさ、心意気。 これが健全なふれあいをもっためのライセンスである。 ートて 本書よリ 特製ブックカバー物呈 行カマークを川牧集めて 封書でお送 ) ーくたさゾ葉書は不可 ) クスのマーク・代用も可 宛先 講談社新書販売部プ - クカバー係 カバー・イラストⅡ矢吹申彦 講 談 社 現 代 書定価 = 6 ( 用円 ( 本体 583 円 ) I S B N 4 - 0 6 ー 1 4 5 6 4 5 ー 8 C 0 2 1 1 p 6 0 0 E ( 5 ) マークⅡノーベル平和賞 645 P600 ☆☆☆☆☆

9. <つきあい>の心理学

甘える方法を知る 心理的離乳ができないのは、親との結びつきが年齢のわりには過度になっているので、その きずな 絆を断って自立することが不安だからであると述べた。しかし、心理的離乳ができない理由 は、親に甘えすぎたためだけではない。親に甘えられなかったゆえに、人には甘えるまいとい う態度が身についてしまうこともある。甘えることを自戒する。これを外面からみれば、自主 独立の精神をもったしつかり者と映る。これが子どもであれば、かわいげの足りない子どもと いわれる。 廿えたいけれどそれを自戒しているのであるから、ホンネを出さない人間関係をもっている ことになる。つまり、つきあい上手ではあっても、ふれあいにまでは至らない。こういう人物 何かのことで誰かの前で泣くことがある。その瞬間がこの人間にとってはふれあいの序曲 なのである。好ましいことである。心理療法やカウンセリング場面でこういう事態がおこった としたら、私たちセラピストは「クライエントの防御機制が緩和した」と受けとる。つまり、 治癒への一歩前進なのである。 さて、このように甘えを自戒してきた人は、人と心のふれあいがもてない。泣いたことのな

10. <つきあい>の心理学

さて、引き下げの心理、反動形成の心理、自己卑下の心理はいずれも、人と心のふれあいを もたせなくする。なぜならこれらは、人に対する自己防御の策だからである。人に対して心を 開いていない。ふれあいというのは構え ( 防御 ) をとり去らなくてはできないものである。と いうことは、ふれあいというものは、相互に劣等意識を感じない者同士がもてるリレーション である。その例が草野心平と宮沢賢治の話である。 草野心平が貧乏しているとき、宮沢賢治に「米一俵送れ」と電報を打った。宮沢賢治は米一 俵を送れるような余裕のある暮らしではなかった。そこで古本を東京の草野に送った。これを 売って米を買ってくれというのである。草野が宮沢に劣等意識があれば「米一俵送れ」とはい えなかったと思う。宮沢が草野に劣等意識があれば、米も金もないから古本を送るとはいえな かったと田 5 、フ。 草野と宮沢の逆に、劣等意識を持ち合っている関係としてよくあげられるのは女性と女性の放 解 場合である。 の ら 女性同士の友情は育ちにくいという人がいる。あるていど真実だと思う。それは私たちの文 化では、女性は男性に見染められないとデート・恋愛・結婚ができないから、女性はなんとか過 して男性に認められようとする。そこで男性に認められることの少ない女性は、男性に認めら