ナポレオン - みる会図書館


検索対象: 向上心
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1. 向上心

どんな業績を遺し、何を考えたかによって、生きた長さをはかるべきである。人の ために役立っ仕事をすればするほど、考えたり感動したりすることが多ければ多いほ ど、本当に生きていると一言える。 怠けてばかりいて何の役にも立たないような人間は、どんなに長生きをしたとして もただ息をしているだけの存在なのである。 その昔、キリストの教えを説いた人たちは自ら手本を示して労働意欲を盛り上げた。 「働かざる者は食うべからす」と使徒パウロは説き、他人に迷惑をかけず自らの手を 汚して働くことを教えたのである 宣教師ボニフアテイウスはイギリスへ着いた時、片手に福音書を、もう一方の手に は大工の使う物差しをもっていた。のちにイギリスからドイツへ渡る時には、建築の 技術を身につけて行った。ルタ 1 も、植木屋や大工、旋盤工、それに時計屋と、さま かて 抜 ざまな職業についてまじめに働き、日々の糧を自分の手で得ていたのである。 をすばらしい職人芸を見学に行くと、その職人に敬意を払い、帰り際には深々と頭を 仕下げるのがナポレオンの癖だった。セント・ヘレナ島で暮らすようになったナポレオ ンがある夫人と歩いていると、下男が数人、荷物をかついで来るのにぶつかった。夫

2. 向上心

計算の精神を実務の管理にもち込んでしまったのだ」 結局、ラブラスのこの習慣は書斎の中ですっかり固まってしまい、それを実際に応 用するには、彼は年をとりすぎていたのだった。 ダルーの場合はその反対だった。彼には、実際に実務の訓練を受けたという強みが あった。マセナ元帥のもとで軍隊の監督官としてスイスで働いたことがあり、その間 に作家としても名を上げた。政府の評議員及び宮廷監督官という職をナポレオンにす すめられた時、ダルーはとまどった。 「私は書物にうずまってもはや人生の大半を過ごし、廷臣とはどんなものか学ぶ時間 がありませんでしたー するとナポレオンはこう答えた。 「廷臣ならば余のまわりにたくさんいる。数の上では不足がない。余がほしいのは堅 固な意志をもってまじめに働き、みなを啓蒙する能力のある監督官なのだ。だからこ そおまえを選んだのだ」 ダルーは皇帝の希望を受け入れ、ついに首相にまでなった。そこでも能力を存分に 発揮した。そして死ぬまで謙虚で品行方正で公正無私な態度を失わなかった。

3. 向上心

105 仕事をやり抜く ! し、自分の信念を行動に移すために前進するのである。 偉大な科学者の中にも、すぐれた実務能力があることを証明してみせた人は多い。 アイザック・ニュートンが学問の知識豊かな賢人だったからといって、造幣局監督官 としての評判を落としたという話は聞いたことがなし 、。ドイツのフンポルト兄弟は文 学や哲学、言語学、鉱業、それに外交や政治など、何をやらせても同じように才能を 発揮している。 求められる人材、重用される存在となるために ナポレオン一世が科学者に抱いていた意見を考えてみると、どうやら彼は科学者の 助けを借りて行政力の強化をはかったらしい 彼に選ばれた科学者の中には失敗した者もいるが、反対に見事に成功したケースも ある。フランスの天文学者ラブラスは内務大臣の地位についたが、任命されてすぐに まちがいを犯してしまった。のちになって、ナポレオンは彼のことをこ、つ語っている。 「ラブラスは問題の核心を的確につかみとることをせず、常に末梢的なものを追い求 めていた。彼の意見はどれをとってもわかりにくかった。つまり、微分積分の細かい

4. 向上心

ハズリッドは、金つかいは荒いほうだか、 いつも誠実さを失わなかった。彼は似た ような二種類の人についてこう語っている。 「一つは、宵越しの金をもたない使いつぶりのいい人種。彼は、後腐れのないよう最 初に目に飛び込んだ品物を買うために景気よく金を払う。だからいつも金欠病にかか っている。もう一つは、他人の財布から手を離せない人種。彳 ( 皮よ、手持ちの金を使っ た後で誰彼の見さかいなく際限なしに借金をして回る。しかし長い目で見ると、他人 から金銭を引き出す才能は、結局彼を立ち直れなくしている」 " 大常識人。であったがゆえに偉大な業績を遺したスコット スコットが『クオータリ・レヴュー』誌への寄稿文や『ウッドストック』『キヤノ ンゲート年代記』『祖父の話』『ナポレオン伝』 ( 彼はナポレオンの死に自分の死を感 抜 りじていた ) などの作品を、苦悩と悲しみと絶望に打ちひしがれながらどれほどの勢い を で書き上げたかは周知の事実である。これらの作品の売り上げは、みな債権者への返 事 仕 済に回された。 「よく眠れない日が続いたが、今は債権者に感謝された満足感と名誉ある誠実な人間

5. 向上心

怠惰は「悪魔が休息するクッション」 懸命に働くから余暇が生きてくる 流人となってはじめてわかったナポレオンの〃人間的すばらしさ〃 自分の精神にとっていちばん″健康な食べ物〃 2 人生を生きるための「実務能力」を身につける 有能な主婦は同時に有能なビジネスウーマン 天才たちはすべてずばぬけた〃働き者″だったー 力は働く者だけに与えられる冖 3 楽しんで働くからますます " いい仕事。ができるー 考える以上に行動すること 求められる人材、重用される存在となるために 「自分の時間」を生かして大いに鋭気を養う 2 4 心の鍛え方しだいで「人生の迷い」は吹っ切れる 105 ー 03

6. 向上心

とがそれとなくあらわれ、いっとはなしに人びとの尊敬と賞賛を集め、彼の信奉者に クロムウエル、ワシントン、ピット、ウエリントンを してしまうのである。ルター はじめ、偉大な指導者たちには、みなこのように人を引っ張っていく強い人格があっ 偉大な指導者は、磁石が鉄を吸い寄せるように、自分と人格がよく似た人間を引き 寄せるものだ。 たとえばナポレオン戦争で活躍したジョン・ムーアは、将校たちの中から、目ざと くネーピア三兄弟を見分けていた。兄弟のほうでもその返礼として、ムーアに強いあ こがれを抱いたのである。節度ある虚心坦懐なムーアの態度と勇敢さに魅了されてし まったのだ。こうして兄弟は、「この男を手本に行動しよう。できれば肩を並べるま でになりたいものだ」と心に決めたのである。 ウィリアム・ネーピアはのちに外交官となったが、彼の伝記の著者は次のように述 べている。 「兄弟の人格形成の過程におけるムーアの影響は著しい。ムーアが、三兄弟の精神的 並びに道徳的な素質をすぐに発見したことは、すなわちム 1 ア自身、相手の人格を見

7. 向上心

人は怒って声を荒げ、道を空けるようにと命令した。が、ナポレオンは「マダム、彼 らは重い荷物を運んでいるのですよ」と注意をうながしたという。 どんなに目立たぬ汚れ仕事でも社会の幸福に貢献しているものだ。 脱力感・無力感を吹きとばす秘訣 ある中国の皇帝は次のような名一言を遺している。 「一人でも働かない男がいれば、そして一人でも怠け者の女がいれば、必すこの国の どこかで誰かが飢えと寒さに苦しんでいる」 いつも何か役立っ仕事をするという習慣は、男性と同じく女性にとっても幸福の鍵 を握る基本的な条件である。仕事をしない女性は、頭痛とヒステリーを伴うものうい 倦怠感と脱力感のとりこになりやすい。 ある母親は、こんな無気力さに負けてはいけない、 と嫁いだ娘に注意を与えている。 「休みで子供たちがみんな出かけてしまった後は、私も何をしたらいいのかわからす に、昼間のふくろうみたいに気が抜けてばんやりしてしまったことがあるわ。でも、 若い奥さんたちがよく落ち込むこんな気分にのまれてしまってはいけません。いちば

8. 向上心

自分の責任から逃れようとする驚くべき弱さも罰を受ける。幅広い理解力がなけれ ば、些細な問題も大きくなってしまう。そればかりか真に人間らしい生き方をするた めに多少なりとも有効だった精神力は、空つほの頭の中で次々と勝手にでっち上げら れていくつまらぬ悩みごとのために、どんどん消耗されてしまう。 楽しみはたとえ少なくても、いつも何か役立っ仕事に従事していなければならない 働かない者には報酬を受ける喜びは味わえない。ウォルター・スコットは語っている 「仕事をもっているとぐっすり眠れるし、心地よく目覚めることができる。余暇を思 う存分楽しむには、学問であれ義務を伴わない仕事であれ、働いたという実感を少し でももっ必要がある」 働きすぎて命を落とした人も確かにいる。しかし、気ままに自分本位の怠惰な生活 を送ったために死んだ人のほうがはるかに多い働きすぎてだめになるのは、健康管 理を怠って規則正しい生活をしないのが原因である場合が多い。 流人となってはじめてわかったナポレオンの " 人間的すばらしさ。 実際に生きた歳月の長さで人の寿命をはかることはできない。

9. 向上心

158 「私は、この本の中のティモレオン、シーザー、プルータス、ペロピディアスの生涯 を六回以上も読んだ。そしてそのたびに感動の余り涙を流し、気も狂わんばかりに夢 中になったものだ。これらの偉大な英雄たちの堂々たる人格にふれるたびに、じっと してはいられないような強い興奮をおばえたのだ」 シラー べンジャミン・フランクリン、ナポレオン、マダム・ロランなどはみなプ ルタ 1 クの愛読者である。マダム・ロランに至っては『英雄伝』に熱中する余り、聖 書に見せかけてミサの間もこっそりと読みふけっていたという 『プルターク英雄伝』は、フランスのアンリー四世、テュレンヌ、軍人ネピアなどの 勇敢な人たちにとっても心の糧であった。 ウィリアム・ネピアは、子供の頃にこの本を読んで感動を受け、昔の偉大な英雄た ちに強くあこがれるようになった。この本の影響はまちがいなく彼の一生の方針を決 めたし、人格の形成にも大いに貢献している しっしかプルター 病状が悪化して死を目前にひかえ、衰弱し切ったネピアの心は、、 クの英雄たちの昔に戻っていった。義理の息子を相手に、彼はアレクサンダー大王や ハンニバル、シーザーの業績を、時を忘れて話して聞かせたという。