女子大生 - みる会図書館


検索対象: 半径500mの日常
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1. 半径500mの日常

れるこの手のニュ 1 スを見るたびにぶつぶついっていたのだが、ふと、こういったプ 1 ル開きや スケ 1 ト・リンクのオープンのときに、必ず女子大生がその場にいるのはなぜだろうかと、突然、 不思議に思えてきたのである。 真っ先に泳いだりスケ 1 トをしたいのは何も女子大生ばかりではあるまい。泳ぎの好きな人は 山ほどいる。しかしニュ 1 スの画面に写しだされるのはすさまじい数の女子大生である。おなか のせり出たおっさん、若い男の子のかげも形もない。子供の姿も見えない。単にオープンしたこ とを知らせるのだったら、おっさんや男の子でもいいじゃないかと思うのだが、ニュースではこ とさら「『女子大生』が視聴者のみなさんより先に、今年『初めて』楽しみました」ということ を強調している。きっと誰かが裏から手を回して、女子大生が大挙して押し寄せたかのように見 せているのだろうし、そうでなければアルフィ 1 のコンサ 1 トじゃないんだから、あんなに女の 子が集まるはずがない。広告代理店の若いのが上司に、「学生時代のクラブの後輩をかき集めて こい。顔がアップにならないから質よりも量だぞ」などと命令されて必死にかき集めてきたのに 違いない。彼女たちは集団じゃないと価値がないのである。 あるときは、かき集められた女子大生が女性だけの討論会に出席していた。「女の生き方」を テ 1 マに、ポルノ女優、詩人、 O* などが出ていたのだが、女子大生はポルノ女優の仕事を非難 したりして、ロだけは達者に頑張っていた。男には好かれるが、女には嫌われるタイプの女子大 250

2. 半径500mの日常

生のうちの一人は、「女も仕事を持たなければいけない」という意見に反対して、 「どうして好きな人のために料理を作ったり、子供の世話をしたりするのがいけないんですか」 とエキサイトしていた。私はテレビの前で、 し「これは面白くなってきた」と喜んでいた。 し ところが議論が伯仲すると思っていたのに、詩人で主婦でもある人が、 敬 を「私は詩人だし、主婦もやってますけど、はっきりいって家事だけやってると・ハ力になります 子 女 と、ひとこといったとたん、彼女はしゅんとして黙ってしまったのである。女子大生はひとっ のことしかやっていない人に対しては突っ込んでいくが、主婦でもありまた職業人として働いて 象いる人に対しては、返す言葉がないのである。仕事を非難されたポルノ女優たちもちゃんとした 印 な意見を持っていたし、やはり中では女子大生が「考えが浅い」としか思えないような番組になっ てていた。 らプ 1 ル開きやスケ 1 ト・リンクのオ 1 プンにかりだされて能天気に騒ぎ、討論会では先輩の女 に たちに叩かれたりして、女子大生は本当に世の中で都合のいいように使われている人種だ。誰で スも彼女たちを見ていると、優越感にひたることができる。「あんな事やって・ハ力だなあ」とバカ マ にできるし、おじさんたちは、「性格なんてどうだっていいから、ああいう若い女の子とお付き 251

3. 半径500mの日常

と感じ、特に女の子はホントに何度も何度もをまわしているんじゃないかと思えるほど 同じ顔、同じスタイルでカッコイイビルの中からわいて出てくるのだ。そして友だちと肩を叩き あい、きやびきやび騒いでいる姿も全く同じ。都会の雑踏の的光景であった。テレビやラジ オでいわれているように、やつばり今の若い女の子っていうのは個性がないんだなあ、と渋谷を 歩いてそう思った。中で個性的なのを捜そうとすると、後頭部の毛を全部剃っているかわりにそ の分前髪が鼻まで垂れ下がっている女とか毛がツンツンに立っていて真っ赤なワカメみたいにビ ラビ一フした服を着ていたりとか、仮装行列のようで、極端なのである。 同年配の男の子たちは彼女らのことをどう思っているのか、私の勤めている会社でアル・ハイト をしている男の子にきいてみた。彼は家賃二万の四畳半の間借り生活ながら、フジテレビの女子 大生番組「オ 1 ルナイトフジ」を録画するために月一万の月賦を払ってビデオを購入したという 人である。 「あなた、女子大生なんてみんな同じ顔して、同じようなことしか言わないじゃないの。高いビ デオそんなもの撮るために買って、田舎の御両親もその事実を知ったら悲しむんじゃないの」 とい、つと、 「いやあれは生活のうるおいですよ」 彼はニコニコしながら言う。夜、四畳半の部屋でひとりじっとしていると、もうめったやたら 156

4. 半径500mの日常

仕事をしていたら、つけっ放しにしていたテレビから、「スケ 1 ト・リンクがオ 1 プンして、 女子大生が初滑りを楽しんでいました」というニ = 1 スが流れてきた。何気なく画面を見たら女 子大生がスケ 1 ト靴をはいてお互いにしつかと手を握りあい、腰をガクガクいわせながら必死に なって氷の上を歩いている。そういえば夏のプール開きのときも同じようなニュ 1 スが流されて いた。スケ 1 トはまだしもプ 1 ルのときは、水に入るには少し低い気温だというのに、みんな見 事な太腿をあらわにしてぶるぶるふるえながら水の中に入っていた。浮かべられたゴム・ポ 1 ト によじ登るのに失敗して股を開いて水中に落下したり、子供みたいにキャ 1 キャ 1 大騒ぎしなが ら水を引っ掛けあったりしていたのだ。「こんなつまんないこと放送するな」と、毎年繰り返さ マスコミに操られて愚かな印象を 振りまく女子大生を尊敬してしまう 249

5. 半径500mの日常

とくらーくなってしまい、むなしくなってくる。そのとき録画しておいた、かの「オールナイト フジ」をセットする。するとキャ 1 キャ 1 華やいだ声とミニスカ 1 トが殺風景な部屋にあふれる。 その姿を見ていると自然に頬がゆるみ、とっても幸せな気分になるんだ、などという。 「ボク、もう見てるだけでいいんです。電車に乗ってて女子大生がグル 1 プで乗ってきたりする 景でしよ。ああいう日は一日中気分がいいんですよ、アハハノ いくら外見は同じでも中身は女で すからね。何でもいいですよ」 た中身は女という生々しい発言が多少気にはなったが、ああだこうだといろいろいわれても、誰 踏かの役には立ってるんだと感心したが、やつばり私はこのテの女子大生というのは不気味としか の思えない。 ーマ 1 ケットに買い出しにいった時のことだ。ちょうど ところがきのう、会社の近くのス 1 じ昼食時にぶつかり、まわりのビルからは制服にサンダルをつつかけた、ネクタイをゆるめな んがらガニ股で歩くサラリーマンのグル 1 プがこれまた渋谷の街のようにわいて出てきた。 が「ああ、典型的日本のオフィス街風景 : : : 」 と思いつつスー ーの袋をプラブラさせながら歩いていたら、そばにあるこぎれいな定食屋か が れら、次々に四、五人の中年のサラリー々ンが出てきた。どの人も四十代後半といった年まわりで す ある。トボトボと同じ方角にむかって皆、判で押したように白い半袖のワイシャツを着て、ネク ノ ノ 157

6. 半径500mの日常

先日高校時代の友人と会った。新婚三カ月目の人妻である。喫茶店で向かいあって話をしてい ても、どうもポ 1 ッとしている。 「あんた、どうしたの」 「うーん、このごろ寝不足なのよ」 そうか、新婚だものねー、と不謹慎な事を考えていたら彼女は、 「あなた、変なこと考えてるでしょⅡ」 と鋭くついてくるのである。 「だってそれしか考えられないじゃないの」 新婚三カ月の人妻を悩ませるのは 連日連夜、二階の女子大生が張る酒宴 198

7. 半径500mの日常

タイを中途半端にゆるめ、背広を " 小林旭の渡り鳥シリーズ。風に肩にかつぎ、歯の間に楊子を ーやりながら歩いていった。おじさんたちは他の人が何をやっている つつこんでシーハ 1 シーハ か見えないから仕方ないとしても、それを見て、 「ゲゲ、気持ち悪い」 と思 0 たのは偽らざる事実である。女子大生と中年のおじさんのああい 0 た姿は何かもの哀し いなあ、と会社に帰る道すがら考えたのであった。 158

8. 半径500mの日常

「本当に想像力が貧困なんだから」 彼女はブップッいっている。どうも理由は他にあるらしい。よく話をきいてみると、彼女のア 。ハ 1 トの二階に住んでいる女子大生二人が夜な夜なドンチャン騒ぎをして眠れないというのであ 畷る。そのア。ハ 1 トは世田谷区の住宅地の中にあり、六畳二間と八畳の台所にバス・トイレという 二人暮らしだ 0 たら充分の広さである。びどいときには十人位の人間が集ま 0 て深夜の酒宴をく 女りひろげているというのだ。その女子大生二人というのも別に服装も化粧も容姿も普通のごく平 の 階凡な風体で、あんなにギャ 1 ギャ 1 と大ぎするようには見えないらしい。 広「それがね、連れこんでるのが全部男なの、全然そんなことするように見えないのよ。だからよ 日けい恐ろしいね」 のそういえば私たちのころは見るからにあばずれという感じの女の子がいてみんなが敬遠したも せのだけど、今は本当に誰が何をやってんのか全然見当がっかないからこわいのだ。髪の毛をピン ピン立てて鎖をジャラジャラつけた男の子が年寄りに席を譲ったり、きちんとした身なりの若い を 人男が我れ先にと空席を陣取ったり : : : 本当に見かけで人を判断できない時代になってきた。 の 月その子たちの蛮行が連日続くにつれ、近所の人々が怒り、夜どれだけ騷いでどれだけうるさか 婚ったかというのを毎日ノ 1 トに書いてそれをつきつけ、静かにするか出ていくのかはっきり結着 新 をつけようと緊急町内会で決まったのであった。そこで白羽の矢が立ったのが彼女である。理由 199

9. 半径500mの日常

合いしたい」と妻の三段腹を思い出しながらでれ 1 っとするだろう。 結局のところ他人をいい気分にさせる人々なのである。世の中はいつでも「馬鹿にできる存 在」を求めているから、その役を仰せ付かった女子大生は任務をしつかりと果たしている。まだ 暑くならないのに震えながらプールに入ったり、巷の人々がセ 1 ターさえ着ていないのに、手袋 までしてへタクソなスケートをやって見せる人がどこにいるだろうか。金がからんでいたとして も、結局はそういうことをやってしまう人たちを、私はある意味で尊敬してしまう。彼女たちか ら愚かなイメ 1 ジがなくなったら一番困るのはマスコミだろう。もしもそういう日がきたら、少 なくともプ 1 ル開きとスケート・リンクのオープンのニュ 1 スは放送されなくなるに違いない。 252

10. 半径500mの日常

カルガモに浮かれるヒマがあるならば 思いを馳せよ、保健所送りの大猫に なんとかしてくれ性悪カラスの大発生 のらカラスは鳥の世界のヤッちゃんだ 死んじゃうかも : : : 正月の餅の悲劇に ひるんだ私。今の子供はかわいそう 無視せんと思えど気になる「大殺界」 一喜一憂、世に占」の種は尽きまじ 町中の軍艦マーチに思わず「イチ、ニ」 と体が動く。こんな私に誰がした 229 237 245 233 マスコミに操られて愚かな印象を 振りまく女子大生を尊敬してしまう > 、雑誌のグルメ情報、立腹するのは いいけれど、裏には恐 ~ いことがある 乙女心を刺激する「夜のお菓子うなぎ 。ハイ」ネーミングの真髄を見た 賢いはずのワ 1 プロだけど、使って みれば便利な分だけ面倒くさい 初出一覧 262 258 253