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検索対象: 啄木歌集
287件見つかりました。

1. 啄木歌集

ダイナモの うな 重き唸りのここちよさよ あはれこのごとく物を一「ロはまし へうきん さが 剽輕の性なりし友の死顏の あを 靑き疲れが まも目にあり 気の軈る人に仕へて つくづくと わが世がいやになりにけるかな しんけん 眞劍になりて竹もて犬を撃っ せうに かに 小兒の顏を よしと思へり め ひと たけ もの しにがほ

2. 啄木歌集

親と子と こころ はなればなれの心もて靜かに對ふ き な 気まづきや何ぞ ふね かの船の ひとり かの航海の船客の一人にてありき し 死にかねたるは まへ 目の前の菓子皿などを かりかりと噛みてみたくなりぬ もどかしきかな わかをとこ よく笑ふ若き男の し 死にたらば すこしはこの世のさびしくもなれ め わら くわしざら んかく しづ

3. 啄木歌集

尋常のおどけならむや ナイフ持ち死ぬまねをする その顏その顏 たか こそこその話がやがて高くなり ビストレ鳥りて じんせいをは 人生終る 時ありて 子供のやうにたはむれす こひ 戀ある人のなさぬ業かな とかくして家を出づれば につくわう 日光のあたたかさあり す 息ふかく吸ふ じんじゃう とき かほ ひと な はなし かは わざ

4. 啄木歌集

さら 白き皿 拭きては棚に重ねゐる をんな 酒場の隅のかなしき女 かわ ふゅ 乾きたる冬の大路の 何處やらむ 石炭酸のにほひひそめり あかあか 赤赤と人日うつれる まど 河ばたの酒場の窓の かに 白き顏かな しろ せきたんさん しろ コニャックの醉ひのあとなる やはらかき このかなしみのすずろなるかな すみ いりひ たな おち かさ

5. 啄木歌集

202 何もかもいやになりゆく きもち この気持よ。 おも 思ひ出しては煙草を吸ふなり。 何か、かう、書いてみたくなりて、 ペンを取りぬ あさ 花活の花あたらしき朝。 放たれし女のごとく、 ふるま わが妻の、振舞ふ日なり。 ダリヤを見人る。 あてのなき金などを待っ思ひかな。 寐つ、起きっして、 くら 今日も暮したり。 なに なに はないけ はな つま はな をんな かね

6. 啄木歌集

あめふ 雨降れば わが家の人誰も誰も沈める顏す あめは 雨霽れよかし こころ たか 高きより飛びおりるごとき心もて いっしゃ , この一生を をは 終るすべなきか この日頃 ひそかに胸にやどりたる悔あり わら われを笑はしめざり へつらひを聞けば 腹立つわがこころ し われ あまりに我を知るがかなしき はらだ ひごろ ひとたれ むね たれ しづ かほ

7. 啄木歌集

て どうなりと勝手になれといふごとき わがこのごろを おそ ひとり恐るる。 手も足もはなればなれにあるごとき ねざめ ものうき寐覺ー ねざめ かなしき寐覺ー みすばらしき鄕里の新聞ひろげつつ、 ごしよく 誤植ひろへり。 今朝のかなしみ。 たれ われ 誰か我を おも ぞんぶんしか 思ふ存分叱りつくる人あれと思ふ。 なに こころ 何の心ぞ。 かって しんぶん ひと

8. 啄木歌集

181 小ほ 生れたといふ葉書みて、 ひとしきり、 顏をはれやかにしてゐたるかな。 そうれみろ、 ひと あの人も子をこしらへたと、 ここち す 何か気の濟む心地にて寐る。 なに いしかは 「石川はふびんな奴だ。」 じぶん ときにかう自分で言ひて かなしみてみる。 ドア推してひと足出れば、 びやうにん 病人の目にはてもなき 長廊下かな。 ながらうか お め はがき あしで やっ

9. 啄木歌集

いつも逢ふ電車の中の小男の 稜ある眼 このごろ気になる かがみや まへ 鏡屋の前に來て おどろ ふと驚きぬ み あゆ 見すぼらしげに歩むものかも おも 何となく汽車に乘りたく思ひしのみ ぎしゃ 汽車を下りしに ゆくところなし あきや 室家にり 煙草のみたることありき ひとりる あはれたた一人居たきばかりに なに 小ど お あ きしゃ でんしゃ なか こをとこ

10. 啄木歌集

105 ひらて 平手もて ふふき 吹雪にぬれし顏を拭く ともきようさんしゅぎ 友共産を主義とせりけり 酒のめば鬼のごとくに靑かりし 大いなる顏よ かなしき顏よ 樺太に人りて しうけう 新しき宗教を創めむといふ 友なりしかな をさ 治まれる世の事無さに あ 飽きたりといひし頃こそ かなしかりけれ さけ おに からふと あたら かほ かほ おに かほ ことな ころ あを