窓 - みる会図書館


検索対象: 啄木歌集
266件見つかりました。

1. 啄木歌集

ふるさとの土をわが踏めば なに あしかろ 何がなしに足輕くなり こころおも 心重れり こころいた ふるさとに入りて先づ心傷むかな 道廣くなり 橋もあたらし 見もしらぬ女教師が そのかみの まなびや た わが學舍の窓に立てるかな かの家のかの窓にこそ 春の夜を 秀子とともに蛙聽きけれ ひでこ はる み みちひろ まど をんなけうし かはづき まど ま

2. 啄木歌集

あめ うつ やまあひ わか 若くして すにん ちち 數人の父となりし友 子なきがごとく醉へばうたひき さりげなき高き笑ひが 酒」し」、もに はらわたし 我が腸に沁みにけらしな あくびか 咲呻噛み よぎしゃ まど わか 夜汽車の窓に別れたる わか ものた 別れが今は物足らぬかな よぎしゃ 雨に濡れし夜汽車の窓に 映りたる まち 山間の町のともしびの色 さけ ト わら まど

3. 啄木歌集

131 窓硝子 塵と雨とに曇りたる窓硝子にも かなしみはあり むとせ 六年ほど日毎日毎にかぶりたる ふる ば ) し 古き帽子も す 棄てられぬかな まどガラス ちり こころよく 春のねむりをむさばれる くさ 目にやはらかき庭の草かな あかれんぐわとは たかべい 赤煉瓦遠くつづける高塀の むらさきに見えて 春の日ながし はる はる め あ ひ ひごとびごと み まどガラス

4. 啄木歌集

びやうしつまど 病室の窓にもたれて、 ひさ じゅんさ 久しぶりに巛 辷査を見たりと よろこべるかな。 睛れし日のかなしみの一つ まど びやうしつ 病室の窓にもたれて たばこあちは 煙草を味ふ。 夜おそく何處やらの室の騒がしきは 人や死にたらむと、 息をひそむる。 みやく 脉をとる看護婦の手の あたたかき日あり つめたく堅き日もあり よる ひと し ひ かた かんごふ ひ ひ み て ひと さわ

5. 啄木歌集

かの旅の夜汽車の窓に おもびたる 我がゆくすゑのかなしかりしかな ふと見れば はやし とある林の停車場の時計とまれり 雨の夜の汽車 わかれ來て あかりをぐら 燈火小暗き夜の汽車の窓に弄ぶ あを りんご 靑き林檎よ つも來る さかみせ この酒肆のかなしさよ さ ひあかあか さけ ゅふ日赤赤と酒に射し入る あ たび み きしゃ よぎしゃ よ ていしやば きしゃ まど まどもてあそ

6. 啄木歌集

311 鏡屋の前にきてふと驚きぬ・ かかる目にすでに幾度會へることぞ ! かぎりなき知識の懲にゆる眼を かくばかり熱き涙は初慧の 堅く握るだけの力も無くなりし 校の圖書庫の裏の秋の草・ かなしきは秋風ぞかし稀にのみ かなしきは砲くなき利已の一念を かなしきは小樽の町よ歌ふこと かなしきはかの白玉のごとくなる かなしきは喉のかわきをこらへつつ かなしきは我が父 ! 今日も新聞を かなしきは、 ( われもしかりぎ ) 叱れども、 かなしく頭のなかに崖ありて かなしくも、病いゆるを願はざる かなしくも夜明くるまでは殘りゐぬ かなしみと言はば言ふべき物の味 かなしみのつよくせまらぬさびしさよ・ かなしめば高く笑ひき酒をもて かにかくに澁民村は戀しかり・ かの家のかの窓にこそ春の夜を かの聲を最一度聽かばすっきりと・ かの時に言ひそびれたる大切の かの族の汽車の車掌がゆくりなくも・ かの旅の夜汽車の窓におもひたる・ かの年のかの新聞の初雪の かの船のかの航海の船客の : 五七 かの村の登記所に來て肺病みて・ 壁ごしに若き女の泣くをきく・ 神有りと言ひ張る友を説きふせし・ ・五四神寂びし七山の杉火のごとく・ ・夫神様と議論して泣ぎしーーあの夢よ ! き神無月岩手の山の初雪の・ 訷のごと遺く姿をあらはせる・ ・ : 一一五樺太に入りて新しき宗敎を・ かりそめに忘れても見まし石だたみ・ ・ : 一一 0 五乾きたる冬の大路の何處やらむ・ 考へれば、ほんとに欲しと思ふこと 閑古鳥 ! 澁民村の山莊を : 一ル五 閑古鳥鳴く日となれば起るてふ : 一五大肴護婦が徹夜するまで、わが病ひ、・ キ ・殳氣がつけばしっとりと夜霧下りて居り : 六五 きしきしと寒さに踏めば板軋む・ : 七四 汽車の旅とある野中の停車場の・ 汽車の窓はるかに北にふるさとの・ 氣にしたる左の膝の痛みなど・ 氣ぬけして下に立ちぬあららかに・ 昨日まで朝から晩まで張りつめし・ : 奕 : 七ル ・七三

7. 啄木歌集

319 引越しの朝の足もとに落ちてゐぬ、・ びっしよりと盗汗出てゐるあけがたの・ ひでり雨さらさら落ちて前栽の 人ありて電車のなかに唾を吐く・ 人がいふ鬢みほっれのめでたさを・ 人がみな同じ方角に向いて行く・ ひと塊の土に涎し泣く母の・ 人氣なぎ夜の事務室にけたたましく・ 人ごみの中をわけ來るわが友の・ ひとしきり靜かになれるゆふぐれの 人といふ人のこころに一人づっ ひとところ、疊を見つめてありし間の 人とともに事をはかるに適せざる 人並の才に過ぎざるわが友の・ ひとならび泳げるごとき家家の ひと晩にかせてみむと、梅の鉢を・ 人ひとり得るに過ぎざる事をもて・ 人みなが家を持ってふかなしみよ・ ひと夜さに嵐來りて築きたる・ 皮膚がみな耳にてありきしんとして 非凡なる人のどとくにふるまへる 百﨡の多くは酒をやめしといふ。・ ひやひやと夜は藥の香のにほふ・ ひややかに淸き大理石に春の日の・ ひややかに罎のならべる棚の前・ : 一大病院に人りて初めての夜といふに・ 病院に來て、妻や子をいつくしむ・ 病院の窓によりつつ、いろいろの ・八三 病院の窓のゆふべのほの白き・ 剽輕の性なりし友の死顏の・ : 一七 0 病室の窓にもたれて、久しぶりに・ 憲然と家を出でては融然と・ 氷嚢の下よりまなこを光らせて、 氷嚢のとけて温めば、おのづから・ 漂泊の愁ひを敍して成らざりし・ ・ : 一三五 平手もて吹雪にぬれし顏を拭く・ ひる寐せし兒の枕邊に人形を・ フ ふがひなきわが日の本の女等を・ ふくれたる腹を撫でつつ、病院の・ : 八五藤沢といふ代議士を弟の・ 二晩おきに夜の一時頃に切通の・ 二三こゑいまはのきはに微かにも 二日前に山の繪見しが今朝になりて・ ふと思ふふるさとにゐて日毎聽きし ふと深き怖れを覺えちっとして・ ふと見ればとある林の停車場の 船に醉ひてやさしくなれるいもうとの ふるさとを出て來し子等の相會ひて・ : ・一七五 : 突 : 三 0 七 : 大四

8. 啄木歌集

しは きた 潮かをる北の濱邊の すなやま 砂山のかの濱薔薇よ 今年も咲けるや わか たのみつる年の若さを數へみて ゅび み 指を見つめて たび ↓ガ力いやになりき 三度ほど まど 汽車の窓よりながめたる町の名なども しこしかりけり みたび きしゃ ことし はまべ はまなす とし かぞ まち

9. 啄木歌集

129 あたら つくづくと手をながめつつ おもひ出でぬ じゃうず キスが上手の女なりしが さびしきは 色にしたしまぬ目のゆゑと 赤き花など買はせけるかな ほん 新しき本を買ひ來て讀む夜半の そのたのしさも 長くわすれぬ 旅七日 かへり來ぬれば あか わが窓の赤きインクの染みもなっかし なが たびなのか はな まど て をんな め し よは

10. 啄木歌集

さら 白き皿 拭きては棚に重ねゐる をんな 酒場の隅のかなしき女 かわ ふゅ 乾きたる冬の大路の 何處やらむ 石炭酸のにほひひそめり あかあか 赤赤と人日うつれる まど 河ばたの酒場の窓の かに 白き顏かな しろ せきたんさん しろ コニャックの醉ひのあとなる やはらかき このかなしみのすずろなるかな すみ いりひ たな おち かさ