顏 - みる会図書館


検索対象: 啄木歌集
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1. 啄木歌集

105 ひらて 平手もて ふふき 吹雪にぬれし顏を拭く ともきようさんしゅぎ 友共産を主義とせりけり 酒のめば鬼のごとくに靑かりし 大いなる顏よ かなしき顏よ 樺太に人りて しうけう 新しき宗教を創めむといふ 友なりしかな をさ 治まれる世の事無さに あ 飽きたりといひし頃こそ かなしかりけれ さけ おに からふと あたら かほ かほ おに かほ ことな ころ あを

2. 啄木歌集

ダイナモの うな 重き唸りのここちよさよ あはれこのごとく物を一「ロはまし へうきん さが 剽輕の性なりし友の死顏の あを 靑き疲れが まも目にあり 気の軈る人に仕へて つくづくと わが世がいやになりにけるかな しんけん 眞劍になりて竹もて犬を撃っ せうに かに 小兒の顏を よしと思へり め ひと たけ もの しにがほ

3. 啄木歌集

尋常のおどけならむや ナイフ持ち死ぬまねをする その顏その顏 たか こそこその話がやがて高くなり ビストレ鳥りて じんせいをは 人生終る 時ありて 子供のやうにたはむれす こひ 戀ある人のなさぬ業かな とかくして家を出づれば につくわう 日光のあたたかさあり す 息ふかく吸ふ じんじゃう とき かほ ひと な はなし かは わざ

4. 啄木歌集

死にたくてならぬ時あり ひとめ はばかりに人目を避けて 怖き顏する 一隊の兵を見送りて かなしかり かれら 何ぞ彼等のうれひ無げなる くにびと 邦入の顏たへがたく卑しげに 目に、つつる日なり 家にこもらむ やすみ この次の休日に一日寢てみむと おも 思ひすごしぬ みとせ 三年このかた し なに いったい かほ つぎ かに みおく ひ いちにちね とき さ な

5. 啄木歌集

人ごみの中をわけ來る我が友の靴の破れを見ぬふりに見る ( 明治四十三年八月二十八日 ) 九月九日夜 何となく頭の中に水盛れる器ある如しちっとしてゐる ふるさとの床屋の鏡わが顏と麥の畑をうっせし鏡 何事も金々といひて笑ひけり不平のかぎりぶちまけし後 秋風の來るごとくに來りたる我の疑惑は人し知らなく 庭石に時計をはたと擲てる昔の我のなっかしきかな 怒れども心の底の底になほ怒らぬところありてさびしき 家に人りて我が壁に對す壁語らずしづかに壁を撫でて悲しむ 手も足も出ずと呟きて手も足も投げ出して寢る男の顏かな しんとして眠れる夜の大道をわが足音を気にしつつゆく 九月の夜の不平 何となく顏がさもしき邦人の首府の大空を秋の風吹く つね日頃好みて言ひし革命の語をつつしみて秋に入れりけり 今思へばげに彼もまた秋水の一味なりしと知るふしもあり この世よりのがれむと思ふ企てに遊蕩の名を與へられしかな なげう くにびと

6. 啄木歌集

312 氣の變る人に仕へてつくづくと・ 君來るといふに夙く起き白シャツの 君に似し姿を街に見る時の・ 今日逢ひし町の女のどれもどれも・ 今日聞けばかの幸うすきやもめ人・ 興來れば友涙垂れ手を揮りて 敎室の窓より逅げてただ一人 共同の薬屋開き儲けむと・ 京橋の瀧山町の新聞社・ 今日ひょいと山が戀ひしくて山に來ぬ。 今日ひょっと近所の子等と遊びたくなり 今日もまた酒のめるかな ! 酒のめば・ 今日もまた胸に痛みあり。死ぬならば・ 今日よりは我酒など呷らむと 今日は、なぜか、二度も、三度も、金側の 氣弱なる斥候のごとくおそれつつ 霧ふかぎ好阜の原の停車場の・ 銀行の窓の下なる舖石の・ ク 草に臥ておもふことなしわが額に 藥のむことを忘るるを、それとなく、・ 藥のむことを忘れて、ひさしふりに、・ くだらない小説を書きてよろこべる 鄕里にゐて身投げせしことありといふ・ : 一一五邦人の顏たへがたく卑しげに・ クリストを人なりといへば、妹の眼が 軍人になると言ひ出して、父毋に・ ケ ・五ル藝事も顏もかれより優れたる・ けものめく顏あり口をあけたてす・ : 一 0 大原稿紙にでなくては字を書かぬものと、・ コ : 三 0 大公園のかなしみよ君の嫁ぎてより・ 公園の木の間に小鳥あそべるを・ 公園の隅のべンチに二度ばかり 公園のとある木蔭の捨椅子に かうしては居られすと思ひ立ちにしが : 一四ル鮫として玉をあざむく小人も・ 子を負ひて雪の欧き人る停車場に・ 子を叱る、あはれ、この心よ。熱高き・ 見を叱れば、泣いて、寐人りぬ。ロすこし・ ごおと鳴る凩のあと乾きたる こほりたるインクの罎を火に聲し : 一九五 こころさし得ぬ人人のあつまりて こころみにいとけなき日の我となり ・四六 こころよき疲れなるかな息もっかす・ こころよく春のねむりをむさぼれる : 夫 : 九八

7. 啄木歌集

放たれし女のごときかなしみを 弱き男も ひいまし この日今知る 庭石に はたと時計をなげうてる むかし 昔のわれの怒りいとしも 顏あかめ怒りしことが あくる日は さほどにもなきをさびしがるかな らだてる心よ汝はかなしかり ・さいざ一 あくび すこし映呻などせむ よわをとこ かほ はな をんな こころなれ

8. 啄木歌集

さら 白き皿 拭きては棚に重ねゐる をんな 酒場の隅のかなしき女 かわ ふゅ 乾きたる冬の大路の 何處やらむ 石炭酸のにほひひそめり あかあか 赤赤と人日うつれる まど 河ばたの酒場の窓の かに 白き顏かな しろ せきたんさん しろ コニャックの醉ひのあとなる やはらかき このかなしみのすずろなるかな すみ いりひ たな おち かさ

9. 啄木歌集

あめふ 雨降れば わが家の人誰も誰も沈める顏す あめは 雨霽れよかし こころ たか 高きより飛びおりるごとき心もて いっしゃ , この一生を をは 終るすべなきか この日頃 ひそかに胸にやどりたる悔あり わら われを笑はしめざり へつらひを聞けば 腹立つわがこころ し われ あまりに我を知るがかなしき はらだ ひごろ ひとたれ むね たれ しづ かほ

10. 啄木歌集

162 痛む齒をおさへつつ、 あかあか 日が赤赤と ふゅ もや なか 冬の靄の中にのばるを見たり。 ある つまでも歩いてゐねばならぬごとき 思ひ湧き來ぬ、 まちまち 深夜の町町。 なっかしき冬の朝かな。 湯をのめば、 湯気がやはらかに顏に なん 何となく、 けさ すこ こころあか 今朝は少しくわが心明るきごとし。 手の爪を切る。 おも しんや ふゅ あさ かほ ・か - か、れり -