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検索対象: マキアヴェッリ語録
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1. マキアヴェッリ語録

のであった。 つまり彼らは、眼前の紛争にのみ役立っ対策を講じたのではない。将来起りうるものに も、対策を忘れなかったのだ。ローマ人は、あらゆる努力を払って、それらがまだ芽でし かないうちに、つみ取ってしまうことを忘れなかったのである。 将来起りうる紛争も、芽のうちにつみ取っていれば、対策も容易になる。医療も、効果 を発揮させるには「間に合う」ことが必要であるからだ。 古代のローマ人は、現代 ( 十六世紀 ) の智恵者たちがよく口にする、時の恵みを待つ、 ヴィルトウ という態度を好まなかった。それよりも、彼ら自らの力量と判断力のほうを頼りにした のである。 というのも、時は一切のものをもたらすからであり、それゆえ、善を連れてきもすれば、 悪もともに連れてくるものだからである。 頭にしかと入れておかねばならないのは、新しい秩序を打ち立てるということくらい、 「君主論』

2. マキアヴェッリ語録

第一部君主篇 を告げてもあなたが気分を損じないという保証を、示すことしかないのである。 といって、誰もかもがあなたに真実を告げてもよいとなると、今度は、あなたに対する 敬意を減ずるという、危険も生じてくる。 こうなると、思慮に富む君主ならば、第三の道を選ぶことになる。 つまり、国内から賢明な人物を幾人か選んで、彼らにだけ、あなたに向って真実を告げ る役割を与えるのだ。 それも、あなたが問うた事柄についてだけで、彼らからの自発的な発言は禁ずる。 その代わり、あなたは、すべての事柄について質問しなければならない。そうしておい て、彼らの自由率直な意見を求めるのだ。 そしてその後で、あなた自身の判断で、決定をくだす。 自由率直に思うことを述べれば述べるほど歓迎されるということを、この助一一一一口者グルー プには感得させる必要がある。 そのうえ、彼ら以外の人々には助言を求めないことも断言し、彼らの助一言をもとにして くだす決定は、あなた自身の責任において断じて実現させることも、忘れてはならない。 もしも、これとはちがうやり方をとる君主は、へつらい者の害毒に全身を侵されてしま うだけでなく、種々雑多な意見に振りまわされ、そのたびに決定をひるがえす結果となり、 あげくの果ては、君主自らの評判を落としてしまうことになる。

3. マキアヴェッリ語録

わたしは、はっきりと言いたい 運は、制度を変える勇気をもたない者には、その裁定を変えようとはしないし、天も、 自ら破滅したいと思う者は、助けようとはしないし、助けられるものでもないのである、と。 『若干の序論と考慮すべき事情をのべながらの、資金援助についての提言』 衆に優れた人物は、運に恵まれようと見離されようと、常に態度を変えないものである 運命は変転しても、彼らは毅然とした精神を保ちつづけているので、他人の眼には、運 命もこの人々にはなんの影響も与えないのではないかとさえ、見えるほどだ。 おもて 反対に、弱い人間にとっての運命の変転は、表にあらわれてしまう。好運に恵まれたと きは有頂天になり、まるで自分個人の力量のためであるかのように得意がる。そして、周 囲には耐えがたい存在になったあげくに贈まれる。 ところが、ほどなく運にかげりがさしはじめるや、とたんに沈みこんでしまい、卑屈な 194

4. マキアヴェッリ語録

外交担当者への提言 外交とは、国家に役立っ仕事のうちでも、最も名誉あるものの一つである。 なぜなら、本省から指令があったことだけをしているならば簡単だが、完璧に任務を遂 行しようと思えば、大変な困難をともなう仕事だからである。 まず、相手国の統治者なちの性格を完全に把握する必要がある。そして、どうすればよ り容易に彼らと近づきになれるかを研究しなければならない。 とはいえ、交渉事項が困難なものであればあるほど、決定権を有する人々と直接に交渉 する機会を得るのは容易でもあるのだ。 交渉事項の困難の度に比例して、決定権を有する人々は高位の者にならざるをえないか らである。 また、これに劣らず重要なことは、外交担当者自身が、自らの評判をあげることである。 このことは、全力をつくすに値するし、またこれのみはあなた自身の意志いかんなのだ から、誰でもやろうと思えばやれないことではない。 214

5. マキアヴェッリ語録

現代 ( 十六世紀 ) の君主や共和国で、戦いに訴えねばならない場合に、自国民からなる 軍隊をもっていない指導者や国家は恥じてしかるべきだと思う。 なぜなら、そのような軍隊をもっていないということは、自国内に兵士に使える人々が いないということではなく、自国民に、自衛のために立ちあがるという気持を起させるこ 自らの安全を自らの力によって守る意志をもたない場合、いかなる国家といえども、独 立と平和を期待することはできない。 ヴィルトウ フォルトウーナ なぜなら、自ら守るという力量によらずに、運にのみ頼るということになるからで ある。 「人間世界では、自らの実力に基礎をおかない権勢や名声ほど頼りにならないものはない ( タキトウス ) とは、ゝ しつの世でも応用可能な賢い人々の考えであり、評価であったと思う。 「君主論』

6. マキアヴェッリ語録

各自が目的と定めたことの実現に向って進むとき、種々さまざまな生き方をするものだか らである。 わざ 慎重にやる者もいれば、大胆果敢にやる者もいる。力で押していく者もいれば、技を駆 使する者もいる。忍耐に忍耐を重ねて実現する者もいれば、その反対をやって成功する者 もいる。 しかも同じように慎重なやり方をしたのに、一人は成功し、他の一人は不成功に終る場 合もある。 また、一人は慎重主義で、他の一人は果断にやるのが好きという具合で、気質ならばま ったく逆なのに、両者とも成功する場合がある。 この理由は、一に、彼らのやり方が時勢と合致していたかいなかったかにあるのだ。 とはいうものの、時代の変化に対応して、自らの生き方を変えていけるほどの賢明な人 物は、それほど多くはないものである。 なぜなら、人間というものはもって生れた性向からなかなか離れられないものだからだ。 また、これまでずっと成功してきたやり方を変えるには相当な勇気を必要とする。 それで、慎重であればあるほど、時代が変り、果敢にふるまわねばならない時期に来て いるのがわかっていても、なかなかそれに対応できず、みすみす破滅への道に直進してし まうのである。 190

7. マキアヴェッリ語録

とって、心すべき最大のことは : / 新しく国を興した者は、次のことを守らねばならない : / 権力をもつ人々の間でも、最近に与えた恩恵によって、以前の 怨念が消えるなどと思う人がいたならば : / アガトクレスやその同類のように、裏切りや残酷のかぎりをつ くした後でもなお、外敵からも国内の敵からも地位を守りぬい た人々の例を見れば、なぜそんなことが可能であったのかと疑 問に思う人がいるにちがいない。それを解く鍵は : な君主にとっての敵は、内と外の双方にある。これらの敵から身 を守るのは : ″自らの安全を自らの力によって守る意志をもたない場合、いか

8. マキアヴェッリ語録

れてやむをえず行なったことでも、自ら進んで選択した結果で あるかのように思わせることが重要である : : : 川 イ必要に迫られた際に大胆で果敢であることは : イ君主は、自らの権威を傷つけるおそれのある妥協は、絶対にす べきではない。たとえそれを耐えぬく自信があったとしても、 この種の妥協は絶対にしてはならない。なぜなら : 個人でも国家でも同じだが、相手を絶望と怒りに駆りたてるほ ど痛めつけてはならない : イわれわれの宗教は、真理と正しい生き方は教えてくれるが、現 世的な名誉を重んずることは教えてくれない。しかし : : : 川 古代ロ 1 マの共和制下では、他の共和国と比べても、自国の功 103

9. マキアヴェッリ語録

カルタゴの元老院では、これにどう応ずるかで討議が行われる。その席で発言した一人 ハンノンという名の、思慮に富む長老格のカルタゴ市民がいて、次のように言った。 「この勝利は、ローマとの和平にこそ役立てるべきである。勝ったがために、われわれに とって好条件で和平を結べるからだ。反対にこのまま突進したあげく負けるようなことが 起り、その後でやむなく結ぶ和平よりも、今ならば格段に有利にそれをできる。 だから今は、高望みはせず、元も子もなくしてしまうような状態こそ避けるべきであろ しかし、ハンノンの提案はとりあげられなかった。好条件での和平を結ぶ好機を逃がし てしまった後になってはじめて、カルタゴは一市民の思慮の深さを思い出すことになった のである。 人間というものは、自らの望みの限界を察知することを知らないままに、このような誤 りを犯してしまうものである。自らの実力を客観的に計ることもできないまま、破滅に向 って突進してしまうものなのだ。 『政略論』 224

10. マキアヴェッリ語録

選択能力や、決断力は、皆無といわれる優柔不 断な日本人の明日のため、マキャヴェリ、韓非、 友、 / 孫子などの教訓と歴史的事実を照応させて真の 決断の条件会田隹大 決断の意味を説く。《新潮選書》定価七〇〇円 投獄、失脚、闘病、老い、鈍才という烙印 : いかなる逆境にも挫けす、自己鍛練を怠らなか った男たちの剛毅な生き方。悩めるビジネスマ 逆境を愛する男たち小島直記 ンに勇気を与える感動の人物論。定価九八〇円 人生の曲がり角に立って、男はいかに自分の行 く道を選び直すべきか。転職、定年などの転機 を前にして揺れ動き、迷い、そして再出発を決 転職男が迷うとき飛ぶとき早瀬圭一 意した十七人の男たちの物語。定価一〇五〇円 短期現役海軍主計科士官、通称 " 短現 % 若き 豆現の究市岡揚一良。 = 。。合。」〈智全。 日本を動かす海軍エリト ト集団の体験と感受性を描く。定価一三〇〇円 自らの置かれた状況を清濁あわせて把握し、果 すべき役割を完璧に果しながら黙って歴史の闇 に消えた男たちーーー彼らのエピソードを中、いに サイレント・マイノリティ塩野七生 綴る " 声なき少数派 ~ の美学。定価一一〇〇円 イタリアを愛し、イタリアに住み、イタリアを くめども尽きぬ地中海 語り続ける塩野七生 歴史の面白さを身近なエピソードに託して綴る イタリア遺聞塩野七生 定価一〇〇〇円 知的・冒険的ェッセイ。