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検索対象: 月刊 みんなねっと 通巻第102号 2015年10月号
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1. 月刊 みんなねっと 通巻第102号 2015年10月号

記されています。特に、いじめ目があり、 5 歳から歳までのきかけと支援を必要とする各生 と精神保健・精神疾患の関連が義務教育期間の生徒に行われ、徒への個別対応も行っており、 号 月 強調され、精神疾患や当事者に対人関係の構築に関する教育や精神保健教育が広く行きわたっ 年 対する偏見についてもいじめと精神疾患に関する知識を含む精ていることがわかります。 関連つけて教育を実施している神保健教育が行われています。 と 点も特徴的です。 プログラム内容では、いじめへ 3 カナダのプログラム っ の対応・ストレスへの対処・思 カナダでは、が提唱すな 図イギリスのプログラム 春期の精神保健 ( 摂食障害、アる生徒の精神的健康に向けた学み イギリスでは、児童・生徒のルコールなど ) ・差別偏見への校全体での取り組みモデルによ 社会的・情動的スキルを育むた対応・精神疾患の特徴が項目化る「 A School-Based lntegrated めの全校的、包括的な取り組みされ具体的な教育がされている Pathway ( 0 Care Model 」を用 いて教育がされています。 として、 < (social and と思われます。のプロ 州によって教育システムが異 Em0tional Aspects 0f Leaning) グラムは、必修ではありません と呼ばれる学校精神保健の取り が、「児童・生徒が学ぶべきもの」なっているようですが、学校 ( 教 組みがあり、イングランドやとして推奨され、学校独自の教員・生徒 ) 、家 ( 親 ) 、地域住民、 ウェールズではこのの育活動としてこの時間が割り与サービス提供者 ( 保健機関 ) の プログラムの中の一部にえられています。イングランド連携を構築し、維持しています。 (Personal social HeaIth and では四 % の学校で実施され、まプログラム内容においても、偏 Economic Education) という科た学校に関わる地域全体への働見への取り組み・精神保健・精 神疾患の理解・思春期に起きや適切な感情表現、人間関係・いじそのものに関する知識を中等教 すい精神疾患・精神疾患を持つめとからかいへの取組み・スト育以降で実施するという構成で 人の日常などと表現されておレス予防・自傷行為、自殺・精神あり、それらの内容は、①精神 り、思春期に起りやすい疾患と疾患の特徴 ( 徴候・症状 ) ・援助要疾患についての適切な知識の提 して項目に取り上げられている請行動、専門家への相談などが供、②偏見の改善、③援助希 求行動の促進の三つ ( 2 ) が大き 実施されています。 点は注目できます。 以上 4 国における精神保健教な要素となっていることがわい 育の授業の共通する流れとしてかります。 4 国とも「精神疾 3 アメリカのプログラム 教 は、日本で言う初等教育の数年患の理解」という内容があり、 州によって差があるというこ の とですが、基本的にアメリカ疾間で、人間関係の構築、いじめ問 MindMatters のように疾患名や世 を 育 病予防管理センター ( 【題、ストレスへの対処に関する授その特徴、症状が記されている 教 Centers for Disease ControI and 業を実施し、その後に精神疾患と思われます。 し 正 の Prevention) による学校保健の 健 取組みモデルに準拠しており、 神 3 ・日本に求められる精神保健教育について 精 学校授業においては全国共通保 の認識も含めれば間年間以上ほ 日本の学校精神保健につい 障 健教育カリキュラムが使用され 神 精 ています。 OQO の内容は、て、昭和年の後半以降、精神とんど何の知識も訂正されない 集 のモデルやと共通障がいのことはほとんど触れらで次世代へ継承されていったこ 特 しており、プログラム内容では、れず数年間が過ぎ、戦後からとになります。言い換えればこ

2. 月刊 みんなねっと 通巻第102号 2015年10月号

などと。 まま過ぎていったということがち親も教員もそして今の子供た 日本における精神障がいへの事実ではないでしようか。私たちも。 認識は、先進諸国に比べて遅れ ていることは言うまでもありま 1 ・日本における学穉の教科書について せん。このことは、日本の過去 終戦後の学校教育では、精神めに定められたものである。悪 の歴史から現在に至るまで、精 神疾患、精神障がいに関する " 正障がいに関する教育指導につ質な遺伝性精神病をなくすため ~ いて、文部省 ( 現文部科学省 ) 書 に優性保護法がある」 ( 昭和四 ) 、 しい教育。や " 啓発活動 ~ がう 科 教 による学習指導要領、検定され「精神分裂病・ : 正常な感情や意 まく実施されなかったことに の 界 世 た中学校・高等学校の保健体育志の働きが失われて廃人のよう よって、なお偏ったイメージが を になる」 ( 昭和 ) といったよ 持ち続けられ、精神障がい者との教科書に記載されています。 教 中根らの調査研究 ( 1 ) によるうに、昭和年から昭和年頃 の社会的距離がなかなか縮めら れないということが大きいのでと、過去における日本のいくつは精神障がいに対し、病名や症の 保 かの中学校の教科書では「精神状は述べられていたものの、理 はないかと思われます。 神 精 例えば、教育の場では、養護分裂病は精神病の一つで、少年解しがたい言動や問題行動を起 こす人たちで最終的には廃人に 障 や保健の教員から教えられるこや青年の時期から起こって、だ 神 精 と自体なかったために、過去のんだん気が狂っていく病気であなるとして教科書に記されてい 集 いわゆる間違った考えが継承さる・ : 」 ( 昭和 ) 、「精神衛生法ました。 特 は精神障害者の医療と保護のた その後の教科書の中には「・ : れたり、または何の知識もない 精神障がい・精神保健の 正しい教育をー世界の教科書比較山 れようになればと常々思ってい 今回のテーマは、我が国、諸外国の学校精神保 ます。 健教育について、実際に使用されている教科書 精神障がい者の家族会の方々 の内容を紹介し、日本に求められる精神保健教 と交流をしていると、次のよう 育について考えていきたいと思います。 なお話がよく聞かれます。 「精神疾患について早く知っ 文部科学省は、 ・中・高校ていたら、子供はこんなに悪 平成年 7 月に厚生労働省は 医療対策の重点となる、がん・ の学習指導要領を平成年度にくならなかったのではないか」 脳卒中・心臓病・糖尿病の 4 大全面改定する方針を出しており「もっと精神の病気について 疾患に精神疾患を追加し、 5 大ます。 " 正しい知識 ~ としての知っていたら、予防できたかも 疾患となって 2 年が経ちまし学校精神保健が、これからの小 しれない」「精神の病気はいっ 中学校の教育の中で取り入れらたいどこでだれが教えるの ? 」 みんなねっと 2015 年 10 月号 6

3. 月刊 みんなねっと 通巻第102号 2015年10月号

で始められ、 1998 年には国 の教科書記載への工夫を検討する時期にあるとも考えます。 家的な取り組みとして位置づけ られ、国内の 8 % 以上の学校で 2 ・各国の学校精神保健の教科書について 行われています。このプログラ ( 世界保健機構 ) では、オ 1 ストラリア、イギリス、カムは、必修科目で全生徒・全教 員に配布され、例えば学生用に 「生徒の精神保健の向上や精神ナダ、アメリカで、その内容に は「自己と他者との関係」「いじ 疾患の早期発見・介入の促進のついては、表をご参照ください。 書 めやいやがらせとの関係」「スト ために、学校で全ての生徒・教 教 員を対象に精神疾患の知識啓発①オーストラリアのプログラムレスとその対処法」「精神疾患の の 外国で初めて取り組みが行理解」「喪失体験の対処法」「精 を実施する」ことが提案されて を ・中学われたのが、オーストラリア神疾患を含む精神保健」につい います。他の国では、 育 教 生を対象とした精神保健教育はの「 MindMatters 」という精神てそれぞれの冊子で一小され、精 正 の どのように実施されているので保健プログラムです。その目的神疾患への理解の冊子の中には、 健 しようか。小塩らによる研究資は「若者がその人生において遭統合失調症やうつ病などの病名、 神 精 料 ( 2 ) を参考に一部抜粋させて遇する様々な精神的危機を効果幻覚・妄想などの症状について 障 いただきながら下記に紹介し、的に乗り越えていくために必要も明確に記され (MindMatters 述べていきます。全国規模で実な技術や知識、および資源を提のホームページ上で冊子内容を精 施されている学校精神保健プロ供できる学校環境を実現するこ見ることができます ) 、教員用黻 にはその対応についても詳しく グラムを実施している主な国は、 と」として 19 9 6 年に Z O 精神病は不治の病気である。危その後、学習指導要領の「学わずか 1S2 時間しかないとい 号 険であるから隔離しなければな習負担の適正化」や「健康教育」 うことです。 月 らないといわれることがあるヘの改訂が繰り返され、授業時現代社会の変化とともに保健 年 が、この考えは誤りである。最間の短縮と教育内容の縮小化な教育の教科書の内容も変遷して いきます。 近の医療の進歩により、早期発どによって、昭和年度以降は と っ 見早期治療によってその多くが「心身の発達の理解」にシフト進化した部分では、精神疾患 ね 治り、社会復帰している・ : 」 ( 昭され、精神疾患に係る記載が全よりも身体疾患に関してであな 和 ) 「精神分裂病の特徴・ : 間て削除され、その後、病名や症り、従来の「成人病」が、平成み 違ったことを信じ込む妄想、現状が知られることもなく平成の 9 年に「生活習慣病」に名称が 実にないものを知覚する幻覚な今日に至っています。 変わったことをきっかけに教科 どがある : ・発病のきっかけと それに代わり、「心の健康」書に記されました。脳血管疾患 なった悩みや問題点を理解し、 として、主にストレスとその対 ( 脳梗塞、脳出血 ) 、心疾患 ( 心 薬物療法や精神療法、生活療法処に関する説明が記されるよう筋梗塞、狭心症 ) が解剖・生理 などをおこなうことによって、 になっていきました。また大き学的に絵や写真で詳細に記さ 社会復帰は可能である・ : 」 ( 昭な間題としては、保健学習の配れ、予防も含めて大変理解しゃ 和・高校教科書 ) と記される当時間が少ない点があります。すい表現がされています。 ように、適切な理解が必要であ例えば、中学校の保健の時間で精神疾患についても、 5 大疾患 るといった内容が一時的に述べ 3 年間のうち精神に関する「心 になったことを機会に、精神疾患 られた時期もありました。 の健康」に充てられる時間は、の「正しい知識教育」をするため

4. 月刊 みんなねっと 通巻第102号 2015年10月号

表 : 全国規模で実施されている学校精神保健プログラムを実施している主な国 精神保健プログラムが実施され学校授業で扱う精神保健プログラム る年齢、実施規模、モデル教材の主な内容 ( 生徒授業用 ) 6 ~ 18 歳 ・自己と他者との関係 全国の 66 % の学校で実施 教材は ,KindMatter()æ 11 歳 ) ・いじめやいやがらせとの関係 MindMatters ( 12 ~ 18 歳 ) の・ストレスとその対処法 ・精神疾患の理解 モデルを使用 ・喪失体験の対処法 ( 教員用 ) ・学校での心の健康の発見と管理 ・生徒の健康ニーズを学校コミュニ ティで管理する取組み ・自傷行為と自殺を予防する取組み ・感情コントロール 5 ~ 16 歳 イングランドでは 99 % の学校で・自己と他者との関係・いじめへの 実施されている。保健教育を実施対応 ・ストレスへの対処 教材は prmary ( 5 ~ 1 1 歳 ) 、 ・ヘ・甲春期の精神保健 ( 摂食障害、ア Secondary(12— 16 歳 ) に社ム ~ 、 ルコール、たばこ、薬物、性」染症 ) 的情緒的教育 (SEAL) を行う。 ・差別偏見への対応 各学校で選択する ・精神疾患の特徴 ・偏見への取り組み 6 ~ 18 歳 ( り、 N で異なる ) ・精神保健・精神疾患の理解 実施規模は不明、 教材は子供と若者のための精神・思春期に起きやすい精神疾患 保健教育プログラム EverGreen ・精神疾患を持つ人の日常 の A School-Based lntegrated ・援助要請とサポート資源の利用 , pathway to care M0del を使用・精神的健康な生活 ・適切な感情表現、人間関係 、、 6 ~ 18 歳 ( 州で差がある ) 教材は centers forDisease control ・いじめとからかいへの取組み and Prevention が作成した教・ストレス予防、管理 育枠組みを各州・各学校で選択。・食行動とボデイイメージ ・アルコール、タバコ、薬物、性感 60 % 以上の州で実施 染症の予防 ・自傷行為、自殺 ・精神疾患の特徴 ( 徴候・症状 ) ・援助要請行動、専門家への相談 ( 小塩らによる研究資料 2 ) を改変 ) の悪循環が続けられたことに い精神障がいの内容を、学生や生教科書に明確に取り上げられ、 よって偏見やスティグマが自然徒にただ教科書を提示すること全ての人が当たり前に理解でき 号 月 にできていったことも当然と思さえすればよいとは思いません。ていける循環を作っていくこと 年 われます。精神の疾患は思春期現在、国内においてもメンタルへが、偏見の改善へとつながり、 LO までに発症するケースが多いこ ルスリテラシーという一一一一口葉で、精困っている方々の援助希求行動 と とがわかっているにも関わら神保健の向上を目指した研究・教の促進につながると思っていま っ ね ず、その時期に適切な教育的な育が始められつつあります。学すし、学校精神保健プログラム 亠な 介入はほとんどなされてきませ生とのロールプレイや優しい として確立できることを望んでみ んでした。他国の例からすると >Q 教材を用いたりして、単な います。 ( やまだひろまさ ) やはり政策的・主導的に精神保る知識教育ではない実践的な方 爪神見校 ~ 本い保状 5 踟精に学日 3 ( 神現 5 健教育が進められる必要がある法が行われています。また、教育 診 : 書等 9 、 o い精の 司科高い引 2 司校国究 ことは否めませんが、他国がの場に医療従事者らが加わって 出タ教・ ~ か号木学各研 ノ校て書 4 々 : と 行っている精神保健プログラム行う授業があったり、当事者や い究学し科巻佐 2 証擲 献幻究研中 のように、小・中学校教育の教科その家族が生徒や学生に " 語る ~ 考 0 絶育載第治 00 学 書の中で " 正しい知識 ~ としてという活動も多く聞かれるよう 参真廃 . 塢教己体学効一、 根器ぶス健誌郷育の = 表現され、この悪循環を断ち切になってきました。 開三兵ルナ保雑東教育ビ るための教育をすることがやは 精神疾患が「特別な病気では 学〈おの学〔、学一献 允大靖学一 ! り必要ではないかと思います。 なく、誰でも起こる病気である ル崎凵ン科 2 精塩大テす っ 0 中 , 害メ教 o 会小京リ関 1 2 障るの社 , 東健に 目に見えない、経験していな こと」として義務教育の段階で オーストラリア ( イングランド ーとウェールズ ) ) ~ 一 ( ーカナダ イギリス 物、い。 0 こ 0 アメリカ 図 : MindMatters の教科書の表紙 13 特集精神障がい・精神保健の正しい教育を ~ 世界の教科書比較 ~