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検索対象: 月刊 みんなねっと 通巻第111号 2016年 7月号
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1. 月刊 みんなねっと 通巻第111号 2016年 7月号

い多くの間題を含んでいます。 もなく鎮静剤を注射し、べッド護入院患者数の割合は、平成 2 やストレッチャーに寝かせて手年には % であったのが、平成 やはり第三者人権擁護機関に 足や胴体をベルトで縛る「拘束」年には約 % へと急増してい やはり、医療保護入院は廃止 や、保護室に一人で閉じ込めるるのです。任意入院患者数で見 「隔離」が、 2 年前に比べると、 ると、月 % から約 % への減少し、本人自身のために入院治療 飛躍的に増えているそうです。となっています。任意入院が大以外に方法がないと公的専門機 排泄は強制的にカテーテルで排きく減って医療保護入院が急速関が判定した場合には、司法と 尿させられるなど、この時の本に増えているのはなぜなのでつながる第三者人権擁護機関に て よって人権が厳密に守られる強 人の屈辱感は、人間としての自しよう。 っ 強制入院中の「拘束」・「隔離」制入院制度に変えていかなけれ川 尊心を深く傷つけると患者さん のデータでは、平成年に「拘ばならないとの意見がまとまり たちは怒りを込めて話します。 取 の つつあります。そうなると、措 束」 5 2 4 2 件であったのが、 会 員 平成年には 9695 件に増え置入院と任意入院は残ることに 医療保護入院も増えている 委 策 ています。「隔離」件数は平成なりますが、その措置入院でも、 政 政策委員会に提出されたデー タによると、精神科入院患者年に 7673 件であったのが司法が関わっていない点では、 っ ね 数は平成Ⅱ年には芻万 3 千人平成年には 9791 件になり人権擁護のうえで問題を抱えて ん み います。 であったのが、平成年にはました。強制的に入院させられ、 集 次号に続く 万 7 千人に減っています。と有無を言わせずに注射、拘束、 特 ( のむらただよし ) ころが、その中に占める医療保隔離される現状は、放置できな 解消法においても脆弱です。今ないでしようか。そして、安心 査会の同意・不同意で決めれば 良いとの意見がありました。 後の日本の全市民の人権擁護をできるとは一一一口えない状態で退院号 月 精神障害者の人権擁護の仕組考える前提として、精神障害者してくることも、少なくないの 年 みは、精神保健福祉法に限らず、の人権擁護の仕組みは非常に大ではないでしようか。 そのため、医療保護入院は廃 障害者虐待防止法や障害者差別切な問題です。 と っ 止すべきであるという意見には ね 亠な 皆が賛成なのですが、現在の日 医療保護入院 ( 強制入院 ) は廃止できないか ん 本の精神科医療体制では、措置み 本当に本人の利益を守る入院かるのでしようか。基準があいま入院と任意入院だけにすると対 医療保護入院が、本当に本人 いで不明確という意見が、多数応できなくなる事例がたくさん の利益を守るための止むを得なありました。 あって、現場が困るとの意見も ありました。 い制度なのかÄ」 , つかとい , っこと についても、議論されました。本人は混乱状態で強制入院に 医療保護入院を決める精神保 日常的に行われている医療保拘束と隔離が前より増えている 健指定医の判断は、何を根拠に護入院では、自宅で過ごすこと しかし、医療保護入院の実態 なされているのか。強制的に入ができないほどの混乱状態に は、人権上、問題が多すぎると 院治療を受けなければ、本人に なってから、患者の意思を無視の見方では、意見は一致してい 取り返しのつかない障害が残るして、家族などの要請で病院にます。本人と周囲の人たちの身 などの人権上の確かな理由があ入ってもらうことが多いのではの「安全」のためとして、対話 ■

2. 月刊 みんなねっと 通巻第111号 2016年 7月号

る恐れのある精神障害者を強制れている「医師による治療方法政策委員会ではみんなねっとと 的に拘束して入院させる「措置の説明・提案に患者が同意してしての意見を事前にまとめ、木号 月 冖 / 入院」も、それほどの切迫した から治療を始める」やり方を参全副理事長が出席してその意見 年 状況にはないために使えないと考にすべきことが述べられましを述べました。当日、本條理事 きに、本人と周囲の人々の利益た。それに加えて「一般市民の長は出席していましたが、厚労 と っ と安全を確保するためとして、精神保健」についても検討する省の検討会委員として聴取する ね 亠な よう提案がなされました。 よく使われています。 側に居たため、代わりに木全副 ん み 厚労省の検討会では「医療保 この日の夜には、第 1 回目の理事長が代表として意見を述べ 護入院のあり方」が、見直しの政策委員会が開かれ、検討会にました。 一つのテーマとして取り上げら出席した本條理事長から厚生労 その内容は、本年 4 月号「み れました。もう一つのテーマは、働省第 1 回検討会の報告がありんなねっと」誌の 2 ページから 「地域精神保健医療体制のありました。 5 ページにかけて「知っておき 方」です。 たい精神保健福祉の動き」に、 この検討会では、本條理事長か厚労省検討会のヒアリング 第 1 回検討会の様子とともに報 らみんなねっとの意見として、医厚労省の第 2 回検討会が 2 月告されています。 日に開かれ、精神障害関係団 療保護入院で入院するときと入 院中に、「本人の意思の決定と表体からのヒアリングが行われまヒアリングで述べられた意見 明」について議論すべきことと、 した。内容は、「医療保護入院」木全副理事長が述べた意見を、 その時に、一般の医療で行なわについてです。これに向けて、 ここでもう一度お伝えします。 て、地域精神科医療の拠点にし 調査が必要です。 痛ましい事件が起きるのは ? てほし、 「ます、最近、精神障害があ 危機介入チームの必要性 る人とその家族の間で痛ましい いまは、精神疾患による緊急医療保護入院の家族の同意 事件が度々起きていますが、そ 改正された精神保健福祉法に れは、そのように行き詰まって事態が起きて家族が保健所や医 療機関、警察に通報しても、暴残された医療保護入院の「家族 いる世帯を支援する制度が無い 等の同意」は廃止して、本人の からです。地域に質の高い精神力が起きている最中でなければ 権利擁鞏と保鞏を行な、つ権限を 警察は本人を病院まで運んでく 医療と社会的支援が届くように しなければならず、そのためにれず、病院からの医師の往診も有する新しい公的機関を設けて 精神保健福祉法を大きく見直しありません。家族に病院まで連その同意を得るように変えてほ そして、精神保健福祉法 てほしい。家族間の暴力は、精れて行くことが任されていま にある重症患者を強制的に病院 す。このため、事件が発生する 神科医療だけでは解決できない ことになり・ます まで搬送できる「移送制度」が のて、医療を含む福祉、行政、 公的機関により悪用されたと これを防ぐために危機介入の 警察などのチームによる対応が チームを編成して、通報があれき、家族等から訴えがあれば介 必要です。 ばすぐに駆けつける体制を地域入して本人の人権を擁護・回復 措置入院と医療保護入院、そ するために医療機関や公的機関 に整えてほしい。それとともに、 れぞれの件数が、都道府県に から独立した第三者機関を新し 一定の圏域ごとに小規模な精神 よって大きく異なっています。 く設立してほし、 運用にも差がありますので実態科多機能医療センターを設置し 11 特集みんなねっと「政策委員会」の取り組みについて

3. 月刊 みんなねっと 通巻第111号 2016年 7月号

政策に反映させる本格的な見直た地域精神医療への転換の動き機能自体が実質停止状態になっ しは一度もありませんでした。 を受けて、 19 6 0 年代前半には、てしまったからです。またこの混 そのため 19 5 年に制定し日本精神神経学会では精神衛生乱は、綿医療界全体にも悪影響 た綿衛生法は、綿法、精法の全面改正に向けた討論が始を与えたのは明確です。 神保健福祉法と法律の名称が変められていました。それは綿衛本来は、綿医療改革に指導的 わっても、綿医療政策の基本で生法の改正で、通院医療費公費負役割を担う日本精神神経学会の ある入院中心の隔離・収容の精担制度 ( 外来診療の無料化・外来取り組みは頓挫し、当人ムは、指導 神科医療や精神科特例などの精の促進 ) 、保健所の精神衛生事業的役割を果たせないまま今日に 神科差別を基本とする政策は変の開始 ( 師の訪問活動・精神至っています。その結果、日本は、 わっていません。 保健相談の開始 ) 、精神衛生セン 1960 年から本格的に始まっ ター・地」審議会の設置を各た欧米諸国での地域精神医療の 同かって頓挫した地域精神医療 望 都道府県に義務つけるなど、地域取り組みからとり残され、しかも 展 に向けた動き の 精神医療をめざす施策が具体化多くの問題を抱えた精神科病院 革 改 地域精神医療の動きについてし重要な第一歩が始まりました。 についても放置されたまま、今日 と 状 しかし、この動きは、 1969 に至ってしまいました。 も、日本において全くなかったわ 現 の けではありません。 年 5 月石川県金沢市であった第それでは今日の精神科医療は 療 抗精神病薬の普及による精神 回の日本精神神経学会の大混どうつくられたのか、次回の 8 月科 精 症状の軽減、それに伴う外来治療乱以降、止まってしまいます。学号でみたいと思います。 の前進、そして先進諸国で開始し会の混乱状態が長期化して、当天ム ( うじいえのりあき ) 方が根強く、それ故に精神科のなど医療従事者を地域に移動さ 1950 年に制定した精神衛 入院医療に頼る傾向が否めませせ、廃止された病棟に使われてい 生法は、その後 1965 年の綿号 月 ん。このような考え方が存在したお金を地域医療に使用するこ卑法の大幅改正 ( ライシャワー 年 続けるため、精神科医療即ち精とは容易でした。病院経営者から事件 ) 、 1987 年精神保健法制 神科病院への入院ということにの抵抗はなく、病院への経営保障定 ( 宇都宮病院事件 ) 、 1997 と っ なってしまいます。これは地域は必要ありません。また病院で働年「精神保健及び綿障害者福祉 ね に医療支援や生活支援を行なう いていた職員は公務員です。そのに関する法律」 ( 精神保健福祉法 ) な み 施設があまりにも少ない結果、入ため県が責任を持って、病院からと変わりました。 院医療に頼らざるを得ない状況地域への雇用転換ができました。 2 年心神喪失者等医療 にあることは勿論、先進諸国の地一方日本は、精神科病院の 8 割、観察法 ( 池田小学校児童殺傷事件 ) 域精神医療に大きく遅れている精神科病床の 9 割は民間病院でが制定されました。 現状が国民に知られていないこす。そのため先進諸国のように容 この間の見直しは、綿保健福 とも考えなくてはいけません。 易に精神科病院の大幅削減が行祉法の制定以外は、綿障生暑と なえない事情があります。 精神科病院の不祥事が契機でし 精神科病床の 9 割は民間病院 た。そうした理由での見直しだっ 国かろうじて行なわれた見直し ベルギーを除く先進諸国の病 たために、不祥事で厳しく指摘さ 院は、病院などの公立病院が しかし、日本でも、綿医療政れた部分の改正に止まっていま 圧倒的多数です。そのため精神科策の見直しが全くなかった訳です。残念なことに先進諸国のよう 病床を大幅盟し、医師や看護師はありません。 に綿科治療の進歩を、綿医療

4. 月刊 みんなねっと 通巻第111号 2016年 7月号

士などの学識経験者とされてい 少し説明しておきます。 医療保護入院の基準があいま いなので、現在の精神保健福祉 「精神保健指定医」は、 5 年て、合計 5 名で構成されていま 号 月 法では 1 名の精神保健指定医の以上の臨床経験のある精神科医す。それぞれの委員は、普段は 年 が、措置入院か医療観察法の強他の職場に勤務していて、審査 診察で良いとされているのを、 2 クにー ) て一はー ) 。また、この制入院 1 ケ 1 スを含む 8 種類の会が開かれるときだけ集まりま と っ す。 5 人による 1 回の審査会で 法律を根拠にしている「精神医精神疾患治療例についてのケー ね —oo 通を超える報告書を審査な 療審査会」があるが、きわめてスレポートを提出して審査に受 しなければならないので、本人み かれば資格が得られます。 弱体であり、行政が運営してい るので患者の権利が守られない 「精神医療審査会」は、精神に会って確認するなどの手間は 、とか多一、 強制入院が行われ保健福祉法に基づいてすべてとてもかけていられません。 たときに提出される報告書の審の都道府県に設置されていま 査に圓日もかかっていて、人権す。委員の人数は一つのチーム地域の支援体制について 木全副理事長の意見は続きま 侵害が常態化しているのて改革が 5 人で、例えば東京都では 6 する必要がある」 チームが置かれていて、それぞす。 「地域の支援体制についてのみ れが強制入院の報告書の審査に との意見を述べました。 当たっています。 5 人の職種のんなねっとの意見をお伝えしま 蒋保健指定医と医番査会内訳は、 2 人は精神保健指定す。 ます、家族を支援の責任者に ここで、「精神保健指定医」医、 1 人以上は法律の専門家、 と「精神医療審査会」について、それに 1 人以上の精神保健福祉するのてはなく、国と地方自治 体が責任をもって必要とされる 地域ごとに整備して、医師、看以内に退院させられる例が目立 あらゆる支援体制を整える。へき 蔓師、公認心理師、精神保健福ち、家族が困窮している。家族 であること。 祉士、ピアサポーターなどによ が地域で看護てきなくなると入 院させられ、病院で生涯を終え 精神科病院の中の退院支援委る多職種チームを置き、そこか る人が多い。家族に頼、らなくて 員会には、地域の相談支援専門 、ら訪問を行な、つ・よ、つ・にしてほし 員などの支援者を参加させ、本 支援の対象に家族も加えて も地域で充実した生活ができる 人の意向に沿って病院側と連携ほし、 ように、地域の支援体制を一日 して退院支援を進めるべきであ その他、入院中の患者の人権 も早く、国と社会の責任で整え て ること。 てほしい。」 を守るために、本人から要請が っ 地域での支援体制のあり方に あれば「代弁者」を病院外の人材 このような意見を、厚生労働 ついては、心理的支援を充実さ から選んで本人の希望を実現す省の第 2 回検討会のヒアリング 取 の せるために相談窓口をたくさんるために行動してもらう制度をで木全副理事長が切々と訴えま 会 員 い。ムロ療において本した。 設けてあらゆる心配事の相談を 策 受け、傾聴を大切にして安心で人の人権を守るために、本人が治 政 レ」 ) るよ、つに、また、そこでケア療を又け付けないよ、つなと一に さて、ここで、これまでの 3 っ ね 亠な マネジメントがなされ、すべて は代わりに家族が医師から説明回にわたる政策委員会の審議の ん み のサービスが包括的に組み合わを受け、納得できてから治療を なかから、いくつかの主だった されて提供されるよ、つにしてほ 始めるよ、フな制度にしてほし、 テーマを拾って、その議論の様黻 しい。精神保健福祉センターを 最近は、入院してから 3 か月子を紹介します。

5. 月刊 みんなねっと 通巻第111号 2016年 7月号

加え、総勢名で新たに動き始ています。規程では理事会の諮ん。それで理事会は、政策委員 号 めました。 問機関になっており、理事会か会から支援を受けています。 月 ら示されたテーマについて検討 年 国の法制度の検討会に意見表明を行ない、みんなねっととして政策委員会の構成メンバ なぜ、活動を始めたかというの意見の案をまとめて理事会に 政策委員会の構成メンバーは、 と と、このところ、障害者に関す提出します。理事会では、この専門家の委員が 6 人、家族の委ね 亠な る様々な法律の見直しや施行の案を検討して正式意見を定め、員が 5 人、それに事務局長が 1 ん み 時期を迎えており、みんなねっ外部に公式に表明します。 人で合計名です。 とは全国の精神障害者の家族を みんなねっとの意見をまとめ専門家の委員は、五十音順に、 代表する一団体として、次々とる方法として、本来なら全国都青木聖久委員、池原毅和委員、 設けられる国の検討会での意見道府県連合会の代表たちが集白石弘巳委員、寺谷隆子委員、 表明を求められているからでまって意見交換をして、理事会長谷川利夫委員、羽藤邦利委員 す。政策委員会では、それらのでまとめ上げることができればで、それぞれ、福祉、法律、精 検討会で取り上げられる法律制よいのですが、国は矢継ぎ早に、神医療の専門家です。 度のテーマについて、本條理事様々なテーマについて検討会や家族の委員は、みんなねっとの 長ほか検討会に出席する理事たヒアリングなどの日程を決め、本條義和理事長、木全義治副理 ちを囲み、専門家の委員から助みんなねっとに出席を求めてき事長、松澤勝副理事長、堤年春理 言を受けながら、みんなねっとますので、事前に意見をまとめ事、野村忠良理事の 5 名。それに としての意見のまとめを行なつるための十分な時間が取れませ職員の小幡恭弘事務局長です。 精神保健福祉法というのは、 これまでに 3 回の会議を開催まとめ方については、専門家の 政策委員会の最初の会合は、委員の方々から、「最後の結論精神障害者に関する唯一の福祉 平成年 1 月 7 日に開かれましは、家族の委員を中心にまとめ法ですが、その中では精神科の た。第 2 回は 2 月Ⅱ日、第 3 回てほしい」との意見がありまし強制入院について詳しく定めら は 4 月日でした。専門家の委た。「家族」を私心のない熱意れています。平成年に改正が 員は、それぞれ精神障害者支援で支え、法律制度の改革を、精行なわれ、この法律のなかで定 の分野で先頭に立って活躍して神障害がある方とその家族の尊められている「保護者制度」が いるので本当に忙しいのです厳・人権を守るために進めよう廃止され、「治療を中断してい て となさっている専門家の委員のる者に精神科医療を受けさせる が、全員出席を確保するために、 っ み 自ら会議を休日や夜に開くこと方々の高潔な志に、家族の委員義務」などの家族の義務はすべ を提案し、 3 回のうち 2 回は全一同、深い感動を覚えています。てなくなったのですが、たった 取 の 一つ、強制入院の一つである「医 員が集まっての会議となりまし 会 療保護入院」のときに、「家族員 。どの専門家の委員も、家族厚労省検討会のテーマ 策 厚生労働省では、本年 1 月 7 等の同意」を必要とするという 政 の苦境に深い共感を持ってくだ と さっており、無報酬での参加と日午後に「これからの精神保健規定は残されました。「医療保 っ ね なっています。 医療福祉のあり方に関する検討護入院」という制度は、本人が ん み 会」第 1 回を開催し、「精神保治療を拒否しているために、自 専門家の委員の志 健福祉法」の改正後 3 年の見直分の意思で入院する「任意入院」黻 が使えず、自殺や他人を殺傷す 政策委員会での討論の結果のしに入りました。

6. 月刊 みんなねっと 通巻第111号 2016年 7月号

代弁者の制度の案も出ました 4 月までの 3 回にわたる政策判定しても、本人の判断能力が が、これも本人に意思決定の能委員会の最後の議論では、本人失われている事例はあり得ま 力がないとの前提で出て来た案に判断能力があるか無いかは、す。そのときには、本人の利益 です。代弁者が本人の意思を理公的専門機関が厳正に判定しなを守るために誰が責任を持って 解したつもりでも、う「かりすければならないとの意見が出強制医療の同意を行なうのか。 ると、代弁者の考える人権擁護て、多くの委員の共感を得ましそれは、家族でもなく代弁者で を押し付けることがあるかもした。 もない、行政や医療機関から独 れません。とはいえ、格段に大精神状態が悪化し受診を拒ん立した第 = 一者人権擁護機関しか て きな権威を持つ病院に対して、 でいるとしても、べテランの支ないだろうと言うのが政策委員 っ み 本人一人では言い出しにくい退援者が上手に話しかけ、本人と会の結論です。現在は、そのよ 院の意思表示をしたり、人権をの間に信頼感と安心感が生まれうな機関はまだ日本にはありま 取 の 軽んじている処遇の改善を求めれば、受診を受け入れ任意入院せんし、実現するにはハー 会 員 たりするときに横に居て応援しや外来受診でその場を切り抜けが極めて高いと思われます。急 委 策 てくれる代弁者なら、問題はなられる可能性が大いにありま場しのぎには「精神医療審査会」 政 と いかもしれません。そのようなす。そのときには本人の同意だを改善して、さしあたり任に当 っ ね 存在としてなら、家族にもあるけですみます。 たってもらうしか方法はないの 程度の病院と交渉する法的権限 かもしれません。当面は、医療み が必要かもしれないとの話も出第三者人権擁護機関の必要性保護入院を決めるときに、精神黻 ました。 そうは言っても、どう厳密に保健指定医の診断と精神医療審 本人の権利の擁護者として家族 が期待されていたからなのです号 強制入院における「家族等の同意」について 月 が、政策委員会では、すべての 年 精神保健福祉法にある強制入がないために精神状態の悪化を家族が必ずしも本人の権利を守 院の一つである医療保護入院で止められず、混乱状態を招いたるとは限らず、反対に権利を侵 と っ は、本人が受診を拒否していてのであり、家族が困り果てて強害する例もあるとの意見があり ね 亠な も、一人の精神保健指定医が入制的に本人を精神科病院に移送ました。家族は万全の権利擁護 ん 院治療が必要と判断し、三親等し、精神保健指定医が家族から者ではないのです。それで「家み 以内の家族の誰か一人が同意すだけ状況を聴いて入院やむなし族等の同意」は廃止されるべき れば強制入院が認められます。 と判断したとしても、果たしてであるとの結論に至りました。 その時、本人に判断能力が全く なかったと言えるのでしよう誰が本人の人権を守るのか ? 本当に判断能力がないのか それでは、誰が家族に代わっ このあり方には様々な問題がか。この点が議論となりました。 ありますが、まず一委員から指「家族等の同意」を制度に入れてて本人の人権を守ってくれるの 摘されたのは、本人に本当に判あるのは、本人の自己決定権をでしようか。実は、この問題に 断能力がないのかということで安易に否定し、人権侵害となる対応する制度が、現在はないの です。そのため、家族が身を削っ す。精神保健指定医が「入院以のではないかという意見です。 もともと、この法律に「家族て本人を抱え、守らなくてはな 外に方法がない」と判断したと らないのです。 しても、地域に十分な支援体制等の同意」が入れられたのは、

7. 月刊 みんなねっと 通巻第111号 2016年 7月号

図問題を直視していない日本 号 精神科医療の現状と改革の展望 月 先進諸国で政策転換したもう 昭和大学烏山病院家族会あかね会監事 年 氏家憲章 ) ( 社会福祉法人うるおいの里・理事長 一つの要因は、入院中心の隔離・ 収容政策によって生じた医療費 と っ 問題への反省でした。日本では ね 《連載》第 4 回精神医療政策を見直さない日本 どうだったか、わが国の医療費な み 今回は、先進諸国では見直さ病薬によって精神障害者の地域の状況をみてみます。 れた隔離・収容の精神医療政策生活が可能になったことが、隔 について、なぜ日本では、見直離・収容を見直すことになった①国の医療費を圧迫しない日本 2013 年現在、わが国では、 背景のひとつにあげられます。 すことができないでいるのか、 この精神科医療の進歩につい 入院している全疾患の在院 ( 入 その背景には、どんな問題があ ては、日本も他国と同じように享院 ) 患者は約 12 7 万人です。 るのかみてみます。 受することができました。しかしそのうち精神疾患の在院患者は ①先進諸国との共通点と相違点 日本では、この進歩を、精神医療万人で、全在院患者の % を 先進諸国が、入院中心の隔離・政策に積極的に反映させ、先進占めています。 収容政策を見直した背景には、諸国のように入院中心から地域ところが精神科医療の医療費 1 兆 8879 億円は、国民医療 1960 年代からの抗精神病薬中心の医療へ政策を転換するこ 費全体の兆 3198 億円のわ の本格使用があります。抗精神とをしませんでした。 ずか % にしか過ぎません。在す。つまり、精神科医療は、当日前後の今日、日本は精神科病 事者と家族そして精神科病院の院の在院患者 3 人に 2 人の万 院患者数では最大の数ですが、 医療費では数 % しかないため、医師や看護師などの犠牲の上で人は 1 年以上の長期入院です。 あまり国家財政 ( 医療費 ) を圧迫成り立っているという現状です。年以上は 3 万 4 千人もいま す。日本の途方もない長期入院 せず、 " 安上がりの精神科医療 ~ は、かっての先進諸国の精神科 ②人権問題・施設症問題 になっているのです。 一方で、日本の精神科病院も病院と同様に、自立心を弱め社 そのため、わが国 ( 厚生労働省 ) は、先進諸国のように医療費の深刻な人権問題があります。隔会復帰 ( 退院 ) をより困難にする 離室 ( 保護室 ) 使用と身体拘束二次的障害である施設症を発生 問題から精神科病床を大幅に判 ( べット抑制 ) は、 1 日 2 万 212 させます。先進諸国が隔離・収 減するという必要性が迫られな かったのです。その背景には、 " 安人 ( 在院患者人に 1 人 ) です。容政策を反省し、政策転換を進 望 しかも使用方法にも大きな問 めた要因である人権問題や施設 展 かろう ~ " 悪かろ , フの精神科医 の 題があります。先進諸国で、隔症問題は、日本においては、長い 革 療の問題があったからです。 改 と その安上がりの内容をみてみ離室の使用や身体拘束はほとん間改善されることもなく放置さ 状 現 ると、入院患者一人当たりの病ど行なわれていません。わが国れたままの状態にあるのです。 の 療 院収入 ( 日当点 ) は一般病院のの在院患者の三分の二は、一人 医 3 考え方が変わらない日本 科 三分の一しかありません。職員で病棟の外に自由に出られない 神 日本では、精神疾患の病気や精 数も、医師は一般病院の四分の閉鎖病棟です。 障害を治すことを優先する考え 先進諸国の平均在院日数が絽 一、看護師は半分という状況で

8. 月刊 みんなねっと 通巻第111号 2016年 7月号

が聞こえない方が良い」と言わのはお母さんのせいかも知れなしよう ? 「私に悪いところがあったの れますのでリスバダ 1 ルでの調 い」と繰り返すようになってい 整です。この 3 年間は両親と暮ました。リスバダールを目いつでしようか ? 」 はか。は 「娘が " お母さんが怖い。と らし、家事手伝いなどをして少ばい飲んでみましたが、 かしくありません。ちょっと減言う時にどうしたらいいんで しずつ自信を持てるようになっ ておられました。でも、ほとんらしてジプレキサを足してみましようか ? 」 と悩み顔です。 ど家から外出せず、話す相手もしたが、 " 副作用の糖尿病が心 お母さんは娘さんが仕事を辞 両親に限られていました。ディ配 ~ と言われ、服用を中止され ケアにも誘いましたが、さんます。この薬は食欲を高める傾めたことを残念に思っておられ は来たくないと言われます。「病向がありますから、糖尿病の人ませんか ? 早く病気を治し には処方しません。糖尿病でなて、結婚して欲しいと願ってお 気の人と居ると、自分も病気に なりそうな気がする」という理 い人や食欲の強くない人には危られるでしよう ? どこのお子 さんもそれを分かって、親の期 由でした。 険な薬ではないのですが : というわけで、このところ *-a 待に添えない自分を責めるもの 〈幻聴の再悪化〉 さんの薬の方針は難しいことにですが、その気持ちがちょっと 方向を変えると、 " お母さんが もう一歩壁を越えられなかつなっていました。 たさんですが、半年前頃から住日Ⅱ 2 当灣 0 一 0 一 ) 「、】私を苦しめる ~ となるのです。 〈母さんが怖い〉 どうしても本人の苦手なこと 自分を責める声がまた強くな り、その上「私が病気になった 今回のお母さんの相談は何では、先に親があきらめるのが良 ・ : 自山に生きるのが基本ですが 自山が去なこともあります : 連載脚回 〈幻覚妄想状態〉 〈薬物治療〉 を受診されています。 2 、 3 日前に来られたばかり この時には「 " 罪を犯したん リスバダール中等量の服用を なのに、»-a さんのお母さんが一じゃないの ? ~ と言「て来る小始めたところ、ふらふらと外に 人で受診されています。 さい人がいる」と言われ、突然出て行くことは治まり、幻聴や *-a さんは高卒後公務員として笑い顔になったり、部屋の上の妄想も少し減りましたが、月経 働いていた歳代の女性で、約隅の方に目をやって何かを聞い が来なくなってしまいました。 5 年前、付き合「ていた恋人とている様子をされたりするのでそれで、薬を変更しましたが、 婚約をした頃に自分の行動に自した。幻聴と妄想とを体験してさんの幻聴にはうまく効きま 信を持てなくなり「私は犯罪者おられ、統合失調症の症状のさせん。いろいろ他の薬も試しま ではないか ? 」などと言うよう なかにおられていました。 したが、しつくりしません。 になっておられました。両親に さんが「生理が止まっても、声 ましもと しげき 増本クリニック院長 みんなねっと 2016 年 7 月号 26 増本茂樹 便 お の ら カ 一所 療 一三ロ の 街

9. 月刊 みんなねっと 通巻第111号 2016年 7月号

2016 7 月号通巻第 111 号 ( 表紙の絵】。 - 織田信生 お知らせします 特集 みんなねっとの活動 2 みんなねっと「政策委員会」の取り組み① 医療保護入院と家族の同意、患者の移送問題と早期退院などについて、どう考えるか ( 野村忠良 ) 6 精神科医療の現状と改革の展望 【連載第 4 回】精神医療政策を見直さない日本 ( 氏家憲章 ) 18 私と家族の手記「統合失調症の娘と共にあゆみ続けて 23 年①」 ( 濱崎智煕 ) 街の診療所からのお便り【連載 11 の ( 増本茂樹 ) ・・自山に生きるのが基本ですが自山が不安なこともあります・・ 知ることは生きること ( 連載 7 回 ) なせ、経済的支援なのか ( 経済的支援特集① ) ( 青木聖久 ) 30 真澄こと葉のつれづれ日記 ( 第 64 回 ) 34 みんなのわー一読者のページ・地域の話題 36 22 26 知っておきたい精神保健福祉の動き / 特集 / ( 投稿 ) 私と家族の手記 / 連載 ①街の診療所からのお便り / 連載②精神科医療の現状と改革の展望 / 連載 ③知ることは生きること / 連載④真澄こと葉のつれづれ日記 / みんなのわ ( 読者のヘージ ) ほか ・「月刊みんなねっコこれまでの特集の・ ・ 2014 年■ 2 月号 : 働き続けるために一一自分に期待できる働き方 3 月号 : 薬を減らすガイドラインへの期待 4 月号 : その人のできることを実現するための就労支援 5 月号 : 本人・家族をともに支える訪問家族支援【その①】 6 月号 : 本人・家族をともに支える訪問家族支援【その②】 7 月号 : 奈良県で福祉医療制度が実現 8 月号 : いきいき家族会 9 月号 : 障害者差別をなくす地方条例をつくろう 10 月号 : 高齢化する精神障がい者にどんな支援が必要か 1 1 月号 : メンバーとスタッフが協働して運営するクラブハウス 1 2 月号 : 「あなた病気の人、私治す人」から「私も家族の一人です」となって見えてきたこと ■ 2015 年・ 月刊みんなねっと ~ 毎月こんな内容でお届けします ~ 1 2 月号 : 戦後 70 年と障害者権利条約 ( 藤井克徳 ) 11 月号 : 日本でも本人と家族をともに支援する家族支援の実現を 1 0 月号 : 精神障がい・精襯呆健の正しい教育を一世界の教科書比較 ( 山田浩雅 ) 9 月号 : 全科が無料になる医療費助成一地域家族会のとりくみ 8 月号 : 家族をひろげ元気にする家族相談活動ー愛知の経験から ( 木全義治 ) 7 月号 : グループホームの運営ってどうなっているの ? 6 月号 : 精神障がい者」にも交通運賃の割引を 5 月号 : 精神障がい者の「住まい」を考える一英国の居住支援から学ぶ ( 上野勝代 ) 4 月号 : 地域医療の発展をめさした「府中こころの診療所」を訪ねて 3 月号 : 精神障がい者の地域移行と地域生活を考える 2 月号 : 精神障がい者同士で結婚して 11 年目のわたしたち 1 月号 : 身体・知的障がい者と同等の交通運賃割引制度の実現を求めて FAX での申し込みもお受けします (FAX 番号 03 ー 3987 ー 5466 ) にお振り込みください ( この場合、振込手数料は自己負担願います ) 。 の振込用紙の場合、「 () () 1 3 0 ー O ー 3 3 8 3 1 7 みんなねっと」宛て さい。「通信欄」には、ご希望の号を記入してください。郵便局に備え付け 「 300 円 x 冊数十送料 80 円」の金額を巻末の振込用紙にてお振り込みくだ ・月刊みなねつのノヾ、、クナンパーのお申一方湾・ 6 月号 : 精神障がい者と家族ーそれぞれが自立し、ささえあうために① ( 白石弘巳 ) 5 月号 : 精神障がい者と家族ーそれぞれか自立し、ささえあうために① ( 白石弘巳 ) 4 月号 : 家族だからできる家族支援『家族による家族学習会プログラム』 ( 岡田久実子 ) 3 月号 : 障害者総合支援法施行 3 年後の見直し ( 本條義和 ) 2 月号 : 精神障害者と差別解消法 ( 池原毅和 ) 1 月号 : 世界から見た我が国の精神保健医療福祉 ( 長谷川利夫 ) ・ 2016 年■

10. 月刊 みんなねっと 通巻第111号 2016年 7月号

私と、 手記、 統合失調症の娘と共に あゆみ続けて 23 年① ( 鳥取県 ) 濱崎智煕 そんな中、教授から、「夏休 みの早い時期に、家に連れて この 2 年間、私は、家に戻っ帰ったほうがいいのではない か」と言われたので、連れて帰 ても、いっ電話があるのかと心 配で、いつも服を着たままの状りました。そのため受診のとき 態で寝ていました。ですから敷には、京都に戻るというような 布団を敷いて寝たことは一度も生活になりました。 娘は、「風呂に入るように」 ありません。 と勧めると、やっと入浴すると 娘は顔色が悪く、髪はパサバ 家では相変わらず いう状態で、 : サ、月のものが巡って来ても、 , 、トイレの掃除もできず大変な状の寝たきり状態にあり、食事も 手 の 夜のみという始末でした。私が 態でした。 ときどき、友達が訪ねてきて勤務して家にいないときは、本家 心配してくれている様子で、大人の気分がいいときに起きてい たということもあったようです 学にも、たまに行っていたよう 娘が発病したのは幻歳の時で週間分の投薬で様子を見て、再 す。大学の 2 年生でした。 5 月び 1 週間後に受診するというこ です。深夜に教授より電話があとで、治療が始まりました。 りました。 「娘さんが大変です。混迷状 態です。至急、こちらにお出で しかし、 1 週間経っても、幻 ください。お願いします」 覚、睡眠障害があり、不安状態 私は、不安と心配でいつばい になり、心の動揺を抑えることのため食事も摂取できていない こともあるという状態でした。 ができませんでした。 私は、教授に娘の状態を伝え とりあえず行ってみないこと にはわからないので、夜中に一て相談をするために、時々、京 人、夢中で車を運転して、京都都に来ていましたが、そのたび に着きました。娘と一緒に大学に、食事を作り置きし冷蔵庫に へ行って、教授と話し合い、そ入れて帰るということをくり返 のまま、京都大学の精神科外来していました。 次に来るまでに、冷蔵庫が空 を受診しました。 私は、医師から「統合失調症になっているだろうと思いなが ら下宿に行くのですが、本人は、 ですよ」という説明を受け、 1 部屋のカーテンを閉め、べットです。 に横になったままの状態でし 」 0 みんなねっと 2016 年 7 月号 22 一三ロ