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検索対象: 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号
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1. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

の制定を受けて、年に「障害 者プラン」を発表しました。こ 精神科医療の現状と改革の展望 のプランでは精神障害者 2 万数 昭和大学烏山病院家族会あか会監事 氏家憲章 社会福祉法人うるおいの里・理事長 千人の社会復帰 ( 退院 ) の目標 を掲げました。しかし結果は、 1 万人弱と目標の半分にも達せ 《連載》第 9 回時代の変化に対応できない精神医療政策 ず失敗しました。年厚労省は、 精神科医療が国民に安全・安精神科特例、精神科差別を基本障害者プランの失敗を受け「新 としている政策は、今日に対応障害者プラン」を発表しました。 心の医療を提供し、国民のここ ろの健康の保持・増進という社できない事態に陥っています。このプランでは、 7 万 2 千人の 会的役割を果たすためには、国しかも国 ( 厚労省 ) は、時代後れ社会的入院を川年間で解消する となっている精神医療政策の存方針でした。しかし社会的入院 の精神医療政策が、今日精神科 医療が到達している水準を国民続を優先した施策を行っていまの解消は実現せず、新障害者プ ランも失敗に終わりました。 一人一人に提供できる政策でなす。その実態をみてみましよう。 ければなりません。 ( 1 ) 精神医療政策の限界を示 ②精神保健医療福祉の改革ビ しかし、わが国の精神医療政 す事例 ジョンの失敗 策は、 1950 年代以降数年 間本格的な見直しをしていない①ニつの障害者プランの失敗 国年厚労省は、精神保健医療 厚労省は、年障害者基本法福祉の改革をめざして、「精神 ため、入院中心の隔離・収容と 院の解消はできませんでした。崩壊します。同時にそれは精神 保健医療福祉の改革ビジョン」 " 入院医療中心 ~ から " 地域生科病院への入院中心の隔離・収 を発表しました。 この改革ビジョンでは、① " 入活中心 ~ への精神科医療の基本容政策の崩壊でもあります。そ 院医療中心 ~ から " 地域生活中の転換も進まず改革ビジョンものために国 ( 厚労省 ) は、プラ ンやビジョンを打ち上げても、 へ、立ち後れた精神保健医失敗しました。 実際は、精神科病院の経営崩壊 療福祉体系の再編と基盤強化を に直結するため、具体化は不可 今後川年間で進める。②「受入《失敗の背景》 能であるという根本問題を抱え 条件が整えば退院可能な者 ( 約精神科病院は、病床利用率が 3 % 以上でないと経営が困難にていたのです。 7 万人 ) の社会的入院は、精神 科病床の機能分化・地域生活支なります。一一つの障害者プラン ( 2 ) 歴史の流れと逆行する施策 援体制の強化など立ち後れた精と精神保健医療福祉改革ビジョ 望 神保健医療福祉体系の再編と基ンを具体的に進めると、万単位 展 盤強化を進めることにより川年の長期入院者の退院が進行する《最も後れている精神医療政策》革 ことになります。 わが国の精神科医療そして精 後に解消を図る : ・など画期的な 状 もし障害者プランどおりに 神障害者に対する処遇は、他の ビジョンでした。そのためこの 現 の 改革ビジョンを、当事者・家族なったとしますと、病床利用率先進諸国の精神科医療や国内の そして精神保健医療福祉の関係が % 台後半に陥り、改革ビ一般医療と比べて著しく立ち後科 精 ジョンでは間 % 台前半に陥るこれています。そのため国 ( 厚労 者は大いに期待しました。 川年経ってみると、社会的入とになり、精神科病院の経営は省 ) は、本来、精神医療政策の みんなねっと 2016 年 1 2 月号 20

2. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

知る、では生ぎるごす 連載回 ることができます ) 。手帳の等所に通い始めました。 3 年前に 「愛の手帳」です ) 。 本稿で「手帳」とのみ書いて級は 1 級から 3 級で、申請書類退職後、仕事から離れていまし たが、数年後には企業で働ける いる場合は、精神障害者保健福をもとに判定されます。 祉手帳を指します。 吉本さんは、 3 年前に精神科ようになりたいと考えていま を受診し、うつ病と診断されます。 吉本さんの日常生活の様子 した。通院を続けながら、 1 か 手帳の交付が受けられる人は 月前から就労継続支援型事業 ( 左の囲み ) として挙げた内容 手帳の対象は、精神疾患によ り、長期にわたり日常生活又は 0 吉本さんは、一人で外出はできますが、過大なストレスが 社会生活に制限がある人です。 かかる状況が生じた場合には対処が難しくなります。日常的 手帳を申請するには、精神疾患 な家事はこなすことができますが、状況や手順に変化がある の初診から 6 か月以上経過して と、難しさが生じてきます。身の回りを清潔に保つことや対 いる必要があります。発達障害 人交流にはあまり難しさはなく、引きこもリがちでもありま や高次脳機能障害のある人も申 せん。自主的に行動することや、社会生活の中で発 = = 口が適切 請できます。知的障がいがあり にできないことはあります。行動のテンポはほぼ他の人に合 精神疾患のない人は対象外です わせることができます。普通のストレスでは、症状の再燃や ( 知的障がいと精神疾患の両方 悪化は起きにくいです。金銭管理はおおむねできて、社会生 活の中で不適当な行動をとってしまうことは少ないです。 ある人は、療育手帳と精神障害 者保健福祉手帳の両方を受け取 精神障害者保健福祉手帳 ( 経済的支援特集⑥ ) 県立広島大学越智あゆみ ■吉本さん ( 仮名、女性 ) は、就労継続支援型事業所を利 用しています。事業所の活動で駅に行くと、同じ事業所に通 う若林さん ( 仮名、女性 ) は、駅の窓口で何かを見せて電車 の切符を買っていました。吉本さんが「何を見せていたの ? 」 とたずねると、若林さんは「精神障害者保健福祉手帳よ。こ の手帳があると、交通費や税金が安くなったり、携帯電話料 金が割引になったりするのよ」と教えてくれました。 精神障害者保健福祉手帳とは 「精神障害者保健福祉手帳」は、 本人の申請に基づき、一定程度の 精神障がいの状態にあると認め られた場合に交付されるもので す。精神障がい者の自立と社会 参加の促進を図るため、手帳を 持っている人に対して、様々な 支援策が講じられています。 障がい者を対象とした手帳に は 3 種類あり、合わせて「障害 者手帳」と呼びます。「精神障 害者保健福祉手帳」のほかに、 「身体障害者手帳」と、知的障 がい者を対象とした「療育手帳」 があります ( 療育手帳は地域に よって名前が違い、東京都では 29 知ることは生きること みんなねっと 2016 年 1 2 月号 28

3. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

ます。みんなねっとで実施した生活福祉資金の貸付、放指定都市の精神保健福祉セン 交通運賃に関するアンケート調送受信料の減免などがありまターで行われる審査で認められ号 月 査の結果は、 2015 年 6 月号す。地域・事業者で異なるものると、手帳が交付されます。有 年 に掲載しています。 には、医療費の助成、手当・給効期間は 2 年間で、更新もでき 付金等の支給、上下水道料金のます。 と ④【事業者で異なる】携帯電話 御引、施設入場料等の割引など っ ね 料金の割引が受けられます があります。 申請時に留意することは ん Z ドコモの「ハ ー一アイ割 み 引」、の「スマイルハ ート手帳の交付を受けるには 手帳の認定では、診断書、な 御引」、ソフトバンクの「ハ かでも「日常生活能力の判定」 トフレンド割引」は、手帳所持手帳の交付を受けるには、市欄の記載内容が特に重要です。 者が対象に含まれています。条町村の障がい福祉担当課し こ、食事や金銭管理、通院と服薬な 件や割引内容は、事業者や契約 ( 1 ) 申請書、 ( 2 ) 診断書、 ( 3 ) どについて、① ( 自発的に / 適 内容によって異なりますので、写真を提出します。診断書にっ切に ) できる、② ( 自発的に / 各事業者にご確認ください いては、精神障がいによる障害おおむね ) できるが援助が必要、 年金の受給者は、年金証書等の③援助があればできる、④でき ⑤その他のサービス 写しでも可です ( その場合は、 ない、の中から一つ選びます。 全国共通のものには、生活保障害年金と同一等級で手帳が交医師は、診察時の聴き取りをも 護の障害者加算 ( 1 ・ 2 級のみ ) 、付されます ) 。都道府県・政令とに診断書を作成します。援助 2016 年 4 月には、障害者福祉手帳は対象外とされてきた 者が身近にいない一人暮らしを 想定し、一定の期間の状態 ( 特差別解消法が施行されました。サ 1 ビスについては、頂欠、」 に状態が悪い時のこと ) を医師交通運賃割引制度をはじめ、身用条件の改善が進むことが期待 に伝えます。本人が気づかない 体障害者手帳・療育手帳は対象されます。 ことや伝えることが難しいことでありながら、精神障害者保健 があれば、家族や援助者から具 体的に伝える必要があります。 文書にまとめて手渡すのも、一 つの方法でしよう。 手帳を取得・利用することに 迷いがある場合には 献 文 「手帳の取得はどうも気が進 まない」という人もいるかもし れません。手帳の交付だけ受け ておいて、手帳を利用したくな ( 提示したくない ) 時には提 示しない、ということもできま す。 る務 神済イ品二 中央法規 青木聖久編著 『精神障害者の経済的支援ガイドブック ~ 事例と Q & A から理解する支援の意義と実務』 お 中央法規出版 2015 年 7 月 ち * 本書は、青木聖久・越智あゆみ・風間朋子という、 精神保健福祉士であると共に社会福祉研究者と、加あ えて、高橋裕典という障害年金をはじめ社会保障制 ゆ 度に明るい社会保険労務士の 4 名で執筆しています。 み 33 知ることは生きること

4. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

さこ 院内で経験しました。出たかっ な中 す みを た。今は自由で幸せ、幸福です。 号 の」 ~ 恫 日常生活 者殳 現在当事者本人以外の家族会や明 わ 医療機関 ( 精神病院 ) を含め、 年 ま則コ◆福井県おなさん本人 ( の 全ての方に当事者本人は存在 ~ わ扠す代 ) のの介 坊紹縁あって家族会に入会したとし、自由と幸福を求めているこ と ん っ ころ、水を得た魚のようにやるとを発見して欲しい み ね 亠な 気が出てまいりました。 〇 ん これからよろしくお願いしま 地域の話題 み 〇 す。 ◆大分県との交渉 〇「みんなねっと」の感想 大分県精神保健福祉会 ◆大阪府紅のトトロ本人 事務局長高野良隆 〇◆東京都ぬば本人 ( 代 ) 代 ) 真澄こと葉さんのつれづれ日 私は現在、マンションの一室大分県は、精神保健福祉法で 〇 記を毎月楽しみにしていますで一人暮らしで、生活保護を受定められている県立の精神科病 〇 け自活しています。私が一人で院が実質的に全国で、唯一未整 平凡に生きるのは難しいか 備であるということ、また、救 ら、一日一日を感謝したいとい 世帯主です。歳の男性ですが、 う言葉には、私の心にひびきま地域で生活し自由です。通院・急医療体制が整っておらず、緊 急時の時間外に措置対応以外に した。がんばって下さい 服薬もしています。 は民間の輪番制や当番制もな 自由な選択肢でコンビニに行 ったり、公園に行ったり、テレく、精神の救急医療病院もない ビを見たり。昔 2 回強制入院とといったこともあって、精神保 いう不自由な逮捕監禁を精神病健福祉が全国的にもかなり遅れ 読者のページ ている状態です。 の緊急時において、措置入院以ました。 この件については、県は引き これらの状況を受けて、平成外に対応できる時間 365 日 年 2 月に県立精神科基本構想の当番制や輪番制などのシステ続き協力していきたいとの回答 でした。 検討委員会がたちあがりましム化の早期実現などです。 次に医療費助成の問題です。 この要望を受けた県の回答 当会としては、他障がいが受 この委員会のなかで基本構想は、大筋は基本構想のとおりで が決定され、本年 3 月に知事にあり、民間病院の協力は不可欠けている医療費助成を、せめて 答申されました。 であるので、詳細については今同じレベルでの助成にしてもら 〇 いたいということで、要望いた それによるとべッド数床、後の関係機関との協議になると 〇 しました。 原則、医療保護入院を対象とし い , っことでした。 わ これについては、県は財政的 て、時間対応し、平成年度 これを受けて、当会会長が、 中に開設するとなっています。 新たに関係機関との協議の場をなこともあり、すぐというわけよ ししし , 刀 ~ なし , 刀 , 不・一三ロし その他の精神科救急医療シスできるだけ早く設置してもら 、貪寸よしていん テムについては、今後、関係機 すぐに協議に入れるよう要きたいとのことでした。 み これらの要望は、以前から関〇 関と協議するとなっているので請をしました。 わ す。 係機関には要請してきておりま〇 次に、交通運賃の割引制度に の 亠な したが、なかなか実現すること〇 これらの内容を受けて、 8 月ついてです。 〇み はありませんでした。 日に県との交渉に臨みまし本県においては、全国でも数 そのような中、やっと県立の 少ない精神障がい者の交通運賃 〇、一 精神科病院ができるということ 当会の要望としては、時間割引制度が全く行われていない 〇ペ になったのです。 365 日対応可能な精神医療相ということもあって、精神障が 〇諸 談窓口や精神科救急情報センタい者にも交通運賃の割引が受け 我々は、県が、この県立の精〇 ーなどの設置、さらに、時間外られるよう、県の協力を要望し神科病院を最新のものとし、そ 二一醇

5. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

良くなるだけでなく再発予防再 ③就労定着に向けた支援 知っておきたい ( 」、 ④障害児のサ 1 ビス提供体制の入院の低下になるのである。な お、ここでは支援開始後の定着 計画的な構築 囀保健福祉の動き ⑤地域共生社会の実現に向けた率を取っていくという方針を一小 しながら過去のデ 1 タが示され 取り組み 0 第回社会保障審議会障害者 ⑥発達障害者支援の一層の充実てなかったので、厚労省職業安 部会 定局にデータがあるはずなので となっておりました。 2 月円日に開催された部会の 主な議事内容は、「障害福祉計①②については、多くの委員かデータを提示してもらいたい」 画及び障害児福祉計画にかかるらの意見表明がありました。ま「④は障害児支援のところでし 基本指針の見直し」と「その他た、⑥については発達障害関係のたが、ライフステージに応じた となっていますので大人になっ ( 相模原市の事件、障害支援区方から詳しく述べられました。 そこで私は「③就労定着の視てからも見据えた施策と思われ 分の認定状況 ) 」でした。ただし、 相模原市の事件、障害支援区分点は評価したい。なぜなら精神るため、ライフステージに応じ たという視点は大変重要であ の認定状況は時間の制約から次障害者は定着率が低いからだ。 定着率を高めるには " がる。それをするためには卒業時 回検討になりました。 〇基本指針見直しのポイント有効とのことである。個別にまあるいは、施設退所、退院時だ けでなく、入院中・施設入所中 ①地域における生活の維持及びず就労させてから支援してい く、援助付きないし支援付き雇から、福祉だけでなく保健医療、 継続の推進 ②精神障害に対応した地域包括用をするというモデルである。福祉、保育、教育、就労更には そうすることによって定着率が矯正施設等を含めた連携が望ま ケアシステムの構築 * —とは、 lndividual Placement and Support ・ の略で、個別就労支援プログラムのこと つの孤立に苛まれている実態が疾患に関する知識に乏しく情報 れる」「⑤地域共生社会のとこ ろでは、啓発啓蒙の大切さ」を明らかになった。この家族が抱から孤立している実態や障害者 える 3 つの孤立からの脱却に向権利条約第 8 条「意識の向上」 強調し意見表明をしました。 ( 文・本條義和 ) けた具体的な活動が計画に反映に、「教育制度のすべての段階 ( 幼年期からのすべての児童に なお、みんなねっと第 4 回理されてこそ意味がある。 対する教育制度を含む ) におい ・家族支援のシステム化 事会の意見も踏まえ次の補足意 そこで孤立からの脱却を目指て、障害者の権利を尊重する態 見を提出しました。 『家族支援の取り組みと啓発し、訪問による本人を含む家族全度を育成すること」と明記され 教育をみんなねっとではその設体を支援する技術 ( 行動療法的家ている以上、あらゆる教育段階 立以来様々な家族支援の取り組族療法 ) の実践が必要不可欠と考において障害のあるなしにかカ みをしてきた。家族の実態を知える。とりわけ、医療アクセスのわらず、すべての児童生徒に教 き 動 るため全国の家族会を対象に家状況が厳しい、未治療者、治療中育すべきである。精神疾患を含 の 祉 族調査を行った。調査結果によ断の中にある本人の回復には、む心の健康の福祉教育は障害児 福 健 ると本人が初めて精神科を受診単に福祉だけでなく医療を含め者の人権啓発とともに、「精神 保 神 た多職種での家族を一体的にと疾患等に関する正しい知識を体 したとき 9 割に上る家族が精神 精 疾患に関する知識に乏しく情報らえた支援が効果を発揮すると感的に身に着けさせることは精 き から孤立している。また、根強思われる。行動療法的家族支援神疾患患者の未治療期間の短縮 となり、精神障害者の回復を早て のシステム化を強く望みます。 い偏見が残る社会から孤立し、 っ 知 めることにもなる。更に、精神 ・啓発教育 支援が必要にもかかわらず、支 また、 9 割に上る家族が精神疾患に至らなくとも心に不調を 援からも孤立している。以上 3 みんなねっと 2016 年 12 月号 2

6. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

知っておきたい精神保健福祉の動き / 特集 / ( 投稿 ) 私と家族の手記 / 連載 ①街の診療所からのお便り / 連載②精神科医療の現状と改革の展望 / 連載 ③知ることは生きること / 連載④真澄こと葉のつれづれ日記 / みんなのわ ( 読者のヘージ ) ほか ・「月刊みんなねら - と」これまでの特集の紹介・ ■ 2014 年■ 7 月号 : 奈良県で福祉医療制度が実現 8 月号 : いきいき家族会 9 月号 : 障害者差別をなくす地方条例をつくろう 10 月号 : 高齢化する精神障がい者にどんな支援が必要か 1 1 月号 : メンバーとスタッフが協働して運営するクラブハウス 1 2 月号 : 「あなた病気の人、私治す人」から「私も家族の一人です」となって見えてきたこと ■ 2015 年■ 1 月号 : 身体・知的障がい者と同等の交通運賃割引制度の実現を求めて 2 月号 : 精神障がい者同士で結婚して 11 年目のわたしたち 3 月号 : 精神障がい者の地域移行と地域生活を考える 4 月号 : 地域医療の発展をめざした「府中こころの診療所」を訪ねて 5 月号 : 精神障がい者の「住まい」を考える一英国の主支援から学ぶ ( 上野勝代 ) 6 月号 : 精神障がい者」にも交通運賃の割引を 7 月号 : グループホームの運営ってどうなっているの ? 8 月号 : 家族をひろげ元気にする家族相談活動ー愛知の経験から ( 木全義治 ) 【品切れ】 9 月号 : 全科が無料になる医療費助成一地域家族会のとりくみ 1 0 月号 : 精神障がい・精神保健の正しい教育を一世界の教科書比較 ( 山田浩雅 ) 11 月号 : 日本でも本人と家族をともに支援する家族支援の実現を 1 2 月号 : 戦後 70 年と障害者権利条約 ( 藤井克徳 ) ■ 2016 年■ 1 月号 : 世界から見た我が国の精神保健医療福祉 ( 長谷川利夫 ) 2 月号 : 精神障害者と差別解消法 ( 池原毅和 ) 3 月号 : 障害者総合支援法施行 3 年後の見直し ( 本條義和 ) 【品切れ】 4 月号 : 家族だからできる家族支援『家族による家族学習会プログラム』 ( 岡田久実子 ) 5 月号 : 精神障がい者と家族ーそれぞれが自立し、ささえあうために① ( 白石弘巳 ) 【品切れ】 6 月号 : 精神障がい者と家族ーそれぞれが自立し、ささえあうために① ( 白石弘巳 ) 7 月号 : みんなねっと「政策委員会」の取り組み① ( 野村忠良 ) 8 月号 : みんなねっと「政策委員会」の取り組み① ( 野村忠良 ) 9 月号 : メンタルヘルスと福祉教育をめざして ( 松本すみ子 ) 10 月号 : 訪問看護が家庭内暴力とどう向き合うか ( 原子英樹 ) 11 月号 : 家族の思いから立ち上がった ACT のとりくみ ( 宮崎富夫・倉知延章 ) ( ・「月刊みんなねら。と」のパックプ = = プトのお申し込み方法・ ) 「 300 円 x 冊数十送料 80 円」の金額を巻末の振込用紙にてお振り込みくだ さい。「通信欄」には、ご希望の号を記入してください。郵便局に備え付け の振込用紙の場合、「 () 0 1 3 0 ー O ー 3 3 8 3 1 7 みんなねっと」宛て にお振り込みください ( この場合、振込手数料は自己負担願います ) 。 FAX での申し込みもお受けします (FAX 番号 03-3987 ー 5466 ) 月刊みんなねっと ~ 毎月こんな内容でお届けします ~ 2016 12 月号通巻第 116 号 表紙の糸会】織田信生 知っておきたい精神保健福祉の動き 2 お知らせしますみんなねっとの活動 5 特集 家族が求めていた訪問支援が実現するまで ( 岡田久実子・ 吉澤美樹 ) 6 精神科医療の現状と改革の展望 【連載第 9 回】時代の変化に対応できない精神医療政策 ( 氏家憲章 ) 20 街の診療所からのお便り【連載 115 】 ( 増本茂樹 ) ・・急ぎ過ぎないで、決め付けないで、よく考えて、納得してやっていく・・・ 知ることは生きること ( 連載 12 回 ) 精神障害者保健福祉手帳《経済的支援特集⑥》 ( 越智あゆみ ) 28 24 真澄こと葉のつれづれ日記 ( 第 69 回 ) 34 みんなのわー -- 読者のページ・地域の話題 36 * 今月号は、誌面の関係で、「私の 家族の手記」は、お休みしました。 0

7. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

ついて、あらためて以下 4 本のかけることが決まりました。 予定です。権利条約の実施を監 また、事業計画の上半期中間 視することで、権利条約の思想軸で行動提起を行う。各理事は 報告に加え、次の内容も確認さ に近づけることも政策委員会のこの行動の先頭に立つ。 ・全都道府県議会から意見書れました。 役目とのこと。みんなねっとの 〇災害義援金第 1 次分配と最終 を採択する運動に取り組む。 政策委員会でしつかり意見をま 2 ・本腰を挙げて交通事業者分配について【熊本県連より被 とめて、提言していきたいと思 害報告のあった施設に第 1 次分 ( ・私鉄・高速道路・航空会 ( 文・飯塚壽美 ) います。 配を行う。 社など ) への懇談要請を行う。 来年の 3 月末までに実施する。〇正会員会費納入のあり方につ お知らせします いて検討していくこと。 3 ・管区行政評価局及び管内事 みんなねっとの活動 務所へ全国一斉に行政相談、〇内閣府障害者政策委員会につ き いて【 9 月日に内閣府障害者動 あっせん申請を行う。 0 第 4 回理事会 4 ・来年度通常国会へ請願書を政策委員会委員の発令があり、当祉 川月幻日、東京都障害者福祉 健 会館にて、平成年度第 4 回理提出する ( 都道府県連合会長会の飯塚壽美理事が委員に就任 保 神 した。 事会が開催されました。今年度名連盟など ) 。 精 この他に、みんなねっとから〇多様な立場の家族への支援【 上半期の中間報告と主要議案と き こども、兄弟姉妺、配偶者の立 の対応を要する県連の現状につ して「他障害同等の交通運賃割 お いて確認され、みんなねっとの場の活動に連帯し、協力関係をて 実現運動について」などを審議 見解を県連へ示し、県での家族築いていく。 しました。 〇交通運賃割引制度実現運動に会活動が展開されるように働き たいと述べました。 感じた時にも対処方法を身につが開催され、第 4 期障害者福祉 けられるという効果もある。 計画の検討が始まりました。新 その後、資料に沿って、今後 以上のようなことから義務教たな名の委員で構成された今のスケジュール、議論の整理— 育段階からの心の健康に関する回の会議では、先ず一億総活躍第 3 期障害者基本計画の実施状 体感的な福祉教育は大切である大臣の加藤勝信氏の挨拶で始ま況を踏まえた課題—、平成 と考える。また、教職員に対すり、各委員から 1 分半の自己紹年度障害者施策実施状況の報 る研修も必要といえる。例えば、介がありました。 告があり、意見を求められまし オーストラリアの精神保健プロ 私は精神障害者の家族会とした。昨年同様のワーキングセッ グラム、マインドマターズなどて、現在取り組んでいる、な ション、障害者の安全、差別解 が参考となる。 ( 月刊みんなねど公共交通運賃割引を求める運消法施行元年の見直しに関する っと 2016 年 9 月号特集「メ動について、約万 5 千名の署名意見が出されました。 ンタルヘルスと福祉教育をめざを集めてこの 5 月国会へ請願し 文部科学省、厚生労働省、国 して」、 2015 年川月号の特たこと、不採択後も粘り強く取り土交通省からも資料について説 集「精神障がい・精神保健の正組むこと、病院ではなく地域で生明があり、今後の予定が述べら しい教育を」参照されたし ) 』 きるために、精神障害者を抱えるれました。 ( 文・小幡恭弘 ) 家族の一兀に届く医療と福祉が連 次期障害者施策を見据えて、 携した支援が欠かせない事、早期今後の障害者施策の課題につい ■第圓回障害者政策委員会 疾患教育により早期発見と治療て 川—月にかけ各委員に意見 2 月幻日、中央合同庁舎 8 号が実現して、こじらせずに学業や照会があり、それを整理して「総 館において、障害者政策委員会就労に復帰できる社会をめざし括的見解」の骨子が作成される ( 文・小幡恭弘 ) みんなねっと 2016 年 1 2 月号 4

8. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

月刊みんなねっと ( 毎月 1 回 1 日発行 ) 通巻 116 号 2016 年 12 月 1 日発行 2007 年 7 月 24 日第三種郵便物承認 月刊みんなねっと 2016 年 12 月 1 日発行 2007 年 7 月 24 日第三種郵便物承認 みんなねっとフォーラム 2016 家族それぞれの自立をめざして ~ 親あるうちに ~ 0 = 000 、 00000 = 00 ~ 0000 場 : 帝京平成大学冲永記念ホール ( 東京・池袋 ) 参加費 : 無料 ( 事前申込が必要です。詳しくは本誌の裏表紙、チラシ、ホームページをご覧ください ) く午前の部〉 それぞれの自立をめさして一本人・家族・医療者が、共に考えられる社会へ 夏苅有「子氏 ( 医療法人社団峻凌会・やきつべの径診療所理事児童精神科医 ) く午後の部〉 【シンポジウム】 それぞれの自立 ~ 開かれた対話 ~ ( 仮 ) 当事者とその支援者、当事者の家族とその支援者という 2 組に、それぞれの立場から、訪 問型・対話型の支援が入ったことでどう変化したのかについてお話をしていただきます。 0 シンポジスト ・訪問看護を利用している当事者とその支援者 ・訪問看護を利用している当事者の家族とその支援者 ロ助言者 夏苅有子氏 ( 医療法人社団峻凌会・やきつべの径診療所理事児童精神科医 ) 0 コーディネーター Su pported by 大塚淳子氏 ( 帝京平成大学健康メディカル学部教授 ) THE NIPPON FOUNDATION ※詳細が決まり次第、月刊「みんなねっと」や当会ホームページ、チラシ 等でご案内いたします。多くの方々のご参加をお待ちしています。 主催・問合先 : 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会 ( みんなねっと ) tel 03 ー 6907 ー 9211 / fax 03 ー 3987 ー 5466 / http://www.seishinhoken.jp 170 ー 0013 東京都豊島区東池袋 1 ー 46 ー 13 ホリグチビル 602 2016 ・特集・ 家族が求めていた訪間支援が実現するまで ( 岡田久実子・吉澤美樹 ) ■精神科医療の現状と改革の展望 ( 氏家憲章 ) 連載第 9 回「時代の変化に対応できない精神医療政策」 ■知ることは生きること ( 越智あゆみ ) 連載囘 精神障害者保健福祉手帳 ( 経済的支援特集⑥ ) 【講演】 0 講師 《当事者 ( 男性 ) と三ツ井直子氏 ( 訪問看護ステーション kazoc 看護師 ) 》 ( 東京都 ) 《当事者の家族 ( 母親 ) と佐藤晋氏 ( だるまさんクリニック psw) 》 ( 埼玉県 ) 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会

9. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

家族が求めていた 訪問支援が実現するま ' さいたま市精神障害者家族会連絡会 今回の特集は、月、ⅱ月号につづき、ア 岡田久実子 さいたま市メンタルヘルスネットワーク ウトリーチ ( 訪問支援 ) がテーマです。さ いたま市における取り組みの報告を、家族 < 0 ( アクト【 Assertive Community Treatment) とは、医療と の立場から岡田さんに、支援者の立場から福祉の専門職チームが、重度の精神障がい者の住まいを訪問 して、医療と福祉の生活支援をおこなうプログラム。 ( 編集部 ) 吉澤さんにお願いしました。 ( 編集部 ) 現在、さいたま市内では精神チームは、私たち精神障がい者とその力だけでは、なかなか社 科専門の訪問支援が複数か所、家族の切実な声を反映して活動会とつながるきっかけをつかむ ことができずに、人として生き 活動を始めている。その中の 2 を始めたという経緯がある。 精神疾患・精神障がいを抱える機会を見失った状態で長い時 か所、「訪問看護ステ 1 ション て家庭内に引きこもりがちな当間が経過してしまう場合が大変 すずらん」と「訪問看護ステー アクト に多く、その状況が「親亡き後 ションふあん (<0+—ふあん事者は、急性期のような病状は の心配・不安」という課題を生 を併設 ) 」というアウトリーチ何とか安定しても、家族の思い い知らされたばかりの頃であっ みだしている。 た。何の講演会なのかも良くわ また、入退院を繰り返す人、初めて知った からずに、ひどく重い気持ちで 未治療や医療中断の人も多く、 「 < ( 」とい - っ支援 席に座りこんだことを覚えてい 家族会には様々な相談が寄せら 今から年ほど前、私はまだる。 れるが、その解決策をもたない うつろな気持ちで壇上を見上 もどかしさをいやというほど味地域の家族会にたどり着いたば かりであった。 わってきている。 げると、講師の先生が何やら熱 当時の会長さんに誘われるま心にお話しをされていた。しば 私たち家族は、そのような状 ま、都内で行なわれるという講らくは何を話しているのか頭に 況を変えていくために、リカバ リー志向の支援を届けてくれる演会に足を運んだ。わが家では、入ってもこなかったのだが、重 訪問支援の仕組みが必要であるその 1 年半ほど前に長女が精神度の精神障がいの人が支援を受 実 けながら自宅で生活をする・ : と と考え、そのためにできることの不調を訴え、 2 か月の服薬治 に取り組んできた。数年前に、療で回復して就労するまでに いう話題に、その時の長女の姿肢 訪 やっとその願が叶い、訪問支援なっていた。しかしその後、主が重なってきた。 て よくよく耳を傾けてみると、 の仕組みが地域で活動を始めて治医からの病気や治療の説明は め 求 いるのである。ここに至るまでなく、もう治ったからと通院も米国で重度精神障がい者を在宅 家 の、私たち家族の思いと活動を服薬も止めてしまい、再び長女で支援する「 ( アクト ) 」 振り返ってみたい。 の大混乱を目の当たりにして、という仕組みがあり、今後は日特 ようやくこの病気の深刻さを思本でも普及をめざすというので みんなねっと 2016 年 1 2 月号 6

10. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

も期待できるのではないかと考 oæ」について熱く語っていたをどうすれば良いのか、皆目見 えるようになった。 講師の先生と再会したのであ当もっかなかったからである。 る。その先生こそが伊藤順一郎 こんな私の後ろ向きの思いを 強い思いを持ち続けること先生であった。ある時、伊藤先察知したかのように、伊藤先生 でその思いが叶う : ・ 生から「さいたま市でをが <0+ の視察に同行すること 立ち上げてみないか」という夢を勧めてくださった。さいたま しかし、「 <0+ 」のようなのような言葉を投げかけられた市保健所職員 2 名と共に、家族 仕組みをつくることは、私たちことが、すべての始まりだった 2 名も同行。そこで、実際に家 家族が直接できることではない と記憶している。 庭や病院に訪問して当事者を支 で ので、「さいたま市内に < o その時の率直な気持ちは、「 < 援する現場に立ち合わせていた る す を : ・」という強い思いを持ち続ができたら、とても嬉しい だき、カンファレンスにも参加 現 実 けながらも、そのことはさてお でも : ・そんな風に言われてさせていただいたことで、その 援 支 いて、日々の家族会活動に取りも : ・何もないこのさいたま市で実際をよく理解することができ 訪 組んでいた。 <t O を ? いくら伊藤先生か 平成年、縁あって、認証 z ら声をかけていただいても、そ そして、ある一人暮らしの男甎 求 法人地域精神保健福祉機構んなことができるわけがない 性の買い物に同行したときのこ 族 家 コンボ主催の家族学習会企画委じゃない」であった。できるもとが強く印象に残った。できる 集 員会に参加するようになり、偶のなら立ち上げたいという強い ことは男生に任せ、困ったこと 特 然にも、かってあの壇上で「思いを持ちながら・ : けれど、何を手伝い、必要なことを確認し ある。 その数年後に、家族会会長と この数字を見た時から、「つ 号 なり、家族会の良き理解者であながる」ことを支援することが 「 < 0 」という言葉を聞い 月 たのは、この時が初めてであつる埼玉県立大学の先生のご協力不可欠であると気づき、かって 年 た。詳細は良く理解ができなを得て、会員へのアンケート調耳にした「 <0+ 」という支援 の仕組みへの興味関心がさらに かったが、重度の精神障がいを査を実施した。 と っ その回答の集計結果に唖然と膨らんでいった。 持つ人でも、この仕組みがあれ ね ば入院することなく、地域で生した。地域に当事者の居場所を 重度の精神障がいを持つ人 み が、チームによる訪問支援を受 つくりたいと、家族会で必死に 活を送ることができる : ・このこ とだけは、しつかりと脳裏に焼資金集めをして作業所を立ち上けながら地域で生活できる仕組 げ、社会福祉法人化するまで奮みⅡ <0+ が動き出せば、その き付けることができた。 「 < 0 [-* 」ってすごい " こ闘したにもかかわらず、「医療理念である「リカバリー」「ス の先、長女の回復が思わしくな機関以外の社会資源につながっトレングス * 」という考え方が、 くても、「」があれば何ている当事者の割合は約 3 割」病気の治療・回復だけを目的と とかなるかもしれなし くら資するのではなく、その人自身 、 : ・ほんのという数字であった。い かすかな、けれど確かな一筋の源が増えても、そこにつなぐ仕の「生きることを支える」とい う支援の質の向上につながるの 希望の光を見たような気がし組みがなければつながれない・ た。それ以来、私の中には「 < それが精神障害をもつ人たちのではないか・ : そして、「 <OE* 」 に限らず、訪問支援という「つ 」への興味関心が途絶える実情であることを痛みと共に理 ことはなかった。 なげる支援」の仕組みの広がり 解した体験であった。 * ストレングス【その人の強み、興味、特技、長所