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検索対象: 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号
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1. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

うとする依存的な考え方として その後は受診していません」 〈ゆっくり復活しよう〉 用心深く扱うか、少し迷うとこ その薬はあなたに合わなかっ 月 o さんは学校を休学され、「会ろです。この時期として、 0 さ たのだと思います。量が多かっ 年 たかも知れない。それと、 " 抗社に申し訳がない」と言って会んには少しあせりを感じます。 うつ薬 ~ は " 明るくする薬 ~ で社も退職していました。そして、急ぎ過ぎてはいけません。 と っ はありません。気持ちを変えて処方された薬も飲まずに、 1 か ね 〈感じ方を変える〉 亠な 思い詰めないでやって行こうと月を悶々として過ごされまし 項目に〇 x を付ける診断法でみ た。そんなやり方でなく、別の 応援する薬です。 野球で例えれば、ノーアウト方策が必要でした。でも、過去は、 0 さんはうつ病と診断され 1 、 2 塁のピンチで弱気になつのことは変えられません。プロます。しかし、発症の原因は荷 ているピッチャーのところへ内野球では、打たれたピッチャー物を積み過ぎたことです。荷物 野手が集まって声を掛け、 " 大は 2 軍で調整して復活するのでを積み過ぎたトラックが坂道で 丈夫。球は走っている。難しくす。 o さんも今日からは今の条登れなくなっている感じです。 よく言われているうつ病の治療 考えずに目いつばいの球を投げ件のもとで建て直しですよ。 1 週間後の受診時に、少し明法に従ってしばらく休んでも、 込めば、そうそう打たれないよ。 もしも打たれたら、次はおれたるい顔付きの 0 さんは「認知行荷物を積んだままでは再発進は ちが取り返してやるよ ~ と励ま動療法をしてもらいたい」と一一一口できないでしよう。どれかの荷 われます。積極的な考えとして物を降ろして後に回すか、他の す感じです。 評価するか、うまい方法に頼ろトラックに頼むか ? そういう 相談が大事です。この時、 " 荷き目は良いのですが、ロの渇きで処方してよいことになってい 物を運ばなければいけないとや便秘症などの副作用が苦になます。とても大量です。そして、 感じているのを、 " 分けて運んる人もあります。これに対しその薬価は月に 2 万円くらいに でも間に合うだろう ~ と考えるて、近年発売された数種類の抗なります。製薬会社はたくさん 売りたいでしようね。 のも、認知 ( 感じ方 ) と行動をうつ薬はそんな副作用が少ない 新発売の抗精神病薬でも値段 変える、 1 回分の認知行動療法というのが宣伝文句で、国から おおよそ 5 倍くらいの値段を付の違いほどの効果の違いはあり だと思います。 Ⅱ〉一 ~ 一一 ( ~ ~ ・ ~ 一一、、 - ~ ~ 一 ) 一】〕〔 ( けられています。そして、副作ません。今の政府は企業が儲か 〈新薬 ? 〉 用が少ないという理屈で気軽にればその余りがしたたり落ちて うつ病の治療では本人の治癒大量に処方されるようになりま国民が豊かになると言っていま すが、国の医療費や患者の出費 力を働かせようとします。抗うした。 っ薬はそれを応援するものです 〈お金の使い道〉 気を持つ人の幸福度を上げる方 し、精神科医や心理療法家は家 に使う道はないものでしよう その上、近頃では三環系抗う 庭や職場の条件を整えることを 考えます。新薬にしたからそれつ薬のトリプタノールにも認めか ? で治って行くというものではあられていた痛みを和らげる効果 りません。それに、新発売の薬が新しい抗うつ薬にもあるとい はとても値段が高いのです。以うことを申請して、トリプタ 前からの三環系の抗うつ薬は効ノール ( 巴錠と同等量ま 27 街の診療所からのお便り

2. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

知っておきたい精神保健福祉の動き / 特集 / ( 投稿 ) 私と家族の手記 / 連載 ①街の診療所からのお便り / 連載②精神科医療の現状と改革の展望 / 連載 ③知ることは生きること / 連載④真澄こと葉のつれづれ日記 / みんなのわ ( 読者のヘージ ) ほか ・「月刊みんなねら - と」これまでの特集の紹介・ ■ 2014 年■ 7 月号 : 奈良県で福祉医療制度が実現 8 月号 : いきいき家族会 9 月号 : 障害者差別をなくす地方条例をつくろう 10 月号 : 高齢化する精神障がい者にどんな支援が必要か 1 1 月号 : メンバーとスタッフが協働して運営するクラブハウス 1 2 月号 : 「あなた病気の人、私治す人」から「私も家族の一人です」となって見えてきたこと ■ 2015 年■ 1 月号 : 身体・知的障がい者と同等の交通運賃割引制度の実現を求めて 2 月号 : 精神障がい者同士で結婚して 11 年目のわたしたち 3 月号 : 精神障がい者の地域移行と地域生活を考える 4 月号 : 地域医療の発展をめざした「府中こころの診療所」を訪ねて 5 月号 : 精神障がい者の「住まい」を考える一英国の主支援から学ぶ ( 上野勝代 ) 6 月号 : 精神障がい者」にも交通運賃の割引を 7 月号 : グループホームの運営ってどうなっているの ? 8 月号 : 家族をひろげ元気にする家族相談活動ー愛知の経験から ( 木全義治 ) 【品切れ】 9 月号 : 全科が無料になる医療費助成一地域家族会のとりくみ 1 0 月号 : 精神障がい・精神保健の正しい教育を一世界の教科書比較 ( 山田浩雅 ) 11 月号 : 日本でも本人と家族をともに支援する家族支援の実現を 1 2 月号 : 戦後 70 年と障害者権利条約 ( 藤井克徳 ) ■ 2016 年■ 1 月号 : 世界から見た我が国の精神保健医療福祉 ( 長谷川利夫 ) 2 月号 : 精神障害者と差別解消法 ( 池原毅和 ) 3 月号 : 障害者総合支援法施行 3 年後の見直し ( 本條義和 ) 【品切れ】 4 月号 : 家族だからできる家族支援『家族による家族学習会プログラム』 ( 岡田久実子 ) 5 月号 : 精神障がい者と家族ーそれぞれが自立し、ささえあうために① ( 白石弘巳 ) 【品切れ】 6 月号 : 精神障がい者と家族ーそれぞれが自立し、ささえあうために① ( 白石弘巳 ) 7 月号 : みんなねっと「政策委員会」の取り組み① ( 野村忠良 ) 8 月号 : みんなねっと「政策委員会」の取り組み① ( 野村忠良 ) 9 月号 : メンタルヘルスと福祉教育をめざして ( 松本すみ子 ) 10 月号 : 訪問看護が家庭内暴力とどう向き合うか ( 原子英樹 ) 11 月号 : 家族の思いから立ち上がった ACT のとりくみ ( 宮崎富夫・倉知延章 ) ( ・「月刊みんなねら。と」のパックプ = = プトのお申し込み方法・ ) 「 300 円 x 冊数十送料 80 円」の金額を巻末の振込用紙にてお振り込みくだ さい。「通信欄」には、ご希望の号を記入してください。郵便局に備え付け の振込用紙の場合、「 () 0 1 3 0 ー O ー 3 3 8 3 1 7 みんなねっと」宛て にお振り込みください ( この場合、振込手数料は自己負担願います ) 。 FAX での申し込みもお受けします (FAX 番号 03-3987 ー 5466 ) 月刊みんなねっと ~ 毎月こんな内容でお届けします ~ 2016 12 月号通巻第 116 号 表紙の糸会】織田信生 知っておきたい精神保健福祉の動き 2 お知らせしますみんなねっとの活動 5 特集 家族が求めていた訪問支援が実現するまで ( 岡田久実子・ 吉澤美樹 ) 6 精神科医療の現状と改革の展望 【連載第 9 回】時代の変化に対応できない精神医療政策 ( 氏家憲章 ) 20 街の診療所からのお便り【連載 115 】 ( 増本茂樹 ) ・・急ぎ過ぎないで、決め付けないで、よく考えて、納得してやっていく・・・ 知ることは生きること ( 連載 12 回 ) 精神障害者保健福祉手帳《経済的支援特集⑥》 ( 越智あゆみ ) 28 24 真澄こと葉のつれづれ日記 ( 第 69 回 ) 34 みんなのわー -- 読者のページ・地域の話題 36 * 今月号は、誌面の関係で、「私の 家族の手記」は、お休みしました。 0

3. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

月刊みんなねっと ( 毎月 1 回 1 日発行 ) 通巻 116 号 2016 年 12 月 1 日発行 2007 年 7 月 24 日第三種郵便物承認 月刊みんなねっと 2016 年 12 月 1 日発行 2007 年 7 月 24 日第三種郵便物承認 みんなねっとフォーラム 2016 家族それぞれの自立をめざして ~ 親あるうちに ~ 0 = 000 、 00000 = 00 ~ 0000 場 : 帝京平成大学冲永記念ホール ( 東京・池袋 ) 参加費 : 無料 ( 事前申込が必要です。詳しくは本誌の裏表紙、チラシ、ホームページをご覧ください ) く午前の部〉 それぞれの自立をめさして一本人・家族・医療者が、共に考えられる社会へ 夏苅有「子氏 ( 医療法人社団峻凌会・やきつべの径診療所理事児童精神科医 ) く午後の部〉 【シンポジウム】 それぞれの自立 ~ 開かれた対話 ~ ( 仮 ) 当事者とその支援者、当事者の家族とその支援者という 2 組に、それぞれの立場から、訪 問型・対話型の支援が入ったことでどう変化したのかについてお話をしていただきます。 0 シンポジスト ・訪問看護を利用している当事者とその支援者 ・訪問看護を利用している当事者の家族とその支援者 ロ助言者 夏苅有子氏 ( 医療法人社団峻凌会・やきつべの径診療所理事児童精神科医 ) 0 コーディネーター Su pported by 大塚淳子氏 ( 帝京平成大学健康メディカル学部教授 ) THE NIPPON FOUNDATION ※詳細が決まり次第、月刊「みんなねっと」や当会ホームページ、チラシ 等でご案内いたします。多くの方々のご参加をお待ちしています。 主催・問合先 : 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会 ( みんなねっと ) tel 03 ー 6907 ー 9211 / fax 03 ー 3987 ー 5466 / http://www.seishinhoken.jp 170 ー 0013 東京都豊島区東池袋 1 ー 46 ー 13 ホリグチビル 602 2016 ・特集・ 家族が求めていた訪間支援が実現するまで ( 岡田久実子・吉澤美樹 ) ■精神科医療の現状と改革の展望 ( 氏家憲章 ) 連載第 9 回「時代の変化に対応できない精神医療政策」 ■知ることは生きること ( 越智あゆみ ) 連載囘 精神障害者保健福祉手帳 ( 経済的支援特集⑥ ) 【講演】 0 講師 《当事者 ( 男性 ) と三ツ井直子氏 ( 訪問看護ステーション kazoc 看護師 ) 》 ( 東京都 ) 《当事者の家族 ( 母親 ) と佐藤晋氏 ( だるまさんクリニック psw) 》 ( 埼玉県 ) 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会

4. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

ます。みんなねっとで実施した生活福祉資金の貸付、放指定都市の精神保健福祉セン 交通運賃に関するアンケート調送受信料の減免などがありまターで行われる審査で認められ号 月 査の結果は、 2015 年 6 月号す。地域・事業者で異なるものると、手帳が交付されます。有 年 に掲載しています。 には、医療費の助成、手当・給効期間は 2 年間で、更新もでき 付金等の支給、上下水道料金のます。 と ④【事業者で異なる】携帯電話 御引、施設入場料等の割引など っ ね 料金の割引が受けられます があります。 申請時に留意することは ん Z ドコモの「ハ ー一アイ割 み 引」、の「スマイルハ ート手帳の交付を受けるには 手帳の認定では、診断書、な 御引」、ソフトバンクの「ハ かでも「日常生活能力の判定」 トフレンド割引」は、手帳所持手帳の交付を受けるには、市欄の記載内容が特に重要です。 者が対象に含まれています。条町村の障がい福祉担当課し こ、食事や金銭管理、通院と服薬な 件や割引内容は、事業者や契約 ( 1 ) 申請書、 ( 2 ) 診断書、 ( 3 ) どについて、① ( 自発的に / 適 内容によって異なりますので、写真を提出します。診断書にっ切に ) できる、② ( 自発的に / 各事業者にご確認ください いては、精神障がいによる障害おおむね ) できるが援助が必要、 年金の受給者は、年金証書等の③援助があればできる、④でき ⑤その他のサービス 写しでも可です ( その場合は、 ない、の中から一つ選びます。 全国共通のものには、生活保障害年金と同一等級で手帳が交医師は、診察時の聴き取りをも 護の障害者加算 ( 1 ・ 2 級のみ ) 、付されます ) 。都道府県・政令とに診断書を作成します。援助 2016 年 4 月には、障害者福祉手帳は対象外とされてきた 者が身近にいない一人暮らしを 想定し、一定の期間の状態 ( 特差別解消法が施行されました。サ 1 ビスについては、頂欠、」 に状態が悪い時のこと ) を医師交通運賃割引制度をはじめ、身用条件の改善が進むことが期待 に伝えます。本人が気づかない 体障害者手帳・療育手帳は対象されます。 ことや伝えることが難しいことでありながら、精神障害者保健 があれば、家族や援助者から具 体的に伝える必要があります。 文書にまとめて手渡すのも、一 つの方法でしよう。 手帳を取得・利用することに 迷いがある場合には 献 文 「手帳の取得はどうも気が進 まない」という人もいるかもし れません。手帳の交付だけ受け ておいて、手帳を利用したくな ( 提示したくない ) 時には提 示しない、ということもできま す。 る務 神済イ品二 中央法規 青木聖久編著 『精神障害者の経済的支援ガイドブック ~ 事例と Q & A から理解する支援の意義と実務』 お 中央法規出版 2015 年 7 月 ち * 本書は、青木聖久・越智あゆみ・風間朋子という、 精神保健福祉士であると共に社会福祉研究者と、加あ えて、高橋裕典という障害年金をはじめ社会保障制 ゆ 度に明るい社会保険労務士の 4 名で執筆しています。 み 33 知ることは生きること

5. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

良くなるだけでなく再発予防再 ③就労定着に向けた支援 知っておきたい ( 」、 ④障害児のサ 1 ビス提供体制の入院の低下になるのである。な お、ここでは支援開始後の定着 計画的な構築 囀保健福祉の動き ⑤地域共生社会の実現に向けた率を取っていくという方針を一小 しながら過去のデ 1 タが示され 取り組み 0 第回社会保障審議会障害者 ⑥発達障害者支援の一層の充実てなかったので、厚労省職業安 部会 定局にデータがあるはずなので となっておりました。 2 月円日に開催された部会の 主な議事内容は、「障害福祉計①②については、多くの委員かデータを提示してもらいたい」 画及び障害児福祉計画にかかるらの意見表明がありました。ま「④は障害児支援のところでし 基本指針の見直し」と「その他た、⑥については発達障害関係のたが、ライフステージに応じた となっていますので大人になっ ( 相模原市の事件、障害支援区方から詳しく述べられました。 そこで私は「③就労定着の視てからも見据えた施策と思われ 分の認定状況 ) 」でした。ただし、 相模原市の事件、障害支援区分点は評価したい。なぜなら精神るため、ライフステージに応じ たという視点は大変重要であ の認定状況は時間の制約から次障害者は定着率が低いからだ。 定着率を高めるには " がる。それをするためには卒業時 回検討になりました。 〇基本指針見直しのポイント有効とのことである。個別にまあるいは、施設退所、退院時だ けでなく、入院中・施設入所中 ①地域における生活の維持及びず就労させてから支援してい く、援助付きないし支援付き雇から、福祉だけでなく保健医療、 継続の推進 ②精神障害に対応した地域包括用をするというモデルである。福祉、保育、教育、就労更には そうすることによって定着率が矯正施設等を含めた連携が望ま ケアシステムの構築 * —とは、 lndividual Placement and Support ・ の略で、個別就労支援プログラムのこと つの孤立に苛まれている実態が疾患に関する知識に乏しく情報 れる」「⑤地域共生社会のとこ ろでは、啓発啓蒙の大切さ」を明らかになった。この家族が抱から孤立している実態や障害者 える 3 つの孤立からの脱却に向権利条約第 8 条「意識の向上」 強調し意見表明をしました。 ( 文・本條義和 ) けた具体的な活動が計画に反映に、「教育制度のすべての段階 ( 幼年期からのすべての児童に なお、みんなねっと第 4 回理されてこそ意味がある。 対する教育制度を含む ) におい ・家族支援のシステム化 事会の意見も踏まえ次の補足意 そこで孤立からの脱却を目指て、障害者の権利を尊重する態 見を提出しました。 『家族支援の取り組みと啓発し、訪問による本人を含む家族全度を育成すること」と明記され 教育をみんなねっとではその設体を支援する技術 ( 行動療法的家ている以上、あらゆる教育段階 立以来様々な家族支援の取り組族療法 ) の実践が必要不可欠と考において障害のあるなしにかカ みをしてきた。家族の実態を知える。とりわけ、医療アクセスのわらず、すべての児童生徒に教 き 動 るため全国の家族会を対象に家状況が厳しい、未治療者、治療中育すべきである。精神疾患を含 の 祉 族調査を行った。調査結果によ断の中にある本人の回復には、む心の健康の福祉教育は障害児 福 健 ると本人が初めて精神科を受診単に福祉だけでなく医療を含め者の人権啓発とともに、「精神 保 神 た多職種での家族を一体的にと疾患等に関する正しい知識を体 したとき 9 割に上る家族が精神 精 疾患に関する知識に乏しく情報らえた支援が効果を発揮すると感的に身に着けさせることは精 き から孤立している。また、根強思われる。行動療法的家族支援神疾患患者の未治療期間の短縮 となり、精神障害者の回復を早て のシステム化を強く望みます。 い偏見が残る社会から孤立し、 っ 知 めることにもなる。更に、精神 ・啓発教育 支援が必要にもかかわらず、支 また、 9 割に上る家族が精神疾患に至らなくとも心に不調を 援からも孤立している。以上 3 みんなねっと 2016 年 12 月号 2

6. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

家族が求めていた 訪問支援が実現するま ' さいたま市精神障害者家族会連絡会 今回の特集は、月、ⅱ月号につづき、ア 岡田久実子 さいたま市メンタルヘルスネットワーク ウトリーチ ( 訪問支援 ) がテーマです。さ いたま市における取り組みの報告を、家族 < 0 ( アクト【 Assertive Community Treatment) とは、医療と の立場から岡田さんに、支援者の立場から福祉の専門職チームが、重度の精神障がい者の住まいを訪問 して、医療と福祉の生活支援をおこなうプログラム。 ( 編集部 ) 吉澤さんにお願いしました。 ( 編集部 ) 現在、さいたま市内では精神チームは、私たち精神障がい者とその力だけでは、なかなか社 科専門の訪問支援が複数か所、家族の切実な声を反映して活動会とつながるきっかけをつかむ ことができずに、人として生き 活動を始めている。その中の 2 を始めたという経緯がある。 精神疾患・精神障がいを抱える機会を見失った状態で長い時 か所、「訪問看護ステ 1 ション て家庭内に引きこもりがちな当間が経過してしまう場合が大変 すずらん」と「訪問看護ステー アクト に多く、その状況が「親亡き後 ションふあん (<0+—ふあん事者は、急性期のような病状は の心配・不安」という課題を生 を併設 ) 」というアウトリーチ何とか安定しても、家族の思い い知らされたばかりの頃であっ みだしている。 た。何の講演会なのかも良くわ また、入退院を繰り返す人、初めて知った からずに、ひどく重い気持ちで 未治療や医療中断の人も多く、 「 < ( 」とい - っ支援 席に座りこんだことを覚えてい 家族会には様々な相談が寄せら 今から年ほど前、私はまだる。 れるが、その解決策をもたない うつろな気持ちで壇上を見上 もどかしさをいやというほど味地域の家族会にたどり着いたば かりであった。 わってきている。 げると、講師の先生が何やら熱 当時の会長さんに誘われるま心にお話しをされていた。しば 私たち家族は、そのような状 ま、都内で行なわれるという講らくは何を話しているのか頭に 況を変えていくために、リカバ リー志向の支援を届けてくれる演会に足を運んだ。わが家では、入ってもこなかったのだが、重 訪問支援の仕組みが必要であるその 1 年半ほど前に長女が精神度の精神障がいの人が支援を受 実 けながら自宅で生活をする・ : と と考え、そのためにできることの不調を訴え、 2 か月の服薬治 に取り組んできた。数年前に、療で回復して就労するまでに いう話題に、その時の長女の姿肢 訪 やっとその願が叶い、訪問支援なっていた。しかしその後、主が重なってきた。 て よくよく耳を傾けてみると、 の仕組みが地域で活動を始めて治医からの病気や治療の説明は め 求 いるのである。ここに至るまでなく、もう治ったからと通院も米国で重度精神障がい者を在宅 家 の、私たち家族の思いと活動を服薬も止めてしまい、再び長女で支援する「 ( アクト ) 」 振り返ってみたい。 の大混乱を目の当たりにして、という仕組みがあり、今後は日特 ようやくこの病気の深刻さを思本でも普及をめざすというので みんなねっと 2016 年 1 2 月号 6

7. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

ーさいたま」が立ち上がる トリウム ) の菊池院長先生は、 ができた。 なぜ家族が <0+ を必要と考後日、私たちの会 ( さいたま市ことになった。その後、さいた えているのか、訪問看護と <0 精神障がい者もくせい家族会 ) ま市で活動を始めた第 1 号の「 < 0 [-* ーさいたま」は、 [-* とはどのような違いがあるのの周年記念誌に「家族会のご か等々、家族の体験してきたこ家族の立場から発言していただ平成年 4 月に精神科病院から いていることが、さいたま市の独立して、「訪問看護ステーショ とや考えていることを、まさに 生の声で地域の医療関係者に訴精神科医療の改善につながってンふあん」として活動を始める こととなった。 いますが、さらにすすめていた える機会ともなった。 だきたいと思います。また、病さらに、同年 6 月には訪問診 その席に参加された訪問看護 経験がある看護師の方が、平成院側も何のために、どのような療を中心とする「だるまさんク リニック ( 西村秋生院長 ) 」が 年に「訪問看護ステーション貢献を行なうべきかを常に意識 すずらん」を立ち上げ、医療機しながら、役割を適正に果たせ開院して、「ーふあん」 るよう努力していきたいと思っとしても活動を開始している。 関にはつながっているけれど、 社会的にはひきこもり状態にています」という文章を寄せてこの訪問する精神科クリニック の誕生は、「連れてくれば診ま いただいている。 あった多くの当事者の方々を訪 菊池院長先生のご理解と、同すよ」という現在の精神医療体 問し、家族共々支え続けてくだ 制の中で、私たち家族にとって さっている。 病院の <0+ に並々ならぬ熱い また、その席に参加された市思いを抱く看護師の吉澤美樹さは大きな希望の存在となってい 内の精神科病院 ( 浦和神経サナんのご尽力で、平成年に「 < る。 らえるように、一一一口葉で伝える力は大きかったと思う。 をつける努力は必要だと思う。 私たち家族は 家族会で行なった生活実態ア②家族以外の理解者・支援者と 何をしてきたか : ・ ンケート調査は現実の数字でのつながる そのためには、日頃の家族会 このような経緯の中で、私た確認であり、その数字はその後 ち家族が果たした役割は何だつの活動の軸になった。数字で表活動が開かれたものであること たのであろうか。わけもわからされたその実情をきちんと伝えは大切な要素である。 精神疾患や精神障がいについ る力はどこから得ればよいだろ ず無我夢中で突き進んできた、 というのが率直な気持ちであるうか。私自身は、「家族によるては、偏見や無理解から「隠 で が、この機会に、整理しながら家族学習会プログラム」を継続す」という心理が強く働きがち る す 実施することで、より多くの家だが、家族会活動までがそのよ 振り返ってみたい。 現 実 うな運営になっては、理解が広 族の実体験や実情を詳細に聴く ①地域で困っている現状を把握機会を得たこと、その中で良質がる機会を逃すことになる。家肢 訪 な語り合いのための対応を学族会活動をオープンな運営にす し、その実情を伝える力をつけ て び、その活動を通し多くの方々ることで、様々な立場の方との ること め 求 出会いとつながりが生まれ、理 当事者や家族が困っている事との出会いもあった。 家 実はあるが、それが具体的には家族同士の良質な語り合いの解も広がっていく。 どのような状況なのかを体験し場をつくることから、「語るカ 「 <0+ 」立ち上げの活動の特 たことのない人にも理解してもとは」を身を持って学んだこと原点は、この開かれた家族会活 みんなねっと 2016 年 1 2 月号 12

8. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

改革を最優先にして進めなけれ生活に戻ることですが、これで系施設」構想や新オレンジプラ ばなりません。 は真の退院には、ほど遠い " 病ンは、精神科病院の在院患者減号 月 しかし、厚労省が実際に進め院内退院 ~ です。日本を除く先の進行に伴う経営危機を救うた 年 ている施策は、時代後れとなっ進諸国の精神科医療の到達点めの経営対策です。同時に、今 ている精神医療政策の維持に固は、地域生活中心です。 日の精神科医療や認知症施策の と 持し、しかも精神科医療や認知 あるべき到達点と逆行する政策 っ ね です。 症施策の歴史の歯車を逆行させ② " 新オレンジプラ冫 ん る動きを強めています。 新オレンジプランは、精神科 み ( 3 ) 社会的基盤を失った精神 その一つが病棟転換型居住系病院に認知症の本格収容を狙っ 医療政策 施設で、もう一つは新オレンジたプランに歪められてしまいま プランです。 した。新オレンジプランは、精 このように精神医療政策の歴 神科病院の統合失調症の在院患史的な流れと逆行する事例が起 ①「病棟転換型居住系施設」構想 者減に代わる新しい患者層としきている背景には、日本の政策 この構想は、精神科病院の病て認知症をあてがおうとする施が今日の社会に対応できない事 棟を改修し、グループホームな策です。しかし、他の先進諸国態に陥っていることがあります。 どの居住系施設に転換し、在院では、認知症の施策も精神科病 患者を長期入院から長期施設収院への収容ではなく地域で支え①精神医療政策を構築した 19 容に切り換えることです。 る " 地域処遇 ~ です。 L.no 年代 本来、退院とは、地域の社会 このように「病棟転換型居住 今日の精神医療政策・制度は、 の後現医い医社わ科て②れ設や 1 入れ状わ療ま療会大り医か精大まな 1 9 院とをがのす政状きし療ら神きしど 9 5 中な打国諸。策況くまや 60 医く た 1 8 年 、変し社数療変 心つ開の問こに 9 年の でてす深題の大片貌た会年政貌 5 の精 。状経策し 精いる刻の乖きやし O 精神 神るたな根離な変た 況っ・た 年神衛 科精め精源こ乖わ精はた制今 代科生 特神に神でそ離ら神大今度日 に特法 例科は科す、がな科き日を 構例の と病、医。精生い医く、構 築の制 精院時療神じ精療様精築 さ新定 神へ代の科て神や変神し 策科 次の差 《 1 9 5 0 年代の状況》 回転別 私宅監置や放置状態の人達を精神科病院に収容し衣食住を提供換を 第が基 1950 年精神衛生法制定 10 不本 回可と " 私宅監置中心 " から " 精神科病院への入院 " へ変わる の欠す 抗精神病薬の開発や本格使用の前 1 なる 電気ショック・インシュリンショック療法などが治療の中心月課精 題神 統合失調症は不治の病と考えられていた ( 医師の教科書に記載 ) で医 で 精神疾患への偏見が強く精神医療政策は社会防衛的視点 す療 欧米諸国でも隔離・収容 ( 増床 ) 政策を積極的に推進中 《今日の状況》 精 精神科医療の進歩で入院医療中心から地域生活中心へ転換 科 他の先進諸国の平均在院日数は 18 日前後。 医 統合失調症は不治の病という考え方は消失しつつある じ は 精神疾患は日本でも先進諸国でも三大疾患でそのトップ 2012 年厚生労働省は精神疾患を「 5 疾患」重点疾患に位置づける ん つ こころの健康問題は日本でも先進諸国でも国の戦略的課題 あ こころの健康問題は国民全体の問題という国民の認識が広がるのる 2013 年障害者差別解消法制定・ 2014 年障害者権利条約批准あき きか を考えてみます 23 精神科医療の現状と改革の展望

9. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

の制定を受けて、年に「障害 者プラン」を発表しました。こ 精神科医療の現状と改革の展望 のプランでは精神障害者 2 万数 昭和大学烏山病院家族会あか会監事 氏家憲章 社会福祉法人うるおいの里・理事長 千人の社会復帰 ( 退院 ) の目標 を掲げました。しかし結果は、 1 万人弱と目標の半分にも達せ 《連載》第 9 回時代の変化に対応できない精神医療政策 ず失敗しました。年厚労省は、 精神科医療が国民に安全・安精神科特例、精神科差別を基本障害者プランの失敗を受け「新 としている政策は、今日に対応障害者プラン」を発表しました。 心の医療を提供し、国民のここ ろの健康の保持・増進という社できない事態に陥っています。このプランでは、 7 万 2 千人の 会的役割を果たすためには、国しかも国 ( 厚労省 ) は、時代後れ社会的入院を川年間で解消する となっている精神医療政策の存方針でした。しかし社会的入院 の精神医療政策が、今日精神科 医療が到達している水準を国民続を優先した施策を行っていまの解消は実現せず、新障害者プ ランも失敗に終わりました。 一人一人に提供できる政策でなす。その実態をみてみましよう。 ければなりません。 ( 1 ) 精神医療政策の限界を示 ②精神保健医療福祉の改革ビ しかし、わが国の精神医療政 す事例 ジョンの失敗 策は、 1950 年代以降数年 間本格的な見直しをしていない①ニつの障害者プランの失敗 国年厚労省は、精神保健医療 厚労省は、年障害者基本法福祉の改革をめざして、「精神 ため、入院中心の隔離・収容と 院の解消はできませんでした。崩壊します。同時にそれは精神 保健医療福祉の改革ビジョン」 " 入院医療中心 ~ から " 地域生科病院への入院中心の隔離・収 を発表しました。 この改革ビジョンでは、① " 入活中心 ~ への精神科医療の基本容政策の崩壊でもあります。そ 院医療中心 ~ から " 地域生活中の転換も進まず改革ビジョンものために国 ( 厚労省 ) は、プラ ンやビジョンを打ち上げても、 へ、立ち後れた精神保健医失敗しました。 実際は、精神科病院の経営崩壊 療福祉体系の再編と基盤強化を に直結するため、具体化は不可 今後川年間で進める。②「受入《失敗の背景》 能であるという根本問題を抱え 条件が整えば退院可能な者 ( 約精神科病院は、病床利用率が 3 % 以上でないと経営が困難にていたのです。 7 万人 ) の社会的入院は、精神 科病床の機能分化・地域生活支なります。一一つの障害者プラン ( 2 ) 歴史の流れと逆行する施策 援体制の強化など立ち後れた精と精神保健医療福祉改革ビジョ 望 神保健医療福祉体系の再編と基ンを具体的に進めると、万単位 展 盤強化を進めることにより川年の長期入院者の退院が進行する《最も後れている精神医療政策》革 ことになります。 わが国の精神科医療そして精 後に解消を図る : ・など画期的な 状 もし障害者プランどおりに 神障害者に対する処遇は、他の ビジョンでした。そのためこの 現 の 改革ビジョンを、当事者・家族なったとしますと、病床利用率先進諸国の精神科医療や国内の そして精神保健医療福祉の関係が % 台後半に陥り、改革ビ一般医療と比べて著しく立ち後科 精 ジョンでは間 % 台前半に陥るこれています。そのため国 ( 厚労 者は大いに期待しました。 川年経ってみると、社会的入とになり、精神科病院の経営は省 ) は、本来、精神医療政策の みんなねっと 2016 年 1 2 月号 20

10. 月刊 みんなねっと 通巻第116号 2016年 12月号

していいのか分かりません」と 休んでも元気が戻ればすぐに復 言われます。泣き出すような表 帰できます。でも、学生の場合 情でしたが、しつかりとした声 は出席を取る学校では数回休ん でした。 でも半期 ( 半年 ) の単位が取れ ここで私には、 0 さんは会社 なくなって 1 年遅れとなる場合 と家庭と学校の三つの分野の仕 があり、職業人より厳しい面が 事をこなしていくのに疲れ果土 あるのです。初診時に休学する て、うつ状態になっていると分 と決める必要があったでしよう かりました。混乱しておられる か ? 原因のあるうつ状態の場 が精神病ではなく、自分の考え 合、よく言われている " うつ病 ~ で精神科に助けを求めておられ ではないと伝えるだけで気が軽 るのでした。 くなる人も多いのですが。 〈休んで治す ? 〉 学〈弱気のピッチャー〉 お の 前の病院では、何病と言われ 「薬は 1 日 1 錠でしたが、体 ら ましたか ? どのような方針でを休んで自宅療養するように一『〔がだるくなったので数日で飲む 療 治そうと相談しましたか ? われました。学校は後期を休学のを止めています。飲んでも明 「うつ病と言われました。抗するように言われました」 るくなりませんでしたし、何を街 うつ薬を服用し、 1 か月間仕事 1 か月は長いですが、仕事はする気にもなりませんでした。 ・ : 急ぎ過ぎないで、決め付けないで、 の肋便 街よく考えて、納得してや「ていく : 連載第回 と遠くの夜学に通っておられ 〈うついて〉 〈うつ状態〉 る。核家族で子供が 2 人あり、 待合室では歳くらいの女性夫も家事を分担して、会社と家 ここまでは夫が話され、 o さ ( 0 さん ) がうつむいて座って庭のかなりの量の仕事をこなしんはうつむいたままでしたの おられ、そばには夫らしい男性ていました。 で、私は彼女はイヤイヤ連れて が付き添っておられます。診察 ところが、 1 年たった頃から来られたのかと考えて、ご主人 室では並んで座られ、ご主人が疲れを訴えるようになり、 1 月はそう言っておられますが、あ これまでのことを話されます。 前にはついに、「仕事に行けな なたにはあなたの考えがあるの 0 さんは地元の大学の卒業い」「学校に行けない」と泣くではないですか ? とさんに で、今の会社には 2 年以上勤めようになりました。それで、夫尋ねています。すると、さん ておられる。そして昨年からは が付き添って、隣市の心療内科 は初めて顔を上げて、 上級の資格を取るためにちょっを受診されています。 「私は疲れてしまって、どう 家庭 ましもと しげき 増本クリニック院長 みんなねっと 2016 年 12 月号 24 増本茂樹 二一口