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検索対象: 月刊 みんなねっと 通巻第128号 2017年12月号
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1. 月刊 みんなねっと 通巻第128号 2017年12月号

会の「普通」に合わせようとしんは走ることや守備の練習よ 満足感はありません。 号 障害者総合支援法の就労継続ていますが、社会の「普通」へり、打っことを一所懸命にやら 月 支援 < 型や型の制度で、利用の同化を求めても、一人ひとりせました。そして、ホームラン 年 者がお金をどれだけ儲けられるみんな違うので、その違いを理を 111 本も打っ選手になり、 ようになったかを評価するのは解し大切にすべきです。そうし守備や走ることもなんとかでき と っ ないと環境と個人との摩擦で心るようになりました。 「道具的な評価」であり「人間 ね もし、コ 1 チの一一一一口うように、 的評価」ではありません。このは病気になります。 一人ひとりが持っている「本走ることや守備ばかりやらせてみ 制度では、自己評価を高めるこ いたら、それらはある程度でき 人の普通」のほうを大切にすべ とができず多くの人がリハビリ テーションの途中でストップしきです。周囲の人が「本人の普るようになったとしても、ホー ムランをこれほど打てる選手に てしまい、わずかな人しか一般通」を認めて守って伸ばしてい はならなかったかもしれませ くことが大切です。 の職場に適応できていません。 清宮という高校生の野球選手ん。本人の長所を伸ばすことが 違いを認める とても重要です。 かいますが、小学生の頃、リト 『かすかな光へ』という映画 「普通」って何でしよう。生ルリーグのコーチから「この子 きることは、一人ひとりのそれは打つのは上手だが、守備と走がありましたが、その内容は「人 ぞれ違った課題とそれなりの解るのが弱いから、それをしつか権を守るとは、一人ひとり違う ことを認めること」ということ り練習しないといけない」と言 決の連続です。 現在の社会では、みんなが社われました。ところが、お父さでした。一人ひとりの真実、そ れぞれの世界をあるがままに理さんが酸つばいけれど美味しい①あるがままの「私」を理解し 食べ物を食べて「美味しい」とようとしてくれていること 解する努力が必要です。 妄想の話をしても、「そうか、 言ったときに、周りの人たちか 真実を認める そうか」と聴いてくれる。そこ ら「こんなに酸つばくて不味い 次に、「事実」と「真実」がものを美味しいと言うのはおかのところは、人が違えば世界が 大事であることについて、お話しい」と言われたら困るでしょ違うわけですから、お互いに う。美味しいものは美味しいのフィフティ・フィフティで認め しします。 合わなければなりません。 「真実」とは「事実」が自分ですから。 その人が本当に感じているこ の体の中を通して出て来たもの です。「事実」が各人の体の中とを言ったらすぐ否定するので②病気を診るだけでなく、一人 を通ると、それぞれの人で違っは、人権を守っているとは言えの人間として私の人生を見守ろ た「真実」になります。それをないのではないかと私は思ってうとしてくれていること 私の妻が認知症になり、高齢 います。 認める必要があります。 の母親は衰弱して、長い間、寝た 患者さんが病気による妄想で 当事者の求める精神医療 きりでいました。看病している 「誰々が毒を入れてある」とひ とこと言うと、私たちはすぐ妄当事者の求める精神医療とし妻が大変なこともあり、母には 想と決めて否定します。そんなて、大切なことをいくつか挙げ葬式の写真を見せるなどして事 実を伝えようとしたこともあり ことを言われると、本人は話をてみます。 ました。本人が怒るので、今度 する気になれません。もし、皆 11 特集当事者中心の地域支援再考

2. 月刊 みんなねっと 通巻第128号 2017年12月号

もそう思います。 て、人々はそれを求め安心しま す。私たちは物に依存し物を買③ゼロの状態に身を置く 良寛の教え うために働いています。スマホ ゼロとは「死ぬ」ということ 話題は替わりますが、倉敷にが命にな「たり、物欲が自分のです。死の側に身を置いて考え ある円通寺で修業をした良寛の心の出会いを妨げています。 たら、呼吸ができるだけありが 教えについて、五つほどお話し たいとか、お前の顔が見えるだ をします。 ②今に生きょ けありがたい。よく眠れば、そ 私たちは過去のことに囚われれだけでありがたい。ありがた ①物欲を捨てよ て嘆き、心を悩ませます。また、 いことばかりになります。とき 良寛は、寺に属さず、家もな未来のことでも「親亡き後」のどき、実行なさ「てはいかがで く、その日その日を托鉢して生ような問題で心配します。しかしよう。 きていました。自然と共に生き、 し、過去は変化せず、未来は不 夏は暑さを味わい、冬は寒さを明です。思うようにならないこ④身を「閑」の中に置く 味わって生きました。 とにエネルギーを使い、思うよ 私は「にしい」とい , っことが 物をたくさん持っていると、 うになる可能性を持つ「今」か嫌いです。昔、「忙しい、忙し 本当の自分に出会えなくなりまら目をそらしています。思うよ い」と言っていたら、私の教育 す。物に目がくらんで大切なこ うになるのは今だけです。意志係の患者さんが、それは心を とが分からなくなります。今のや感情は今だけ自由にできまくすことだ、と教えてくれまし 時代はヒット商品が次々と出す。 た。漢字を見れば分かると言い は本人が若くて元気なときの話④安心して対話ができ、「私た⑤随時、必要なときに頼れること をするようにしたら、喜んでくち」感覚で共同作業を大切にす 私は、患者さんがいつでも電 号 月 れました。事実を突きつけようること 話できるように携帯電話の番号 年 として、間違いをしていました。 患者さんとそうでない人とがを教え、「困ったときには、い 対話をすると、病気を体験しな つでも電話してくださいね」と ③上から目線でなく、対等に話い人が「普通」を盾に強く主張伝えています。ところが、患者っ ね し合ってくれて、「共に生きてします。それでもなお、患者ささんからは皆さんが想像される ん いる」との実感が持てる んが意見を一言うと、「それでは、 ほどかかってきません。患者さ み 「お前は病気なんだから、おみんなに聞いてみてご覧。あんんは、いつでもかけられると 前が自分で治さなければだめたの言うことを認める人は、一 思って安心し、かけないですん だ。私は病気ではないから、何人もいないだろうから」と言わでいるのです。それに、患者さ をしていてもいいんだ」では困れて潰されてしまうのです。対んたちは、私を思いやってかけ ります。一緒にいるという姿勢話になりません。 ないでいます。それくらい心が が大事です。当事者の方は、こ 私は、患者さんと目標を一緒優しいのです。苦しみを体験し の「共に」という感覚が一生持にして共同作業をしていますた人は優しいです。ある四歳に てないでいます。みんなとは別 が、患者さんから優しさや大切なる先生が「障害者がいない社 なところで生きているという感なことをたくさん教えてもらっ 会は怖い」と言われます。強い 覚でいます。 ています。 人しかいなくて、争いばかりの 社会になるだろうからです。私 13 特集当事者中心の地域支援再考

3. 月刊 みんなねっと 通巻第128号 2017年12月号

さ心 は「病識をつくることは不可」動支援センターが無いので、近く な中。 の市のセンターに通っています。 みをでと断言されてきた。 号 の稿一 月 者殳 そこでは自由に出入りできる 「病識つくり」についてご教 カラオケルームがあり、囂やト リコ示願いたく思います。是非是非 年 」便る の ランプが自由にでき、料理・お菓子 わおすともー つの介 サ 1 クルも充実しています。 な一づ紹 ん スタッフの方もメンバーさんっ ん日常生活 み ね が一人でいると話しかけてくれ 亠な ん ◆島根県さん本人 ( 代 ) たり、安心して通える場所です。 み うつ病はどうすれば楽になるどの市町村にも地域活動支援セ ンタ 1 があると嬉しく、助かる のでしよう。私は統合失調症に 〇「みんなねっと」の感想 よるうつ病もかねております。と思います。 〇◆神奈川県浦本義夫家族あきらめていないです。 一時元気さが三くらいになり◆熊本県水本和弘本人 (€ ( 年齢不詳 ) 〇 川月号特集の『渡部和成先生ました。十から三の程度です。代 ) 〇 落ち込んだり、不安になった の講座』を有難く拝読しました。意欲もうすれました。けれども 文中に「病識を持ってもらう」月刊みんなねっとから仲間同士とき、私は悲しい曲を聴いたり、 「病識を持たせる」とあり、大頑張りたい気持ちになりまし涙が出るような映画をみます。 そんなものを聴いたり見たり いに驚いております。 " 薬を飲た。感謝しています。ありがと すると、不思議と気持ちが落ち む理由がない ~ " 病院へ行く必うございます。 着きます。そして生きようと思 " 幻聴でない、本当 要もない″ います。涙は私に生きる勇気を なのだ ~ 等々の日常は誠に多い ◆北海道トム本人 ( 代 ) これまでの精神科医 5 人から 私の住んでいる街には地域活与えてくれます。 売者のページ ニ : ロ す。自分は失われはじめていま 意識が失われていたのか、 1 ◆埼玉県 LOW 本人代 ) か月程記憶が無かったのは不思す。他患者にただ気を遣うだけ 精神病院に入院して納得いか の毎日です。 ない治療を受けていて、 1 年近議に思っています。 く経ってしまっています。 ( 何自分の生活内で大切にしてい の治療を受けさせているのか分たもの全てを奪われていて悔し◆石川県カオリ本人 ( 代 ) 私は障害者なので、身内から いです。 からないです ) 父親の性格を変えさせるよう我慢比べとしか思えない生活仲間外れにされています。葬 式・法事に誘われないのはもち に促されているみたいで、切なを送っています。 〇 ただ、生かされているだけでろん、毎日ひとりでごはんを食 く感じます。 〇 べています。私の家には他、 2 人の家族がいますが、無視と言の う虐待を受けています。 向いい風でも 風で 代 要するに私をゴキプリ扱いしん , あ・ , ゐいキびよ て、みんなが楽しむということみ です。 わ の 本孤独な私ですが、近所のお姉〇 亠な さんおばあさまは優しくしてく〇 ゴ れるし、コンビニの店員さんや〇み チ パーのレジのお姉さんとち イスー 〇、一 よっとした会話が持てるので淋〇ペ しい気持ちはありません。 〇諸 千 身内に虐められても世の中は〇 ◆ 広いです。 い、 あ・るいまま い、

4. 月刊 みんなねっと 通巻第128号 2017年12月号

ゆとりがない現在の社会で 若者の自殺者の割合では、日うに目に見えないものには熱心 は、圧力に影響される度合いが 本では 2 万人にⅣ・ 8 人、アメではありません。 ストレスによる影響を強く受強いほど人々は集団的行動をと リカが・ 3 人、カナダはⅡ・ けると見られている疾病に精神ります。軍隊がそうです。人々 3 人、ヨーロッパでは各国が 6 人から圏人の間にあります。事疾患と糖尿病があります。日本は個人に異常行動があると、病 故死では、日本は人。事故死では他の疾病は横ばいか減少し気や性格、能力、価値観などの 者より自殺者の方が多くなってているのに、この二つの疾病は個人の内的特性として捉え、環 います。 対策を講じているにもかかわら境や外的要因による影響には目 日本の国は、事故のように目ず患者数が多く、精神疾患の方を向けません。自分の苦しみを 平静に受け止め説明できればよ は急速に増えています。 に見えるものには対策をしつか いのですが、それができなくて りやっているのですが、心のよ 学立山福尾長一健目療に著 行動が逸脱すると、精神科病院 円医県青健内所タ「を診所共 援 学山市を保立一ンにり毒年療を に入院となります。 つ大岡道放神県タセ声作用診を 育山尾精山ン祉の場毎。和な 地 日本では、入院患者の数が四 の 生」岡」県砒都唱臨受 00 万人のままでなかなか減りませ 5 、呆害合岡を < ど 中 在生ん。人々は医療を信頼していま 当 ま学神て務衛一合こ健」すが、医療に依存もしています。 集 生大精経勤タ一。しが「保所大その結果、病床が減りません。 特 岡神院完年セン兼退者し g を属 四年部病病〃祉セをを常指囲所所諸外国では激減しています。 特 今月号の特集は、 月四 5 囲日におこなわ れた「みんなねっと岡 山大会」での基調講演 ( 山本昌知先生の講演 ) を要約してお届けしま す。 集当事者中心の地域支援再考 私が経験したことの中で、私 歳から歳までの若者の意 たちが考え直さなければならな識を調査したある記録によりま いと思われるいちばん大切なこすと、「生きていて、将来に良 とを、これからお話しします。 いことがある」と思える人の割 ムロが、年には % あっ 進行する社会の分断と孤立 たのに、 2 016 年には 7 % に 今の社会の状況を見ますと、減っています。日本では、若い 社会の分断と孤立がひっそりと人たちがこんなに低い肯定感し 進んでいるように感じます。 か持てなくなってきています。 元こらーる岡山診療所所長山本昌知 みんなねっと 2017 年 1 2 月号 6

5. 月刊 みんなねっと 通巻第128号 2017年12月号

思考の飛躍を『妄想』というのそれまでの大学に通いながら治 〈妄想を形成〉 でしよう。今回はそういう内容療するという方針では本人が苦 自信のなさの上に妄想や幻聴の幻聴も聞こえていたらしい しかったのです。入院治療では、 が生じて来ると、統合失調症ら住一 ~ 可一ーー一議背 ~ ) 「、 ) 」半ば強制的にでも服薬して、あ 〈自分に安心する〉 しくなってきます。 せらない、妄想にならない生活 さんは気持ちの整理は付か まどみちおさんの詩に、冬眠をして、「病気だったのだ」と ないままで、地方の国立大学に から覚めて自分が誰だったか忘了解できることが目標となりま 入学しましたが、そこでの生活れてしまっていた熊さんが水にす。 を楽しむことはできませんでし映った自分の姿を見て、 " ぼく精神科医や親は、子どもたち た。彼は志望の大学に入れな は熊だった。良かった ~ と安心を見守って、 " 人は各々自分ら かった理由について考え、 " 中する詩があります。 しくあったら良いんだよ ~ と伝 学生時代にクラブのキャプテ 統合失調症に入ってしまう人え、何とか生きて仕事をしよう ンを引き受けたからではない では、そういう安心を感じるのとする彼らを援助したいもので か ? ~ と違う方向に考えるよう がとても下手なように思います。 になった。″ キャプテンとしてす。抗精神病薬は妄想や幻聴を ダメだった ~ だけではなく、 " 部 少なくすることはできますが、 員たちが自分をおとしいれるた安心感の能力を直接高める効き めに自分をキャプテンにした ~ 目はあまりないようです。 とも考えました。そのあたりの 君は今回入院しましたが、 せん。それはどうしてでしよう なってしまいました。 席が判ってくると、本人にどう 彼は警察に「東京大学から " 途か ? 考えているのか問うようになり [--* 君の場合には " 精神病だっ ます。そのうちに、彼の説明は中入学の試験をするから来るよ うに ~ と連絡があったので東京たら東大に行けなくなる ~ と恐 不適切になっていき、妄想に に来たけれど、受付の場所が分れていたようです。予備校で成 からない」と話しています。そ績が伸びず、東京大学受験は無 れを聞いて、両親は、妄想や幻理になった時に、彼は " 合格で 聴によって出奔するのを止めるきそうな大学の中から良さそう ため、精神科病院への入院を決なところを受験しよう ~ とは思 い付きません。一つの夢を諦め 心されました。この 1 年間両親 は " 君が病気を受け止めてほて別のことをがんばるのは多く しい、病院と協力して対処しての人で普通のことですが、実は 強い自信がいることなのです。 ほしい ~ と思っていたのですが、 彼はとびきり自信のない人でし 病気は悪化してしまいました。 〈凄く自信がない〉 れば良い、とは思えません。こ 統合失調症は若いころに発症の『並外れて自信がない』とい するものですが、多くの場合 " 自うのは統合失調症の人のおおも 分が病気だ ~ と受入れられまとの弱点です。 27 街の診療所からのお便り みんなねっと 2017 年 12 月号 26

6. 月刊 みんなねっと 通巻第128号 2017年12月号

樹 いまここにいる自分を 茂 の便 曾したいです・ : 療の 本 連載回 = コースで浪人していた時に現れが、不可解な説明をするため、 〈紹介状の返事〉 ています。その年に地元の大学帰郷して入院治療することにな 「本日、母親同伴で受診され、に合格しましたが、 1 年間休学りました。 閉鎖病棟に入院していただきまし、 2 年目に復学した後も講義 〈最初の症状〉 した。病的体験が活発であり、 になかなか出席できません。通 入院期間は少し長くなりそうな院はしているのですが、自分は 歳の浪人時代に寮の自室に 印象です」という手紙が、君精神病ではないと主張してい 閉じこもって何事かを思い詰め ( 歳男性 ) を紹介した精神科ました。今回は 2S3 か月服薬るようになり、両親に連絡が入 病院から届きました。 しないで過ごした後、大学近く りました。お父さんには「自分 君はうちへ 2 年半通院しての下宿からいなくなり、東京にでは特に問題ない。教室の雰囲 いますが、最初の精神的な不調行ってしまった。 1 週間後に自気が良くないので自室で勉強し は高卒後東京の予備校の東大ら警察に助けを求めていますている」と説明しています。学 分のみを延々と話し続けるこ 校から紹介された精神科で " 統中に閉じこもる傾向が強いこと ともありました。 合失調症の始まり ~ と言われ、が気になっています。しかし、 「中学生の時に、自分はバス ジプレキサ 5 を処方されまし東大志望を諦めた方がいいので はと指摘できても、「今は地元ケットボール部のキャプテンに たが、本人は「眠くなる」と言っ て、あまり飲まなかったようでの大学に行く気持ちになれな選ばれました。一番上手ではな いのに選ばれたのは、偉くなり い」という彼の言い分を病的だ す。両親には君が以前とそん たい奴だということが皆にばれ なには変ったようにも思えませとは言えないでしよう。幻聴は んで、彼はそのまま予備校に通なさそうでしたから、精神病でていて、それを気に掛けてくれ 、その年地元の大学に合格しあると決め付けられません。たて選んだのだろうか ? 」とかと、 だ、このころは親元にいたので、ちょっとずれた方向です。 ています。そして帰郷して、う 両親はそんな彼を心配はして リスバダ 1 ル 2S3 を服薬し ちへ通うようになりました。 いても、中学、高校時代は特に ていました。両親は " 次の年に 〈志望校を変えられない〉 問題はなかったので、本人が " 大 地元の大学に行けたら良いと 学で勉強する ~ と言えば、 " でお しかしこの年君は東大に行考えられていました。 の きないこともあるまい ~ と考え ら 、カ 〈独特の悩み方〉 てきたのです。 きなくて、 1 年間休学して、模 療 二二ロ 試を受けたり、予備校の夏期講 の 〈親の思い〉 が、出席は安定しませんでした。 習に出かけたりしています。こ しかし、さすがに大学への欠 の頃精神科医は、自分の思いの受診時は無ロな人でしたが、自 しげき ましもと 増本クリニック院長 みんなねっと 2017 年 1 2 月号 24

7. 月刊 みんなねっと 通巻第128号 2017年12月号

回全国精祥保健福祉家族大会岡山 タテの関係ではなく、ヨコの 地域において、いろいろな支人々との結びつきと並んで、家 関係でお互いが理解できると安援制度ができて料金・報酬設定族同士での無償の助け合い、犠 心の量が増えます。共同作業もなどが設定され、当事者との交牲的献身があるのです。 しやすくなります。 ところが近年、地域の顔見知 流がされていますが、制度によ る訪問支援で新しいルールを決りの人々との交流が失われつつ めるだけではうまくいきませあります。 ぐすり 人間の成長には、「ひと薬」 ん。訪問支援をしても時間が限 が必要です。斎藤環先生の「ひ られていて雑談をする時間がな きこもり」に関する著作では「自 いのです。「金さえ払えばいし のだろう」という関係しかでき己愛システム」について書かれ ません。雑談のような、思い浮ています。それにもあるように、 かんだことを何でも話し合える人は人生に理想や野心を持ち、 スキルアップに励んでいきます ことがとても大切になります。 コミュニケーションがとれるが、スキルアップには他者との と、安心感が生まれます。人間関わりが欠かせません。自分だ けでは成長できないことをしつ にとって大切なのは、顔見知り の地域社会の人々とのコミュニかりと心に受け止めておかない とうまくいきません。お金儲け ケーションとお互いの助け合い 写真は、山陽新聞 ( 月囲日付 ) より転載なのです。そのような地域のだけを達成しても、心に本当の コミュニケ 1 ションができる 係がしつかりしています。しか コミュニケーションの大切さ 号 し先進国では、「我とそれ」に と、人の心や関係は変わります。 月 ある調査では、統合失調症が なりつつあります。道端に人が第二次大戦で捕虜収容所の見張 年 りをしていたノルウェ 1 の兵士 発病して 2 年後に「好ましい状倒れていても、心は動かず無視 態」になった患者の割合は、日して通り過ぎます。お互いに たちの話になりますが、捕虜と と っ 本を含む先進国では % 、発展思っていることが伝わりませ雑談をするようになった兵士の ね 途上国では簡 % という結果になん。昔は「我と汝」の関係がもっグループと、役割を果たすだけ ん み りました。 5 年後も、同じ結果と広くありました。 でまったく雑談をしない兵士た になりました。先進国では薬や コミュニケーションの方法ちのグループとがありました。 医療体制、設イし、 蒲よ進歩していまで、言語が占める割合は 1 割以そして捕虜を銃殺する日になる す。発展途上国では患者の周囲下と言われていますが、現在のと、雑談をしなかった兵士たち に人がたくさんつながってい 人々の生活の中ではその一一一一口語に はさっさと役目を果たしました て、心を支えているからでしょよるコミュニケーションが、家が、雑談をしていた兵士たちは、 族や周囲の人々との間であってどうしても引き金を引くことが できなかったそうです。雑談を 私は、他人との良い出会いのも一方向性になっていてお互い 有無が心の病の予後を決めると が理解しあえず、誤解の連続とすると、お互いの人柄や家族の なっており、その結果、コミュ状況などが分かって、親しみが 考えています。 わくからです。他人事と思えな 発展途上国では、地域の人とニケ 1 ションをしなくなってい いのです。 人との間で「我と汝」という関ます。 、当事者中心の地第支援再彎」 9 特集当事者中心の地域支援再考

8. 月刊 みんなねっと 通巻第128号 2017年12月号

知っておきたい精神保健福祉の動き / 特集 ( 各号にタイムリーなテーマで 掲載します ) / ( 投稿 ) 私と家族の手記 / 連載①街の診療所からのお便り 連載②精神科医療の現状と改革の展望 / 連載③知ることは生きること / 連 載④真澄こと葉のつれづれ日記 / みんなのわ ( 読者のヘージ ) ほか ・「月刊みんなねっと」これまでの特集の紹介・ ・ 2015 年■ 8 月号 : 家族をひろげ元気にする家族相談活動ー愛知の経験から ( 木全義治 ) 【品切れ】 9 月号 : 全科が無料になる医療費助成一地域家族会のとりくみ 1 0 月号 : 精神障がい・精神保健の正しい教育を一世界の教科書比較 ( 山田浩雅 ) 【品切れ】 11 月号 : 日本でも本人と家族をともに支援する家族支援の実現を 1 2 月号 : 戦後 70 年と障害者権利条約 ( 藤井克徳 ) ■ 2016 年■ 1 月号 : 世界から見た我が国の精神保健医療福祉 ( 長谷川利夫 ) 2 月号 : 精神障害者と差別解消法 ( 池原毅和 ) 3 月号 : 障害者総合支援法施行 3 年後の見直し ( 本條義和 ) 【品切れ】 4 月号 : 家族だからできる家族支援『家族による家族学習会プログラム』 ( 岡田久実子 ) 【品切れ】 5 月号 : 精神障がい者と家族ーそれぞれが自立し、ささえあうために① ( 白石弘巳 ) 【品切れ】 6 月号 : 精神障がい者と家族ーそれぞれが自立し、ささえあうために① ( 白石弘巳 ) 【品切れ】 7 月号 : みんなっと「政策委員会」の取リ組み① ( 野村忠良 ) 8 月号 : みんなねっと「政策委員会」の取り組み① ( 野村忠良 ) 9 月号 : メンタルヘルスと福祉教育をめさして ( 松本すみ子 ) 10 月号 : 訪問看護が家庭内暴力とどう向き合うか ( 原子英樹 ) 11 月号 : 家族の思いから立ち上がった ACT のとりくみ ( 宮崎富夫・倉知延章 ) 12 月号 : 家族が求めていた訪問支援が実現するまで ( 岡田久実子・吉澤美樹 ) ・ 2017 年・ 1 月号 : 東京ソテリアにおけるイタリア交流事業のとりくみ ( 塚本さやか他 ) 2 月号 : 精神科においてアウトリーチはなせ大切か、どう進めたらいいか① ( 渡邉博幸 ) 3 月号 : 精神科においてアウトリーチはなぜ大切か、どう進めたらいいか① ( 渡邉博幸 ) 4 月号 : オープンダイアローグ ( 開かれた対話 ) の話 ( 飯塚壽美・野村忠良 ) 5 月号 : イタリア精神保健見聞記 ( トレントの地域精神保健医療 ) その 1 ( 野村忠良 ) 6 月号 : イタリア精神保健見聞記 ( トレントの地域精神保健医療 ) その 2 ( 野村忠良 ) 7 月号 : それぞれの自立をめざしてその 1 ( 夏苅郁子 ) 8 月号 : それぞれの自立をめさしてその 2 ( 夏苅郁子 ) 9 月号 : それぞれの自立をめざしてその 3 ( 夏苅郁子 ) 10 月号 : 当事者の地域生活の実現をめざす精神科病院 ( 木全義治ほか ) 11 月号 : 精神科医療における身体拘束を考える ( 長谷川利夫 ) ( : 0 「月刊みんなねっと」のバックナンパーのお申し込み方法・ 電話、 FAX 、みんなねっとのホームペーシよりお申込みいただけます。 代金は「 300 円 x 冊数 + 送料 80 円」となリます。 バックナンバー発送時に振込用紙 ( 郵便振込 ) を同封させていただきます。 公益社団法人全国精神保健福祉会連合会 ( みんなねっと ) 〒 170 ー 0013 東京都豊島区東池袋 1 ー 46 ー 13 ホリグチビル 602 電話 : 03 ー 6907 ー 921 1 FAX : 03 ー 3987 ー 5466 月刊みんなねっと ~ 毎月こんな内容でお届けします ~ ■早いもので今年ももうこれまで微力ながら家族 終わろうとしています。会活動に関わらせていた この場をお借りして、皆だきました。ここで見た 様にご報告をさせていた当事者や家族の深刻な実 だきたいことがあります。 態には、学校で学んだこ このたび、お腹に新しとと大きく違うことがあ い命を授かることができりました。教科書のこと ました。毎日どんどん成だけでなく、現場をしつ 長しているお腹の我が子かり見ることの大切さを のたくましさに感動しつ教えていただきました。 つ、親になる喜びを噛みまた働けるようになって 締めながら日々過ごしても福祉の現場に戻りたい と思っています。 います。 ここは仕事以外にも、 日頃より「子どもがい ても働き続けたい ! 」と人生の大先輩がいる貴重 本調な場所でした。みなさん 思っていましたが、イ一三 のことなどもあり、上司から教えていただいたこ と何度も相談を重ねた結とを活かしながらこれか 果、今はお腹の命を一番らの私の人生に繋げてい に考え、退職させていたきたいと思っています。 これまでお世話になり だくこととなりました。 ありがとうございました。 ( 齋藤 ) 2 14 年に入職し、 編集後記 【「みんなのわ」へメールで投稿できます】読者のページ ( みんなのわ ) への投稿がメールでできるようになりました。投稿のメールアドレ スは minnanet.seishinhoken@outlook.jp です。※投稿される 方は、氏名、住所、年齢、性別、 ( 家族、本人、その他 ) をご記入ください。 なお、ペンネームで投稿される方はペンネームをお書きください。 月刊みんなねっと通巻第 128 号 ( 2017 年 12 月号 ) 定価 300 円 発行日 2017 年 1 2 月 1 日 賛助会費 ( 会費に購読料含む ) 発行者公益社団法人全国精神保健福祉会連合会 個人・年間 3 6 0 0 円 団体・年間 ( お問い合わせください ) 理事長本條義和 〒 170 一 0013 東京都豊島区東池袋 1 ー 46 ー 1 3 ホリグチビル 602 TEL 0 3 ー 6 9 0 7 ー 9 2 1 1 FAX 0 3 - 3 9 8 7 ー 5 4 6 6 郵便振替 O () 1 3 0 ー () ー 3 3 8 3 1 7 ホームページ www.seishinhoken.jp 印刷・製本 / 倉敷印刷株式会社表紙の絵 / 織田信生

9. 月刊 みんなねっと 通巻第128号 2017年12月号

れる医師たちは、認定に関する 書類を作成します。 障害基礎年金であれば「障害 状態認定調書」 ( 図 2 ) 、障害厚 生年金であれば「障害状態認定 表」というものです。 これらの開示請求 ( 図 3 ) を 行うことにより、なぜ、不支給 になったのかを知る手がかりに なると思います。 厚生労働省の窓口で直接行う または、郵便で行うことが出来 ます。 個人情報になりますから、本 人または法定代理人のみが行う ことが可能です。 ( 郵便で行う時は、印紙代 〔 3 0 0 円〕郵便代〔おおむね 430 円〕が必要です。 ) く標準様式第 1 号① > 開示請求書 保有個人情報開示請求書 平成年月日 ( 行政機関の長 ) ( ふりがな ) 氏名 住所又は居所 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律 ( 平成 1 5 年法律第 5 8 号 ) 第 1 3 条第 1 項の 規定に基づき、下記のとおり保有個人情報の開示を請求します。 記 1 開示を請求する保有個人情報 ( 具体的に記載してください。 ) 2 求める開示の実施方法等ユ本欄の記載 . は任意です )_ ア又はイに 0 印を付してください。アを選択した場合は、実施の方法及び希望日を記載してく ださい。 ア事務所における開示の実施を希望する。 く実施の方法 > ロ閲覧ロ写しの交付ロでの他 ( く実施の希望日 > 平成 年 月 日 イ写しの送付を希望する。 3 手数料 ( 請求受付印 ) 驚く内容が書かれて いる場合も 区 合 市 場 の 内 以前に不支給に 人 以 見 日 後 被 なったけれど、諦め 年 証前人 録以見 登日後 さ書 きれず、障害年金の 人求被 だ明 国請年 く証 の外示成 もる開口 書請求をしたいとご相 る , れ 出記 あのさし のもな写 主月 談された方の認定調 載るみのさ生 記あと票だ日 示 のの書民く 所載明住て を合 書を取り寄せると、 住記証て。 月 類場 際 現所者えい 住住加さみ の者 報驚く内容が書かれて実 人及 ( 永 , 、だの年 か年 理名ド別はくに れ成 代氏証一特にて 未 定の者力は合し いる場合がありま 法人険帳又場付 の本 , 年 ロ本保台書る添 次謄 3 者被本明すを求者 害 、籍 求険基証を , ( 年 合戸 障 人請保民者求のカ成 場ロ る 本。康住住請も未 の ロ類健は永てたロはす 以にも記載しま 書ロ又別しれ 又求類 者 認ド特付さ況名所請書 者確一、送付状 3 氏が認 人証カドを交等のがのの人確 ( したが、主治医がう 障 神 求そ 確示求転人留の請村人 つ病、統合失調症と 精 人開請運個在そ町本刃翁ヴ法請ロ 本ロロロロ※ ウ 工 4 診断したにもかかわみ ら らず、認定医は人格 障害、強迫性障害で事 あると判断し、不支 こに収入印紙を貼ってください。 物書状第認定調書 々ー物まユ鋼ー准第第材・ 第等ーをの電響気物物・事務 4 第をの状第をまのと 1 第すを 8 の 不支給理由が 書かれています。 認定医は黒塗りで 分からないようになっています を第第物ー のを藤第書・物のも ・第事・第第し 0 図 2 障害状態認定調書 みんなねっと 2017 年 1 2 月号 18

10. 月刊 みんなねっと 通巻第128号 2017年12月号

った際には、期限の定めなく利 る精神障害者福祉手帳交付者はと、精神障害者は 4 年 3 か月と ・ 4 万人で全体の % です。身体】川年、知的 7 年 9 か月と用できるジョブコーチ的な支援号 この内、才以上簡才未満は比較して短い傾向が見られまを必要に応じて派遣することが 年 203 ・ 1 万人で、精神障害者す ( 平成年現在 ) 。経過期間必要ではないか。 の就労施策は手帳所持者に限定別にみますと、就労後 3 か月で 3 ・短時間雇用ー希望勤務時間 と っ するのは所得政策上の観点から ・ 9 % ( 知的・ 3 % 、発達は、 4 割近くが「 S 時間未満」 ね で他の障害者に比べてこの比率 亠な 見ても適切ではないので、自立 障生ロ別・ 7 % 、身体行・ 8 % ) 、 支援医療受給者証の所持者に拡 1 年後で的・ 3 % と定着困難なが高いのは、仕事内容・賃金、み 状況が見られます。また、障害評価等の労働条件よりも疲れや 大するよう検討して頂きたい。 ・ 6 % すい、体力・意欲が続かないと 東京都連の調査によれば、年の非開示就職の比率が いう病気からくる精神障害特有 と他障害者比 ( 知的朧 % 、身体 収新・ 7 万円で家族との同居が の勤労耐性の弱さから来ていま ・ 1 % 、発達Ⅱ・ 2 % ) 高い % で非常に苦しい状況です。 この内、障害基礎年金が主たるケースが多く見られます。障害す。これに対処するため、短時 は隠したいという気持ちの表れ間労働の中でも、一定時間毎の 収入源ですが、これに、就労継 休憩時間の設定と優しい休憩場 続支援 < 型で万円の平均賃金といえます。 所の提供を考えていただきた ・採用企業幹部にとどまらない 月額は大きな収入となります。 。また、障害者毎の特性を見 障害者の所得保障の一環として現場職員への教育が欠かせな て頂く為にも上司、専門職によ の就労を考えていただきたい。 ・障害者枠雇用は勿論、一般雇る定期的な相談も設けて頂きた 2 ・職場定着に関連してー障 害者の平均勤続年数をみます用であっても障害が明らかとな 精神障害領域については、週援のひとっとして創設され、一も、本人に働きたいという希望 時間未満での就労可能者は多般就労でもなく、福祉的就労でさえあれば、本人の興味、技能、 いので、この時間枠での採用のもない「第三の雇用形態」とし経験に適合する職場で働くこと 在り方を確立する必要がある。て、障害者の就労支援のあり方が出来る」「就労そのものが治 それが取りまとめられるまでとして、経営母体も、社会福療的であり、リカバリーの重要 は、せめて時間未満時間以祉法人に限らず、社団法人や株な要素となる」という信念に基 上の雇用率の見直し ( ↓ 1 カ式会社もありますが、一般に社づいています。 まず実際の企業に就職して 会的事業所 ( 滋賀県、札幌市他 ) ウント ) を検討できないか (place) 、そこで必要なスキル 4 ・保護雇用制度法制化ー障害といわれているものです。 者の就労と密接に関連する所精神障害者の場合、障害に対をその場で学んでいく (( 「 ain) 」 得保障の手段として国際的にする抵抗感や社会的偏見も相まといった、 place-then-train モ き 動 は国際労働機構 (—=0) がって手帳所持者と自立支援医療デルによるアプローチを行いま の 祉 1955 年に採択した第四号勧受給者証取得者に大きなかい離す。 福 ( 小幡恭弘 ) 健 告によって定義づけられた制度がある。これに対処するため、 神 ですが、保護雇用の在り方は国雇用率カウント対象者を自立支 精 こ によって様々であり、共通して援医療受給者もその範囲とする き いることは、保護雇用はあくまことを求めます。 お て でも一般雇用の一形態とされて 5 ・モデルの導入ー っ 知 モデルの理念は、「どんなに しるということです。 わが国では、障害者の就労支重い精神障害を持つ人であって