UNlVAC - みる会図書館


検索対象: ユニバック30年のあゆみ
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1. ユニバック30年のあゆみ

変調方式で毎秒 220 , 000 桁のデータの読み書き能力 をもっていた。 科学技術計算用と特殊目的のコンビュータ を開発 ■科学技術計算用大型コンヒ。ュータ IJNIVACI 1 03 、 1 1 03A 、 1 1 0 5 1953 年に開発された ERA1103 が、 1955 年に磁気 コアを世界で初めて使用した UNIVAC Scien- tific1103 となり、 1956 年には記憶装置に 4 ~ 12K 語の磁気コアと磁気ドラムをキ綢し、浮動小魏点演 算も備えた 1103A が登場した。 さらに、 1957 年には改良型の UNlVAC1105 の 1 号機が誕生。記憶容量窈音増、入出力装置の強化、 ニ重バッフア・システムをキした計算と磁気テー プの読み取り、書き込みの並彳引乍業を能力的にアッ プした 1105 は米国人口統計局などに設置された。 ■科学技術計算用超大型コンヒュータ世界最初の マルチプロセッサ UNIVAC LARC 1960 年に開発された UNIVAC LARC は旧 M STRETCH と並ぶ超大型コンヒ。ュータである。 2 台の演算里装置と 1 台の入出力装置とからなる世 界最初のマルチプロセッサ方式を採用。 97 , 500 語の 容量をも気コア記憶装置に記憶させた叩 -p によ って、一つの問題を 2 台の演算里装置で里した り、あるいは別々の問題をそれぞれの演算里装置 で里することもできる。 1 号機はカリフォルニア 大学の放射線研究所に、 2 号機はお毎軍テーラー基 ■特殊目的のコンヒュータ 地に設置された。 技術の多くが、その後の商用コンヒュータに生かさ どである。これら 0 寺殊コンヒュータで開発された Aerospace Microtronic Computer(1962 年 ) な pute 「 ( 1958 年 ) 、航空機搭載用 UNlVAC1824 発した UNIVAC1206 Military Real Time Com- ATHENA Computer(1957 年 ) 、お毎軍のために開 間弾道弾羽 TAN を誘導するために設計された は UNIVAC MagneticComputer(1956 年 ) 、大陸 タ UNIVAC422 ( 1962 年 ) 、また、米空軍用として SpeedTallySystem(1953 年 ) 、教育用コンヒュー Control System(1951 年 ) 、在庫管理用の High 続々と開発した。たとえば航空管制用の Air Traffic ユニバックは特殊目的にイ吏用されるコンヒュータも れている。 リアルタイム・コンビュ→の出現 ■世界初のリアルタイム大型コンヒュータ UNlVAC490 1960 年 ( 昭和 35 ) に発表された UNlVAC490 は、軍 1 89 理、メッセージ交換、交通・航空管制など、広範囲 用分野は座席予約、バンキング、在庫管理、工程管 タイム・システムである。とくに信頼性に優れ、適 可能な EXEC などを採用した本格的な中型リアル プログラムとバッチ・プログラムの同時並行里が 880 といった高速磁気ドラム装置、リアルタイム・ 主記憶装置、 ESI モードによる回線制御、 FH330 、 した中型コンヒュータである。 65K 語までの大容量 中心として活躍していた UNlVAC1218 を商用化 空軍のミサイル追跡システムや戦青報システムの 1964 年 ( 昭和 39 ) に発表された UN Ⅳ AC418 は、米 UNlVAC418 、 418 Ⅲ ・本格的なリアルタイム中型コンヒュータ グ・システム ( TSS ) のけとなった。 バッチ里にも威力を発揮し、タイム・シェアリン 力が飛躍的に増大した。また、技術計算やリモート・ システムで、これによりコンヒュータ全体の里能 磁気ドラムに蓄え、それを取り出して里していく ドラム装置をおき、プログラムやデータは一時的に た点が大きな特徴である。中心に FH880 高速磁気 込んだドラム・オリエンテッド・システムをキ綿し り制御やメモリのオーバーラップなどの機能を組み UNIVAC LARC の考え方を引き継ぎ、命令の先回 記憶装置に採用した最初のコンヒュータである。 同じ年に発表された UNlVAC1107 は、磁気薄膜を ータ UNlVAC1107 ■磁気薄膜記憶装置を採用した最初の大型コンヒュ ルタイム・システムが出現した。 れにより予約を始め、いろいろな分野でのリア ント・オペレーションにも大いに威力を発揮し、 ム里だけではなく、バッチ里におけるコンカレ (ReaI Time Executive System) は、リアルタイ ペレーティング・システムとして開発された REX 効果的な機能であった。また、リアルタイム用のオ 信回線を、混乱なく、しかも効率よく里するのに Spesifiedlndex) モードは、多数の速度の異なる通 回線制御方式に採用した ESI (Externally 般事務里に適合するように開発したものである。 用リアルタイム・コンヒュータ UNlVAC1206 を一

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UNIVAC494 は、信頼性が高く、リアルタイム里に 抜群の威力を発揮した。ハードウェア面では、マル チプログラミングに不可欠なメモリ・プロテクショ ン機能、剞禺数アドレッシング機能、 FH432 、 1782 高速磁気ドラム装置など窈憂れた特徴をもち、オペ レーティング・システムに UNIVAC490 と 1107 のエグゼクテイプ・システムに新しいソフトウェア の技術を取り入れたドラム・オリエンテッド・シス テム OMEGA を採用。中央側からも遠隔地からも UNIVAC494 をまったく同じように使用すること ができるようになったのは画期的であった。 ■咼パフォーマンスの超大型コンヒュータ UNlVAC1108 UNIVAC494 と同時に発表された UNlVAC1108 は、 FH ー 432 という超高速磁気ドラム装置を採用し た本格的なドラム・オリエンテッド・システムで、 1107 と比べると中央処理装置と周辺装置とのバラ ンスが格段によくなり、パフォーマンスが飛躍的に 向上した。また、 UNIVAC LARC の考え方をさら に発展させたマルチプロセッサ方式を採用し、記憶 装置、入出力里装置の許す限り、いくつも同時に リアルタイム里、デマンド里、バッチ里カ河 能となり、タイム・シェアリング寺代を拓いた。 この UNIVAC1108 のアーキテクチャは、ユニバ ックにおける大型コンヒュータ開発に大きな変革を lJNlVAC1108 の磁気コア記憶装置 もたらし、その後の 1100 シリーズの基礎になった といえる。なかでも、当時最高といわれたオペレー ティング・システム EXEC 8 により、すばらしい コスト・パフォーマンスを発揮し、世界中のあらゆ る業種、あらゆる分野で広く活躍した。 ■技術情報システム大型コンヒュータ UNIVACI 106 44 年に発表された UNlVAC1106 は、マン・マシン・ システムの思想に基づいて開発された。 ( 新憂れたリ アルタイム機能、②大規模データベース設定のため の大容量記憶装置 FASTRAND-III 、③マン・マシ ン・コミュニケーションを行なうディスプレイ装置 などの端末装置群、④カンバセーショナル ALGOL やカンバセーショナル FORTRAN など会話形式 を重視した言語プロセッサ、⑤高度な技術計算用の UNIVAC418111 111 = 当目訓 U ー VAC 1106 UNIVAC1108 UNIVACIIIO 田一 193

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UNIVAC120 の導入 昭和 30 年、わが国初のコンピュータが、東 京・兜町に運びこまれた。東京証券取引所 と野村證券に UNlVAC120 が搬入・設置 されたのである。搬入の当日は、このコン ピュータを、ひと目見ようとやってきた人 が路上にあふれた。 これは、戦後の経済復興を象徴する出来 事の一つである。この UNlVAC120 の導 入を契機として、わカ瘋のコンピュータ利 用は急速に各界にひろまっていった。 コンピュータの登場は、従来の PCS で はできなかった計算能力の飛躍的な向 上と里業務の大幅な拡大を実現したので ある。 東京瓦斯では、主に大量の料金調定業務に lJNlVAC120 を活用し、コンピュータの有用 性に対する評価を大い「古めた 24 昭和 3 ロ年、野村證券に導入された IJNIVAC120 の搬入は、ビルの窓から行なわれた。通行人や近隣 の会社の窓から、もの珍しげに多くの人々が見守っていた。

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にプログラムを呼び出すというような工夫は、 IJNIVAC I 、Ⅱの時代にも行なわれていた。すべ ての操作手順をコントロール・カードによってコン ヒュータに登録し、入出力装置の割り当てやプログ ラムの読み込み、実行などの必な作業を管理プロ グラムの指示に基づいて連続的に行なうことができ るようにする発想も、 1950 年代の終わりごろに生ま れている。 1960 年代の初めには、多くのコンヒュータで、今 日オペレーティング・システム ( OS ) と呼ばれてい るようなソフトウェア 0 メ本系が立して、それまで 個々に開発されていたすべてのソフトウェアが、そ うした管理プログラムによって統括されるようにな った。複数個のプログラムを並列的に実行する多重 プログラム里や、通常のデータ里と並行して、 多数 0 甬信回線からの入力に対しても即時に応答し なければならないリアルタイム処理などは、このよ うなソフトウェア 0 メ本系ができて初めて一般に実用 化されるようになったのである。 1961 年 ( 昭和 36 ) に 発表された UNIVAC Ⅲの CHIEF 、 UNIVAC490 の REX は、それぞれ多重プログラム里、および リアルタイム里の機能をもった最初窈明のオペ レーティング・システムとして、長くその名をソフ トウェアの歴史にとどめている。 プロクラム言語の標準化 この時代には、また、 COBOL 、 FORTRAN などと いった、今日でもひろく使われているプログラム言 語の標準化が行なわれた。 FORTRAN は、もともと は旧 M 704 のために開発されたプログラム言語 であったが、 1962 年に米国規格協会 ( ASA 、現在の ANSI) がその言語仕様を標準化して以降、ユニバッ クもそれを採用することとなり、 UNIVAC Ⅲ、 1 1 07 などの機種でそのコンパイラカ輛発された。 一般の事務計算に使えるような、標準的なプログ ラム言語をつくるため 0 メ乍業は、 1959 年に米国防省 が中心となってされた CODASYL( データ・シ ステム言語委員会 ) で始された。この委員会では、 それ以前からすでに使われていた UNIVAC I 、Ⅱ の FLOW-MAT ℃、 UNlVAC1105 の川 MCO や、 ちょうど開発の途上にあった旧 M 7 0 5 の COMTRAN などを土台にして検討を重ね、翌 1960 年には COBOL 60 の言謌士様を発表している。ユ ニバックでは、いちはやくそのコンパイラの開発に 着手し、同年 12 月に RCA501 と UNIVAC Ⅱの間 での COBOL プログラムの交換に成功している。 このほか、 1960 年代には、 ALGOL 、 PL/ 以 BAS ℃などのプログラム言語が登場し、各社とも そのコンパイラを開発して、一般のユーザーに提供 するようになった。 通信との結合ー→つの利用形態 コンヒュータの利用形態は当初はバッチ里が基本 であり、データの入出力はコンヒュータに直接接続 された装置から行なわれるだけであった。しかし、 1 960 年代に入り、通信回線を介して端末機が接続さ れるようになると、コンピュータの利用形態に大き な変革が起こった。従来のバッチ里に加えて、リ モート・バッチ里、リアルタイム里、デマンド 里といった新しい利用形態が出現したのである。 これにより、コンヒュータの応用分野が的に拡 大した。 四つの利用形態 パッチ処理 リモート・パッチ処理 リアルタイム処理 デマンド処理 リモート・バッチ里は、通信回線を介してデー タの授受を行なうこと以外は通常のバッチ里とあ まり変わらない。しかし、その運用方法によって、 多数 0 メ吏用者による大型コンヒ。ュータの共同利用を 可能にした意義は大きい。 初期のシステムは専用のハードウェアとソフトウ ェアを用いていたが、多重プログラミング技術力 立されてくると、明コンヒュータをリアルタイム 処理に用いることが可能となった。 UNlVAC490 は通信制御装置、各種機構などのハードウェア とリアルタイム・オペレーティング・システム REX を備えて登場し、オンライン・バンキングや予 約システムなどっ舌躍した。 リアルタイム・システムの技術によって、コンヒ ュータを人間の思考のよきアシスタントとして使用 できることが認識され、次のタイム・シェアリング・ システムが生まれた。 タイム・シェアリングの念を発表したのはマサ 205

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トヨタ自動車 T 業、三菱重工業なども相次いで UNIVAC1108 による、より本格的な TSS を 実用化している。 47 年から 48 年にかけては、 公衆通信回線も共同利用できるようになり、 寺定多数の利用者を対象とした TSS サー ビスを行なう計算センターも出現した。長年 叫ばれてきた回線の自由化″が、ようやく このころになって実現し始めたのである。 1108 、 大型機弋を築く 昭和 40 年代は、 30 年代に獲得した 大型機のユニバ ック″の評価をさ らにゆるぎないものにした時代でもあった。 まず、 40 年 9 月には、 UNlVAC490 、 1107 の後継機として、 UNlVAC494 、 1108 の両機 種を発表した。 UNIVAC494 は、 UN Ⅳ AC490 のもってい たリアルタイム里の機能をより強化し、オ ペレーティング・システムを始めとしたソフ トウェアも一新して、その適用範囲をひろげ たコンヒ。ュータである。 41 年 11 月、川崎製鐵 に第 1 号機が設置され、以後、三菱銀行、国 鉄、東京電力などの各社に導入されて、リア ルタイム・システムの中枢として活躍した。 UNlVAC1108 は、制御用記憶装置として、 読み出し書き込み時間 5 ナノ秒という高速の ℃メモリを使用し、商用機としては、世界で 初めて多重プロセッサ・システムを実現した 画期的なコンピュータであった。本格的な TSS 時代に備えて設計された同機のオペレ ーティング・システム、 EXEC8 は、会話型デ マンド里、リアルタイム里、リモート・ バッチ里など、当時考えられていたあらゆ る形態のコンピュータ里に対処できるよう な機能を備えていた。この EXEC8 の基本的 な言思想は、以後の 1100 シリーズのコン ピュータにそのまま受け継がれている。 60 れ、その後、三井物産、三ラ機、中部電力、 1 1 08 は、 42 年労働省、野村證券に導入さ 富士銀行、三菱重工業、石川島播磨重工業、 三菱自動車工業、全国共済農業協同組合連合 会、トヨタ自動車工業など製造業を中心に 相次いで入された。 44 年 5 月には、会言甅の言語プロセッサと 使いやすい端末機器群を装備した UNIVAC 1106 を発表、マン・マシン・コミュニケーシ ョンの機能を重視したシステムとして、注目 を集めた。 さらに 45 年 11 月には、 UN Ⅳ AC1108 0 ア麦継 機種として UNIVACIIIO を発表した。本格 的な TSS 時代に対処して、 1108 がもってい た諸機能が大幅に強化拡充されたほか、 したフェイル・セーフの考え方を言 f の段階 から盛り込んで、信頼性、安全性の改善が図 られている。各部の点検や故障個所の摘出を、 遠隔地に設置された別のコンピュータで行な うリモート・メンテナンス方式の採用が能 になったのも、この 1110 からである。 同機は、 47 年 9 月、東京電力および近畿日 本鉄道の両社に設置された。その後、トヨタ 自動車工業、川崎製鐵、石川島播磨重工業、 菱自動車工業、三洋電機などの製造業各社に 導入され、農林中央金庫、三井銀行、東京海上 火災、大正海上火災、東邦生命、全共連など、 金融・保険業界にも多数導入されていった。 こうした大型機導入の背景には 42 年 10 月 の「訪米 M 旧使節団」に端を発した M 旧 ( 経 営情報システム ) 論議がある。この MIS は当 時のコンヒ。ュータ利用に一つの反省の機会を もたらした。そのなかから、「トータル・システ ムの開発が急務」という認識が生まれ、大型 機導入の気運に拍車をかけたのである。 0UK9000 シリーズ 発表 わが国のコンピ ュータ市場は、 まさに変化しつ つあった。 当社にとって衝撃的な情報は、昭和 43 年 8 月、政府が「官公庁におけるコンヒ。ュータの

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発表後わずか 1 か月足らずのうちに、 70 台以 上もの受注に成功するという、前例のない大 量セールスの記録を樹立した。 同機の出現は、ユーザー層の裾野をひろげ、 中小企業経営者のコンピュータへの関心度を 一気に高める役目も果たしたのである。 なお、 UN Ⅳ AC1004 、 1050 の両機種は、い ずれも後述の沖ユニバックで国産化されるこ とになったため、日本国内では、それぞれ 0UK1004 、 0UK1050 というプランドで販売 されている。 昭和 38 年 5 月、宮 崎清は初代会長に 就任し、第 2 代社 長には長澤曻三取 締役 ( 前・三井物産副社長 ) カ蹴任した。長澤 新社長は、大正 1 3 年、旧三井物産に入社して 以来、同社機械部門の役職を歴任し、第一物 産常務取締役時代にはコンヒ。ュータ事業の将 来性に着目して当社の設立計画を進め、さら に発足と同時に取締役を兼任してその経営に も参画してきた。 この長澤社長の就任の年に、当社はまた新 たな段階を迎えようとしていた。スペリー ランド社と沖電気工業の合弁による、沖ユニ バック株式会社が設立され、 UNIVAC コンヒ。 ュータがようやく国産化される運びになった のである。当時は、政府の国産コンピュータ 育成策の一環として、コンピュータの輸入は きびしく制限されていたので、国産化の実現 は当社にとって何よりもの朗報であった。 中電気工業は、国内でもはやくからコン ヒ。ュータの開発に取り組んできた企業のひと つで、 35 年 1 1 月には、国産中型機で初めて磁気 コア記憶装置を採用した 0KTAC5090 の 開発に成功している。コンピュータの入出力 機器メーカーとしても同社は独自の地位を築 いており、とくにプリンタ部門では、その当 時からトップメーカーと目されていた。 UNlVAC490 は、とくにオンライン・リア ルタイム里に適したハードウェア、ソフト ウェアを備えたコンヒ。ュータで、 38 年に国鉄 に導入され、日本のオンライン・システムに 先鞭をつけている。 中型機の分野では、 39 年 4 月、業務に応じ てシステムの拡大を可能にするビルディン グ・プロック方式を採用した UNIVAC1050 を発表した。同機は伊、日新製鋼、北海 ミ力、日反硝子、第百生命などに導入さ れた。 さらに 39 年 9 月には、中型機でリアルタイ ム処理の機能をもった UNlVAC418 を発表 した。同機は、空港の航空管制システムなど にも採用された高信頼性を誇るコンピュータ で、わが国では、富士銀行に 3 台、近畿日本 鏘首に 2 台設置されたのを始め、山一證券、 ダイハツ工業、花王石鹸などの各社に導入さ れ、オンライン・システムの推進に大きな役 割を果たした。のちに発表された 418 Ⅲは、 この 418 の機能を大幅に強化したもので、第 1 号機カ見在の太陽神戸銀行に設置されて以 降、地方銀行、相互銀行、信用金庫などの金 関に多数導入されたほか、岡三証券、和 光証券、大阪屋証券などの証券会社や、トナ ミ運輸、ライオン油脂、ライオン歯磨などの 各社にも相次いで導入された。 37 年 6 月、 UNlVAC120 、 60 に代わる新鋭 の小型コンピュータ UNlVAC1004 を発表 し、大反響を呼んだ。同機は「 PCS ユーザー がどんな機種を望んでいるか」を分析した結 果に基づいて、ユニバックの技術陣が 3 年の 歳月をかけて開発したものであった。半導体 固体回路を全面的に採用し、大型機と同じよ うな磁気コア記憶装置と印書機構を備えるな ど、従来の PCS 機械の概念を一掃する、斬新 な機能と性能を備えていた。 この 1004 は、 80 欄および 90 欄の両カード を読み取る能力をもっていたこともあって、 国産化の道を拓く 34

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0 ゞ USSC の高速磁気ドラム記憶装置 ( 左 ) とカタログ表紙 の高速磁気ドラムを主記憶装置に採用し、毎秒約 12 , 000 回の加減算を行なう能力があった。 USSC は、第 2 世代コンピュータの先駆けとして、当時の PCS を EDPS (EIectronic Data Processing System) に発展させるのに大いに貢献した。 のちに記憶容量を減らして低価格にした STEP (SimpIe Transition tO Electronic processing) と、 1 , 280 語 0 愛気コア記憶装置および 2 台の磁気 テープ用シンクロナイザを付加し、最高 20 台までの 磁気テープ装置を接続できるよう高性能化した USS Ⅱのニつのシステムが追加されている。 ・初めて多重プログラミングを実現した大型コンヒ ュータ UNIVAC Ⅲ 1960 年に発表された IJNIVAC Ⅲは世界で初めて 多重プログラミングを実現した。これは数個のプロ グラムを同時並行に実行するオヘレーティング・シ ステム CH 旧 F 、 BOSS によるものである。これに より、コンヒュータのもつ潜在能力をあますところ ■ PCS の中核となった小型コンヒュータ UNlVAC120 、 60 1950 年、パンチカード・システム ( PCS ) の中核とな るコンヒュータ RR409 が開発され、改良型の RR409 ー 2 A 、 2 B を経て、 1954 年 ( 昭和 29 ) には名 称も UNIVAC120 、 60 と改められた。 カード読み取り穿孑置と演算里装置で構成さ れた UNIVACI 20 、 60 は記憶装置に冷陰極放電管 吏用し、 12 云 6 行のデータが記憶できた。プロ グラムは 2 面の配線盤で行ない、演算度は加減算 が 10 マイクロ秒、乗算が 50 マイクロ秒と、当時とし ては驚くべき速さであった。 UNIVAC120 の登場により、日本においても昭和 30 年代に PCS による事務機械化が急速に進んだ。 また UNIVAC120 は事務計算ばかりでなく、 LP ( 線型計画法 ) を始めとして、各種の技術計算にも 活躍した。 ■大容量の記憶装置をもった事務用中型コンヒュー タ UFC 1955 年 ( 昭和 30 ) に事務処理用として発表された中 型コンヒュータ UFC(UNIVAC FiIe Computer) モデル 0 に続き、 1957 年にはモデル I 、 1961 年には 主記憶装置が磁気コアで 2 倍の容量をもつモデルⅡ が発表された。事務計算に合わせて設計された UFC は、大容量磁気ドラムを最大 33 台 ( 594 万桁 ) ま でに応じて接続することができ、台帳など莫大 なデータを記憶。また、各種入出力装置を任意の組 み合わせで 1 0 台ま続できるため、バッチ里ば かりではなく在庫管理や航空機の予約などのオ ンライン里にもひろく利用された。 ■磁気コアを採用した事務用大型コンヒュータ UNIVAC Ⅱ 1957 年に発表された UNIVAC II は UNIVAC I の改型である。水銀遅延タンク記憶装置を磁気コ アに代えて、容量や性能を向上させたこの事務用大 型コンヒュータは、行政、軍事、運輸、交通、電力、 銀行、保険など各分野に数多く使用された。 ■固体回路を全面的に採用した中型コンヒュータ USSC 1956 年に開発された UMC(UNIVAC Magnetic Computer) を改良して、 1 957 年 ( 昭和 32 ) に磁気増 幅器やトランジスタ吏用した世界最初の全固体回 路の中型コンヒュータ USSC(UNIVAC SoIid- state computer) が 50 , 00 行という大容量 、 C 一朝望 R. る 1 一 6 一 7 UNIVAC ) Solid-State っ Computer IJNIVAC Ⅲの磁気コア記憶装置 なく利用できるようになり、事務分野で最も進歩し た経斉的な大型コンヒュータとして、多くの大企業 でイ吏用された。また、 UNIVAC Ⅲでネ刀めて登場し た高性能の UNISERVO Ⅲ A 磁気テープ装置も画 期的な入出力装置であり、 NRZ 方式に代わる位相 1 88

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創業への道程 わが国初の コンビュ→到着 昭和 30 年 2 月、日 本でネ刀めてのコン ヒ。ュータが兜町に 運びこまれた。 1 年も前から待ちこがれていた機械は、ビ ルの窓から吊り上げられ、路上や近隣のビル の窓から、もの珍しげなネ駢泉が集中した。噂 に聞く「電子計算機」をひと目見ようという のであった。東京証券取引所と野椪登券に導 入されたこの UNlVAC120 によって、わが 国のコンピュータ利用は、その第一歩を踏み 出したのである。 UNIVAC120 は、 PCS ( パンチカード・シ ステム ) の弱点とされていた計算能力を向上 させ、里業務の範囲拡大を図るために開発 されたもので、それまでの PCS の概念を一 変させるほどの画期的な機能と性能を備えて 、 0 コンピュータの 1 号機が、兜町に導入され た背景には、第 2 次大戦後、初といわれてい る当時の株式プームがあった。証券業界は、 朝鮮動乱の特需などによる好況と証券民主化 の波に乗って急成長を遂げ、売買取引高は上 昇の一途をたどっていた。 28 年 2 月 9 日には、 2300 万株という年間最高の出来高を記録し、 精算事務カいつかなくなったため、ついに 売買立会い停止という事態まで引き起こして いる。 もちろん証券業界も、決して手をこまぬい ていたわけではない。証券事務機械化の計画 はすでに、 25 年暮れから翌 26 年 2 月にかけて 「第 1 回米国派遣証券代表団」が渡米し、証 券取引所における機械化の実情を調査したこ ろから始まっていた。こ弋表団は株式売買 高の急増によって繁忙をきわめている事務処 理への効果的な対応策を見いだすことを目的 としていた。 ついで 28 年 3 月には、同じ目的で「欧米証 券市場調査団」が派遣された。彼ら一行はフ イラデルフィアのレミントン・ランド社を訪 れ、研究所でイ中のある機械の前に案内さ れた。これが、 RR 4 0 9 ー 2 A 、つまり、 UNIVAC120 だったのである。この機械は、 従来の PCS では不可能だった計算を処理す る能力をもち、速さも格段に優れていた。 , れが調査団の一行、証券業界の事務機械化担 当者を強く魅了したのはいうまでもない。 ただし、この RR409 ー 2A は市販前の製品 であったため、翌 29 年 1 月の発売開始まで 1 年、日本到着までにはさらに 1 年を待たなけ ればならなかった。 30 年 2 月、 UNlVAC120 が導入されるに至 り、それまで PCS のみに頼って事務機械化 を進めてきたわが国の企業は一斉にその動向 を注目し始めた。東京証券取引所の機械室に は、連日、多くの人が見学に訪れ、その数は 1 日 300 人にもおよぶほどだった。故・湯川秀 相廿専士も、当時見学し、そ 0 能に驚嘆した ひとりである。 UNIVAC120 の登場により、日本のコンヒ。 ュータ時代の幕が切って落とされた。 世界初のコンヒ。ュータ は、第 2 次大戦に 米国の電子技術者 J. P. 工ッカートと物理学 者 J. W. モークリーの協力によって開発され た ENIAC (EIectronic Numerical lnte- grator and Computer) である。 1942 年 ( 昭和 17 ) 8 月、ペンシルべニア大学 ムア・スクール ( 電気工学教室 ) にいた工ッカ ートとモークリーは、真空管回路を利用した 高性能のコンヒ。ュータの実現性について、最 初の研究報告をまとめた。当時、ムア・スク ENIAC 甦

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送の実験である。前年に東京本社に設置さ れていた UNlVAC490 と関西支社の OUK 1004 とを 2400bPS のマイクロ回線で結び、大 阪側から送られるデータを逐次、東京側で処 理し、最後にその結果を大阪側に送ってプリ ンタで印書するというのがその内容であった。 これはの異なるコンヒ。ュータ間で、高速 データイ云送に成功したわが国初の実験でもあ った。国鉄ではこのを生かして、のちに 全国規模の貨物輸送管理システムのオンライ ン化に成功している。こうしたシステムの構 築に、初期の実験の段階から参加したことは、 当社にとってきわめて貴重な糸となった。 この年の 10 月に開かれた東京オリンピック では、旧 M システムによるオンラインの報 道サービスが行なわれた。このシステムはそ の後、三井銀行に導入され、端末装置の部分 を変更してオンライン・バンキング・システ ムに使用された。さらに同年、寬毎道新幹線 の開通に合わせて、オンライン座席予約シス テムみどりの窓口′′も開設されている。 これと並んで、 UN Ⅳ AC コンヒュータによ るオンライン・リアルタイム・システムの実 用化計画も着々と進められていた。 37 年ごろから銀行業務のオンライン化に ついて研究を進めていた富士銀行は、 39 年、 lJNlVAC418 を導入し、本格的な普通預金業 務オンライン化の検討に入った。 41 年に至っ て、まず自行内で従業員預金を対象にん念な テストを行ない、翌 42 年 2 月から一般預金者 を対象としたオンライン・サービスを開始し ている。 同年 4 月には、近畿日本鉐首と近畿日本ツ ーリストが、 UNlVAC418 を使用して旅行プ ランの作成から予約、発券までを含めた総合 的な旅行システムの運用を開始し、やや遅れ て川崎製鐵でも、 UNlVAC494 による在庫・ 受注褌里システムのオンライン化をした。 4 3 年には、国鉄の地域間急行列車貨物情報 管理システム、三菱銀行の為替システム、野 本登券の株式取引システムなど、大規模なオ ンライン・システムが稼働を開始した。これ らは、いずれも UNIVAC490 、 494 、 1108 など の大型コンヒ。ュータを使用して構築されてい たが、この間、防衛庁海上自衛隊が、横須賀、 呉の両合処で、 0UK1050 による務の オンライン化に成功したことは特筆に値する。 こうしてオンライン化の波は、堰を切った ように、あらゆる分野にひろがっていった。 TSS 、実用化へ 昭和 43 年、日本に おけるコンヒュー タの利用形態に、 また新しい 1 ペー ジカ功ロえられた。 UNlVAC1107 を使用して 石川島播磨重工業が構築した、わが国初のタ イム・シェアリング・システム ( TSS ) が稼働 を開始したのである。 1 台のコンピュータを共用している多くの 利用者が、互いに他を意識せず、そのコンピ ュータを専有しているかのように利用するこ とができるシステムが、この TSS である。 石川島播磨重工業では、それ以前から、技 術計算に関しては、言現場の担当者が各自 プログラムを作成し、それを EDP 担当部門 に送って里を依頼するというオープン・シ ョップ制をとっていたが、 TSS によって、現 場から直接コンヒ。ュータとやりとりをしての 里が可能になったのである。 同社のシステムでは、東京・豊洲工場の UNIVACI 1 07 と、相生工場、横浜工場、大手 町本社などに設置された 0UK1004 とを、そ れぞれ 1200bps の専用回線で結び、工場、本 社側から直接 UNlVAC1107 を呼び出して、 計算里を行なうようになっていた。 同年、が公郊甬信法を一部改正し、 特定通信回線を民間でも共同利用できるよう にしたことにより、このシステムの普及に拍 車がかけられた。石川島播磨重工業に続いて、 59

10. ユニバック30年のあゆみ

メインフレーム虱ヒ 昭和 57 年 7 月に発表した超大型コンヒュー タ IJN Ⅳ AC1100 / 90 シリーズが 59 年 7 月以降、相次いでユーザーて稼働開始。さ らに 58 年 9 月には汎用大型コンヒ。ュータ IJN Ⅳ AC1100 / 70 シリーズを、また 61 年 4 月には超大型機 UNIVAC1100/90AD シ リーズを発表した。 UN Ⅳ AC1100 / 70 シリーズは、大型機 分野でベストセラーとなった UNIVAC 1100/60VANGUARD システムを継承、 発展させ、さらに価格性肯阯ヒを飛躍的に向 上させたものである。 また、 UNlVAC1100/90AD シリーズ は、 IP ( 演算実行プロセッサ ) を一つの CPU キャビネット内に 2 個収納したダイ アディック ( 双頭 ) ・プロセッサ・システム で、従来の 1100 / 90 に比べて約 2 倍の CPU 能力を有し、コスト・パフォーマンス を大幅に向上した。 ロ冂第ュ 山一證券に導入の CJ 邸 VAC Ⅱ囲 / 94 システム。同社では、、、グローノヾルな総合金融商社 " の地 盤をいっそう強固にするため、証券業務の第 3 次オンライン化の中枢機として活用している。 東京電力では、電力安定供給という社会 的使命の逐行と需要家サービスのいっそ うの向上をめざし、総合的な情報処理シ ステムを運用、その中枢として IJNIVAC Ⅱ / 94 を設置した。 全日本空輸では、 IJNIVACII / 92 、 91 、 1100 / 73 、 72 などの大型コンピュー タを活用し、空港でのサービス向上、予 約、発券業務、搭乗業務、精算業務の効 率化など、ダイナミックな工アライン情 報システムを展開している。 62 年Ⅱ月に は、東京・羽田に全日空情報システムセ ンターピルをオープン、さらに先進的な 情報システム構築に取り組んでいる。 148