二ゅふづくよ・こころもしぬに ( 湯原王 )••・ 〔一五全〕あしひきの・やまのもみぢば ( 大伴書持 ) : 〔一六三六〕おほくちの・まがみのはらに ( 舍人娘子 )••・ 〔一六三九〕あわゆきの・ほどろほどろに ( 大伴旅人 )••・ 〔一六五 0 わがせこと・ふたりみませば ( 光明皇后 ) : ・ 卷第九 卷第十 〔一 ~ ( 究〕おほくらの・いりえとよむなり ( 柿本人窘歌集・ 〔一占一〕さよなかと・よはふけぬらし ( 柿本人麿歌集 )••・ 〔一吉四〕うちたをり・たむのやまきり ( 柿本人麿歌集 )••・ 〔一七兄〕みけむかふ・みなぶちゃまの ( 柿本人脅歌集 ) 〔一七一四〕おちたぎち・ながるるみづの ( 作者不詳 )••・ 〔一当五〕ささなみの・ひらやまかぜの ( 柿本人麿歌集 ) : ・ 「一七五〕はっせかは・ゅふわたりきて C 柿本人麿歌集 ) ・ : 〔一究一〕たびびとの・やどりせむぬに ( 遣唐使隨員の母 ) ・ : 二七〕しほけたっ・ありそにはあれど ( 柿本人麿歌集 ) : ・
ロ五覺〕たゆひがた・しほみちわたる ( 東歌 )••・ 「三五契〕しほぶねの・おかればかなし C 東歌 )••・ ロ五発〕なやましけ・ひとづまかもよ ( 東歌 ) ・ 〔一一契五〕かのころと。ねずやなりなむ ( 東歌 ) : ・ 〔三七〕たむをちゃ・しかもないひそ ( 法師某 ) 〔巴一四〕なでしこが・はなみるごとに ( 大伜家持 )••・ 〔四一〕はるまけて・かくかへるとも ( 大伴家持 )••・ 〔巴四六〕よくだちに・ねざめてをれば ( 大伴家持 ) ・ : 〔四一あさどこに・きけばはるけし ( 大伴家持 )••・ 〔四三兄〕あきかぜに・なびくかはびの ( 大伴家持 ) ・ 〔四三五一 D みちのべの・うまらのうれに ( 防人 ) : ・ ( 四四六凸わたるひの・かげにきほひて ( 大伴家持 ) ・ : 一五セ XVI
いま な やまだに あしびの山谷越えて野づかさに今は鳴くら 山部赤人 む鶯の乙ゑ〔卷十士・三九一五〕 山部宿禰赤人詠 = 春一歌一首であるが、明人と書いた古寫本もある ( 西本願寺本・神田本等 ) 。 『野づかさ』は野にある小高い處、野の丘陵をいふ。『野山づかさの色づく見れば』 ( 卷十・一一 の例がある。一首は、もう春だから、鶯等は山や谷を越え、今は野の上の小高いと ころで鳴くやうにでもなったか、といふので、一般的な想像のやうに出來て居る歌だが、不 思議に浮んで來るものが鮮かで、濁りのない淸淡とも謂ふべき氣持のする歌である。それた から、家の内で鶯の聲を聞いて、その聲の具合でその場所を野づかさだと推量する作歌動機 と解釋することも出來るし、さうする方が『山谷越えて』の句にふさはしいやうにもおもふ が、併しこの邊のことはさう穿鑿せずとも鑑賞し得る歌である。『ひさぎ生ふる淸き河原に』 の時にも少し觸れたが、つまりあのやうな態度で味ふことが出來る。卷十七の歌をずうっと 卷第十七 うぐひす 159
〔一全一一 D まきむくの・ひはらにたてる ( 柿本人麿歌集 )•. ・ 〔一一四大〕あきがしは・うるわかはべの ( 柿本人麿歌集 ) ・ 口一充七〕いもがなも・わがなもたたば ( 作者不詳 ) : 〔一一九き〕しなむいのち・ここはおもはす ( 作者不詳 ) 〔一一空 0 おのがしし・ひとしにすらし ( 作者不詳 ) : 〔一一九三巴うまさはふ・めにはあけども ( 作者不詳 ) ・ 〔元四七〕おもふにし・あまりにしかば ( 作者不詳 )- ・ 〔元六一〕うつぜみの・つねのことばと ( 作者不詳 ) : ・ 〔三 8 工〕あしひきの・やまよりいづる ( 作者不詳 ) 〔三 8 三〕ゅふづくよ・あかときやみの ( 作者不詳 ) : 〔一一一三大〕さぬらくは・たまのをばかり ( 東歌 ) ・ ロ三穴〕あしがりの・とひのかふちに ( 東歌 )••・ 〔三三大〕いりまぢの・おほやがはらの ( 東歌 ) : ・ ロ = 一毛凸わがせこを・あどかもいはむ ( 東歌 ) : 〔 = 一三九 C 〕つくばねに・かがなくわしの ( 東歌 ) : 〔三一禿凸をつくばの・ねろにつくたし ( 東歌 ) : ・ ロ四一 C 〕いかほろの・そひのはりはら ( 東歌 )••・ ロ四一七〕かみつけぬ・いならのぬまの ( 東歌 ) : ・ : 6 六 : 一 0 六 : 一 0 六 XIV
昭和十一年十一月二十日第一刷發行萬葉秀歌 ( 下卷 ) 昭和二十九年一月十五日第葦三刷改版發行 ( 全二冊 ) 昭和三十三年五月二十日第三十刷發行 定價百圓 も きち 本 著者 齋藤茂吉 東京都千代田區神田一ッ橋二丁目三番地 發行者 岩波雄二郎 東京都千代田區田美土代町十六番地 秀 印刷者 山根正男三 發行所 1 毆岩波書店 亂丁本・亂丁本はお取替いたします とう
〔入三〕ひさかたの・あめのかぐやま ( 柿本人窘歌集 )••・ 二八一 0 こらがなに。かけのよろしき ( 柿本人麿歌集 ) : 〔一公一一〕はるがすみ・ながるるなべに ( 作者不詳 )••・ 〔一全五〕はるされば・きのこのくれの ( 作者不詳 ) : ・ 〔一分凸かすがぬに・けぶりたつみゆ ( 作者不詳 ) : ・ 〔一穴一 = 〕も当しきの。おほみやびとは ( 作者不詳 ) ・ : 〔一九一とはるさめに・ころもはいたく ( 作者不詳 ) ・ : 〔一を六〕うのはなの・さきちるをかゆ ( 作者不詳 ) ・ : 〔一一 0 九六〕まくずはら。なびくあきかぜ ( 作者不詳 ) : ・ 〔一一三 0 あきかぜに・やまとへこゆる ( 作者不詳 ) ・ : 〔三一宅〕あさにゆく。かりのなくねは ( 作者不詳 ) ・ : 〔三呈〕やまのべにゞいゆくさつをは ( 作者不詳・ 〔三人〕あきかぜの・さむくふくなべ ( 作者不詳 ) ・ : 〔三と〕あきはぎの・えたもとををに ( 作者不詳 ) : ・ 〔三合〕ながっきの・しぐれのあめに ( 作者不詳 ) 〔ニ一分〕おほさかを・わがこえくれば ( 作者不詳 ) ・ : 〔二一九 0 〕わがかどの・あさちいろづく ( 作者不詳 )•• 〔一 = 三さをしかの・つまよふやまの ( 作者不詳 ) ・ : ・四六 ・四六
アラタシ 作った。初句、『あらたしき』で安良多之の假名書の例がある。この歌は、平凡な歌だけれ ども、新年の樂宴の心境が好く出てゐて、結句で、『嬉しくもあるか』と止めたのも卒直で 效果的である。それから、『おもふどちい群れてをれば』も、心の合った親友が會合してゐ るといふ雰圍氣を籠めた句だが、簡潔で日本語のいい點をあらはしてゐる。類似の句には、 はつはな いと 『何すとか君を厭はむ秋萩のその初花のうれしきものを』 ( 卷十・一三七三 ) がある。 ゅふ かすみ 春の野に霞たなびきうらがなしこのタかげに うぐひす鳴くも〔巻十九・四二九 0 〕大件家持 天平勝寶五年二月二十三日、大件家持が興に依って作歌一一首の第一である。一首は、もう 春の野には霞がたなびいて、何となくうら悲しく感ぜられる。そのタがたの日のほのかな光 に鶯が鳴いてゐる、といふので、日の入った後の殘光と、春野に『おぼほし』といふほどに かかってゐる靄とに觀入して、『うら悲し』と詠歎したのであるが、この悲哀の情を抒べたの は既に、人以前の作歌には無かったもので、この深く沁む、細みのある歌調は家持あたり が開拓したものであった。それには支那文學や佛敎の影響のあったことも確かであらうが、 はる 176
家持の人麿から學んだ結果は、期せずしてこの邊にあらはれてゐる。 0 ゆき うへ つくよ うめ はなを 雪の上に照れる月夜に梅の花祈りて贈らむ 大件家持 しき兒もがも〔卷十八・四一三四〕 天平勝寶元年十二・月、大伴家持の作ったもので、越中の雪國にゐるから、『雪の上に照れる 月夜に』の句が出來るので、かういふ歌句の人麿の歌にも無いのは、人麿はかういふ實際を 餘り見なかったせゐもあるだらう。作歌のおもしろみは這般の裡にも存じて居り、作者生活 の背景といふことにも自然關聯してくるのである。下の句もまた、越中にあって寂しい生活 をしてゐるので、都をおもふ情と共にかういふ感慨がおのづと出たものと見える。 167
しろい。また所謂萬葉的常套を脱してゐるのも注意せらるべく、萬葉末期の、次の時代への 移行型のやうなものかも知れぬが、さういふ師類の一つとして私は愛惜してゐる。そして天 平十年が家持二十一歳だとせば、書持はまだ二十歳にならぬ頃に作った歌といふことになる。 かはせと ねさ 書持の兄、家持が天平勝寶一一年に作った歌に、『夜くだちに寢覺めて居れば河觀尋め情も しぬに鳴く千鳥かも』 ( 卷十九・四一四六 ) といふのがある。この『河瀬尋め』あたりの観照の 具合に、『浮びゆくらむ』と似たところがあるのは、この一群歌人相互の影響によって發育 した歌境だかも知れない。 はら おほくち ゆき まがみ いへ 大口の眞の原に降る雪はいたくな降うそ家 もあらなくに〔卷八・一六三六〕 舍人娘子 とねりのをとめ 舍人娘子の雪の歌である。舍人娘子の傅は未詳であるが、卷二 ( 一一八 ) に舍人皇子に和へ 奉った歌があり、大寶一一年の持統天皇參河行幸從駕の作、『丈夫が獵矢たばさみ立ち向ひ射 まとかた る的形は見るにさやけし』 ( 卷一・六一 ) があるから、持統天皇に仕へた宮女でもあらうか。 まがみ 眞訷の原は高市郡飛鳥にあった原で、『大口の』は、狼 ( 眞訷 ) のロが大きいので、眞の枕 さつや こころ
卷第十三 卷第十二 〔三一三 0 あふさかを・うちいでてみれば ( 作者不詳 ) : ・ 〔三一一四凸しきしまの・やまとのくにに ( 作者不詳 ) : 〔一穴四一〕わがせこが・あさけのすがた ( 柿本人麿歌集 ) ・ 〔一穴四三〕うつくしみ・わがもふいもを ( 柿本人歌集 ) ・ : 〔一穴六己やまがはの・みづかげにおふる ( 柿本人麿歌集 ) 〔一穴九三〕あさゆきて・ゅふべはきます ( 作者不計 ) ・ 〔元一六〕たまかつま。あはむといふは ( 作者不詳 ) : ・ 〔元三〕をとめごは・おなじこころに ( 作者不詳 ) ・ : 〔元一一一六〕いまはあは・しなむよわがせ ( 作者不詳 )••・ 〔一一九五一一〕わがよはひし・おとろへぬれば ( 作者不詳 ) : 〔三 8 巴ひさかたの・あつみそらに ( 作者不詳 )••・ 〔三一充〕のとのうみに・つりするあまの ( 作者不詳 ) ・ : 〔三三 0 〕あしひきの・かたやまきぎし ( 作者不詳 ) ・ 〔一一へ 9 一〕あしひきの・やまどりのをの ( 作者不詳 ) ・ : ・九六 ・九六 ・九七 ・九へ : 究 : 一 00 : 一 0 三 : 一 0 四