116 5 プレイの実績記録とその分析 はデータベースから順次読取れば , 容易に画けるが , スコア変化の 傾向を見るにしては , 細かすぎるきらいがある。 図 17 はこれらを月平均値として書きかえたもの , 図 18 はさらに 半年間の平均値として表わしたものである。大まかな傾向は図 18 の方がはるかにわかり易い。 図 19 は同じデータによって , 年別にスコア頻度分布として図示し たもので , 単にスコアをならべるよりは多くのことが読みとれる。 図 20 は , 月ごとにベストスコアとワーストスコアを拾ったもの で , スコアのバラッキの巾と , その推移などをかなり明らかに見る ことができよう。 また , かなり長期的な傾向を見るには , 累積平均をとってみると よい。これは最初のラウンドスコアから , その時までの全スコアの 平均を求めるものである。図 21 はやはり同じデータを用いて , 累 積平均を半年ごとに求めたものである。 短期的 ( 1 年以内の ) な傾向は , スコアそのものをプロットして もよいし , バラッキをまるめることにより推移の傾向がよりわかり やすい方法として , 移動平均をとるやり方がある。 移動平均とは , かりに今連続した 10 コのスコアの移動平均を求 めるとすると , まず , 最新のスコアから過去 10 回分のスコアまで の平均値 ( (I) をとる。つぎに新しいデータを一つ加え , 前の分の 除いて M3 を , データの中で , といったように , 新データが加わるたびに一つずっ とする。さらに新しいデータがでれば , 同様に最も古いものを一つ 最も古いものを一つ外す , このときの平均値を M2
5 プレイの実績記録とその分析 127 完全にぬけ切ることは容易ではない。そのために , 100 を切るには , といったいろいろのアドバイスが , 古くから繰返し言われてきてい るわけである。 私はここで , 100 を切るための別の提示をしてみたい。 100 前後および 100 以上のスコアの場合 , ハーフあるいはラウン ドスコアと何が最も相関性があるかを , いろいろと見ている中に それはパーの数でもなければ , ボギーの数でもない。実に最も関連 の高いのが , トリプルボギー以上の数であった。 ( 図 24 ) そこで , まず私の過去のデータベースから , ラウンドスコアとそ の時のトリプルボギー以上のホール数を拾って , フ。ロットしてみた のが図 25 である。 かなりバラッキがあるが , 平均的にみるとスコア 100 に相当する のは , 約 3.5 という値になっている。そこで個人差をなくす意味 で , 手元にあった私の会社の社内コンべの 4 回分 , 延べ 107 名分の データを用いて , プロットしてみたのが図 26 である。 これも同様にバラついているが , スコア 100 に相当する値は , や はりきわめて近い値であることがわかった。 この傾向は , スコア 100 以下でもほぼ同じように見えたので , ラッキをまるめる意味で , 半年間の平均値を用いてみた結果が図 27 である。 つまり , 平均的に見ると , ラウンドスコア 90 までは , スコアと トリプルボギー以上のホール数とは , ほとんど直線関係にあること が明らかである。 80 台のスコアになると , かなり傾向が変ることが
126 5 プレイの実績記録とその分析 ・統計分析から何を学ぶか 前項では , 各種のデータと表示について述べたが , 大まかな傾向 をつかんだり , あるいはこれからの中目標などを設定したりするに は役立つものの , それ以上の具体的なことはよくわからない。 本章の初めに , スコアを残すだけでなく , ある程度分析してみる ことをお奨めした理由がここにあるのである。 分析といっても , むつかしいことをやるのではない。スコアの数 字は一つの結果であり , 同じスコアでもその内容は , 時によりいろ いろ異なっている筈である。したがって , スコアの内容というもの に , もう少し注目してみる必要がある。そして , それらの内容とス コアが , どんな関連をもっているかを知ることによって , はじめて ゴルフに対する自分なりの作戦を , 具体的に立てることが可能とな るのである。 データベースに パッティング , TG 値 , およびホールスコアと いったスコア内容を , 可能な範囲で入れているのも , このためであ そこで , 以下に , これらの内容に注目しつつ , それらがどのよう にして , 結果的にスコアに連がっていくかについて , 前項同様に実 際のデータを利用しつつ述べてみたい。 ( 1 ) 100 を切るポイントはなにか とくにビギナーにとって , 100 の壁とい アのミレージゴノレファ うのが非常に厚いとは , 昔からよく言われているし , 事実この壁を る。
5 プレイの実績記録とその分析 107 などを記入する程度で十分と思う。この原始データからでも , かな りの分析や統計値が得られることは , 後で述べる。また , これらの 諸データは , 長い期間にわたって , スコアおよびその内容の変化 , 推移を知るための基 ( べース ) となるものである。 ・テータベースの作成と維持 フ。レー時の記録 , つまり原始データをもとにして , どのように整 理をし , 分析統計値をとっていくかについては , いろいろな方法が 考えられるので , 各人で工夫されるとよいが , こでは , その一例 として , 私のとっている様式を参考として述べよう。 一般に , フ。レーの記録としては , われわれの場合 , プレーの年月 日 , コース名 , スコアおよびその内容 , コンべの名称 , 入賞記録な どが上けられよう。 ここでスコアの内容を , どう表現するかであるが , 原始データか ら得られるものとしては , ラウンドおよびハーフラウンドのスコア はもちろん , 各ホールのスコア , パット数 , さらにホールスコアか らパット数を差引くことにより , テイからグリーンオンまでの打数 さらに , 各ホールスコアについても , その時のコースのパーの構 それいくつあるかは , 容易によみとれるわけである。 アウトした数 , 2 パット , 3 パットなどを要したホール数が , それ そこで , ホールごとのパット数の頻度 , つまり 1 パットでホール が得られる ( 以下これを TG 値と呼ぶことにする ) 。 成を参照して , ボギー , ダブルボギー , というように級分け
106 5 プレイの実績記録とその分析 データを眺めながら , こういう新しい整理を追加してみようと か , 新しい観点で当初からのデータを分析し , 改めてその推移を見 てやろうとかいった楽しみ , また , 平均スコアが少しでも良くなれ ば , 何度眺めても楽しいし , 少しでも悪くなると , 何とかしてとり 戻そうという意欲と , それに伴うまた新たな楽しみが生じるのであ る。 このような楽しみは , いわばわれわれ一般ゴルファーの特権では ないかと思う。ある人には平均スコアがようやく 18 を切れたこと が , ある人にとってはパーのとれるパーセンテージが倍にもなった ことが , またある人には 70 台のスコアの出る確率が , 僅かながら も出てきたことが , などなど , 同じような愉しみと満足感を味うこ とができるのである。 そして , そのような愉しみは , 数字や内容が変っても , ゴルフを 続ける限り永久に続けることのできる愉しみなのである。 さて , フ。レー時のデータとして , 何をとっておくかということは ハンディのレベルによって異なるとも考えられるが , 私の経験から すれば , ラウンドスコアでいえば , 80 前後まではプレー内容自身の 詳細なデータをとっても , あまり意味がない。とくにアベレージゴ ルファーの場合は , プレー中に記録をとること自身が , 困難か不可 能に近く , かりに採っても後で参考になるような結果は期待しがた に各ホ 結局 , ールのスコア , そのホールでのパット数 , O. B, ペナルティ プレー時にとっておく原始データとしては , スコアカード
134 5 プレイの実績記録とその分析 ーとボギーの差は , 各ホールにおいては一つだが , ラウンドに すれば 18 の差である。つまり , 質的に言えばハンディ 0 の人と , ハンディ 18 の人との差とも言えよう。 こう見るとその質の差は自 ら明らかであろう。 要は , 自らのレベルに見合った作戦をとらねばならないというこ とだ。つまり , 自らがよく考えてやる必要がある。考えずにゴルフ をやる人に進歩はない。ゴルフというのは , とてもそんな簡単なも のではないからである。 さて , ボギーゴルフというものの内容はどんなものであろうか。 試みにラウンドスコアと , その時のボギー数を拾ってみたのが図 28 である。 こには年間平均値が異なる四つの場合にわけて , プ ロットしてみた。同図にはそれそれの場合の平均スコアと , ラウン ド当りの平均ボギー数を併記してある。かなりバラついているが , 大まかな傾向として , ボギー数はラウンドスコア 90 あたりでビー クになるように見れる。 この点をもう少し明らかにするために , スコア内容別の平均的構 成百分率を求め , ラウンドスコア平均値とともに描いたのが図 29 である。 これで見ると , ボギー数のヒ。ークが , ほぼラウンドスコア 92 ~ 93 の附近にあり , そのパーセンテージは 45 ~ 50 % , つまりホール数に して 8 ~ 9 ホールということになっている。そして , ーとダブル る。これは当然のことと言えばそうである。 ボギーのパーセンテージが , ほぼ同程度になっていることもわか
138 5 プレイの実績記録とその分析 ・ 85 を切るためには , 最低八つの等価パーが必要。 ・ 70 台のスコアには , 12 以上が必要である。 なお , スコア別に , それそれに対応する等価パー数の加重平均を 計算してみると , スコア 75 ~ 90 の間はほとんど直線となっている こともわかった。図 30 に入れてある鎖線の直線がそれである。 つまり , 80 台のスコアになってはじめてパーの数というものが , スコアに対し支配的になってくる , ということがはっきりした。そ こで , いかにして一つでも多くのパーをとるかが課題となってく る。 パーのとれる確率を高くするためには , まず第 1 に ーオンの確 率を高めることであろう。 こではじめてティショットの飛距離と いうものが意味をもってくることになる。それは , ドルホールな らば第 2 打でグリーンを捉え得る確率は , 距離が短くなる程に高く なるからである。もちろん第 2 打のアイアンショットの正確さがあ って , ということだが。 第 2 に , ショートゲームがより重要になることである。グリーン を外しても , アプローチとパットでパーを極力拾っていかねばなら ないからだ。 ボギーゴルフにおいても , ショートゲームの大切なことは同じだ が , その質的レベルは数段高いものが要求される。つまり単にグリ ーンを捉えるだけでなく , 1 パット圏内につけること , しかも 1 ′ ットでカップインさせなければならないからである。 こう見てくると , 結局 , パーゴルフというのが本来のゴルフなの
108 5 プレイの実績記録とその分析 したときのそれそれの数 , 同様にして , TG 値についても級分けの 頻度を求めることができる。 そこで , プレー時のスコアカードを持帰り , 以上の内容を読みと って , 表 1 のような形式の用紙に , 記入しておくことをお奨めした この表が , あとでいろいろの分析や , 統計をとってみるときの べースになる。つまり自分のゴルフのデータベース的存在になるわ けである。 プレーの後 , その都度必ずこの表に記入をするように習慣づけ る。そして , 定期的 ( 毎月 , 半年毎 , 1 年毎など ) に , その区切り 区切りで , 平均値などを出しておくとよい。 この表へ記入するときの細かいやり方は , 各自なりに予め決めて おくのがよい。例えば , グリーンエッジからパターでよせた場合 , どちらに算入するか , つまりパット数に入れるのか , TG 値に入れ るのか。バンカーでパターを使ったときはどうか。といったことで ある。私は後者の場合は TG 値に , 前者の場合はパット数に入れて ーオンできずグリーンエッジ近くから , 2 / いる。したがって , ットでホールアウトした時は , データ上はパーオン , 2 パットの ハーということになる。 また , ラウンドスコアの平均値を求めるとき , ハーフラウンドの みのスコアをどう扱うか , ということもある。つまり , 例えば 1 カ 月間に 3 日プレーをし , 1.5 ラウンドを 2 回 , 1 ラウンドが 1 回あ ったとすると , 月間平均ラウンドスコアを求めるとき , 完全な 3 ラ ウンドのスコアのみを平均するか , 等価ラウンド数として 1.5 十 1.5
119 5 プレイの実績記録とその分析 図 21 累積平均ラウンドスコア 累・一半肉スコア / ユ 3 4 6 7 8 9 / 0 〃〃だ
110 5 プレイの実績記録とその分析 十 1 = 4 ラウンドとして求めるか , ということである。 私は当初 , 完全ラウンドスコアの平均を求めるとともに , すべて ハーフラウンドを単位とした平均を求めていたので , それを踏襲し ているが , 結果的には大きな差はないので , 簡単に等価ラウンド数 として , ハーフラウンドスコアもこみにして求めればよいと思って 要するに , 記入や整理の方法は , 自分なりに決めて , その時々で 安易に変更しないことである。データの入れ方が変ると , それ以前 のものとの連がりが失なわれる。これはデータの積み重ねという点 で , 好ましくないことになるので留意すべきである。 表 2 ~ 3 に実際の例として , 私の場合のデータベースの一部を参 考までに示した。 ・主要なテータの推移と傾向を見る データベースを維持していくことによって , 任意のデータを取出 して , その傾向や推移を図示したり , 特定の目的での簡単な統計処 理なども可能となる。 数字のら列より , 図示することの方が , 一目でその傾向や推移が わかり易いことはたしかである。そこで , まず , 誰もがつねに最も 関心を持っているであろうスコアの表示に例をとって述べてみよ う。以下便宜上具体的なデータは , 私のものを使わせて頂くことと する。 図 16 はラウンドスコアの経年推移を示したものである。この値