する科学的研究について、当該他の締約国の十分な参 加を得て及び可能な場合には当該他の締約国におい て、これを準備し及び実施するよう努力する。 7 締約国は、遺伝資源の研究及び開発の成果並びに商 業的利用その他の利用から生する利益を当該遺伝資源 の提供国である締約国と公正かっ衡平に配分するた め、次条及び第 19 条の規定に従い、必要な場合には第 20 条及び第 21 条の規定に基づいて設ける資金供与の 制度を通じ、適宜、立法上、行政上又は政策上の措置 をとる。その配分は、相互に合意する条件で行う。 第 1 6 条技術の取得の機会及び移転 1 締約国は、技術にはバイオテクノロジーを含むこと並 びに締約国間の技術の取得の機会の提供及び移転が この条約の目的を達成するための不可欠の要素である ことを認識し、生物の多様性の保全及び持続可能な利 用に関連のある技術又は環境に著しい損害を与えるこ となく遺伝資源を利用する技術について、他の締約国 に対する取得の機会の提供及び移転をこの条の規定に 従って行い又はより円滑なものにすることを約東する。 2 開発途上国に対する 1 の技術の取得の機会の提供及 び移転については、公正で最も有利な条件 ( 相互に合 意する場合には、緩和されたかっ特恵的な条件を含 む。 ) の下に、必要な場合には第 20 条及び第 21 条の規定 に基づいて設ける資金供与の制度に従って、これらを 行い又はより円滑なものにする。特許権その他の知的 所有権によって保護される技術の取得の機会の提供及 び移転については、当該知的所有権の十分かっ有効な 保護を承認し及びそのような保護と両立する条件で行 う。この 2 の規定は、 3 から 5 までの規定と両立するよう に適用する。 3 締約国は、遺伝資源を利用する技術 ( 特許権その他 の知的所有権によって保護される技術を含む。 ) につい て、当該遺伝資源を提供する締約国 ( 特に開発途上国 ) が、相互に合意する条件で、その取得の機会を与えら れ及び移転を受けられるようにするため、必要な場合に は第 20 条及び第 21 条の規定の適用により、国際法に従 い並びに 4 及び 5 の規定と両立するような形で、適宜、 立法上、行政上又は政策上の措置をとる。 に従って協力する。 に反しないことを確保するため、国内法令及び国際法 ような知的所有権がこの条約の目的を助長しかっこれ 実施に影響を及ばす可能性があることを認識し、その 5 締約国は、特許権その他の知的所有権がこの条約の これに関し、 1 から 3 までに規定する義務を遵守する。 よう、適宜、立法上、行政上乂は政策上の措置をとり、 機会の提供、共同開発及び移転をより円滑なものにする 方の利益のために自国の民間部門が 1 の技術の取得の 4 締約国は、開発途上国の政府機関及び民間部門の双 第 17 条情報の交換 1 締約国は、開発途上国の特別のニーズを考慮して、 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連する 公に入手可能なすべての情報源からの情報の交換を円 滑にする。 2 1 に規定する情報の交換には、技術的、科学的及び 社会経済的な研究の成果の交換を含むものとし、また、 訓練計画、調査計画、専門知識、原住民が有する知識 及び伝統的な知識に関する情報並びに前条 1 の技術と 結び付いたこれらの情報の交換を含む。また、実行可 能な場合には、情報の還元も含む。 第 18 条技術上及び科学上の協力 1 締約国は、必要な場合には適当な国際機関及び国内 の機関を通じ、生物の多様性の保全及び持続可能な利 用の分野における国際的な技術上及び科学上の協力 を促進する。 2 締約国は、この条約の実施に当たり、特に自国の政 策の立案及び実施を通じ、他の締約国 ( 特に開発途上 国 ) との技術上及び科学上の協力を促進する。この協力 の促進に当たっては、人的資源の開発及び組織の整備 という手段によって、各国の能力を開発し及び強化する ことに特別の考慮を払うべきである。 3 締約国会議は、その第一回会合において、技術上及 び科学上の協力を促進し及び円滑にするために情報の 交換の仕組みを確立する方法について決定する。 4 締約国は、この条約の目的を達成するため、自国の法 令及び政策に従い、技術 ( 原住民が有する技術及び伝 統的な技術を含む。 ) の開発及び利用についての協力の 方法を開発し並びにそのような協力を奨励する。この ため、締約国は、また、人材の養成及び専門家の交流 についての協力を促進する。 5 締約国は、相互の合意を条件として、この条約の目的 に関連のある技術の開発のための共同研究計画の作 成及び合弁事業の設立を促進する。 第 19 条バイオテクノロジーの取扱い及び利益の配分 1 締約国は、バイオテクノロジーの研究のために遺伝資 源を提供する締約国 ( 特に開発途上国 ) の当該研究の 活動への効果的な参加 ( 実行可能な場合には当該遺伝 資源を提供する締約国における参加 ) を促進するため、 適宜、立法上、行政上又は政策上の措置をとる。 2 締約国は、他の締約国 ( 特に開発途上国 ) が提供する 遺伝資源を基礎とするバイオテクノロジーから生ずる成 果及び利益について、当該他の締約国が公正かっ衡平 な条件で優先的に取得する機会を与えられることを促 進し及び推進するため、あらゆる実行可能な措置をとる。 その取得の機会は、相互に合意する条件で与えられる。 331 ◆◆
達成する上での当該措置の効果に関する報告書を締約 国会議に提出する。 第 27 条紛争の解決 1 この条約の解釈又は適用に関して締約国間で紛争が 生じた場合には、紛争当事国は、交渉により紛争の解 決に努める。 2 紛争当事国は、交渉により合意に達することができな かった場合には、第三者によるあっせん又は仲介を共 同して求めることができる。 3 いすれの国又は地域的な経済統合のための機関も、 1 又は 2 の規定により解決することができなかった紛争 について、次の紛争解決手段の一方又は双方を義務的 なものとして受け入れることをこの条約の批准、受諾若 しくは承認若しくはこれへの加入の際に又はその後い つでも、寄託者に対し書面により宣言することができる。 ( a ) 附属書Ⅱ第一部に規定する手続による仲裁 ( b ) 国際司法裁判所への紛争の付託 4 紛争は、紛争当事国が 3 の規定に従って同一の紛争 解決手段を受け入れている場合を除くほか、当該紛争 当事国が別段の合意をしない限り、附属書Ⅱ第二部の 規定により調停に付する。 5 この条の規定は、別段の定めがある議定書を除くほ か、すべての議定書について準用する。 第 28 条議定書の採択 1 締約国は、この条約の議定書の作成及び採択につい て協力する。 2 議定書は、締約国会議の会合において採択する。 3 議定書案は、 2 の会合の少なくとも六箇月前に事務局 第 29 条この条約及び議定書の改正 が締約国に通報する。 ◆◆ 334 として、当該会合に出席しかっ投票する締約国の 3 分の 合意に達しない場合には、改正案は、最後の解決手段 う。コンセンサスのためのあらゆる努力にもかかわらず センサス方式により合意に達するようあらゆる努力を払 3 締約国は、この条約及び議定書の改正案につき、コン ために通報する。 る。事務局は、改正案をこの条約の署名国にも参考の それぞれこの条約又は当該議定書の締約国に通報す 択が提案される会合の少なくとも六箇月前に事務局が 該議定書に別段の定めがある場合を除くほか、その採 おいて採択する。この条約又は議定書の改正案は、当 する。議定書の改正は、当該議定書の締約国の会合に 2 この条約の改正は、締約国会議の会合において採択 ができる。 議定書の締約国は、当該議定書の改正を提案すること 1 締約国は、この条約の改正を提案することができる。 2 以上の多数による議決で採択するものとし、寄託者は、 これをすべての締約国に対し批准、受諾乂は承認のた めに送付する。 4 改正の批准、受諾又は承認は、寄託者に対して書面 により通告する。 3 の規定に従って採択された改正は、 3 の議定書に別段の定めがある場合を除くほか、この 条約の締約国又は当該議定書の締約国の少なくとも 3 分 の 2 が批准書、受諾書乂は承認書を寄託した後 90 日目の 日に、当該改正を批准し、受諾し又は承認した締約国 の間で効力を生ずる。その後は、改正は、他の締約国 が当該改正の批准書、受諾書又は承認書を寄託した後 90 日目の日に当該他の締約国について効力を生ずる。 5 この条の規定の適用上↓出席しかっ投票する締約国」 とは、出席しかっ賛成票又は反対票を投ずる締約国を し、つ。 第 30 条附属書の採択及び改正 1 この条約の附属書又は議定書の附属書は、それぞれ、 この条約又は当該議定書の不可分の一部を成すものと し、「この条約」又は「議定書」というときは、別段の明示 の定めがない限り、附属書を含めていうものとする。附 属書は、手続的、科学的、技術的及び事務的な事項に 限定される。 2 この条約の追加附属書又は議定書の附属書の提案、 採択及び効力発生については、次の手続を適用する。 ただし、議定書に当該議定書の附属書に関して別段の 定めがある場合を除く。 (a) この条約の追加附属書又は議定書の附属書は、前条 に定める手続を準用して提案され及び採択される。 ( b ) 締約国は、この条約の追加附属書乂は自国が締約国 である議定書の附属書を承認することができない場 合には、その旨を、寄託者が採択を通報した日から一 年以内に、寄託者に対して書面により通告する。寄託 者は、受領した通告をすべての締約国に遅滞なく通 報する。締約国は、いつでも、先に行った異議の宣言 を撤回することができるものとし、この場合において、 附属書は、 ( c ) の規定に従うことを条件として、当該締 約国について効力を生ずる。 ( c ) 附属書は、寄託者による採択の通報の日から一年を 経過した時に、 ( b ) の規定に基づく通告を行わなかっ たこの条約乂は関連議定書のすべての締約国につい て効力を生する。 3 この条約の附属書及び議定書の附属書の改正の提 案、採択及び効力発生は、この条約の附属書及び議定 書の附属書の提案、採択及び効力発生と同一の手続に 従う。 4 附属書の追加又は改正がこの条約又は議定書の改 正に関連している場合には、追加され又は改正された 附属書は、この条約又は当該議定書の改正が効力を生 する時まで効力を生じない。
3 締約国は、バイオテクノロジーにより改変された生物 であって、生物の多様性の保全及び持続可能な利用に 悪影響を及ばす可能性のあるものについて、その安全 な移送、取扱い及び利用の分野における適当な手続 ( 特に事前の情報に基づく合意についての規定を含む もの ) を定める議定書の必要性及び態様について検討 する。 4 締約国は、 3 に規定する生物の取扱いについての自国 の規則 ( 利用及び安全に係るもの ) 並びに当該生物が及 ばす可能性のある悪影響に関する入手可能な情報を当 該生物が導入される締約国に提供する。その提供は、 直接に又は自国の管轄の下にある自然人若しくは法人 で当該生物を提供するものに要求することにより、行う。 第 20 条資金 1 締約国は、その能力に応じ、自国の計画及び優先度 に従い、この条約の目的を達成するための各国の活動 に関して財政的に支援し及び奨励することを約東する。 2 先進締約国は、開発途上締約国が、この条約に基づ く義務を履行するための措置の実施に要するすべての 合意された増加費用を負担すること及びこの条約の適 用から利益を得ることを可能にするため、新規のかっ 追加的な資金を供与する。その増加費用は、締約国会 議が立案する政策、戦略、計画の優先度、適格性の基 準及び増加費用の一覧表に従い、開発途上締約国と次 条に規定する制度的組織との間で合意される。先進締 約国以外の締約国 ( 市場経済への移行の過程にある国 を含む。 ) は、先進締約国の義務を任意に負うことがで きる。この条の規定の適用のため、締約国会議は、そ の第一回会合において、先進締約国及び先進締約国の 義務を任意に負うその他の締約国の一覧表を作成す る。締約国会議は、定期的に当該一覧表を検討し、必 要に応じて改正する。その他の国及び資金源からの任 意の拠出も勧奨される。これらの約束は、資金の妥当 性、予測可能性及び即応性が必要であること並びに当 該一覧表に掲げる拠出締約国の間の責任分担が重要 であることを考慮して履行する。 3 先進締約国は、また、二国間の及び地域的その他の 多数国間の経路を通じて、この条約の実施に関連する 資金を供与することができるものとし、開発途上締約国 は、これを利用することができる。 4 開発途上締約国によるこの条約に基づく約東の効果 的な履行の程度は、先進締約国によるこの条約に基づ く資金及び技術の移転に関する約束の効果的な履行に 依存しており、経済及び社会の開発並びに貧困の撲滅 が開発途上締約国にとって最優先の事項であるという 事実が十分に考慮される。 5 締約国は、資金供与及び技術の移転に関する行動を とるに当たり、後発開発途上国の特定のニーズ及び特 別な状況を十分に考慮に入れる。 6 締約国は、開発途上締約国 ( 特に島嶼 ( しょ ) 国 ) にお ◆◆ 332 ける生物の多様性への依存並びに生物の多様性の分 布及び所在から生ずる特別な事情も考慮に入れる。 7 開発途上国 ( 特に、環境上最も害を受けやすいもの、 例えば、乾燥地帯、半乾燥地帯、沿岸地域及び山岳地 域を有するもの ) の特別な状況も考慮に入れる。 第 21 条資金供与の制度 1 この条約の目的のため、贈与又は緩和された条件に より開発途上締約国に資金を供与するための制度を設 けるものとし、その制度の基本的な事項は、この条に定 める。この条約の目的のため、当該制度は、締約国会議 の管理及び指導の下に機能し、締約国会議に対して責 任を負う。当該制度は、締約国会議がその第一回会合 において決定する制度的組織によって運営する。この 条約の目的のため、締約国会議は、第一文の資金の利 用 ( その機会の提供を含む。 ) についての政策、戦略、計 画の優先度及び適格性の基準を決定する。拠出につい ては、締約国会議が定期的に決定する必要な資金の額 に基づき、前条に規定する資金の予測可能性、妥当性 及び即応性が必要であること並びに同条 2 に規定する 一覧表に掲げる拠出締約国の間の責任分担が重要で あることを考慮に入れる。先進締約国その他の国及び 資金源から任意の拠出を行うこともできる。当該制度は、 民主的で透明な管理の仕組みの下で運営する。 2 締約国会議は、この条約の目的を達成するため、その 第 1 回会合において、資金の利用 ( その機会の提供を 含む。 ) についての政策、戦略及び計画の優先度並びに 適格性の詳細な基準及び指針に関する決定 ( 資金の利 用を定期的に監視し及び評価することについてのもの を含む。 ) を行う。締約国会議は、資金供与の制度の運 営を委託された制度的組織との協議の後、 1 の規定を 実施するための取決めを決定する。 3 締約国会議は、この条約の効力発生の日から少なくと も 2 年を経過した日及びその後は定期的に、この条の規 定に基づいて設けられる制度の有効性 ( 2 の基準及び 指針の有効性を含む。 ) について検討するものとし、その 検討に基づき、必要に応じ、当該制度の有効性を高め るために適当な措置をとる。 4 締約国は、生物の多様性の保全及び持続可能な利用 のための資金を供与するため、既存の資金供与の制度 を強化することについて検討する。 第 22 条他の国際条約との関係 1 この条約の規定は、現行の国際協定に基づく締約国 の権利及び義務に影響を及ばすものではない。ただし、 当該締約国の権利の行使及び義務の履行が生物の多 様性に重大な損害又は脅威を与える場合は、この限り でない。 2 締約国は、海洋環境に関しては、海洋法に基づく国 家の権利及び義務に適合するようこの条約を実施する。
附属書Ⅱ 第 39 条資金供与に関する暫定的措置 国際連合開発計画、国際連合環境計画及び国際復興 開発銀行の地球環境基金は、第 21 条の要件に従って十分 第 1 部仲裁 に再編成されることを条件として、この条約の効力発生カ ら締約国会議の第一回会合までの間又は締約国会議カ : 第 1 条 申立国である締約国は、紛争当事国が、この条約第 27 同条の規定によりいずれの制度的な組織を指定するかを 条の規定に従って紛争を仲裁に付する旨を事務局に通告 決定するまでの間暫定的に、同条に規定する制度的組織 する。通告には、仲裁の対象である事項を明示するもの となる。 とし、特に、その解釈乂は適用が問題となっているこの条 約又は議定書の条文を含む。仲裁の対象である事項に 第 40 条事務局に関する暫定的措置 ついて、仲裁裁判所の裁判長が指名される前に紛争当事 第 24 条 2 に規定する事務局の役務は、この条約の効力 国が合意しない場合には、仲裁裁判所がこれを決定する。 事務局は、受領した情報をこの条約又は当該議定書のす 発生から締約国会議の第一回会合までの間暫定的に、国 べての締約国に送付する。 際連合環境計画事務局長が提供する。 第 2 条 第 41 条寄託者 1 2 の当事国間の紛争の場合については、イ中裁裁判所 は、 3 人の仲裁人で構成する。各紛争当事国は、各 1 人 国際連合事務総長は、この条約及び議定書の寄託者の の仲裁人を任命し、このようにして任命された 2 人の仲 任務を行う。 裁人は、合意により第三の仲裁人を指名し、第三の仲 裁人は、当該仲裁裁判所において裁判長となる。裁判 第 42 条正文 長は、いずれかの紛争当事国の国民であってはならず、 いすれかの紛争当事国の領域に日常の住居を有しては アラビア語、中国語、英語、フランス語、ロシア語及び ならず、いずれの紛争当事国によっても雇用されてはな スペイン語をひとしく正文とするこの条約の原本は、国際 らず、及び仲裁に付された紛争を仲裁人以外のいかな 連合事務総長に寄託する。 以上の証拠として、下名は、正当に委任を受けてこの る資格においても取り扱ったことがあってはならない。 2 2 を超える当事国間の紛争については、同一の利害 条約に署名した。 関係を有する紛争当事国が合意により共同で一人の仲 1992 年 6 月 5 日にリオ・デ・ジャネイロで作成した。 裁人を任命する。 3 仲裁人が欠けたときは、当該仲裁人の任命の場合と 同様の方法によって空席を補充する。 第 3 条 1 第二の仲裁人が任命された日から 2 箇月以内に仲裁 裁判所の裁判長が指名されなかった場合には、国際連 合事務総長は、いすれかの紛争当事国の要請に応じ、 引き続く 2 箇月の期間内に裁判長を指名する。 2 いすれかの紛争当事国が要請を受けた後 2 箇月以内 に仲裁人を任命しない場合には、他方の紛争当事国は、 国際連合事務総長にその旨を通報し、同事務総長は、 引き続く 2 箇月の期間内に仲裁人を指名する。 附属書 I 特定及び監視 1 生態系及び生息地 高い多様性を有するもの、固有の若しくは脅威にさらさ れた種を多く有するもの乂は原生地域を有するもの 移動性の種が必要とするもの 社会的、経済的、文化的又は科学的に重要であるもの 代表的であるもの、特異なもの又は重要な進化上その 他生物学上の過程に関係しているもの 2 種及び群集 脅威にさらされているもの 飼育種又は栽培種と近縁の野生のもの 医学上、農業上その他経済上の価値を有するもの 仲裁裁判所は、この条約、関連議定書及び国際法の規 社会的、科学的又は文化的に重要であるもの 定に従い、その決定を行う。 指標種のように生物の多様性の保全及び持続可能な利 用に関する研究のために重要であるもの 3 社会的、科学的又は経済的に重要であり、かっ、記載 第 5 条 紛争当事国が別段の合意をしない限り、仲裁裁判所は、 がされたゲノム及び遺伝子 その手続規則を定める。 第 4 条 ◆◆ 336
生物の多様性に関する条約の バイオセーフティに関するカルタへナ議定書 この議定書の締約国は、 生物の多様性に関する条約 ( 以下「条約」という。 ) の締約国とし 条約第 19 条 3 及び 4 、第 8 条 ( g ) 並びに第 17 条の規定を想起し、 また、特に、事前の情報に基づく合意のための適当な手続を検討 のために示しつつ、現代のバイオテクノロジーにより改変された生物 であって生物の多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響を及 ばす可能性のあるものの国境を越える移動に特に焦点を合わせた バイオセーフティに関する議定書を作成するとの条約の締約国会議 による 1995 年 11 月 17 日の決定第 5 号 ( 第二回会合 ) を想起し、 環境及び開発に関するリオ宣言の原則 15 に規定する予防的な取 て、 組方法を再確認し、 ◆◆ 340 3 この議定書のいかなる規定も、国際法に従って確立している領 る。 対する危険を防止し又は減少させる方法で行われることを確保す の作成、取扱い、輸送、利用、移送及び放出が生物の多様性に 2 締約国は、人の健康に対する危険も考慮して、改変された生物 適当な法律上の措置、行政上の措置その他の措置をとる。 1 締約国は、この議定書に基づく義務を履行するため、必要かっ 第 2 条一般規定 に寄与することを目的とする。 取扱い及び利用の分野において十分な水準の保護を確保すること する危険も考慮したもの ) を及ばす可能性のあるものの安全な移送、 物の多様性の保全及び持続可能な利用に悪影響 ( 人の健康に対 わせて、現代のバイオテクノロジーにより改変された生物であって生 する予防的な取組方法に従い、特に国境を越える移動に焦点を合 この議定書は、環境及び開発に関するリオ宣言の原則 15 に規定 第 1 条目的 次のとおり協定した。 するものではないことを了解して、 このことは、この議定書を他の国際協定に従属させることを意図 変更することを意味するものと解してはならないことを強調し、 この議定書が現行の国際協定に基づく締約国の権利及び義務を に相互に補完的であるべきことを認識し、 貿易及び環境に関する諸協定が持続可能な開発を達成するため ることを考慮し、 模に対処するための多くの国、特に開発途上国の能力は限られてい 改変された生物に係る既知の及び潜在的な危険の性質及び規 的に重要であることを認識し、 また、起原の中心及び遺伝的多様性の中心が人類にとって決定 類の福祉にとって多大な可能性を有することを認識し、 で開発され及び利用されるならば、現代のバイオテクノロジーは人 環境及び人の健康のための安全上の措置が十分にとられた上 ていることを認識し、 の健康に対する危険も考慮したもの ) について公衆の懸念が増大し イオテクノロジーが生物の多様性に及ばす可能性のある悪影響 ( 人 現代のバイオテクノロジーが急速に拡大していること及び現代のバ 海に対する国の主権、国際法に従い排他的経済水域及び大陸棚 ・において国が有する主権的権利及び管轄権並びに国際法に定め られ及び関連する国際文書に反映されている航行上の権利及び 自由をすべての国の船舶及び航空機が行使することに何ら影響を 及ばすものではない。 4 この議定書のいかなる規定も、締約国が生物の多様性の保全 及び持続可能な利用につきこの議定書に定める措置に比し一層 の保護を与える措置をとる権利を制限するものと解してはならな い。ただし、そのような措置がこの議定書の目的及び規定に適合 し、かっ、国際法に基づく当該締約国の他の義務に従うものであ ることを条件とする。 5 締約国は、専門知識、文書及び人の健康に対する危険の分野 において権限を有する国際的な場で行われる作業であって利用 可能なものを適宜考慮することを奨励される。 第 3 条用語 この議定書の適用上、 (a) 「締約国会議」とは、条約の締約国会議をいう。 ( b ) 「拡散防止措置の下での利用」とは、施設、設備その他の物 理的な構造物の中で行われる操作であって、外部の環境との 接触及び外部の環境に対する影響を効果的に制限する特定 の措置によって制御されている改変された生物に係るものをい つ。 ( c ) 「輸出」とは、 1 の締約国から他の締約国への意図的な国境 を越える移動をいう。 ( d ) 「輸出者」とは、改変された生物の輸出を行う法人又は自然 人であって輸出締約国の管轄の下にあるものをいう。 ( e ) 「輸入」とは、 1 の締約国への他の締約国からの意図的な国 境を越える移動をいう。 ( f ) 「輸入者」とは、改変された生物の輸入を行う法人又は自然人 であって輸入締約国の管轄の下にあるものをいう。 ( g ) 「改変された生物」とは、現代のバイオテクノロジーの利用に よって得られる遺伝素材の新たな組合せを有する生物をいう。 ( h ) 「生物」とは、遺伝素材を移転し又は複製する能力を有する ねん あらゆる生物学上の存在 ( 不稔性の生物、ウイルス及びウイロ イドを含む。 ) をいう。 ( i ) 「現代のバイオテクノロジー」とは、自然界における生理学上の 生殖又は組換えの障壁を克服する技術であって伝統的な育種 及び選抜において用いられない次のものを適用することをいう。 a 生体外における核酸加工の技術 ( 組換えデオキシリポ核酸 ( 組換 え DNA ) の技術及び細胞又は細胞小器官に核酸を直接注入する ことを含む。 ) b 異なる分類学上の科に属する生物の細胞の融合 ( j ) 「地域的な経済統合のための機関」とは、特定の地域の主権 国家によって構成される機関であって、この議定書が規律する 事項に関しその加盟国から権限の委譲を受け、かっ、その内 部手続に従いこの議定書の署名、批准、受諾若しくは承認又 はこれへの加入について正当な委任を受けたものをいう。 ( k ) 「国境を越える移動」とは、第 17 条及び第 24 条の規定の適用
第 31 条投票権 する場合には、投票権を行使してはならない。その逆 する。当該機関は、その構成国が自国の投票権を行使 であるその構成国の数と同数の票を投ずる権利を行使 内の事項について、この条約乂は関連議定書の締約国 2 地域的な経済統合のための機関は、その権限の範囲 合を除くほか、一の票を有する。 1 この条約又は議定書の各締約国は、 2 に規定する場 第 32 条この条約と議定書との関係 の場合も、同様とする。 を寄託者に通報する。 該機関は、また、その権限の範囲の変更で関連するもの 書の批准書、受諾書又は承認書において宣言する。当 関する当該機関の権限の範囲をこの条約又は当該議定 3 1 の機関は、この条約又は議定書の規律する事項に 当該議定書に基づく権利を同時に行使することができ において、当該機関及びその構成国は、この条約又は 務の履行につきそれぞれの責任を決定する。この場合 びその構成国は、この条約又は当該議定書に基づく義 は同一の議定書の締約国である場合には、当該機関及 当該機関及びその 1 又は 2 以上の構成国がこの条約又 この条約又は当該議定書に基づくすべての義務を負う。 機関のいすれの構成国も締約国となっていないものは、 2 この条約又は議定書の締約国となる 1 の機関で当該 託者に寄託する。 なければならない。批准書、受諾書又は承認書は、寄 のための機関により批准され、受諾され又は承認され 1 この条約及び議定書は、国家及び地域的な経済統合 第 34 条批准、受諾又は承認 のために開放しておく。 べての国及び地域的な経済統合のための機関による署名 日まではニュー・ヨークにある国際連合本部において、す オ・デ・ジャネイロにおいて、同年 6 月 15 日から 1993 年 6 月 4 この条約は、 1992 年 6 月 5 日から同年 6 月 14 日まではリ 第 33 条署名 オブザーバーとして参加することができる。 たこの条約の締約国は、当該議定書の締約国の会合に 行う。当該議定書の批准、受諾又は承認を行わなかっ 2 議定書に基づく決定は、当該議定書の締約国のみが ができない。 約国となる場合を除くほか、議定書の締約国となること この条約の締約国である場合又は同時にこの条約の締 1 いすれの国又は地域的な経済統合のための機関も、 第 35 条加入 1 この条約及び議定書は、この条約及び当該議定書の 署名のための期間の終了後は、国家及び地域的な経済 統合のための機関による加入のために開放しておく。 加入書は、寄託者に寄託する。 2 1 の機関は、この条約乂は議定書の規律する事項に 関する当該機関の権限の範囲をこの条約又は当該議定 書への加入書において宣言する。当該機関は、また、 その権限の範囲の変更で関連するものを寄託者に通報 3 前条 2 の規定は、この条約又は議定書に加入する地 域的な経済統合のための機関についても適用する。 第 36 条効力発生 1 この条約は、 30 番目の批准書、受諾書、承認書又は 加入書の寄託の日の後 90 日目の日に効力を生ずる。 2 議定書は、当該議定書に規定する数の批准書、受諾 書、承認書又は加入書が寄託された日の後 90 日目の日に 効力を生ずる。 3 この条約は、 30 番目の批准書、受諾書、承認書又は 加入書の寄託の後にこれを批准し、受諾し若しくは承 認し又はこれに加入する締約国については、当該締約 国による批准書、受諾書、承認書又は加入書の寄託の 日の後 90 日目の日に効力を生ずる。 4 議定書は、当該議定書に別段の定めがある場合を除 くほか、 2 の規定に基づいて効力が生じた後にこれを批 准し、受諾し若しくは承認し又はこれに加入する締約国 については、当該締約国が批准書、受諾書、承認書又 は加入書を寄託した日の後 90 日目の日又はこの条約が当 該締約国について効力を生ずる日のいずれか遅い日に 効力を生ずる。 5 地域的な経済統合のための機関によって寄託される 文書は、 1 及び 2 の規定の適用上、当該機関の構成国に よって寄託されたものに追加して数えてはならない。 第 38 条脱退 この条約には、いかなる留保も付することができない。 第 37 条留保 335 ◆◆ る議定書からも脱退したものとみなす。 3 この条約から脱退する締約国は、自国が締約国であ 告において指定されている日に効力を生ずる。 年を経過した日又はそれよりも遅い日であって脱退の通 2 1 の脱退は、寄託者が脱退の通告を受領した日の後 1 ることができる。 よる脱退の通告を行うことにより、この条約から脱退す から 2 年を経過した後いつでも、寄託者に対して書面に 1 締約国は、自国についてこの条約が効力を生じた日
第 23 条締約国会議 1 この条約により締約国会議を設置する。締約国会議 の第一回会合は、国際連合環境計画事務局長がこの条 約の効力発生の後 1 年以内に招集する。その後は、締 約国会議の通常会合は、第一回会合において決定する 一定の間隔で開催する。 2 締約国会議の特別会合は、締約国会議が必要と認め るとき又はいすれかの締約国から書面による要請のあ る場合において事務局がその要請を締約国に通報した 後六箇月以内に締約国の少なくとも 3 分の 1 がその要請 を支持するときに開催する。 3 締約国会議は、締約国会議及び締約国会議が設置す る補助機関の手続規則並びに事務局の予算を規律す る財政規則をコンセンサス方式により合意し及び採択す る。締約国会議は、通常会合において、次の通常会合 までの会計期間の予算を採択する。 4 締約国会議は、この条約の実施状況を常時検討し、 このため、次のことを行う。 ( a ) 第 26 条の規定に従って提出される情報の送付のため の形式及び間隔を決定すること並びにそのような情報 及び補助機関により提出される報告を検討すること。 ( b ) 第 25 条の規定に従って提供される生物の多様性に関 する科学上及び技術上の助言を検討すること。 ( c ) 必要に応じ、第 28 条の規定に基づいて議定書を検討 し及び採択すること。 ( d ) 必要に応じ、第 29 条及び第 30 条の規定に基づいてこの 条約及びその附属書の改正を検討し及び採択すること。 ( e ) 議定書及びその附属書の改正を検討すること並びに 改正が決定された場合には、当該議定書の締約国に 対し当該改正を採択するよう勧告すること。 ( f ) 必要に応じ、第 30 条の規定に基づいてこの条約の追 加附属書を検討し及び採択すること。 ( g ) 特に科学上及び技術上の助言を行うため、この条約 の実施に必要と認められる補助機関を設置すること。 ( h ) この条約が対象とする事項を扱っている他の条約の 執行機関との間の協力の適切な形態を設定するた め、事務局を通じ、当該執行機関と連絡をとること。 ( i ) この条約の実施から得られる経験に照らして、この条 約の目的の達成のために必要な追加的行動を検討し 及びとること。 5 国際連合、その専門機関及び国際原子力機関並びに この条約の締約国でない国は、締約国会議の会合にオ ブザーバーとして出席することができる。生物の多様性 の保全及び持続可能な利用に関連のある分野におい て認められた団体又は機関 ( 政府又は民間のもののい ずれであるかを問わない。 ) であって、締約国会議の会 合にオブザーバーとして出席することを希望する旨事務 局に通報したものは、当該会合に出席する締約国の 3 分の 1 以上が反対しない限り、オブザーバーとして出席 することを認められる。オブザーバーの出席については、 締約国会議が採択する手続規則に従う。 第 24 条事務局 1 この条約により事務局を設置する。事務局は、次の任 務を遂行する。 ( a ) 前条に規定する締約国会議の会合を準備し及びその 会合のための役務を提供すること。 ( b ) 議定書により課された任務を遂行すること。 (c) この条約に基づく任務の遂行に関する報告書を作成 し及びその報告書を締約国会議に提出すること。 ( d ) 他の関係国際機関との調整を行うこと。特に、その任 務の効果的な遂行のために必要な事務的な及び契 約上の取決めを行うこと。 ( e ) その他締約国会議が決定する任務を遂行すること。 2 締約国会議は、その第一回通常会合において、この 条約に基づく事務局の任務を遂行する意思を表明した 能力を有する既存の国際機関の中から事務局を指定す る。 第 25 条科学上及び技術上の助言に関する補助機関 1 この条約により科学上及び技術上の助言に関する補 助機関を設置する。補助機関は、締約国会議及び適当 な場合には他の補助機関に対し、この条約の実施に関 連する時宜を得た助言を提供する。補助機関は、すべ ての締約国による参加のために開放するものとし、学際 的な性格を有する。補助機関は、関連する専門分野に 関する知識を十分に有している政府の代表者により構 成する。補助機関は、その活動のすべての側面に関し て、締約国会議に対し定期的に報告を行う。 2 1 の補助機関は、締約国会議の管理の下に、その指 針に従い及びその要請により、次のことを行う。 ( a ) 生物の多様性の状況に関する科学的及び技術的な評 価を行うこと。 ( b ) この条約の規定に従ってとられる各種の措置の影響 に関する科学的及び技術的な評価のための準備を行 うこと。 ( c ) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用に関連の ある革新的な、効率的な及び最新の技術及びノウハ ウを特定すること並びにこれらの技術の開発又は移 転を促進する方法及び手段に関する助言を行うこと。 ( d ) 生物の多様性の保全及び持続可能な利用についての 科学的な計画並びに研究及び開発における国際協力 に関する助言を行うこと。 ( e ) 締約国会議及びその補助機関からの科学、技術及び 方法論に関する質問に回答すること。 3 1 の補助機関の任務、権限、組織及び運営について は、締約国会議が更に定めることができる。 第 26 条報告 締約国は、締約国会議が決定する一定の間隔で、この 条約を実施するためにとった措置及びこの条約の目的を 333 ◆◆
◆◆第 2 部第 1 章 国土空間的施策 第 2 節重要地域の保全 条約湿地に関するモニタリング調査や情報整 8.1 ラムサール条約湿地 備、湿地の再生、環境学習、普及啓発などを関 【現状と課題】 係する地方公共団体や NGO 、専門家、地域住 ラムサール条約第 10 回締約国会議が開催され 民などと連携しつつ実施し、総合的な湿地の保 た 2008 年 ( 平成 20 年 ) には、国内湿地 4 か所 ( 化女 全と賢明な利用 ( ワイズユース ) を図っていきます。 沼、大山上池・下池、瓢湖、久米島の渓流・湿地 ) ( 環境省、国土交通省 ) [ 再掲 ( 2 章 4 節 2. 2 ) ] が新たに条約湿地に登録され、平成 22 年 3 月現在、 わが国の条約湿地は計 37 か所、 131 , 027ha となっ 9. 世界遺産 ています。 【施策の概要】 ラムサール条約では、 1999 年 ( 平成 11 年 ) に開 わが国では、人類全体にとって重要な世界の 催されたラムサール条約第 7 回締約国会議と 2005 遺産の保護を目的とした世界遺産条約に基づく世 年 ( 平成 17 年 ) に開催された第 9 回締約国会議に 界遺産一覧表に、屋久島、白神山地及び知床の おいて、「国際的に重要な湿地の基準」を更新し、 3 件が自然遺産として記載されています ( 平成 22 生物多様性保全のために国際的に重要な湿地を 年 3 月現在 ) 。 幅広くラムサール条約湿地の登録対象とし、地球 また、文化遺産として記載されている「紀伊山 規模で生物多様性保全に貢献することを目標とし 地の霊場と参詣道」及び「石見銀山遺跡とその文 て掲げています。 化的景観」などについては、文化財的価値のほか、 これらの条約湿地については保全と賢明な利用 「世界遺産条約履行のための作業指針」において を推進していくとともに、今後も新たな条約湿地の 「自然と人間の共同作品」として定義されている文 登録に向けた取組を進めていく必要があります。 化的景観としても価値が認められています。 これらについて、関係機関が連携して、世界遺 【具体的施策】 産として認められた価値を将来にわたって保全す 〇ラムサール条約第 9 回締約国会議 ( 2005 年 ( 平 ることが国際的な責務となっています。 成 17 年 ) ) に合わせ条約湿地登録の検討対象と なった箇所のうち未登録の湿地に加え、最新 9.1 世界自然遺産 の「国際的に重要な湿地の基準」や平成 20 年 【現状と課題】 のラムサール条約第 10 回締約会議で決議され 世界遺産条約に基づき、わが国においては、 た「水田における生物多様性の向上」などを踏 屋久島 ( 10 , 747 (a) 、白神山地 ( 16 , 971 (a) 及び知 まえた新たな調査により国際的に重要な湿地 床 ( 71 , 103 ha ) の 3 件の自然遺産が、世界遺産一 の基準を満たすことが明らかとなった湿地を対 覧表に記載されています。これらについて、世界 象に、条約湿地への登録に向けた取組を進め、 遺産として認められた価値を将来にわたって保全 ラムサール条約第 11 回締約国会議 ( 2012 年 ( 平 することが国際的な責務となっています。このため、 成 24 年 ) 開催予定 ) までに国内の条約湿地を新 各自然遺産地域において関係行政機関と関係団 たに 6 か所増やすことを目指します。 ( 環境省 ) 体で構成された世界遺産地域連絡会議を設置す [ 再掲 ( 2 章 4 節 2. 2 ) ] るとともに、世界遺産地域管理計画を策定し、適 〇ラムサール条約締約国会議の決議などに則し、 1 1 5 ◆◆
の湿地の保全と賢明な利用 ( ワイズユース ) をさら に推進するほか冰田における生物多様性の向上、 湿地生態系の破壊が近年進んでいるアジア太平 洋地域の湿地保全に向けた取組が必要です。 【具体的施策】 〇ラムサール条約第 9 回締約国会議 ( 2005 年 ( 平 成 17 年 ) ) に合わせ条約湿地登録の検討対象と なった箇所のうち未登録の湿地に加え、最新 の「国際的に重要な湿地の基準」や平成 20 年 のラムサール条約第 10 回締約会議で決議され た「水田における生物多様性の向上」などを踏 まえた新たな調査により国際的に重要な湿地 の基準を満たすことが明らかとなった湿地を対 象に、条約湿地への登録に向けた取組を進め、 ラムサール条約第 11 回締約国会議 ( 2012 年 ( 平 成 24 年 ) 開催予定 ) までに国内の条約湿地を新 たに 6 か所増やすことを目指します。 ( 環境省 ) [ 再掲 ( 1 章 2 節 8. 1)] 〇ラムサール条約締約国会議の決議などに則し、 条約湿地に関するモニタリング調査や情報整 備、湿地の再生、環境学習、普及啓発などを関 係する地方公共団体や NGO 、専門家、地域住 民などと連携しつつ実施し、総合的な湿地の保 全と賢明な利用 ( ワイズユース ) を図っていきます。 ( 環境省、国土交通省 ) [ 再掲 ( 1 章 2 節 8. 1)] 〇国際的には、特にわが国に渡来する水鳥類の 渡りのルート上に位置するアジア太平洋地域に おいて、湿地の現況調査や条約湿地の候補地 選定支援、普及啓発を進めるなどにより、アジ ア太平洋地域における条約実施の促進や湿地 保全への協力を行います。 ( 環境省、外務省 ) 2.3 ワシントン条約 【現状と課題】 ◆◆ 254 ワシントン条約 ( 1973 年 ( 昭和 48 年 ) 採択 ) は、野 生動植物の国際取引の規制により絶滅のおそれ のある種の保護を図ることを目的としており、わが 国は 1980 年 ( 昭和 55 年 ) に締結しました。本条約 に基づき、附属書 I ~ Ⅲに掲げられている種の 輸出入の規制を「外国為替及び外国貿易法」及 び同法に基づく関連規定により実施しています。 さらに「ワシントン条約」の附属書 I に掲げる種 については「種の保存法」に基づき、国内での譲 渡しなどの規制を行っており、このような国内法の 適切な運用により条約の実施を推進しています。 しかし、条約対象種の違法な取引は現在でも摘 発されているため、規制の実効性をさらに高める ことが必要です。 【具体的施策】 〇引き続き関係省庁、関連機関が連携・協力して、 違法行為の防止、摘発に努めます。あわせて、 インターネットを媒体とした取引を含め、あらゆ る違法取引の削減に向けてワシントン条約下 での取組に協力していきます。 ( 財務省、経済産 業省、農林水産省、環境省、警察庁、外務省 ) 〇種の保存法の施行状況の評価を踏まえ、今後 のあり方について検討し、必要な対策を講じて いきます。 ( 環境省 ) 〇野生動植物の保護について、科学的情報に基 づき、資源の利用と生態系や環境の保全を調 和させる持続可能な利用の考え方に立った措 置がとられるよう、ワシントン条約締約国会議に 対応していきます。 ( 外務省、環境省、農林水産 省、経済産業省 ) 2.4 世界遺産条約 世界遺産条約 ( 1972 年 ( 昭和 47 年 ) 採択 ) は、人
範囲内でこの議定書の効果的な実施を促進するために必要な決 定を行う。この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約 国会議は、この議定書により与えられる任務を遂行し、及び次の ことを行う。 (a) この議定書の実施のために必要な事項について勧告するこ と。 ( b ) この議定書の実施のために必要と認められる補助機関を設 置すること。 ( c ) 適当な場合には、能力を有する国際機関並びに政府間及び 非政府の団体による役務、協力及び情報の提供を求め、並び にこれらを利用すること。 ( d ) 第 33 条の規定に従って提出される情報の送付のための形式 及び間隔を決定すること並びにそのような情報及び補助機関 により提出される報告を検討すること。 ( e ) 必要に応じ、この議定書の実施のために必要と認められるこ の議定書及びその附属書の改正並びにこの議定書の追加附 属書を検討し、及び採択すること。 ( f ) この議定書の実施のために必要なその他の任務を遂行するこ と。 5 締約国会議の手続規則及び条約の財政規則は、この議定書の 下で準用する。ただし、この議定書の締約国の会合としての役割 を果たす締約国会議がコンセンサス方式により別段の決定を行う 場合を除く。 6 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議 の第一回会合は、この議定書の効力発生の日の後に開催される 最初の締約国会議の会合と併せて事務局が招集する。この議定 書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議のその後の 、宀ムムは一の議定書の締約国の会合としての役割を果たす ] 重吊ムロ、 締約国会議が別段の決定を行わない限り、締約国会議の通常会 合と併せて開催する。 7 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議 の特別会合は、この議定書の締約国の会合としての役割を果た す締約国会議が必要と認めるとき又はいすれかの締約国から書 面による要請のある場合において事務局がその要請を締約国に 通報した後六箇月以内に締約国の少なくとも三分の一がその要請 を支持するときに開催する。 8 国際連合、その専門機関及び国際原子力機関並びにこれらの 国際機関の加盟国又はオブザーバーであって条約の締約国でな いものは、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約 国会議の会合にオブザーバーとして出席することができる。この議 定書の対象とされている事項について認められた団体又は機関 ( 国内若しくは国際の又は政府若しくは非政府のもののいずれで あるかを問わない。 ) であって、この議定書の締約国の会合としての 役割を果たす締約国会議の会合にオブザーバーとして出席するこ とを希望する旨事務局に通報したものは、当該会合に出席する締 約国の三分の一以上が反対しない限り、オブザーバーとして出席 することを認められる。オブザーバーの出席については、この条に 別段の定めがある場合を除くほか、 5 に規定する手続規則に従う。 第 30 条補助機関 1 条約によって設置された補助機関は、この議定書の締約国の会 合としての役割を果たす締約国会議の決定に基づきこの議定書 のためにその任務を遂行することができる。この場合には、この議 定書の締約国の会合は、当該補助機関がどの任務を遂行するか を特定する。 ◆◆ 346 2 条約の締約国であってこの議定書の締約国でないものは、 1 に 規定する補助機関の会合の議事にオブザーパーとして参加するこ とができる。条約の補助機関がこの議定書の補助機関としての役 割を果たすときは、この議定書に基づく決定は、この議定書の締 約国のみが行う。 3 条約の補助機関がこの議定書に関する事項についてその任務 を遂行するときは、条約の締約国であってその時点でこの議定書 の締約国でないものを代表する当該補助機関の議長団の構成員 は、この議定書の締約国によってこの議定書の締約国のうちから 選出された構成員によって代わられる。 第 31 条事務局 1 条約第 24 条の規定によって設置された事務局は、この議定書の 事務局としての役割を果たす。 2 事務局の任務に関する条約第 24 条 1 の規定は、この議定書に ついて準用する。 3 この議定書のために提供される事務局の役務に係る費用は、 区別することができる範囲において、この議定書の締約国が負担 する。このため、この議定書の締約国の会合としての役割を果た す締約国会議は、その第一回会合において必要な予算措置につ いて決定する。 第 32 条条約との関係 条約における議定書に関する規定は、この議定書に別段の定め がある場合を除くほか、この議定書について適用する。 第 33 条監視及び報告 締約国は、この議定書に基づく自国の義務の履行状況を監視し、 及びこの議定書を実施するためにとった措置につき、この議定書の 締約国の会合としての役割を果たす締約国会議が決定する一定の 間隔で、この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国 会議に報告する。 第 34 条遵守 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議 は、その第一回会合において、この議定書の規定を遵守することを 促進し及び不履行の事案に対処するための協力についての手続及 びそのための組織的な制度を検討し、及び承認する。これらの手続 及び制度には、適当な場合には、助言乂は支援を行うための規定を 含める。これらの手続及び制度は、条約第 27 条に定める紛争解決の ための手続及び制度とは別個のものであり、また、これらに影響を及 ばすものではない。 第 35 条評価及び再検討 この議定書の締約国の会合としての役割を果たす締約国会議 は、この議定書の効力発生の五年後に及びその後は少なくとも五年 ごとに、この議定書の有効性についての評価にの議定書の手続及 び附属書についての評価を含む。 ) を行う。 第 36 条署名 この議定書は、 2000 年 5 月 15 日から 26 日まではナイロビにある国際 連合事務所において、 2000 年 6 月 5 日から 2001 年 6 月 4 日まではニュー ョークにある国際連合本部において、国及び地域的な経済統合のた めの機関による署名のために開放しておく。