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検索対象: 生物多様性国家戦略2010
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1. 生物多様性国家戦略2010

産省 ) [ 再掲 ( 1 章 5 節 1. 12 ) ] 【具体的施策】 〇保護林について、設定後の状況を把握し、現状 〇魚類、底生動物調査についてはおおむね 5 年、 に応じた保全・管理を推進するため、森林や植 それ以外についてはおおむね 10 年でこれらの 生の現況、野生動物の生息状況、入山者の利 調査を一巡できるよう河川水辺の国勢調査を 用状況などについて保護林の区分に応じたモ 実施し、全国的な河川環境に関する情報を収 ニタリング調査を進めていきます。 ( 農林水産省 ) 集するとともに、その全国的な傾向や地域的な 〇緑の回廊について、森林の状態や野生動植物 生物の生息・生育状況の特徴などを把握しま の生息・生育実態を把握するため、林分構造 す。 ( 国土交通省 ) 調査や野生生物の生息実態などモニタリング 〇河川環境 GIS の整備及び公開を引き続き進め 調査を進めていきます。 ( 農林水産省 ) ます。また、自然環境保全基礎調査など他の全 〇地理情報システムなどを活用した情報整備にあ 国的な調査データとの相互利用を進めます。 たり、自然環境保全基礎調査やモニタリングサ ( 国土交通省、環境省 ) [ 再掲 ( 1 章 8 節 5. 1)] イト 1000 など他の全国レベルの調査と情報の 2.9 海域環境データベースの構築 林水産省、環境省 ) [ 再掲 ( 1 章 5 節 1. 12 ) ] 【現状と課題】 水質改善や生態系ネットワークに配慮した自然 環境の保全・再生・創出などを計画的かつ効率 2.8 河川環境に係る情報の整備 【現状と課題】 的に実施するためには、定常的な環境データの収 河川やダムにおける自然環境に関する基礎的な 集・蓄積・解析・公表が不可欠であるため、閉鎖 情報を把握するため、河川やダム湖に生息・生育 性海域ごとに国や港湾管理者などが有する環境 する生物の生息・生育状況などを定期的・継続的 データを統括的に収集・蓄積・解析・公表するデ に調べる「河川水辺の国勢調査」を実施していま ータベースを構築しています。 す。この調査は、これまで全国の 109 の一級水系 現在までに、三大湾、有明海・八代海などの 6 と 166 の二級水系で実施されており、調査内容は、 海域について、行政機関、研究所、民間などの多 魚類、底生動物、植物、鳥類、両生類・爬虫類・ 様な主体が環境データを登録し、共有することが 哺乳類、陸上昆虫類などの生息・生育状況、瀬や できる海域環境データベースを構築しました。今 淵、水際部などの河川状況などです。 後は、各データベースへのデータの蓄積が課題と また、河川水辺の国勢調査で得られた、生物 なっています。 の生息・生育状況などの河川環境情報を政策、 学術に活かしていくためには、地理情報と関連づ 【具体的施策】 けることや網羅的に取りまとめることが必要である 〇海域環境データベースへのデータの蓄積と内 ため、河川環境 GIS を整備しています。さらに、当 容の充実化を図ります。 ( 国土交通省 ) 該情報を多くの研究者や一般市民などに提供す ることが可能となるなど情報公開や環境学習など 2 コ 0 日本海洋データセンターの運営 【現状と課題】 への利用を図っています。 ◆◆第 2 部第 2 章 横断的・基盤的施策 第 5 節情報整備・技術開発 2 / 9 ◆◆

2. 生物多様性国家戦略2010

地球規模生物多様性概況第 2 版 (GIobaI Biodiversity Ou 00k 2 : GB02) の概要 2010 年目標の進捗状況を評価するため、 15 の指標により生物多様性の状況を評価。 ー 12 の指標で悪化傾向であるなど、生物多様性の損失が進行 15 の指標以外にも以下のような生態系等の悪化状況を明示 ー 2000 年以降、毎年 600 万 ha の原生林が喪失 ー 1970 年から 2000 年の間、内水面の生息種、海洋及び陸域の生息種の個体数 (average species abundance) は、それぞれ 50 % 、 30 % 減少 一地球規模での資源に対する需要は、地球が資源を再生産する能力を約 20 % 超過 1 5 の指標による生物多様性の状況に関する評価結果 く分野 : フォーカルエリア > GB02 で評価を行った指標 く多様性の構成要素の状況と傾向 > 特定の生物群系、生態系及び生息地の規模の推移 特定の種の個体数及び分布の推移 保護地域の指定範囲 絶滅のおそれのある種の指定の変更 主な家畜、栽培種及び養殖魚の遺伝的多様性の推移 く持続可能な利用 > 悪化 持続可能な森林、農地生態系等の面積 生態系フットプリント ( ※ ) 及び関連する概念 悪化 く生物多様性への脅威 > 悪化 窒素の集積 悪化 外来生物の傾向 く生態系の健全性と生態系による財、サービスの提供など > 悪化 海洋食物連鎖指数 悪化 生態系の連続性と分断性 悪化 / 改善 水域生態系の水質 く伝統的知識、革新、慣行などの状況 > 悪化 固有の言語の多様性の状況と言葉を話す人の数 く利益へのアクセス及び配分の状況 > 不明 開発中 く資源の移転の状況 > 悪化 条約の支援のために提供された ODA の額 ※生態系フットプリント : 人々の資源消費量のために必要となる地表の面積により生態系への負荷を示したもの 平成 19 年度第 1 回自然環境・野生生物合同部会資料 出典 : 中央環境審議会 平価結果 ニ = ロ 悪化 悪化 改善 悪化 悪化 ◆◆ 62

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下層植生の採食などによって自然環境保全上の 支障が懸念される地域もあり、地球温暖化による 生態系への影響も予期されます。 このため、平成 21 年の自然環境保全法の改正 も踏まえ、最新の知見に基づき、国土全体の生態 系の多様性保全の観点から、新たな地域の指定 を進めていくとともに、既に自然環境保全地域など に指定されている地域については生態系の現況 やその変化を把握したうえで、必要な対策を行う など管理の充実を図る必要があります。 【具体的施策】 〇国土の生態系ネットワーク形成を促進するた め、自然環境保全基礎調査や各種調査の結果 などの科学的知見や既存の都道府県自然環境 保全地域の指定状況などを踏まえ、全国的に 生物多様性を保全するうえでの見地から配置 や規模などについてレビューを行い、必要に応 じて、原生自然環境保全地域及び自然環境保 全地域の指定又は拡張に向けた取組を進めま す。特に、自然環境保全地域については、自然 環境保全法の改正を受け、海域保全施策の充 実を図るため、海域における新たな地域の指 定に向けた取組を進めます。 ( 環境省 ) 〇既存の指定地域においては、自然環境保全法 の改正を受け、生態系に関する現況調査や評 価などを行い憫係者との連携・調整を図りつつ、 必要な対策を検討・実施します。また、モニタリン グサイト 1000 などを活用して、地球温暖化による 影響を含めた生態系の変化をモニタリングし、 管理に必要なデータの蓄積を図ります。さらに、 保全状況や利用状況などの現況把握を継続的 に行うとともに、標識などの整備や巡視の強化な どにより適正な管理を進めます。 ( 環境省 ) ◆◆ 1 04 1 .2 都道府県自然環境保全地域 【現状と課題】 平成 21 年 3 月現在、 537 地域の都道府県自然環 境保全地域 ( 76 , 403ha ) が指定されています。平 成 19 年度及び 20 年度の 2 年間では、新たに 2 地域 が指定されました。 本地域は、地域固有の生態系や希少野生動植 物の生息・生育地を保全することを通じて、地域 レベルの生物多様性を確保するうえで重要な役 割を果たしていますが、これらの地域の現況が全 国的には十分に把握されているとはいえません。 また、総指定面積は国土の 02 % であり、決して広 いとはいえません。 【具体的施策】 〇地域において相対的に自然性の高い自然環境 を保全することは、国土全体を通じて多様な生 態系を確保するうえで非常に重要であることか ら、都道府県と連携し、指定地域の生態系の 保全状況などの把握に努めます。 ( 環境省 ) 〇今後とも、都道府県による指定、管理に対して 必要な助言などを行います。 ( 環境省 ) 2. 自然公園 【施策の概要】 「自然公園法」に基づく自然公園には、国立公 園 ( 29 公園、 2 , 087 , 475ha ) 、国定公園 ( 56 公園 1 , 362 , 030ha ) 及び都道府県立自然公園 ( 312 公園、 1 , 968 , 465ha ) の 3 種類があります ( 指定面積はいす れも平成 22 年 3 月現在 ) 。 国立公園はわが国を代表する優れた自然の風 景地であり、国定公園はこれに準ずる優れた自然 の風景地であって、環境大臣が指定するものです。 また、都道府県立自然公園は都道府県における 優れた自然の風景地であって、関係都道府県条

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◆◆◆第 3 章・◆◆ 生物多様性の保全及び 持続可能な利用の目標 本章では、第 1 章の生物多様性の重要性と理 念を背景とし、第 2 章の現状と課題に対応して、 目指すべき目標について示します。ます、生物多 様性に関する国際的な目標の動向と 2010 年以降 の新たな世界目標 ( ポスト 2010 年目標 ) の設定に 対するわが国の考え方 ( 日本提案 ) を示します。次 に、それらの考え方をもとに、わが国において「自 然共生社会」を構築するための中長期目標と短期 目標を掲げ、それらとの関連で、わが国の生物多 様性の状況を表す総合評価の実施について記述 します。さらに、 100 年といった長期を見据えて目 指すべき目標像としての国土、地域、社会の姿を、 生物多様性から見た国土のグランドデザインとし て具体的なイメージとともに示します。 ◆◆◆第 1 節◆◆◆ 目標と評価 1 . 生物多様性条約 2010 年目標と 次期世界目標 生物多様性条約の採択から 10 年目にあたる 2002 年 ( 平成 14 年 ) に開催された COP6 において 「 2010 年 ( 平成 22 年 ) までに生物多様性の損失速 度を顕著に減少させる」という 2010 年目標が採択 されました。 2010 年 ( 平成 22 年 ) は目標年にあたり、 現在、生物多様性条約事務局において、その達 成状況の評価が行われていますが、達成は非常 に困難な状況といわれています。 2010 年 ( 平成 2 2 年 ) にわが国で開催される ◆◆ 58 COPIO では、 2010 年目標の達成状況などを踏ま えて、 2010 年以降の目標であるポスト 2010 年目標 を含む新たな生物多様性条約の戦略計画の策 定が主要議題として予定されています。わが国は、 COPIO の議長国として、国内外の専門家や NGO などの多様な主体の意見を聞きながら、世界の 共通目標にふさわしいポスト 2010 年目標の案を諸 外国に先駆けて提案することで、国際的な議論を 主導していきます。 【ボスト 2010 年目標の日本提案】 2010 年 ( 平成 22 年 ) 1 月に、わが国は生物多様 性条約事務局に対して、ポスト 2010 年目標の日本 提案を提出しました。 2010 年目標には、達成に向 けた具体的な手法が提示されていないほか、達 成状況を客観的に評価する手法がないなどの改 善すべき点が指摘されていました。このため、わ が国からの提案では、 2050 年を目標年とする中長 期目標と、中長期目標を達成するため、 2020 年を 目標年とする短期目標を設定しています。さらに これらを達成するために、より具体化した複数の 個別目標を定め、個別目標を達成するための具体 的な手法とそれらの達成状況の進捗を測定する ための指標を提示しました。 中長期目標 ( 2050 年 ) では、地球規模で生物多 様性の損失が止まらないという厳しい状況が予想 される中で、全締約国、全ての人々が共通に追求 する将来の理想像として「人と自然の共生を世界 中で広く実現させ、生物多様性の状態を現状以

5. 生物多様性国家戦略2010

③の目標は、国際的な視点や国民のライフスタイ ルの転換といった点も含めて、わが国の社会経済 的な仕組みを考えていくことが重要です。 3. わが国の生物多様性総合評価 これらの目標を着実に達成していくためには、 わが国の生物多様性の状況を、国民の生物多様 性についての認知状況や生物多様性の保全活動 への参画状況など、社会経済的な側面も踏まえて 総合的に評価し、その達成状況を適切に評価し ていく必要があります。わが国の生物多様性総合 評価は、これまでに地球規模で行われたミレニア ム生態系評価 ( MA ) や地球規模生物多様性概況 第 2 版 (GBO 2 : Global Biodiversity Outlook 2 ) に学びつつ、生態系と生物多様性の経済学 (TEEB : The Economics of Ecosystems and Biodiversity) の取組を参考としながら、わが国の 自然条件や社会経済的な状況に応じた手法で取 り組みます。また、第三次環境基本計画 ( 平成 18 年 4 月 ) の生物多様性の保全のための取組分野に おける取組推進に向けた 9 つの指標や、生物多 様性条約締約国会議で採択された決議の中で例 示されている指標も参考にしながら、わが国の生 物多様性の変化の状況や各種施策の効果などを 把握するためのさらに分かりやすい指標の開発を 進めます。わが国の生物多様性の総合評価は、 平成 20 年度から生物多様性総合評価検討委員会 において検討を進めており、平成 22 年の国際生 物多様性の日 ( 5 月 22 日 ) までに取りまとめを行う予 定です。その後、 COPIO における成果や国内外 の調査研究の進展を踏まえた対応が必要です。 また、こうした総合評価を行う中で、生物多様性 の危機の状況を具体的に地図化し、危機に対す る処方箋を示すための診察記録 ( カルテ ) として活 用すると同時に、生物多様性の保全上重要な地 域 ( ホットスポット ) を選定することを通じて、優先 的に生物多様性の保全を図るべき地域での取組 を進め、生物多様性の損失速度を顕著に減少で きるよう努めます。 わが国と世界の生物多様性とのつながりも考え ると、ポスト 2010 年目標の達成など健全な地球生 態系の保全・再生への積極的な貢献や世界の生 物多様性の状況の悪化を防ぐための配慮は、わ が国の責務です。わが国で実施する国レベルの 生物多様性の総合的な評価について、 G8 各国に も実施を呼びかけるとともに、その手法について アジア地域を技術的に支援します。 また、 COPIO で採択されるポスト 2010 年目標を 受けて、わが国の生物多様性の総合評価のあり 方について、指標と併せて改めて検討し、再評価 することが必要です。 さらに、生物多様性への影響や生態系サービ スの持続可能な利用の観点から、人口減少社会 の到来を見据えた都市と農山村の関係について 複数の予測シナリオに基づく分析を行うことも重 要です。 なお、今後もこうした総合評価を継続的に行うに は、その基礎としての生物多様性に関する科学的 データを充実させていく必要があります。わが国に おいては、自然環境保全基礎調査などの長年の 調査により一定のデータが集積されてきているとこ ろですが、持続可能な生態系の保全と利用が政 策目標として取り上げられた第 3 期科学技術基本 計画 ( 平成 18 年 3 月 ) とも連携を図りつつ、各省や自 然史系博物館とのデータの共有などの連携強化 や速報性の向上を図るとともに、これまで比較的 データが少なかった中・大型哺乳類の生息数や生 息密度の把握、里地里山や沿岸・海洋域に関す るデータの集積に努める必要があります。 6 1 ◆◆ 第 持生 1 続物部 可多 能様第 な性 3 利の章 用保 の全 標ひ。

6. 生物多様性国家戦略2010

された生態系を適切に管理する技術や基礎的な データが得られ、里山林の保全・利用活動や水と 生態系のネットワークなど生物多様性に配慮した 関連施策に活かされているところです。 しかしながら、環境保全型農業をはじめとする 農林水産関連施策の実施にあたっては、生物多 様性に配慮しつつ行っているものの、その効果を 定量的に把握することが可能な科学的根拠に基 づく指標は開発されておらず、これらの農林水産 関連施策を効果的に推進するうえで、指標の開発 が必要です。 【具体的施策】 〇水田、森林、藻場・干潟などにどのような生きもの が生息・生育しているのかを調査するとともに 農林水産業により形成された生態系に特徴的 な生物相の特性や調査方法など過去に得られ た基礎的なデータを活用するなど、農林水産業 の生物多様性への正負の影響を把握するため の科学的根拠に基づく指標や関連施策を効果 的に推進するための生物多様性指標の開発を 検討し、農林水産業が生物多様性に果たす役 割を明らかにするとともに、国民的及び国際的な 理解を深めることを推進します。 ( 農林水産省 ) 2. 調査・情報整備の推進 【施策の概要】 わが国の生物多様性の現状を把握し、その持 続可能な利用を推進するため、「自然環境保全法」 に基づく自然環境保全基礎調査などを引き続き実 施し、わが国の生物多様性に関する現況及び改 変状況の的確な把握を進めます。さらに、わが国 の生態系及び生物多様性の状況を継続的に監 視し、科学的な予測手法との組合せにより予防的 保全対策の充実を目指すため、地球温暖化の生 ◆◆ 2 / 4 態系への影響把握を含めた生態系総合監視シス テムを構築します。 また、生物多様性の現状を把握するための最 も基本的な情報である野生動植物の目録 ( インべ ントリー ) や、標本情報などの整備について、国内 外の関係機関の連携のもとに取組を行います。 あわせて、環境省生物多様性センターの充実 強化や、関係省庁・機関の連携など、生物多様性 の保全のための調査研究及び自然環境情報の整 備推進に向けた体制づくりを進めます。 また、得られた情報は、広く公開、共有され、 生物多様性の保全に活用されるべきです。情報 通信技術を活用した情報の提供・公開の一層の 拡充及び利便性の向上の取組を進めます。 2.1 自然環境保全基礎調査などの推進 【現状と課題】 わが国の自然環境に関する基礎的情報の整備 強化を図るため、一般市民を含む多様な主体の 参画による広範な情報収集体制の構築と普及啓 発、生物多様性を保全するうえで重要な動植物種 の分布や個体数変動などに関する重点的調査な ど、社会的・自然的状況の変化を踏まえながら、 施策ニーズに対応した的確な情報の収集整備・ 提供を行うことが必要です。また、データの速報 性の向上や、これまで比較的データが少なかった 中大型哺乳類の生息数や生息密度の把握、里地 里山や沿岸・海洋域に関するデータの集積に努 める必要があります。 【具体的施策】 〇昭和 48 年度から実施している自然環境保全基 礎調査を引き続き実施し、速報性の向上に努 めつつ、国土の生物多様性の現況把握や変化 状況の監視を進めます。国土の自然環境の基

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において、人工林の抜き伐りによる希少野生動 息地などの整備の事業を推進することが必要 植物の採餌環境及び餌となる動物の生息環境 な種を対象に、保護増殖事業計画を策定し、 を整備する施業などのほか、森林の状態や野 これらの事業を実施します。 ( 環境省、農林水産 生動植物の生息・生育状況を把握するための 省、国土交通省、文部科学省 ) モニタリング調査などを実施します。また、特に 〇絶滅のおそれのある野生動植物の種の安定し 保護を重視すべき野生動植物については、生 た存続を確保するためには、生息・生育地の確 息・生育状況の把握や生息・生育環境の維持、 保は欠かせないものであることから、必要に応 整備などを進めます。 ( 農林水産省 ) じ鳥獣保護区、自然公園など関連する他の制 〇希少植物の保全については、市民や研究者な 度における保護施策とも緊密に連携しながら、 どのさまざまな主体で構成される NGO が主体 国内希少野生動植物種について、生息・生育 となって、 2002 年 ( 平成 14 年度 ) の COP6 で採択 環境が良好に維持されている場所などを優先 された「世界植物保全戦略」を受けた日本の植 的に、生息地等保護区の指定の推進を図りま 物保全の進捗状況のレビューが進められてい す。 ( 環境省 ) [ 再掲 ( 1 章 2 節 4. 1)] ることから、この取組への必要な支援を行いま 〇生息地等保護区ごとに定めている保護の指針に す。 ( 環境省 ) 従い、適切な管理や、生息・生育環境の維持・改 〇絶滅のおそれのある猛禽類については、良好 善を行うとともに、対象種の生息・生育状況の把 な生息環境の保全のため、イヌワシ、クマタカ、 握に努め、必要に応じ保護の指針や区域の見直 オオタカの保護指針である「猛禽類保護の進め しを検討します。 ( 環境省 ) [ 再掲 ( 1 章 2 節 4. l)] 方」の改訂などの取組を進めます。 ( 環境省 ) 〇生物多様性総合評価により選定される重要地 〇ジュゴンについては、引き続き、生息環境のモ 域 ( ホットスポット ) については、優先的に保護地 ニタリングや漁業者との共生に向けた取組を進 域の指定などの検討を進めるとともに、自然再 めます。 ( 環境省 ) 生や里地里山保全・再生、希少種の保護増殖、 特定鳥獣の保護管理、外来種の防除など各種 事業により、可能な限り各省、地方公共団体、 1 .3 生息域外保全 【現状と課題】 NGO 、企業などとの連携も図りながら、その保 トキ、ツシマヤマネコ、ヤンバルクイナなど、絶滅 全と回復に努めます。 ( 環境省 ) [ 再掲 ( 2 章 5 節 1. の危険性が極めて高く、本来の生息域内におけ る保全施策のみで種を存続させることが難しいと 〇高山地域や沿岸地域など、地球温暖化の影響 思われる種について、生息域外保全の取組が進 を受けやすいと考えられる地域における希少 められています。 野生動植物種の生息・生育状況の変化につい このような中、平成 19 年度から、わが国の生息 ては、モニタリングサイト 1000 なども活用して、 域外保全の取組に関する基本的な考え方を整理 重点的な注視を続けます。 ( 環境省 ) [ 再掲 ( 2 章 して、効果的かつ効率的な取組の推進と各事業 5 節 2. 2 ) ( 2 章 6 節 1. l)] の連携を確保することなどを目的とし、体系的な 〇「保護林」において、希少な野生動植物の生 息・生育環境を保護するとともに、「緑の回廊」 生息域外保全のあり方について検討を行い、平 203 ◆◆ 2 ) ] ◆◆第 2 部第 2 章 横断的・基盤的施策 第 1 節野生生物の保護と管理

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〇種の保存法に基づく国内希少野生動植物種の として、アホウドリ、トキ、ツシマヤマネコなど 82 種 を指定しています ( 平成 22 年 3 月現在 ) 。また、そ 指定による捕獲などの規制、生息地等保護区の の中の 47 種について、保護増殖事業計画を策定 指定、保護増殖事業の実施などの保護の効果 し、個体の繁殖の促進や生息地の整備などの事 を評価して、その効果が認められるものはその措 業を実施しています。 置をさらに推進し、十分な効果が上がっていない 生息地等保護区については、平成 22 年 3 月現在、 ものについてはその要因を分析して効果的な保 イシガキニイニイ、アベサンショウウオなど国内希少 全対策を種ごとに明らかにするなど、種の保存法 野生動植物種 7 種について計 9 か所、 885ha が指定 の施行状況の評価を踏まえ、今後のあり方を検 されています。保護区ごとに指定種の生態的特性 寸し、必要な対策を講じていきます。 ( 環境省 ) に応じた保護の指針を定めていますが、指定種の 〇レッドリスト見直しによって絶滅のおそれのある 生息・生育状況の調査の一層の充実や、外来種 種とされたもののうち、人為の影響により、その の侵入などにより生息状況などの悪化が認められ 存続に支障を来すほど個体数が著しく少なくな た場合の生息状況などの改善が求められています っている種など、法律による規制などの対応が レッドリストには、絶滅のおそれのある種として 必要な種を選定し、種の保存法に基づく国内 3 , 155 種 ( 平成 22 年 3 月現在 ) の野生生物が掲載さ 希少野生動植物種に指定します。具体的には、 れています。この中には、保全の取組が成果を上 特に脊椎動物ではもっとも絶滅のおそれの高 げ、生息・生育状況が改善している種がある一方 い絶滅危惧 IA 類に判定された種について、 で、外来種の影響や生息・生育環境の改変など 維管東植物、昆虫類では絶滅のおそれが高い により、絶滅のおそれが高まっている種もあります。 絶滅危惧 I 類に判定された種のうち捕獲・採 また、地球温暖化が進むと、遺伝的多様性が失 取圧が主な減少要因となっている種について、 われている種をはじめ、多くの種で絶滅のリスク 優先的に指定を検討することとし、新たに 5 種 が高まると考えられています。なかでも、急速に個 程度の指定を目指します。 ( 環境省 ) 体数が減少している種や絶滅のおそれがある種 〇絶滅のおそれのあるわが国固有の野生動植物 が集中して分布する地域など、特に保護の優先度 種について、生息状況などについての総合点 が高い種や地域については、詳細に情報収集を 検を実施します。特に生息環境の悪化が懸念 実施し、種の保存法に基づく対応を含め、状況に される島嶼地域及び里地里山に生息・生育す 応じた適切な対応を行う必要があります。ジュゴ る種については、重点的な点検と対策を行い ンについては、生息状況調査や漁業者との共生 ます。また、現在実施している 47 種の保護増殖 に向けた取組を進めています。 事業についても、その実施状況などを点検・評 価し、効率的な事業の推進についての検討を 【具体的施策】 行います。 ( 環境省 ) [ 再掲 ( 1 章 9 節 1. 5 ) ] 〇レッドリストの見直しなどに基づき、絶滅のおそ 〇国内希少野生動植物種のうち、その個体数の れのある種の状況の把握と減少要因の分析を 維持・回復を図るためには、その種を圧迫して 行い、その状況を改善するために必要な措置 いる要因を除去又は軽減するだけでなく、生物 を種ごとに明らかにします。 ( 環境省 ) 学的知見に基づき、個体の繁殖の促進及び生 1 三ロ ◆◆ 202

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2.4 野生鳥獣の生息状況などの調査・研究 【現状と課題】 自然環境保全基礎調査の一環として主要鳥獣 の分布調査などを実施することにより、野生鳥獣 の生息状況の概略の把握を実施しています。 また、野生鳥獣の科学的・計画的な保護管理 にあたっては、野生鳥獣の生息地域、生息数、個 体群の動向、生息環境、生態などに関する情報 をできる限り即地的な情報として把握する必要が あります。 【具体的施策】 〇自然環境保全基礎調査を引き続き実施し、その 一環として主要な野生鳥獣の全国的な生息情 報の収集整備に努めます。特に、シカやクマを はじめ、わが国の生態系や農林水産業に大き な影響を及ばす鳥類・哺乳類のきめ細かな保 護管理施策を進めるため、これら特定の野生動 物について、速報性を重視した重点的な全国個 体数推定及びその経年変動に関する調査を推 進します。 ( 環境省 ) [ 再掲 ( 2 章 5 節 2. 1)] 〇狩猟者又は鳥獣の捕獲許可を受けた者から報 告される捕獲鳥獣に関する情報について、メッシ ュ単位の位置情報として収集します。 ( 環境省 ) 〇 GIS ( 地理情報システム ) を活用した情報データ べースシステムの充実に努めます。 ( 環境省 ) 〇特に農作物や生態系に被害を及ばしている野 生鳥獣については、それらの被害を防止し、野 生鳥獣を適切に管理するため、その個体群管 理手法、生息数及び密度把握の手法、被害防 止技術などに関する調査・研究を進めます。 ( 環 境省、農林水産省 ) 〇渡り鳥の保護については、干潟や湖沼などの 生息環境の現況を把握するため、引き続き鳥 類観測ステーションにおける標識調査、ガン・カ ◆◆ 2 1 0 モ・ハクチョウ類の全国一斉調査を実施するほ か、生態系総合監視システムの一環であるモニ タリングサイト 1000 事業において、主要な渡来 地におけるガン・カモ類やシギ・チドリ類の生息 調査などのモニタリング調査を実施します。 れら野生鳥獣の保護管理に関する調査研究に ついては、民間団体などとの連携を通じて効果 的な実施を図ります。 ( 環境省 ) 〇住民と鳥獣の棲み分け、共生を可能とする地 域づくりに取り組むため、地方公共団体、 NPO などと連携し、奥地国有林における野生鳥獣 の生息状況・被害状況の調査、生息環境の整 備と鳥獣の個体数管理などの総合的な対策を 全国 8 か所のモデル地域で進めます。 ( 農林水 産省 ) [ 再掲 ( 1 章 5 節 1. 5 、 1. (l) ( 同節 2. 3 ) ] 2.5 違法捕獲の防止など 【現状と課題】 愛がん飼養のための捕獲及び飼養について は、その対象種を順次減らしており、現在はメジ ロ 1 種のみ、一世帯 1 羽に限り捕獲及び飼養でき ることとなっています。しかし、違法に捕獲される 事例も数多く発生していることから、愛がん飼養 制度そのものの必要性について検討が必要です。 また、輸入鳥類については、公的な証明がな いため、海外から輸入したものと偽って違法に国 内で捕獲した鳥獣を飼養する事例が見られてい ます。そのため、平成 18 年の鳥獣保護法改正に より、違法捕獲の多いメジロやオオルリなど、環境 省令で規定した輸入鳥類 21 種については、環境 大臣が交付した足環の装着を義務づけました。 このほか非狩猟鳥獣の違法捕獲などについても 引き続き監視を強化していく必要があります。 【具体的施策】

10. 生物多様性国家戦略2010

【具体的施策】 の低下した森林の整備などを治山事業により 保安林などにおいて、治山施設の設置や機能 森林の持っ公益的機能の確保が特に必要な 保全、水源のかん養、生活環境の保全などの 〇「森林整備保全事業計画」に基づき、国土の らの適切な保全管理を行います。 ( 農林水産省 ) に指定されており、指定目的の達成のためこれ 割にあたる 679 万 ha ( 平成 20 年度末 ) が保安林 うえで重要な位置にあり、国有林野面積の約 9 〇国有林野は国土保全、水源かん養などを図る ( 農林水産省 ) 誘導するなど、多様な森林の整備を推進します。 を進めるための抜き伐りを行い針広混交林へ 工林において天然力を活用した広葉樹の導入 つ効率的な間伐の推進を図るほか、針葉樹人 〇多面的機能が十分に発揮されるよう、計画的か [ 国有林野の適切な森林の整備・保全の推進 ] 推進します。 ( 農林水産省 ) ◆◆ 142 域づくりに取り組むため、地方公共団体、 NPO 〇住民と鳥獣の棲み分け、共生を可能とする地 す。 ( 農林水産省 ) 広葉樹林など里山林の整備・保全を推進しま マッ林や九州で薪炭林として整備されていた 〇京都東山の世界文化遺産の背景林であるアカ クトを推進します。 ( 農林水産省 ) や自然保護団体などと協働したモデルプロジェ クト」など地域の自然環境保全のため地域住民 の照葉樹林に復元する「綾の照葉樹林プロジェ 分断するように存在する二次林や人工林をもと 葉樹林を厳正に保護するとともに、照葉樹林を や ) プロジェクト」や、日本最大級の原生的な照 続可能な地域社会づくりを目指す「赤谷 : あか 林野庁が協定を結び、生物多様性の復元と持 〇地元住民からなる地域協議会、自然保護団体、 などと連携し、奥地国有林における野生鳥獣 の生息状況・被害状況の調査、生息環境の整 備と鳥獣の個体数管理などの総合的な対策を 全国 8 か所のモデル地域で進めます。 ( 農林水 産省 ) [ 再掲 ( 同節 1. 5 ) ( 2 章 1 節 2. 3 、 2. 4 ) ] [ 国有林野の維持及び保全 ] 〇国有林野には原生的な森林生態系や貴重な動 植物が生息・生育する森林が多く残されており、 このような特別な保全・管理が必要な森林につ いて希少な野生動植物種の分布状況などを踏 まえ、よりきめ細やかな保護林の設定や区域の 見直しを推進します。保護林については、森林 生態系の保護や遺伝資源の保存、高山植物な ど植物群落の保護など設定の目的に応じて 7 っ に分類し、基本的には自然の推移にゆだねるな どの取扱いを進めます。また、設定後の保護林 の状況を的確に把握し、現状に応じた保全・管 理を推進するため、全国の保護林においてモニ タリング調査を実施します。さらに、保全・管理 の一環として、保護対象種の保護や生息・生育 地の維持・保全のため、その特性に応じて、植 生の回復やシカなどによる食害を防ぐための保 護柵の設置などを実施します。 ( 農林水産省 ) 〇保護林相互を連結してネットワークを形成する 「緑の回廊」を設定するなど、より広範囲で効果 的な森林生態系の保護に努めます。また、渓 流沿いや尾根筋の森林などの保護樹帯の充実 による、よりきめ細かな森林生態系ネットワーク の形成に努めます。緑の回廊においては、針 葉樹や広葉樹に偏らない樹種構成、林齢や樹 冠層の多様化を図ることとし、優れた林分の維 持を図りつつ人工林の中に自然に生えた広葉 樹を積極的に保残するなど、野生動植物の生 息・生育環境に配慮した施業を行うとともに 森林の状態と野生動植物の生息・生育実態の